特許第6143364号(P6143364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143364
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】スライドレールのストッパー機構
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/57 20170101AFI20170529BHJP
【FI】
   A47B88/16 D
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-30893(P2014-30893)
(22)【出願日】2014年2月20日
(65)【公開番号】特開2015-154841(P2015-154841A)
(43)【公開日】2015年8月27日
【審査請求日】2016年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】三宅 俊正
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−149458(JP,A)
【文献】 実公昭46−006627(JP,Y1)
【文献】 実開昭64−001525(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00−88/994
G07G 1/00− 5/00
E05D 15/00−15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体から本体内部の格納ユニットを引き出すように前記本体と前記格納ユニットに取付けられるスライドレールを保護するスライドレールのストッパー機構において、
前記ストッパー機構は、
前記格納ユニットの引き出し方向に沿って所定量だけ移動自在となるように前記格納ユニットに取り付けられ、前記格納ユニットが前記本体内部に格納された状態では前記格納ユニットに対して相対的に近づく第1位置に移動し、前記格納ユニットが前記本体から引き出される状態では、前記格納ユニットに対して相対的に離れる第2位置に移動する補助スライダと、
前記本体に設けられ、前記補助スライダの引き出し方向への移動を停止させる停止部とを有し、
前記ストッパー機構は、前記スライドレールによって引き出される最長の位置より前記本体に近い位置で、前記第2位置に移動した前記補助スライダを前記停止部で停止させて、前記格納ユニットの引き出しを停止させ、
前記格納ユニットが前記本体に収納状態にある場合には、前記補助スライダの後端が、前記格納ユニットの後端と一致するような位置にある
ことを特徴とするスライドレールのストッパー機構。
【請求項2】
前記ストッパー機構は、前記格納ユニットの前記引き出し方向において前記本体に近い側の端部が前記本体の前面から引き出された状態で、前記格納ユニットの引き出しを停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載のスライドレールのストッパー機構。
【請求項3】
前記格納ユニットと共に前記補助スライダが前記引き出し方向に移動して前記補助スライダが前記停止部によって停止された後に、さらに引き出し方向に移動する前記格納ユニットを、前記第2位置で停止させる第2停止部を設ける
ことを特徴とする請求項1に記載のスライドレールのストッパー機構。
【請求項4】
前記補助スライダは、前記スライドレールの中で前記格納ユニットに取付けられたスライドレールの近傍に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のスライドレールのストッパー機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き出し時の衝撃からスライドレールを保護するスライドレールのストッパー機構に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の機器では、保守や修理の利便性を高めるために、各種機能ごとに内部の部品がユニット化される。さらに、本体の内部にスライドレールが設けられ、スライドレールに格納されるユニットが取付けられて、格納されるユニットの機器本体に対する出し入れが簡単にできるよう構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−192180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スライドレールには、引き出されたレールが抜けないようにストッパーが設けられる。ストッパーは一定の負荷には耐えられるよう設計されているが、作業者が大きな重量のユニットを勢いよく引き出したような場合には、ストッパー部分に衝撃力が加わり、ストッパーが破壊して、本体からユニットが飛び出して落下してしまう恐れもある。
