(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、撮像用の光学モジュールの手振れを防止するための構成を例示する。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を各々X軸方向、Y軸方向、Z軸方向とし、光軸L(レンズ光軸/光学素子の光軸)に沿う第1方向をZ軸方向とし、Z軸方向(第1方向)に交差する第2方向をY軸方向とし、Z軸方向(第1方向)およびY軸方向(第2方向)に交差する第3方向をX軸方向とする。また、以下の説明では、各方向の振れのうち、X軸周りの回転は、いわゆるピッチング(縦揺れ)に相当し、Y軸周りの回転は、いわゆるヨーイング(横揺れ)に相当し、Z軸周りの回転は、いわゆるローリングに相当する。また、X軸方向の一方側には+Xを付し、他方側には−Xを付し、Y軸方向の一方側には+Yを付し、他方側には−Yを付し、Z軸方向の一方側(被写体側とは反対側/光軸方向後側)には+Zを付し、他方側(被写体側/光軸方向前側)には−Zを付して説明する。
【0021】
(撮影用の光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットを携帯電話機等の光学機器に搭載した様子を模式的に示す説明図である。
【0022】
図1に示す光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット)は、カメラ付き携帯電話機等の光学機器1000に用いられる薄型カメラであって、光学機器1000のシャーシ2000(機器本体)に支持された状態で搭載される。かかる光学ユニット100では、撮影時に光学機器1000に手振れ等の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。そこで、本形態の光学ユニット100には、後述するように、Z軸方向に沿って光軸Lが延在する光学モジュール1を備えた可動モジュール10を固定体20内で揺動可能に支持するとともに、光学ユニット100に搭載したジャイロスコープ(振れ検出センサ)によって手振れを検出した結果に基づいて、可動モジュール10を揺動させる振れ補正用駆動機構(
図1では図示せず)が設けられている。光学ユニット100には、光学モジュール1や振れ補正用駆動機構への給電等行うためのフレキシブル配線基板1800、1900が引き出されており、かかるフレキシブル配線基板1800、1900は、光学機器1000の本体側に設けられた上位の制御部等に電気的に接続されている。可動モジュール10において、光学モジュール1は、光学素子として、Z軸方向に沿って光軸Lが延在するレンズ1aを備えている。本形態において、光軸Lの方向からみたとき、レンズ1aは円形であるが、可動モジュール10および光学モジュール1は角形である。
【0023】
(光学ユニット100の概略構成)
図2は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100を被写体側(Z軸方向の他方側−Z)からみた説明図であり、
図2(a)、(b)は、光学ユニット100を被写体側からみたときの斜視図、および光学ユニット100の分解斜視図である。
図3は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100を被写体側とは反対側(Z軸方向の一方+Z)からみた説明図であり、
図3(a)、(b)は、光学ユニット100を被写体側とは反対側からみたときの斜視図、および光学ユニット100の分解斜視図である。
図4は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の断面構成を示す説明図であり、
図4(a)、(b)は、光学ユニット100のYZ断面図、および光学ユニット100のZX断面図である。
図5は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の内部をさらに細かく分解したときの分解斜視図である。なお、
図4(a)では、第1帯状部1860において第2帯状部1870と対応する部分にかっこ書きで符号を示してある。
【0024】
図2、
図3、
図4および
図5において、本形態の光学ユニット100は、固定体20と、可動モジュール10と、可動モジュール10が固定体20に対して揺動可能に支持された状態とする支持機構としてのジンバル機構30(
図4参照)と、可動モジュール10と固定体20との間で可動モジュール10を固定体20に対して相対変位させる磁気駆動力を発生させる振れ補正用駆動機構500(
図4参照)とを有している。
【0025】
固定体20はケース1200を備えている。ケース1200は、可動モジュール10の周りを囲む角筒状の胴部1210と、胴部1210のZ軸方向の他方側−Zの端部から径方向内側に張り出した矩形枠状の端板部1220とを備えており、端板部1220には矩形の窓1221が形成されている。また、固定体20は、ケース1200のZ軸方向の他方側−Zに固定されたカバー1600と、カバー1600のZ軸方向の他方側−Zに固定されたカバーシート1700とを有している。カバー1600は、ケース1200の端板部1220に重なる板状の枠部1610と、枠部1610の内縁からZ軸方向の一方側+Zに屈曲した角筒状の側板部1620とを備えており、側板部1620は、ケース1200の開口部1221からケース1200の内側に差し込まれている。側板部1620のZ軸方向の一方側+Zの端部の4つの角部分には、三角形の板状の連結部1630が形成されており、連結部1630には、後述する矩形枠25を固定するための穴1632が形成されている。なお、カバーシート1700には被写体からの光を光学モジュール1に導く窓1710が形成されている。
【0026】
(振れ補正用駆動機構500の構成)
図4および
図5に示すように、振れ補正用駆動機構500は、板状の磁石520とコイル560とを利用した磁気駆動機構である。コイル560は、可動モジュール10に保持され、磁石520は、ケース1200の胴部1210の4つの側板部1211、1212、1213、1214の内面に保持されている。本形態において、磁石520は、外面側および内面側が異なる極に着磁されている。また、磁石520は、光軸L方向に2つに分割されており、コイル560の側に位置する磁極が光軸L方向で異なるように着磁されている。このため、コイル560は、上下の長辺部分が有効辺として利用される。なお、4つの磁石520は、外面側および内面側に対する着磁パターンが同一である。このため、周方向で隣り合う磁石520同士が吸着し合うことがないので、組み立て等が容易である。
【0027】
