(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143497
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】埋設型ガス栓の取付金具
(51)【国際特許分類】
F16K 27/12 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
F16K27/12
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-43788(P2013-43788)
(22)【出願日】2013年3月6日
(65)【公開番号】特開2014-173607(P2014-173607A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151977
【氏名又は名称】株式会社藤井合金製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】西川 忠良
(72)【発明者】
【氏名】浅野 喜久男
(72)【発明者】
【氏名】越智 毅
【審査官】
加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−007230(JP,A)
【文献】
特開平11−051229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/12
F16L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁板の裏面に添設され且つガス栓を固定させるためのガス栓固定片が設けられている裏枠体と、前記裏枠体の内周縁に沿って形成される開口の周辺に前記壁板の表面側から添設させる表枠体とを具備し、
前記裏枠体と前記表枠体とで前記壁板を表裏から挟圧して取り付けられる埋設型ガス栓の取付金具において、
前記裏枠体の前記内周縁は長方形状とし、その構成辺の所定位置から、前記ガス栓固定片が前記裏枠体よりも奥側へ延長するように突設され、
前記表枠体の所定位置にネジ挿通孔が設けられ、
前記表枠体の表面側から前記ネジ挿通孔に挿通させた固定ネジが前記壁板及び前記裏枠体を介して螺合するネジ孔が形成された添設板を、前記裏枠体の裏面に添設させたことを特徴とする埋設型ガス栓の取付金具。
【請求項2】
請求項1に記載の埋設型ガス栓の取付金具において、前記裏枠体と前記添設板には、相互に係合し合う位置決め用の係合部がそれぞれ形成されていることを特徴とする埋設型ガス栓の取付金具。
【請求項3】
壁板の裏面に添設され且つガス栓を固定させるためのガス栓固定片が設けられている裏枠体と、前記裏枠体の内周縁に沿って形成される開口の周辺に前記壁板の表面側から添設させる表枠体とを具備し、
前記裏枠体と前記表枠体とで前記壁板を表裏から挟圧して取り付けられる埋設型ガス栓の取付金具において、
前記裏枠体の前記内周縁は長方形状とし、その構成辺の所定位置から、前記ガス栓固定片が前記裏枠体よりも奥側へ延長するように突設され、
前記表枠体の所定位置に複数のネジ挿通孔が設けられ、
前記表枠体の表面側から前記ネジ挿通孔に挿通させた固定ネジが螺合するネジ孔が形成された突出片が、前記裏枠体の内周縁の所定位置から突設していると共に、前記突出片は前記内周縁に沿って切断可能とし、
前記突出片が切断された場合には、前記表枠体の表面側から前記ネジ挿通孔に挿通させた固定ネジが前記壁板及び前記裏枠体を介して螺合するネジ孔が形成された添設板を、前記裏枠体の裏面に添設させる構成としたことを特徴とする埋設型ガス栓の取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面埋設型のガス栓を壁板の裏側で固定する際に使用する取付金具に関する。
【背景技術】
【0002】
石膏ボード製の壁板(40)の裏側に内蔵される埋設型のガス栓(5)の取付金具として、
図9に示すようなL型固定金具(300)がある。特に、このものは、ガス栓(5)と共に、電気コンセント(4)も取付けられる形式のものである。
