特許第6143318号(P6143318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6143318
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】冷温庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/12 20060101AFI20170529BHJP
   F25B 21/02 20060101ALI20170529BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   F25D23/12 M
   F25B21/02 K
   F25D11/00 101W
【請求項の数】17
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-504126(P2017-504126)
(86)(22)【出願日】2016年10月17日
(86)【国際出願番号】JP2016080664
【審査請求日】2017年2月1日
(31)【優先権主張番号】特願2016-92224(P2016-92224)
(32)【優先日】2016年5月2日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505007825
【氏名又は名称】FSX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸博
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−11397(JP,A)
【文献】 特開2001−221551(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3135138(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00,23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に扉を有する本体部と、
前記本体部内に配置される内部槽と、
ベース板及び該ベース板の一方の面に形成された複数のフィンを有し、前記ベース板の他方の面が前記内部槽内の背面に沿って配置される温調ヒートシンクと、
前記温調ヒートシンクを加熱するヒータと、
前記温調ヒートシンクの前記一方の面側に配置され、前記温調ヒートシンクの前記フィンに前記内部槽内の空気を吹付ける温調ファンと、
複数の貫通孔を有し前記温調ファンに対向する温調ファン対向部を有し、前記温調ヒートシンクの前記一方の面側に配置され、前記内部槽の両側部の上下に空気吹き出し口を形成した状態で前記温調ヒートシンクが配置されている領域を遮蔽する遮蔽板と、
前記内部槽の背面外部に配置される放熱ヒートシンクと、
前記放熱ヒートシンクに前記内部槽外の空気を吹付ける放熱ファンと、
前記温調ヒートシンクに吸熱面を接続させ、前記放熱ヒートシンクに放熱面を接続させるペルチェモジュールと、
前記内部槽内を加熱する場合に、前記ヒータ及び前記温調ファンに電力を供給し、前記内部槽内を冷却する場合に、前記温調ファン、前記放熱ファン及び前記ペルチェモジュールに電力を供給する電力制御部と
を備えることを特徴とする冷温庫。
【請求項2】
前記温調ヒートシンクの両側部に前記空気吹き出し口に連通する空間が形成されていることを特徴とする請求項1記載の冷温庫。
【請求項3】
前記遮蔽板の前記温調ヒートシンク側の面の前記温調ファン対向部の両側に前記温調ヒートシンクが配置されている領域を上下に仕切る仕切り板が備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の冷温庫。
【請求項4】
前記本体部を構成する外部パネル及びリアパネルと、
前記外部パネルの内側の前記リアパネルと前記内部槽との間に形成された隔壁とを備え、
前記リアパネルは、前記放熱ファンに対向する位置に空気取り込み口を有し、前記空気取り込み口の上側の前記リアパネルの幅方向に広がる領域に少なくとも1つの開口を有し、
前記リアパネルと前記隔壁との間の空気を前記リアパネルの前記少なくとも1つの開口に導く空気ガイドを備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の冷温庫。
【請求項5】
前記空気ガイドは、前記放熱ヒートシンクの一側部の下部近傍から前記リアパネルの一方の内壁上部方向に延びる第1空気ガイドと、前記放熱ヒートシンクの他側部の下部近傍から前記リアパネルの他方の内壁上部方向に延びる第2空気ガイドとを備えることを特徴とする請求項4記載の冷温庫。
【請求項6】
前面に扉を有する本体部と、
前記本体部内に配置される内部槽と、
ベース板及び該ベース板の一方の面に形成された複数のフィンを有し、前記ベース板の他方の面が前記内部槽内の背面に沿って配置される温調ヒートシンクと、
前記温調ヒートシンクを加熱するヒータと、
前記温調ヒートシンクの前記一方の面側に配置され、前記温調ヒートシンクの前記フィンに前記内部槽内の空気を吹付ける温調ファンと、
前記温調ファンの両側に位置する前記複数のフィンの上部を覆うプレート部と、
前記内部槽の背面外部に配置される放熱ヒートシンクと、
前記放熱ヒートシンクに前記内部槽外の空気を吹付ける放熱ファンと、
前記温調ヒートシンクに吸熱面を接続させ、前記放熱ヒートシンクに放熱面を接続させるペルチェモジュールと、
前記内部槽内を加熱する場合に、前記ヒータ及び前記温調ファンに電力を供給し、前記内部槽内を冷却する場合に、前記温調ファン、前記放熱ファン及び前記ペルチェモジュールに電力を供給する電力制御部と
を備えることを特徴とする冷温庫。
【請求項7】
前記温調ファンは、前記温調ヒートシンクの前記一方の面の中央に配置されることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の冷温庫。
【請求項8】
前記ヒータは、プレート形状を有するシートヒータであり、前記ベース板の他方の面に密着させて配置されることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の冷温庫。
【請求項9】
前記ヒータは、ヒータ線を有し、該ヒータ線は前記フィンの間において前記フィンの基端部に密着させて配置されることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の冷温庫。
【請求項10】
前記フィンは、前記内部槽の両側の内壁方向に延びる板状のフィンであることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の冷温庫。
【請求項11】
前記フィンは、板状の所定の長さを有するフィンであり、上下方向及び左右方向に所定の間隔で複数配置されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の冷温庫。