【0005】
本願発明は、上記課題に鑑み、引き出し時の衝撃からスライドレールを保護するスライドレールのストッパー機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本体から本体内部の格納ユニットを引き出すように前記本体と前記格納ユニットに取付けられるスライドレールを保護するスライドレールのストッパー機構において、前記ストッパー機構は、前記格納ユニットの引き出し方向に沿って所定量だけ移動自在となるように前記格納ユニットに取り付けられ、前記格納ユニットが前記本体内部に格納された状態では前記格納ユニットに対して相対的に近づく第1位置に移動し、前記格納ユニットが前記本体から引き出される状態では、前記格納ユニットに対して相対的に離れる第2位置に移動する補助スライダと、前記本体に設けられ、前記補助スライダの引き出し方向への移動を停止させる停止部とを有し、前記ストッパー機構は、前記スライドレールによって引き出される最長の位置より前記本体に近い位置で、前記第2位置に移動した前記補助スライダを前記停止部で停止させて、前記格納ユニットの引き出しを停止させ、前記格納ユニットが前記本体に収納状態にある場合には、前記補助スライダの後端が、前記格納ユニットの後端と一致するような位置にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、引き出し時の衝撃からスライドレールを保護するスライドレールのストッパー機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るストッパー機構が搭載された金銭登録機の例を示す図である。
図2】扉を開けた状態の金銭登録機を示す図である。
図3】金銭登録機から格納ユニットが引き出される状態を示す図である。
図4】スライドレールのストッパー機構の動作原理を説明する図である。
図5】本実施形態に対する比較例1である。
図6】本実施形態に対する比較例2である。
図7】金銭登録機の右側面図である。
図8】金銭登録機を前方斜め右方向から見た斜視図である。
図9】金銭登録機を後側から前側に向かって斜め下方向から見上げた斜視図である。
図10】ストッパー機構の拡大図1である。
図11】ストッパー機構の拡大図2である。
図12】ストッパー機構の拡大図3である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に従って本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係るスライドレールのストッパー機構が金銭登録機1に搭載された例を示す図である。図1で示す金銭登録機1は、スーパーマーケット等で購入者が自ら商品登録及び精算を行うための装置、いわゆるセルフレジ用の装置である。
【0010】
図1は、金銭登録機1の外観図で、向かって左側が正面側である。金銭登録機1の本体10は、縦型で、下部が正面側に突出した形状の筐体である。本体10の正面の右側には、上から順に、金銭投入部12、カードリーダ装着部13、レシート及びコイン排出部14、紙幣排出部15及びクーポン投入部16が設けられる。
【0011】
また、本体10の正面の左側には、操作入力及び表示のためのタッチパネル17、品物の重量を測るスケール18が設けられる。本体10の正面の下部には、保守あるいは点検等のため内部を開放する扉19が設けられる。また、図1には、図2以降の図面との図示方向を規定する座標軸を示す。X方向を幅方向とも呼び、左右の方向は図示の通りとする。Y方向を前後方向あるいは奥行き方向とも呼び、前側・後側は図示の通りとする。
【0012】
図2は、扉19を開けた状態の金銭登録機1を示す図である。開放された扉19の図示は省略している。本体10の扉19の内部には、金銭登録機1を構成する装置がユニット化されて格納される。内部に格納されユニット化された装置を、以下で格納ユニットと呼ぶ。内部は、中央に垂直に設けられた中板10cによって、左右2つの収納空間に仕切られる。右側面には、右側面板10aが設けられる。
【0013】
図3は、本体10下部の右側の収納空間から、格納ユニット20が引き出された状態を示す図である。格納ユニット20は、例えば紙幣を収納する紙幣カセットである。本体10の右の収納空間には、本体10からの格納ユニット20の取出しや収納を容易にするためのスライドレール30が3本設けられる。
【0014】
格納ユニット20の左側にスライドレール30Laとスライドレール30Lbの2本が上下に設けられる。スライドレール30Lbは格納ユニット20に隠れて図示されない。格納ユニット20の右側にスライドレール30Rが設けられる。
【0015】
