(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143384
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】封止ウェブを備える電気コンタクト
(51)【国際特許分類】
H01R 13/405 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
H01R13/405
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-504920(P2015-504920)
(86)(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公表番号】特表2015-513203(P2015-513203A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】EP2013057322
(87)【国際公開番号】WO2013153038
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2016年2月10日
(31)【優先権主張番号】102012206035.9
(32)【優先日】2012年4月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(72)【発明者】
【氏名】ベック、 カール
(72)【発明者】
【氏名】スピールフォーゲル、 ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ローザン、 ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、 トーマス
【審査官】
竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05873752(US,A)
【文献】
実開平03−030387(JP,U)
【文献】
特開平08−250193(JP,A)
【文献】
特開平09−147968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40 − 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体(1)が組み込まれるハウジング(2)を有する電気コンタクトであって、
前記ハウジング(2)が凹み(3)を有し、
前記導電体(1)が前記凹み(3)に挿入され、
前記導電体と前記ハウジングとの間の中間空間(20)が封止材料(21)で充填され、
前記導電体(1)が、前記導電体の長手方向に前記ハウジング(2)を貫通するように延出され、
前記導電体(1)がウェブ(15,16)を有し、
前記ウェブが、前記導電体(1)の長手方向に対して横断するように延在し、
前記ウェブが、前記導電体の側面(6,7)を越えて所定の高さだけ突出し、
前記封止材料(21)が、前記ウェブ(15,16)の片側に配置され、
前記導電体(1)が4つの側面(6,7,8,9)を有し、
前記ウェブ(15,16)が夫々前記4つの側面上に配置され、
2つの互いに反対側の側面(6,7,8,9)が互いに平行に配置され、
前記互いに反対の側面の前記ウェブ(15,16)が同一に構成され、
2つの狭い方の前記側面(8,9)の前記ウェブが、広い方の前記側面(6,7)の前記ウェブ(15,16)よりも前記側面から更に突出している電気コンタクト。
【請求項2】
前記ウェブ(15,16)が少なくとも片側に溝(17,18)を有し、
前記溝(17,18)が前記ウェブと平行に構成される請求項1に記載の電気コンタクト。
【請求項3】
前記ウェブ(15,16)の両側に溝(17,18)が夫々配置される請求項2に記載の電気コンタクト。
【請求項4】
前記ウェブ(15,16)が、前記導電体(1)の厚みの1%乃至10%の範囲内で前記側面(6,7)を越えて突出している請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気コンタクト。
【請求項5】
前記溝(17,18)が2つの横面(22,23)を有し、
前記横面(22,23)が、前記導電体(1)の前記長手方向に対して横断するように配置され、
前記横面が異なる傾斜を有し、
前記ウェブ(15,16)に関連する前記横面(22)が、前記反対側の横面(23)よりも傾斜が緩やかである請求項2乃至4のいずれか一項に記載の電気コンタクト。
【請求項6】
前記より傾斜の緩やかな横面(22)が、前記より傾斜の急な横面(23)よりも幅が広い請求項5に記載の電気コンタクト。
【請求項7】
