特許第6143445号(P6143445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143445
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】ビアホールを検査する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20170529BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   G01N21/956 B
   H05K3/00 S
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-266087(P2012-266087)
(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公開番号】特開2013-238582(P2013-238582A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年11月4日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0050462
(32)【優先日】2012年5月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500548884
【氏名又は名称】ハンファテクウィン株式会社
【氏名又は名称原語表記】HANWHA TECHWIN CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】李 活石
【審査官】 佐々木 龍
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−060537(JP,A)
【文献】 特開平07−091914(JP,A)
【文献】 特開平10−334240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
G06T 1/00− 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材に形成されたビアホールを検査する方法において、
(a)前記ビアホールの領域を撮影して、画像を生成するステップと、
(b)前記画像からエッジを抽出するステップと、
(c)前記エッジをハフ変換して、最大値を検出するステップと、
(d)前記最大値を有する位置を中心とする円の面積を算出するステップと、
(e)前記最大値、前記位置、及び前記円の面積を基準値と比較して、前記ビアホールの状態を判断するステップと、を含み、
前記基準値は、前記ビアホールの位置を判断するために定めた第4基準値を含み、前記最大値を有するビアホールの位置及び基準となるビアホールの位置のユークリッド距離を第4基準値と比較して、前記ユークリッド距離が前記第4基準値より大きければ、前記ビアホールは、規定された位置を外れたと判断して、不良処理し、
前記ステップの(d)において、前記最大値を有する位置を中心として2値化した画像で、中心位置から輝度値が低い2値化値を有する領域拡張を試みて、拡張された領域の広さを獲得し、前記円の面積とすることを特徴とするビアホール検査方法。
【請求項2】
前記撮影された画像を2値化し、前記2値化したデータから、エッジ検出技法を利用して前記エッジを抽出することを特徴とする請求項1に記載のビアホール検査方法。
【請求項3】
前記2値化過程で、前記ビアホールの内部は、最も低い輝度値に、前記ビアホールの外部は、最も高い輝度値に設定することを特徴とする請求項2に記載のビアホール検査方法。
【請求項4】
前記素材は、電気回路が形成された回路基板及び半導体チップを含むことを特徴とする請求項1に記載のビアホール検査方法。
【請求項5】
(a1)前記素材に形成された基準ビアホールの位置及び半径を設定するステップと、
(a2)前記基準ビアホールの領域を撮影して基準画像を生成するステップと、
(a3)前記基準画像を2値化するステップと、
(a4)前記2値化したデータから、エッジ検出技法を利用してエッジを抽出するステップと、
(a5)前記エッジをハフ変換して、前記ハフ変換されたハフ画像から、前記ビアホールの位置及び面積を算出して、前記基準値に設定するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のビアホール検査方法。
【請求項6】
前記(a1)、(a2)及び(a3)ステップを経ず、前記ビアホールの位置及び半径が表示された設計資料を利用して、前記2値化したデータを獲得することを特徴とする請求項5に記載のビアホール検査方法。
【請求項7】
前記基準値は、前記ビアホールの存在を表示する第1基準値を含み、前記最大値が前記第1基準値より小さければ、前記ビアホールがないと判断して、不良処理することを特徴とする請求項1に記載のビアホール検査方法。
【請求項8】