L型固定金具(300)は、壁板(40)の裏面に添設され且つ略矩形状の裏枠体(31)と、裏枠体(31)の外周縁の一辺から直角に延長形成された調整板(32)とから断面L字状に構成されている。なお、裏枠体(31)の略矩形状の内周縁(31a)を構成する上下辺の各両端近傍には、4つの突出片(33a)(33b)がそれぞれ内周縁(31a)の内側に突出するように設けられている。
【0003】
このようなL型固定金具(300)で、埋設型のガス栓(5)を石膏ボード製の壁板(40)の裏側に取り付けるには、まず、壁板(40)を施工する前に、裏枠体(31)が壁板(40)の裏面に略接触状態に位置するように、L型固定金具(300)の調整板(32)を木ネジ(43)で柱(41)に仮固定する。木ネジ(43)は、調整板(32)に形成されている長孔(35)を介して、柱(41)にネジ止めされるため、L型固定金具(300)は、長孔(35)の長さ分、前後に移動可能となる。
なお、裏枠体(31)には係止突起(34)が奥側へ突設されており、この係止突起(34)にガス栓(5)を針金等によって係止させて位置決めしておく。
【0004】
その後、施工した壁板(40)の、裏枠体(31)の内周縁(31a)で囲まれる範囲内に対応する所定位置にドリルで穴を開け、その穴から小型のノコギリ等で、壁板(40)を、裏枠体(31)の内周縁(31a)に沿って切り欠いていく。これにより、壁板(40)に、内周縁(31a)と同大同形の開口(42)が形成される。
その後、開口(42)からL型固定金具(300)を手前へ引き寄せて、裏枠体(31)を壁板(40)の開口(42)の周辺の裏面に密着させた状態にて木ネジ(43)で調整板(32)を固定し、壁板(40)の表面に表枠体(3)を添設させる。
【0005】
そして、電気コンセント(4)及び表枠体(3)に挿通させた固定ネジ(44)を、裏枠体(31)のうち、図面において左側に位置する一対の突出片(33a)に形成されているネジ孔に螺合させて締め付けると、壁板(40)の開口(42)の周辺域は表枠体(3)と裏枠体(31)とで表裏から挟圧される。
この状態にて、裏枠体(31)のうち、図面において右側に設けられている一対の突出片(33b)にガス栓(5)を、各々ネジ止めにより取り付ける。この場合、左側の突出片(33b)がガス栓固定片として機能する。
その後、表枠体(3)の表面に化粧板(30)を取り付ければ、電気コンセントを具備させた埋設式ガス栓の取付工事が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−7230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記したような従来の埋設式のガス栓の取付金具では、裏枠体(31)の、略矩形の内周縁(31a)の上下辺の両端近傍から突出片(33a)(33b)が内側へ突出しているため、内周縁(31a)の各辺に沿って壁板(40)を小型ノコギリ等で切り欠いていくと、突出片(33a)(33b)に当接した時点で切欠き作業が中断させられる。このとき、壁板(40)が石膏ボードの場合では、カッター等を用いることにより比較的容易に壁板(40)を突出片(33a)(33b)の基端部に沿って切断することができるため、さほど手間はかからないが、壁板(40)が板材の場合には、カッターでは突出片(33a)(33b)の基端部に沿って板材を切断することが困難であるため、開口(42)の切り抜き作業に時間を要し、埋設型ガス栓の取り付け作業の効率が低下する上に、美しい長方形状の開口(42)を形成することができないといった問題がある。
【0008】
本発明は、『壁板の裏面に添設され且つガス栓を固定させるためのガス栓固定片が設けられている裏枠体と、前記裏枠体の内周縁に沿って形成される開口の周辺に前記壁板の表面側から添設させる表枠体とを具備し、
前記裏枠体と前記表枠体とで前記壁板を表裏から挟圧して取り付けられる埋設型ガス栓の取付金具』において、切り欠き作業が困難な材質の壁板でも、前記壁板に、前記裏枠体の内周縁に沿って開口を容易に形成することができるようにした作業性の良い埋設型ガス栓の取付金具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明の埋設型ガス栓の取付金具は、『前記裏枠体の前記内周縁は長方形状とし、その構成辺の所定位置から、前記ガス栓固定片が前記裏枠体よりも奥側へ延長するように突設され、
