特許第6143402号(P6143402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6143402
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】薄肉銅板同士の溶接方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/167 20060101AFI20170529BHJP
   B23K 37/04 20060101ALI20170529BHJP
   B23K 9/025 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   B23K9/167 A
   B23K37/04 D
   B23K9/025 Z
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-10237(P2017-10237)
(22)【出願日】2017年1月24日
【審査請求日】2017年1月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516253477
【氏名又は名称】有限会社秋元鉛工所
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】秋元 健一郎
【審査官】 奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−118976(JP,A)
【文献】 特開昭48−034048(JP,A)
【文献】 特開昭61−132270(JP,A)
【文献】 特開昭57−097874(JP,A)
【文献】 特開平02−175077(JP,A)
【文献】 特開昭60−133974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00− 9/32
B23K 37/00−37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1銅板の第1端部と、第2銅板の第2端部とを当接させた状態で、
前記第1端部の近傍の前記第1銅板を、第1上治具及び第1下治具で一定の狭圧力となるように挟み込み、
前記第2端部の近傍の前記第2銅板を、第2上治具及び第2下治具で一定の狭圧力となるように挟み込み、
溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がしながらティグ溶接を行う薄肉銅板同士の溶接方法であって、
前記第1下治具及び前記第2下治具が、それぞれ、ブロック状であり、且つ、連結部で連結されており、
前記連結部が前記第1下治具及び前記第2下治具の間を封止するものであり、
前記連結部の上方の前記第1下治具及び前記第2下治具の間には空隙部が設けられ、
該空隙部の上方で前記溶接が行われるものであり、
前記連結部には前記空隙部にシールドガスを送流するためのガス穴が設けられ、
前記ガス穴が前記連結部の端部に設けられており、
前記空隙部の前記ガス穴側の端面が封止されている薄肉銅板同士の溶接方法。
【請求項2】
第1銅板の第1端部と、第2銅板の第2端部とを当接させた状態で、
前記第1端部の近傍の前記第1銅板を、第1上治具及び第1下治具で一定の狭圧力となるように挟み込み、
前記第2端部の近傍の前記第2銅板を、第2上治具及び第2下治具で一定の狭圧力となるように挟み込み、
溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がしながらティグ溶接を行う薄肉銅板同士の溶接方法であって、
前記第1端部と、前記第1上治具又は前記第1下治具との最短距離、並びに、前記第2端部と、前記第2上治具又は前記第2下治具との最短距離が、2mm〜6mmである薄肉銅板同士の溶接方法。
【請求項3】
前記第1下治具及び前記第2下治具が、それぞれ、ブロック状であり、且つ、連結部で連結されている請求項記載の薄肉銅板同士の溶接方法。
【請求項4】
前記連結部が前記第1下治具及び前記第2下治具の間を封止するものであり、
前記連結部の上方の前記第1下治具及び前記第2下治具の間には空隙部が設けられ、
該空隙部の上方で前記溶接が行われるものであり、
前記連結部には前記空隙部にシールドガスを送流するためのガス穴が設けられている請求項記載の薄肉銅板同士の溶接方法。
【請求項5】
前記ガス穴が前記連結部の端部に設けられており、
前記空隙部の前記ガス穴側の端面が封止されている請求項記載の薄肉銅板同士の溶接方法。
【請求項6】
前記第1銅板と前記第2銅板とが側面視で直線状に配列されており、
前記第1端部が、前記第1銅板の面方向から熱源側に折り曲げられた第1溶接しろを有し、
前記第2端部が、前記第2銅板の面方向から熱源側に折り曲げられた第2溶接しろを有し、
前記第1溶接しろ及び前記第2溶接しろを溶融させて溶接する請求項1〜のいずれか1項に記載の薄肉銅板同士の溶接方法。
【請求項7】
前記第1銅板と前記第2銅板とが側面視で直角状に配列されており、
前記第1端部が、前記第1銅板の面方向から熱源側に折り曲げられた第1溶接しろを有し、
前記第2端部が、前記第2銅板の面方向に延出した第2溶接しろを有し、