前記ビアホールの内部で低い2値化値を有する画素の数を計数し、前記最大値が前記第1基準値より小さく、前記ビアホールの内部で低い2値化値を有する画素の数が‘0’である時、前記ビアホールがないと判断することを特徴とする請求項7に記載のビアホール検査方法。
【請求項9】
前記基準値は、前記ビアホールの面積の超過状態を判断するために定めた第2基準値を含み、前記円の面積が前記第2基準値より大きければ、前記ビアホールは、規定より広いと判断して、不良処理することを特徴とする請求項1に記載のビアホール検査方法。
【請求項10】
前記基準値は、前記ビアホールの面積の不足状態を判断するために定めた第3基準値を含み、前記円の面積が前記第3基準値より小さければ、前記ビアホールは、規定より狭いと判断して、不良処理することを特徴とする請求項1に記載のビアホール検査方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載の方法を利用して、素材に形成されたビアホールを検査するビアホール検査装置。
【請求項12】
素材に形成されたビアホールを検査する装置において、
前記素材に形成される基準ビアホールの基準値を保存するメモリと、
前記素材が装着される支持台と、
前記支持台に装着された素材のビアホールを撮影して画像を生成するカメラと、
前記カメラから前記画像を受信して保存する画像入力部と、
前記画像入力部から前記画像を受けてエッジを抽出するエッジ抽出部と、
前記エッジ抽出部から伝送される前記エッジをハフ変換して、最大値とその位置を検出するハフ変換部と、
前記ハフ変換部から前記最大値とその位置を受信し、前記メモリから前記基準値を受信し、前記最大値を有する位置を中心とする円の面積を算出し、前記最大値とその位置、及び前記円の面積を前記基準値と比較して、前記ビアホールの状態を判断するビアホール判断部と、を備え
前記基準値は、前記ビアホールの位置を判断するために定めた第4基準値を含み、前記ビアホール判断部は、前記最大値を有するビアホールの位置及び基準となるビアホールの位置のユークリッド距離を第4基準値と比較して、前記ユークリッド距離が前記第4基準値より大きければ、前記ビアホールは、規定された位置を外れたと判断して、不良処理し、前記最大値を有する位置を中心として2値化した画像で、中心位置から輝度値が低い2値化値を有する領域拡張を試みて、拡張された領域の広さを獲得し、前記円の面積とすることを特徴とするビアホール検査装置。
【請求項13】
前記メモリ、支持台、カメラ及び制御器を内蔵する本体をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載のビアホール検査装置。
【請求項14】
前記カメラを複数台備えて、複数の素材を同時に検査することを特徴とする請求項12に記載のビアホール検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路に係り、特に、回路が印刷された装置に形成されたビアホールの不良有無を検査する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷回路基板には、複数の能動(Active)素子が装着され、前記能動素子を電気的に連結させるための特定の回路パターンが形成される。これまで、回路パターンは、印刷回路基板の一面にだけ形成されて使われた。しかし、最近には、印刷回路基板の機能が複雑になって、印刷回路基板の両面に回路パターンが形成されて使われている。印刷回路基板の両面に形成された回路パターンを電気的に連結させるために、印刷回路基板を垂直に貫通するビアホール(Via Hole)が形成される。
【0003】
このように、ビアホールは、印刷回路基板の上部の回路パターンと下部の回路パターンを電気的に連結させる機能を行うので、規定に合うように形成されねばならない。しかし、ビアホールを形成する過程で、ビアホールが異常に形成されることもあり、このような異常なビアホールは、印刷回路基板の誤作動を誘発する。したがって、ビアホールの状態が正常か否かを検査する必要がある。
【0004】
特許文献1は、スルーホール(Through Hole)を有する画像信号を2進化し、それを分析してスルーホールを検査する装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5―232039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ビアホールを撮影して生成された画像を分析してビアホールの状態を正確に判断するビアホール検査方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、素材に形成されたビアホールを検査する方法において、(a)前記ビアホール領域を撮影して画像を生成するステップと、(b)前記画像でエッジ(edge)を抽出するステップと、(c)前記エッジをハフ変換(Hough Transform)して最大値を検出するステップと、(d)前記最大値を有する位置を中心とする円の面積を算出するステップと、(e)前記最大値とその位置、及び前記円の面積を基準値と比較して、前記ビアホールの状態を判断するステップと、を含むビアホール検査方法を提供する。
