【実施例1】
【0014】
図1〜3において、A1,A2は揮発性液体を収容可能なボトル、Bは揮発性液体を大気中に揮散させる揮散機構、Cは把持カバーである。
図1、2に示すように、2つのボトルA1,A2は揮散機構Bおよび把持カバーCによって対向して連結されている。
【0015】
ボトルA1,A2は、それぞれ外部と連通して揮発性液体を流通させる口部1と、外周面を形成する外周壁2と、底面を形成する底壁3と、口部1から外周壁2へと連続させる湾曲頸部4とからなる。
湾曲頸部4は、ボトルA1,A2が上方位置にあるとき、液体を遅滞なく口部1に流下させるとともに、外周壁2と連結する側で把持カバーCの端部内周面に弾性的に嵌合するように湾曲し、把持カバーCの端部端面が対向する部位には、把持カバーCの外周面と外周壁2とがほぼ一致した外周面を形成するように、把持カバーCの肉厚に対応する連結拡径部5が設けられている。
また、底壁3の周縁部には、液体揮散容器を安定して載置させるための載置突条環6が設けられている。
なお、ボトルA1,A2は、内部の揮発性液体の残量が外部から見えるように、透明または半透明の素材から形成されていることが望ましい。
【0016】
図2,3に示すように、揮散機構Bは、ボトルA1,A2のそれぞれの口部1にねじで嵌合する2つのキャップ9a,9bと、2つのキャップ9a,9bに連結してボトルA1,A2間の液体流路を形成する連通管10と、連通管10の外周面を覆うように設けられた揮発性液体を含浸可能な含浸体11とからなる。
【0017】
キャップ9a,9bは、それぞれボトルA1,A2の口部1のおねじに螺合するめねじを有する嵌合筒13と、嵌合筒13に連設し口部1の天面に当接するとともに連通管10に嵌合する内筒14を立設した天板15と、連通管10および含浸体11の周囲に間隙17を有して天板15に立設した外筒16とを具えている。
本実施例では、ボトルA1,A2の口部1と嵌合筒13とはねじ結合によって嵌合しているが、これに限定されず、通常の締まりばめによる嵌合やアンダーカットなど適宜な嵌合形態が採用可能である。
なお、連結管10をボトルA1,A2の口部1に直接連結し、キャップ9a,9bを省略した揮散機構Bとすることも可能である。
【0018】
連通管10は、両端がキャップ9a,9bのそれぞれの内筒14に嵌合され、中央付近には揮発性液体の流量を規制する絞り孔18を具えたオリフィス板19が設けられている。
連通管10の両端部とオリフィス板19との間の管壁には、オリフィス板19から両端に向かって軸方向に延び、管内外を貫通するスリット20が設けられている。
【0019】
スリット20は、含浸体11を介して外気と空気置換するとともに、揮発性液体を流通させて含浸体11に液体を含浸させるものであるから、液体が流出しすぎないように周方向幅は小さなものでよい。
同様の趣旨で、スリット20は、オリフィス板19の上下に周方向各1個所設ければよいが、必要に応じて上下に周方向各複数個所に設けてもよい。
なお、本実施例のスリット20は、オリフィス板19を境に上下方向に分かれて設けられているが、オリフィス板19の周縁に溝を設けて上下に連続した1つのスリットとすることも可能であり、その場合は、揮発性液体が絞り孔18とスリット20との両方の流路を通って流下するので、絞り孔18とスリット20を合わせた流路面積が、流下する液体の流量を規制することができるように設定されなくてはならない。
また、スリット20は、必ずしもスリットである必要はなく、内外を貫通する複数の孔であってもよい。
【0020】
連通管10の外周面を覆う含浸体11は、連結気孔を有する多孔質体やスポンジ、不織布などからなり、連通管10の外周面を覆う筒状に形成されている。
揮散機構Bを外部から覆い、容器の天地を反転させる際に手指で把持する把持カバーCには、液体を含浸体11から大気中へ揮散させるための揮散孔22が設けられている。
本実施例では、揮散孔22は窓状の4つの大きな孔からなっているが、揮散孔22の数はこれに限らず適宜決定することができ、1つの大きな窓状孔でもよく、逆に、多数のより小さな孔からなるものでもよい。