前記第1溶接しろ及び前記第2溶接しろを溶融させて溶接する請求項記載の薄肉銅板同士の溶接方法。
【請求項8】
前記狭圧力が200kgf/cm以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の薄肉銅板同士の溶接方法。
【請求項9】
前記溶接熱を、前記第1上治具及び前記第1下治具、並びに、前記第2上治具及び前記第2下治具に逃がしながらティグ溶接を行う請求項1〜8のいずれか1項に記載の薄肉銅板同士の溶接方法。
【請求項10】
前記第1上治具及び前記第2上治具が、それぞれ、平板状であり、且つ
溶接が行われる側の側部が、テーパー状となっている請求項1〜のいずれか1項に記載の薄肉銅板同士の溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄肉銅板同士の溶接方法に関し、更に詳しくは、薄肉銅板の端部同士を当接し、その部分をティグ溶接により溶接する薄肉銅板同士の溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
母材を互いに溶融させ接合する溶接方法として、アーク溶接、ガス溶接、電子ビーム溶接、レーザー溶接等が知られている。
その中でも、空気中の放電現象(アーク放電)を利用し、金属同士を繋ぎ合わせるアーク溶接が最も一般的に行われている。
また、アーク溶接の中でも、溶接時に火花が散らず、比較的簡単な方法であるティグ溶接(TIG溶接)が注目されている。なお、ティグ溶接とは、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス(シールドガス)を吹き付けながら、タングステン棒からアークを出し、その熱で母材を溶かして溶接するという溶接方法である。
ティグ溶接によれば、高品質で美しい溶接ビード(溶接跡)が得られるという利点があり、また、種々の金属の溶接に適用できるので、主に、ステンレスやアルミニウム等の溶接に採用されている。
【0003】
具体例としては、ステンレス鋼母材同士を所定の開先形状で突合せ溶接する際に、ステンレス鋼母材表面に金属酸化物の粉末と溶媒を混合してなる溶込み促進剤を塗布した後TIG溶接する溶接方法(例えば、特許文献1参照)や、厚さ3mm以上の鋼管パイプを固定して周囲をTIG溶接する溶接方法(例えば、特許文献2参照)や、所定の板厚の円筒状または平板状の鋼材の縁部に、鋼材の表裏の両面からレーザー溶接およびティグ溶接でビードの繋ぎ部を形成して鋼材同士を結合する溶接方法(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−102890号公報
【特許文献2】特開2011−177769号公報
【特許文献3】特開2015−164737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の溶接方法は、鋼材を用いたものであり、銅板を用いたものではない。
また、銅板は、鋼材とは異なり、熱に対して敏感であるため、鋼材を銅板に置き換えて、上述の溶接方法で溶接することは困難である。すなわち、仮に、銅板を用いてティグ溶接を行った場合、シールドガスでシールドされた状態であっても、銅板に溶接熱を長時間付与し続けると、余分な溶接熱が銅板に伝わり、熱膨張や酸化を引き起こす恐れがある。なお、このことは、銅板が薄肉状の銅板(以下「薄肉銅板」という。)である場合、より顕著に表れる。
これらのことから、薄肉銅板を用いたティグ溶接は極めて困難であり、薄肉銅板の溶接により製造される製品も、品質が劣る傾向にある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、熱膨張や酸化を引き起こさずに、薄肉銅板に対してティグ溶接を行うことができる薄肉銅板同士の溶接方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、銅板の端部同士を溶接するに際し、当該端部近傍を、治具を用いて一定の狭圧力で挟み込むと共に、溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がしながらティグ溶接を行うことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明は、(1)第1銅板の第1端部と、第2銅板の第2端部とを当接させた状態で、第1端部の近傍の第1銅板を、第1上治具及び第1下治具で一定の狭圧力となるように挟み込み、第2端部の近傍の第2銅板を、第2上治具及び第2下治具で一定の狭圧力となるように挟み込み、溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がしながらティグ溶接を行う薄肉銅板同士の溶接方法であって、第1下治具及び第2下治具が、それぞれ、ブロック状であり、且つ、連結部で連結されており、連結部が第1下治具及び第2下治具の間を封止するものであり、連結部の上方の第1下治具及び第2下治具の間には空隙部が設けられ、該空隙部の上方で溶接が行われるものであり、連結部には空隙部にシールドガスを送流するためのガス穴が設けられ、ガス穴が連結部の端部に設けられており、空隙部のガス穴側の端面が封止されている薄肉銅板同士の溶接方法に存する。
【0009】