【0008】
前記画像を2進化し、前記2進化したデータからエッジ検出技法を利用して、前記エッジを抽出することができる。
【0009】
前記2進化過程で、前記ビアホールの内部は、最も低い輝度値に、前記ビアホールの外部は、最も高い輝度値に設定することができる。
【0010】
前記素材は、電気回路が形成された回路基板及び半導体チップを含むことができる。
【0011】
前記基準値は、(a1)前記素材に形成された基準ビアホールの位置及び半径を設定するステップと、(a2)前記基準ビアホール領域を撮影して、基準画像を生成するステップと、(a3)前記基準画像を2進化するステップと、(a4)前記2進化したデータからエッジ検出技法を利用してエッジを抽出するステップと、(a5)前記エッジをハフ変換して、前記ハフ変換されたハフ画像で、前記ビアホールの位置及び面積を算出して、前記基準値に設定することができる。
【0012】
前記(a1)、(a2)及び(a3)ステップを経ず、前記ビアホールの位置及び半径が表示された設計資料を利用して、前記2進化したデータを獲得することができる。
【0013】
前記基準値は、前記ビアホールの存在を表示する第1基準値を含み、前記最大値が前記第1基準値より小さければ、前記ビアホールがないと判断して不良処理する。
【0014】
この時、前記ビアホールの内部で、低い2進化値を有する画素の数を計数し、前記最大値が前記第1基準値より小さく、前記ビアホールの内部で、低い2進化値を有する画素の数がゼロ(0)である時、前記ビアホールがないと判断する。
【0015】
前記基準値は、前記ビアホールの面積の超過状態を判断するために、所定の第2基準値を含み、前記最大値が前記第2基準値より大きければ、前記ビアホールは、規定より広いと判断して不良処理する。
【0016】
前記基準値は、前記ビアホールの面積の不足状態を判断するために、所定の第3基準値を含み、前記最大値が前記第3基準値より小さければ、前記ビアホールは、規定より狭いと判断して不良処理する。
【0017】
前記基準値は、前記ビアホールの位置を判断するために、所定の第4基準値を含み、前記最大値を有するビアホールの位置及び基準となるビアホールの位置のユークリッド距離(Euclidean Distance)を第4基準値と比較して、前記最大値が前記第4基準値より大きければ、前記ビアホールは、規定された位置を外れたと判断して不良処理する。
【0018】
前記課題を解決するために、本発明のビアホール検査装置は、素材に形成されたビアホールを検査する装置において、前記素材に形成される基準ビアホールの基準値を保存するメモリと、前記素材が装着される支持台と、前記支持台に装着された素材のビアホールを撮影して画像を生成するカメラと、前記カメラから前記画像を受信して保存する画像入力部と、前記画像入力部から前記画像を受けてエッジを抽出するエッジ抽出部と、前記エッジ抽出部から伝送される前記エッジをハフ変換して最大値及びその位置を検出するハフ変換部と、前記ハフ変換部から前記最大値を受信し、前記メモリから前記基準値を受信し、前記最大値を有する位置を中心とする円の面積を算出し、前記最大値とその位置、及び前記円の面積を前記基準値と比較して、前記ビアホールの状態を判断するビアホール判断部と、を備える。
【0019】
前記メモリ、支持台、カメラ及び制御器を内蔵する本体をさらに備える。
【0020】
前記カメラを複数台備えて、複数の素材を同時に検査する。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、カメラで素材に形成されたビアホールを撮影して画像を生成し、前記画像に現れたビアホールを規定に合う基準ビアホールと比較して、ビアホールの状態を判断する。
【0022】
したがって、ビアホールの状態を正確に判断でき、ビアホールの不良の有無を一回で全部検出することができる。
【0023】
このように、ビアホールの不良の有無を一回で全部検出することによって、ビアホールの誤判断が防止され、ビアホールの検査時間が短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明によるビアホール検査装置を概略的に示す図面である。
図2図1に示された制御器のブロック図である。
図3】ビアホールが形成された回路基板の断面図である。
図4】本発明によるビアホール検査方法を示すフローチャートである。
図5図4に示されたビアホールの状態を判断する方法を詳細に示すフローチャートである。
図6図4に示された基準値を設定する方法を示すフローチャートである。
図7】(a)は、ビアホール領域の画像を示し、(b)は、前記画像の一部の輝度値を数字で示す図面である。
図8】画像領域をハフ領域に変換する方法を説明するための図面である。
図9】正常なビアホールを撮影した画像が2進化した状態を示す図面である。
図10】ビアホールが形成されていない状態を撮影した画像を示す図面である。
図11】ビアホールが規定より大きく形成された状態を撮影した画像が2進化した状態を示す図面である。