ケース1200は磁性材料から構成されており、磁石520に対するヨークとして機能する。ケース1200の端板部1220では、Z軸方向からみたとき磁石520のコイル560と対向する面より径方向外側に開口縁が位置する窓1221が形成されている。このため、光軸L方向の前側において磁石520の磁力線がケース1200(ヨーク)の端板部1220の側に向かうことを抑制することができる。
【0028】
(可動モジュール10の構成)
図6は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の可動モジュール10を分解した様子を被写体側(Z軸方向の他方側−Z)からみた分解斜視図である。
図7は、
図6に示す可動モジュール10に用いた光学モジュール1等を被写体側(Z軸方向の他方側−Z)からみた分解斜視図であり、
図7(a)、(b)、(c)は、光学モジュール1とフレキシブル配線基板1800とを分解した様子の分解斜視図、光学モジュール1等をさらに分解した様子の分解斜視図、および撮像素子1b等の説明図である。
【0029】
図4、
図5および
図6に示すように、可動モジュール10は、レンズ1a(光学素子)を備えた光学モジュール1と、ウエイト5とを有しており、光学モジュール1は、レンズ1aを保持するホルダ4と、ホルダ4を保持するフレーム1110とを有している。
【0030】
図4、
図5、
図6および
図7において、ホルダ4は、例えば、直方体形状の本体部101と、本体部101からZ軸方向の他方側−Zに突出した円筒部102とを有しており、ホルダ4の内側には、レンズ1aやフォーカシング駆動用のアクチュエータ(図示せず)等が設けられている。また、本体部101に対してZ軸方向の一方側+Zの端部には撮像用回路モジュール1090が設けられており、撮像用回路モジュール1090は、U字状に折り曲げられた可撓性の実装基板103を有している。実装基板103においてZ軸方向の他方側−Zに位置する部分103aのZ軸方向の他方側−Zに向く面には撮像素子1bが実装され、Z軸方向の一方側+Zに位置する部分103bの他方側−Zに向く面には、b−to−bコネクタのプラグ105が実装されている。実装基板103においてZ軸方向の他方側−Zに位置する部分103aのZ軸方向の一方側+Zに向く面には補強板107が貼付され、Z軸方向の一方側+Zに位置する部分103bの一方側+Zに向く面にも補強板108が貼付されている。
【0031】
このように構成した光学モジュール1において、ホルダ4は、後述するフレーム1110の内側に保持され、この状態で、Z軸方向の一方側+Zから保護板109によって覆われる。保護板109は、フレーム1110をZ軸方向の一方側+Zから覆う矩形の端板部109aと、矩形の端板部109aの4つの辺のうち、Y軸方向の一方側+Yを除く3つの辺からZ軸方向の他方側−Zに突出した側板部109bとを有している。
【0032】
(信号出力用のフレキシブル配線基板1800の構成)
図8は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100のフレキシブル配線基板の説明図であり、
図8(a)、(b)は、フレキシブル配線基板等をX軸方向の一方側+Xからみた側面図、およびフレキシブル配線基板等をZ軸方向の一方側+Zからみた底面図である。
【0033】
図4、
図5、
図6、
図7および
図8に示すように、光学モジュール1には、撮像素子1bで得られた信号を出力するための信号出力用のフレキシブル配線基板1800が接続されている。なお、光学モジュール1の内部にフォーカシング駆動用のアクチュエータ(図示せず)が設けられている場合、かかるアクチュエータへの駆動電流の供給は、フレキシブル配線基板1800を利用して行われる。
【0034】
フレキシブル配線基板1800は、実装基板103のZ軸方向の一方側+Zに位置する部分103bと他方側−Zに位置する部分103aとの間に配置された矩形の第1接続部1810と、第1接続部1810のY軸方向の他方側−Yの端部で光軸L方向の後側(Z軸方向の一方側+Z)に向けて湾曲する湾曲部1820と、湾曲部1820にY軸方向の一方側+Yで繋がる矩形の第2接続部1830と、第2接続部1830から外部に引き回された引き回し部1840とを有している。
【0035】
第1接続部1810においてZ軸方向の一方側+Zに向く面には、プラグ105と係合するソケット115が実装されている。また、引き回し部1840のY軸方向の一方側+Yの端部1880において、Z軸方向の一方側+Zの面にはコネクタ117が実装されている。従って、撮像素子1bで得られた信号は、実装基板103、b−to−bコネクタ(プラグ105およびソケット115)、フレキシブル配線基板1800、およびコネクタ117を介して出力される。なお、端部1880のZ軸方向の他方側−Zの面には補強板118が貼付されている。
【0036】
フレキシブル配線基板1800の第2接続部1830のZ軸方向の他方側−Zの面は、保護板109のZ軸方向の一方側+Zの面に接着剤によって固定されている。このため、可動モジュール10の光軸L方向の後側端面17(Z軸方向の一方側+Zの端面)は、フレキシブル配線基板1800の第2接続部1830のZ軸方向の一方側+Zの面によって構成されている。本形態では、可動モジュール10の光軸L方向の後側端面17(フレキシブル配線基板1800の第2接続部1830のZ軸方向の一方側+Zの面)には、ジャイロスコープ13およびキャパシタ等の電子部品14が実装されている。
【0037】
本形態において、引き回し部1840は、Y軸方向に延在するスリット1850によってX軸方向で並列する第1帯状部1860と第2帯状部1870とに分割されており、第1帯状部1860と第2帯状部1870とにおいて、X軸方向の寸法(幅寸法)は等しい。また、第1帯状部1860および第2帯状部1870の幅寸法は、スリット1850の幅寸法より大である。
【0038】
(フレーム1110の構成)
図9は、
図6に示す可動モジュール10に用いたフレーム1110等を被写体側(Z軸方向の他方側−Z)からみた分解斜視図である。
図10は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100に用いたジンバル機構等の説明図であり、
図10(a)、(b)は、ジンバル機構等を被写体側(Z軸方向の他方側−Z)からみた分解斜視図、およびジンバル機構の支点の説明図である。
【0039】
図4、
図5、
図6、
図8、
図9および
図10に示すように、フレーム1110は、可動モジュール10の外周部分を構成しており、概ね、ホルダ4を内側に保持する筒状のホルダ保持部1120と、ホルダ保持部1120のZ軸方向の一方側+Zの端部で拡径する肉厚のフランジ部1130とを有している。
【0040】