【請求項12】
前記フィンは、前記温調ヒートシンクの中央部から放射状に延びる板状のフィンであることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の冷温庫。
【請求項13】
前記温調ファンは、前記温調ヒートシンクの前記複数のフィンに前記内部槽内の空気を吹付け前記複数のフィンの間に形成される溝を介して前記内部槽内に空気を循環させることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の冷温庫。
【請求項14】
前面に扉を有する本体部と、
前記本体部内に配置される内部槽と、
前記内部槽内の背面近傍に配置される温調ヒートシンクと、
前記温調ヒートシンクを加熱するヒータと、
前記温調ヒートシンクの前面側に配置され、前記温調ヒートシンクの前面に前記内部槽内の空気を吹付ける温調ファンと、
前記内部槽の背面外部に配置される放熱ヒートシンクと、
前記放熱ヒートシンクに前記内部槽外の空気を吹付ける放熱ファンと、
前記温調ヒートシンクに吸熱面を接続させ、前記放熱ヒートシンクに放熱面を接続させるペルチェモジュールと、
前記内部槽内を加熱する場合に、前記ヒータ及び前記温調ファンに電力を供給し、前記内部槽内を冷却する場合に、前記温調ファン、前記放熱ファン及び前記ペルチェモジュールに電力を供給する電力制御部と
を備えることを特徴とする冷温庫。
【請求項15】
前記本体部を構成する外部パネル及びリアパネルと、
前記外部パネルの内側の前記リアパネルと前記内部槽との間に形成された隔壁とを備え、
前記リアパネルは、前記放熱ファンに対向する位置に空気取り込み口を有し、前記空気取り込み口の上側の前記リアパネルの幅方向に広がる領域に少なくとも1つの開口を有し、
前記リアパネルと前記隔壁との間の空気を前記リアパネルの前記少なくとも1つの開口に導く空気ガイドを備えることを特徴とする請求項14記載の冷温庫。
【請求項16】
前記空気ガイドは、前記放熱ヒートシンクの一側部の下部近傍から前記リアパネルの一方の内壁上部方向に延びる第1空気ガイドと、前記放熱ヒートシンクの他側部の下部近傍から前記リアパネルの他方の内壁上部方向に延びる第2空気ガイドとを備えることを特徴とする請求項15記載の冷温庫。
【請求項17】
前記内部槽は、ウエットタオルを収容し、前記ウエットタオルを加熱または冷却することを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載の冷温庫。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容物の冷却及び加熱を行なう冷温庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来ショールーム、ホテル、飲食店などにおいては、顧客に対するサービスを向上させるために季節や気温などに応じて冷却または加熱したおしぼりなどのウエットタオルを顧客に提供している。一般に冷却または加熱したウエットタオルを顧客に提供する場合には、ウエットタオルを冷却または加熱することができる冷温庫が用いられている。このような冷温庫としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの熱伝導性の良好な金属により形成された箱形熱伝導体と、箱形熱伝導体の周壁部に巻装された電熱ヒータと、箱形熱伝導体の底部に密着させたペルチェ素子と、箱形熱伝導体と電熱ヒータとペルチェ素子の外周を覆う断熱層とを備え、冷却を行う場合にはペルチェ素子に通電を行いペルチェ素子により箱形熱伝導体を冷却し、加熱する場合にはペルチェ素子への通電を行わないで電熱ヒータのみに通電を行い電熱ヒータにより箱形熱伝導体を加熱するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−316074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで多くの顧客に対してウエットタオルを提供する必要が有る場合などには、大型の冷温庫により多数のウエットタオルを同時に冷却または加熱することが考えられるが、設置スペースが限られている場合などには大型の冷温庫の設置が困難な場合がある。また、特許文献1に記載の冷温庫においてウエットタオルの加熱を行う場合には、箱形熱伝導体の周壁部に巻装された電熱ヒータにより箱形熱伝導体の加熱を行い、庫内の空気の自然対流及び熱伝導により箱形熱伝導体の内部に収容したウエットタオルの加熱を行うためウエットタオルの加熱に長時間を要することになり、ウエットタオルの冷却を行う場合には、箱形熱伝導体の底部に密着させたペルチェ素子により箱形熱伝導体の冷却を行い、庫内の空気の自然対流及び熱伝導により箱形熱伝導体の内部に収容したウエットタオルの冷却を行うためウエットタオルの冷却に長時間を要することになる。
【0005】
また箱形熱伝導体の加熱または冷却を行い庫内の空気の自然対流及び熱伝導により箱形熱伝導体の内部に収容されたウエットタオルの加熱または冷却を行うため、箱形熱伝導体の内壁部に近い位置に収容されているウエットタオルは短時間で加熱または冷却されるが、箱形熱伝導体の中央部に収容され周囲に他のウエットタオルが存在するウエットタオルの加熱または冷却にはきわめて長い時間が必要になる。
【0006】
従って冷温庫を大型化させることなく、冷温庫内に収容されているウエットタオルの全てを急速に冷却または加熱することができる冷温庫の開発が望まれる。また、ウエットタオルの冷却または加熱を急速に行なうことを可能とした場合においても低消費電力であることが好ましい。
【0007】
また特許文献1に記載の冷温庫においては、冷却を行なうと箱形熱伝導体と断熱層との間に結露が生じ、電熱ヒータが錆びることにより電熱ヒータが断線し、ウエットタオルの加熱ができなくなる場合がある。このような場合には箱形熱伝導体の周壁部に巻装された電熱ヒータが断熱層で覆われているため、電熱ヒータの断線個所を修理するためには箱形熱伝導体の周壁部を覆っている断熱層を取り外さなければならず、修理を行うことが極めて困難である。
【0008】
本発明の目的は、低消費電力で収容物の急速冷却や急速加熱が可能な冷温庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の冷温庫は、前面に扉を有する本体部と、前記本体部内に配置される内部槽と、ベース板及び該ベース板の一方の面に形成された複数のフィンを有し、前記ベース板の他方の面が前記内部槽内の背面に沿って配置される温調ヒートシンクと、前記温調ヒートシンクを加熱するヒータと、前記温調ヒートシンクの前記一方の面側に配置され、前記温調ヒートシンクの前記フィンに前記内部槽内の空気を吹付ける温調ファンと、複数の貫通孔を有し前記温調ファンに対向する温調ファン対向部を有し、前記温調ヒートシンクの前記一方の面側に配置され、前記内部槽の両側部の上下に空気吹き出し口を形成した状態で前記温調ヒートシンクが配置されている領域を遮蔽する遮蔽板と、前記内部槽の背面外部に配置される放熱ヒートシンクと、前記放熱ヒートシンクに前記内部槽外の空気を吹付ける放熱ファンと、前記温調ヒートシンクに吸熱面を接続させ、前記放熱ヒートシンクに放熱面を接続させるペルチェモジュールと、前記内部槽内を加熱する場合に、前記ヒータ及び前記温調ファンに電力を供給し、前記内部槽内を冷却する場合に、前記温調ファン、前記放熱ファン及び前記ペルチェモジュールに電力を供給する電力制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