図12】ビアホールが規定より小さく形成された状態を撮影した画像が2進化した状態を示す図面である。
図13】ビアホールが規定された位置を外れて形成された状態を撮影した画像を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。各図面に示された参照符号のうち、同じ参照符号は、同じ部材を表す。
【0026】
図1は、本発明によるビアホール検査装置101を概略的に示す。図1を参照すれば、ビアホール検査装置101は、支持台111、カメラ121、メモリ131、制御器141、ディスプレイ151及び本体105を備える。
【0027】
支持台111上には、特定素材161、例えば、半導体チップ、または回路が形成された回路基板が装着される。素材161には、少なくとも一つのビアホール165(図3)が形成されており、前記ビアホール165(図3)は、素材161を垂直に貫通する。
【0028】
図3は、素材161の一例であって、ビアホール165が形成された回路基板161aの断面図である。図3を参照すれば、ビアホール165は、回路基板161aを垂直に貫通し、ビアホール165の内壁は、薄い金属膜166(図3)でメッキされている。回路基板161の上部及び下部には、それぞれ回路パターン163,164(図3)が形成されており、ビアホール165の内壁に形成された金属膜166は、上部の回路パターン164と下部の回路パターン163とを電気的に連結させる。したがって、回路基板161aの上部に形成された回路パターン164と、下部に形成された回路パターン163とは、電気信号を送受信することができる。
【0029】
支持台111上に装着された素材161は、そのビアホール165の状態が良好であるか否かを検査する。支持台111上には、一つの素材161が装着されてテストされてもよく、複数の素材が装着されて同時に、または順次にテストされてもよい。
【0030】
カメラ121は、支持台111上に設置され、支持台111と所定距離ほど離隔される。カメラ121は、支持台111上に装着された素材161に形成されたビアホール165領域を撮影する。カメラ121は、支持台111上に装着された素材161の安定的な撮影のために、特定の所、例えば、天井111に固定されてもよく、横に360°回転するパンニング(panning)動作と上下に90°回転するチルティング(tilting)動作を行ってもよい。また、素材161を拡大撮影/縮小撮影するズーミング(zooming)動作を行ってもよい。
【0031】
メモリ131は、素材161に形成されたビアホール165の基準値を保存する。素材161には、実質的なビアホール165が形成される前に、基準ビアホールの基準値、すなわち、ビアホール165の中心位置及び半径が先に設定される。設定された前記基準値によって、素材161に実質的なビアホール165が形成される。前記基準ビアホールの基準値は、複数個に設定される。
【0032】
制御器141は、メモリ131、カメラ121及びディスプレイ151に電気的に連結される。制御器141は、ビアホール165の領域を撮影して生成された画像からエッジ(edge)を抽出し、前記エッジをハフ変換(Hough Transform)して最大値を検出し、前記最大値を有する位置及びその位置を中心とする円の面積を算出し、前記最大値と位置、及び前記円の面積を基準値と比較して、ビアホール165の状態を判断する。制御器141は、前記判断結果を外部装置に伝達し、ディスプレイ151にその結果を表示することもある。制御器141については、図2を通じて詳細に説明する。
【0033】
本体105には、支持台111、カメラ121、メモリ131及び制御器141が内蔵され、ディスプレイ151は、その画面を外部で見られるように、本体105の一部に設置される。
【0034】
ビアホール検査装置101は、カメラ121を複数個備えて、複数の素材161を同時に検査する。
【0035】
図2は、図1に示された制御器141のブロック図である。図2を参照すれば、制御器141は、画像入力部211、エッジ抽出部221、ハフ変換部231及びビアホール判断部241を備える。
【0036】
画像入力部211は、カメラ121(図1)に連結され、カメラ121(図1)から素材161(図1)のビアホール165(図3)領域を撮影して生成された画像を受信して保存する。画像入力部211は、前記画像をエッジ抽出部221に伝送する。
【0037】
エッジ抽出部221は、画像入力部211から前記画像を受けて、前記画像に含まれたエッジを抽出してハフ変換部231に伝送する。エッジ抽出部221は、前記エッジを抽出するために、2進化過程及びエッジ抽出過程を経る。エッジ抽出部221は、エッジ探知技法を利用してエッジを抽出する。エッジ抽出部221については、図4のビアホール検査方法を通じて詳細に説明する。
【0038】
ハフ変換部231は、エッジ抽出部221から伝送される前記エッジをハフ変換して、最大値及びそれを有する位置を検出する。前記検出された最大値及び位置を、ビアホール判断部241に伝送する。ハフ変換部231の動作については、図4のビアホール検査方法を通じて詳細に説明する。