図10に示すように、フレーム1110において、ホルダ保持部1120の径方向外側には、ジンバル機構30の可動枠32が配置される可動枠配置空間1140と、コイル560を可動枠配置空間1140の外側で保持するコイル保持部1150とが設けられている。コイル保持部1150は、可動枠配置空間1140の径方向外側でフランジ部1130の外縁からZ軸方向の他方側−Zに向けて突出した部分からなり、周方向の4個所に形成されている。本形態において、4つのコイル保持部1150のうち、X軸方向に位置するコイル保持部1150は、Y軸方向で2つの凸部に分割され、Y軸方向に位置するコイル保持部1150は、X軸方向で2つの凸部に分割されている。コイル560は空芯コイルであり、空芯コイルの開口部にコイル保持部1150が嵌った状態でコイル保持部1150に接着されている。この状態で、コイル保持部1150は、コイル560の外面(磁石520と対向する面)から一部が突出している。
【0041】
(給電用のフレキシブル配線基板1900の構成)
図5、
図6および
図9に示すように、可動モジュール10において、可動モジュール10のZ軸方向の一方側+Zの端部には、コイル560に対する給電用のフレキシブル配線基板1900が接続されている。フレキシブル配線基板1900は、フレーム1110のZ軸方向の一方側+Zで、フレーム1110の外縁に沿って延在する矩形枠部分1910と、矩形枠部分1910から延在する帯状の引き回し部1920とを有しており、矩形枠部分1910には4つのコイル560が接続されている。
【0042】
本形態において、引き回し部1920の幅寸法は、フレキシブル配線基板1800のスリット1850の幅寸法よりわずかに小であり、Z軸方向からみたとき、引き回し部1920は、スリット1850の内側で延在し、フレキシブル配線基板1800の端部1880に接続されている。このため、コイル560への給電は、コネクタ117を介して行われる。また、引き回し部1920の幅寸法は、第1帯状部1860および第2帯状部1870の幅寸法より小である。
【0043】
(固定体20の詳細構成)
図2、
図3、
図4および
図5に示すように、固定体20は、ケース1200のZ軸方向の一方側+Zを覆う矩形の第1底板1400を有している。本形態において、第1底板1400には、フレキシブル配線基板1800の引き回し部1840およびフレキシブル配線基板1900の引き回し部1920を外部に引き出すための開口部1410が形成されており、かかる開口部1410は、第1底板1400に対してZ軸方向の一方側+Zから重なる第2底板1500によって覆われている。第1底板1400は、矩形の底板部1420と、底板部1420の4つの角からZ軸方向の他方側−Zに向けて突出した側板部1440とを備えている。
【0044】
また、固定体20は、可動モジュール10の周りを囲むように配置された矩形枠状の板状ストッパ1300を有している。本形態において、板状ストッパ1300の内周側に位置する部分は、可動モジュール10のフレーム1110のうち、フレキシブル配線基板1900の矩形枠部分1910が接着されている部分に対してZ軸方向の一方側+Zで重なる。このため、板状ストッパ1300は、可動モジュール10のZ軸方向の一方側+Zへの可動範囲を規定している。
【0045】
板状ストッパ1300において各辺の外周縁には外側に向けて突出した凸部1310が形成されている。このため、第1底板1400とケース1200とをZ方向で重ねた際、第1底板1400の側板部1440とケース1200の側板部1211、1212、1213、1214との間に板状ストッパ1300の凸部1310が挟まった状態となる。このため、第1底板1400の側板部1440、ケース1200の側板部1211、1212、1213、1214、および板状ストッパ1300の凸部1310を溶接等によって接合すれば、第1底板1400、板状ストッパ1300およびケース1200を一体化することができる。
【0046】
(ジンバル機構30の構成)
本形態の光学ユニット100において、手振れを補正するには、可動モジュール10を光軸L方向に交差する第1軸線L1(
図2(a)参照)回りに揺動可能に支持するとともに、可動モジュール10を光軸L方向および第1軸線L1に交差する第2軸線L2(
図2(a)参照)回りに揺動可能に支持する必要があるため、可動モジュール10と固定体20との間には、以下に説明するジンバル機構30(支持機構)が構成されている。
【0047】
図10に示すように、本形態では、ジンバル機構30を構成するにあたって、矩形枠25を介してカバー1600(
図2(b)参照)に固定された矩形の可動枠32を用いる。可動枠32は、光軸L周りに第1角部321、第2角部322、第3角部323および第4角部324を有しており、第1角部321と第2角部322との間、第2角部322と第3角部323との間、第3角部323と第4角部324との間、および第4角部324と第1角部321との間に第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329を有している。本形態において、第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329は、各々の延在方向およびZ軸方向に対して直交する方向に湾曲した蛇行部326a、327a、328a、329aを有している。
【0048】
ここで、可動枠32の第1角部321、第2角部322、第3角部323および第4角部324の内側には金属製の球体38が溶接等によって固定されており、かかる球体38は、径方向内側に半球状の凸面を向ける突部を構成している。
【0049】
また、ケース1200(固定体20)の端板部1220にはカバー1600が固定されているとともに、カバー1600の連結部1630には矩形枠25が固定されている。矩形枠25は、光軸L周りに第1角部251、第2角部252、第3角部253および第4角部254を有しており、第1角部251と第2角部252との間、第2角部252と第3角部253との間、第3角部253と第4角部254との間、および第4角部254と第1角部251との間に第1辺部256、第2辺部257、第3辺部258および第4辺部259を有している。第1角部251、第2角部252、第3角部253および第4角部254にはZ軸方向の他方側−Zに向けて突出した凸部251a、252a、253a、254aが形成されており、矩形枠25は、カバー1600の連結部1630に形成されている穴1632に凸部251a、252a、253a、254aが嵌った状態でカバー1600に固定される。
【0050】
また、矩形枠25は、第2角部252および第4角部254からZ軸方向の一方側+Z(光軸L方向の他方側)に突出した支持板部255を有している。本形態において、支持板部255の径方向外側の面には、周方向の両脇で対向する壁面255a、255bと、Z軸方向の一方側+Zに向く壁面255cとが形成されており、壁面255a、255bの間は、径方向外側に向かって開口する凹部になっている。
【0051】