前記表枠体の所定位置にネジ挿通孔が設けられ、
前記表枠体の表面側から前記ネジ挿通孔に挿通させた固定ネジが前記壁板及び前記裏枠体を介して螺合するネジ孔が形成された添設板を、前記裏枠体の裏面に添設させた』ことを特徴とする。
【0010】
上記技術的手段は次のように作用する。
ガス栓を固定させるためのガス栓固定片は裏枠体よりも後方(壁の奥側)へ延長するように突設されているから、裏枠体の内周縁の内側には何も突出物が存在していない。これにより、壁板の裏面に裏枠体を添設させた後、表面側から、前記裏枠体の内周縁に沿って壁板を切り欠く際に、切欠作業の障害となるものは何もなく、前記長方形を構成する四辺に沿ってスムーズに切り欠くことができ、裏枠体の内周縁と同形同大の長方形状の開口を、壁板に容易に且つ美しく形成することができる。
壁板に形成した開口周辺の表面に表枠体を添設させ、裏枠体のさらに裏側に添設板を添設させ、表枠体のネジ挿通部に挿通させた固定ネジを、壁板、裏枠体を通過させた後、添設板に設けられているネジ孔に螺合させて、締め付けることにより、表枠体と裏枠体とで前記壁板の開口周辺を表裏から挟圧する態様で、前記壁板に取り付けられる。
【0011】
請求項2の発明のものは、上記請求項1の発明の埋設型ガス栓の取付金具において、『前記裏枠体と前記添設板には、相互に係合し合う位置決め用の係合部がそれぞれ形成されている』もので、前記裏枠体と前記添設板の各々の係合部を相互に係合することにより、添設板は裏枠体の裏面に正しく位置決めされた状態に添設されることとなり、表枠体のネジ挿通部に挿通させたネジは、添設板のネジ孔に容易に螺合させることが可能となる。
【0012】
また、請求項3の発明のものは、『壁板の裏面に添設され且つガス栓を固定させるためのガス栓固定片が設けられている裏枠体と、前記裏枠体の内周縁に沿って形成される開口の周辺に前記壁板の表面側から添設させる表枠体とを具備し、
前記裏枠体と前記表枠体とで前記壁板を表裏から挟圧して取り付けられる埋設型ガス栓の取付金具において、
前記裏枠体の前記内周縁は長方形状とし、その構成辺の所定位置から、前記ガス栓固定片が前記裏枠体よりも奥側へ延長するように突設され、
前記表枠体の所定位置に複数のネジ挿通孔が設けられ、
前記表枠体の表面側から前記ネジ挿通孔に挿通させた固定ネジが螺合するネジ孔が形成された突出片が、前記裏枠体の内周縁の所定位置から突設していると共に、前記突出片は前記内周縁に沿って切断可能とし、
前記突出片が切断された場合には、
前記表枠体の表面側から前記ネジ挿通孔に挿通させた固定ネジが前記壁板及び前記裏枠体を介して螺合するネジ孔が形成された添設板を、前記裏枠体の裏面に添設さ
せる構成とした』ことを特徴とするもので、石膏ボード等のように、カッター等で容易に切り欠きや切断が可能な材質からなる壁板の場合では、裏枠体に具備させた突出片の基端部に沿って壁板のみを切り抜けば、前記突出片は開口内に露出する態様となり、この突出片に具備させたネジ孔を利用して表枠体と裏枠体を固定ネジでネジ止めすることができる。この場合、添設板は不要である。
壁板が板材のようにカッターでの切り欠きや切断が困難な材質からなる場合は、前記突出片を裏枠体の内周縁に沿って切断する。これにより、前記内周縁は内方に突出片が突出しない長方形状となるから、上記した請求項1の作用と同様に、裏枠体の背面に添設板を添設し、表枠体と添設板とを、
前記表枠体の表面側から前記ネジ挿通孔に挿通させた固定ネジを、前記壁板及び前記裏枠体を介して、添設板に形成されたネジ孔に螺合させてネジ止めにより固定すれば、表枠体と添設板で、壁板を、裏枠体を介して挟圧することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、裏枠体の長方形状の内周縁の各辺に沿って、壁板を小型ノコギリ等で切り欠いていく際に、障害物に当接して切欠作業を中断させられることがなく、スムーズに切欠作業を継続させることができる。よって、切欠作業が困難な板材の場合であっても、小型ノコギリ等によって前記裏枠体の内周縁に沿った美しい長方形状の開口を容易に形成することができるので、埋設型ガス栓の取り付け作業の作業効率が向上する。
【0014】
