特許第6143556号(P6143556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143556
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】農産物皮剥き装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 7/02 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   A23N7/02
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-112669(P2013-112669)
(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公開番号】特開2014-230507(P2014-230507A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】510081562
【氏名又は名称】株式会社徳尾商事
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】徳尾 健太
(72)【発明者】
【氏名】神 貴啓
【審査官】 長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−031398(JP,A)
【文献】 特開2009−171941(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3084921(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第00224108(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農産物が水平方向に送られる搬送路を形成する一対のドラムと、
これらのドラムを回転自在に支持する機枠と、
前記両ドラムを回転させる駆動装置とを備え、
前記ドラムは、
前記搬送路の底となる筒状壁を有しかつこの筒状壁を厚み方向に貫通する多数の穴が形成された筒状本体と、
この筒状本体の両端部に設けられ、この筒状本体を前記機枠に接続する軸部材とを含み、
前記一対のドラムのうち少なくとも一方のドラムに設けられ、前記筒状本体の内部を回転方向に並ぶ複数の空間に仕切る仕切板と、
前記仕切板を有する前記ドラムの前記軸部材に形成され、このドラムの外と前記空間とを連通する連通穴とをさらに備えていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項2】
請求項1記載の農産物皮剥き装置において、
前記仕切板を有する前記ドラムに設けられ、前記筒状本体の内部を回転中心側と前記筒状本体の内面側とに分ける内筒をさらに備え、
前記内筒は、この内筒の内方の空間と、この内筒と前記筒状本体との間の空間とを隔絶するものであり、
前記仕切板は、前記筒状本体と前記内筒との間に設けられていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の農産物皮剥き装置において、
前記仕切板を有する前記ドラムは、前記機枠に着脱可能に取付けられていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちいずれか一つに記載の農産物皮剥き装置において、
前記筒状本体は、前記軸部材に着脱可能に取付けられていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のドラムを使用して農産物の皮を剥く農産物皮剥き装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の農産物皮剥き装置としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示された農産物皮剥き装置は、一対のドラムの上で農産物を転がし、ドラムに農産物が擦り付けられることによって皮を剥くものである。前記一対のドラムは、農産物を水平方向に送る搬送路の底を構成しており、互いに平行に並ぶ状態で機枠に回転自在に支持されている。これらのドラムには、農産物の皮を剥くための多数の穴と、農産物を跳ね上げるための多数の弾性体からなる突起とが設けられている。
【0003】
前記搬送路に投入された農産物は、一対のドラムによって回転させられるとともに、前記突起によって跳ね上げられる。この農産物の皮は、上述したように農産物が一対のドラムの上で飛び跳ねながら回転することによって、前記穴の開口縁に接触して剥ける。
前記ドラムは、皮剥き作業が終了した後に機枠から取外されて清掃される。この清掃作業は、例えばドラムに水を掛けながらブラシでドラムを擦ることによって行われる。また、この清掃作業は、ドラムを機枠から取り外して行うこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−51212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように構成された従来の皮剥き装置は、大量の農産物を処理することによって、次のような問題が生じる。この問題とは、ドラムの穴からドラム内に入った農産物の皮がドラムの内周面に堆積し、堆積物の塊となることである。
皮の塊がドラム内に生じると、ドラムが高速で回転するときに皮の塊に作用する遠心力で偏心し、振動や騒音が発生することがある。
【0006】
ドラム内に入った皮は、作業終了後にドラムに上から水を掛けただけではドラムから排出することは難しい。この理由は、水がドラム内を通過し、ドラムの下側に位置する穴から流出してしまうからである。このため、従来の皮剥き装置では、清掃作業に要する時間が長くなるとともに、水の使用量が多くなるという問題もあった。
