(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の電源異常が検出されたとき、前記電源ユニットに電力を供給する電源を前記第1の電源から前記第2の電源に切り替える切替部を有することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
前記分析制御部は、前記未着手残量から前記警告残量に減少するまでの間に測定を終了させることができる前記未着手の状態にある検査項目の数を求め、前記優先順位の高い試料のうち、設定された全ての検査項目の測定が終了する試料測定終了のタイミングで前記分析部の測定を停止させることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の自動分析装置。
前記分析制御部は、前記未着手残量が前記警告残量以上である場合、前記測定途中の状態にある全ての検査項目の測定を終了させ、前記未着手の状態にある全ての検査項目の測定を終了させることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれかに記載の自動分析装置。
前記電源ユニットは、前記分析部の測定が終了した後、前記第1の電源が異常である間、前記第2の電源の容量が前記警告残量よりも高い場合に前記分析部の一部のユニット以外への電力の供給を停止し、前記第2の電源の容量が前記警告残量以下である場合に前記一部のユニットを含むユニットへの電力の供給を停止することを特徴とする請求項3乃至請求項9のいずれかに記載の自動分析装置。
前記一部のユニットは、前記反応容器に光を照射して前記混合液を測定する測定部及び前記混合液を所定の温度に保持するための恒温部であることを特徴とする請求項10に記載の自動分析装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料と各検査項目の試薬との混合液を測定する自動分析装置本体70と、商用電源等の第1の電源110から供給される電力により自動分析装置本体70の各ユニットに電力を供給する充電可能に設けられた電源部80とを備えている。
【0011】
自動分析装置本体70は、各検査項目の標準試料や被検試料と各検査項目の試薬との混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部24と、分析部24の各ユニットを移動する移動機構部26と、移動機構部26を制御する分析制御部27と、分析部24で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データを生成するデータ処理部30とを備えている。
【0012】
また、自動分析装置本体70は、データ処理部30で生成された検量データや分析データを出力する出力部40と、各検査項目の分析パラメータの入力や、検査を受け付けた被検体より採取される検査対象の被検試料に診断に必要な検査項目を設定するための入力等を行う操作部50と、分析制御部27、データ処理部30、出力部40、及び電源部80を統括して制御するシステム制御部60とを備えている。
【0013】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。この分析部24は、標準試料や被検試料等の試料を収容する試料容器17を備えている。また、標準試料、緊急を要する被検試料(緊急試料)、及び小児等から採取された微量の被検試料(微量試料)等の試料を収容する試料容器17を保持するサンプルディスク5を備えている。また、一般の被検試料(一般試料)を収容する試料容器17を保持するサンプルラック18を備えている。
【0014】
また、試料に含まれる検査項目成分と反応する成分を含有する試薬である1試薬系又は2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、試薬容器6を移動可能に保持する試薬ラック1aと、試薬ラック1aに保持された試薬容器6を保冷する試薬庫1とを備えている。また、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、試薬容器7を移動可能に保持する試薬ラック2aと、試薬ラック2aに保持された試薬容器7を保冷する試薬庫2とを備えている。
【0015】
また、試料容器17及び試薬容器6,7から分注される試料、第1試薬及び第2試薬を収容する複数の反応容器3と、この反応容器3を保持する反応ディスク4とを備えている。また、反応容器3内の試料及び第1試薬の混合液や、試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を昇温して所定の温度に保持する恒温部20を備えている。
【0016】
また、サンプルディスク5やサンプルラック18に保持された試料容器17内の試料をこの試料に設定された検査項目毎に吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16を保持するサンプル分注アーム10とを備えている。また、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、第1試薬分注プローブ14を保持する第1試薬分注アーム8とを備えている。
【0017】