前記溝の横面が、前記溝に対して垂直な平面内に、50°と80°との間、例えば65°の開口角を有する請求項2乃至6のいずれか一項に記載の電気コンタクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の電気コンタクトに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術においては、導電体がプラスチック製ハウジングに挿入される電気コンタクトが知られている。本発明の目的は、改良した電気コンタクトを提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の上記目的は、請求項1に記載の電気コンタクトによって達成される。
【0004】
本発明の他の有利な実施形態は従属請求項に示す。
【課題を解決するための手段】
【0005】
記述される電気コネクタの利点は、導電体とハウジングとの間の中間空間を封止するために設けられた封止材料が、ハウジングの固定領域にしっかりと保持されるということである。これは、導電体の長手方向に対して横断する方向に配置され、導電体の側面上方に所定の高さ突出するウェブを有する導電体によって達成される。その結果、導電体の組み付け状態において、ウェブがハウジングに当接し、ウェブによって、封止材料の流れ遮断部材が生成される。一方では、ウェブの形成により、流れ遮断部材が生成され、他方では、導電体とハウジングの間の自由空間により、ハウジング内への導電体の簡単且つ確実な組み付けが可能である。また、この自由空間に、即ち、導電体とハウジングとの間の中間空間に、封止材料を導入することができる。
【0006】
ウェブは、ウェブがハウジングの壁に封止的に当接するように、導電体の側面よりも突出していることが好ましい。
【0007】
他の一実施形態では、導電体は4つの側面を有し、ウェブは、この4つの側面の夫々に配置される。このようにして、封止部材が浸入不可の領域に流れ込むことなく、導電体の4つの側面に封止部材を塗布することができる。導電体の側面上にウェブを形成することにより、封止材料がウェブによって区切られた領域を越えて流れることなく、導電体の4つの全側面において、導電ハウジング内の中間空間の封止が可能である。その結果、導電体のハウジングへの確実且つ液密な組み込みが可能になる。
【0008】
他の一実施形態では、2つの同一のウェブが、2つの互いに反対側の側面に夫々形成され、2種類のウェブが異なるように構成される。このようにして、ウェブの種類は、側面の幅に適応させることができる。狭い側面上で側面を越えて相対的に大きく突出したウェブは、組み付け及び電気コンタクトの機能に対してほとんど不利にはならないことが試験によって示されている。その結果、狭い側面上には、側面から更に突出するウェブが設けられることができる。更に、広い方の側面上のウェブは、組み付けがより難しくなるので、導電体の側面を越えてあまり突出しないようにすべきであることが試験によって示されている。ウェブは、ウェブが導電体の組み付け状態においてハウジングの関連する内壁に接触するように、広い方の側面上では側面を越えて突出していることが好ましい。選択された実施形態に応じて、組み付け状態において、広い方の側面のウェブと関連するハウジング壁との間には小さな隙間があってもよい。ハウジングの側壁からのウェブの隙間の代わりに、封止材料の粘度によって、封止部材がウェブを越えて流れることが防止される。
【0009】
他の一実施形態では、導電体は、ウェブの構成と平行な溝を有する。ウェブと溝の組み合わせによって、封止材料に対して改良された流れ抵抗が形成される。加えて、封止領域におけるウェブの側部にすなわちウェブ上に溝を形成することにより、特に厚い封止材料層が導入される。その結果、改良した封止が達成され、特に衝撃や温度変動、基準となる形状寸法からのずれ等の障害に対して改良した封止が保証される。
【0010】
他の一実施形態では、導電体がウェブの両側に溝を有する。
【0011】
他の一実施形態では、溝は2つの横面を有し、これらの横面はウェブの長手方向と略平行にすなわち導電体の長手方向に対して横断するように配置される。溝の2つの横面は、導電体の側面に対して異なる傾斜を有する。ウェブに隣接する溝の横面は、ウェブから離れた横面よりも傾斜が緩やかである。このようにして、封止材料による溝への改良した流入及び充填が可能になる。また、溝の横面の特殊な構成によって封止が改良される。
【0012】
他の一実施形態では、溝の傾斜が緩やかな方の横面は、溝の傾斜が急な方の横面よりも幅が大きい。
【0013】
他の一実施形態では、溝の2つの横面は、溝に対して垂直な方向に50°と80°との間、例えば65°の開口角を有する。溝のこの開口角は、一方では、封止材料による溝の良好な充填につながり、他方では、導電体とハウジングとの間の中間空間の確実且つ強力な封止につながる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【
