特許第6143432号(P6143432)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143432
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】物品検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 11/00 20060101AFI20170529BHJP
   B07C 5/18 20060101ALI20170529BHJP
   G01N 23/02 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   G01G11/00 H
   B07C5/18
   G01N23/02
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-219473(P2012-219473)
(22)【出願日】2012年10月1日
(65)【公開番号】特開2014-71072(P2014-71072A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年9月7日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】302046001
【氏名又は名称】アンリツインフィビス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】野崎 隆次
【審査官】 鈴木 斉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−183799(JP,A)
【文献】 特開2011−013934(JP,A)
【文献】 特開2012−079209(JP,A)
【文献】 特開2002−197500(JP,A)
【文献】 特開2010−092502(JP,A)
【文献】 特開2007−241336(JP,A)
【文献】 特開2008−191101(JP,A)
【文献】 特開2001−023048(JP,A)
【文献】 特開2007−226560(JP,A)
【文献】 特開2012−038051(JP,A)
【文献】 特開2007−004630(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/134242(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 11/00, 23/00
B07C 5/18
G01N 23/02
G06F 21/30, 21/35
G06K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段(3)によって搬送される被検査物(W)として食品や医薬品の品質データを取得し、予め設定された基準値と前記品質データとを比較して前記被検査物の品質の良否を検査する物品検査装置において、
アンテナを有し、前記物品検査装置を操作する操作者が前記アンテナに近接したときに、前記操作者の人体を通信媒体として前記操作者に装着された端末(T)との間で前記操作者の操作項目に関する情報を含む操作情報を通信する通信手段(6)と、
前記通信手段により通信された前記操作情報に含まれる行動記録に、非衛生な区域として通過後の行動が指定された行動指定区域の通過が含まれ、該行動指定区域通過後に指定された行動がとられていないとき、前記操作者の前記操作項目を実行させないように規制する規制手段(7)とを備え、
前記通信手段は、前記指定された行動がとられたことを受信して、前記操作者が実行した操作に関する操作実行情報を行動記録として前記操作者に装着された前記端末に書き込むよう通信することを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記規制手段が、前記通信手段により通信された前記操作情報に含まれる操作者種別に関する属性情報に基づいて前記操作項目を規制することを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
表示手段(8)を有し、
前記操作者種別に関する前記属性情報が、複数の操作項目を含む属性情報であるとき、前記表示手段が、複数の前記操作項目が含まれる操作メニューを表示することを特徴とする請求項2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記操作者に装着された前記端末との間で通信された前記操作情報に含まれる前記操作者の行動記録の内容を表示する表示手段(8)を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つの請求項に記載の物品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、生肉、魚、加工食品、医薬などの被検査物の品質を検査する物品検査装置に関し、特に、適正な操作者によって操作されるようにした物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検査物の品質を検査する物品検査装置として、重量選別機、X線異物検出装置、金属検出装置などの検査装置が知られている。
このような従来の重量選別機は、搬送される被検査物の質量を測定し、得られた測定値が基準範囲内にあるか否かを判定し、基準範囲内の良品とそれ以外の不良品とを選別している。また、従来のX線異物検出装置は、搬送される被検査物にX線を照射し、この照射したX線の透過量から被検査物中に異物が混入しているか否かを検出している。また、従来の金属検出機は、搬送ラインに交番磁界を発生させておき、交番磁界中を各品種の被検査物を通過させ、磁界を通過しているときの検波出力から金属が混入しているか否かを検出している。
【0003】
これらの物品検査装置においては、装置の感度や精度を維持し検査の信頼性を高めるため、装置を操作する作業者の操作内容をレベル毎に区分けし、その作業者のレベルの認証を行って、その作業者に指定された操作のみできるようにしたものが普及している。