この発明の冷温庫は、前記温調ヒートシンクの両側部に前記空気吹き出し口に連通する空間が形成されていることを特徴とする。
【0011】
この発明の冷温庫は、前記遮蔽板の前記温調ヒートシンク側の面の前記温調ファン対向部の両側に前記温調ヒートシンクが配置されている領域を上下に仕切る仕切り板が備えられていることを特徴とする。
【0012】
この発明の冷温庫は、前記本体部を構成する外部パネル及びリアパネルと、前記外部パネルの内側の前記リアパネルと前記内部槽との間に形成された隔壁とを備え、前記リアパネルは、前記放熱ファンに対向する位置に空気取り込み口を有し、前記空気取り込み口の上側の前記リアパネルの幅方向に広がる領域に少なくとも1つの開口を有し、前記リアパネルと前記隔壁との間の空気を前記リアパネルの前記少なくとも1つの開口に導く空気ガイドを備えることを特徴とする。
【0013】
この発明の冷温庫は、前記空気ガイドが前記放熱ヒートシンクの一側部の下部近傍から前記リアパネルの一方の内壁上部方向に延びる第1空気ガイドと、前記放熱ヒートシンクの他側部の下部近傍から前記リアパネルの他方の内壁上部方向に延びる第2空気ガイドとを備えることを特徴とする。
【0014】
この発明の冷温庫は、前面に扉を有する本体部と、前記本体部内に配置される内部槽と、ベース板及び該ベース板の一方の面に形成された複数のフィンを有し、前記ベース板の他方の面が前記内部槽内の背面に沿って配置される温調ヒートシンクと、前記温調ヒートシンクを加熱するヒータと、前記温調ヒートシンクの前記一方の面側に配置され、前記温調ヒートシンクの前記フィンに前記内部槽内の空気を吹付ける温調ファンと、前記温調ファンの両側に位置する前記複数のフィンの上部を覆うプレート部と、前記内部槽の背面外部に配置される放熱ヒートシンクと、前記放熱ヒートシンクに前記内部槽外の空気を吹付ける放熱ファンと、前記温調ヒートシンクに吸熱面を接続させ、前記放熱ヒートシンクに放熱面を接続させるペルチェモジュールと、前記内部槽内を加熱する場合に、前記ヒータ及び前記温調ファンに電力を供給し、前記内部槽内を冷却する場合に、前記温調ファン、前記放熱ファン及び前記ペルチェモジュールに電力を供給する電力制御部とを備えることを特徴とする。
【0015】
この発明の冷温庫は、前記温調ファンが前記温調ヒートシンクの前記一方の面の中央に配置されることを特徴とする。
【0016】
この発明の冷温庫は、前記ヒータがプレート形状を有するシートヒータであり、前記ベース板の他方の面に密着させて配置されることを特徴とする。
【0017】
この発明の冷温庫は、前記ヒータがヒータ線を有し、該ヒータ線は前記フィンの間において前記フィンの基端部に密着させて配置されることを特徴とする。
【0018】
この発明の冷温庫は、前記フィンが前記内部槽の両側の内壁方向に延びる板状フィンであることを特徴とする。
【0019】
この発明の冷温庫は、前記フィンが板状の所定の長さを有するフィンであり、上下方向及び左右方向に所定の間隔で複数配置されていることを特徴とする。
【0020】
この発明の冷温庫は、前記フィンが前記温調ヒートシンクの中央部から放射状に延びる板状のフィンであることを特徴とする。
【0021】
この発明の冷温庫は、前記温調ファンが前記温調ヒートシンクの前記複数のフィンに前記内部槽内の空気を吹付け前記複数のフィンの間に形成される溝を介して前記内部槽内に空気を循環させることを特徴とする。
【0022】
この発明の冷温庫は、前面に扉を有する本体部と、前記本体部内に配置される内部槽と、前記内部槽内の背面近傍に配置される温調ヒートシンクと、前記温調ヒートシンクを加熱するヒータと、前記温調ヒートシンクの前面側に配置され、前記温調ヒートシンクの前面に前記内部槽内の空気を吹付ける温調ファンと、前記内部槽の背面外部に配置される放熱ヒートシンクと、前記放熱ヒートシンクに前記内部槽外の空気を吹付ける放熱ファンと、前記温調ヒートシンクに吸熱面を接続させ、前記放熱ヒートシンクに放熱面を接続させるペルチェモジュールと、前記内部槽内を加熱する場合に、前記ヒータ及び前記温調ファンに電力を供給し、前記内部槽内を冷却する場合に、前記温調ファン、前記放熱ファン及び前記ペルチェモジュールに電力を供給する電力制御部とを備えることを特徴とする。
【0023】
この発明の冷温庫は、前記本体部を構成する外部パネル及びリアパネルと、前記外部パネルの内側の前記リアパネルと前記内部槽との間に形成された隔壁とを備え、前記リアパネルは、前記放熱ファンに対向する位置に空気取り込み口を有し、前記空気取り込み口の上側の前記リアパネルの幅方向に広がる領域に少なくとも1つの開口を有し、前記リアパネルと前記隔壁との間の空気を前記リアパネルの前記少なくとも1つの開口に導く空気ガイドを備えることを特徴とする。
【0024】
この発明の冷温庫は、前記空気ガイドが前記放熱ヒートシンクの一側部の下部傍から前記リアパネルの一方の内壁上部方向に延びる第1空気ガイドと、前記放熱ヒートシンクの他側部の下部近傍から前記リアパネルの他方の内壁上部方向に延びる第2空気ガイドとを備えることを特徴とする。
【0025】
この発明の冷温庫は、前記内部槽がウエットタオルを収容し、前記ウエットタオルを加熱または冷却することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、低消費電力で収容物の急速冷却や急速加熱を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1の実施の形態に係る冷温庫の扉を閉じた状態を示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態に係る冷温庫の扉を開けた状態を示す斜視図である。
図3】第1の実施の形態に係る内部槽に取り付けられる温調ユニット及び放熱ユニットを示す図である。
図4】第1の実施の形態に係る温調ユニットの構成を示す図である。
図5】第1の実施の形態に係る温調ヒートシンクの構成を示す図である。
図6】第1の実施の形態に係る冷温庫のペルチェモジュールが配置されている位置における前後方向の断面図である。
図7】第1の実施の形態に係る冷温庫のシステム構成を示すブロック図である。
図8】第2の実施の形態に係る冷温庫の扉を開けた状態を示す斜視図である。
図9】第2の実施の形態に係る冷温庫の扉を開け内部槽内の籠を取り除いた状態を示す正面図である。