本発明は、(2)第1銅板の第1端部と、第2銅板の第2端部とを当接させた状態で、第1端部の近傍の第1銅板を、第1上治具及び第1下治具で一定の狭圧力となるように挟み込み、第2端部の近傍の第2銅板を、第2上治具及び第2下治具で一定の狭圧力となるように挟み込み、溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がしながらティグ溶接を行う薄肉銅板同士の溶接方法であって、第1端部と、第1上治具又は第1下治具との最短距離、並びに、第2端部と、第2上治具又は第2下治具との最短距離が、2mm〜6mmである薄肉銅板同士の溶接方法に存する。
【0010】
本発明は、(3)第1下治具及び第2下治具が、それぞれ、ブロック状であり、且つ、連結部で連結されている上記(2)記載の薄肉銅板同士の溶接方法に存する。
【0011】
本発明は、(4)連結部が第1下治具及び第2下治具の間を封止するものであり、連結部の上方の第1下治具及び第2下治具の間には空隙部が設けられ、該空隙部の上方で溶接が行われるものであり、連結部には空隙部にシールドガスを送流するためのガス穴が設けられている上記(3)記載の薄肉銅板同士の溶接方法に存する。
【0012】
本発明は、(5)ガス穴が連結部の端部に設けられており、空隙部のガス穴側の端面が封止されている上記(4)記載の薄肉銅板同士の溶接方法に存する。
【0013】
本発明は、(6)第1銅板と第2銅板とが側面視で直線状に配列されており、第1端部が、第1銅板の面方向から熱源側に折り曲げられた第1溶接しろを有し、第2端部が、第2銅板の面方向から熱源側に折り曲げられた第2溶接しろを有し、第1溶接しろ及び第2溶接しろを溶融させて溶接する上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の薄肉銅板同士の溶接方法に存する。
【0014】
本発明は、(7)第1銅板と第2銅板とが側面視で直角状に配列されており、第1端部が、第1銅板の面方向から熱源側に折り曲げられた第1溶接しろを有し、第2端部が、第2銅板の面方向に延出した第2溶接しろを有し、第1溶接しろ及び第2溶接しろを溶融させて溶接する上記()記載の薄肉銅板同士の溶接方法に存する。
【0015】
本発明は、(8)狭圧力が200kgf/cm以上である上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の薄肉銅板同士の溶接方法に存する。
【0016】
本発明は、(9)溶接熱を、第1上治具及び第1下治具、並びに、第2上治具及び第2下治具に逃がしながらティグ溶接を行う上記(1)〜()のいずれか1つに記載の薄肉銅板同士の溶接方法に存する。
【0017】
本発明は、(10)第1上治具及び第2上治具が、それぞれ、平板状であり、且つ溶接が行われる側の側部が、テーパー状となっている上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の薄肉銅板同士の溶接方法に存する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の薄肉銅板同士の溶接方法においては、第1銅板の第1端部と、第2銅板の第2端部とをティグ溶接する際に、第1端部の近傍の第1銅板を、第1上治具及び第1下治具で一定の狭圧力となるように挟み込み、第2端部の近傍の第2銅板を、第2上治具及び第2下治具で一定の狭圧力となるように挟み込むことにより、第1銅板及び第2銅板が変形することを抑制することができる。
また、同時に、溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がすことにより、薄肉銅板が酸化することを極力防止できる。
これらのことにより、上記薄肉銅板同士の溶接方法によれば、熱膨張や酸化を引き起こさずに、薄肉銅板に対してティグ溶接を行うことが可能となる。また、得られる銅製品は、溶接部分の強度に優れ、溶接ビードも美しいものとなる。
【0019】
このとき、例えば、第1上治具及び第1下治具、並びに、第2上治具及び第2下治具が余分な溶接熱を他に伝える材質からなるものである場合、第1銅板を第1上治具及び第1下治具で挟み込み、第2銅板を第2上治具及び第2下治具で挟み込むことにより、第1銅板及び第2銅板に一定の狭圧力を付与できると同時に、第1銅板及び第2銅板に伝わる余分な溶接熱をこれらの治具から逃がすことが可能となる。このため、極めてシンプルな構造で溶接を行うことが可能となる。
【0020】
本発明の薄肉銅板同士の溶接方法においては、狭圧力を200kgf/cm以上とすることにより、第1銅板及び第2銅板の種類を問わず、その変形を十分に抑制することが可能となる。
また、第1上治具及び第1下治具、並びに、第2上治具及び第2下治具が余分な溶接熱を逃がすものである場合は、狭圧を200kgf/cm以上とすることにより、熱を逃がす効率(余分な溶接熱が伝導する効率)もより向上する。
【0021】
本発明の薄肉銅板同士の溶接方法においては、第1銅板と第2銅板とが側面視で直線状に配列された状態で端部同士の溶接を行う場合、第1端部が、第1銅板の面方向から熱源側に折り曲げられた第1溶接しろを有し、第2端部が、第2銅板の面方向から熱源側に折り曲げられた第2溶接しろを有し、第1溶接しろ及び第2溶接しろを溶融させて溶接することにより、溶接部分を十分な強度とすることができる。
