【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は請求項1
及び請求項15における
本発明の特徴により達成される。本発明の好適な技術的詳細は請求項2
乃至14における特徴から明らかとなる。
【0008】
本発明の一態様によれば、2つの互いに対向する端面と周囲表面とを備え、周囲表面は捩り軸を取り囲み、周囲表面上で捩り軸からある半径方向距離に少なくとも1つの作用面が設けられている、捩りソノトロードが提供される。
【0009】
本発明による捩りソノトロードによれば、先行技術とは対照的に、作用面はもはや端面の一つに配置されることがなく、捩り軸を取り囲む周囲面上に配置される。この結果、作用面のすべての表面要素は捩り軸から実質的に同じ半径距離にある。作用面の実質的な部分全体にわたって均一なパワーが溶接されるべき部品に伝達される。本発明によるソノトロードを用いて実現された溶接接続は均一である。
【0010】
更に、提案された捩りソノトロードは、変換器から作用面に与えられるパワーの実質的に伝達損失ゼロを可能にする。このプロセスの間、捩りソノトロード、オプションとして提供されたブースター及び変換器の間の結合面において傾斜移動は生成されない。作用面は捩り軸の周りの捩り移動を実行するが、捩り軸に平行な長手方向の移動は行わない。提案された捩りソノトロードは金属部品間、例えばより線とプラグの間の溶接接続の実現に特に適合している。
【0011】
超音波を用いる提案された捩りソノトロードの適切な励起で、軸方向には小さいか又は取るに足りない歪しか存在しないが、横方向に捩りが存在し、この捩りは捩りのモジュールGにより記載されるべきである。捩り振動の周波数に対して以下が成立する。
【数1】
但し、nは整数>0、
lは捩りソノトロードの軸方向長さ
ρは捩りソノトロードの密度である。
【0012】
捩りソノトロードの軸方向長さlは、そのソノトロードが定常振動をするか又は予め定められた周波数ν
n、波長λで固有振動をするように好適に選択される。この場合、作用面は周囲表面上の中央に設けられる。しかしながら、原理的には、予め定められた周波数ν
nに対する捩りソノトロードの軸方向長さlを選択して、その結果波長nλ/2、但し、nは整数>0、の固有振動が実現するようにすることが可能である。即ち、捩りソノトロードの長さlはλ/2、3λ/2、2λ、等であってもよい。
【0013】
有利な実施例によれば、捩りソノトロードは好ましくは、少なくとも1つの作用面の
両側の周囲表面
に、好ましくは
該周囲表面から半径方向に突出した環状表面を有しており、その環状表面は、捩りソノトロードの固有振動の波長に関する節線(ノーダルライン)上に
位置している。捩りソノトロードの軸方向長さlは、予め定められた超音波周波数における固有振動の波長λに正確に対応するように好適に選択される。この場合、節線は例えば捩りソノトロードの長さlの1/4及び3/4に配置される。この場合、作用面は節線間に配置され、例えば、捩りソノトロードの長さlの1/2の位置に配置される。
【0014】
捩りソノトロードは、好適には、捩り軸を介して垂直に走行している対称面に関して対称的である。特に好適な実施例によれば、作用面の輪郭又は外形は対称面に関して対称である。特に、対称面は少なくとも一つの作用面を貫通し、その作用面は対称面に関して対称である。捩りソノトロードのこのような実施例は、特にシンプルである。この場合、その少なくとも一つの作用面は、捩りソノトロードの周囲表面上で捩りソノトロードの軸方向長さlに対して中央に配置されている。
【0015】
更に好適な実施例によれば、捩りソノトロードは、その少なくとも1つの作用面を備えた中央部を有し、その中央部は、
その両側から伸びている端片に
取り外し可能なように
結合されており、端片の各々は端面の一つを有している。この場合、
各端片は
それぞれ環状表面を有していてもよい。端片と中央部との間の結合は例えば螺子結合でよい。また、2つの端片は、例えば螺子結合により直接的に相互結合してもよく、中央部は、結合された端片上にシュリンク・フィットしたリングで形成されてもよい。作用面を備えた中央部を設けたことで、中央部を置き換えることにより作用面の形状を変化させることが可能になる。作用面に対する損傷があった場合、捩りソノトロードの修理も同様に中央部の交換により簡単に行うことができる。
【0016】
更なる好適な実施例によれば、作用面は予め定められた半径を持って周囲方向に曲面となっている。この半径は捩り軸に由来する。即ち、作用面はこの事例においては従って捩り軸の周囲に横たわっている。
【0017】
更なる好適な実施例によれば、作用面は
全周に亘って半径方向に突出
する環状作用面である。このような環状作用面は、特に捩りソノトロードの長時間寿命を可能にする。環状作用面の一部が用いられるようになると、捩りソノトロードを予め定められた角度で回転させることにより、更に、未だ使用されない作用面の一部を提供して、更なる溶接接続を実現することが可能である。こうして、提案された捩りソノトロードを用いて、実現可能な溶接接続の数は従来のソノトロードに比べて増大することが可能である。
【0018】
更なる好適な実施例によれば、捩りソノトロードはまた、n個の作用面が設けられ、その作用面は周囲に360°/nの角度で均一に配置されていてもよい。この場合、作用面は例えばアンビル形状で、捩りソノトロードの周囲表面から放射状に突出している。例えば、このタイプの2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上の作用面が提供されてもよい。複数の作用面の提供により、環状作用面の提供と同様に、一つの作用面が疲労した場合に素早い変更が可能になる。このような捩りソノトロードは、特に長寿命である。捩りソノトロードを単純に回転させることにより、一つの作用面を他の作用面に交換できる。この目的のために取替え又は分解は不要である。