図10】第2の実施の形態に係る冷温庫の断面図(図9におけるA−A断面)である。
図11】第2の実施の形態に係る冷温庫の断面斜視図(図9におけるB−B断面)である。
図12】第2の実施の形態に係る遮蔽板の正面斜視図である。
図13】第2の実施の形態に係る遮蔽板の背面斜視図である。
図14】実施の形態に係る他の温調ヒートシンクの形状を示す図である。
図15】実施の形態に係る他の温調ヒートシンクの形状を示す図である。
図16】実施の形態に係る冷温庫のリアパネルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る冷温庫について説明する。図1は第1の実施の形態に係る冷温庫の扉を閉じた状態を示す斜視図であり、図2は第1の実施の形態に係る冷温庫の扉を開けた状態を示す斜視図である。冷温庫2は、箱状の本体部4と、本体部4の前面に設けられた扉6を備えている。本体部4内には、ウエットタオルなどを収容するための内部槽12が設置され、内部槽12内には、ウエットタオルを置く籠13が設置されている。また内部槽12内には、内部槽12内の温度を検出する温度センサ49(図7参照)が設けられている。内部槽12は、上カバー14、下カバー16(上カバー14及び下カバー16が外部パネルを構成する。)及びリアパネル18により覆われている。なお内部槽12とリアパネル18との間には、背面部隔壁19(図6参照)が設置されている。ここで内部槽12と、上カバー14、下カバー16及び背面部隔壁19との間には、ウレタンフォームなどの断熱材(図示せず)が配置されている。
【0029】
本体部4の前面右上部には、冷却または加熱の温度設定を行う操作ダイヤル8が設けられており、本体部4の前面下部には、露受けトレー10が設けられている。またリアパネル18には、放熱ユニット22(図3参照)により放熱を行なうための開口部41(図6参照)が形成されている。ここで本体部4を構成する内部槽12、上カバー14、下カバー16、リアパネル18、背面部隔壁19、扉6及び露受けトレー10は、耐熱性及び耐薬品性の観点から熱伝導性の低いポリプロピレンによって形成されている。
【0030】
扉6は、右側縁部が本体部4の前面の右側縁部に回動自在に取り付けられている。扉6の左側縁部には、扉6を開く際に指を掛けるハンドル6aが扉6の左側縁部に沿って形成されている。また本体部4の前面の左側縁部のハンドル6aに対向する位置には、ハンドル6aに指を掛け易くするための凹部4aが形成されている。
【0031】
図3は第1の実施の形態に係る内部槽に取り付けられる温調ユニット及び放熱ユニットを示す図である。内部槽12の背面には、開口部12aが形成されている。温調ユニット20及び放熱ユニット22は、内部槽12の内側と外側から開口部12aに対向するように配置される。即ち、温調ユニット20は、開口部12aに対向するように内部槽12内の背面に沿って配置される。また放熱ユニット22は、開口部12aに対向するように内部槽12の背面外部に配置される。
【0032】
放熱ユニット22は、アルミニウムなどの熱伝導性の高い金属により形成されている放熱ヒートシンク24と、放熱ファン26を備えている。放熱ヒートシンク24は、矩形のプレート形状を有するベース板24a及びベース板24aの一方の面に所定の間隔で形成された複数の板状のフィン24bにより構成されている。放熱ヒートシンク24は、フィン24bが形成されていない他方の面が内部槽12の背面外部に固定される。放熱ファン26は、フィン24bに対向した位置で放熱ヒートシンク24の中央部に固定される。
【0033】
図4は第1の実施の形態に係る温調ユニットの構成を示す図である。温調ユニット20は、温調ヒートシンク30、温調ファン32、温調ファンカバー34、シートヒータであるシリコンラバーヒータ36、断熱板38、ペルチェスペーサ40及びペルチェモジュール42を備えている。
【0034】
図5は温調ヒートシンクの構成を示す図である。温調ヒートシンク30は、アルミニウムなどの熱伝導性の高い金属により形成され、矩形のプレート形状を有するベース板30a及びベース板30aの一方の面に所定の間隔で形成された複数の板状のフィン30bによって構成されている。この温調ヒートシンク30は、内部槽12内においてはフィン30bが内部槽12の内側に向き、かつフィン30bが内部槽12の両側の内壁方向に延びるように配置される。
【0035】
温調ファン32は、温調ヒートシンク30の中央部においてフィン30bに対向させて固定される。温調ファンカバー34は、温調ファン32を覆うカバー部34aとカバー部34aの両側に形成されたプレート部34bによって構成されている。カバー部34aには、内部槽12内の空気を温調ファン32に送り込むための網目が形成されている。温調ファンカバー34は、カバー部34aが温調ファン32を覆い、プレート部34bが温調ファン32の両側に位置する温調ヒートシンク30のフィン30bの上部を覆った状態で温調ヒートシンク30に固定される。
【0036】
シリコンラバーヒータ36は、温調ヒートシンク30のベース板30aと略同一の大きさの矩形のプレート形状を有し、シリコンラバーヒータ36の幅方向の中心に対して線対称となるように2つの開口部36aが形成されている。シリコンラバーヒータ36は、温調ヒートシンク30のベース板30aのフィン30bが形成されていない他方の面に重ね合わせ密着させて固定される。
【0037】
断熱板38は、シリコンラバーヒータ36と略同一の形状を有している。即ち矩形のプレート形状を有し、シリコンラバーヒータ36の開口部36aと略同一の大きさの2つの開口部38aが断熱板38の幅方向の中心に対して線対称となるように形成されている。断熱板38は、シリコンラバーヒータ36のベース板30aに密着していない面に重ね合わせて固定される。
【0038】
ペルチェスペーサ40は、アルミニウムなどの熱伝導性の高い金属により形成され、矩形のプレート形状を有している。温調ユニット20は、2つのペルチェスペーサを有しており、ペルチェスペーサ40はそれぞれ温調ヒートシンク30にシリコンラバーヒータ36及び断熱板38を重ね合わせた状態において、シリコンラバーヒータ36の開口部36a及び断熱板38の開口部38aにより形成される2つの開口部内において、ベース板30aに密着させて固定される。
【0039】
ペルチェモジュール42は、所定の電圧が印加された際に吸熱する吸熱面42aと放熱する放熱面42bを有している。温調ユニット20は、2つのペルチェモジュール42を有しており、ペルチェモジュール42はそれぞれ吸熱面42aがペルチェスペーサ40の温調ヒートシンク30に固定されていない面に密着するようにペルチェスペーサ40に固定される。
【0040】
図6は第1の実施の形態に係る冷温庫のペルチェモジュールが配置されている位置における前後方向の断面図である。図6に示すように冷温庫2の内部槽12の開口部12aには、内部槽12の内側に温調ユニット20が配置され、内部槽12の外側に放熱ユニット22が配置されている。即ち温調ユニット20は、断熱板38を内部槽12内の背面に密着させ、ペルチェスペーサ40に固定されているペルチェモジュール42が内部槽12の外側に位置するように固定されている。また放熱ユニット22は、放熱ヒートシンク24のベース板24aの他方の面がペルチェモジュール42の放熱面42bに密着するように固定されている。