【0022】
本発明の薄肉銅板同士の溶接方法においては、第1上治具及び第2上治具が平板状であるため、それぞれが対応する第1銅板及び第2銅板に対して、共に、広範囲で面接触させることができる。このことから、上治具及び下治具が局所的に薄肉銅板を狭圧することを抑制できるため、当該狭圧による薄肉銅板の変形が抑制される。
また、熱を逃がす効率も更に向上する。
【0023】
本発明の薄肉銅板同士の溶接方法においては、第1上治具及び第2上治具の溶接が行われる側の側部が、テーパー状となっているので、タングステン棒(熱源)から放出されるアークにより、第1上治具及び第2上治具が直接加熱されることを抑止することができる。
このとき、第1端部と、第1上治具又は第1下治具との最短距離、並びに、第2端部と、第2上治具又は第2下治具との最短距離が2mm〜6mmであることが好ましい。この場合、上治具又は下治具により、銅板の変形を十分に抑制することができると同時に、上治具又は下治具が余分な溶接熱を逃がすものである場合は、必要な溶接熱を逃がさず、余分な溶接熱のみを逃がすことができるため、極めて効果的である。
【0024】
本発明の薄肉銅板同士の溶接方法においては、第1下治具及び第2下治具が連結部で連結されている場合、第1下治具及び第2下治具を同時に押圧することができる。
また、第1下治具が第1銅板に付与する狭圧力と、第2下治具が第2銅板に付与する狭圧力とを同程度とすることができる。これにより、余分な溶接熱を第1下治具と第2下治具とに均等に逃がすことができる。
【0025】
本発明の薄肉銅板同士の溶接方法においては、連結部が第1下治具及び第2下治具の間を封止しており、当該連結部にガス穴を設けることにより、連結部の上方の第1下治具及び第2下治具の間の空隙部にシールドガスを送流することが可能となる。
このとき、上記ガス穴が連結部の端部に設けられており、且つ、空隙部のガス穴側の端面が封止されている場合、ガス穴から送流されるシールドガスは空隙部を流通し、ガス穴側とは反対側から抜けることになる。このため、空隙部の上方で行われる溶接に対して、全体的に効率良くシールドガスを供給することが可能となる。
【0026】
本発明の薄肉銅板同士の溶接方法においては、第1銅板と第2銅板とが側面視で直角状に配列された状態で端部同士の溶接を行う場合、第1端部が、第1銅板の面方向から熱源側に折り曲げられた第1溶接しろを有し、第2端部が、第2銅板の面方向に延出した第2溶接しろを有し、第1溶接しろ及び第2溶接しろを溶融させて溶接することにより、溶接部分を十分な強度とすることができる。すなわち、直角状に配列させる場合は、第2端部を熱源側に折り曲げなくても溶接することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1(a)】図1(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法に用いられる薄肉銅板を示す上面図である。
図1(b)】図1(b)は、図1(a)の側面図である。
図2(a)】図2(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法において溶接前の一対の薄肉銅板と、当該薄肉銅板が取り付けられた溶接装置とを示す概略上面図である。
図2(b)】図2(b)は、図2(a)のA−A線で切断した概略断面図である。
図3(a)】図3(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法に用いられる第1上治具を示す上面図である。
図3(b)】図3(b)は、図3(a)のB−B線で切断した断面図である。
図4図4は、本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法により得られる溶接物を示す説明図である。
図5図5は、他の実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法において溶接前の一対の薄肉銅板と、当該薄肉銅板が取り付けられた溶接装置とを示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0029】
本発明に係る薄肉銅板同士の溶接方法は、一対の薄肉銅板の互いの端部同士を当接し、その部分にティグ溶接を施すことにより、薄肉銅板同士を溶接する方法の発明である。
なお、本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法においては、一対の薄肉銅板が、同形状である場合について説明する。
【0030】
(薄肉銅板)
図1(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法に用いられる薄肉銅板を示す上面図であり、図1(b)は、図1(a)の側面図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、薄肉銅板1は、薄い平板状であり、端部2が、薄肉銅板1の面方向から略垂直に立ち上がるように折り曲げられた溶接しろ2aを有している。すなわち、薄肉銅板1は、その端部2が側面視でL字状となっている。
【0031】
ここで、薄肉銅板1としては、汎用性の観点から、その厚さH1が0.3mm〜1.5mmの薄いものが好適に用いられる。