また、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して第1試薬が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、第2試薬分注プローブ15を保持する第2試薬分注アーム9とを備えている。また、反応容器3に光を照射して混合液を測定する測定部13と、測定部13での測定が終了した反応容器3内を洗浄する洗浄ノズル12とを備えている。
【0018】
そして、測定部13は、回転移動している測定位置の反応容器3に光を照射し、反応容器3内の標準試料を含む混合液や被検試料を含む混合液を透過した光を検出する。次いで、検出した信号を処理して例えば吸光度で表される各検査項目の標準データや被検データを生成してデータ処理部30に出力する。
【0019】
図1の移動機構部26は、分析部24の各ユニットを1サイクルタイム毎に移動する各機構を備えている。そして、サンプルディスク5やサンプルラック18をそれぞれ駆動して試料容器17を移動する。また、試薬ラック1a及び試薬ラック2aをそれぞれ駆動して、試薬容器6及び試薬容器7を移動する。また、反応ディスク4を駆動して各反応容器3を回転移動する。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8及び第2試薬分注アーム9をそれぞれ回動及び上下駆動して、サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14及び第2試薬分注プローブ15を水平方向及び上下方向に移動する。また、洗浄ノズル12を上下移動する。
【0020】
分析制御部27は、操作部50から入力される各検査項目の分析パラメータや被検試料毎に設定された検査項目等の入力情報に基づいて、移動機構部26を制御して分析部24の各ユニットを1サイクルタイム毎に移動させる。また、分析部24でサンプル分注プローブ16による試料の分注、第1試薬分注プローブ14による第1試薬の分注、第2試薬分注プローブ15による第2試薬の分注、又は測定部13による測定の少なくともいずれか1つが行われている測定中に第1の電源110に異常が発生したとき、予め設定された分析部24の各ユニットの移動に必要な電力量及び電源部80で充電された充電残量に基づいて、検査対象の被検試料に設定された検査項目のうち、分析部24で測定を行わせる検査項目を決定する。
【0021】
そして、分析部24で測定を行わせる検査項目を決定するために、被検試料又は試薬の少なくともいずれか一方が反応容器3に分注された測定途中の状態にある全ての検査項目の、一方だけが分注されている場合には他方も一方が分注された反応容器3に分注させて測定を終了させるために必要な電力量(測定途中分の電力量)を算出する。また、検査対象の被検試料に設定された検査項目のうち、第1の電源110に異常が発生したときに反応容器3に被検試料及び試薬が分注されていない未着手の状態にある全ての検査項目の、被検試料及び試薬を分注させて測定を終了させるために必要な電力量(未着手分の電力量)を算出する。
【0022】
データ処理部30は、分析部24の測定部13で生成された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部31と、演算部31で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部32とを備えている。
【0023】
演算部31は、測定部13で生成された標準データ及び標準試料に予め設定された標準値に基づいて各検査項目の検量データを生成し、生成した検量データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。また、測定部13で生成された被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部32から読み出して濃度値や酵素の活性値として表される分析データを検査項目毎に生成する。そして、生成した分析データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0024】
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部31から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0025】
出力部40は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部41及び表示出力する表示部42を備えている。また、第1の電源110に異常時にアラームを発生する警報部43を備えている。そして、印刷部41は、プリンタなどを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0026】
表示部42は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを表示する。また、検査項目毎に分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面、被検試料毎にこの被検試料を識別する氏名やID等の識別情報や検査項目を設定するための検査項目設定画面を表示する。また、第1の電源110に異常が発生したときに測定を優先させる被検試料の優先順位を設定するための優先順位設定画面等を表示する。
【0027】