【0041】
図7は第1の実施の形態に係る冷温庫2のシステム構成を示すブロック図である。冷温庫2は、冷温庫2の全体を統括的に制御する制御部44を備えている。制御部44には、放熱ファン26、温調ファン32、シリコンラバーヒータ36、ペルチェモジュール42、操作ダイヤル8、電力供給部48及び温度センサ49が接続されている。電力供給部48は、冷温庫2の各部に電力を供給する。
【0042】
次に、第1の実施の形態に係る冷温庫2の内部槽12内を冷却する処理について説明する。操作ダイヤル8の操作により冷却の温度設定を行った場合には、制御部44は、内部槽12内を冷却するために、電力供給部48により放熱ファン26、温調ファン32及びペルチェモジュール42に電力を供給する。これにより温調ヒートシンク30がペルチェモジュール42によりペルチェスペーサ40を介して冷却される。また内部槽12内の空気が、温調ファン32により温調ヒートシンク30の中央部に吹付けられ、複数のフィン30b及びフィン30bの上部を覆う温調ファンカバー34のプレート部34bにより形成される空気通路を通過して内部槽12の両側の内壁方向に流れる。この間に空気が冷却され、冷却された空気は両側の内壁に沿って扉6側、即ち冷温庫2の前方向に流れ、更に内部槽12内に収容しているウエットタオルの前面に回り込む。そしてウエットタオルの上部、下部及びウエットタオル間を通過して温調ファン32に到達し、再度温調ファン32により温調ヒートシンク30の中央部に吹き付けられる。従って内部槽12内の両側の内壁に沿って内部槽12内の前面側に流れ、内部槽12内を循環する冷却された空気により、内部槽12内に収容されているウエットタオルが効率的に急速冷却される。
【0043】
また内部槽12内の温度が操作ダイヤル8により設定した温度となるように、温度センサ49により検出した内部槽12内の温度を用いて電力供給部48によるペルチェモジュール42などへの電力供給をフィードバック制御するため消費電力の低減を図ることができる。
【0044】
またペルチェモジュール42の放熱面42bで発生する熱は放熱ヒートシンク24に伝達される。そして放熱ファン26によって冷温庫2の外の空気を放熱ヒートシンク24に吹き付けることにより放熱ヒートシンク24から効率的に放熱される。
【0045】
次に第1の実施の形態に係る冷温庫2の内部槽12内を加熱する処理について説明する。操作ダイヤル8の操作により加熱の温度設定を行った場合には、制御部44は、内部槽12内を加熱するために電力供給部48により温調ファン32及びシリコンラバーヒータ36に電力を供給する。これにより温調ヒートシンク30がシリコンラバーヒータ36により加熱される。また内部槽12内の空気が、温調ファン32により温調ヒートシンク30の中央部に吹付けられ、複数のフィン30b及びフィン30bの上部を覆う温調ファンカバー34のプレート部34bにより形成される空気通路を通過して内部槽12の両側の内壁方向に流れる。この間に空気が加熱され、加熱された空気は両側の内壁に沿って扉6側、即ち冷温庫2の前方向に流れ、更に内部槽12内に収容しているウエットタオルの前面に回り込む。そしてウエットタオルの上部、下部及びウエットタオル間を通過して温調ファン32に到達し、再度温調ファン32により温調ヒートシンク30の中央部に吹き付けられる。従って内部槽12内の両側の内壁に沿って内部槽12内の前面側に流れ、内部槽12内を循環する加熱された空気により、内部槽12内に収容されているウエットタオルが効率的に急速加熱される。
【0046】
また内部槽12内の温度が操作ダイヤル8により設定した温度となるように、温度センサ49により検出した内部槽12内の温度を用いて電力供給部48によるシリコンラバーヒータ36などへの電力供給をフィードバック制御するため消費電力の低減を図ることができる。
【0047】
この第1の実施の形態に係る冷温庫2によれば、冷温庫2の内部槽12内を冷却する場合は、冷却している温調ヒートシンク30に内部槽12内の空気を吹付けることによって、内部槽12内の空気を冷却すると共に冷却した空気を内部槽12内の背面側から前方向に内部槽12の両側の内壁に沿って流して、内部槽12内において冷却した空気を循環させるため、高い効率で内部槽12内を冷却でき、低消費電力で内部槽12内に収容されている全てのウエットタオルの急速冷却を行なうことができる。また、内部槽12内の空気を循環させているため、内部槽12内で結露が生じるのを抑制し、冷却効率の低下を抑制することができる。
【0048】
また、冷温庫2の内部槽12内を加熱する場合は、加熱している温調ヒートシンク30に内部槽12内の空気を吹付けることによって、内部槽12内の空気を加熱すると共に加熱した空気を内部槽12内の背面側から前方向に内部槽12の両側の内壁に沿って流して、内部槽12内において加熱した空気を循環させるため、高い効率で内部槽12内を加熱でき、低消費電力で内部槽12内に収容されている全てのウエットタオルの急速加熱を行なうことができる。
【0049】
また、シリコンラバーヒータ36を温調ヒートシンク30に密着するように重ね合わせて固定しているため、上述した特許文献1記載の冷温庫のように内部槽に備えた電熱ヒータが結露によって錆びて断線し内部槽内を加熱することができなくなることが無い。従って内部槽12内の加熱を安定して行なうことができる。
【0050】
次に第2の実施の形態に係る冷温庫の説明を行う。第2の実施の形態に係る冷温庫は、第1の実施の形態に係る冷温庫2の温調ファンカバー34を遮蔽板60に変更したものである。その他の点については第1の実施の形態に係る冷温庫2の構成と同一であるため、第1の実施の形態に係る冷温庫2の構成と同一の構成には、第1の実施の形態に係る冷温庫2の説明で用いたのと同一の符号を付して第2の実施の形態に係る冷温庫50の説明を行う。
【0051】
図8は第2の実施の形態に係る冷温庫50の扉を開けた状態を示す斜視図であり、図9は第2の実施の形態に係る冷温庫50の扉6を開け内部槽12内の籠13を取り除いた状態を示す正面図である。冷温庫50は、箱状の本体部4と、本体部4の前面に設けられた扉6を備えている。本体部4内には、ウエットタオルなどを収容するための内部槽12が設置され、内部槽12内には、ウエットタオルを置く籠13が設置されている。ここで内部槽12の両側の内部側壁には、上段に設置される籠13を載置するための載置部12bが形成されると共に下段に設置される籠13を載置するための載置部12cが形成されている。本体部4の前面右上部には、冷却または加熱の温度設定を行う操作ダイヤル8が設けられており、本体部4の前面下部には、露受けトレー10が設けられている。
【0052】