また、用いられる薄肉銅板1の種類は、銅が主成分であり且つ脱酸素されているものであれば、特に限定されない。具体的には、無酸素銅板、リン脱酸銅板等が挙げられる。なお、薄肉銅板は、リン青銅板等の銅以外の金属を含む合金からなるものであってもよい。
【0032】
溶接しろ2aの高さH2は、0.5mm〜1.5mmであることが好ましい。なお、溶接しろ2aの高さH2には、薄肉銅板の厚みは含まれていない。
高さH2が0.5mm未満であると、高さH2が上記範囲内にある場合と比較して、溶接された部分の強度が不十分となる場合があり、高さH2が1.5mmを超えると、高さH2が上記範囲内にある場合と比較して、溶接ビードの量が多くなるため、溶接された部分の滑らかさが劣る欠点がある。
【0033】
本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法においては、薄肉銅板1の端部2同士を当接させた状態で溶接する。
なお、本明細書においては、溶接する一方側の薄肉銅板1を便宜的に「第1銅板11」といい、その端部を「第1端部12」という。また、溶接する他方側の薄肉銅板1を便宜的に「第2銅板21」といい、その端部を「第2端部22」という。
【0034】
(溶接装置)
図2(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法において溶接前の一対の薄肉銅板と、当該薄肉銅板が取り付けられた溶接装置とを示す概略上面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線で切断した概略断面図である。
図2(a)及び図2(b)に示すように、溶接装置100は、第1銅板11の上面に当接された第1上治具U1及び第1銅板11の下面に当接された第1下治具D1と、第2銅板21の上面に当接された第2上治具U2及び第2銅板21の下面に当接された第2下治具D2と、第1上治具U1及び第1下治具D1を一定の押圧力で挟み込むための第1万力M1と、第2上治具U2及び第2下治具D2を一定の押圧力で挟み込むための第2万力M2と、第1銅板11の第1端部12及び第2銅板21の第2端部22にシールドガスを送流するためのホースTとからなる。
【0035】
溶接装置100においては、図2(a)及び図2(b)で左側に配置された第1万力M1が、第1上治具U1及び第1下治具D1を一定の押圧力で挟み込み、図2(a)及び図2(b)で右側に配置された第2万力M2が、第2上治具U2及び第2下治具D2を一定の押圧力で挟み込むことが可能となっている。
【0036】
図3(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法に用いられる第1上治具を示す上面図であり、図3(b)は、図3(a)のB−B線で切断した断面図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、第1上治具U1は、平板状である。このため、第1銅板11に対して、広範囲で面接触させることができる。このことから、第1上治具U1が局所的に第1銅板11を狭圧することを抑制できるため、当該狭圧による第1銅板11の変形が抑制される。また、熱を逃がす効率も更に向上する。
【0037】
また、第1上治具U1は、溶接が行われる側の側部Sが、下側が水平方向に突出したテーパー状となっている。これにより、溶融している部分を斜め上方向から目視し易くなるので、作業性が向上する。
【0038】
なお、第2上治具U2は、第1上治具U1と同じ構造であるため、第2上治具U2の説明を省略する。
【0039】
図2の(b)に戻り、第1下治具D1及び第2下治具D2は、それぞれ、ブロック状であり、連結部D0で連結されている。すなわち、第1下治具D1と、第2下治具D2とは一体となっている。このため、第1下治具D1が第1銅板11に付与する狭圧力と、第2下治具D2が第2銅板21に付与する狭圧力とを容易に同程度とすることができる。これにより、余分な溶接熱を第1下治具D1と第2下治具D2とに均等に逃がすことができる。
【0040】
溶接装置100において、連結部D0は、第1下治具D1及び第2下治具D2の間を封止している。これにより、連結部D0の上方の第1下治具D1及び第2下治具D2の間には空隙部Gが形成されている。換言すると、第1下治具D1及び第2下治具D2の間には連結部D0を底とする溝状の空隙部Gが設けられている。
なお、薄肉銅板同士の溶接方法においては、空隙部Gの上方で溶接が行われるようになっている。
【0041】
また、溶接装置100において、連結部D0には、空隙部Gにシールドガスを送流するためのガス穴3aが設けられている。
そして、当該ガス穴3aに、ホースTが連結される。
これにより、ホースT内を流通するシールドガスは、ガス穴3aを介して、空隙部Gに送流されることになる。
【0042】
ここで、空隙部Gにおいては、ガス穴3aが連結部D0の端部に設けられており、空隙部Gのガス穴3a側の端面が側蓋部R1で封止されている。なお、第1銅板11及び第2銅板12が側蓋部R1に当接されず、側蓋部R1の上端と、第1銅板11及び第2銅板12との間の隙間がある場合は、その隙間を例えば上蓋部R2で封止すればよい。
また、空隙部Gにおいては、空隙部Gのガス穴3a側とは反対側の端面が開放されている。