【0007】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、剥かれた皮がドラムの内面に固着したり堆積することを防ぐことができ、しかも、ドラムの清掃を速く簡単に行うことができる農産物皮剥き装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る農産物皮剥き装置は、農産物が水平方向に送られる搬送路を形成する一対のドラムと、これらのドラムを回転自在に支持する機枠と、前記両ドラムを回転させる駆動装置とを備え、前記ドラムは、前記搬送路の底となる筒状壁を有しかつこの筒状壁を厚み方向に貫通する多数の穴が形成された筒状本体と、この筒状本体の両端部に設けられ、この筒状本体を前記機枠に接続する軸部材とを含み、前記一対のドラムのうち少なくとも一方のドラムに設けられ、前記筒状本体の内部を回転方向に並ぶ複数の空間に仕切る仕切板と、前記仕切板を有する前記ドラムの前記軸部材に形成され、このドラムの外と前記空間とを連通する連通穴とをさらに備えていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明は、前記発明において、前記仕切板を有する前記ドラムに設けられ、前記筒状本体の内部を回転中心側と前記筒状本体の内面側とに分ける内筒をさらに備え、前記内筒は、この内筒の内方の空間と、この内筒と前記筒状本体との間の空間とを隔絶するものであり、前記仕切板は、前記筒状本体と前記内筒との間に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明は、前記発明において、前記仕切板を有する前記ドラムは、前記機枠に着脱可能に取付けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明は、前記発明において、前記筒状本体は、前記軸部材に着脱可能に取付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転するドラムに農産物が当たることによって、農産物の皮が剥かれる。なお、この皮は、泥や砂などが付着しているものも含む。一方、このドラムは、回転することによって、仕切板を羽根とするファンとして機能する。すなわち、筒状壁を厚み方向に貫通する穴を通ってドラム内から外に向けて空気が吹き出す。このため、剥かれた皮の一部がこの風によって押されて飛ばされ、皮が筒状壁の穴からドラム内に入り難くなるから、ドラム内に入る皮の量が従来と比べて少なくなる。
【0013】
ドラムの中に入った皮は、仕切板によって仕切られた空間の中でドラムとともに回転する。このドラム内に入った皮は、ドラム内の1箇所に集まることはなく、仕切板で仕切られた複数の空間に分散される。
この農産物皮剥き装置は、ドラムの外に向かう風によってドラム内に入る皮の量が少なくなることと、ドラム内に入った皮がドラム内に分散することとから、ドラム内に皮が固着し難く、皮の塊が生じ難いものとなる。このため、本発明によれば、ドラム内に堆積して塊となった皮に作用する遠心力でドラムが偏心することはないから、ドラムの偏心に起因して振動や騒音が発生することを防ぐことができる。
【0014】
仕切板で仕切られた空間の中で飛び回る皮の一部は、遠心力によって筒状壁の穴を通過してドラムの外に飛び出る。また、前記空間内を飛び回る皮は、ドラムの筒状本体の内面や仕切板に付着した皮に当たることがある。このような場合、筒状本体や仕切板に付着していた皮がこれらの部材から剥がれ、上述したように遠心力で穴からドラムの外に飛び出ると考えられる。このため、この農産物皮剥き装置においては、ドラムの中に残留する皮の量がより一層少なくなる。
【0015】
ドラムの清掃は、運転終了後にこれらのドラムに水を掛けて実施することができる。この水は、筒状本体の穴からドラム内に落下し、仕切板によって受けられる。すなわち、水がドラム内を上端から下端まで通過することはなく、仕切板によって仕切られた空間のうち、上側に位置する二つの空間内に一時的に溜められる。この場合、仕切板が実質的に底となる複数の水路がドラム内に形成される。この水路に入った水は、ドラム内の皮とともに仕切板に沿って流れる。このため、ドラム内に入った皮は、上述した水路を流れて筒状本体の穴や、軸部材の連通穴からドラムの外に排出される。
したがって、本発明によれば、剥かれた皮がドラムの内面に固着したり堆積することを防ぐことができるとともに、清掃が容易な農産物皮剥き装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態による農産物皮剥き装置の構成を示す斜視図である。図1は、ドラムを部分的に破断した状態で描いてある。
図2】上流側支持部材の搬送方向上流側から見た状態を示す背面図である。図2は、ドラムスリーブと、インナースリーブと、仕切板とを上流側支持部材に接続した状態で描いてある。また、図2は、上流側支持部材の一部を破断した状態で描いてある。
図3】ドラムの上流側端部の構成を示す分解斜視図である。図3は、ドラムの一部を破断した状態で描いてある。
図4】下流側支持部材の搬送方向下流側から見た状態を示す正面図である。図4は、インナースリーブと仕切板とを下流側支持部材に接続した状態で描いてある。また、図4は、下流側支持部材の一部を破断した状態で描いてある。
図5】ドラムの下流側端部の構成を示す分解斜視図である。図5は、ドラムの一部を破断した状態で描いてある。
図6】ドラムの断面図である。図6の破断位置は、図2中にVI−VI線によって示す。
図7】第1のドラムの一部を拡大して示す平面図である。
図8】第2のドラムの一部を拡大して示す平面図である。
図9】第2の穴の他の例を示す平面図である。
図10】本発明の第2の実施の形態による農産物皮剥き装置と農産物供給装置の平面図である。図10は、農産物皮剥き装置の蓋体を省略した状態で描いてある。
図11】農産物皮剥き装置と農産物供給装置の側面図である。
図12】農産物皮剥き装置の搬送方向の上流側から見た背面図である。
図13】使用状態にある農産物皮剥き装置の搬送方向の下流側から見た正面図である。
図14】蓋体を開いた状態にある農産物皮剥き装置の搬送方向の下流側から見た正面図ある。
図15】第1〜第4の皮剥き部を拡大して示す平面図である。
図16】第1、第2のドラムの支持構造を説明するための断面図である。図16は、使用状態を示している。
図17】第1、第2のドラムの支持構造を説明するための断面図である。図17は、第1、第2のドラムを機枠から外した状態を示す。
図18図15におけるXVIII-XVIII線断面図である。
図19図15におけるXIX-XIX線断面図である。
図20】農産物ガイドを示す図で、同図(A)は平面図、同図(B)は側面図、同図(C)は第1、第3の農産物ガイドを搬送方向の上流側から見た背面図、同図(D)は第2、第4の農産物ガイドを搬送方向の下流側から見た正面図である。
図21】第1、第3の農産物ガイドの下流部の支持構造を示す正面図である。
図22】第1、第3の農産物ガイドの下流部の支持構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る農産物皮剥き装置の一実施の形態を図1図9によって詳細に説明する。