ここで、壁面255a、255bの間には、L字形状に折り曲げられた板状部材33が固定されている。本形態において、板状部材33は、Z軸方向に延在する第1板部331と、第1板部331のZ軸方向の一方側+Zの端部で径方向外側に向けて折れ曲がった第2板部332とを有しており、第1板部331が矩形枠25に形成された支持板部255の壁面255cおよび壁面255a、255bに固定されている。従って、矩形枠25の第2角部252および第4角部254では、板状部材33の第2板部332と、支持板部255の壁面255a、255b、255cによって周囲が囲まれて径方向外側に向けて開口する凹部が形成され、かかる凹部の径方向内側に板状部材33の第1板部331が位置する。本形態では、第1板部331の径方向外側の面には半球状に凹んだ受け部330が形成されている。
【0052】
また、フレーム1110において、Z軸方向の一方側+Z(光軸L方向の他方側)からZ軸方向の他方側−Z(光軸L方向の一方側)に向けて突出したホルダ保持部1120の外周側には、X軸方向の一方側+XかつY軸方向の他方側−Y、およびX軸方向の他方側−XかつY軸方向の一方側+Yに凹部1160が形成されている。
【0053】
ここで、凹部1160を径方向外側から塞ぐように、L字形状に折り曲げられた板状部材34が固定されている。本形態において、板状部材34は、Z軸方向に延在する第1板部341と、第1板部341のZ軸方向の他方側−Zの端部で径方向外側に向けて折れ曲がった第2板部342とを有している。本形態では、第1板部341の径方向外側の面には半球状に凹んだ受け部340が形成されている。
【0054】
このように構成した矩形枠25、可動枠32、球体38、板状部材33、34、およびフレーム1110を用いて、可動モジュール10を光軸L方向に交差する第1軸線L1周りに揺動可能に支持するとともに、可動モジュール10を光軸L方向および第1軸線L1に交差する第2軸線L2周りに揺動可能に支持する。より具体的には、可動枠32の第2角部322と矩形枠25の第2角部252との揺動支持部、および可動枠32の第4角部324と矩形枠25の第4角部254との揺動支持部では、板状部材33が可動枠32の第2角部322および第4角部324の内側に位置することにより、球体38が受け部330で支持される。その結果、可動枠32において第1軸線L1上に位置する第2角部322および第4角部324が矩形枠25(固定体20)の第2角部252および第4角部254に揺動可能に支持される。
【0055】
また、可動枠32の第1角部321とフレーム1110との揺動支持部、および可動枠32の第3角部323とフレーム1110との揺動支持部では、フレーム1110に設けた板状部材34が、可動枠32の第1角部321および第3角部323の内側に位置することにより、球体38が受け部340で支持される。その結果、可動枠32において第2軸線L2上に位置する第1角部321および第3角部323は、フレーム1110(可動モジュール10)を揺動可能に支持する。
【0056】
このようにして、可動モジュール10は、ジンバル機構30に用いた可動枠32を介して、固定体20に第1軸線L1周りに揺動可能に支持されるとともに、第2軸線L2周りに揺動可能に支持される。
【0057】
ここで、可動枠32および板状部材33、34はいずれも、コイル保持部1150と同じ高さ位置(Z軸方向における同一の位置)にある。このため、光軸L方向に対して直交する方向からみたとき、ジンバル機構30は、振れ補正用駆動機構500と重なる位置に設けられている。特に本形態では、光軸L方向に対して直交する方向からみたとき、ジンバル機構30は、振れ補正用駆動機構500のZ軸方向の中心と重なる位置に設けられている。
【0058】
ここで、可動枠32は、バネ性を有する金属材料等で構成されており、可動モジュール10の自重では下方に撓まないが、外部から衝撃が加わった際、衝撃を吸収可能なバネ性を有している。また、可動枠32は、第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329が各々、内側および外側に弾性変形可能である。このため、第1角部321、第2角部322、第3角部323および第4角部324のいずれにおいても、第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329の弾性によって、球体38bと受け部330、340とが弾性をもって接している。従って、球体38と受け部330、340との間にガタつきが発生しない。
【0059】
(板状バネ70の構成)
本形態の可動モジュール10は、可動モジュール10と固定体20とに接続して、振れ補正用駆動機構500が停止状態にあるときの可動モジュール10の姿勢を規定する板状バネ70を有している。本形態において、板状バネ70は、金属板を所定形状に加工したバネ部材であり、矩形枠状の固定体側連結部71と、円環状の可動体側連結部72と、固定体側連結部71と可動体側連結部72とを連結する板バネ部73とを有している。本形態において、板バネ部73は、固定体側連結部71の角部分から周方向の一方側から他方側に折り返しながら可動体側連結部72まで延在している。
【0060】
ここで、固定体側連結部71は、矩形枠25のZ軸方向の他方側−Zの面に固定され、可動体側連結部72は、フレーム1110のホルダ保持部1120のZ軸方向の他方側−Zの端面に溶接や接着等により固定されている。より具体的には、矩形枠25の凸部251a、252a、253a、254aが固定体側連結部71の穴710に嵌った状態で、固定体側連結部71が矩形枠25に固定されている。また、ホルダ保持部1120のZ軸方向の他方側−Zの端面には、凸部1123が形成されており、かかる凸部1123が可動体側連結部72の切り欠き720に嵌った状態で、可動体側連結部72がホルダ保持部1120に固定されている。
【0061】
ここで、ジンバル機構30は、振れ補正用駆動機構500のZ軸方向の中心と重なる位置に設けられているのに対して、板状バネ70は、振れ補正用駆動機構500のZ軸方向の中心と重なる位置よりZ軸方向の他方側−Zに位置する。
【0062】
本形態において、ジンバル機構30および振れ補正用駆動機構500は、可動モジュール10にZ軸方向の途中位置に設けている。特に本形態では、ジンバル機構30および振れ補正用駆動機構500は、可動モジュール10のZ軸方向の中間位置(中央位置)に設けられている。また、ジンバル機構30および振れ補正用駆動機構500は、Z軸方向において、可動モジュール10のZ軸方向における重心位置と同一の位置に設けられている。ここで、光学モジュール1は、Z軸方向の中間位置よりZ軸方向の一方側+Zに重心がずれているが、本形態では、
図7に示すように、可動モジュール10は、光学モジュール1のZ軸方向の他方側−Zの端部に取り付けられたウエイト5を有している。このため、光軸L方向において、可動モジュール10の重心位置は、ウエイト5によって光学モジュール1の重心位置よりジンバル機構30(支持機構)による支持位置側にシフトしている。従って、可動モジュール10の重心位置は、可動モジュール10のZ軸方向の中間位置(中央位置)に位置し、かかる重心位置とZ軸方向における同一位置にジンバル機構30が設けられている。