操作部50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各検査項目の分析パラメータを設定するための入力、検査対象の被検試料の識別情報の入力、検査対象の被検試料に検査項目を設定するための入力、被検試料の優先順位を設定するための入力を行う。また、自動分析装置本体70に電力を供給させる電源投入、自動分析装置本体70への電力の供給を一部のユニットを除いて停止させる電源切断の入力等を行う。
【0028】
システム制御部60は、CPU及び記憶回路を備え、操作部50から入力された各検査項目の分析パラメータ、検査対象の被検試料の識別情報及び検査項目、被検試料の優先順位等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部27、データ処理部30、出力部40及び電源部80を統括してシステム全体を制御する。
【0029】
図3は、電源部80の構成を示したブロック図である。この電源部80は、自動分析装置本体70の各ユニットへ交流や直流の電力を停止可能に供給する電源ユニット81と、電源ユニット81へ電力を供給する第1の電源110を監視する第1の検出器82とを備えている。また、電源ユニット81へ電力を供給する充電可能に設けられた第2の電源83と、第2の電源83の容量を検出する第2の検出器84とを備えている。
【0030】
また、電源部80は、第1の電源110から第2の電源83への電力の供給及び停止を可能とするスイッチ85と、電源ユニット81へ電力を供給する電源を第1の電源110又は第2の電源83の一方の電源から他方の電源に切り替える切替部86と、電源ユニット81、第2の電源83、スイッチ85及び切替部86を制御する電源制御部87とを備えている。
【0031】
電源ユニット81は、第1の電源110又は第2の電源83から供給される電力を変換するコンバータ、電圧を変換する電圧変換回路及び自動分析装置本体70の各ユニットへ交流の電力や直流の電力の供給及び停止を可能とする複数のスイッチ、切替部86が第2の電源83に切り替えるときの瞬間の電圧低下を防ぐためのキャパシタ等を備えている。そして、操作部50から電源切断の入力が行われると、分析部24の第1及び第2試薬の保冷が必要な試薬庫1,2等の一部のユニット以外のユニットへの電力の供給を停止する。
【0032】
また、操作部50から電源投入が行われると、分析部24を測定が可能な状態で待機させるために、測定部13に光の照射に必要な電力を供給する。また、恒温部20に熱媒体を所定の温度に保持するための電力を供給する。また、自動分析装置本体70の分析部24以外の各ユニットを待機状態にする電力を供給する。
【0033】
また、電源ユニット81は、操作部50から分析部24で測定を開始させる測定開始の入力が行われると、待機状態での供給に加えて、分析部24で被検試料及び試薬を分注させてから被検データを生成させるまでの測定動作、データ処理部30で分析データを生成させるデータ処理動作、及び出力部50で分析データを出力させる出力動作等の検査に必要な電力を供給する。
【0034】
第1の検出器82は、第1の電源110の例えば電圧を監視する。そして、第1の電源110を監視した電圧値が停電等により低下して電源ユニット81が正常に動作可能な下限値よりよりも小さい場合に第1の電源110が異常であることを検出し、その第1の電源異常の情報を電源制御部87に出力する。また、電圧値が下限値以上に上昇したときに第1の電源110の復帰を検出し、第1の電源復帰の情報を電源制御部87に出力する。
【0035】
第2の電源83は、第1の電源110から供給される電力を変換するコンバータ、二次電池、この二次電池を充電するための充電器、及び二次電池からの電力を変換するインバータ等を備えている。
【0036】
そして、第2の電源83は、第1の電源110が正常である場合、第2の検出器84により検出された容量が予め設定された警告残量まで減少したとき、スイッチ85により第1の電源110と第2の電源83間が閉じられて第1の電源110から供給される電力を利用して充電する。また、充電が終了すると、スイッチ85により第1の電源110と第2の電源83間が開放され、第1の電源110からの電力の供給が停止される。
【0037】
第2の検出器84は、第2の電源83の容量を検出する。そして、第1の検出器82により第1の電源異常が検出されたときの第2の電源83の容量(充電残量)の情報を電源制御部87に出力する。
【0038】
切替部86は、第1の検出器82により第1の電源異常が検出されたとき、電源ユニット81に電力を供給する電源を第1の電源110から第2の電源83に切り替える。また、第1の検出器82により第1の電源復帰が検出されたとき、第2の電源83から第1の電源110に切り替える。
【0039】
なお、切替部86を廃止し、電源ユニット81に電力を供給する電源を第2の電源83のみとし、第1の電源110からの電力の供給を停止可能に第2の電源83のみに供給するように実施してもよい。
【0040】
電源制御部87は、第1の検出器82により第1の電源異常が検出されたとき、切替部86により第1の電源110から第2の電源83に切り替えさせる。また、第2の検出器84により検出された容量が警告残量まで減少したとき、スイッチ85を閉じさせ第2の電源83に充電させる。また、第2の検出器84により検出された第1の電源異常が検出されたときの充電残量の情報をシステム制御部60に出力する。
【0041】
