【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の幕式水路において請求項1に係るものは、海底より起立させた複数以上の柱の間に幕を張ることで壁を形成し、その壁を2列設けることで水路を作り、
海流の流出口を流入口より狭くし、壁を形成する柱の対面方向の柱との間をケーブルで連結し
、海流の流出口に海流発電機を設けたものである。
【0005】
請求項
2に係るものは、請求項1に係るものにおいて、柱にレールを設け、柱の間に張られた幕をレールにより開閉可能にしたものである。
【0006】
請求項
3に係るものは、請求項1に係るものにおいて、柱にベルトを設け、柱の間に張られた幕をベルトにより開閉可能にしたものである。
【0007】
請求項
4に係るものは、請求項1に係るものにおいて、
二本の柱の間に張る幕を、一つながりの幕ではなく、多数の幕を連結器で連結することで構成したものである。
【0008】
請求項
5に係るものは、請求項
4に係るものにおいて、幕と幕を連結した際にできる隙間を幕の折り返し部分をもって塞いだものである。
【0009】
請求項
6に係るものは、請求項
4に係るものにおいて、幕と幕を連結した際にできる隙間を塞ぐためのカバーを幕に取り付けたものである。
【0010】
請求項
7に係るものは、請求項1に係るものにおいて
、水路の中に柱を設置し、その柱と、幕を張った柱をケーブルで連結したものである。
【0011】
請求項
8に係るものは、請求項1に係るものにおいて、ケーブルの両端にランナーを設け、それぞれのランナーを、
異なる柱に設けられたレールに落とし込むことで、柱と柱をケーブルで連結したものである。
【0012】
請求項
9に係るものは、請求項1に係るものにおいて
、水路の入り口において、柱と柱の間を網状にケーブルで連結したものである。
【0013】
請求項
10に係るものは、請求項1に係るものにおいて
、水路の入り口付近の海底に気泡発生装置を設置したものである。
【0014】
請求項
11に係るものは、請求項
8に係るものにおいて、同一のレールに入れるランナー同士を
ランナー連結ケーブルで連結したものである。
【0015】
請求項
12に係るものは、請求項1に係るものにおいて、幕の最下端に接地板を設けたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上説明したように構成されており、以下に記載されるような効果を有する。
【0017】
請求項1に係る仕組みを用いた場合、幕を使うことで海中に安価に水路を作ることができる。通常、水路は圧力に耐えうるように台形の断面をしている。しかし海中でそのような土木工事を行うことは現実的ではない。本発明はまず海底より起立する柱の間に幕を張ることで形成した壁を2列作る。ただし、幕は海底から海面
上まで張るものとし、列の対面の柱と柱の間をケーブルで連結する。また、水路を形成する柱は、水路の外側の海底にケーブルを用い杭やアンカーで固定する。柱や幕を設置するには、メガフロートのような巨大浮体を海上に固定し、それを足場に作業する方が船を使うよりも効率的と思われる。幕は軽いので土塁のように自重を支えるために台形にする必要はない。これにより、海中に水路を極めて安価に設けることができる。
また海流の流出口が流入口より狭くすることにより、水路を流れる海流の速度を増速させることができる。ただし、海流の流出口が流入口より狭くなるようにすると、流出口に近づくほど、導水路を形成する幕や柱に外側に押し広げようとする圧力が働く。仮に水流が2倍になったとしたら水圧は8倍になるので、流出口の柱間のケーブルは流入口の柱間のケーブルの8倍の本数を張るか、柱の間隔を8分の1にするなどの手段を講じる必要がある。そして流出口の先に海流発電機を設置すれば発電量を大きくすることができる。
【0018】
請求項
2に係る仕組みを用いた場合、請求項1に係る仕組みを用いた場合に加え、レ
ールを用いることにより、柱間に容易に幕を張ることができるようになる。本発明は水深50m〜200mの深さまで水路としての幕を張ることを想定しており、そのような深海で幕の連結作業は困難を極める。なので、柱にレールを設け、レールによって幕を上から落とす方式にすれば容易に深海まで幕を張ることができる。また、幕が破損した場合に引き上げることができるので交換も容易になる。
【0019】
請求項