この物品検査装置として、例えば、操作部から入力されたログイン名と、記録部に記録されている認証情報とを比較して、検査前の動作確認テストを行うテスト担当者と被検査物の検査を行う検査担当者とを認証する重量選別装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この重量選別装置においては、認証情報を記録したカードキーにより認証するカードキー認証、作業者の指紋により認証する指紋認証および作業者の網膜により認証する網膜認証などの認証方法により担当者を認証し、各担当者による適正な操作が行われるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−296201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の重量選別装置においては、頻繁な個人認証を必要とする場合には認証の操作が煩わしく手間がかかってしまうという問題があった。特に、食品を扱う食品検査ラインに設置された物品検査装置の場合、装置に多数の担当者がかかわることが多く、食品の安全性の観点から装置を操作する担当者のより頻繁な認証の必要が高まってきている。一方、食品に対する衛生面から、担当者は、全身が露出しないよう、白衣、マスク、ゴーグル、手袋、長靴などの衛生用具を装着する必要がある。このような食品検査ラインなどの環境に設置された重量選別装置などの物品検査装置において、認証をする場合、カードキー認証、指紋認証および網膜認証などの認証方法のいずれも認証に手間がかかり全体の作業効率が低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、簡易な方法で確実に適正な操作者に操作をさせることができる物品検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る物品検査装置においては、上記課題を解決するため、(1)搬送手段によって搬送される被検査物として食品や医薬品の品質データを取得し、予め設定された基準値と前記品質データとを比較して前記被検査物の品質の良否を検査する物品検査装置において、アンテナを有し、前記物品検査装置を操作する操作者が前記アンテナに近接したときに、前記操作者の人体を通信媒体として前記操作者に装着された端末との間で前記操作者の操作項目に関する情報を含む操作情報を通信する通信手段と、前記通信手段により通信された前記操作情報に含まれる行動記録に、非衛生な区域として通過後の行動が指定された行動指定区域の通過が含まれ、該行動指定区域通過後に指定された行動がとられていないとき、前記操作者の前記操作項目を実行させないように規制する規制手段とを備え、前記通信手段は、前記指定された行動がとられたことを受信して、前記操作者が実行した操作に関する操作実行情報を行動記録として前記操作者に装着された前記端末に書き込むよう通信するよう構成される。
【0008】
以上の構成により、本発明に係る物品検査装置においては、従来の物品検査装置と比較して簡易な方法で適正な操作者に操作をさせることができる。すなわち、従来の物品検査装置においては、操作者を認証をする場合、カードキー認証、指紋認証および網膜認証などの認証方法がとられているため、認証機構も比較的複雑な構成となるとともに、認証に手間がかかり全体の作業効率が低下してしまうという課題があった。
【0009】
これに対して、本発明に係る物品検査装置は、人体を通信媒体として通信が実行されるので、操作者が物品検査装置の通信手段のアンテナに近接しないと認証が行われないので、近隣に存在する複数の作業者の中から意図した作業者を正確に認証することができる。また、アンテナに近接するだけで、通信手段と人体との間に電界が形成され、瞬時に操作情報の通信をすることができる。
【0010】
特に、物品検査装置が、食品を扱う食品検査ラインに設置された場合、より効果が発揮される。すなわち、食品に対する衛生面から、操作者は、全身が露出しないよう、白衣、マスク、ゴーグル、手袋、長靴などの衛生用具を装着することが必要となる。この場合、指紋認証では手袋を外さなければならず、網膜認証ではゴーグルを外さなければならなくなり、認証が面倒なものとなってしまう。
本発明に係る物品検査装置の場合は、手袋を外す必要もなく、ゴーグルを外す必要もないので、極めて簡単な方法で適正な操作者に操作をさせることができる。
また、本発明に係る物品検査装置においては、操作者に装着された端末は、操作者の外部に露出している必要がなく、取り出す必要もないので、操作者の衣服の内側、例えば、内ポケットに装着することができ、端末の落下や紛失のおそれがなくなる。また、端末は、腕や足などの人体の任意の部位に装着することができ、使い勝手が良好になる。
【0011】
本発明に係る物品検査装置の場合においては、通信手段により通信された操作情報に基づいて操作者の操作項目を規制する規制手段を備えているので、操作項目、すなわち、「運転停止」、「品種切替」、「動作確認」、「検出感度変更」、「品種登録」、「保守」という操作者固有の認証以外の操作情報に基づいて、物品検査装置を操作する者に対して操作項目を規制することができ、物品検査装置に、より適合したきめ細かな管理ができ、より適正な操作者に物品検査装置を操作させることができる。さらに、以上の構成により、本発明に係る物品検査装置においては、通信手段は、操作者が実行した操作に関する操作実行情報を行動記録として操作者に装着された端末に書き込むよう通信することができるので、操作者に関する機器の操作の熟練度や適正さを把握することができる。端末に書き込まれた操作実行情報は、通信手段との通信により、物品検査装置で活用することができ、より適正な操作者に操作させることができる。また、非衛生な区域(例えばトイレなど)に行った後に指定の行動(例えばエアシャワーや洗面所に行くなど)をとらなかった操作者による操作項目の実行を制限することにより、食品や医薬品という衛生が不可欠な被検査物品における衛生を確保することができる。
【0012】
また、本発明に係る物品検査装置においては、(2)前記規制手段が、前記通信手段により通信された前記操作情報に含まれる操作者種別に関する属性情報に基づいて前記操作項目を規制するようにしてもよい。
【0013】
以上の構成により、本発明に係る物品検査装置においては、規制手段が、通信手段により通信された操作情報に含まれる操作者種別に関する属性情報に基づいて操作項目を規制することができるので、例えば、操作しようとする重量選別機が複数ある場合や、他の金属検出装置やX線異物検出装置がある場合など、各装置に対応した適正な操作者に操作させることができ、検出精度の向上や品質の安定の向上を図ることができる。例えば、操作者の操作対象機器を特定する属性や、操作者の行動記録を属性とすることにより、各装置に適した者に操作を許容することができる。他方、行動記録の識別により装置の操作に適さない者を、操作させないよう規制手段により規制することもでき、検査などの品質の向上を図ることができる。
【0014】
また、操作者種別に関する属性情報に優先操作項目のような優先的に操作項目を選択する項目が含まれていると、ワンタッチで簡単に自己の操作項目を選択することができる。この優先操作項目は、物品検査装置を操作して被検査物を検査する際の数多くの操作項目の中から優先的に操作できるものとして選択して表示することができる。したがって、物品検査装置を操作する操作者は、例えば、表示画面に表示された優先操作項目をタッチすることにより、その操作項目を実行させることができ、数多くある操作項目の中から一つを選択する煩わしさから解放され、ワンタッチで簡単に操作することができる。
【0015】
また、本発明に係る物品検査装置においては、()表示手段を有し、前記操作者種別に関する前記属性情報が、複数の操作項目を含む属性情報であるとき、前記表示手段が、複数の前記操作項目が含まれる操作メニューを表示するようにしてもよい。
【0016】