又、請求項2に係る発明によれば、添設板を裏枠体の適切な位置に容易に添設させることができるので、埋設型ガス栓の取り付け作業の作業効率が一層向上する。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、壁板の材質に係らず、同じ裏枠体を使用することができるので、用意する部品点数が少なくて済み、使い勝手の良い取付金具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1番目の実施の形態の埋設型ガス栓の取付金具を構成する裏枠体を、調整板を介して柱に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1番目の実施の形態の埋設型ガス栓の取付金具を構成するの調整板の斜視図である。
【
図3】本発明の第1番目の実施の形態の埋設型ガス栓の取付金具を利用してガス栓を固定した状態を示す正面図である。
【
図4】本発明の第1番目の実施の形態の埋設型ガス栓の取付金具の他の使用例の説明図である。。
【
図5】本発明の第1番目の実施の形態の埋設型ガス栓の取付金具のさらに他の使用例の説明図である。
【
図6】本発明の第2番目の実施の形態の埋設型ガス栓の取付金具を利用してガス栓と電気コンセントを固定した状態を示す正面図である。
【
図7】本発明の第2番目の実施の形態の埋設型ガス栓の取付金具の他の使用例を示す正面図である。
【
図8】本発明の第3番目の実施の形態の埋設型ガス栓の取付金具を構成する裏枠体の背面図であって、(A)は突出片を具備させた状態を示し、(B)は突出片を取り除いた状態の裏枠体とそれに添設させる添設板の説明図である。
【
図9】従来の埋設型ガス栓の取付金具を利用したガス栓の取り付け状態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1番目の実施の形態の埋設型ガス栓の取付金具を構成する裏枠体(1a)を、調整板(2)を介して柱(41)に取り付けた状態を示す斜視図である。
調整板(2)は、
図2に示すように、一方の側辺から付属片(21)が直角に張り出す断面L字状に形成されており、この付属片(21)の境界部分の上下端近傍の各々に係止孔(2a)が形成されている。
裏枠体(1a)の両側辺の上下端近傍の所定位置には係止孔(2a)に係合可能な係合凸部(18)がそれぞれ突設されてあり、係合凸部(18)を係合孔(2a)にそれぞれ係合させると共に、裏枠体(1a)と調整板(2)とが直角に位置するように組み合わせることにより、L型固定金具(100)が構成される。
【0018】
裏枠体(1a)は全体が縦長の略長方形状の枠体であり、縦長長方形状の内周縁(10a)が形成されている。内周縁(10a)の上下辺の一方の一端寄り(
図1では上辺の柱(41)寄り)と、左右辺の一方の一端寄り(
図1では左側辺の下端寄り)には、ガス栓(5)(
図3参照)を固定するためのガス栓固定片(11)が裏側へ延長するように形成されている。そして、上記したように、裏枠体(1a)の外周縁のうち左右両側辺の上下両端寄りの各位置に、4つの係合凸部(18)が裏側へ突設されている。
また、裏枠体(1a)の裏面の上下辺の中央には、後述する添設板(22a)を係止するための係止突起(12)が突設されている。
【0019】
調整板(2)は、上述したように、断面略L字状に構成された金属板であり、付属片(21)との境界部分の上下両端寄りに、係合凸部(18)が係合可能な係合孔(2a)が形成されていると共に、調整板(2)の上下端寄りの所定位置には、調整板(2)を、柱(41)の所定位置にネジ止めする木ネジ(43)を挿通させるための一対の長孔(20)がそれぞれ平行に形成されている。
裏枠体(1a)の左右両側辺に同様な係合凸部(18)が形成されていることから、調整板(2)は、裏枠体(1a)の左右両側辺のどちらにでも取り付け自在となっている。
【0020】
以下、裏枠体(1a)と調整板(2)からなるL型固定金具(100)を利用して、ガス栓を取り付ける作業工程について説明する。
まず、壁板(40)の裏側に位置する柱(41)の位置とガス栓の姿勢等に応じて、裏枠体(1a)の左右両側辺のどちらかに調整板(2)を取り付けて、L型固定金具(100)を構成する。