分析制御部27では、システム制御部60から供給される第1の電源異常が検出されたときの充電残量の情報に基づいて、第1の電源110が異常である間、検査対象の被検試料に設定された検査項目のうちの分析部24で測定を行わせる検査項目を決定する。そして、
図4に示すように、反応容器3へ被検試料又は試薬の少なくともいずれか一方が分注された測定途中の状態にある全ての検査項目の測定を終了させるために必要な測定途中分の電力量を算出する。次いで、第1の電源異常が検出されたときの充電残量から測定途中分の電力量を差し引いて測定途中残量を求める。
【0042】
そして、測定途中残量が警告残量よりも小さい場合、第1の電源異常が検出されたときに未着手の状態にある全ての検査項目の測定を停止させ、第2の電源83の容量が警告残量に減少するまでの間、測定途中の状態にある検査項目の測定を続行させる。また、測定途中残量が警告残量以上である場合、
図4に示すように、第1の電源異常が検出されたときに被検試料及び試薬が分注されていない未着手の状態にある全ての検査項目の測定を終了させるために必要な未着手分の電力量を算出する。次いで、測定途中残量から未着手分の電力量を差し引いて未着手残量を求める。
【0043】
そして、未着手残量が警告残量よりも小さい場合、第2の電源83の容量が警告残量に減少するまでの間、未着手の状態にある検査項目を、この検査項目が設定された被検試料の優先順位の高い順に測定させる。また、未着手残量が警告残量以上である場合、未着手の状態にある検査項目を、この検査項目が設定された被検試料の検査受付順に測定させる。
【0044】
次に、表示部42に表示される優先順位設定画面について説明する。
【0045】
自動分析装置本体70の分析部24で測定が行われているとき、第1の電源110に停電等の異常が発生すると、第2の電源83に切り替えられる。このため、第1の電源110の異常の時間が長いと、第2の電源83の容量が不足して検査対象の被検試料に設定された全ての検査項目の測定を終了させることができない場合がある。この場合に備えて、未着手の状態にある検査項目を優先させる被検試料の優先順位を設定する。
【0046】
図5は、表示部42に表示された優先順位設定画面の一例を示した図である。この優先順位設定画面44は、被検試料の優先順位を設定する「優先度の設定」の欄と、測定を停止させるタイミングを設定する「停止タイミングの設定」の欄とにより構成される。そして、操作部50から優先順位及び停止タイミングを設定するための入力が行われると、その入力情報がシステム制御部60の記憶回路に保存される。
【0047】
「優先度の設定」の欄は、優先順位を設定する被検試料である「未着手検査項目を含む緊急検体」、「未着手検査項目を含む微量検体」、「未着手検査項目を含む一般検体」、「緊急検体」、「微量検体」及び「一般検体」等が表示された「種別」の欄と、「種別」の欄に表示された被検試料の優先順位を設定するためのダイアログボックス441乃至446等が表示された「優先度」の欄とにより構成される。
【0048】
「種別」の欄に表示された「未着手検査項目を含む緊急検体」は、設定された検査項目のうちの一部の検査項目が未着手状態にある緊急試料のことである。また、「未着手検査項目を含む微量検体」は、設定された検査項目のうちの一部の検査項目が未着手状態にある微量試料のことである。また、「未着手検査項目を含む一般検体」は、設定された検査項目のうちの一部の検査項目が未着手状態にある一般試料のことである。また、「緊急検体」は、設定された全ての検査項目が未着手状態にある緊急試料のことである。また、「微量検体」は、設定された全ての検査項目が未着手状態にある微量試料のことである。また、「一般検体」は、設定された全ての検査項目が未着手状態にある一般試料のことである。
【0049】
「優先度」の欄に、「種別」の欄に表示された「未着手検査項目を含む緊急検体」の優先順位を例えば1番に設定する選択入力が行われると、ダイアログボックス441に「1」が表示される。また、「未着手検査項目を含む微量検体」の優先順位を2番に設定する選択入力が行われると、ダイアログボックス442に「2」が表示される。また、「未着手検査項目を含む一般検体」の優先順位を3番に設定する選択入力が行われると、ダイアログボックス443に「3」が表示される。また、「緊急検体」の優先順位を4番に設定する選択入力が行われると、ダイアログボックス444に「4」が表示される。また、「微量検体」の優先順位を5番に設定する選択入力が行われると、ダイアログボックス445に「5」が表示される。また、「一般検体」の優先順位を6番に設定する選択入力が行われると、ダイアログボックス446に「6」が表示される。
【0050】
ここでは、第1の電源異常が検出されたとき、分析部24で測定を行わせる未着手の状態にある検査項目を、一部の検査項目が未着手状態にある緊急試料、一部の検査項目が未着手状態にある微量試料、一部の検査項目が未着手状態にある一般試料、全ての検査項目が未着手状態にある緊急試料、全ての検査項目が未着手状態にある微量試料、全ての検査項目が未着手状態にある一般試料の順に測定させる。
【0051】
「停止タイミングの設定」の欄には、ダイアログボックス451が表示され、分析部24での測定を停止させるタイミングを試料又は検査項目のいずれかに設定する。そして、例えば試料に設定する選択入力が行われると、ダイアログボックス451に「試料」が表示される。
【0052】