格納ユニット20は、3本のスライドレール30によって、本体10に対して前後方向に移動自在に支持される。左側のスライドレール30Laとスライドレール30Lbは、本体10の中板10cに取付けられ、右側のスライドレール30Rは、右側面板10aの内壁に取付けられる。
【0016】
図4は、スライドレールのストッパー機構の動作原理を説明する図である。ストッパー機構の動作原理を説明するために、各部材は模式化して示す。また、スライドレール30も1本のみで示す。図4Aは、図1図3で示したような、格納ユニット20が本体10内部に収納された状態(以下、これを収納状態とも呼ぶ)である。
【0017】
本体10には、本体10から格納ユニット20を引き出すために、破線で示すスライドレール30が設けられる。ここでは、3段式のスライドレールを例にする。スライドレール30は、第1レール、第2レール、第3レールの3段式のレールになっている。収納状態では、第1レール内に第2レールと第3レールが収まっている。格納ユニット20はスライドレール30によって、本体10に対して進退自在に支持される。
【0018】
格納ユニット20の側面の後部に、補助スライダ50が設けられる。補助スライダ50にはガイド溝50bが形成され、補助スライダ50はガイド溝50bを介して格納ユニット20に取付けられる。補助スライダ50は、格納ユニット20に対して前後方向にガイド溝50b長さ相当分だけ相対移動可能となる。
【0019】
格納ユニット20が収納状態にある場合には、補助スライダ50の後端50eが、格納ユニット20の後端20aと略一致するような位置にある。この状態が、補助スライダ50は格納ユニット20に最も近づいた状態である。補助スライダ50が格納ユニット20に対して近づいた位置を第1位置と呼ぶ。補助スライダ50の後端が、格納ユニット20の後端より後側へ飛び出ないように設定されれば、本体10の奥行き寸法の増加させない点で、望ましい。
【0020】
本体10の前面10eの近傍には、補助スライダ50の引き出し方向への移動を停止させる停止部60が設けられる。また、補助スライダ50には、停止部60に当接する第1当接部50cが設けられる。補助スライダ50と停止部60が、スライドレールのストッパー機構に含まれる。
【0021】
図4Bは、格納ユニット20が本体10から引き出されて、補助スライダ50の第1当接部50cが停止部60に当接して、補助スライダ50が停止した状態である。作業者によって前側に引き出された格納ユニット20は、スライドレール30により本体10の内部から、水平方向に前側に移動する。最も幅が広い第1レール31は、本体10の内部の側面(例えば中板10c)に固定して取付けられる。最も幅が狭い第3レール33は、格納ユニット20の側面に固定して取付けられる。第2レール32は、第1レール31及び第3レール33の双方に移動可能である。
【0022】
そして、補助スライダ50は格納ユニット20に対して最も近づいた位置、つまり第1位置のままで、収納状態から格納ユニット20と一体的に、補助スライダ50の第1当接部50cが停止部60に当接するまで移動する。
【0023】
図4Cは、格納ユニット20が最大引き出し位置Mまで移動された状態(引き出し状態とも呼ぶ)を示す図である。補助スライダ50は停止部60により停止されるため、図4Bの位置よりさらに前側へ移動することはできない。しかし、格納ユニット20は、補助スライダ50に対して、補助スライダ50のガイド溝50b長さ相当分だけ前側への移動可能である。作業者の引き出し操作によって、格納ユニット20はガイド溝50b長さ相当分だけさらに前側に移動する。これにより、格納ユニット20に対して補助スライダ50が相対的に離れる位置に変化することになる。格納ユニット20に対して補助スライダ50が離れた位置を第2位置と呼ぶ。
【0024】
補助スライダ50が第2位置になった状態で、格納ユニット20が停止し、この位置が引き出し限度である。引き出し限度まで移動した格納ユニット20の先端位置を、最大引き出し位置Mと呼ぶ。
【0025】
そして、格納ユニット20の後端20aが、本体10の前面10eより前まで引き出される。図4のストッパー機構によれば、格納ユニット20全体を本体10の前面10eより前へ引き出すこと(いわゆるオーバートラベル)が可能である。
【0026】
そして、スライドレール30にはレールが抜け出ないようレールストッパーが設けられているが、最大引き出し位置Mは、スライドレール30のレールストッパーより手前の位置に設定される。つまり、補助スライダ50と停止部60によるストッパー機構によって、スライドレールのレールストッパーにより規制される前に、格納ユニット20が停止する。
【0027】
補助スライダ50を設けない場合には、スライドレール30のレールストッパーが格納ユニット20による負荷を受けることになり、重量の大きな格納ユニット20で、かつ加速度が加わった場合には、レールストッパーを破壊するおそれもある。