図10は第2の実施の形態に係る冷温庫50の図9におけるA−A断面図である。本体部4のリアパネル18には、放熱ユニット22(図3参照)により放熱を行なうための開口部41が形成されている。また内部槽12の背面には、開口部12a(図3参照)が形成されている。温調ユニット20及び放熱ユニット22は、内部槽12の内側と外側から開口部12aに対向するように配置される。即ち、温調ユニット20は、開口部12aに対向するように内部槽12内の背面に沿って配置される。また放熱ユニット22は、開口部12aに対向するように内部槽12の背面外部に配置される。
【0053】
図11は第2の実施の形態に係る冷温庫50の図9におけるB−B断面斜視図である。遮蔽板60は、図12の正面斜視図及び図13の背面斜視図に示すように、プレート形状を有しており中央部に内部槽12内の空気を温調ファン32に送り込むための複数の貫通孔を有する温調ファン対向部62が形成されている。遮蔽板60は、温調ファン対向部62を温調ファン32に対向させた状態で温調ヒートシンク30の前面側に配置され、内部槽12の両側部の上下に空気吹き出し口64を形成した状態で温調ヒートシンク30が配置されている領域を遮蔽する。即ち遮蔽板60には、両側部の上下方向の中央部にU字形状を有する凹部60aが形成されており、凹部60aに載置部12aを位置させて、遮蔽板60の両側部が内部槽12の両側の内部側壁に接した状態で、温調ヒートシンク30の前面側に配置される。この場合に遮蔽板60に設けられている温調ファン対向部62の背面側の上部及び下部は、内部槽12に形成されている開口部12aの上部及び下部の内部槽12の内壁に接している。従って内部槽12の両側部の上下に空気吹き出し口64が形成される。また温調ヒートシンク30の両側部に空気吹き出し口64に連通する空間が形成される。更に遮蔽板60の裏面側の温調ファン対向部62の両側には、温調ヒートシンク30が配置されている領域を上下に仕切る仕切り板60bが設けられている。
【0054】
次に、第2の実施の形態に係る冷温庫50の内部槽12内を冷却する処理について説明する。操作ダイヤル8の操作により冷却の温度設定を行った場合には、制御部44は、内部槽12内を冷却するために、電力供給部48により放熱ファン26、温調ファン32及びペルチェモジュール42に電力を供給する。これにより温調ヒートシンク30がペルチェモジュール42によりペルチェスペーサ40を介して冷却される。
【0055】
また内部槽12内の空気が、温調ファン32により温調ヒートシンク30の中央部に吹付けられ、遮蔽板60により遮蔽された空間内において、温調ヒートシンク30の複数のフィン30bに沿って温調ヒートシンク30の両側の端部方向に流れる。この間に空気が冷却され、冷却された空気は温調ヒートシンク30の両側部に形成されている空間を通過して空気吹き出し口64から内部槽12内に吹き出す。
【0056】
内部槽12の上部に形成されている空気吹き出し口64から吹き出した空気は、内部槽12内の上段に設置された籠13に収容されているウエットタオルの上面及び側面に沿って扉6側、即ち冷温庫50の前方向に流れ、更にウエットタオルの前面に回り込む。そして上段に設置された籠13内に収容されているウエットタオルの下面及びウエットタオルとウエットタオルの間を通過して温調ファン32に到達し、再度温調ファン32により温調ヒートシンク30の中央部に吹き付けられる。
【0057】
また内部槽12の下部に形成されている空気吹き出し口64から吹き出した空気は、内部槽12内の下段に設置された籠13に収容されているウエットタオルの下面及び側面に沿って扉6側、即ち冷温庫50の前方向に流れ、更にウエットタオルの前面に回り込む。そして下段に設置された籠13内に収容されているウエットタオルの上面及びウエットタオルとウエットタオルの間を通過して温調ファン32に到達し、再度温調ファン32により温調ヒートシンク30の中央部に吹き付けられる。従って内部槽12内の上部、下部及び両側の内壁に沿って内部槽12内の前面側に流れ、内部槽12内を循環する冷却された空気により、内部槽12内に収容されているウエットタオルが効率的に急速冷却される。また内部槽12内の前面側から温調ファン32に向かって流れる空気はウエットタオルとウエットタオルの間を通過することから、周囲に他のウエットタオルが存在するウエットタオルも効率的に急速冷却される。
【0058】
また内部槽12内の温度が操作ダイヤル8により設定した温度となるように、温度センサ49により検出した内部槽12内の温度を用いて電力供給部48によるペルチェモジュール42などへの電力供給をフィードバック制御するため消費電力の低減を図ることができる。
【0059】
またペルチェモジュール42の放熱面42bで発生する熱は放熱ヒートシンク24に伝達される。そして放熱ファン26によって冷温庫50の外の空気を放熱ヒートシンク24に吹き付けることにより放熱ヒートシンク24から効率的に放熱される。
【0060】
次に第2の実施の形態に係る冷温庫50の内部槽12内を加熱する処理について説明する。操作ダイヤル8の操作により加熱の温度設定を行った場合には、制御部44は、内部槽12内を加熱するために電力供給部48により温調ファン32及びシリコンラバーヒータ36に電力を供給する。これにより温調ヒートシンク30がシリコンラバーヒータ36により加熱される。また内部槽12内の空気が、温調ファン32により温調ヒートシンク30の中央部に吹付けられ、遮蔽板60により遮蔽された空間内において、温調ヒートシンク30の複数のフィン30bに沿って温調ヒートシンク30の両側の端部方向に流れる。この間に空気が加熱され、加熱された空気は温調ヒートシンク30の両側部に形成されている空間を通過して空気吹き出し口64から内部槽12内に吹き出す。
【0061】
内部槽12の上部に形成されている空気吹き出し口64から吹き出した空気は、内部槽12内の上段に設置された籠13に収容されているウエットタオルの上面及び側面に沿って扉6側、即ち冷温庫50の前方向に流れ、更にウエットタオルの前面に回り込む。そして上段に設置された籠13内に収容されているウエットタオルの下面及びウエットタオルとウエットタオルの間を通過して温調ファン32に到達し、再度温調ファン32により温調ヒートシンク30の中央部に吹き付けられる。
【0062】
また内部槽12の下部に形成されている空気吹き出し口64から吹き出した空気は、内部槽12内の下段に設置された籠13に収容されているウエットタオルの下面及び側面に沿って扉6側、即ち冷温庫50の前方向に流れ、更にウエットタオルの前面に回り込む。そして下段に設置された籠13内に収容されているウエットタオルの上面及びウエットタオルとウエットタオルの間を通過して温調ファン32に到達し、再度温調ファン32により温調ヒートシンク30の中央部に吹き付けられる。
【0063】
従って内部槽12内の上部、下部及び両側の内壁に沿って内部槽12内の前面側に流れ、内部槽12内を循環する加熱された空気により、内部槽12内に収容されているウエットタオルが効率的に急速加熱される。また内部槽12内の前面側から温調ファン32に向かって流れる空気はウエットタオルとウエットタオルの間を通過することから、周囲に他のウエットタオルが存在するウエットタオルも効率的に急速加熱される。