これらのことにより、ガス穴3aから送流されるシールドガスは、空隙部Gを流通し、ガス穴側とは反対側の端面から抜けることになる。
したがって、薄肉銅板同士の溶接方法においては、シールドガスが空隙部Gの長手方向に沿って送流されることになるので、空隙部Gの上方で行われる溶接に対して、全体的に効率良くシールドガスを供給することが可能となる。
【0043】
(セッティング)
本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法においては、まず、第1銅板11と第2銅板21とを側面視で直線状となるように配列する。
このとき、第1端部12と第2端部22とを当接させる。すなわち、上述したように、第1端部12が、第1銅板11の面方向から熱源W側に折り曲げられた第1溶接しろ12aを有し、第2端部22が、第2銅板21の面方向から熱源W側に折り曲げられた第2溶接しろ22aを有しているので、第1溶接しろ12aと第2溶接しろ22aとを互いの側面で当接させる。
【0044】
そして、第1端部12の近傍の第1銅板11に、第1上治具U1及び第1下治具D1を当接させ、第1上治具U1及び第1下治具D1を、第1万力M1を用いて挟み込む。そうすると、第1上治具U1及び第1下治具D1に挟まれた第1銅板11には、一定の狭圧力が付与される。これにより、第1端部12の近傍の第1銅板11を、第1上治具U1及び第1下治具D1で一定の狭圧力となるように挟み込むことになる。
同様に、第2端部22の近傍の第2銅板21に、第2上治具U2及び第2下治具D2を当接させ、第2上治具U2及び第2下治具D2を、例えば、複数の万力M2を用いて挟み込む。そうすると、第2上治具U2及び第2下治具D2に挟まれた第2銅板21には、一定の狭圧力が付与される。これにより、第2端部22の近傍の第2銅板21を、第2上治具U2及び第2下治具D2で一定の狭圧力となるように挟み込むことになる。
【0045】
ここで、第1端部12の近傍に配置される第1上治具U1及び第1下治具D1の位置は、第1銅板11を介して、上下方向で対応していることが好ましい。
また、第1端部12と、第1上治具U1との最短距離H3が2mm〜6mmであることが好ましく、第1端部12と、第1下治具D1との最短距離H4が2mm〜6mmであることが好ましい。この条件の場合、溶接熱を確実に逃がすことができ、且つ、最短距離H3,H4を上記範囲内で調整することにより、溶接熱を逃がすスピードをコントロールすることができる。すなわち、最短距離H3,H4が2mm未満であると、最短距離H3,H4が上記範囲内にある場合と比較して、薄肉銅板に付与される必要な溶接熱も吸収してしまい、薄肉銅板の溶融を妨げる恐れがあり、最短距離H3,H4が6mmを超えると、最短距離H3,H4が上記範囲内にある場合と比較して、薄肉銅板の熱膨張や酸化を十分に抑制できない場合がある。
【0046】
なお、第2端部22の近傍に配置される第2上治具U2及び第2下治具D2の位置については、上述した第1上治具U1及び第1下治具D1の位置と同様であるので、説明を省略する。
【0047】
薄肉銅板同士の溶接方法において、第1上治具U1及び第1下治具D1が第1銅板11に付与する狭圧力は、200kgf/cm以上であることが好ましく、230kgf/cm以上であることがより好ましい。この場合、第1銅板11が変形することを抑制できると共に、溶接熱により熱膨張することも十分に抑制することができる。また、第1上治具U1及び第1下治具D1で第1銅板11を200kgf/cm以上の狭圧力で強く挟み込むことにより、余分な溶接熱を第1上治具U1及び第1下治具D1に流れ込み易くすることができる。
なお、第2上治具U2及び第2下治具D2が第2銅板21に付与する狭圧力については、上述した第1上治具U1及び第1下治具D1が第1銅板11に付与する狭圧力と同様であるので、説明を省略する。
【0048】
(溶接)
本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法においては、上述したように、第1端部12の近傍の第1銅板11を、第1上治具U1及び第1下治具D1で一定の狭圧力となるように挟み込み、第2端部22の近傍の第2銅板21を、第2上治具U2及び第2下治具D2で一定の狭圧力となるように挟み込み、空隙部Gにシールドガスを送流した状態で、当接された第1溶接しろ12a及び第2溶接しろ22aに対して、ティグ溶接が行われる。すなわち、第1溶接しろ12a及び第2溶接しろ22aが溶融して溶接されることにより、第1銅板11と第2銅板21とが直線状に一体化される。このように、第1溶接しろ12a及び第2溶接しろ22aを利用して溶接することにより、溶接部分を十分な強度とすることができる。
【0049】
ここで、ティグ溶接は、公知の方法で行えばよい。すなわち、薄肉銅板の厚み等に応じて、ティグ溶接におけるタングステン棒から放出されるアークの放出角度、電流の大きさ、パルスの幅等を適宜調整して行えばよい。
また、ティグ溶接における電流を極力弱くした場合であっても、適正な薄肉銅板の溶融温度でなければ熱膨張や酸化を引き起こす。このため、本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法において、ティグ溶接における電流の大きさは問わない。