以上の構成により、本発明に係る物品検査装置においては、通信手段は、操作者が実行した操作に関する操作実行情報を行動記録として操作者に装着された端末に書き込むよう通信することができるので、操作者に関する機器の操作の熟練度や適正さを把握することができる。端末に書き込まれた操作実行情報は、通信手段との通信により、物品検査装置で活用することができ、より適正な操作者に操作させることができる。
【0017】
また、本発明に係る物品検査装置においては、()前記操作者に装着された前記端末との間で通信された前記操作情報に含まれる前記操作者の行動記録の内容を表示する表示手段を有するようにしてもよい。
【0018】
以上の構成により、本発明に係る物品検査装置においては、表示手段には、操作者に装着された端末との間で通信された操作情報に含まれる操作者の行動記録の内容が表示されるので、操作者は、自己の行動記録を容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る物品検査装置によれば、人体を通信媒体として通信するという簡易な方法で確実に適正な操作者に操作をさせることができる物品検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る重量選別機を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る重量選別機を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る重量選別機の通信部に人体が近接した例を示す斜視図である。
図4】実施形態に係る重量選別機の通信部の概略構成図である。
図5】実施形態に係る重量選別機が設置された生産工場のレイアウト図である。
図6】実施形態に係る重量選別機の規制部で使うテーブルの図である。
図7】実施形態に係る重量選別機の表示部の表示例を示す平面図である。
図8】実施形態に係る重量選別機の表示部の表示例を示す平面図である。
図9】実施形態に係る重量選別機の運転の一例を示すフローチャートである。
図10】実施形態に係る重量選別機の運転の一例を示すフローチャートである。
図11】実施形態に係る重量選別機の表示部の表示例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る物品検査装置の実施形態について図面を参照して説明する。
(実施形態)
図1図10は、本発明に係る物品検査装置を重量選別機1に適用した実施形態の一例を示している。
なお、本発明に係る物品検査装置は、実施形態に係る重量選別機1だけでなく、重量選別機1以外の他の装置で構成されていてもよい。例えば、搬送ラインに交番磁界を発生させておき、交番磁界中を各品種の被検査物を通過させ、磁界を通過しているときの検波出力から金属が混入しているか否かを検出する金属検出機で構成されていてもよい。また、搬送される被検査物にX線を照射し、この照射したX線の透過量から被検査物中に異物が混入しているか否かを検出するX線異物検出装置で構成されていてもよい。
【0022】
図1ないし図3に示すように、重量選別機1は、装置本体2と、搬送手段としての搬送部3と、投受光部4と、選別部5により構成されている。
【0023】
重量選別機1は、生産ラインの一部を構成するベルトコンベアBCの後端部に設置され、所定間隔をおいて矢印A方向に順次搬送されてくる被検査物Wの質量を測定するよう構成されている。そして、測定により得られた測定値を後述する記録セクション12cに記録されている質量の上限基準値および下限基準値の双方と比較し、得られた測定値が基準範囲内にあるか否かを判定し、基準範囲内のものを良品とし、それ以外のものを不良品として選別するよう構成されている。
【0024】
装置本体2は、通信手段としての通信部6と、規制手段としての規制部7と、表示手段としての表示部8と、電源部9、搬送制御部11と、重量選別部12と、重量選別機1の各種操作や各種設定を入力する操作部13と、これらの各部を収納する収納筐体14とを含んで構成される。
【0025】
通信部6は、電源部9から供給される電源で動作する公知の通信ユニットで構成されており、収納筐体14に収納され固定されている。
通信部6は、重量選別機1を操作する操作者の人体を通信媒体として、操作者に装着された端末Tとの間で、後述する操作者の操作項目に関する操作情報を通信するようになっている。この操作情報は、必要に応じて端末Tから送信し通信部6で受信することができ、通信部6から送信し端末Tで受信することもできる。
通信部6は、図4に示すように、アンテナとしてのアンテナセクション6aと、受信セクション6bと、送信セクション6cと、入力セクション6dと、出力セクション6eと、記録セクション6fとを含んで構成されている。
【0026】
アンテナセクション6aは、図3に示すように、収納筐体14の搬送部3側の側面に設けられており、平坦面を有している。この平坦面には、水滴や異物の浸入を防止するよう樹脂などで形成されたカバーなどの保護部材が設けられているが、樹脂膜などの保護処理が施された平坦面を搬送部3側の側面に露出させるようにしてもよい。このアンテナセクション6aにおいては、人体、例えば、指先が平坦面に近接した状態または接触した状態になると、指先と平坦面との間に電界が形成されるようになっている。
【0027】
受信セクション6bは、アンテナセクション6aを介して端末Tから送られる操作情報を受信し、送信セクション6cは、アンテナセクション6aを介して端末Tに向けて操作情報を送信するようになっている。入力セクション6dは、電源部9から電力を受けるとともに操作情報などの種々の情報が入力されるようになっており、出力セクション6eは、端末Tから送られる操作情報を、規制部7に向けて出力するようになっている。記録セクション6fは、必要な情報を記録するようになっている。
【0028】
通信部6は、アンテナセクション6aに形成された電界と、端末Tのアンテナセクションに形成された電界との間で、いわゆる容量結合させ、人体表面に生じた電界を信号として情報を伝達するよう構成されている。
通信部6においては、記録セクション6fに記録されている情報を端末Tに送信し、端末Tの記録セクションに記録させることができる。また、端末Tに記録されている情報を端末Tから受信し記録セクション6fに記録させることができる。
【0029】
通信部6により通信される操作情報には、種々の情報が含まれている。例えば、操作情報には、操作者の操作項目に関する情報、操作者種別に関する属性情報、操作者に対応した認証情報、操作者が実行した操作に関する操作実行情報が含まれている。この操作実行情報は、通信により通信部6から端末Tに書き込まれる。
【0030】
端末Tは、通信部6と同様に構成されており、図示しないアンテナセクションと、受信セクションと、送信セクションと、記録セクションと、これらを動作させる電源セクションとを含んで構成されている。この端末Tは、カード状に形成され、人体の任意の部位、例えば、図4に示す操作者の内ポケットに装着されている。
【0031】
操作者の操作項目に関する情報として、例えば、担当者グループ1、担当者グループ2および管理者グループが挙げられる。これらの情報は、操作者が実施形態に係る重量選別機1を操作することができる操作内容の複数の項目、すなわち、複数の操作項目にアクセスすることができるアクセスレベルを表しており、操作者は担当者グループ1、担当者グループ2および管理者グループのいずれかのグループに属している。