【0064】
また内部槽12内の温度が操作ダイヤル8により設定した温度となるように、温度センサ49により検出した内部槽12内の温度を用いて電力供給部48によるシリコンラバーヒータ36などへの電力供給をフィードバック制御するため消費電力の低減を図ることができる。
【0065】
この第2の実施の形態に係る冷温庫50によれば、冷温庫2の内部槽12内を冷却する場合は、冷却している温調ヒートシンク30に内部槽12内の空気を吹付けることによって、内部槽12内の空気を冷却すると共に冷却した空気を内部槽12内の背面側から前方向に内部槽12内の上面、下面及び両側の内壁に沿って流して、内部槽12内において冷却した空気を循環させるため、高い効率で内部槽12内を冷却でき、低消費電力で内部槽12内に収容されているウエットタオルの急速冷却を行なうことができる。また、内部槽12内の空気を循環させているため、内部槽12内で結露が生じるのを抑制し、冷却効率の低下を抑制することができる。
【0066】
また、冷温庫50の内部槽12内を加熱する場合は、加熱している温調ヒートシンク30に内部槽12内の空気を吹付けることによって、内部槽12内の空気を加熱すると共に加熱した空気を内部槽12内の背面側から前方向に内部槽12内の上面、下面及びの両側の内壁に沿って流して、内部槽12内において加熱した空気を循環させるため、高い効率で内部槽12内を加熱でき、低消費電力で内部槽12内に収容されているウエットタオルの急速加熱を行なうことができる。
【0067】
また、シリコンラバーヒータ36を温調ヒートシンク30に密着するように重ね合わせて固定しているため、上述した特許文献1記載の冷温庫のように内部槽に備えた電熱ヒータが結露によって錆びて断線し内部槽内を加熱することができなくなることが無い。従って内部槽12内の加熱を安定して行なうことができる。
【0068】
更に遮蔽板60の裏面側の温調ファン対向部62の両側には、温調ヒートシンク30が配置されている領域を上下に仕切る仕切り板60bが設けられているため、温調ファン32により温調ヒートシンク30の上半分の領域に吹き付けられた空気は、遮蔽板60により遮蔽された空間内において、温調ヒートシンク30の複数のフィン30bに沿って温調ヒートシンク30の両側の端部方向に流れ、内部槽12の上部に形成されている空気吹き出し口64から内部槽12内へ吹き出す。一方温調ファン32により温調ヒートシンク30の下半分の領域に吹き付けられた空気は、遮蔽板60により遮蔽された空間内において、温調ヒートシンク30の複数のフィン30bに沿って温調ヒートシンク30の両側の端部方向に流れ、内部槽12の下部に形成されている空気吹き出し口64から内部槽12内へ吹き出す。
【0069】
ここで遮蔽板60に仕切り板60bを備えていない場合であって、内部槽12内の上段に設置されている籠13のみにウエットタオルが収容されている場合には、内部槽12の上部に形成されている空気吹き出し口64からの空気吹き出し負荷が下部に形成されている空気吹き出し口64からの空気吹き出し負荷に比較して大きくなることから、内部槽12の上部に形成されている空気吹き出し口64に比較して内部槽12の下部に形成されている空気吹き出し口64から多くの空気が吹き出し、また内部槽12内の下段に設置されている籠13のみにウエットタオルが収容されている場合には、内部槽12の下部に形成されている空気吹き出し口64からの空気吹き出し負荷が上部に形成されている空気吹き出し口64からの空気吹き出し負荷に比較して大きくなることから、内部槽12の下部に形成されている空気吹き出し口64に比較して内部槽12の上部に形成されている空気吹き出し口64から多くの空気が吹き出し、多量の空気がウエットタオルに接することなく再度温調ファン32に到達するためウエットタオルを効率的に冷却または加熱することができない。
【0070】
しかしながら遮蔽板60に仕切り板60bを備えている場合には、温調ファン32により温調ヒートシンク30の上半分の領域に吹き付けられた空気は、遮蔽板60の仕切り板60bよりも上側の空間を温調ヒートシンク30の複数のフィン30bに沿って温調ヒートシンク30の両側の端部方向に流れ、内部槽12の上部に形成されている空気吹き出し口64から内部槽12内へ吹き出す。一方温調ファン32により温調ヒートシンク30の下半分の領域に吹き付けられた空気は、遮蔽板60の仕切り板60bよりも下側の空間を温調ヒートシンク30の複数のフィン30bに沿って温調ヒートシンク30の両側の端部方向に流れ、内部槽12の下部に形成されている空気吹き出し口64から内部槽12内へ吹き出す。従って内部槽12内の上段または下段の籠13のみにウエットタオルが収容されている場合においても効率よくウエットタオルの冷却または加熱を行うことができる。
【0071】
なお、上述した各実施の形態においては、内部槽12内の加熱のためにプレート形状のシリコンラバーヒータ36を用いているが、ヒータ線を有するヒータを用いてもよい。ヒータ線を有するヒータを用いる場合には、ヒータ線が温調ヒートシンク30のフィン30bの間においてフィン30bの基端部、即ちフィン30bの間の溝の底面に密着するようにヒータを配置する。このようにヒータ線を配置した場合においては、温調ファン32により温調ヒートシンク30に吹付けられる空気は、フィン30bを加熱しているヒータ線に沿って両側の内壁方向に流れるため、より高い効率で空気を加熱でき、低消費電力で内部槽12内に収容されているウエットタオルの急速加熱を行なうことができる。
【0072】
また、上述の各実施の形態に係る温調ユニット20は、複数の板状のフィン30bを有する温調ヒートシンク30を備えているが、これに限らず図14に示すように所定の長さを有する板状のフィン100aが、上下方向及び左右方向に所定の間隔で複数配置される温調ヒートシンク100を備えるようにしてもよい。温調ヒートシンク100を備える場合には、温調ファン32によって吹付けられた空気がフィン100aの間の溝に沿って上下方向及び両側の内壁方向に流れる。従って内部槽12内で空気が両側の内壁に沿って内部槽12内に収容されているウエットタオルの前面側に回り込むだけでなく、空気が内部槽12内の上面及び下面に沿って内部槽12内に収容されているウエットタオルの前面側に回り込むため、より高い効率で内部槽12内に収容されているウエットタオルを冷却または加熱できる。従って低消費電力で内部槽12内に収容されているウエットタオルの急速冷却や急速加熱を行なうことができる。
【0073】