3に係る仕組みを用いた場合、請求項1に係る仕組みを用いた場合に加え、ベルトにより柱間に容易に幕を張ることができるようになる。効果は請求項
2と同じである。
【0020】
請求項
4に係る仕組みを用いた場合、請求項1に係る仕組みを用いた場合に加え、
二本の柱の間に張る幕を、一つながりの幕ではなく、多数の幕を連結器で連結し、水路の壁として用いたものである。先述したように本発明は、水深
約200mの深さまで水路としての幕を張ることを想定しており、柱間の長さを100mとしたなら、幅100m長さ200mの幕が必要になる。そのような幕を用意するのはかなり大変なことである。それに万が一、運用中に幕が水圧で破れた場合、そこから破れがどんどん広がってしまい、取り換えるにしても、すべて取り換えなければならなくなる。連結器を用いて幕を連結した場合、その区間より破れが広がるとこはなく、しかも取り換えるのは破れた区間のみでよい。
【0021】
請求項
5に係る仕組みを用いた場合、請求項
4に係る仕組みを用いた場合に加え、幕と幕を連結した際にできる隙間を、上側の幕の折り返し部分をもって塞いだものである。幕の下端を上に折りまげ、折った部分に穴をあけ、連結器を取り付け、上に折り曲げた幕を下に垂らし連結部分を隠す。連結部分の隙間を塞ぐことにより増速させる場合、海流が外に漏れないため効率低下が防げる。
【0022】
請求項
6に係る仕組みを用いた場合、請求項
4に係る仕組みを用いた場合に加え、幕と幕を連結した際にできる隙間を、カバーをもって塞いだものである。効果は請求項
5と同じである。
【0023】
請求項
7に係る仕組みを用いた場合、請求項1に係る仕組みを用いた場合に加え
、水路の間隔が広すぎる場合に中継としての柱を設置することで、柱間に張るケーブルの必要強度を抑えることができる。特に海流の流入口は1kmを超えることも想定されるので、柱間を短くした方がケーブルを張りやすい。
【0024】
請求項
8に係る仕組みを用いた場合、請求項1に係る仕組みを用いた場合に加え、ケーブルの両端にランナーを設け、それぞれのランナーを、柱に設けられたレールに落とし込んだものである。本発明は水深50m〜200mを想定したもので、そのような深海において柱の間をケーブルで連結するのは非常に困難である。そこで、柱にレールを設け、
向い合った柱のそれぞれのレールにランナーを落とし込んでいけば、容易に柱の間にケーブルを張ることができる
。車輪を用いる場合と比べレールの隙間をランナーで埋めることができるので、レール内に貝などの付着物がつかず、万が一引きあげる事態が発生した場合作業がスムーズになる。もちろん車輪を使っても差支えないし、逆に請求項
2でランナーを使っても差支えない。ランナーという語句はカーテンとカーテンレールを繋ぐ部品のことであるが、構造が似ているため、当発明においてもレールに落とし込む部品をランナーと呼称する。
【0025】
請求項
9に係る仕組みを用いた場合、請求項1に係る仕組みを用いた場合に加え、流入口
を網状にケーブルで連結することにより、大型の海洋生物の侵入をブロックする。
【0026】
請求項
10に係る仕組みを用いた場合、請求項1に係る仕組みを用いた場合に加え、水路の入り口付近の海底に設置した気泡発生装置により、泡の壁をつくり大型の海洋生物が近寄らないようにする。請求項
9と違い大型の海洋生物が放つ音波を反射するので、障害物と認識させ接近を未然に防ぐことができる。
【0027】
請求項
11に係る仕組みを用いた場合、請求項
8に係る仕組みを用いた場合に加え、同一のレールに入れるランナー同士を
ランナー連結ケーブルで連結したものである。ランナーを連結せずにレールに落とし込むと、引きあげることが非常に困難になる。ランナー同士を
ランナー連結ケーブルで連結しておけば、数珠つなぎに引っ張り上げることができる。万が一柱間のケーブルが切断したときの修理において有効である。
【0028】
請求項
12に係る仕組みを用いた場合、請求項1に係る仕組みを用いた場合に加え、幕の最下端に接地板を設けたものである。接地板は海底と接地する板であり、着底時に海底にめり込ませ、海底に隙間を作らせないものである。もし海底との間に隙間があると、その部分から海流が吹き出し、海底が削れ、隙間がどんどん拡大してしまう。陸上であればシ
ートパイルを打ち込むこともできるが水深100m以上ともなれば困難を伴う。そこで、幕の一番下に先端の鋭い板を設けて海底に着底させるようにする。もし柱の間の海底が水平でないのなら、接地板もその角度に合わせて作成する。