【0039】
ビアホール判断部241は、メモリ131(図1)から前記基準値を受信し、ハフ変換部231から受信した、前記最大値を有する位置を中心とする円の面積を算出し、前記最大値、その位置、及び前記円の面積を前記基準値と比較して、ビアホール165(図3)の状態を判断する。ビアホール判断部241の動作については、図4図12に示されたビアホール検査方法を通じて詳細に説明する。
【0040】
前述したように、素材161(図1)に形成されたビアホール165(図3)を撮影した画像を基準ビアホールの画像と比較することによって、ビアホール165(図3)の状態を正確に判断でき、ビアホール165(図3)の不良の有無を一回で全部検出することができる。
【0041】
したがって、ビアホール165(図3)の誤判断が防止され、ビアホール165(図3)の検査時間が短縮される。
【0042】
図4は、本発明によるビアホール検査方法を示したフローチャートである。図4を参照すれば、ビアホール検査方法は、第1ステップから第5ステップ411〜462を含む。図1及び図3を参照して、図4に示されたビアホール検査方法について詳細に説明する。
【0043】
第1ステップ411で、カメラ121は、素材161のビアホール165が位置した領域を撮影して、画像を生成する。ビアホール165の位置は、既に定められている。すなわち、ビアホール165の位置は、素材161の設計文書や基準素材161を撮影した基準画像で確認される。したがって、カメラ121は、ビアホール165の位置を正確に撮影することができる。
【0044】
第2ステップ421で、制御器141は、カメラ121から画像を受信し、前記画像からエッジを抽出する。制御器141は、前記エッジを抽出するために、2進化過程及びエッジ抽出過程を経る。すなわち、制御器141は、カメラ121から受信した画像を2進化し、前記2進化したデータからエッジ探知技法を利用してエッジを抽出する。エッジ探知技法として、キャニー(canny)エッジ探知技法を利用することができる。この時、抽出されたエッジは、ビアホール165の枠を表す。
【0045】
ビアホール領域を示す画像を2進化する時、ビアホール165の内部は、最も低い輝度値、例えば、‘0’に設定し、ビアホール165の外部は、最も高い輝度値、例えば、‘255’に設定する。したがって、理想的な場合、ビアホール165は、図9に示されたように、その内部は、完全な黒色で、その外部は、完全な白色で表示されることが望ましい。
【0046】
図7の(a)は、ビアホール領域の画像を示し、図7の(b)は、前記画像の一部711の輝度値を数字で表示した図面である。図7の(a)を参照すれば、ビアホール165の内部は、完全な黒色ではなく、黒色に近く表示され、ビアホール165に隣接した外部は、完全な白色ではなく、白色に近く表示される。図7の(b)を参照すれば、前記ビアホール領域は、数字で表示される。このように、オーツ(Otsu)技法のような輝度値臨界値を利用した2進化技法を利用して2進化する場合、輝度値が高いほど、すなわち、明るいほど2進化した値が大きく表示され、輝度値が低いほど、すなわち、暗いほど2進化した値が小さく表示される。これにより、理想的な2進化の結果は、図9のように、ビアホール内部は、低い輝度値、ビアホール外部は、高い輝度値を有するが、実際には、ビアホール外部が、図12のように低い輝度値を有する場合がある。
【0047】
第3ステップ431で、前記エッジをハフ変換して、最大値を抽出する。
【0048】
xy平面で、円の中心位置が(a,b)であり、その円の半径がRである場合、前記円に対する方程式は、下記数式1の通りである。
【0049】
【数1】
【0050】
前記数式1から、xとyは、それぞれ次の数式2のように表現される。
【0051】
【数2】
【0052】
画像から抽出されたビアホール領域のエッジ811(図8)は、図8の(a)のように、xy平面で構成された画像領域で複数の座標{(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3),…}に区分される。前記座標{(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3),…}を利用して、半径Rを有する円の中心点(a1,b1)を探すために、ab平面で構成されたハフ領域で、前記座標{(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3),…}のそれぞれに対して、図8の(b)のように、半径Rを有する円821を生成することができる。ハフ領域(図8の(b))で、前記数式2を満足させる座標{(a11,b11),(a12,b12),(a13,b13),…}に対して、“1”の値を追加する。すなわち、前記複数の円821が交差する座標{(a11,b11),(a12,b12),(a13,b13),…}に対して、‘1’の値を追加する。
【0053】
ハフ領域(図8の(b))で、座標(x1,y1)についての数式は、次の数式3のように表現する。
【0054】
【数3】
【0055】