また温調ユニット20は、図15に示すように温調ヒートシンク102の中央部から放射状に延びる複数の板状のフィン102aを有する温調ヒートシンク102を備えていてもよい。この温調ヒートシンク102を用いた場合には、温調ファン32によって吹付けられた空気がフィン102aの間の溝に沿って放射状に流れ、内部槽12内で空気が両側の内壁に沿って内部槽12内に収容されているウエットタオルの前面側に回り込むだけでなく、内部槽12内の上面及び下面に沿って内部槽12内に収容されているウエットタオルの前面側に回り込むため、より高い効率で内部槽12内に収容されているウエットタオルを冷却または加熱できる。従って低消費電力で内部槽12内に収容されているウエットタオルの急速冷却や急速加熱を行なうことができる。
【0074】
またピン状のフィンを有する温調ヒートシンクを備えてもよい。この場合にも。温調ファン32によって吹付けられた空気がピン状のフィンの間を通過して、内部槽12の両側の内壁に沿って内部槽12内に収容されているウエットタオルの前面側に回り込むだけでなく、内部槽12内の上面及び下面に沿って内部槽12内に収容されているウエットタオルの前面側に回り込むため、より高い効率で内部槽12内に収容されているウエットタオルを冷却または加熱できる。従って低消費電力で内部槽12内に収容されているウエットタオルの急速冷却や急速加熱を行なうことができる。
【0075】
また、上述の各実施の形態におけるリアパネル18を図16に示すリアパネル70に変更してもよい。図16はリアパネル70の内面側を示す斜視図である。リアパネル70は、放熱ファン26に対向する位置に空気取り込み口70aを有し、空気取り込み口70aの上側のリアパネル70の幅方向に広がる領域に複数の開口70bを有し、リアパネル70と背面部隔壁19との間の空気を複数の開口70bに導く空気ガイド72a,72bを備えている。即ち放熱ヒートシンク24の一側部の下部近傍からリアパネル70の一方の内壁上部方向に延びる第1空気ガイド72aと、放熱ヒートシンクの他側部の下部近傍からリアパネルの他方の内壁上部方向に延びる第2空気ガイド72bを備えている。なおリアパネル70においては第1空気ガイド72a及び第2空気ガイド72bは、リアパネル70に一体的に形成されているが、背面部隔壁19に一体的に形成してもよく、またリアパネル70及び背面部隔壁19とは別体として形成してもよい。
【0076】
空気ガイド72a,72bを備えることにより、放熱ヒートシンク24で温められた空気が放熱ヒートシンク24の周囲に滞留することなく第1空気ガイド72a及び第2空気ガイド72bに沿って複数の開口70bに導かれ開口70bから庫外に排出されるため冷却効果を低減させることなく内部槽12内の冷却を効果的に行うことができる。
【0077】
また、上述の各実施の形態においては、冷温庫2、50によりウエットタオルの冷却または加熱を行なっているが缶入り飲料などの冷却または加熱を行なうようにしてもよい。
【0078】
次に第2の実施の形態に係る冷温庫50と、従来技術に記載したのと同様な構成を有する従来型冷温庫を用いて棒状に折り畳んだウエットタオルの冷却及び加熱の試験を行った結果を示す。この試験においては、内部槽12の上段に載置される籠13にウエットタオルを10個ずつ3段、合計30個収容し、内部槽12の下段に載置される籠13にウエットタオルを10個ずつ3段、合計30個収容して、上段の籠13に収容した3段のウエットタオルの中の2段目のウエットタオルの温度及び下段の籠13に収容した3段のウエットタオルの中の2段目のウエットタオルの温度が加熱の場合は、ウエットタオルを冷温庫に収容してから50度及び60度に達するまでの時間、冷却の場合は、ウエットタオルを冷温庫に収容してから15度及び10度に達するまでの時間を計測した。
【0079】
表1に冷温庫50によりウエットタオルの加熱を行った際に、ウエットタオルを冷温庫50に収容してからウエットタオルの温度が50度及び60度に達するまでの時間を上段の籠(上段)、下段の籠(下段)についてそれぞれ示す。また表2に従来型冷温庫によりウエットタオルの加熱を行った際に、ウエットタオルを冷温庫に収容してからウエットタオルの温度が50度及び60度に達するまでの時間を上段の籠(上段)、下段の籠(下段)についてそれぞれ示す。表1及び表2に示すように、従来型冷温庫に比較して冷温庫50によりウエットタオルの加熱を行う方が急速にウエットタオルの加熱を行うことができた。また冷温庫50によりウエットタオルの加熱を行う場合には、3段に重ねたウエットタオルの中の2段目のウエットタオルについても急速に加熱を行うことができた。
【表1】

【表2】
【0080】
表3に冷温庫50によりウエットタオルの冷却を行った際に、ウエットタオルを冷温庫50に収容してからウエットタオルの温度が15度及び10度に達するまでの時間を上段の籠(上段)、下段の籠(下段)についてそれぞれ示す。また表4に従来型冷温庫によりウエットタオルの冷却を行った際に、ウエットタオルを冷温庫に収容してからウエットタオルの温度が15度及び10度に達するまでの時間を上段の籠(上段)、下段の籠(下段)についてそれぞれ示す。表3及び表4に示すように、従来型冷温庫に比較して冷温庫50によりウエットタオルの冷却を行う方が急速にウエットタオルの冷却を行うことができた。また冷温庫50によりウエットタオルの冷却を行う場合には、3段に重ねたウエットタオルの中の2段目のウエットタオルについても急速に冷却を行うことができた。
【表3】

【表4】
【符号の説明】
【0081】
2…冷温庫、4…本体部、6…扉、8…操作ダイヤル、12…内部槽、18…リアパネル、20…温調ユニット、22…放熱ユニット、24…放熱ヒートシンク、24b…フィン、26…放熱ファン、30…温調ヒートシンク、30b…フィン、32…温調ファン、34…温調ファンカバー、36…シリコンラバーヒータ、38…断熱板、40…ペルチェスペーサ、42…ペルチェモジュール、48…電力供給部、49…温度センサ、60…遮蔽板、60b…仕切り板、70…リアパネル、72a,72b…空気ガイド
【要約】
前面に扉を有する本体部と、前記本体部内に配置される内部槽と、ベース板及び該ベース板の一方の面に形成された複数のフィンを有し、前記ベース板の他方の面が前記内部槽内の背面に沿って配置される温調ヒートシンクと、前記温調ヒートシンクを加熱するヒータと、前記温調ヒートシンクの前記一方の面側に配置され、前記温調ヒートシンクの前記フィンに前記内部槽内の空気を吹付ける温調ファンと、複数の貫通孔を有し前記温調ファンに対向する温調ファン対向部を有し、前記温調ヒートシンクの前記一方の面側に配置され、前記内部槽の両側部の上下に空気吹き出し口を形成した状態で前記温調ヒートシンクが配置されている領域を遮蔽する遮蔽板と、前記内部槽の背面外部に配置される放熱ヒートシンクと、前記放熱ヒートシンクに前記内部槽外の空気を吹付ける放熱ファンと、前記温調ヒートシンクに吸熱面を接続させ、前記放熱ヒートシンクに放熱面を接続させるペルチェモジュールと、前記内部槽内を加熱する場合に、前記ヒータ及び前記温調ファンに電力を供給し、前記内部槽内を冷却する場合に、前記温調ファン、前記放熱ファン及び前記ペルチェモジュールに電力を供給する電力制御部とを備える。
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