図1に示す農産物皮剥き装置1は、一対のドラム(第1のドラム2と第2のドラム3)と、これらのドラム2,3を回転自在に支持する機枠4と、両ドラム2,3を駆動する駆動装置5とを備えている。
第1、第2のドラム2,3は、農産物6が水平方向に送られる搬送路7を形成する機能と、農産物6の皮を剥く機能とを有するものである。この農産物皮剥き装置1に用いることができる農産物6は、じゃがいも、里芋、さつまいも、人参、大根、キウイフルーツ、アボガドなどである。
【0018】
第1、第2のドラム2,3は、搬送路7が伸びる方向とは直交する水平方向に所定の間隔をおいて互いに平行に並んでいる。すなわち、これら一対のドラム2,3は、農産物65が水平方向に送られる谷状の搬送路6を構成している。農産物6は、この搬送路7の水平方向の一端側から他端側に送られる。
農産物6を送るにあたっては、搬送方向の下流側が上流側より低くなるように傾斜させたり、搬送装置(図示せず)を用いることができる。この実施の形態は、農産物6が図1において右側から左側に向けて送られると仮定して説明する。なお、以下において、搬送方向に長い部品の端部を説明するにあたっては、搬送方向の上流側の端部を単に「上流側端部」といい、搬送方向の下流側の端部を単に「下流側端部」という。
【0019】
第1のドラム2は、主に農産物6の皮を剥く機能を有するものである。この第1のドラム2は、円筒からなるドラムスリーブ11と、このドラムスリーブ11の軸方向の端部に接続された上流側軸部材13および下流側軸部材14とを備えている。第2のドラム3は、主に農産物6を跳ね上げる機能を有するものである。この第2のドラム3は、円筒からなるドラムスリーブ12と、このドラムスリーブ12の軸方向の端部に接続された上流側軸部材13および下流側軸部材14とを備えている。この実施の形態においては、ドラムスリーブ11,12によって、本発明でいう「筒状本体」が構成されている。また、この実施の形態においては、上流側軸部材13と下流側軸部材14とがそれぞれ本発明でいう「軸部材」を構成している。第1のドラム2のドラムスリーブ11の外径は、第2のドラム2のドラムスリーブ12の外径と等しい大きさに形成されている。
【0020】
ドラムスリーブ11,12は、上述した搬送路7の底となる筒状壁11a,12aを有する円筒によって形成されている。第1のドラム2のドラムスリーブ11には、筒状壁11aを厚み方向に貫通する多数の第1の穴15が形成されている。第2のドラム3のドラムスリーブ12には、筒状壁12aを厚み方向に貫通する多数の第2の穴16が形成されている。第1の穴15と第2の穴16の開口形状は、この実施の形態で図示した形状に限定されることはなく、適宜変更可能である。
【0021】
第1の穴15は、図7に示すように、穴形状が正方形となるように形成されている。この第1の穴15は、正方形の四辺がドラムスリーブ11の軸線方向Aと回転方向Bとの両方に対して角度α(約45度)で傾斜するように形成されている。複数の第1の穴15は、この正方形の四辺のうち、互いに対向する2つの辺が並ぶ方向に隙間Cをおいて並べられている。
【0022】
第2の穴16は、図8に示すように、穴形状が長円状となるように形成されている。第2の穴16の穴形状は、ドラムスリーブ12の回転方向Bの前方に向かうにしたがって次第に農産物6の搬送方向の上流側(図8においては右側)に延びる長円である。複数の第2の穴16は、第2のドラム3の軸線方向Aに隙間Dをおいて並べられている。また、第2の穴16は、それぞれ第2のドラム3の回転方向Bに間隔Eで並べられている。
これらの第2の穴16の開口面積は、第1の穴15の開口面積より大きく形成されている。また、第2の穴16の長手方向の長さは、例えばじゃがいもの皮を剥く場合は、じゃがいもの平均的な大きさの1/3以上で1/2程度以下の大きさに形成されている。
【0023】
第1の穴15と第2の穴16は、ドラムスリーブ11,12の母材(図示せず)に打ち抜き加工を施すことによって形成されている。これらの穴を打ち抜く方向は、ドラムスリーブ11,12の外周面側から行っている。なお、これらの穴を打ち抜く方向は、上記とは逆方向でもよい。
第2の穴16は、図9に示すように形成することができる。図9に示す第2の穴16は、傾斜する方向が異なる第1の長穴16aと第2の長穴16bとによって構成されている。
【0024】
ドラムスリーブ11,12の下流側端部には、図5および図6に示すように、後述する下流側軸部材14に接続されるリング17が溶接されている。このリング17は、ドラムスリーブ11,12の内周面に嵌入した状態で溶接されており、4個の取付用ボルト18によって後述する下流側軸部材14に固定されている。取付用ボルト18は、リング17の貫通穴17aを通して下流側軸部材14にねじ込まれる。
【0025】
ドラムスリーブ11,12の上流側端部(図1においては右側の端部)は、後述する上流側軸部材13(図3参照)を介して機枠4に接続されている。また、ドラムスリーブ11,12の下流側端部は、後述する下流側軸部材14(図4参照)を介して機枠4に接続されている。
上流側軸部材13と下流側軸部材14は、詳細は後述するが、それぞれ機枠4に軸受(図示せず)を介して回転自在に支持されている。また、これらの上流側軸部材13と下流側軸部材14は、機枠4に着脱可能に取付けられている。すなわち、第1のドラム2と第2のドラム3は、機枠4に着脱可能かつ回転自在に支持されている。
【0026】
上流側軸部材13は、駆動装置5(図1参照)の出力軸(図示せず)に動力伝達が可能な状態で接続されている。この駆動装置5は、図1中に矢印で示すように、第1、第2のドラム2,3における搬送路7の底部を構成する部位が上方に移動する方向に、これらの第1、第2のドラム2,3を回転させる。
この実施の形態による農産物皮剥き装置1の第1、第2のドラム2,3は、図1および図2に示すように、それぞれドラムスリーブ11,12より径が小さいインナードラム21と、複数の仕切板22とを備えている。これらのインナードラム21と仕切板22は、それぞれステンレス鋼によって形成されている。この実施の形態においては、インナードラム21によって、本発明でいう「内筒」が構成されている。
【0027】
インナードラム21は、筒壁21aに穴が形成されていない円筒によって形成されている。この実施の形態によるインナードラム21の外径は、ドラムスリーブ11,12の外径の1/2程度となる大きさに形成されている。