すなわち、画像領域(図8の(a))で画素位置(x1,y1)は、ハフ領域(図8の(b))で座標(a1,b1)を中心点とし、半径がRである円831で表現される。この時、円831に存在するすべての座標{(a11,b11),(a12,b12),(a13,b13),…}に対して、ハフ領域値を“1”ずつ増加する。
【0056】
このような方式で、ハフ領域(図8の(b))で生成されたすべての円821に対して算出された値を求めた後、前記算出された値のうち最大値を有する位置(a1,b1)を検出する。前記最大値を有する位置(a1,b1)が、画像領域(図8の(a))で半径がRである円831が存在する位置、すなわち、ビアホール165の位置となる。
【0057】
第4ステップ441で、前記最大値及びその位置を中心とする円831(図8)の面積、すなわち、ビアホール165の面積を生成する。すなわち、前記最大値を有する位置を中心として2進化した画像で領域拡張を試みて、拡張された領域の広さを獲得する。このような領域拡張時、中心位置の輝度値は、低い2進化値であるので、領域拡張の条件は、その画素が低い2進化値を有する場合である。
【0058】
第5ステップ451で、前記最大値及び前記最大値を中心として算出された円831(図8)の面積を基準値と比較して、ビアホール165の状態を判断する(461、462)。前記基準値は、第1ないし第4基準値を含む。前記最大値、その位置、及び円831(図8)の面積をもって、ビアホール165の状態を判断する方法は、4個の過程(511〜541)を含む。図5は、ビアホール165の状態を判断する方法を示したフローチャートである。図5を参照して、ビアホール165の状態を判断する方法を説明する。
【0059】
第1の過程511で、ビアホール165の有無を判断する。ビアホール165の有無を判断するために、前記最大値を第1基準値と比較する。この時、ビアホール165の内部で低い2進化値を有する画素の数を計数する。ここで、ビアホール165の内部とは、前記最大値の位置を中心とするホール領域、すなわち、領域拡張を通じて獲得したホール領域を表す。第1基準値は、ビアホール165の存在を表示する基準を定めた値である。したがって、前記最大値が前記第1基準値より小さく、ビアホール165の内部で低い2進化値を有する画素の数が‘0’であれば、ビアホール165がないと判断して、素材を不良処理し、そうでなければ、ビアホール165が正常に存在すると判断する。前記最大値が前記第1基準値より小さいというのは、エッジ、すなわち、ビアホール165の枠が正常に存在しないということを表す。例えば、図10の(a)及び(b)を参照すれば、ビアホール165が形成されていなければならない位置が白色に見え、これは、ビアホール165の枠が存在していないことを表す。すなわち、ビアホール165が形成されていないことを表す。したがって、ビアホール165は、不良処理される。ビアホール165が正常に存在すると判断されれば、ビアホール165の面積を判断するステップに進む。
【0060】
第2の過程521で、ビアホール165の面積が規定を超えるか否かを判断する。ビアホール165の面積が規定を超えるか否かを判断するために、前記算出された円の面積を第2基準値と比較する。前記第2基準値は、ビアホール165の面積の超過状態を判断するための基準を定めた値である。したがって、前記算出された円の面積が前記第2基準値より大きければ、ビアホール165の面積は、規定より広いと判断して、素材を不良処理し、前記算出された円の面積が前記第2基準値より小さければ、ビアホール165の面積は、規定より大きくないと判断する。前記算出された円の面積が前記第2基準値より大きいというのは、エッジ、すなわち、円の枠が規定より大きく存在するということを表す。例えば、図11を参照すれば、ビアホール165は、黒色に見え、前記算出されたビアホール165の面積が第2基準値より大きく現れる。したがって、ビアホール165は、不良処理される。ビアホール165の面積が規定より大きくないと判断されれば、ビアホール165の面積の不足状態を判断するステップを進む。
【0061】
第3の過程531で、ビアホール165の面積が規定より不足しているか否かを判断する。ビアホール165の面積が規定より不足しているか否かを判断するために、前記算出された円の面積を第3基準値と比較する。前記第3基準値は、ビアホール165の面積の不足状態を判断するための基準を定めた値である。したがって、前記算出された円の面積が前記第3基準値より小さければ、ビアホール165の面積は、規定より小さいと判断し、前記算出された円の面積が前記第2基準値より大きければ、ビアホール165の面積は、規定より小さくないと判断する。前記算出された円の面積が前記第3基準値より小さいというのは、エッジ、すなわち、円の枠が規定より小さく存在するということを表す。例えば、図12を参照すれば、ビアホール165は、黒色に見え、前記算出されたビアホール165の面積が第3基準値より小さく現れる。したがって、ビアホール165は、不良処理される。ビアホール165の面積が規定より小さくないと判断されれば、ビアホール165の位置を判断するステップを進む。