ここでは、試料を設定することにより、第2の電源83の容量が警告残量以下になる前に、設定された全ての検査項目の測定が終了する被検試料測定終了のタイミングで分析部24の測定を停止させる。また、検査項目を設定することにより、第2の電源83の容量が警告残量以下になる前に、被検試料に設定された一部の検査項目の測定が終了する検査項目測定終了のタイミングで分析部24の測定を停止させる。
【0053】
以下、
図1乃至
図8を参照して、第1の電源110に異常が発生し、第1の電源異常の状態における自動分析装置100の動作の一例を説明する。
【0054】
図6は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。
操作部50から電源投入が行われた後に入力された検査対象の各被検試料の識別情報及びその被検試料に設定された検査項目の情報がシステム制御部60の記憶回路に保存されている。電源部80の電源ユニット81は、第1の電源110から供給される電力により、自動分析装置本体70の各ユニットに電力を供給する。第1の検出器82は、監視している電圧値が下限値より低下したとき、第1の電源異常を検出する(ステップS1)。
【0055】
第1の検出器82により第1の電源異常が検出されたとき、切替部86は電源ユニット81に電力を供給する電源を第1の電源110から第2の電源83に切り替える(ステップS2)。また、第2の検出器84は、第1の電源異常が検出されたときの第2の電源83の容量である充電残量を検出する(ステップS3)。
【0056】
ステップS2,S3の後、分析部24が測定中である場合(ステップS4のはい)、ステップS5へ移行する。また、分析部24が待機中である場合(ステップS4のいいえ)、出力部40の警報部43は、第1の電源110が異常であることを知らせる第1の電源異常のアラームを発生する(ステップS6)。その後、ステップS14へ移行する。
【0057】
ステップS4の「はい」の後、分析制御部27は、充電残量に基づいて、分析部24で測定を続行させることができるか否かを判定する。そして、充電残量が警告残量以上である場合(ステップS5のはい)、分析部24で測定の続行が可能であると判定し、ステップS7へ移行する。また、充電残量が警告残量よりも小さい場合(ステップS5のいいえ)、第2の電源83の容量が不足して分析部24の測定の続行が不可能であると判定し、分析部24の測定を停止させる(ステップS8)。
【0058】
このように、第1の電源110に異常が発生したとき、充電残量が警告残量よりも大きい場合に第2の電源83を利用して分析部24での測定を続行させることができる。
【0059】
ステップS8の後、警報部43は、第2の電源83の容量が不足して測定を続行させることができないことを知らせる測定容量不足のアラームを発生する(ステップS9)。その後、ステップS16へ移行する。
【0060】
ステップS5の「いいえ」の後、分析制御部27は、第1の電源異常が検出されたときに測定途中の状態にある全ての検査項目の測定を終了させるために必要な測定途中分の電力量を算出する。そして、充電残量から測定途中分の電力量を差し引いた測定途中残量が警告残量以上である場合(ステップS7のはい)、ステップS10へ移行する。また、測定途中残量が警告残量よりも小さい場合(ステップS7のいいえ)、ステップS11へ移行する。
【0061】
ステップS7の「はい」の後、分析制御部27は、第1の電源異常が検出されたときに検査対象の被検試料に設定され、未着手の状態にある検査項目が設定された全ての被検試料の測定を終了させるために必要な未着手分の電力量を算出する。そして、測定途中残量から未着手分の電力量を差し引いた未着手残量が警告残量以上である場合(ステップS10のはい)、ステップS12へ移行する。また、未着手残量が警告残量よりも小さい場合(ステップS10のいいえ)、ステップS13へ移行する。
【0062】
ステップS7の「いいえ」の後、分析制御部27は、第1の電源異常が検出されたときに未着手の状態にある検査項目の測定を停止させる。そして、第2の電源83の容量が警告残量以上である間、第1の電源異常が検出されたときに測定途中の状態にある検査項目の測定を続行させる(ステップS11)。その後、ステップS16へ移行する。
【0063】
このように、第2の電源83を利用して測定途中の状態にある検査項目の測定を続行させることにより、測定途中の状態にある検査項目測定用の被検試料や試薬の無駄を低減することができる。また、未着手の状態にある検査項目の測定を停止させることにより、未着手の状態にある検査項目測定用の被検試料及び試薬の無駄を防ぐことができる。
【0064】
また、測定途中の状態にある検査項目の測定を続行させることにより、測定途中の状態にある一部の検査項目の測定を終了させることができるため、第1の電源110が復帰した後の再検査が必要な検査項目数を減らすことができる。これにより、検査の遅延を低減することができる。
【0065】
また、測定途中の状態にある検査項目の測定を続行させることにより、測定途中の状態にある一部の検査項目の測定を終了させることができるため、一部の検査項目の測定を終了させることにより設定された全ての検査項目の測定が終了する被検試料がある場合、その被検試料に対応する被検体の診断に必要な分析データが揃うため、診断の遅延を防ぐことができる。
【0066】
ステップS10の「はい」の後、分析制御部27は、測定途中の状態にある全ての検査項目の測定を終了させる。また、未着手の状態にある全ての検査項目を、この検査項目が設定された被検試料の検査受付順に測定させる(ステップS12)。