【0063】
[ウエイト5等の詳細構成]
図11は、
図6に示す可動モジュールに用いたウエイト5等の説明図であり、
図11(a)、(b)、(c)は、ウエイト5を光軸L方向の後側(Z軸方向の一方側+Z)からみた斜視図、ウエイト5を光学モジュール1に取り付けた様子を示す断面図、およびウエイト5を光学モジュール1に取り付けた箇所を拡大して示す断面図である。
【0064】
図11に示すように、ウエイト5は、光軸Lが通る位置に開口部50が形成された前板部51と、前板部51の外縁から光軸L方向の後側(Z軸方向の一方側+Z)に屈曲した筒部52とを有しており、ウエイト5の光軸L方向の前側の端面51aは、光軸Lに直交する平面になっている。本形態において、前板部51および開口部50は円形であり、筒部52は円筒状である。
【0065】
ウエイト5は、光学モジュール1の光軸L方向の前側端部1cに被さるようにホルダ4に固定されている。このため、ウエイト5の前板部51は、光学モジュール1の前側端部1cに光軸L方向の前側から重なり、筒部52は、前側端部
1cの外側面を全周にわたって囲む。
【0066】
光学モジュール1のホルダ4は、レンズ1a等を保持する筒状の第1ホルダ2と、第1ホルダ2を保持する筒状の第2ホルダ3とを備えており、
図7に示す直方体形状の本体部101は、第3ホルダ3の角筒部31によって構成され、
図7に示す円筒部102は、第3ホルダ3の円筒部32によって構成されている。第1ホルダ2は、一部が第2ホルダ3の円筒部32の前端面32aから光軸L方向の前側に突出しており、光学モジュール1の前側端部1cは、第1ホルダ2の第2ホルダ3から光軸L方向の前側に突出する部分2aからなる。第1ホルダ2は、例えば、第1ホルダ2の外周面に形成された雄ねじ2eと、第2ホルダ3の内周面に形成された雌ねじ3eとによって第2ホルダ3に保持されている。なお、第1ホルダ2には、レンズ1aが1枚のみ保持された様子が示されているが、複数枚のレンズや絞り等(図示せず)が保持されている。
【0067】
このように構成した光学モジュール1のホルダ4に対して、ウエイト5は、前側端部2aと前板部51との間、および前側端部2aと筒部52との間の双方に隙間Gをもって筒部52の光軸L方向の後側端部52aが第2ホルダ3の前端面32aに接着等の方法により固定されている。このため、ウエイト5は第1ホルダ2とは接していない。
【0068】
本形態において、ウエイト5は非磁性の金属製であり、例えば、真鍮からなる。このため、ウエイト5と磁石520との間には磁気的な吸引力が発生しない。ここで、光軸L方向の前側から光を光学モジュール1に取り込む際、ウエイト5で反射した光が光学モジュール1に進入すると、かかる光は迷光となって画像の品位を低下させる。従って、本形態では、少なくとも、ウエイト5の開口部50の前側の縁50aは、反射防止性を有するように構成されている。例えば、ウエイト5の開口部50の前側の縁50aには、黒色の塗装等の処理が施されている。本形態では、ウエイト5の開口部50の縁50aに加えて内周面50b全体に黒色の塗装等の処理が施されている。なお、ウエイト5の表面全体に黒色の塗装や黒色樹脂の被覆等の処理を行ってもよい。
【0069】
(振れ補正用駆動機構500等の構成および基本動作)
このように構成した光学ユニット100において、
図1に示す光学機器1000が振れると、かかる振れはジャイロスコープ13によって検出され、制御用IC(図示せず)は、振れ補正用駆動機構500を制御する。すなわち、ジャイロスコープ13で検出した振れを打ち消すような駆動電流をコイル560に供給する。その際、4つのコイル560のうちの一部に通電し、他のコイル560には通電しない。または、4つのコイル560の全てに通電するが、4つのコイル560に供給する電流バランスを制御する。その結果、可動モジュール10は、第1軸線L1周りまたは第2軸線L2周りに揺動し、手振れが補正される。あるいは、可動モジュール10は、第1軸線L1周りに揺動するとともに、第2軸線L2周りに揺動し、手振れが補正される。
【0070】
(フレキシブル配線基板1800、1900の引き回し構造)
図3に示すように、本形態の光学ユニット100において、第1底板1400の底板部1420には、開口部1410が形成されており、可動モジュール10に接続されたフレキシブル配線基板1800の引き回し部1840およびフレキシブル配線基板1900の引き回し部1920は、開口部1410を介して光学ユニット100の外部に引き出されている。なお、本発明における「第1フレキシブル配線基板」、「第2フレキシブル配線基板」および「第3フレキシブル配線基板」は各々、以下に示すように、第1帯状部1860、第2帯状部1870および引き回し部1920に相当する。
【0071】
第1帯状部1860=第1フレキシブル配線基板
第2帯状部1870=第2フレキシブル配線基板
引き回し部1920=第3フレキシブル配線基板
図4および
図8に示すように、フレキシブル配線基板1800は、可動モジュール10の光軸L方向の後側端面17のうち、光軸LよりY軸方向の一方側+Yから引き出されている。本形態では、フレキシブル配線基板1800は、可動モジュール10の光軸L方向の後側端面17のうち、Y軸方向の一方側+Yの端部から引き出されており、第2接続部1830と引き回し部1840との境界部分が引き出し部になっている。本形態では、引き回し部1840が第1帯状部1860と第2帯状部1870とに分割されているが、第1帯状部1860の引き出し部1861および第2帯状部1870の引き出し部1871はいずれも、第2接続部1830と引き回し部1840との境界部分に位置する。
【0072】
また、第1帯状部1860は、引き出し部1861からY軸方向において光軸Lより他方側−Yまで延在する第1延在部1862と、第1延在部1862の先端側で光軸方向後側(Z軸方向の一方側+Z)に向けて湾曲する第1湾曲部1863と、第1湾曲部1863からY軸方向の一方側+Yに向けて延在する第2延在部1864とを有している。また、第1帯状部1860は、引き出し部1861と第1延在部1862との間に引き出し部1861から光軸方向後側(Z軸方向の一方側+Z)に向けて湾曲する第2湾曲部1866を備えており、第1延在部1862は、第2湾曲部1866から可動モジュール10の光軸L方向の後側端面17に隙間を介して平行に対向する状態で延在している。
【0073】