【0032】
担当者グループ1には、重量選別機1の操作が可能な複数の項目および操作が規制される項目が含まれている。担当者グループ1に属する操作者は、例えば、重量選別機1の動作確認、運転停止、品種切替の操作が許容される一方、検出感度変更、品種登録および保守の操作ができないよう規制されている。
なお、担当者グループ1に属する操作者は、検出感度変更、品種登録および保守の操作ができないもの、重量選別機1における被検査物Wの重量の検査に必要な多くの他の操作については規制されることはなく必要に応じて操作することはできる。
【0033】
担当者グループ2は、担当者グループ1と同様、重量選別機1の操作が可能な項目および操作が規制される項目が含まれている。担当者グループ2に属する操作者は、例えば、重量選別機1の動作確認、運転停止、品種切替、検出感度変更の操作が許容される一方、品種登録および保守の操作ができないよう規制されている。
なお、担当者グループ2に属する操作者は、品種登録および保守の操作ができないもの、担当者グループ1と同様、重量選別機1における被検査物Wの重量の検査に必要な多くの他の操作については規制されることはなく必要に応じて操作することはできる。
【0034】
管理者グループは、担当者グループ1や担当者グループ2と同様、重量選別機1の操作が可能な項目および操作が規制される項目が含まれている。管理者グループに属する操作者は、例えば、重量選別機1の動作確認、運転停止、品種切替、検出感度変更、品種登録、保守の操作が許容され、操作ができないよう規制される項目は設定されていない。したがって、管理者グループは、に属する操作者は、動作確認、運転停止、品種切替、検出感度変更、品種登録、保守の操作および重量選別機1における被検査物Wの重量の検査に必要な多くの他の操作について、規制されることはなく必要に応じて操作することができる。
【0035】
操作者種別に関する属性情報として、例えば、後述する優先操作項目、操作者が操作の対象とすることができる操作対象機器および操作者が操作対象機器を操作するまでの行動記録が挙げられる。
操作対象機器は、例えば、第1重量選別機、第2重量選別機、金属検出装置、X線異物検出装置などの機器があり、属性としてこれらの機器の内少なくとも一つの機器が操作対象として指定される。操作者は、属性として指定された機器の操作が許容される。
行動記録は、操作者に必要とされる行動および操作者に対して制限が課される行動の記録を示しており、属性として所定の行動記録を満たしている操作者に対して、操作対象機器の操作が許容される。
【0036】
操作者に必要とされる行動として、例えば、図5に示すように、機器を操作する前の入場ゲートにおける認証、エアシャワーの通過、第1ドアの通過などの行動や、機器を操作するための機器研修受講の終了などの行動が挙げられる。
操作者に対して制限が課される行動として、例えば、被検査物Wが食品や医薬品の場合に、機器を操作する前に非衛生な区域として通過後の行動が指定された行動指定区域を通過したという行動が挙げられる。このトイレなどの行動指定区域に入場した場合には、手洗いの通過、および、非常口などの出入口の通過ではなく、第2ドアの通過の行動経路をとることが義務付けられ、所定の行動をとるよう行動に制限が課される。
【0037】
この行動記録は、例えば、入場ゲートにおける認証の場合、入場ゲート近傍の床面に設置された感知マットを通じて、通信部6と操作者に装着された前述の端末Tとの間の通信と同様にして、操作者に装着された前述の端末Tに実行された認証の記録することができる。
【0038】
エアシャワーの通過、手洗いの通過、第1ドアおよび第2ドアの通過、行動指定区域への入場についても、入場ゲートにおける通信の場合と同様にして、それぞれの行動について前述の端末Tに記録することができる。各通過の場合、感知マット上に操作者が乗ったことをもって、エアシャワーを浴び、手洗いが行われたことを推定することができる。この行動記録は、通信部6と操作者に装着された前述の端末Tとの間の通信がなされる際に、通信部6で受信し規制部7で使用することができる。操作者は、属性として設定された前述の行動の記録を満たしている場合に機器の操作が許容される。
【0039】
なお、この行動記録は、操作者種別に関する属性情報に直接含まれるものとして説明したが、本発明の物品検査装置においては、この行動記録を、操作者種別に関する属性情報以外の操作情報、すなわち操作者種別ではなく、操作者の操作に関する情報としてもよい。
例えば、操作者が行った行動の記録が、予め設定された行動内容から逸脱している場合に、規制部7により、所定の操作項目の操作、すなわち操作者の行動内容に対応する操作項目を規制するようにして、この行動記録を操作項目の規制の基準となる情報の一つとしてもよい。
【0040】
操作者に対応した認証情報として、操作者を識別するために個別に設けられた認証符号が挙げられる。この認証符号として、例えば、111は操作者Aを、112は操作者Bを認証するいわゆるIDが挙げられる。このID111やID112には、操作項目である担当者グループ1や担当者グループ2のようなアクセスレベルと対応させて識別させるようにしてもよい。
【0041】
操作者が実行した操作に関する操作実行情報として、例えば、重量選別機1を操作した検査者の操作記録や、検査結果、不良となった被検査物Wを示すいわゆるNG品の処置などの操作内容が挙げられる。この操作実行情報は、例えば、機器の操作に関する熟練度などを決める参照情報として利用される。
【0042】
規制部7は、通信部6により通信される操作情報、例えば、操作者の操作項目に関する情報、操作者種別に関する属性情報、操作者に対応した認証情報などの操作情報に基づいて、操作者の操作項目を規制するよう構成されている。すなわち、操作情報に基づいて、操作者が担当者グループ1、担当者グループ2および管理者グループのいずれであるかの操作項目を識別し、識別した結果および予め記録されているテーブルに基づいて、操作者の操作項目である担当者グループ1、担当者グループ2および管理者グループのいずれかの操作以外の操作を制限する規制を実行するようになっている。
【0043】
したがって、この規制部7は、操作項目を識別する識別セクション7aと操作項目を規制する規制セクション7bとにより構成されている。
識別セクション7aは、通信部6により通信される操作情報に含まれる操作者の操作項目、操作者種別に関する属性、操作者に対応した認証を識別して、識別結果を規制セクション7bに出力する。
規制セクション7bは、識別セクション7aから送られる識別結果である操作項目、操作者種別に関する属性、操作者に対応した認証に基づいて、重量選別機1の操作内容や操作の実行を規制するようになっている。例えば、識別された操作者種別に関する属性が所定の属性から逸脱したものであるとき、操作の実行が行われないよう規制する。
【0044】
予め設定されているテーブルは、後述の記録セクション12cに記録されている。