【0067】
このように、第2の電源83を利用して測定途中の状態にある全ての検査項目の測定を終了させることができる。これにより、測定途中の状態にある検査項目測定用の被検試料及び試薬の無駄を防ぐことができる。また、第2の電源83を利用して未着手の状態にある全ての検査項目の測定を終了させることができる。これにより、被検試料及び試薬の無駄を防ぐことができる。また、第1の電源異常による検査の遅延を防ぐことができる。
【0068】
ステップS10の「いいえ」の後、分析制御部27は、測定途中の状態にある全ての検査項目の測定を終了させる。また、第2の電源83の容量が警告残量に減少するまでの間、
図5の優先順位設定画面44に表示された被検試料の優先順位及び停止させるタイミングの情報に基づいて、未着手の状態にある検査項目を、この検査項目が設定された被検試料の優先順位の高い順に測定させる(ステップS13)。その後、ステップS16へ移行する。
【0069】
このように、第1の電源異常が検出されたときに未着手の状態にある検査項目の測定を優先順位の高い被検試料の順に終了させることができる。これにより、優先順位の低い被検試料に設定された検査項目測定用の被検試料及び試薬の無駄を防ぐことができる。
【0070】
また、優先順位の高い被検試料に設定された未着手の状態にある検査項目の測定を終了させることができるため、第1の電源110が復帰した後の再検査が必要な検査項目数を減らすことができる。これにより、検査の遅延を低減することができる。また、優先順位の高い被検試料に設定された未着手の状態にある検査項目の測定を終了させることにより、優先順位の高い被検試料に対応する被検体の診断の遅延を防ぐことができる。
【0071】
ここで、未着手の状態にある検査項目を優先順位の高い順に測定させる2つの例を、
図7及び
図8を参照して説明する。
図7は、未着手の状態にある検査項目を優先順位の高い順に測定させる1つめの例を説明するための図である。第1の電源異常が発生したとき、検査対象として例えば5つの一般試料P1乃至P5が、サンプルラック18に保持された5つの試料容器17に収容されている。そして、一般試料P1に10種類の検査項目A,B,C,D,E,F,G,H,J,Kが設定され、一般試料P2に12種類の検査項目A,B,C,D,E,F,G,H,J,K,L,Mが設定されている。また、一般試料P3に5種類の検査項目A,B,C,D,Eが設定され、一般試料P4に3種類の検査項目A,B,Eが設定され、一般試料P5に2種類の検査項目C,Dが設定されている。
【0072】
第1の電源110に異常が発生したとき、一般試料P1の検査項目A,B,Cの測定が終了して各検査項目A,B,Cの分析データが出力部40の表示部42に表示され、一般試料P1の検査項目D,E,F,G,H,J,K及び一般試料P2の検査項目A,B,C,D,E,F,G,H,Jが測定途中の状態にあり、一般試料P2の検査項目K,L,M、一般試料P3の検査項目A,B,C,D,E、一般試料P4の検査項目A,B,E、及び一般試料P5の検査項目C,Dが未着手の状態にある。
【0073】
上記状態で、充電残量から、測定途中の一般試料P1の検査項目D,E,F,G,H,J,K及び一般試料P2の検査項目A,B,C,D,E,F,G,H,Jの測定を終了させるために必要な測定途中分の電力量を差し引いて測定途中残量を求める。そして、測定途中残量が警告残量以上である場合、測定途中残量から、未着手の状態にある一般試料P2の検査項目K,L,M、一般試料P3の検査項目A,B,C,D,E、一般試料P4の検査項目A,B,E、及び一般試料P5の検査項目C,Dの測定を終了させるために必要な未着手分の電力量を差し引いて未着手残量を求める。
【0074】
そして、未着手残量が警告残量以上である場合、一般試料P2乃至P5に設定された未着手状態にある全ての検査項目を、被検試料の検査受付順である一般試料P1、一般試料P2、一般試料P3、一般試料P4、一般試料P5の順に測定させる。
【0075】
また、未着手残量が警告残量よりも小さい場合、第2の電源83の容量が警告残量に減少するまでの間、
図5の優先順位設定画面44の「優先度の設定」に表示された被検試料の優先順位及び停止させるタイミングに基づいて、一般試料P2乃至P5に設定された未着手状態にある検査項目を、この検査項目が設定された被検試料の優先順位の高い順に測定させる。
【0076】
ここでは、先ず第2の電源83の容量が未着手残量から警告残量に減少するまでの間に測定を終了させることができる未着手の検査項目の数を求める。その数が例えば6である場合、優先順位が1番及び2番の一部の検査項目が未着手状態にある緊急試料及び微量試料がないため、優先順位が3番の一部の検査項目K,L,Mが未着手状態にある一般試料P2を1番目に測定させる。次いで、優先順位が4番及び5番の全ての検査項目が未着手状態にある緊急試料及び微量試料がないため、優先順位が6番の全ての検査項目が未着手状態にある一般試料P3,P4,P5のうち、検査依頼を受けた順である一般試料P3を2番目の候補にする。しかしながら、一般試料P3には4つの未着手の検査項目が設定されているため、設定された全ての検査項目の測定を終了させることができない。このため、一般試料P3の未着手状態にある全ての検査項目の測定を停止させる。次に、一般試料P3の次の順である一般試料P4を候補にすると、一般試料P4には3つの未着手状態の検査項目A,B,Eが設定されているため、全ての検査項目の測定を終了させることができる。従って、一般試料P4の検査項目A,B,Eを2番目に測定させ、一般試料P4の全ての検査項目の測定が終了する被検試料測定終了のタイミングで分析部24の測定を停止させる。