また、可動モジュール10の後側端面17には、光軸LよりY軸方向の一方側+Yに後側端面17に板状のスペーサ18が接着剤によって固定されており、スペーサ18は、後側端面17と第1延在部1862との間に介在している。本形態において、スペーサ18は、略矩形形状の板材であり、Z軸方向の他方側−Zの面には、接着剤によって可動モジュール10の後側端面17と接着する際に接着剤溜まりとして機能する凹部182が形成されている。また、スペーサ18のZ軸方向の一方側+Zの面には、接着剤によって第1帯状部1860、第2帯状部1870および引き回し部1920と接着する際に接着剤溜まりとして機能する凹部181が形成されている。
【0074】
ここで、可動モジュール10の後側端面17には光軸Lの延長線上にジャイロスコープ13が固定されているが、ジャイロスコープ13は、スペーサ18よりもZ軸方向の寸法(厚さ寸法)が小である。このため、ジャイロスコープ13と第1延在部1862との間には隙間があいている。また、ジャイロスコープ13は、スペーサ18に対してY軸方向の他方側−Yで隣り合う位置に配置されているが、スペーサ18には、Y軸方向の他方側−Yに凹部185が形成されており、ジャイロスコープ13の一部は、スペーサ18の凹部185の内側に位置する。このため、ジャイロスコープ13を光軸Lの延長線上に配置することができる。
【0075】
また、第2延在部1864は、途中から第1底板1400の開口部1410を通って外部に引き出されており、光軸LよりY軸方向の一方側+Yで第1底板1400のZ軸方向の一方側+Yの面に固定されている。本形態において、第1帯状部1860の第2延在部1864は、両面テープ等の可撓性のシート19によって第1底板1400に固定され、かかる固定位置が固定体20の固定部1865になっている。ここで、Z軸方向からみたとき、固定部1865は、引き出し部1861と重なる位置に設けられている。
【0076】
第1帯状部1860と同様に、第2帯状部1870は、第1帯状部1860に対してX軸方向の他方側−Xに、引き出し部1871からY軸方向において光軸Lより他方側−Yまで延在する第1延在部1872と、第1延在部1872の先端側で光軸方向後側(Z軸方向の一方側+Z)に向けて湾曲する第1湾曲部1873と、第1湾曲部1873からY軸方向の一方側+Yに向けて延在する第2延在部1874とを有している。また、第2帯状部1870も、第1帯状部1860と同様、引き出し部1871と第1延在部1872との間に引き出し部1871から光軸方向後側(Z軸方向の一方側+Z)に向けて湾曲する第2湾曲部1876を備えており、第1延在部1872は、第2湾曲部1876から可動モジュール10の光軸L方向の後側端面17に隙間を介して平行に対向する状態で延在している。また、後側端面17と第1延在部1872との間にはスペーサ18が介在している。また、第2延在部1874は、第2延在部1864と同様、途中から第1底板1400の開口部1410を通って外部に引き出されており、光軸LよりY軸方向の一方側+Yで第1底板1400のZ軸方向の一方側+Yの面に可撓性のシート19によって第1底板1400に固定されている。このため、シート19による固定位置が、第2帯状部1870の固定体20への固定部1875になっている。
【0077】
引き回し部1920は、フレーム1110の光軸L方向の後側から引き出されているが、第1帯状部1860および第2帯状部1870と同様に、第1帯状部1860と第2帯状部1870とによってX軸方向で挟まれた位置に、引き出し部1921からY軸方向において光軸Lより他方側−Yまで延在する第1延在部1922と、第1延在部1922の先端側で光軸方向後側(Z軸方向の一方側+Z)に向けて湾曲する第1湾曲部1923と、第1湾曲部1923からY軸方向の一方側+Yに向けて延在する第2延在部1924とを有している。また、引き回し部1920も、第1帯状部1860および第2帯状部1870と同様、引き出し部1921と第1延在部1922との間に引き出し部1921から光軸方向後側(Z軸方向の一方側+Z)に向けて湾曲する第2湾曲部1926を備えており、第1延在部1922は、第2湾曲部1926から可動モジュール10の光軸L方向の後側端面17に隙間を介して平行に対向する状態で延在している。また、後側端面17と第1延在部1922との間にはスペーサ18が介在している。また、第2延在部1924は、第2延在部1864、1874と同様、途中から第1底板1400の開口部1410を通って外部に引き出されており、光軸LよりY軸方向の一方側+Yで第1底板1400のZ軸方向の一方側+Yの面に可撓性のシート19によって第1底板1400に固定されている。このため、シート19による固定位置が、引き回し部1920の固定体20への固定部1925になっている。
【0078】
ここで、Z軸方向からみたとき、第1帯状部1860と引き回し部1920とでは、第1湾曲部1863、1923がY軸方向で異なる位置にあり、第1湾曲部1863は、第1湾曲部1923よりY軸方向の他方側−Yに位置する。また、Z軸方向からみたとき、第2帯状部1870と引き回し部1920とでは、第1湾曲部1873、1923がY軸方向で異なる位置にあり、第1湾曲部1873は、第1湾曲部1923よりY軸方向の他方側−Yに位置する。また、第1帯状部1860と第2帯状部1870とでは、第1湾曲部1863、1873がY軸方向で同一位置にある。
【0079】
このため、幅寸法が等しい第1帯状部1860と第2帯状部1870とでは、引き出し部1861、1871から固定部1865、1875までの長さ寸法が同一である。また、幅寸法が異なる第1帯状部1860(第2帯状部1870)と引き回し部1920とを比較すると、幅寸法が大の第1帯状部1860(第2帯状部1870)の引き出し部1861(引き出し部1871)から固定部1865(固定部1875)までの長さ寸法の方が、引き回し部1920の引き出し部1921から固定部1925までの長さ寸法より長い。
【0080】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学ユニット100において、ジンバル機構30(支持機構)が可動モジュール10のZ軸方向の途中位置に設けられており、可動モジュール10は、可動モジュール10のZ軸方向の途中位置を中心に揺動する。このため、可動モジュール10を同一の角度揺動させた場合でも、可動モジュール10が光軸方向後側を中心に揺動する構成より、X軸方向およびY軸方向において光軸方向前側での可動モジュール10の変位量の最大値が小さい。従って、可動モジュール10の周りには、光軸L方向と直交する方向に大きなスペースを確保する必要がないため、光学ユニット100の光軸L方向と直交する方向のサイズを小さくすることができる。
【0081】