このテーブルは、予め操作者毎に操作者に対応して設定されたもので、このテーブルには規制セクション7bにより規制する対象となる操作項目が含まれている。
この操作項目が含まれるテーブルには、少なくとも操作者の認証情報としてのID、操作者種別に関する属性情報としての操作項目が含まれている。具体的には、図6に示すように、左端から操作者のID、名前、担当者グループ1、担当者グループ2および管理者グループを示すアクセスレベル、優先操作項目1、2、3、操作対象機器となっている。
【0045】
優先操作項目1、2、3は、重量選別機1を操作して被検査物Wの重量を検査する際の数多くの操作項目の中から優先的に操作できるものとして選択されて設定された項目を示している。重量選別機1を操作する操作者は、例えば、IDの「鈴木〇美」操作者の場合、優先操作項目1に「USB出力」が設定されている。他の優先操作項目2、3も優先操作項目1と同様に、点検や品種登録などの優先操作項目を、操作者別に設定することができる。この設定により、操作項目の選択をきわめて簡単にすることができるようになる。
【0046】
また、アクセスレベルである担当者グループ1、担当者グループ2および管理者グループについての操作項目が、テーブルとして設定される。これにより、規制セクション7bが、重量選別機1において、操作者に対して、操作できる操作項目および操作できない操作項目を規制することができる。また、操作対象機器におけるA、B、CおよびDは、それぞれ、Aが第1重量選別機、Bが第2重量選別機、Cが金属検出装置、DがX線異物検出装置のように対応している。
【0047】
表示部8は、図1に示すように、装置本体2の搬送部3側の上端部に設けられており、例えば、液晶ディスプレイなどのタッチパネルで構成される。
このタッチパネルは、表示と入力の2つの機能を備えており、表示部8の外部から入力された画像情報を液晶ディスプレイの画面に表示するとともに、操作者がその画面に表示された絵などの点または領域に手で触れた際に、触れられた画面位置の情報を感知して外部へ情報信号として出力するよう構成されている。
【0048】
表示部8においては、図7図8に示すように、通信部6が受信した操作者種別に関する属性情報が、規制部7の識別セクション7aにより複数の操作項目を含む属性情報であると識別されたとき、複数の操作項目が含まれる操作メニューを表示するようになっている。
【0049】
図7に示すように、表示画面の右上には、現在日時および操作者が「山田〇子」であることが、表示されており、「山田〇子」操作者が重量選別機1を操作する適正な者であることが示される。
また、図7の操作メニューの表示は、テーブルで描かれており、左端から操作者のID、名前、アクセスレベルおよび操作項目となっている。
「山田〇子」操作者の場合、IDが111であること、アクセスレベルが担当者グループ1であること、〇が表示されている操作項目「運転停止」、「品種切替」および「動作確認」が許容される操作項目であること、−が表示されている操作項目「検出感度変更」、「品種登録」および「保守」が規制される操作項目であり操作することができないことが表示されている。
【0050】
このように、ID、名前、アクセスレベルおよび操作項目が表示されるので、操作者は、自分のID、アクセスレベルおよび操作項目を確認することができる。
なお、図示しないが、操作メニューの中に、優先操作項目1、2、3や操作対象機器を示すようにしてもよい。
また、図8に示すように、操作メニューの中に、IDおよび行動記録を表示するようにしてもよい。この表示により、重量選別機1の操作を許容された操作者の行動記録が、日時、イベント、場所について一覧テーブルで表示されるので、自分の行動記録を容易に把握することができる。
【0051】
この表示部8においては、被検査物Wの質量などの検査結果が表示されるとともに、他の必要な表示がなされる。例えば、被検査物Wの品種、測定範囲、測定速度、測定精度、検出感度、選択項目の待受け表示、重量選別機1に異常が発生した場合の警告や、点検要求などが必要に応じて表示される。
【0052】
電源部9は、収納筐体14に装着され、重量選別機1の各構成要素に電源を供給する公知の電源ユニットで構成されている。
【0053】
搬送部3は、図1に示すように、助走コンベア3aおよび秤量コンベア3bにより構成される。助走コンベア3aは2つのローラ3c、3dとこれらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト3eとを含んで構成される。秤量コンベア3bは2つのローラ3f、3gとこれらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト3hとを含んで構成される。
搬送部3は、ベルトコンベアBCから矢印A方向に流れてくる包装された生肉、魚、加工食品、医薬などの各種の被検査物Wを搬送するようになっている。搬送されてくる被検査物Wは助走コンベア3aにより、姿勢などが安定状態になり、秤量コンベア3bにより荷重センサに載荷され、さらに選別部5に搬送されるようになっている。
【0054】
投受光部4は、一対の投光部4aおよび受光部4bにより構成され、助走コンベア3aと秤量コンベア3bとの間に配置されている。例えば、投光部4aは搬送ベルト3hの装置本体2側に位置し、受光部4bは搬送ベルト3hの他の側面で投光部4aに対向するように位置し、被検査物Wが投光部4aおよび受光部4bの間を通過すると被検査物Wにより受光部4bが遮光され、被検査物Wが搬入されたことを検出するようになっている。
また、検出信号を後述する質量検出セクション12bおよび荷重センサ12aに出力するようになっている。
【0055】
選別部5は、選別機構部5aと、搬送コンベア5bとを含んで構成される。搬送コンベア5bは、ローラ5cおよびローラ5cに対向して配置される図示しないローラと、これらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト5dとを含んで構成される。
選別機構部5aは、例えば、押し出し型の選別機構により構成されている。選別機構部5aは、良品と不良品とを選別できるものであればよく、フリッパ機構、エアジェット機構およびドロップアウト機構などの何れかの選別機構で構成してもよい。
選別機構部5aは、上流の秤量コンベア3bから搬送される被検査物Wを搬送コンベア5bで矢印B方向に搬送している間に、後述する判定セクション12dの判定結果に基づいて被検査物Wに対して搬送ベルト5dの側面方向への押し出しやジェットエアーの吹き付けを行うようになっている。この選別機構部5aは、判定結果が不良品の被検査物Wを搬送ベルト5d上から排出し、判定結果が良品の被検査物Wと区別することにより選別を行っている。
【0056】
搬送制御部11は、図2に示すように、駆動モータ11aと、制御セクション11bとを含んで構成される。制御セクション11bは、検査結果に基づいて駆動モータ11aの駆動速度を調節できるようになっている。
【0057】
重量選別部12は、品質データを取得するための荷重センサ12aと、質量検出セクション12bと、記録セクション12cと、品質の良否を判定する判定セクション12dとを含んで構成される。