【0077】
なお、第2の電源83の容量が警告残量に減少するまでの間に測定を終了させることができる未着手の検査項目の数が6である場合、優先順位設定画面44の「停止タイミングの設定」の欄に「検査項目」が設定されていると、一般試料P3の検査項目D,E、一般検体P4の検査項目A,B,E及び一般試料P5の検査項目C,Dの測定を停止させ、未着手状態にある一般試料P2の検査項目K,L,Mを1番目に測定させる。そして、2番目に測定させる一般試料P3に設定された一部の検査項目A,B,Cの測定が終了する検査項目測定終了のタイミングで分析部24の測定を停止させる。
【0078】
図8は、検査対象の被検試料を優先順位の高い順に測定させる2つめの例を説明するための図である。第1の電源異常が発生したとき、検査対象としての被検試料が
図7で説明した検査対象の被検試料と異なる点は、サンプルディスク5に保持される2つの試料容器17に収容された2つの緊急試料P6及び微量試料P7が追加されている点である。そして、緊急試料P1に2種類の検査項目G,Hが設定され、微量試料P7に3種類の検査項目E,F,Gが設定されている。
【0079】
第1の電源110に異常が発生したとき、一般試料P1の検査項目A,B,Cの測定が終了して各検査項目A,B,Cの分析データが表示部42に表示され、一般試料P1の検査項目D,E,F,G,H,J,K及び一般試料P2の検査項目A,B,C,D,E,F,G,H,Jが測定途中の状態にあり、一般試料P2の検査項目K,L,M、一般試料P3の検査項目A,B,C,D,E、一般試料P4の検査項目A,B,E、一般試料P5の検査項目C,D、緊急試料P6の検査項目G,H、及び微量試料P7の検査項目G,Hが未着手の状態にある。
【0080】
上記状態で、充電残量から、測定途中の検査項目の測定を終了させるために必要な測定途中分の電力量を差し引いて求めた測定途中残量が警告残量以上である場合、測定途中残量から未着手分の電力量を差し引いて未着手残量を求め、未着手残量が警告残量以上である場合、一般試料P2乃至P5、緊急試料P6及び微量試料P7に設定された未着手の状態にある全ての検査項目を、被検試料の検査受付順である、一般試料P1、一般試料P2、一般試料P3、一般試料P4、一般試料P5、緊急試料P6、微量試料P7の順に測定させる。
【0081】
また、未着手残量が警告残量よりも小さい場合、第2の電源83の容量が警告残量に減少するまでの間、
図5の優先順位設定画面44の「優先度の設定」に表示された被検試料の優先順位及び停止させるタイミングに基づいて、一般試料P2乃至P5、緊急試料P6及び微量試料P7に設定された未着手の状態にある検査項目を、この検査項目が設定された被検試料の優先順位の高い順に測定させる。
【0082】
ここでは、先ず第2の電源83の容量が未着手残量から警告残量に減少するまでの間に測定を終了させることができる未着手の検査項目の数を求める。その数が6である場合、優先順位が1番及び2番の一部の検査項目が未着手状態にある緊急試料及び微量試料がないため、優先順位が3番の一部の検査項目K,L,Mが未着手状態にある一般試料P2を1番目に測定させる。次いで、優先順位が4番の全ての検査項目G,Hが未着手状態にある緊急試料P6を2番目に測定させる。ここで、測定を終了させることができる未着手の検査項目の数が1つになり、1つの未着手の検査項目の測定を終了させることにより全ての検査項目の測定を終了させることができる被検試料がない。このため、未着手状態にある一般試料P3,P4,P5及び微量試料P5の全ての検査項目の測定を停止させ、2番目の緊急試料P6の全ての検査項目G,Hの測定が終了する被検試料測定終了のタイミングで分析部24の測定を停止させる。
【0083】
なお、未着手残量から警告残量に減少するまでの間に測定を終了させることができる未着手の状態の検査項目の数が6である場合、優先順位設定画面44の「停止タイミングの設定」の欄に「検査項目」が設定されていると、未着手の状態にある一般試料P3,P4,P5の全ての検査項目及び微量試料P7の検査項目F,Gの測定を停止させ、未着手状態にある一般試料P2の検査項目K,L,Mを1番目に測定させ、緊急試料P6の検査項目G,Hを2番に測定させる。そして、3番目に測定させる微量試料P7に設定された一部の検査項目Eの測定が終了する検査項目測定終了のタイミングで分析部24の測定を停止させる。
【0084】
このように、サンプル分注プローブ16が吸引した試料を収容する試料容器17以外の試料容器17上方に位置しているタイミングで第1の電源110に異常が発生したとき、第2の電源83を利用してサンプル分注プローブ16を所定の位置へ移動させることができる。これにより、電源ユニット81への電力の供給が停止したときの位置でサンプル分注アーム10を停止させる停止力の低下によるサンプル分注プローブ16の落下により、吸引した試料による試料容器17内の試料の汚染を防ぐことができる。
【0085】