図6】
図5の一部を切り取って拡大したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、導電体1及びハウジング2の斜視図であり、ハウジング2は、導電体1を受容するための凹み3を有する。ハウジング2は、例えば、プラスチック材料から形成されている。導電体1は、例えば、金属板からの打ち抜き部品として作製され、第1の端部にコンタクト舌部4を、その反対側の第2の端部にコンタクトピン5を有している。図示の実施形態では、導電体1は、断面が矩形である。加えて、導電体1は、細長い短冊形状であり、2つの幅広い側面すなわち上側側面6及び下側側面7が、平行に互いに対して反対側にある。上側側面及び下側側面6,7の側部には、互いに平行に配置された狭い側面8,9が形成されている。
【0016】
導電体1には、プレス工程によってウェブ15,16及び溝17,18が導入されることが好ましい。
【0018】
コンタクト舌部4の幅は、導電体1の中心領域までは一定である。導電体1の中心領域において、側面8,9は第1の凹み10を有する。コンタクトピン5に向かう方向に、第1の凹み10に対して一定の間隔を置いて、第2の凹み11が側面8,9に形成されている。第2の凹み11に隣接して、2つの係止突起12,13が形成されている。第2の係止突起13の後には、コンタクトピン5に向かう方向に間隔を置いて、第1及び第2の側面8,9上に第3の係止突起14も形成されている。第1及び第2の係止突起12,13は、導電体1をハウジング2内に係止するように機能する。第1及び第2の側面8,9は同一に構成されている。第3の係止突起14の高さでは、上側側面及び下側側面6,7上にウェブ15,16が夫々形成されている。2つの側面8,9の第3の係止突起14と上側側面及び下側側面6,7の第1及び第2のウェブ15,16は、同じ高さに配置され、導電体1の周囲に延在するように配置された流れ遮断部材を形成する。
【0019】
図3は、ウェブ15,16及び第3の係止突起14の領域における導電体1の切り取った部分の拡大図である。図示の実施形態では、第1又は第2の溝17,18は、上側側面6における及び下側側面7における各ウェブ15,16の両側に形成されている。
【0020】
図4は、電気コンタクト19の断面であり、導電体1がハウジング2に取り付けられ、更に封止材料21がハウジング2内の凹み3の一部20内に導入されている。封止材料21は、ウェブ15,16及び第3の係止突起14により、ウェブ15,16までしか流れることができない。その結果、凹み3の上部20のみが封止材料21で充填される。
【0021】
図4では、係止突起12,13,14によるハウジング2の凹み3の対応する狭い側壁への係合をはっきりと見ることができる。
【0022】
図5は、
図4の配置の他の断面である。ウェブ15,16がハウジング2の凹み3の関連する側壁に当接している様子をはっきりと見ることができる。
【0023】
図6は、
図5のウェブ15,16の領域の拡大図である。この場合、ウェブ15,16が導電体1の上側側面6及び下側側面7よりも突出していることが、夫々はっきりと見ることができる。
【0024】
図7は、導電体1を切り取った部分の概略図である。
【0025】
図7を参照すると、溝17,18が、ウェブ15,16の横断方向に平行に配置されている様子を見ることができる。加えて、溝17,18は、ウェブ15,16に対して垂直な、異なるように傾斜した第1及び第2の溝面22,23を有する。溝面22,23の開口角は、50乃至80度の範囲、例えば65度とすることができる。各ウェブ15,16に面する第1の溝面22は、導電体1の長手軸に対して第2の溝面23よりも傾斜が小さい。このようにして、溝の充填の改良が達成され、より強力な封止が可能になる。
【0026】
選択された実施形態に応じて、溝17,18を省くこともできる。また、溝17,18は、異なる断面に配置された溝面、例えば対称的に配置された溝面を有してもよい。
【0027】
封止材料としては、例えば、液体接着剤やホットメルト接着剤を使用することができる。
【0028】
また、2つのコンタクトピン5の代わりに、コンタクトピンが1本だけ設けられたり、他の形状のコンタクトが設けられたりしてもよい。
【0029】
第2の溝面23の傾斜角は、上側側面6に垂直な線に対して90°乃至130°の範囲内である。また、第1の溝面22の傾斜角は、上側側面6に垂直な線に対して150°乃至100°の間としてもよい。
【0030】
ウェブ15,16は、ハウジング2に当接する封止領域において、各ウェブ15,16の長手方向に対して垂直な断面が丸い輪郭を有することが好ましい。それにより、ハウジングに対して確実且つ強力な封止が達成される。
【0031】
ウェブ15,16は、例えば、上側側面6又は下側側面7から導電体の厚みの1%乃至15%だけ突出している。