荷重センサ12aは、電磁平衡機構、差動トランス機構および歪ゲージ機構などの何れかのはかり機構で構成される。電磁平衡機構では、天びんの片側に被検査物W、もう片側におもりとなる分銅を載せる代わりに、電気の力、すなわち電磁力を加えて、天びんを釣り合わせるようになっている。被検査物Wの重さにより、釣り合わせるのに必要な電気の量が変化することを利用し、天びんが釣り合ったとき、荷重センサ12aに生ずる電流を検知し、この電流の大きさに応じた信号を出力するようになっている。
【0058】
電磁力は、投受光部4によって被検査物Wの秤量コンベア3bへの搬入が検知されてから所定時間tが経過したタイミングで加えられる。所定時間tは被検査物Wが秤量コンベア3bに搬入を開始してから秤量コンベア3bに完全に乗り移り、さらに荷重センサ12aから出力された信号が安定するまでに必要な時間で設定されている。例えば、所定時間tは、操作部13からの入力により設定された秤量コンベア3bの搬送速度(m/min)および被検査物Wの搬送方向である矢印B方向に沿った長さ(mm)などの基準に基づいて決定される。
【0059】
出力された信号は、質量検出セクション12bに入力され、質量検出セクション12bにおいて被検査物Wの質量が検出され、検出された質量は、質量信号として判定セクション12dに出力される。
【0060】
記録セクション12cは、記録媒体の記録領域の一部で構成され、被検査物Wの品種に対応した被検査物Wの選別に必要な情報(例えば、質量の上限基準値および下限基準値、助走コンベア3aおよび秤量コンベア3bの各速度(m/s)および搬送方向に沿った長さ(mm)、被検査物Wの搬送方向に沿った長さ(mm)秤量コンベア3bの搬出端から選別部5までの距離、被検査物Wの搬入間隔(mm)など)や荷重センサ12aによって取得された被検査物Wの品質データ、統計データ、アラーム来歴および点検来歴などのデータを記録するようになっている。
また、記録セクション12cは、前述のような規制部7で使われる予め設定されているテーブル、操作者の操作項目に関する操作情報、操作者種別に関する属性情報、操作者に対応した認証情報などの、通信部6により通信された操作情報を記録するようになっている。
【0061】
判定セクション12dは、質量検出セクション12bから出力された被検査物Wの質量の信号を受け、記録セクション12cに予め記録されている質量の上限基準値および下限基準値を読み出し、被検査物Wの質量と上限基準値および下限基準値とを比較し上限基準値および下限基準値で決定される質量の許容範囲内に被検査物Wの質量が入っているか否かを判定する。判定した結果は、選別部5に出力される。さらに表示部8に出力され判定結果が表示され、記録セクション12cに出力され判定結果が記録されるようになっている。
【0062】
操作部13は、図1に示すように、表示部8とともに装置本体2の搬送部3側の上端部に設けられ、表示部8の表示画面の下側部分にタッチパネルとして形成してもよい。またタッチパネルとして表示した操作部13の左下側部分に「画面切換」の操作ボタンを表示し、この画面切換の操作ボタンをタッチすることにより表示部8の表示画面の一部に入力用のボタンからなる操作ボタンを表示してもよい。
【0063】
この操作部13においては、被検査物Wの選別に必要な情報、例えば、助走コンベア3aおよび秤量コンベア3bの各速度(m/s)および搬送方向に沿った長さ(mm)、被検査物Wの搬送方向に沿った長さ(mm)、被検査物Wに対する許容範囲の上限値Gaと下限値Gb、秤量コンベア3bの搬出端から選別部5までの距離、被検査物Wの搬入間隔(mm)などの選別情報を判定セクション12d、質量検出セクション12bなどに設定させるよう操作ボタンなどの入力部位から入力できるようになっている。
【0064】
本発明の実施形態に係る重量選別機1においては、各構成部分を制御する図示しないCPUおよびこれらに構成要素を接続する構造で構成するようにしてもよい。例えば、重量選別機1における搬送部3、投受光部4、選別部5、表示部8、搬送制御部11、重量選別部12、操作部13などの各構成要素はCPUによって動作するよう構成してもよい。このCPUの指令に基づいて、装置本体2内に格納された各構成要素に対応するよう設けられた制御プログラムを実行し、各構成要素を動作させるよう構成してもよい。
【0065】
また、前述の各構成部分を制御する図示しないCPUおよびこれらに構成部分を接続する構造を、重量選別機1の外部に配置したパーソナルコンピュータ、いわゆるPCで構成するようにしてもよい。この場合、PCと重量選別機1との間はケーブルや無線通信で接続されるので、重量選別機1の装置本体2が、より小型化されるとともに、構成が簡単になる。また、PCにより複数の重量選別機1を制御することができ、生産工場のシステムが統一され、高い精度で高い検査効率が得られるようになる。
【0066】
次いで、重量選別機1に対する操作者の操作について図9図10のフローチャートを参照して説明する。
図9に示すように、操作者により重量選別機1の電源が投入されると(S1)、重量選別機1は、通信部6により通信がなされるよう通信待受け状態となる(S2)。この通信待受け状態のとき、表示部8に通信部6のアンテナセクション6aに近接またはタッチするよう、「装置本体のアンテナ面に指先を近づけるかタッチしてください。」のように表示して、操作者に通信部6と端末Tとの間の通信を促すようにしてもよい。
【0067】
続いて、操作者の指先が通信部6のアンテナセクション6aに近接またはタッチすると(S3)、操作者の人体とアンテナセクション6aとの間、人体の表面および操作者の人体と端末Tとの間にそれぞれ電界が形成される。そして各電界が容量結合し人体表面に生じた電界を信号として通信部6と端末Tとの間で通信が行われる。この通信により、前述の属性またはIDが含まれる操作情報が端末Tから通信部6に送信され(S4)、通信部6の受信セクション6bが、属性またはIDが含まれる操作情報を受信する(S5)。
【0068】
次いで、受信した属性またはIDが適切なものか否かが規制部7の識別セクション7aで判断される(S6)。例えば、受信した属性が操作者種別に関する属性情報を表すものとして許容されたものであるか、操作者種別に関する属性情報である操作項目が、記録セクション12cに予め記録されているテーブルの情報に合致しているかが規制部7の識別セクション7aで判断される。また、操作者種別の属性情報である行動記録が、操作対象機器に対して求められる行動記録を満たしているか否かや、操作者に対応した認証情報であるIDに基づいて、操作項目や操作対象機器について許容されているものか否かが、規制部7の識別セクション7aで判断される。
【0069】
ステップS6で、属性またはIDが許容されたものでない場合は、通信待受けステップS2に進み、通信待受け状態となり、再度の通信がなされ、ステップS6で再度属性またはIDが許容されたものでないと判断された場合は、表示部8に属性またはIDが許容されたものでないことが表示され機器の操作が規制される。
【0070】