また、第1試薬分注プローブ14が吸引した第1試薬を収容する試薬容器6以外の試薬容器6上方に位置しているタイミングで第1の電源110に異常が発生したとき、第2の電源83を利用して第1試薬分注プローブ14を所定の位置へ移動させることができる。これにより、電源ユニット81への電力の供給が停止したときの位置で第1試薬分注アーム8を停止させる停止力の低下による第1試薬分注プローブ14の落下により、吸引した第1試薬による試薬容器6内の第1試薬の汚染を防ぐことができる。
【0086】
また、第2試薬分注プローブ15が吸引した第2試薬を収容する試薬容器7以外の試薬容器7上方に位置しているタイミングで第1の電源110に異常が発生したとき、第2の電源83を利用して第2試薬分注プローブ15を所定の位置へ移動させることができる。これにより、電源ユニット81への電力の供給が停止したときの位置で第2試薬分注アーム9を停止させる停止力の低下による第2試薬分注プローブ15の落下により、吸引した第2試薬による試薬容器7内の第2試薬の汚染を防ぐことができる。
【0087】
ステップS6、又はステップS12における分析部24の測定動作、データ処理部30のデータ処理動作及び出力部50のデータ出力動作が終了した後、電源ユニット81は、第2の電源83の容量が警告残量以上である場合(ステップS14のはい)、ステップS15へ移行する。また、第2の電源83の容量が警告残量よりも小さい場合(ステップS14のいいえ)、ステップS16へ移行する。
【0088】
ステップS14の「はい」の後、電源ユニット81は、第1の電源110の復帰や分析部24での次の測定に備え、電力の供給を停止した後に開始しても直ぐに測定可能な状態に立ち上げることができない分析部24の測定部13や恒温部20等の一部のユニット以外のユニットへの電力の供給を停止するパワーセーブモードにする(ステップS15)。その後、ステップS14に戻る。
【0089】
このように、パワーセーブモードにすることにより、第2の電源83の電力消費を低減し、測定可能な状態に直ちに立ち上げることができる。
【0090】
ステップS9,ステップS11、ステップS13又はステップS14の「いいえ」の後、分析制御部27は、サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14及び第2試薬分注プローブ15の各分注プローブを所定の位置で停止させる。また、分析部24の各分注プローブ以外のユニットを所定の位置で停止させ、測定を終了させることができなかった被検試料及び検査項目の情報を保存するシャットダウン処理を行う(ステップS16)。
【0091】
なお、試薬庫1,2は断熱材で覆われ、分析部24で測定が行われている間、試薬庫1,2への電力を停止した状態で第1及び第2試薬の保冷が可能であるため、第1の電源110に異常が発生したとき、試薬庫1,2への電力の供給を停止させるように実施してもよい。これにより、第1の電源110に異常が発生してから試薬庫1,2に供給する電力を分析部24での測定に回し、多くの検査項目の測定を行わせることができる。
【0092】
分析制御部27、データ処理部30及び出力部40がシャットダウン処理を行った後、電源ユニット81が自動分析装置本体70への電力の供給を停止するシャットダウン処理を行うことにより、自動分析装置100は動作を終了する(ステップS17)。
【0093】
以上述べた実施形態によれば、第2の電源83を設け、第1の電源110に異常が発生したときの充電残量が警告残量より大きい場合、第2の電源83を利用して分析部24で測定を続行させることができる。そして、測定途中残量が警告残量以下である場合、第1の電源異常が検出されたときに未着手の状態にある検査項目の測定を停止させ、第2の電源83の容量が警告残量に減少するまでの間、第1の電源異常が検出されたときに測定途中の状態にある検査項目の測定を続行させることができる。
【0094】
これにより、測定途中の状態にある検査項目測定用の被検試料や試薬の無駄を低減することができる。また、未着手の状態にある検査項目の測定を停止させることにより、未着手の状態にある検査項目測定用の被検試料及び試薬の無駄を防ぐことができる。また、測定途中の状態にある一部の検査項目の測定を終了させることができるため、検査の遅延を低減することができる。
【0095】
また、未着手残量が警告残量以下である場合、第1の電源異常が検出されたときに測定途中の状態にある全ての検査項目の測定を終了させることができる。また、第2の電源83の容量が警告残量に減少するまでの間、第1の電源異常が検出されたときに未着手の状態にある検査項目の測定を優先順位の高い被検試料の順に終了させることができる。
【0096】
これにより、測定途中の状態にある検査項目測定用の被検試料及び試薬の無駄を防ぐことができる。また、優先順位の低い被検試料に設定された検査項目測定用の被検試料及び試薬の無駄を防ぐことができる。また、測定途中の状態にある全ての検査項目及び未着手の状態にある検査項目の一部の測定を終了させることができるため、検査の遅延を低減することができる。
【0097】
また、未着手残量が警告残量よりも大きい場合、第1の電源異常が検出されたときに測定途中の状態にある全ての検査項目の測定を終了させることができる。また、第1の電源異常が検出されたときに未着手の状態にある全ての検査項目の測定を終了させることができる。
【0098】
これにより、測定途中の状態にある検査項目の被検試料及び試薬の無駄を防ぐことができる。また、検査の遅延を防ぐことができる。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。