インナードラム21の一端部(農産物6の送り方向の上流側に位置する一端部)は、上流側軸部材13に溶接されている。インナードラム21の他端部は、下流側軸部材14に溶接されている。
【0028】
すなわち、インナードラム21は、ドラムスリーブ11,12の内部を回転中心側とドラムスリーブ11,12の内面側とに分けている。また、このインナードラム21は、このインナードラム21の内方の空間と、このインナードラム21とドラムスリーブ11,12との間の空間とを隔絶するものである。この「隔絶」とは、空気や水などがインナードラム21の中に入ることができないことをいう。
【0029】
複数の仕切板22は、ドラムスリーブ11,12とインナードラム21との間に設けられている。これらの仕切板22は、インナードラム21と同等の長さを有する帯状の板によって形成されている。この実施の形態による農産物皮剥き装置1は、一つのドラムに4枚の仕切板22が用いられている。なお、仕切板22の数は、この実施の形態で示す数に限定されることはなく、適宜変更可能である。
【0030】
これらの仕切板22は、図2および図4に示すように、インナードラム21を中心として放射状に延びる状態でインナードラム21の外周面と、上流側軸部材13および下流側軸部材14とに溶接されている。すなわち、インナードラム21と、仕切板22と、上流側軸部材13および下流側軸部材14は、一つの組立体となる状態で第1、第2のドラム2,3に装備されている。この組立体をドラムスリーブ11あるいはドラムスリーブ12の中に挿入することによって、ドラムスリーブ11,12とインナードラム21との間に複数の空間S1〜S4(図2および図4参照)が形成される。
【0031】
すなわち、複数の仕切板22は、ドラムスリーブ11,12とインナードラム21との間の空間を回転方向に並ぶ複数の空間S1〜S4に仕切るものである。この実施の形態においては、4枚の仕切板22が第1、第2のドラム2,3の回転方向に等間隔で並べられている。このため、この実施の形態においては、ドラムスリーブ11,12とインナードラム21との間が回転方向に4分割されて空間S1〜S4が形成されている。
【0032】
この実施の形態による仕切板22の幅(インナードラム21の径方向の長さ)は、ドラムスリーブ11,12との間に隙間d(図2参照)が形成される長さに形成されている。この隙間dを設けた理由は、インナードラム21、仕切板22、上流側軸部材13および下流側軸部材14などからなる組立体をドラムスリーブ11,12の中に挿入したり、ドラムスリーブ11,12から引き出す作業を容易にするためである。すなわち、仕切板22がドラムスリーブ11,12に接触して摩擦抵抗が作用することがないから、この作業を容易に行うことができる。隙間dの広さは、この隙間内に農産物6の皮が入ったとしても簡単に出る広さに形成することが望ましい。
【0033】
この実施の形態による上流側軸部材13は、図2図3および図6に示すように、円板状に形成された第1のフランジ23と、この第1のフランジ23の軸心部分に設けられたソケット24とを備えている。第1のフランジ23は、同一軸線上に位置する外側リング25および内側リング26と、これらの外側リング25と内側リング26とを接続する複数の連結片27とが一体に形成されたものである。
【0034】
外側リング25は、図3および図6に示すように、ドラムスリーブ11,12内に嵌入する小径部25aと、ドラムスリーブ11,12の軸線方向の端面と対向する大径部25bとを有している。大径部25bには、複数の切り欠き25cが周方向に所定の間隔をおいて形成されている。ドラムスリーブ11,12の上流側端部には、これらの切り欠き25cに嵌合する複数の突起28(図3参照)が形成されている。ドラムスリーブ11,12の上流側端部は、この外側リング25に着脱可能に接続されている。
【0035】
内側リング26は、図3に示すように、インナードラム21の内周面が嵌合する小径部26aと、インナードラム21の軸線方向の端面と対向する大径部26bとを有している。インナードラム21の上流側端部は、内側リング26の小径部26aに嵌合した状態で内側リング26に溶接されている。インナードラム21の外径は、内側リング26の外径と略等しい大きさに形成されている。
【0036】
複数の連結片27は、図2に示すように、内側リング26を中心として放射状に設けられている。この実施の形態による第1のフランジ23は、4つの連結片27を有している。このため、この第1のフランジ23には、互いに隣り合う2つの連結片27と、外側リング17と、内側リング17とによって囲まれた4つの連通穴29が形成されている。
上述した4枚の仕切板22の上流側端部は、4つの連結片29に突き合わせられた状態で連結片28と外側リング25とに溶接されている。
【0037】
このため、4つの連通穴29は、4枚の仕切板22によってインナードラム21とドラムスリーブ11,12との間に形成された4つの空間S1〜S4と、第1、第2のドラム2,3の外とを連通している。
4枚の仕切板22は、図2に示すように、上流側軸部材13の軸方向から見て、各連結片27の幅方向(例えば回転方向の前方)の一端と重なる位置に配置されている。この一端は、連通穴29の開口縁となる部分である。
【0038】
ソケット24は、筒状に形成されており、内側リング26の軸心部を貫通する状態で内側リング26に溶接されている。このソケット24の中空部分には、駆動装置5の回転軸(図示せず)が嵌合するクッションゴム30が設けられている。
このクッションゴム30と回転軸との嵌合部分は、着脱可能かつ回転伝達が可能に形成されている。駆動装置5の回転軸は、図示してはいないが、機枠4に軸受部材を介して回転自在かつ着脱可能に支持されている。クッションゴム30には、図2に示すように、開口形状が四角形の貫通穴30aが形成されている。駆動装置5の回転軸は、この貫通穴30aに嵌合する。
【0039】
下流側軸部材14は、図4図6に示すように、円板状に形成された第2のフランジ31と、この第2のフランジ31の軸心部分に設けられた支軸32とを備えている。第2のフランジ31は、同一軸線上に位置する外側リング33および内側リング34と、これらの外側リング33と内側リング34とを接続する複数の連結片35とが一体に形成されたものである。
【0040】
下流側軸部材14の外側リング33は、ドラムスリーブ11,12内に嵌入可能な形状に形成されている。
内側リング34は、インナードラム21の内周面が嵌合する小径部34aと、インナードラム21の軸線方向の端面と対向する大径部34bとを有している。インナードラム21の下流側端部は、内側リング34の小径部34aに嵌合した状態で内側リング34に溶接されている。この内側リング34の外径は、上述した第1のフランジ23の内側リング26の外径と略等しい大きさに形成されている。
