(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の風呂水供給路の先端部に設けられたフィルタは、目が粗いものであり、風呂水に含まれた人体の垢や毛髪等の不純物は捕獲できても、風呂水中に繁殖した雑菌等の微細な不純物は捕獲できないものである。この雑菌等が含まれる風呂水で洗濯をしても、洗濯物には雑菌が付着し、特に部屋干ししたときに不快な臭いが発生したり、清潔感が損ねられたりするという問題点を有する。このため、具わった風呂水供給機能も、使用されない場合が多いのが実情である。
【0006】
なお、上記特許文献1には、風呂水供給路中に光触媒フィルタを設け、この光触媒フィルタを囲むようにして風呂水供給路外に光放射装置を設ける技術が併せて記載されている。しかしながら、このものの光触媒フィルタは、例えば酸化チタンを混合したセラミックにより多孔質状に形成した、とだけあって、それ以外の詳細な点は不明であり、光放射装置も、特には紫外線を放射して当てることにより光触媒フィルタの再生に供する、とあるものの、風呂水供給路の外部から風呂水供給路内部の光触媒フィルタに紫外線をどのように及ぼさせるのか不明なものである。
【0007】
そこで、風呂水の浄化が充分にできる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の洗濯機においては、風呂水供給路を具えると共に、その風呂水供給路を通じて風呂水を洗濯槽の内部に供給する風呂水ポンプを具える洗濯機において、前記風呂水供給路に
、水を通す多孔質状の光触媒と、この光触媒並びにその光触媒を通る水に紫外光を照射する紫外線ランプとを具える浄水装置が設けられ、前記浄水装置は、
軸方向を横方向として配置され水の流れる方向である軸方向長さが径方向長さより大きい円筒状のタンクと、
軸方向を横方向として配置され軸方向長さが径方向長さより大きい円筒状
をなし、径方向の外周面が前記タンクの内周面と密接するように該タンク内に挿入配置され
た前記光触媒と、この光触媒の中心孔内に挿入配置され、前記光触媒と接触する前記紫外線ランプと、前記タンクの
軸方向の一端部に設けられた入水口と、前記タンクの
軸方向の他端部に設けられた出水口とを有して構成されていることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1の実施形態につき、
図1ないし
図4を参照して説明する。
まず、
図2には、洗濯機の外観を示しており、外箱1とこれの最上部に被着したトップカバー2とで全体の外殻3を構成している。トップカバー2の前部には操作パネル4を設けており、それより後側に蓋5を設けている。又、トップカバー2の後部は、バックパネル6で構成しており、このバックパネル6に給水ホース接続口7と風呂水ホース接続口8とを設けている。そのうち、給水ホース接続口7には図示しない給水ホースが接続され、水道の蛇口から水道水が供給されるようになっている。
【0011】
一方、風呂水ホース接続口8には、風呂水ホース9が接続され、この風呂水ホース9の先端部にはフィルタ10を設けている。このフィルタ10は、目が比較的粗いものであり、風呂水に含まれる人体の垢や毛髪等の不純物を捕獲できるようになっている。
【0012】
トップカバー2の内部であるバックパネル6の内部には、
図3に示すように、浄水装置11と風呂水ポンプ12及び注水ケース13を配設している。このうち、浄水装置11は、詳細には
図1に示すように、タンク14を主体として有しており、このタンク14は、一端部(図で右側の端部)が開口した有底円筒状のタンク本体14aと、このタンク本体14aの開口部を閉塞したタンク蓋14bとから成っている。そのうち、タンク本体14aの一端部の上部、中でも最上部に入水口15を形成しており、この入水口15を切換弁16の一方の出口16aに接続している。なお、タンク14は、全体として、横寸法(軸方向長さ)が縦寸法(径方向長さ)よりも大きな横長形を成しており、浄水装置11全体としても横長形を成している。
【0013】
切換弁16は、上記一方の出口16aのほかに他方の出口16bを有すると共に、それらの出口16a,16bに共通の入口16cを有するもので、その入口16cに対して一方の出口16a及び他方の出口16bの選択開放(開放切換え)を行うようになっている。この切換弁16の入口16cを前記風呂水ホース接続口8に接続している。
【0014】
タンク本体14aの他端部(図で左側の端部)の上部、中でも最上部には、出水口17を有しており、この出水口17を逆止弁18の一方の入口18aに接続している。逆止弁18は、一方の入口18aのほかに他方の入口18bを有すると共に、それらの入口18a,18bに共通の出口18cを有するもので、その出口18cに対して一方の入口18a及び他方の入口18bからの通水を許容し、反対の、出口18cから一方の入口18a及び他方の入口18bへの通水、並びに他方の入口18bから一方の入口18aへの通水を阻止するようになっている。
【0015】
タンク14の内部には、光触媒19と紫外線ランプ20とを配設している。そのうち、光触媒19は、この場合、