同様に、ティグ溶接におけるパルスの幅についても問わないが、熱膨張や酸化が起こりにくくなる観点から、パルス幅を設けずに連続してタングステン棒からアークを放出するように設定することが好ましい。
【0050】
本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法においては、溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がしながらティグ溶接を行う。具体的には、溶接熱を、第1上治具U1及び第1下治具D1、並びに、第2上治具U2及び第2下治具D2に逃がしながらティグ溶接を行う。
ここで、第1上治具U1及び第1下治具D1、並びに、第2上治具U2及び第2下治具D2は、ティグ溶接において生じる余分な溶接熱を逃がす材質のものであることが好ましい。すなわち、第1上治具U1及び第1下治具D1、並びに、第2上治具U2及び第2下治具D2は、極力、伝熱性の優れた材質からなることが好ましい。この場合、極めてシンプルな構造で溶接を行うことが可能となる。
【0051】
具体的には、第1上治具U1及び第1下治具D1を第1銅板11に当接させ、且つ、第2上治具U2及び第2下治具D2を第2銅板21に当接させた状態で、ティグ溶接を行う。そうすると、第1上治具U1及び第1下治具D1、並びに、第2上治具U2及び第2下治具D2が溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がすことができる。
これにより、薄肉銅板が瞬間的に溶融する温度を維持しつつ、余分な熱は逃がし、ティグ溶接を行うことができる。その結果、薄肉銅板が酸化することを防止できる。
【0052】
第1上治具U1及び第1下治具D1、並びに、第2上治具U2及び第2下治具D2それぞれの材質としては、伝熱性の観点から、ステンレス、アルミニウム、鉄、真鍮等が挙げられる。なお、これらは、全てが同一の材質であってもよく、それぞれが異なる材質であってもよい。
これらの中でも、第1上治具U1及び第1下治具D1、並びに、第2上治具U2及び第2下治具D2それぞれの材質は、鉄材からなることが好ましい。この場合、効果的に熱を逃がすため、薄肉銅板に付与された余分な溶接熱を効果的に逃がすことができる。このため、薄肉銅板が熱を溜めることを確実に抑制することができる。
【0053】
これらのことから、本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法においては、第1上治具U1及び第1下治具D1、並びに、第2上治具U2及び第2下治具D2として余分な溶接熱を逃がす材質のものを採用し、且つ、第1銅板11を第1上治具U1及び第1下治具D1で、第2銅板21を第2上治具U2及び第2下治具D2で強く挟み込んだ状態とすることにより、第1銅板11及び第2銅板21が変形することを抑制することができる。
また、溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がしながらティグ溶接を行うことにより、極めてシンプルな状態でありながら、薄肉銅板の熱膨張及び酸化を抑制することができる。
【0054】
図4は、本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法により得られる溶接物を示す説明図である。なお、図4における溶接ビートは誇張して表現している。
図4に示すように、本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法により得られる溶接物5は、表面が銅褐色で艶やかで、溶接部分の強度が優れ、また、溶接ビード5aが滑らかな肉盛りの状態になり、極めて高品質なものとすることができる。ちなみに、薄肉銅板は、熱が溜まると、青色や金色に変色し、表面が沸騰したような状態の波状になる。なお、更に熱を与えると、薄肉銅板は、酸化銅に変化することになる。これらの現象が品質低下の原因となる。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0056】
本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法においては、一対の薄肉銅板1が、同形状である場合について説明しているが、一対の薄肉銅板は互いに異形状であってもよい。例えば、第1銅板が上面視で正方形であり、第2銅板が上面視で長方形であってもよい。
但し、薄肉銅板は、溶接する予定の端部を有しており、それらが互いに対応する形状であることが必要である。
【0057】
本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法において、第1銅板11と第2銅板21とが側面視で直線状に配列されているが、これに限定されない。
また、溶接しろ2aは、薄肉銅板1の面方向から略垂直に立ち上がるように折り曲げられていなくてもよい。すなわち、薄肉銅板1は、その端部2が側面視でL字状でなくてもよい。
【0058】
例えば、図5は、他の実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法において溶接前の一対の薄肉銅板と、当該薄肉銅板が取り付けられた溶接装置とを示す概略側面図である。