次いで、規制部により、操作者種別に関する属性情報である操作項目が、記録セクション12cに予め記録されているテーブルの情報に基づいて規制される(S7)。
【0071】
続いて、受信した操作情報に複数の操作項目が含まれているか否かが規制部7の識別セクション7aで判断される(S8)。すなわち、図6に示す操作項目である「運転停止」、「品種切替」、「動作確認」、「検出感度変更」、「品種登録」、「保守」の内の複数が、これから重量選別機1を操作しようとする操作者の操作者種別に関する属性情報に含まれているか否かが判断される。
【0072】
ステップS8で、操作項目である「運転停止」、「品種切替」、「動作確認」、「検出感度変更」、「品種登録」、「保守」の内の複数が操作者に許容されておらず、いずれか一つの操作項目のみが許容されている場合には、記号Aで示す図10の次のステップS22に進む。
【0073】
ステップS8で、複数の操作項目が含まれていると判断された場合、表示部8の表示画面の中央部に複数の操作項目が含まれる操作メニューが表示される(S9)。具体的には、図7に示すように、表示画面の右上には、現在日時および操作者が「山田〇子」であることが表示され、「山田〇子」操作者が重量選別機1を操作する適正な者であることが示される。また、操作メニューは、左端から操作者のID、名前、アクセスレベルおよび操作項目となっている。IDが111であること、アクセスレベルが担当者グループ1であること、〇が表示されている操作項目「運転停止」、「品種切替」および「動作確認」が許容される操作項目であること、−が表示されている操作項目「検出感度変更」、「品種登録」および「保守」が規制される操作項目であり操作することができないことが表示される。
【0074】
次いで、表示画面の操作メニューに表示された操作項目であるa「運転停止」、b「品種切替」、c「動作確認」、d「検出感度変更」、e「品種登録」、f「保守」の内の〇が記されている操作項目、すなわち許容された操作項目の内のいずれかを選択する選択の待受け状態となる(S10)。許容された操作項目の内のいずれかが、表示画面への操作者のタッチにより選択されると、いずれの操作項目が選択されたかが判断される(S11)。
【0075】
次いで、ステップS11で一つの許容された操作項目が選択されたと判断された場合、記号Bで示す図10の次のステップS21に進み、選択されたa「運転停止」、b「品種切替」、c「動作確認」の内のいずれかの操作項目の作業が開始される。
【0076】
次いで、各所定時間経過後にステップS21またはステップS22の各作業が終了したか否かが判断される(S23)。作業が終了していないと判断された場合には、さらに所定時間経過後に作業が終了したか否かが判断される(S23)。
作業が終了したと判断された場合には、続いて、通信部6により作業内容および作業結果が端末Tに送信され、端末Tの記録セクションに記録される(S24)。または、作業内容および作業結果が装置本体2に記録される(S24)。そして、他の操作項目の作業を行うか否かが判断される(S25)。例えば、操作者の表示部8へのタッチにより、他の操作項目を行うことが選択された場合には、記号Dに進み、図9に示すステップS9の操作項目選択の待受け状態となる。ステップS26で、他の操作項目を行うことが選択されなかった場合には、作業は終了する。
【0077】
以上説明したように、実施形態に係る重量選別機1は構成されているので、以下のような効果が得られる。
すなわち、実施形態に係る重量選別機1は、搬送部3によって搬送される被検査物Wの品質データを取得し、予め設定された基準値と品質データとを比較して被検査物Wの品質の良否を検査するよう構成されている。そして、重量選別機1を操作する操作者が通信部6のアンテナセクション6aに近接したときに、操作者の人体を通信媒体として操作者に装着された端末Tとの間で操作者の操作項目に関する情報を含む操作情報を通信するようになっている。この通信部6により通信された操作情報に基づいて操作者の操作項目を規制する規制部7を備えている。
【0078】
その結果、実施形態に係る重量選別機1は、従来の重量選別機と比較して簡易な方法で確実に適正な操作者に操作をさせることができるという効果が得られる。すなわち、従来の重量選別機においては、操作者を認証をする場合、カードキー認証、指紋認証および網膜認証などの認証方法がとられているため、認証機構も比較的複雑な構成となるとともに、認証に手間がかかり全体の作業効率が低下してしまうという課題があった。
【0079】
また、物品検査装置に操作者や検査者などの作業者が近づいたときに認証するものとして、車のキーレスエントリーや無線LANなどの認証システムもあるが、複数の作業者が密集している食品工場では、作業者が近づいたときに認証するものの場合、物品検査装置の前にいる作業者のみを認証しようとすると、現場環境に合わせて、電波強度の調整といった作業が必要となり、また、電波強度を完全に調整しきれないので、意図しない作業者を認証してしまう可能性があり、誤認証の原因となってしまうおそれがあった。
【0080】
これに対して、実施形態に係る重量選別機1は、人体を通信媒体として通信が実行されるので、操作者が重量選別機1の通信部6のアンテナセクション6aに近接しないと認証が行われないので、近隣に存在する複数の作業者の中から意図した作業者を正確に認証することができる。また、アンテナセクション6aに近接するだけで、通信手段と人体との間に電界が形成され、瞬時に操作情報の通信をすることができる。
【0081】
特に、重量選別機1が、食品を扱う食品検査ラインに設置された場合、より効果が発揮される。すなわち、食品に対する衛生面から、操作者は、全身が露出しないよう、白衣、マスク、ゴーグル、手袋、長靴などの衛生用具を装着することが必要となる。この場合、指紋認証では手袋を外さなければならず、網膜認証ではゴーグルを外さなければならなくなり、認証が面倒なものとなってしまう。
【0082】
重量選別機1の場合は、手袋を外す必要もなく、ゴーグルを外す必要もないので、極めて簡単な方法で適正な操作者に操作をさせることができるという効果が得られる。
また、操作者に装着された端末Tは、操作者の外部に露出している必要がなく、取り出す必要もないので、操作者の衣服の内側、例えば、図4に示すように、内ポケットに装着することができ、端末Tの落下や紛失のおそれがなくなるという効果が得られる。
また、端末Tは、腕や足などの人体の任意の部位に装着することができ、使い勝手が良好になるという効果が得られる。
【0083】
重量選別機1の場合においては、通信部6により通信された操作情報に基づいて操作者の操作項目を規制する規制部7を備えているので、すなわち、アクセスレベルである担当者グループ1、担当者グループ2および管理者グループという操作者固有の認証以外の操作情報に基づいて、重量選別機1を操作する者の操作項目を規制することができる。
具体的には、担当者グループ1、担当者グループ2および管理者グループの操作項目を構成する「運転停止」、「品種切替」、「動作確認」、「検出感度変更」、「品種登録」、「保守」の内の操作者に許容された操作項目に基づいて規制することができる。