【0041】
複数の連結片35は、図4に示すように、内側リング34を中心として放射状に設けられている。
この実施の形態による第2のフランジ31は、4つの連結片35を有している。このため、この第2のフランジ31には、互いに隣り合う2つの連結片35と、外側リング33と、内側リング34とによって囲まれた4つの連通穴36が形成されている。連結片35と外側リング33との接続部分には、取付用ボルト18がねじ込まれるねじ孔37が形成されている。
【0042】
4枚の仕切板22の下流側端部は、4つの連結片35に突き合わせられた状態で連結片35と外側リング33とに溶接されている。このため、4つの連通穴36は、4枚の仕切板22によってインナードラム21とドラムスリーブ11,12との間に形成された4つの空間S1〜S4と、第1、第2のドラム2,3の外とを連通している。
4枚の仕切板22は、図4に示すように、下流側軸部材14の軸方向から見て、各連結片35の幅方向(例えば回転方向の前方)の一端と重なる位置に配置されている。この一端は、連通穴36の開口縁となる部分である。
支軸32は、内側リング34の軸心部に第1、第2のドラム2,3の外へ向けて突出する状態で溶接されている。この支軸32は、機枠4に軸受部材(図示せず)を介して回転自在かつ着脱可能に支持されている。
【0043】
この実施の形態による第1、第2のドラム2,3の組立ては、ドラムスリーブ11,12を有する第1の組立体と、仕切板22およびインナードラム21を有する第2の組立体とを組み合わせて行う。第1の組立体は、ドラムスリーブ11,12にリング17を溶接したものである。第2の組立体は、仕切板22およびインナードラム21に上流側軸部材13と下流側軸部材14とを溶接したものである。
【0044】
第1、第2のドラム2,3を組立てるためには、先ず、第1の組立体の中に第2の組立体を挿入する。この挿入作業は、第1の組立体の上流側端部に第2の組立体の下流側端部を挿入して行う。そして、ドラムスリーブ11,12の上流側端部を第1のフランジ23の外側リング25に嵌合させる。次に、第1の組立体のリング17を取付用ボルト18によって下流側軸部材14の第2のフランジ31に結合させる。すなわち、この実施の形態によるドラムスリーブ11,12は、上流側軸部材13および下流側軸部材14に着脱可能に取付けられている。
【0045】
このように構成された農産物皮剥き装置1を用いて農産物6の皮を剥くためには、第1のドラム2と第2のドラム3とが回転している状態で搬送路7に農産物6を供給することによって行う。搬送路7に供給された農産物6は、第1、第2のドラム2,3のドラムスリーブ11,12と接触することによって、強制的に回転させられる。また、この農産物6は、主に第2のドラム3の第2の穴16の開口縁に当たることによって、搬送路7内で跳ね上げられる。なお、農産物6は、第1の穴15の開口縁に当たることによっても跳ね上げられる。しかし、農産物6は、第2の穴16の開口縁に当たったときの方が相対的に大きく跳ねる。
【0046】
このように農産物6が両ドラム2,3に当たって搬送路7内で跳ねながら回る結果、農産物6の皮が第1、第2の穴8,9の開口縁に強く擦り付けられて剥ける。第1の穴15の開口面積が第2の穴16の開口面積より小さく、かつ第1の穴15の数が第2の穴16の数より多い場合は、農産物6の皮は、主に第1の穴15の開口縁によって剥かれると考えられる。
【0047】
一方、第1のドラム2と第2のドラム3は、回転することによって、仕切板22を羽根とするファンとして機能する。すなわち、ドラムスリーブ11,12の筒状壁11a,12aを厚み方向に貫通する穴15,16を通ってドラム内から外に向けて空気が吹き出す。このため、剥かれた皮の一部がこの風によって押されて飛ばされ、残部が皮が筒状壁11a,12aの穴15,16からドラム内に入る。この結果、ドラム内に入る皮の量が従来と比べて少なくなる。
【0048】
第1、第2のドラム2,3の中に入った皮は、仕切板22によって仕切られた空間S1〜S4の中で第1、第2のドラム2,3とともに回転する。すなわち、第1、第2のドラム2,3内に入った皮がドラム内の1箇所に集まることはなく、仕切板22で仕切られた複数の空間S1〜S4に分散される。
この農産物皮剥き装置1は、第1、第2のドラム2,3の外に向かう風によってドラム内に入る皮の量が少なくなることと、第1、第2のドラム2,3内に入った皮がドラム内に分散することとから、ドラム内に皮が固着し難く、皮の塊が生じ難いものとなる。このため、この実施の形態によれば、第1、第2のドラム2,3内に堆積して塊となった皮に作用する遠心力で第1、第2のドラム2,3が偏心することはないから、第1、第2のドラム2,3の偏心に起因して振動や騒音が発生することを防ぐことができる。
【0049】
仕切板22で仕切られた空間S1〜S4の中で飛び回る皮の一部は、遠心力によって筒状壁11a,12aの穴15,16を通過してドラムの外に飛び出る。また、この空間S1〜S4内を飛び回る皮は、ドラムスリーブ11,12の内面、インナードラム21の外面あるいは仕切板22に付着した皮に当たることがある。このような場合、ドラムスリーブ11,12や、インナードラム21あるいは仕切板22に付着していた皮がこれらの部材から剥がれ、上述したように遠心力で穴15,16からドラムの外に飛び出ると考えられる。このため、この農産物皮剥き装置1は、第1、第2のドラム2,3の中に残留する皮の量がより一層少なくなるから、剥かれた皮がドラムの内面に固着したり堆積し難いものとなる。
【0050】
第1、第2のドラム2,3の清掃は、運転終了後にこれらのドラムに水を掛けて実施することができる。この水は、ドラムスリーブ11,12の穴15,16からドラム内に落下し、インナードラム21と仕切板22とによって受けられる。すなわち、水が第1、第2のドラム2,3内を上端から下端まで通過することはなく、仕切板22によって仕切られた空間S1〜S4のうち、上側に位置する二つの空間内に一時的に溜められる。
【0051】
この場合、仕切板22が実質的に底となる二つの水路がドラム内に形成される。この水路に入った水は、第1、第2のドラム2,3内の皮とともに仕切板22に沿って流れる。このため、ドラム内に入った皮は、上述した水路を流れてドラムスリーブ11,12の穴15,16や、上流側軸部材13あるいは下流側軸部材14の連通穴29,36からドラムの外に排出される。