図5に示すように、他の実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法においては、第1銅板31と第2銅板41とを側面視で直角状となるように配列する。
そして、第1銅板31の第1端部32が、第1銅板31の面方向から熱源W側に折り曲げられた第1溶接しろ32aを有し、第2端部42が、第2銅板41の面方向に延出した第2溶接しろ42aを有しているので、第1溶接しろ32aと第2溶接しろ42aとを互いの側面で当接させる。
【0059】
次に、第1端部32の近傍の第1銅板31に、第1上治具U3及び第1下治具D3を当接させ、第1上治具U3及び第1下治具D3を、図示しない第1万力を用いて挟み込む。そうすると、第1上治具U3及び第1下治具D3に挟まれた第1銅板31には、一定の狭圧力が付与される。これにより、第1端部32の近傍の第1銅板31を、第1上治具U3及び第1下治具D3で一定の狭圧力となるように挟み込むことになる。
同様に、第2端部42の近傍の第2銅板41に、第2上治具U4及び第2下治具D4を当接させ、第2上治具U4及び第2下治具D4を、図示しない第2万力を用いて挟み込む。そうすると、第2上治具U4及び第2下治具D4に挟まれた第2銅板41には、一定の狭圧力が付与される。これにより、第2端部42の近傍の第2銅板41を、第2上治具U4及び第2下治具D4で一定の狭圧力となるように挟み込むことになる。
【0060】
そして、溶接する部分に図示しないシールドガスを吹き付けた状態で、当接された第1溶接しろ32a及び第2溶接しろ42aに対して、ティグ溶接が行われる。すなわち、第1溶接しろ32a及び第2溶接しろ42aが溶融して溶接されることにより、第1銅板31と第2銅板41とが直角状に一体化される。
このように、薄肉銅板を直角状に配列させる場合は、第2端部42を熱源W側に折り曲げなくても溶接することができる。
【0061】
本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法において、溶接装置100は、第1上治具U1及び第1下治具D1を一定の押圧力で挟み込むための第1万力M1を備えているが、必ずしも万力である必要はない。すなわち、第1上治具U1及び第1下治具D1を一定の押圧力で挟み込むことが可能であれば、公知の加圧装置であってもよい。
なお、第2上治具U2及び第2下治具D2を一定の押圧力で挟み込むための第2万力M2についても同様である。
【0062】
本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法において、第1下治具D1及び第2下治具D2は連結部D0で連結されていなくてもよい。すなわち、第1下治具D1と、第2下治具D2とが独立していてもよい。なお、この場合、シールドガスは、溶接部分に直接吹き付ければよい。
【0063】
本実施形態に係る薄肉銅板同士の溶接方法において、第1上治具U1及び第1下治具D1、並びに、第2上治具U2及び第2下治具D2は、いずれも、余分な溶接熱を逃がすものであるとしているが、いずれか一方であってもよく、余分な溶接熱を逃がすものを別途設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の薄肉銅板同士の溶接方法は、薄肉銅板同士のティグ溶接に用いられる。すなわち、ティグ溶接による薄肉銅板同士の溶接物の製造に用いられる。
本発明の薄肉銅板同士の溶接方法によれば、熱膨張や酸化を引き起こさずに、薄肉銅板に対してティグ溶接を行うことができる。
【符号の説明】
【0065】
1・・・薄肉銅板
100・・・溶接装置
11,31・・・第1銅板
12,32・・・第1端部
12a,32a・・・第1溶接しろ
2・・・端部
21,41・・・第2銅板
22,42・・・第2端部
22a,42a・・・第2溶接しろ
2a・・・溶接しろ
3a・・・ガス穴
5・・・溶接物
5a・・・溶接ビード
D0・・・連結部
D1,D3・・・第1下治具
D2,D4・・・第2下治具
G・・・空隙部
H1・・・厚さ
H2・・・高さ
H3,H4・・・最短距離
M1・・・第1万力
M2・・・第2万力
R1・・・側蓋部
R2・・・上蓋部
T・・・ホース
U1,U3・・・第1上治具
U2,U4・・・第2上治具
W・・・熱源
【要約】
【課題】熱膨張や酸化を引き起こさずに、薄肉銅板に対してティグ溶接を行うことができる薄肉銅板同士の溶接方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、第1銅板11の第1端部12と、第2銅板21の第2端部22とを当接させた状態で溶接する薄肉銅板1同士の溶接方法であって、第1端部12の近傍の第1銅板11を、第1上治具U1及び第1下治具D1で一定の狭圧力となるように挟み込み、第2端部22の近傍の第2銅板21を、第2上治具U2及び第2下治具D2で一定の狭圧力となるように挟み込み、溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がしながらティグ溶接を行う薄肉銅板1同士の溶接方法である。
【選択図】図2(b)
図1(a)】
図1(b)】
図2(a)】
図2(b)】
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5