その結果、重量選別機1に、より適合したきめ細かな管理ができ、より確実に適正な操作者に重量選別機1を操作させることができるという効果が得られる。
【0084】
また、規制部7が、通信部6により通信された操作情報に含まれる操作者種別に関する属性情報に基づいて操作項目を規制することができるので、重量選別機1が複数ある場合や、他の金属検出装置やX線異物検出装置がある場合など、各装置に対応した適正な操作者に操作させることができ、検出精度の向上や品質の安定の向上を図ることができるという効果が得られる。例えば、操作者の操作対象機器を特定する属性や、操作者の行動記録を属性とすることにより、各装置に適した者に操作を許容することができる。他方、行動記録の識別により装置の操作に適さない者を、操作させないよう規制部7により規制することもでき、検査などの品質の向上を図ることができるという効果が得られる。
【0085】
操作者種別に関する属性情報が、複数の操作項目を含む属性情報であるとき、表示部8に、複数の操作項目が含まれる操作メニューを表示するようになっているので、操作者は、自分の属性を容易に把握することができる。また、表示された複数の操作項目が含まれる担当者グループ1、担当者グループ2および管理者グループから操作しようとする操作項目を簡単に選択することができるという効果が得られる。この場合に、操作者の個別の認証を必要としないので、簡単な方法で、適正な者に重量選別機1を操作させることができる。
【0086】
また、図6のテーブルに示すように、操作者種別に関する属性情報に、優先操作項目1、2、3のような優先操作項目が含まれていると、ワンタッチで簡単に自己の操作項目を選択することができるという構成をとることも可能となる。
この優先操作項目は、重量選別機1を操作して被検査物Wの重量を検査する際の数多くの操作項目の中から優先的に操作できるものとして選択して表示することができる。したがって、重量選別機1を操作する操作者は、例えば、優先操作項目1に「USB出力」が表示されていると、操作者は、この「USB出力」の表示をタッチすることにより、重量選別機1がUSB出力の操作を許容することになり、操作者は、USBメモリを所定の場所に装着して、重量選別機1のデータを回収することができる。
したがって、操作者は、操作者の操作項目を規制する規制部7の規制セクション7bによって、選択された優先操作項目の操作のみを他の操作項目に優先して実行することができる。
【0087】
この構成により、操作者は、数多くある操作項目の中からデータを回収に関する操作項目を選択する煩わしさから解放され、ワンタッチで簡単にデータを回収することができる。他の優先操作項目2、3も優先操作項目1と同様に、点検や品種登録などの優先操作項目を、操作者別に設定することにより、操作項目の選択をきわめて簡単にすることができる構成をとることもできる。
【0088】
この優先操作項目を重量選別機1の表示部8に表示して、操作者が優先操作項目の操作を実行する例について以下説明する。
この優先操作項目の操作は、図9および図10のフローチャートに必要なステップを組み込むことにより簡単に実行することができる。
具体的には、図9に示すステップS6で、受信した属性またはIDが適切なものと判断されたのち、ステップS7の前に、属性またはIDに含まれている操作情報の中に優先操作項目が含まれているか否かを規制部7の識別セクション7aで判断する。優先操作項目が含まれていない場合には、ステップS7に進む。
【0089】
他方、優先操作項目が含まれていた場合には、図11に示すように、表示部8の表示画面の右上に、適切な属性またはIDが識別された「鈴木〇美」操作者の名前と、表示画面の中央部にID、名前、アクセスレベルおよび優先操作項目からなる操作メニューが表示される。なお、この「鈴木〇美」操作者は、図6に示すテーブルに含まれており、予め操作者毎に操作者に対応して設定されている。そして、表示画面に表示された優先操作項目が選択される選択の待受け状態となり、優先操作項目が選択されると、選択された優先操作項目の操作が開始され、図10に示すステップS23に進む。
なお、操作メニューが表示された後、優先操作項目が単一か複数かを判断し、単一であった場合には、優先操作項目を選択することなく優先操作項目の操作を開始して、図10に示すステップS23に進むようにしてもよい。
このようにして、操作者が優先操作項目の操作を簡単に実行することができる。
【0090】
また、通信部6により通信された操作情報に含まれる操作者に対応した認証情報に基づいて操作項目を規制することも可能となり、規制方法の選択の態様が広くなり、機器の操作や機器の管理方法の幅が広がるという効果が得られる。
【0091】
また、通信部6は、操作者が実行した操作に関する操作実行情報を行動記録として操作者に装着された端末Tに書き込むよう通信することもできるので、操作者に関する機器の操作の熟練度や適正さを把握することができる。端末Tに書き込まれた操作実行情報は、通信部6との通信により、重量選別機1で活用することができ、より適正な操作者に操作させることができるという効果が得られる。
【0092】
また、表示部8には、操作者に装着された端末Tとの間で通信された操作情報に含まれる操作者の行動記録の内容が表示されるので、操作者は、自己の行動記録を容易に把握することができる。
【0093】
また、規制部7は、操作者に装着された端末Tとの間で通信された操作情報に含まれる操作者の行動記録が、予め定められた行動内容から逸脱しているとき、全ての操作項目を実行させないよう規制することができる。その結果、機器の操作に不敵切な者を操作させないよう規制することができ、より品質の高い検出を実行することができるという効果が得られる。
【0094】
実施形態に係る重量選別機1においては、通信部6を装置本体2に設置し、アンテナセクション6aを操作者がタッチできるよう装置本体2に設けた構造で構成した場合について説明した。しかしながら、本発明に係る物品検査装置においては、通信部6のような構造以外の構造で構成するようにしてもよい。例えば、物品検査装置の近傍の床面に感知マットのようなセンサを設置し、操作者がその感知マット上に載ることで、人体を通信媒体とする通信を行う構造で構成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上説明したように、本発明によれば、人体を通信媒体として通信するという簡易な方法で確実に適正な操作者に操作をさせることができる物品検査装置を提供することができ、広く物品の品質を検査する装置、例えば、各種の重量選別機、X線異物検出装置、金属検出装置などの品質を維持する検査装置に有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 重量選別機(物品検査装置)
2 装置本体
3 搬送部(搬送手段)
4 投受光部
5 選別部
6 通信部(通信手段)
6a アンテナセクション(アンテナ)
7 規制部(規制手段)
8 表示部(表示手段)
9 電源部
11 搬送制御部
12 重量選別部
13 操作部
14 収納筐体
ID(認証情報)
T 端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11