したがって、この実施の形態によれば、剥かれた皮が第1、第2のドラム2,3の内面に固着したり堆積することを防ぐことができるとともに、清掃が容易な農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0052】
この実施の形態による仕切板22は、連通穴29,36の開口縁となる連結片27,35の幅方向の一端部に設けられている。また、インナードラム21の外径は、内側リング26,34の外径と略同じ大きさに形成されている。このため、上述した二つの水路のうち、仕切板22が連通穴29,36の下縁に位置する一方の水路(図2において左上に位置する仕切板22の上に形成された水路)を流れた水および皮は、第1のフランジ23や第2のフランジ31に遮られることなく第1、第2のドラム2,3の外に流れ出る。このため、第1、第2のドラム2,3内の皮が効率よく排出される。
【0053】
この実施の形態による第1、第2のドラム2,3は、ドラムスリーブ11,12の内部にインナードラム21を備えている。このインナードラム21は、ドラムスリーブ11,12の内部を回転中心側とドラムスリーブ11,12の内面側とに分けるものである。インナードラム21は、このインナードラム21の内方の空間と、このインナードラム21とドラムスリーブ11,12との間の空間とを隔絶するものである。仕切板22は、ドラムスリーブ11,12とインナードラム21との間に設けられている。
【0054】
このため、この実施の形態によれば、第1、第2のドラム2,3の中に入った皮は、ドラムの軸心側への移動がインナードラム21によって規制される。このため、皮がドラムの中で飛ばされ易くなるから、皮がドラムスリーブ11,12の内面や仕切板22などに付着し難くなる。したがって、この実施の形態によれば、ドラムの中に入った皮をさらに簡単に洗い流すことが可能な農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0055】
この実施の形態による第1、第2のドラム2,3は、機枠4に着脱可能に取付けられている。このため、この第1、第2のドラム2,3は、機枠4から取外して傾斜させたり立てることができる。このため、この実施の形態によれば、仕切板22で仕切られた複数の空間S1〜S4内に残留している皮を、第1のドラム2または第2のドラム3を傾斜させたり立てた状態で容易に洗い流すことができるから、第1、第2のドラム2,3内に皮を残すことなく清掃することが可能な農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0056】
この実施の形態によるドラムスリーブ11,12は、上流側軸部材13と下流側軸部材14とに着脱可能に取付けられている。このため、ドラムスリーブ11,12が摩耗したり破損したときに、ドラムスリーブ11,12を上流側軸部材13および下流側軸部材14から取り外して新品と交換することができる。また、このドラムスリーブ11,12は、皮が剥かれる農産物6が変わった場合や、皮を剥く量を変える場合には、貫通穴15,16の形状や大きさ、数などが異なるドラムスリーブと交換することができる。
【0057】
すなわち、この実施の形態による第1、第2のドラム2,3は、上流側軸部材13や下流側軸部材14、インナードラム21や仕切板22などの他の構成部品を交換することなく、ドラムスリーブ11,12のみを交換することができる。したがって、この実施の形態によれば、メンテナンス費用や、皮を剥く農産物6の種類を増やすために必要な費用を少なく抑えることが可能な農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0058】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る農産物皮剥き装置の具体的な実施の形態を図10図22によって詳細に説明する。これらの図において、前記図1図9によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0059】
図10に示す農産物皮剥き装置41は、農産物6の皮をより一層効率よく剥くことができるように、二つの互いに平行な第1の搬送路7Aと第2の搬送路7Bとを備えている。また、この農産物皮剥き装置41は、機枠4と隣接する位置に農産物供給装置42を備えている。この農産物供給装置42は、詳細な構成は後述するが、第1、第2の搬送路7A,7Bに農産物6を供給するためのものである。以下においては、図10において下側を農産物皮剥き装置41の前側といい、図10において上側を農産物皮剥き装置41の後側という。
【0060】
第1の搬送路7Aは、第1のドラム2と第2のドラム3とによって構成された第1の皮剥き部43と、他の第1のドラム2と第2のドラム3とによって構成された第2の皮剥き部44とを有している。第1の皮剥き部43と第2の皮剥き部44は、搬送方向に並んでる。
第2の搬送路7Bは、第1のドラム2と第2のドラム3とによって構成された第3の皮剥き部45と、他の第1のドラム2と第2のドラム3とによって構成された第4の皮剥き部46とを有している。第3の皮剥き部45と第4の皮剥き部46は、搬送方向に並んでいる。
【0061】
図10に示す4個の第1のドラム2は、下流側軸部材14の支軸32の長さが上流側の第1のドラム2と下流側の第1のドラム2とで異なる以外は、同一の構成のものである。また、4個の第2の第2のドラム3は、下流側軸部材14の支軸32の長さが上流側の第2のドラム3と下流側の第2のドラム3とで異なる以外は、同一の構成のものである。すなわち、第1、第3の皮剥き部43,45を構成する第1、第2のドラムの支軸32は、第2、第4の皮剥き部44,46を構成する第1、第2のドラムの支軸32より長く形成されている。この理由は、図16に示すように、支軸32の先端部に下流側の第1、第2のドラム2,3のソケット24を嵌合させるためである。
【0062】
[機枠の構成]
図10および図11に示す機枠4は、第1、第2の搬送路7A,7Bが上方に向けて開放されるように箱状に形成されている。この実施の形態による機枠4は、図11において左右方向の両端部に位置する上流側脚部51および下流側脚部52と、これらの脚部51,52の上端部どうしを接続する前側主枠部53(図10参照)および後側主枠部54とによって構成されている。上流側脚部51には、本発明でいう「駆動装置」を構成する4台のモータ55が取付けられている。
【0063】