【0062】
前記算出された円の面積が前記第2基準値より大きくなく、前記第3基準値より小さくなければ、ビアホール165の面積は、規定を満足すると判断する。
【0063】
第2の過程521と第3の過程531は、その順序が変わっても、同じ結果が得られる。
【0064】
第4の過程541で、ビアホール165の位置が正確であるか否かを判断する。ビアホール165の位置が正確な所に形成されているか否かを判断するために、前記最大値を有するビアホール165の位置と、基準画像のビアホール165の位置とのユークリッド距離(Euclidean Distance)を第4基準値と比較する。第4基準値は、ビアホール165の位置を判断するための基準を定めた値である。したがって、前記ユークリッド距離が前記第4基準値より大きければ、ビアホール165は、規定された位置を外れたと判断し、前記ユークリッド距離が、前記第4基準値と同一か、またはそれより小さければ、ビアホール165は、規定された位置にあると判断する。現在画像のビアホール165と基準画像のビアホール165のユークリッド距離は、現在画像のビアホール165の位置と基準画像のビアホール165の位置の差を自乗して加えた後、正の二乗根を取ることによって算出できる。すなわち、現在画像のビアホール165と基準画像のビアホール165のユークリッド距離dは、次の数式4を利用して求めることができる。
【0065】
【数4】
【0066】
ここで、a1及びb1は、現在画像のビアホール165の中心座標であり、a2及びb2は、基準画像のビアホール165の中心座標である。
【0067】
前記ユークリッド距離が前記第4基準値より大きいというのは、前記生成された円が横に偏して形成されているということを表す。例えば、図13を参照すれば、ビアホール165は、黒色に見え、ビアホール165が基準画像から外れて一方に偏している。したがって、この場合のビアホール165は、不良処理される(462)。
【0068】
前記のように、前記最大値及び前記算出された円の面積が、前記第1ないし第4基準値を満足すれば、ビアホール165は、正常に形成されていると判断し(461)、ビアホール165の検査工程を終了する。
【0069】
前記第1ないし第4の過程(511〜541)の順序は、必ずしも定められているものではなく、検査方法及び工程の技術程度によって変わることもある。
【0070】
第5ステップ(451)で、前記基準値を設定する方法が、図6に順次に示されている。図6を参照すれば、基準値を設定する方法は、下記のように、5過程(611〜651)を経る。
【0071】
第一に(611)、素材161に形成される基準ビアホールの位置及び半径を設定する。
【0072】
第二に(621)、カメラ121を利用して、前記基準ビアホール領域を撮影して、基準画像を生成する。
【0073】
第三に(631)、前記基準画像を2進化する。
【0074】
第四に(641)、前記2進化したデータからエッジを検出する技法、例えば、キャニーエッジ技法を利用して、エッジを抽出する。前記エッジは、ビアホール165の枠を表す。前記エッジの抽出方法は、図4の第2ステップ(421)と同一であるので、重複説明は、省略する。
【0075】
ここで、前記第1ないし第三の過程(611〜631)を経ず、ビアホール165の位置及び半径が表示された設計資料を利用して、前記2進化したデータを獲得することもできる。
【0076】
第五に(651)、前記エッジをハフ変換して、前記ハフ変換されたハフ画像で、基準ビアホールの位置及び面積を獲得する。ハフ変換方法は、図4を通じて説明した方法と同じく進められるので、重複説明は、省略する。前記基準ビアホール165の位置及び面積を利用して、前記第1基準値ないし第4基準値を設定する。
【0077】
前述したように、素材に形成されたビアホール165を撮影した画像を、基準ビアホールの画像と比較することによって、ビアホール165の状態を正確に判断でき、ビアホール165の不良有無を一回で全部検出することができる。
【0078】
したがって、ビアホール165の誤判断が防止され、ビアホール165の検査時間が短縮される。
【0079】
本発明は、図面に示された実施形態を参照して説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的な保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、印刷回路基板関連の技術分野に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
101 ビアホール検査装置
105 本体
111 支持台
121 カメラ
131 メモリ
141 制御器
151 ディスプレイ
161 特定素材
161a 回路基板
163,164 回路パターン
165 ビアホール
166 金属膜
211 画像入力部
221 エッジ抽出部
231 ハフ変換部
241 ビアホール判断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13