ここで、可動モジュール10が、可動モジュール10のZ軸方向の途中位置を中心に揺動する場合、可動モジュール10が光軸方向後側を中心に揺動する構成より、光軸方向後側での可動モジュール10の変位量が大きいため、可動モジュール10の光軸方向後側に設けられたフレキシブル配線基板1800、1900の引き回し部1840、1920の変位量も大きくなる。しかるに本形態では、フレキシブル配線基板1800、1900には、光軸LよりY軸方向の一方側+Yにある引き出し部1861、1871、1921から光軸LよりY軸方向の他方側−Yまで延在する第1延在部1862、1872、1922と、第1延在部1862、1872、1922の先端側で光軸方向後側に向けて湾曲する第1湾曲部1863、1873、1923と、第1湾曲部1863、1873、1923からY軸方向の一方側+Yに向けて延在する第2延在部1864、1874、1924とが設けられている。また、第2延在部1864、1874、1924において固定体20に接続された固定部1865、1875、1925には、光軸LよりY軸方向の一方側+Yにある。このため、フレキシブル配線基板1800、1900の引き出し部1861、1871、1921から固定部1865、1875、1925までの寸法が長いので、可動モジュール10が揺動した際、フレキシブル配線基板1800、1900から可動モジュール10に加わる力が小さい。それ故、可動モジュール10を適正に揺動させることができるので、手振れ等の振れを適正に補正することができる。
【0082】
また、Z軸方向からみたとき、引き出し部1861、1871、1921と固定部1865、1875、1925とが重なっている。このため、フレキシブル配線基板1800、1900の引き出し部1861、1871、1921から固定部1865、1875、1925までの寸法がより長いので、可動モジュール10が揺動した際、フレキシブル配線基板1800、1900から可動モジュール10に加わる力をより小さくすることができる。
【0083】
また、フレキシブル配線基板1800、1900は、引き出し部1861、1871、1921と第1延在部1862、1872、1922との間に第2湾曲部1866、1876、1926を備えている。また、可動モジュール10の後側端面17には、光軸LよりY軸方向の一方側+Yに後側端面17と第1延在部1862、1872、1922との間に介在するスペーサ18が固定されている。このため、フレキシブル配線基板1800、1900の第1延在部1862、1872、1922を可動モジュール10の後側端面17に平行に近い姿勢で延在させることができる。従って、フレキシブル配線基板1800、1900の第1延在部1862、1872、1922と可動モジュールの光軸方向後側端面17とが干渉しにくいので、可動モジュール10が揺動した際、フレキシブル配線基板1800、1900から可動モジュール10に加わる力をより小さくすることができる。
【0084】
また、可動モジュール10の後側端面17にはジャイロスコープ13が固定されているが、ジャイロスコープ13は、スペーサ18より薄い。このため、フレキシブル配線基板1800、1900とジャイロスコープ13との接触を防止することができるので、ジャイロスコープ13においてフレキシブル配線基板1800、1900との接触に起因する振れの誤検出等を防止することができる。
【0085】
また、フレキシブル配線基板1800、1900では、第1帯状部1860、第2帯状部1870、および引き回し部1920として延在しているので、1枚のフレキシブル配線基板を用いた場合より、フレキシブル配線基板から可動モジュール10に加わる力をより小さくすることができる。また、第1帯状部1860、第2帯状部1870、および引き回し部1920がX軸方向でずれているため、可動モジュール10が揺動した際、第1帯状部1860、第2帯状部1870、および引き回し部1920の追従がフレキシブル配線基板同士の接触によって妨げられることを抑制することができる。
【0086】
また、3枚のフレキシブル配線基板(第1帯状部1860、第2帯状部1870、および引き回し部1920)のうち、X軸方向の両側に位置する第1帯状部1860および第2帯状部1870は、幅寸法が等しく、引き出し部1861、1871から固定部1865、1875までの長さ寸法が等しい。このため、第1帯状部1860および第2帯状部1870から可動モジュール10に加わる力のバランスをX軸方向でとることができる。
【0087】
また、幅寸法が異なる第1帯状部1860(第2帯状部1870)と引き回し部1920とを比較すると、幅寸法が大の第1帯状部1860(第2帯状部1870)の引き出し部1861(引き出し部1871)から固定部1865(固定部1875)までの長さ寸法の方が、引き回し部1920の引き出し部1921から固定部1925までの長さ寸法より長い。このため、幅寸法が大の第1帯状部1860(第2帯状部1870)であっても、可動モジュール10の揺動に追従して変形しやすい。
【0088】
また、3枚のフレキシブル配線基板(第1帯状部1860、第2帯状部1870、および引き回し部1920)のうち、X軸方向で隣り合う部分では、第1湾曲部1863、1873、1923の位置がY軸方向でずれている。このため、可動モジュール10が揺動した際、第1帯状部1860、第2帯状部1870、および引き回し部1920の追従がフレキシブル配線基板同士の接触によって妨げられることを抑制することができる。
【0089】
また、第1底板1400には第2延在部1864、1874、1924を光軸方向後側に引き出す開口部1410が形成されている。このため、第1帯状部1860、第2帯状部1870、および引き回し部1920を第1底板1400に固定することが容易である。また、開口部1410は第2底板1500で覆うので、異物の侵入を防止することができる。
【0090】
また、ジンバル機構30(支持機構)は、可動モジュール10のZ軸方向の中間位置に設けられているため、可動モジュール10を揺動させた際のX軸方向およびY軸方向への変位量の最大値を小さくすることができる。
【0091】
また、可動モジュール10では、光学モジュール1の光軸L方向の前側端部1cにウエイト5が設けられているため、光軸L方向において、可動モジュール10の重心位置を光学モジュール1の重心位置よりジンバル機構30(支持機構)による支持位置側にシフトさせてある。このため、ジンバル機構30(支持機構)は、Z軸方向において可動モジュール10の重心位置と同一の位置に設けられている。従って、比較的小さな駆動力で可動モジュール10を適正に揺動させることができるとともに、可動モジュール10を揺動させた際の機械的共振を抑制することができる等、可動モジュール10によって手振れを適正に補正することができる。
【0092】
また、ウエイト5は、光学モジュール1の光軸L方向の前側端部1cに設けられているため、光学モジュール1の光軸L方向の後側端部に撮像素子1bやフレーム1110等を設けたために光学モジュール1の光軸L方向の後側端部の質量が大となっていても、可動モジュール10のZ軸方向の中間位置に重心を設定することができる。それ故、可動モジュール10のZ軸方向の中間位置に設定したジンバル機構30(支持機構)による支持位置と、可動モジュール10の重心位置とをZ軸方向において同一の位置とすることができる。しかも、ウエイト5は、光学モジュール1においてジンバル機構30による支持位置から最も離間した光軸L方向の前側端部1cに設けられているため、可動モジュール10の重心位置を効率よくシフトさせることができる。