前側主枠部53と後側主枠部54とは、図10に示すように、前側から後側に延びる第1、第2の支持部材55,56によって互いに接続されている。
機枠4の上部には、農産物6が第1、第2の搬送路7A,7Bから外に出ることを防ぐために、第1〜第4の農産物ガイド57〜60が載せられている。これらの農産物ガイド57〜60は、詳細な構成は後述するが、第1、第2の搬送路7A,7Bの側壁を構成するものである。
【0064】
この実施の形態による機枠4は、図10図14に示すように、第1、第2の搬送路7A,7Bの上方を開閉する蓋体61を備えている。なお、図10は、蓋体61を省略して描いてある。蓋体61は、機枠4の上端部であって農産物皮剥き装置41の後側の端部にヒンジ機構62を介して上下方向に回動自在に支持されている。
機枠4における第1、第2の搬送路7A,7Bの下方の部位には、剥かれた農産物6の皮を下方に導くためのダクト63が設けられている。
【0065】
農産物6から剥かれた皮は、ダクト63の中を通って落下し、第1、第2の搬送路7A,7Bの下方に置かれた回収箱(図示せず)の中に溜められる。
この実施の形態による農産物皮剥き装置41を構成する機枠4、第1〜第4の農産物ガイド57〜60、蓋体61、ダクト63などの部材は、それぞれステンレス鋼によって形成されている。
【0066】
[ドラムの支持構造]
次に、この実施の形態による第1、第2ドラム2,3を支持する構造について説明する。第1〜第4の皮剥き部43〜46のうち、搬送方向の上流側に位置する第1、第3の皮剥き部43,45の第1、第2のドラム2,3は、図15および図16に示すように、機枠4の上流側脚部51と第1の支持部材55とに回転自在に支持されている。詳述すると、この第1、第2のドラム2,3の上流側軸部材13は、図16に示すように、モータ55の回転軸55aにそれぞれ接続されている。この回転軸55aは、軸受64と筒体66とからなる第1の軸受部材67を介して機枠4の上流側脚部51に回転自在に支持されている。第1の軸受部材66は、モータ支持用プレート67とともに上流側脚部51に固定されている。
【0067】
この実施の形態によるモータ55は、各ドラム2,3における搬送路7A,7Bの底部を構成する部位が上方に移動する方向に第1、第2のドラム2,3を回転させる。第1、第2のドラム2,3が回転する方向は、図12中に矢印Rによって示す方向である。各モータ55の動作(作動、停止)および回転速度等は、図示していない制御装置によって制御される。
第1、第3の皮剥き部43,45に位置する第1、第2のドラム2,3の下流側軸部材14(支軸32)は、軸受68と筒体69とからなる第2の軸受部材70を介して第1の支持部材55に回転自在に支持されている。
【0068】
第2の軸受部材70は、図18に示すように、第1のホルダー71によって第1の支持部材55に固定されている。第1のホルダー71は、第2の軸受部材70を上方から第1の支持部材55に押し付ける状態で取付用ボルト72によって第1の支持部材55に着脱可能に取付けられている。第2の軸受部材70と第1の支持部材55との間には、位置決め用のキー73が設けられている。
【0069】
第1ないし第4の皮剥き部43〜46のうち、搬送方向の下流側に位置する第2、第4の皮剥き部44,46の第1、第2のドラム2,3は、図18に示すように、機枠4の第1の支持部材55と第2の支持部材56とに回転自在に支持されている。詳述すると、この第1、第2ドラム2,3の上流側軸部材13は、第1の支持部材55に支持された支軸32に接続されている。この支軸32は、第1、第3の皮剥き部43,45の第1、第2のドラム2,3に設けられているものである。この支軸32の先端部は、ソケット24のクッションゴム30に嵌合している。この第1、第2のドラム2,3の下流側軸部材14(支軸32)は、軸受74と筒体75とからなる第3の軸受部材76を介して第2の支持部材56に回転自在に支持されている。
【0070】
第3の軸受部材76は、図19に示すように、第2のホルダー77によって第2の支持部材56に固定されている。第2のホルダー77は、第3の軸受部材76を上方から第2の支持部材56に押し付ける状態で取付用ボルト78によって第2の支持部材56に着脱可能に取付けられている。第3の軸受部材76と第2の支持部材56との間には、位置決め用のキー79が設けられている。
すなわち、この第2のホルダー77と上述した第1のホルダー71とを機枠4から取り外すことによって、図17に示すように、全ての第1、第2のドラム2,3を機枠4から取り外すことが可能になる。
【0071】
[農産物ガイドの構成]
第1〜第4の農産物ガイド57〜60のうち、搬送方向の上流側に位置する第1、第3の農産物ガイド57,59は、同一のものである。また、搬送方向の下流側に位置する第2、第4の農産物ガイド58,60は、同一のものである。このため、ここでは、第1、第2の農産物ガイド57,58について説明し、第3、第4の農産物ガイド59,60については、同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0072】
第1の農産物ガイド57は、図18に示すように、搬送方向に延びる一対の側壁部材81,82と、これらの側壁部材81,82の上流側端部どうしを接続する投入用シュート83と、下流側端部どうしを接続する第1のガイド板84とを備えている。側壁部材81,82は、板状に形成されており、図21に示すように、第1、第2のドラム2,3の上方近傍で起立している。この側壁部材81,82の上流側端部は、図示してはいないが、搬送方向とは直交する水平方向と、上下方向とに移動が規制される状態で、機枠4の上流側脚部51に着脱可能に支持されている。
【0073】
側壁部材81,82の下流側端部は、図21および図22に示すように、第1のガイド板84と、第1、第2の支持用ブラケット85,86とを介して第1の支持部材55に着脱可能に支持されている。
投入用シュート88は、後述する農産物供給装置42から供給された農産物6を第1、第2の搬送路7A,7Bの上流側端部に導くためのものである。
【0074】
第1のガイド板84は、一対の側壁部材81,82を連結する機能と、第1、第2の搬送路7A,7Bの底の一部を構成する機能とを有している。第1のガイド板84は、図22に示すように、第1の支持部材55に設けられた第1、第2の支持用ブラケット85,86に着脱可能に支持されている。第1のガイド板84は、搬送方向とは直交する水平方向と、上下方向とに移動が規制される状態で第1、第2の支持用ブラケット85,86に支持されている。
【0075】