【0028】
図5図6は、本実施形態に対する比較例で、いずれも図4の補助スライダ50と異なり、ストッパーが格納ユニット20に対して移動しない例である。図5は比較例1で、ストッパーが格納ユニット20の後端から後ろに飛び出さないように取付けられた場合である。図5Aは、格納ユニット20が本体10内部に収納された状態である。図5Bは、格納ユニット20が引き出された状態である。
【0029】
図4の場合と同様に、格納ユニット20は本体10内部にスライドレール30によって移動自在に支持される。スライドレール30のレールストッパーによる停止位置に達する前に格納ユニット20を停止させるために、補助ストッパー150と停止部160が設けられる。
【0030】
補助ストッパー150が格納ユニット20の後端に設けられ、停止部160が本体10の前面10eの近傍に設けられる。本体10の後側方向にムダなスペースを設けない場合には、補助ストッパー150は、補助ストッパー150の後端が格納ユニット20の後端位置に略一致した位置に取付けられることになる。そのため、最大引き出し位置でも、格納ユニット20の後端が本体10の前面10eより内側の位置になってしまう。つまり、図5のような構成では、格納ユニット20全体を本体10の外に引き出す、いわゆるオーバートラベルに対応することはできない。
オーバートラベルを可能にするためには、図6に示すように、本体10の後側に、補助ストッパー150の収納スペースLを増加した構造にする必要がある。補助ストッパー150を格納ユニット20の後端からさらに後側に突出するように取り付ければ、図6Bに示すように、最大引き出し位置で、格納ユニット20を、オーバートラベルの位置まで、引き出すことができる。しかし、これにより本体10の後側に無駄なスペースが生じてしまうという問題が出る。
【0031】
以上のように、図4で示した本実施形態によるストッパー機構によれば、スライドレール30を保護すると同時に、本体10の後側の寸法を大きくすることなく、格納ユニット20をオーバートラベルの位置まで引き出すことができる。
【0032】
まず、図7図9を用いて、本体10内部から格納ユニット20が引き出される様子を全体図で示す。図7は、金銭登録機1の右側面図である。図8は、金銭登録機1を前方斜め右上方向から見た斜視図である。図9は、金銭登録機1を後側から前側に向かって斜め下方向から見上げた斜視図である。また、図7図9は、本体10内部の右側に収納される格納ユニット20の移動を示すために、いずれも、本体10の右側面板10aを除いた状態で示す。
【0033】
図7A図8Aは、いずれも格納ユニット20が収納された状態を示す図である。図7B図8B及び図9は、いずれも格納ユニット20が引き出された状態を示す図である。また、図7,8では格納ユニット20の外形を簡単に破線で示すが、図9では格納ユニット20の外形を省略する。また、前述のように格納ユニット20は、左2本・右1本の計3本のスライドレール30で支持されるが、右側のスライドレール30の記載は省略する。
【0034】
格納ユニット20は、取付板40を介してスライドレール30に固定される(図7A)。取付板40は、格納ユニット20をスライドレール30に取付けるための中継板である。格納ユニット20にスライドレール30を直接取り付けるのは、スペースや強度等の点から、難しい場合が多いからである。なお、図3にも示したように取付板40は格納ユニット20の左右に取付けられるが、図7図9では、ストッパー機構を分かりやすく説明するために、格納ユニット20の左側の取付板40のみ図示し、右側の取付板40の図示は省略する。
【0035】
取付板40は、奥行き方向に長い略長方形の板状の部材である。取付板40は、ベース面40cの上側と下側に前後方向に沿って、レール取付け面40a及びレール取付け面40bを有する。レール取付け面40aとレール取付け面40bは、ベース面40cから中板10c側に階段状に1段突き出た面である。
【0036】
レール取付け面40aの裏面側にスライドレール30Laが収納された状態で配置され、レール取付け面40bの裏面側にスライドレール30Lbが収納された状態で配置される (図7A及び図8A参照)。
【0037】
そして、図7Bに示すように、スライドレール30Laの第3レール33Laがレール取付け面40aに取付けられ、スライドレール30Laの第1レール31Laが中板10cの上部に取付けられる。同様に、スライドレール30Lbの第3レール33Lbがレール取付け面40bに取付けられ、スライドレール30Lbの第1レール31Lbが中板10cに取付けられる。スライドレール30Laの第2レール32Laは、第1レール31Laと第3レール33Laの間に配置され、一端が第1レール31Laと移動可能に連結され、他端が第3レール33Laと移動可能に連結されている。スライドレール30Lbの第2レール32Lbは、第1レール31Lbと第3レール33Lbの間に配置され、一端が第1レール31Lbと移動可能に連結され、他端が第3レール33Lbと移動可能に連結されている。