この実施の形態の場合では、調整板(2)が、表側から見て裏枠体(1a)の左側に位置するように取り付けられているが、柱(41)の位置やガス栓の姿勢等に応じて、裏枠体(1a)の姿勢を180度反転させて使用することも可能であり、その場合、本実施の形態の場合のガス栓固定片(11)は、
図1における下辺と右側辺から突出する態様となる。
【0021】
そして、壁板を取り付ける前に、柱(41)の所定位置に調整板(2)を添設させ、長孔(20)に木ネジ(43)を対応させて、裏枠体(1a)を柱(41)の所定位置に、長孔(20)の横長さ分、前後にスライド可能にネジ止めする。これにより、L型固定金具(100)は、柱(41)に仮固定されることとなり、この仮固定状態において、裏枠体(1a)が壁板(40)の裏面に当接する位置にまで調整板(2)をスライドさせ、
図3に示すように、裏枠体(1a)のガス栓固定片(11)を利用して、フレキ管に接続されたガス栓(5)をネジ固定する。
【0022】
その後、壁板を施工し、裏枠体(1a)の長方形状の内周縁(10a)内に対応する箇所にドリルで孔を開け、その孔に小型のノコギリを挿入して、裏枠体(1a)の内周縁(10a)に当接するまで壁板(40)を切り欠いていく。
内周縁(10a)に当接した後は、内周縁(10a)に沿って、切り欠いていけば、壁板(40)に、内周縁(10a)と同形同大の開口(42)を形成することができる。このとき、内周縁(10a)上には突出物は存在しないから、前記小型ノコギリでの切欠作業がスムーズに進み、板材のような切り欠きにくい材質の壁板であっても、容易に、開口(42)を美しく形成することができる。
【0023】
そして、壁板(40)の表面に添設させる表枠体(1a)を固定するために、裏枠体(1a)の裏側に、添設板(22a)を添設させる。
添設板(22a)は、壁板(40)の表側(室内側)から開口(42)及び裏枠体(1a)の内周縁(10a)をくぐらせて、裏枠体(1a)の裏側に位置させるものであり、
図1及び
図3に示すように、裏枠体(1a)の内周縁(10a)の周辺の一部に沿う大きさの薄肉の略L字状の金属板である。その短辺中央には、係止突起(12)が係止可能な係止孔(24)が形成されている。係止突起(12)を係止孔(24)に嵌め込んで係止させることにより、裏枠体(1a)に対する添設板(22a)の適正な位置への位置決めが可能となる。
【0024】
係止突起(12)を係止孔(24)に嵌め込んで、裏枠体(1a)の裏面に添設板(22a)を添設させた状態にて、内周縁(10a)を構成する長方形の一方の対角線上に位置する各コーナ部から長方形の内側に突出するように、添設板(22a)に具備させた突出片(23a)が設けられており、突出片(23a)にはネジ孔(25a)が形成されている。
【0025】
そこで、図示しない表枠体を、開口(42)の周辺を覆うように壁板(40)の表面に添設させ、表枠体に設けられているネジ挿通孔に固定ネジを挿通させると共に、壁板(40)、裏枠体(1a)の内周縁(10a)を通過した後、添設板(22a)の突出片(23a)のネジ孔(25a)に螺合させる。
固定ネジの締め付けに伴って、表枠体と添設板(22a)との距離が狭まっていき、最終締め付け位置に達するまで固定ネジを締め付けることにより、壁板(40)の開口(42)の周辺と裏枠体(1a)は、表裏から、表枠体と添設板(22a)とによって挟圧される態様となり、これにより、裏枠体(1a)のガス栓固定片(11)に固定されたガス栓(5)は壁板(40)内に設置されることとなる。
【0026】
上記実施の形態では、、柱の位置に応じて、調整板(2)は裏枠体(1a)の左右どちらにでも装着自在である上に、ガス栓(5)の形状やフレキ管の位置に応じて、裏枠体(1a)は180度回転可能であり、また、添設板(22a)は、180度回転可能である上に、反転も可能であるから、
図4及び
図5に示すような使用態様も可能となる。
【0027】
図6及び
図7は、第2番目の実施の形態の埋設型ガス栓の取付金具であり、電気コンセント付きのガス栓を固定するためのものである。
図6の使用態様では、裏枠体(1b)の内周縁(10b)の左半分が、電気コンセント取付部(14)となっており、右半分が、ガス栓取付部(15)となっており、ガス栓取付部(15)の範囲内の上辺及び側片の所定位置に、ガス栓固定片(11)を、上記第1番目の実施の形態と同様に裏側に延長する態様で設けている。