第2の農産物ガイド58は、図20に示すように、搬送方向に延びる一対の側壁部材91,92と、これらの側壁部材91,92の上流側端部どうしを接続する第2のガイド板93と、下流側端部どうしを接続する排出用シュート94とを備えている。側壁部材91,92は、板状に形成されており、第1、第2のドラム2,3の上方近傍で起立している。
これらの側壁部材91,92の上流側端部は、第2のガイド板93と、上述した第1、第2の支持用ブラケット85,86とを介して第1の支持部材55に着脱可能に支持されている。この第2のガイド板93は、上述した第1のガイド板84と同等のものである。
側壁部材91,92の下流側端部は、排出用シュート94を介して機枠4の下流側脚部52に支持されている。
【0076】
排出用シュート94は、図20(B)に示すように、搬送方向の下流側に向かうにしたがって次第に下に延びるように形成されている。排出用シュート94の下流側の端部は、図13および図14に示すように、下流側脚部52の農産物出口52aに上方から挿入されている。排出用シュート94の下端部は、詳細に図示してはいないが、機枠4の下流側脚部52の上に、搬送方向とは直交する水平方向へ移動することができないように載せられている。すなわち、第2、第4の農産物ガイド58,60は、上述した第1、第3の農産物ガイド57,59と同様に、農産物皮剥き装置41の前後方向に移動することができない状態で機枠4に支持されている。
【0077】
[蓋体の構成]
機枠4に取付けられた蓋体61は、下方に向けて開放する箱状に形成されている。また、この蓋体61は、農産物6を第1、第2の搬送路7A,7Bに沿って送るための搬送装置95(図11図14参照)を備えている。
搬送装置95は、多数の可動隔壁96が第1、第2の搬送路7A,7Bに沿って移動する構成のものである。可動隔壁96は、搬送方向に延びるように設けられたチェーン97(図11参照)に取付けられており、チェーン97が回転することによって移動する。チェーン97は、蓋体61の装置前側と装置後側とにそれぞれ設けられている。このチェーン97は、蓋体61に取付けられたモータ98(図12参照)による駆動によって、農産物皮剥き装置41の前後方向を軸線方向として回転する。
【0078】
可動隔壁96は、第1、第2の搬送路7A,7Bに農産物6が供給されている状態でチェーン97が回転することによって、農産物6を第1、第2の搬送路7A,7Bの下流側に押す。農産物6は、後述する農産物供給装置42によって第1、第2の搬送路7A,7Bに供給される。
[農産物供給装置の構成]
農産物供給装置42は、図10および図11に示すように、農産物6が溜められる貯留槽101と、この貯留槽101から農産物6を取り出すコンベア102とを備えている。コンベア102は、いわゆる傾斜コンベアで、一対の側壁103,104の間を斜めに上昇する多数の支持板105を備えている。コンベア102の上端部には、農産物6を供給するためのシュート106が設けられている。このシュート106は、蓋体61の農産物入口61a(図12参照)に農産物6が導かれる形状に形成されている。
【0079】
このように構成された農産物皮剥き装置41において、農産物6は、農産物供給装置42によって農産物入口61aに送られ、第1、第2の搬送路7A,7Bに投入される。第1、第2の搬送路7A,7Bに供給された農産物6は、第1、第2のドラム2,3によって回転させられながら跳ね上げられる。農産物6の皮は、このように農産物6が激しく第1、第2のドラム2,3に擦り付けられることによって剥かれる。この農産物6は、前記可動隔壁96によって押されて第1、第3の皮剥き部43,45から第1、第2のガイド板84,93の上を通過して第2、第4の皮剥き部44,46に移動し、その後、排出用シュート94から機枠4の外に排出される。
【0080】
この実施の形態による農産物皮剥き装置41は、第1の実施の形態で示した第1、第2のドラム2,3を使用して農産物6の皮を剥くものである。したがって、この実施の形態を採る場合であっても、第1の実施の形態を採るときと同等の効果が得られる。
上述した第1、第2の実施の形態よる第1、第2のドラム2,3は、ドラムスリーブ11,12の中に仕切板22を有するものである。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはない、例えば、第1のドラム2と第2のドラム3のうちいずれか一方にのみ仕切板22を設けてもよい。
【0081】
第1、第2の実施の形態によるドラムスリーブ11,12は、断面形状が円形の円筒によって形成されている。しかし、ドラムスリーブ11,12は、断面形状が多角形の筒体によって形成することができる。
第1、第2の実施の形態による第1、第2のドラム2,3は、インナードラム21を備えている。しかし、本発明に係る農産物皮剥き装置1,41において、仕切板22を有するドラムには、インナードラム21を装備しなくてよい。この場合は、ドラムスリーブ11,12の径方向の一端側から他端側まで延びる形状の複数の仕切板22を用いることができる。この仕切板22は、ドラムを長手方向に貫通する軸としても機能する。
【0082】
第1、第2の実施の形態による第1、第2のドラム2,3は、4枚の仕切板22をそれぞれ備えている。しかし、仕切板22の数は、適宜変更することが可能である。
第1、第2の実施の形態による仕切板22は、インナードラム21と同等の長さを有する帯状の板によって形成されている。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはない。仕切板22の形状や長さは、適宜変更することが可能である。
【0083】
第1、第2の実施の形態による農産物皮剥き装置1,41は、構成する部品の多くがステンレス鋼によって形成されている。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはない。農産物皮剥き装置1,41を構成する部品の材質は、適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1,41…農産物皮剥き装置、2…第1のドラム、3…第2のドラム、4…機枠、5…駆動装置、6…農産物、7…搬送路、11,12…ドラムスリーブ(筒状本体)、11a…筒状壁、13…上流側軸部材、14…下流側軸部材、15,16…穴、21…インナードラム(内筒)、22…仕切板、29,36…連通穴、S1〜S4…空間。
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