【0093】
また、ウエイト5の端面51aは、光軸L方向に直交する平面からなるため、ウエイト5では、ジンバル機構30による支持位置から最も離間した部分の質量が大きい。それ故、重心位置を光軸L方向で効果的にシフトさせることができる。また、外部から衝撃が加わった際、可動モジュール10が光軸L方向の前側に変位して可動モジュール1の前側端部が固定体20と接触することがあるが、その場合でも、可動モジュール1の前側端部に位置するウエイト5が固定体20に当接する。このため、レンズ1aを保護することができる。また、ウエイト5の端面51aは、光軸L方向に直交する平面からなるため、ウエイト5は、広い面積で固定体20と接することになる。このため、可動モジュール1が受ける衝撃が緩和される。
【0094】
また、ウエイト5は、前板部51と、可動モジュール1の前側端部1cの外側面を囲む筒部52とを備えている。このため、前板部51の光軸L方向の寸法(厚さ)を大にしてウエイト5の質量を増大させた場合と違って、光学モジュール1に質量の大きなウエイト5を取り付けても、可動モジュール10の光軸L方向のサイズの増大を最小限に抑えることができる。また、ウエイト5において、前板部51は円板状であり、筒部52は円筒状である。このため、ウエイト5は、光軸Lを中心とする周方向の全体にわたって質量分布が一定である。このため、可動モジュール10を光軸Lを中心とするいずれの方向に揺動させる場合でも、ウエイト5の影響が一定である。それ故、振れ補正用駆動機構500に対する制御が容易である。
【0095】
また、光学モジュール1は、前側端部1cが第1ホルダ2の第2ホルダ3から光軸L方向の前側に突出する部分2aからなり、ウエイト5は、第1ホルダ2と接していない。このため、レンズ1aの焦点調整のために第2ホルダ3に対する第1ホルダ2の光軸L方向における取り付け位置が変わった場合でも、ウエイト5を同一箇所に設けることができる。それ故、ウエイト5によって可動モジュール1の重心位置を適正にシフトさせることができる。
【0096】
[ウエイト5の他の構成例]
上記実施の形態では、ウエイト5を光学モジュール1の光軸L方向の前側端部1cに設けたが、光学モジュール1の構成によっては、ウエイト5を光学モジュール1の光軸L方向の後側端部に設けてもよい。例えば、
図7等に示すスペーサ18をウエイト5として矩形枠状にして光学モジュール1の光軸L方向の前側端部1cに設けてもよい。この場合、ウエイト5の光軸L方向の後側の端面を光軸L方向に直交する平面とし、ウエイト5において、ジンバル機構30による支持位置から最も離間した部分の質量を大きくする。かかる構成によれば、ウエイト5では、ジンバル機構30による支持位置から最も離間した部分の質量が大きい。それ故、重心位置を光軸L方向で効果的にシフトさせることができる。また、外部から衝撃が加わった際、可動モジュール10が光軸L方向の後側に変位して可動モジュール1の後側端部が固定体20と接触することがあるが、この場合でも、可動モジュール1の後側端部に位置するウエイト5が固定体20に当接することになる。このため、ジャイロスコープ13を保護することができる。また、ウエイト5の端面が光軸L方向に直交する平面からなるため、ウエイト5は、広い面積で固定体20と接することになる。従って、可動モジュール1が受ける衝撃を緩和することができる。
【0097】
[光学ユニット100の他の構成例]
上記実施の形態では、カメラ付き携帯電話機に用いる光学ユニット100に本発明を適用した例を説明したが、薄型のデジタルカメラ等に用いる光学ユニット100に本発明を適用してもよい。
【0098】
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、携帯電話機やデジタルカメラ等の他、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラとして構成してもよい。かかるカメラは、大きな揺れが発生する状況での撮影に使用されるが、本発明によれば、振れを補正することができるので、品位の高い画像を得ることができる。
【0099】
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、冷蔵庫等、一定間隔で振動を有する装置内に固定し、遠隔操作可能にしておくことで、外出先、たとえば買い物の際に、冷蔵庫内部の情報を得ることができるサービスに用いることもできる。かかるサービスでは、姿勢安定化装置付きのカメラシステムであるため、冷蔵庫の振動があっても安定な画像を送信可能である。また、本装置を児童、学生のかばん、ランドセルあるいは帽子等の、通学時に装着するデバイスに固定してもよい。この場合、一定間隔で、周囲の様子を撮影し、あらかじめ定めたサーバへ画像を転送すると、この画像を保護者等が、遠隔地において観察することで、子供の安全を確保することができる。かかる用途では、カメラを意識することなく移動時の振動があっても鮮明な画像を撮影することができる。また、カメラモジュールのほかにGPSを搭載すれば、対象者の位置を同時に取得することも可能となり、万が一の事故の発生時には、場所と状況の確認が瞬時に行える。
【0100】
さらに、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載すれば、ドライブレコーダー等の車載用監視装置として用いることができる。また、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載して、一定間隔で自動的に周辺の画像を撮影し、決められたサーバに自動転送してもよい。また、道路交通情報通信システム等の渋滞情報と連動させて、この画像を配信することで、渋滞の状況をより詳細に提供することができる。かかるサービスによれば、自動車搭載のドライブレコーダーと同様に事故発生時等の状況を、意図せずに通りがかった第三者が記録し状況の検分に役立てることも可能である。また、自動車の振動に影響されることなく鮮明な画像を取得できる。かかる用途の場合、電源をオンにすると、制御部に指令信号が出力され、かかる指令信号に基づいて、振れ制御が開始される。
【0101】
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、レーザポインタ、携帯用や車載用の投射表示装置や直視型表示装置等、光を出射する光学機器の振れ補正に適用してもよい。また、天体望遠鏡システムあるいは双眼鏡システム等、高倍率での観察において三脚等の補助固定装置を用いることなく観察するのに用いてもよい。また、狙撃用のライフル、あるいは戦車等の砲筒とすることで、トリガ時の振動に対して姿勢の安定化が図れるので、命中精度を高めることができる。