図4に示すように、タンク本体14aの形状にならって円筒状を成し、中でも、横寸法(軸方向長さ)が縦寸法(径方向長さ)よりも大きくて、タンク14内を流れる水の流れ方向に長尺な円筒状を成し、それを、この場合、セラミックで多孔質(連続気泡)に形成した基体に、酸化チタンのコーティングを施して形成しており、この光触媒19をタンク本体14aの内部には、
図1に示すように、光触媒19の径方向の外周面がタンク14の内周面と密接するように挿入している。但し、タンク14の前記入水口15側の端部(タンク蓋14b)及び出水口17側の端部、すなわち軸方向の両端部に対しては、光触媒19との間にそれぞれ間隙21,22を余している。
【0016】
紫外線ランプ20は、発光管20aをそれより大きな石英ガラス管20bで覆って成るもので、前記タンク蓋14bの中央部に形成した挿脱口23から上記光触媒19の内部に、石英ガラス管20bの径方向の外周面が光触媒19の内周面と密接するように、そして、先端部は光触媒19から突出しないように挿入している。なお、紫外線ランプ20の口金部20c及び給電線20dはタンク蓋14b外に残している。
【0017】
このほか、タンク本体14aの出水口17側の上部には、水位検知器24を設置している。この水位検知器24は、例えば一対の電極24aを有して成るもので、その電極24aがタンク本体14内に位置し、該電極24a間がタンク本体14の水に浸漬されたときに導通してタンク14の上部の水位を検知する水位検知手段として機能するようになっており、洗濯機はその水位の検知に基づいて前記紫外線ランプ20を点灯させるようになっている。
【0018】
そして、前記切換弁16の他方の出口16bは、バイパスホース25を介して、前記逆止弁18の他方の入口18bに接続している。又、逆止弁18の出口18cは、
図3に示すように、接続ホース26を介して、前記風呂水ポンプ12の吸水口12aに接続している。そして、風呂水ポンプ12の吐出口12bを、接続ホース27を介して、前記注水ケース13の風呂水入口13aに接続している。注水ケース13は、風呂水入口13aのほかに、図示しない水道水入口を有しており、この水道水入口に、前記バックパネル6内において前記給水ホース接続口7に接続した給水弁(これも図示せず)の出口を接続している。
【0019】
注水ケース13は又、内部に洗剤置き部や柔軟仕上剤置き部を有しており(いずれも図示せず)、それらに置かれた洗剤、柔軟仕上剤を水道水又は風呂水で選択的に流し出すことができるもので、その出口(これも図示せず)を前記外箱1内に縦軸状に配置した洗濯槽(図示せず)の内部に臨ませている。
【0020】
この結果、風呂水は、主として、前記風呂水ホース9、浄水装置11のタンク14、接続ホース26、風呂水ポンプ12、接続ホース27、及び注水ケース13の経路で洗濯槽の内部に供給されるようになっており、従って、風呂水ホース9、接続ホース26、接続ホース27、及び注水ケース13が風呂水供給路として機能し、この風呂水供給路に風呂水ポンプ12と浄水装置11とを設けているのである。
【0021】
次に、上記構成のものの作用を述べる。
洗濯を風呂水で行うにつき、今、風呂水ホース接続口8に接続した風呂水ホース9の先端部(フィルタ10)を浴槽内部の風呂水中に浸漬させ、その上で、風呂水ポンプ12を作動させると、上記浴槽内の風呂水がフィルタ10から風呂水ホース9及び切換弁16を通じて浄水装置11のタンク14内に吸入される。なお、このとき、切換弁16は入口16cに対して一方の出口16a、すなわち浄水装置11のタンク14側を開放した状態にある。
【0022】
浄水装置11のタンク14内に吸入された風呂水は、タンク14内で水位を高め、且つ光触媒19を通る。そして、タンク14内の水位が水位検知器24の電極24aに達したところで、水位検知器24がその水位を検知するので、それに基づき、紫外線ランプ20が点灯される。点灯した紫外線ランプ20から照射される紫外光は、光触媒19を通る風呂水に及んで、その風呂水に含まれる雑菌に直接作用し、殺菌動作が行われる。又、紫外線ランプ20から照射された紫外光は、光触媒19にも及んで、そのエネルギーにより光触媒19に強力な酸化力を有するOHラジカルを生成し、風呂水に含まれる雑菌、有機物質の酸化分解をする働きもする。なお、このとき、浄水装置11の出水口17が浄水装置の上部に存在することにより、風呂水はタンク14内を満たしつつ該タンク14内を通過する。
【0023】
かくして、風呂水が浄水装置11のタンク14内を通る過程で浄化されるものであり、浄化された風呂水は逆止弁18から接続ホース26を通じて風呂水ポンプ12内に吸入され、そして、接続ホース27及び注水ケース13を順に経て、洗濯槽の内部に供給される。
【0024】
なお、切換弁16を入口16cに対して他方の出口16b、すなわちバイパスホース25側を開放する状態に切換えて、風呂水ポンプ12を作動させると、浴槽内から風呂水ホース9を通じて吸入される風呂水は、浄水装置11を通ることなく、バイパスホース25を通って逆止弁18から接続ホース26、風呂水ポンプ12、接続ホース27、及び注水ケース13を順に経て、洗濯槽の内部に供給される。
【0025】
かくして、風呂水を浄化することなく洗濯に使用することもできる。その使用態様は、洗剤洗いとすすぎ洗いとがある洗濯時において、例えば、その洗剤洗い時とすすぎ洗い時との両方に風呂水を浄化して使用し、他方、洗剤洗い時に風呂水を浄化することなく使用し、すすぎ洗い時にのみ風呂水を浄化して使用する、の切換え使用であり、その切換え操作は操作パネル4で行うことができる。