【0038】
また、本体10と格納ユニット20を電気的に接続するケーブルカバー70は、一端が取付板40のベース面40cの裏面を通過して、格納ユニット20に接続される。ケーブルカバー70は、本体10と格納ユニット20を接続するケーブルを内部に保護し、格納ユニット20の引き出し位置に応じて屈曲自在に変形する。
【0039】
また、補助スライダ50は、取付板40のレール取付け面40aの後端側に取り付けられる。補助スライダ50は、取付板40に対して、前後方向(引き出し方向)に所定量だけ移動可能である。停止部60は、中板10cの前側に取付けられる。また、停止部60は、図7Aでは破線で示すように、収納状態では、取付板40のベース面40cの裏に隠れている。
また、図4でも説明したように、収納状態では、補助スライダ50は、格納ユニット20に近づいた第1位置に移動する(図7A及び図8A参照)。また、引き出し状態では、補助スライダ50は、格納ユニット20から離れた第2位置に移動する(図7B図8B及び図9参照)。
【0040】
図10図12は、ストッパー機構の拡大図1〜3である。図10図12を用いて、ストッパー機構の詳細を説明する。図10は、引き出し状態のストッパー機構を示す図で、図9のストッパー機構部分の拡大図である。図11A図11Bは、収納状態のストッパー機構を示す図で、図7A図8Aのストッパー機構部分の拡大図である。図12A図12Bは、引き出し状態のストッパー機構を示す図で、図7B図8Bのストッパー機構部分の拡大図である。図10においてストッパー機構は特に明確に示されるので、図10を主に参照しながら説明する。
【0041】
まず、補助スライダ50の形状から説明する。補助スライダ50は、前後方向に長い板状の部材で、例えば金属製である。補助スライダ50の前後方向に長いベース部50aのほぼ中央に、ガイド溝50bが形成される。ガイド溝50bは、前後方向に沿った細長い一定幅の開口で、両端は半円状に形成される。
【0042】
ベース部50aの後端に、第1当接部50cが設けられる。第1当接部50cは、中板10c側に向かってベース部50aから垂直に突出するよう設けられる。
【0043】
第1当接部50cは、引き出し状態で、後述する停止部60の停止片60aに当接して、補助スライダ50の移動を規制するものである。第1当接部50cが停止片60aに当接して、取付板40を含む格納ユニット20は、引き出し方向への移動を停止する。
【0044】
また、ベース部50aの前側に、それぞれ上下に突出するように、第2当接部50dが2つ設けられる。対応して、取付板40には、補助スライダ50のベース部50aを上下で挟み込むように、2本の第2停止部42が設けられる。第2停止部42は、取付板40のレール取付け面40aから補助スライダ50側に垂直に突出するよう設けられる。引き出し方向に移動する取付板40の第2停止部42が第2当接部50dに当接して、補助スライダ50に対する取付板40の移動を規制する。
【0045】
つまり、補助スライダ50の第1当接部50cが停止片60aに当接し、かつ、取付板40の第2停止部42が補助スライダ50の第2当接部50dに当接した位置で、格納ユニット20の引き出し方向への移動が停止される。この位置が、格納ユニット20の最大引き出し位置に相当する。
【0046】
カバー52は、補助スライダ50を取付板40に取付けるためのものである。補助スライダ50は、カバー52が装着された後、ネジ54によって取付板40に取付けられる。図10Bは、カバー52が外された状態を示す図である。取付板40には、ガイド溝50bに対応する位置に、所定間隔離れて2本のガイド軸43が設けられる。2本のガイド軸43の端面には軸方向に沿ってネジ孔が形成される。2本のガイド軸43の外周には、さらにガイド溝50bと摺動する円筒部材(不図示)が組み付けられる。円筒部材が組み付けられた後に、カバー52が装着され、ガイド軸43のネジ孔にネジ54が締結されて、補助スライダ50が取付板40に取付けられる。
【0047】
停止部60は、本体10の中板10cの前側の先端部分に2本のネジ62によって取付けられる。停止部60の先端がL字状に屈曲され、停止片60aが設けられる。停止部60は、例えば金属部材である。停止片60aは、補助スライダ50の第1当接部50cの移動経路に配置される。前述のように、停止片60aは、引き出された補助スライダ50の第1当接部50cと当接して、引き出された格納ユニット20を停止させる。
【0048】