【0019】
更なる好適な実施例によれば、作用面は、
好ましくは複数の細溝からなる構造を有している。これらの
細溝は軸方向に
延長しているか、又は軸方向に対して傾斜している。好適な実施例によれば、作用面は多結晶ダイヤモンド(PCD)でコーティングすることも可能である。このようなPCD層は、例えば、作用目上に半田付け可能である。こうして、作用面の耐久性は増大し及び/又は特に、アルミニュームとの溶接中の望ましくない接続は避けることが可能である。
【0020】
本発明の更なる態様によれば、少なくとも1つの変換器が、本発明による捩りソノトロードに結合されて捩り軸の周りに向かう超音波振動を生成する、超音波溶接装置が提供される。この提供された超音波溶接装置によって、接続されるべき部品に高いパワーを伝達することができる。こうして、比較的厚い金属部品が優れた品質で溶接可能になる。
【0021】
好適な実施例によれば、変換器は、捩り振動要素に放射状に結合されており、その捩り振動要素は捩りソノトロードの端面の一つに結合されている。捩り振動要素は例えば円筒状のロッドである。もちろん、複数の変換器を捩り振動要素に結合して捩り振動を生成することも可能である。このタイプの捩り振動手段自体は、先行技術から知られている。EP1930148A1を参照すると、その[0039]及び[0040]及び
図2及び3に適切な捩り振動手段を開示している。この文献の開示内容は、この関連で本明細書に取り込まれている。
【0022】
更なる好適な実施例によれば、捩り振動要素は、ブースターを介在して捩りソノトロードの一つの端面に結合されている。ブースターは、変換器により与えられた振幅を修正して本発明による捩りソノトロードに転送する機能を有している。ブースターの設計に依存して、振幅は減少させたり増大させたりすることができる。一般的に、変換器により与えられた振幅を増大させるブースターが用いられる。ブースターの変換は例えば1:1.5から1:2でよい。
【0023】
更なる好適な実施例によれば、更なる変換器が捩りソノトロードの端面の他方に結合されて捩り軸の周りに向かう超音波振動を生成することが出来る。この更なる変換器は、更なる捩り振動要素に放射状に結合されており、その更なる捩り振動要素は、捩りソノトロードの他の端面に結合されることができる。対応する更なる捩り振動装置は、上述の捩り振動装置と同じように設計できる。特に、その更なる振動要素は、更なるブースターを介在して捩りソノトロードの他の端面に結合されてもよい。上記の実施例によれば、特に高いパワーを捩りソノトロードに結合することが可能である。それぞれのパワーが互いに補完して結合されるように、その変換器及びその更なる変換器の振動の位相及び、必要に応じ、ブースターの変換率は、この場合、互いに一致している。
【0024】
更なる好適な実施例によれば、圧力装置が設けられて作用面上で実質的に捩り軸に垂直に作用する圧力を生成する。例えば、その圧力装置はこの事例においては油圧式、空気圧式、又は電気的に動作する圧力装置でよい。作用面上の圧力は、捩りソノトロードの上に設けられた作用面を介して、捩りソノトロードを固定のアンビル又はその上に配置された接続されるべき部品に押し付けることにより生成できる。しかしながら、捩りソノトロードは、固定されてアンビルが作用面に押し付けられることでもよい。
【0025】
いずれにしても、捩りソノトロードは、ソノトロード上に設けられた環状表面を介して支持装置内で支持されていることが好ましい。環状表面は捩りソノトロードの節線上に位置しているので、提案された支持体によるパワーの損失はない。
【0026】
支持装置は、圧力装置に結合されている。この場合、圧力装置によって捩りソノトロードは、固定アンビルに対して移動可能である。
【0027】
本発明の更なる特徴によれば、
本発明によるソノトロードを提供すること、
作用面と基盤の間に、溶接されるべき2つの部品を配置すること、
捩り軸に対して実質的に垂直に圧力を加えて、共に溶接されるべき部品が作用面と基盤の間で締め付けられるようにすること、
捩り軸の周りに超音波振動を発生させて作用面を捩り軸の周りで曲面にわたって振動させ、溶接されるべき部品上にもたらされる摩擦力により溶接接続を実現させること、
というステップを備える、超音波による溶接接続を実現する方法が提供される。
【0028】
本発明による方法の本質的な特徴によれば、作用面は、基盤に対する捩り軸に関する振り子状運動を描く。捩り軸に垂直に配置された振動の平面は、このプロセスの間は実質的に変化しない。即ち、作用面は捩り軸に平行な方向には移動しないか、或いはこの方向に取るに足りない範囲でのみ移動する。提案された方法により、格別なハイパワーが接続されるべき部品に伝達される。振動の振幅は、作用面のすべての位置で同じである。したがって、格別に均質な溶接接続の実現が可能である。
【0029】
基盤は固定のアンビルでよい。しかしながら、基盤は、本発明による更なる捩りソノトロードの方法で形成することも可能である。この場合、捩りソノトロードと更なる捩りソノトロードとは、対向する方向に振動することが好適である。捩りソノトロードの作用面と更なる捩りソノトロードの更なる作用面との間の距離は、したがって実質的に一定に保持され得る。この実施例により、より大きなパワーが接続されるべき部品に伝達され得る。この実施例においては、溶接されるべき部品は、捩りソノトロードと更なる捩りソノトロードに対して固定されている保持装置によって保持され得て、その保持装置は共に溶接されるべき部品の曲がりを防止する。
【0030】
図面に基づいて、以下に本発明の典型的な実施例をより詳細に説明する。