【0026】
このように本実施形態によれば、風呂水を、風呂水供給路を通じて洗濯槽の内部に供給する過程で、風呂水供給路に設けた浄水装置11の光触媒19と紫外線ランプ20とで浄化し得るもので、特には、光触媒19を、浄水装置11のタンク14内を流れる水の流れ方向に長尺なものとしている。これにより、光触媒19に対する風呂水の接触長さを大きく確保できるので、この光触媒19による風呂水の浄化作用がより高く得られ、併せてその光触媒19の長さに応じ紫外線ランプ20もその長さを大きくできるので、風呂水に対する紫外光の照射長さも大きく確保できて、この紫外線ランプ20よる風呂水の浄化作用もより高く得られる。かくして風呂水の浄化を充分に行い得るものであり、その風呂水で洗濯した洗濯物の不快な臭いの発生、並びに清潔感の低下をより確実に防止することができる。
【0027】
又、本実施形態によれば、浄水装置11を横長形として、トップカバー2の内部に配置している。洗濯機のコンパクト設計により、トップカバー2は高さに制約があり、その内部にも高さに制約がある。それに対して、浄水装置11を横長形としたことにより、高さに制約があるトップカバー2の内部に、浄水装置11を浄水経路長く設置できるもので、それだけ、風呂水の浄化作用もより高く得ることができ、風呂水の浄化を充分に行うことができる。
【0028】
更に、本実施形態によれば、浄水装置11の出水口17を浄水装置の上部に存在せしめている。これにより、風呂水はタンク14内を満たしつつ該タンク14内を通過するので、紫外線ランプ20からの紫外光の照射による通過風呂水の浄化、並びに光触媒19との接触による通過風呂水の浄化も、それぞれ無駄なく行うことができ、効率の良い浄化ができる。
【0029】
加えて、本実施形態によれば、浄水装置11が、浄水装置11の上部の水位を検知する水位検知手段として水位検知器24を有し、その水位の検知に基づいて紫外線ランプ20を点灯させるようにしている。これにより、紫外線ランプ20の点灯も、タンク14内の水位が浄水装置11の上部に達したところでなすことができ、それより低い水位での紫外線ランプ20の点灯を避けることができるので、無駄のない状態で紫外線ランプ20を点灯させることができ、よって又、効率の良い浄化ができる。
【0030】
以上に対して、
図5及び
図6は第2及び第3の実施形態を示すもので、それぞれ、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
[第2の実施形態]
図5に示す第2の実施形態においては、光触媒19の紫外線ランプ20側である内周側19aの密度を、反紫外線ランプ20側である外周側19bの密度より低くしている。
【0031】
このようにすることにより、紫外線ランプ20の紫外光を光触媒19の外周側19bに届きやすくできて、光触媒19を通る風呂水に対する殺菌効果を内周側19aから外周側19bまで確実に及ぼし得ると共に、光触媒19に対する前述のOHラジカルの生成効果も内周側19aから外周側19bまで確実に得ることができる。なお、この場合、光触媒19の内周側19aは風呂水が通りやすくて光触媒19との接触が少なくなるが、紫外線ランプ20の紫外光を浴びやすくなるので、充分な殺菌効果を得ることができる。
又、この場合、光触媒19を内周側19aと外周側19bとで密度別に二分しているが、それに代え、内周側19a(特には最内周部)から外周側19b(特には最外周部)へ密度が漸次高くなるものとしても良い。
【0032】
[第3の実施形態]
図6に示す第3の実施形態においては、光触媒19を、水の流れる方向に複数個(この場合、4個の単位光触媒19
1〜19
4)に分けて設け、その各間に仕切板30
1〜30
3を設けていて、この仕切板30
1〜30
3に通水孔31を、隣る仕切板のそれ(通水孔31)と位置をずらして設けている。
【0033】
このようにすることにより、風呂水は、単位光触媒19
1を通って最初の仕切板30
1の通水孔31から順次次の通水孔31に達するまでに、各単位光触媒19
2〜19
4を、軸方向のみならず、径方向、周方向に通って流れ、それらの単位光触媒19
2〜19
4との接触が増す。又、この場合、風呂水の流れが複雑となることもあって、風呂水の撹拌作用が生じ、紫外線ランプ20の紫外光との接触も増す。かくして、この第3の実施形態によれば、より効果的で、効率の良い浄水効果を得ることができる。
【0034】
以上説明した洗濯機は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、特に洗濯機全体としては洗濯槽を縦軸状を有する縦軸形洗濯機に限られず、洗濯槽たるドラムを横軸状又は斜軸状に有するドラム式洗濯機であっても良いもので、ドラム式洗濯機では洗濯機上部がトップカバーに相当するものであり、更に要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【0035】
そのほか、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。