また、図12に示すように、第2位置で、前側(図12では左側)のガイド軸43とガイド溝50bの端部に隙間が空くようにして、ガイド軸43に引き出し時の衝撃が加わらないようにしている。ただし、取付板40の補助スライダ50に対する位置規制を、ガイド軸43とガイド溝50bで行うようにしてもよい。つまり、ガイド軸43をガイド溝50b端に当てて停止させるようにしてもよい。この場合には、ガイド軸43が第2停止部に相当する。ただし、その場合には、ガイド軸43の強度を、引き出し時の衝撃に耐えるような強度にする必要がある。本実施形態のように、ガイド軸とは別の第2停止部42を設ける方が、ガイド軸43に対し大きな制約が生じない。
【0049】
格納ユニット20を引き出し状態から収納状態へ移動する様子を説明する。補助スライダ50は、引き出し状態(図10図12)から収納状態(図11)へ移動する場合に、補助スライダ50は取付板40に対して第2位置を維持した状態で、格納ユニット20が後方向に移動する。補助スライダ50は取付板40の後端から更に後ろへ突出しているので、格納ユニット20が収納状態近くまで移動すると、補助スライダ50の後端50eが、例えば本体10の背面フレーム10dに当接して、補助スライダ50だけが停止する。その後、格納ユニット20だけが後側に移動するので、取付板40が補助スライダ50に近づいていく。そして、格納ユニット20が停止した収納状態では、補助スライダ50が取付板40に対して第1位置の状態(図11参照)になる。
【0050】
なお、格納ユニット20の後側への移動停止は、図11Bに示すように、取付板40の後側端部40eを本体10の背面フレーム10dに当接させて行えばよい。あるいは、スライドレール30のストッパーを利用してもよい。
【0051】
次に、格納ユニット20が収納状態から引き出し状態へ移動される様子を説明する。図11の収納状態から格納ユニット20が引き出されると、補助スライダ50は取付板40に対して第1位置の状態のままで、補助スライダ50の第1当接部50cが停止部60の 停止片60aに当接する位置まで、格納ユニット20は移動する。この位置は、格納ユニット20が最大引き出し位置まで移動する手前の位置である。
【0052】
そして、格納ユニット20がさらに引き出し方向に移動すると、停止した補助スライダ50に対して、取付板40がガイド溝50bによって、さらに引き出し方向に移動する。取付板40の第2停止部42が第2当接部50dに当接する第2位置になると、格納ユニット20は移動を停止する。この位置が、最大引き出し位置である。
【0053】
従って、作業者が本体10から格納ユニット20を勢いよく引き出しても、格納ユニット20は、スライドレール30のストッパー停止位置の前で停止するので、スライドレール30のストッパーに衝撃負荷が加わるおそれがない。
【0054】
以上の実施形態により少なくとも奏せられる効果を以下に列記する。
・ストッパー機構を格納ユニットに対してスライド移動可能に設けたので、オーバートラベルのスライドレールで使用する場合でも、収納状態でストッパー機構を格納ユニットから突出させる必要がない。つまり、オーバートラベルを実現しても、本体の奥行き寸法をストッパー機構分だけ増加させる必要がない。
・ストッパー機構の停止部材の位置を調整することで、格納ユニットの引き出しの最大位置を調整することが可能になる。
・ストッパー機構をスライドレールと同じ高さ位置に実装したので、スライドレールが伸ばされたスライドレールのストッパー位置に達する前に、確実にストッパー機構で停止させることができる。なぜなら、ストッパー機構がスライドレールから離れた位置に設けられている場合で、特にスライドレールが長い場合には、引き出された格納ユニットの重量によってスライドレールが湾曲して伸びてしまうことがある。そして、スライドレールが湾曲して伸びてしまうと、格納ユニットがストッパー機構によりストップされる前に、先にスライドレールがスライドレールのストッパーに達してしまう可能性がある。このようになると、ストッパー機構を設けても、スライドレールのストッパーに衝撃負荷がかかってしまうからである。
【0055】
また、上記実施形態で説明した、第1当接部50c、 第2当接部50d、停止部60、第2停止部42の具体的な形状は、一例であって、移動を停止(規制)できる形状の組み合わせであれば、何れでもよい。
【0056】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0057】
1 金銭登録機
10 本体
10a 右側面板
10c 中板
10d 背面フレーム
10e 前面
20 格納物
30 スライドレール
40 取付板
42 第2停止部
43 ガイド軸
50 補助スライダ
50a ベース部
50b ガイド溝
50c 第1当接部
50d 第2当接部
50e 後端
52 カバー
54、62 ネジ
60 停止部
60a 停止片
図1
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