また、このような把持カバーCは必ずしも必要ではなく、キャップ9a,9bに把持部を一体に成形してもよいし、ボトルA1,A2のいずれかに把持部を設けて、把持カバーとしてもよい。
【0021】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
一方のボトルA1の底面が載置された
図1、2に示される状態では、揮発性液体は下方のボトルA1に収容されている。
揮発性液体を揮散させるときは、手指で把持カバーCを把持して容器の天地を反転させ、ボトルA2側を下方にして載置する。
上方に反転移動したボトルA1内の液体は、口部1からキャップ9aの内筒14を通って連通管10内の流路に流入する。
【0022】
連通管10の流路の中央付近には、絞り孔18を形成したオリフィス板19が設けられているから、流路内に流入した液体はすぐにはボトルA2へ流下せず、絞り孔18により流量を規制されてオリフィス板19の上方に滞留する。
連通管10の管壁には、オリフィス板19から両端に向けて軸方向に延びるスリット20が設けらているから、オリフィス板19の上方に滞留した揮発性液体は、スリット20から流出して含浸体11に浸出していく。
【0023】
この際、スリット20および絞り孔18を通って気液が置換され、ボトルA1内が負圧になるようなことはない。
また、スリット20は、急激に液体が流出しないように適宜の周方向幅および周方向の配置数が設定されているが、それでも含浸体11に含浸される量を超えて流出してしまった場合には、過分に流出した液体はキャップ9bの隙間17に滞留し、周囲を汚すようなことはない。
隙間17に滞留した液体は、含浸体11へ引き続き供給され揮散されるから、無駄になることもない。
【0024】
スリット20から浸出した液体は、連通管10の外周を覆う含浸体11に含浸され、その表面から大気中に揮散されていく。
同時に、ボトルA1内の液体は、絞り孔18から少しずつボトルA2へ流下していき、やがて全ての液体がボトルA2に移行し終わると、スリット20を介した含浸体11への液体の供給が終了し、その後は含浸体11に含浸された液体が一定時間たってなくなるまで揮散し続ける。
【0025】
絞り孔18は非常に小さい孔なので、液体は絞り孔18からはほとんど揮散せず、含浸体11に含浸された液体がなくなると、液体の揮散は中断される。
その後は、消費者が使用を再開したくなったときに再度容器の天地を反転させれば、液体の揮散を再開して一定時間液体を揮散させることができるので、使用者が操作する度に液体の揮散効果を感じる「使用感」と「遊び心」が得られる。
また、ボトルA1,A2は透明、または半透明の素材からなっているから、揮発性液体の残量を外部から目視することができるとともに、容器を反転操作する際に、容器の重さによって容器内の液体の残量を感じることができる。
さらに、容器の天地を反転すると液体の入っているボトルも上方へ移動して天地を反転するから、揮発性液体を最後まで完全に使い切ることができる。
【0026】
なお、絞り孔18は非常に小さいので、容器内の揮発性液体はほとんど揮散しないが、長い間使用しないときは、液体が収容されたボトルA(A1又はA2)をキャップ9(9aまたは9b)から外し、ボトルAに図示しない蓋栓をして密閉保存し、使用を再開するときに蓋栓を外してボトルAをキャップ9に嵌合し容器に組み付ければよい。
【0027】
同様に、本実施例の液体揮散容器を初めて使用するときには、液体が収容された一方のボトルAの蓋栓を外し、他方のボトルAと揮散機構B、把持カバーCが組み付けられた容器組立体を上方から嵌合して取り付けるようにすればよい。
その際、ボトルAの口部1はキャップ9の内筒14に密に嵌合して取付固定されるが、ボトルAの湾曲頸部4は、把持カバーCの端部内周面に弾性的に嵌合するから取付誤差を吸収することができるとともに、把持カバーCの肉厚に対応する連結拡径部5を有しているから、把持カバーCの外周面と外周壁2とがほぼ一致した外周面を形成して外観を優れたものにすることができる。