【0028】
この実施の形態の添設板(22b)は、ガス栓取付部(15)の柱(41)側の一側辺に沿って添設させる細長い板状体であり、その上下端にネジ孔(25b)が形成された突出片(23b)が裏枠体(1b)の内周縁(10b)の内側に突出するように形成されている。
また、裏枠体(1b)の裏面には、上記した第1番目の実施の形態と同様に係止突起(12)が突設されており、添設板(22b)の所定位置には、それに係止させるための係止孔(24)が形成されている。
【0029】
この実施の形態の裏枠体(1b)も、その両側辺のどちらにでも調整板(2)が取付自在となっており、柱(41)の位置に応じて、
図6に示すように、裏枠体(1b)の右側に調整板(2)を取り付けることも、図には示さないが左側に調整板(2)を取り付けることも可能である。
また、
図7に示すように、裏枠体(1b)を上下逆になるように反転させれば、裏枠体(1b)内にて電気コンセント取付部(14)とガス栓取付部(15)を左右逆に位置させることも可能であり、添設板(22b)も、裏枠体(1b)の姿勢に応じて、裏枠体(1b)の左右どちらにでも装着することができる。
なお、電気コンセント(4)は、図示しないが表枠体に取り付けられる構成となっている。
【0030】
図8に示すものは、第3番目の実施の形態の裏枠体(1c)の背面図であり、縦長長方形状の内周縁(10c)の4つのコーナ部に、ネジ孔(16)を有する突出片(13)が、内周縁(10c)の内側に突出するように設けた構成としている。なお、内周縁(10c)の延長線上で且つ突出片(13)を囲むように、略L字状の打ち抜き部(17)が形成されており、突出片(13)は打ち抜き部(17)の両側方の連結部(19)によって、裏枠体(1c)と連結された態様となっている。
内周縁(10c)の所定位置からは、上記各実施の形態のものと同様に、ガス栓固定片(11)が裏面へ延長するように形成されている。
【0031】
このものでは、壁板が石膏ボードのような、カッター等で容易に切欠可能な材質からなる場合では、裏枠体(1c)は、
図8の(A)に示すように、突出片(13)を突出させた形状のまま使用し、表枠体のネジ挿通孔に挿通させる固定ネジは、突出片(13)のネジ孔(16)に螺合させて締め付ける。これにより、壁板に設けられる開口周辺は、表枠体と裏枠体(1c)とで挟圧されることとなる。この場合、上記各実施の形態で利用したような添設板は不要である。
【0032】
そして、壁板が板材のように、カッターでは容易に切り欠けないような材質の場合、突出片(13)をプライヤー等の工具で捻り上げたり引っ張ったりすることにより、連結片(19)は容易に切断され、
図8の(B)に示すように、突出片(13)は打ち抜き部(17)に沿って取る除くことができる。突出片(13)を取り除くと、内周縁(10c)の内側には何も突出するものはないから、上記各実施の形態の裏枠体と同様に、小型のノコギリ等を差し込んで、内周縁(10c)に沿って壁板を切り欠いて行くことができる。
この場合、裏枠体(1c)の裏面には、同図に示すように、略L字状の添設板(22c)を添設させ、添設板(22c)に形成されている係止孔(24)を、裏枠体(1c)の裏面に突設されている係止突起(12)に係止させることにより、添設板(22c)を裏枠体(1c)の裏面の適切な位置に取り付けた後、添設板(22c)に設けているネジ孔(25c)に、表枠体のネジ挿通孔に挿通させた固定ネジを螺合させて、表枠体と添設板(22c)とで壁板の開口周辺を挟圧することができる。
【0033】
このように、第3番目の実施の形態の取付金具では、裏枠体(1c)の突出片(13)を容易に取り除くことができるから、壁板の材質によって裏枠体(1c)自体を取り替えることなく、1枚の裏枠体(1c)で、板材にも石膏ボードにでも対応することができ、適応範囲の広い埋設型ガス栓の取付金具を提供することができ、作業時間も短縮させることができる。
【符号の説明】
【0034】
(1c)・・・・・・・・・裏枠体
(10c)・・・・・・・・内周縁
(11)・・・・・・・・ガス栓固定片
(22a)(22b)(22c) ・・添設板
(25a)(25b)(25c) ・・ネジ孔
(40)・・・・・・・・壁板
(42)・・・・・・・・開口