(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
潮流中に静置した外郭枠と、該外郭枠内で潮流を受けて回転する羽根を備えた回転体とから成る回転動力部と、前記回転体の回転で稼動する発電機を備えた潮力発電装置であって、
前記回転体は、中央の回転主軸に前記羽根を備えた複数の羽根軸を放射状に突設すると共に、前記回転主軸と前記羽根との間に、潮流方向センサーで前記羽根軸が上流に向いたことを感知したときに羽根が垂直状態に、下流方向に向いたことを感知したときに羽根が水平状態に、それぞれ前記羽根に連結された油圧によるシリンダ内のピストンの往復により強制的に転換可能とした羽根転換機構を備え、
前記外郭枠には前記回転主軸を回転可能に軸承し、
該外郭枠の上部に潮流抵抗の少ない形状のフロートを設けてその浮力で装置全体を海中に浮かせると共に前記外郭枠の下部に海底に係留された複数の係留材の上部を固定して潮流中に前記外郭枠を回転不能に係留したことを特徴とする潮力発電装置。
羽根転換機構が、羽根を転換させる油圧シリンダ及びその内部のピストンと、該シリンダへの圧力源であるコンプレッサと、該コンプレッサと前記シリンダとの間に設けられた油液用の圧送管と、油液の流通を断続可能に前記圧送管に設けられた電磁弁と、該電磁弁の開閉を制御する弁制御部と、該弁制御部に接続された潮流方向センサーと、前記コンプレッサ、前記電磁弁及び前記弁制御部の電源としての発電機に接続された蓄電池とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の潮力発電装置。
外郭枠が、回転主軸の上端部を軸承する上側軸承部を備えた上横枠と、前記回転主軸の下端部を軸承する下側軸承部を備えた下横枠と、前記上横枠と下横枠とを連結した外縦枠とで各羽根及び羽根軸の全体を囲うように形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の潮力発電装置。
回転主軸の中心線から放射状に設けた各羽根軸の先端に該中心線を中心とする環状レールを固設し、外郭枠の外縦枠に前記環状レールを外側から上下方向の移動を拘束し且つ周方向に自由にスライド可能に支持する環状レールガイド部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の潮流発電装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の装置では、潮流を受ける回転羽根の回転は該回転羽根の中心ではなく上辺側に偏った位置に配設され、回転誘導折り曲げにより羽根面を圧力誘導して起伏させるため回転力を効率よく得ることが難しい。
その理由は、潮流方向に到って回転誘導折り曲げにより回転誘導されて一旦僅か斜めに立ち上がった回転羽根は自重と潮流の羽根面への圧力によって板面が最終的に立ち上がるものなので、潮流が遅い場合には回転誘導折り曲げへの起伏力が充分には得られず、逆に潮流が速い場合には回転速度が速くなり回転羽根が海水の抵抗を強く受けるために潮流が速くても遅くても羽根転換位置での羽根面の素早い起伏が困難となるからである。
又、装置全体の構造が中央の縦回転シャフトを垂直に支持するための迂回防止板支柱を海底に固定して設置する櫓状の構造であるため、速い潮流のある深い海底には設置することができない。
【0005】
そこで本発明は、大きな潮流がある深い海底となる場所に容易に設置でき、潮流を受ける羽根の回転軸を常に率良く回転させることで遅速な潮流から大きな電力が得られる潮流発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の潮流発電装置の請求項1の発明にあっては、潮流中に静置した外郭枠と、該外郭枠内で潮流を受けて回転する羽根を備えた回転体とから成る回転動力部と、前記回転体の回転で稼動する発電機を備えた潮力発電装置であって、
前記回転体は、中央の回転主軸に前記羽根を備えた複数の羽根軸を放射状に突設すると共に、前記回転主軸と前記羽根との間に、潮流方向センサーで前記羽根軸が上流に向いたことを感知したときに羽根が垂直状態に、下流方向に向いたことを感知したときに羽根が水平状態に、それぞれ前記羽根に連結された油圧によるシリンダ内のピストンの往復により強制的に転換可能とした羽根転換機構を備え、
前記外郭枠には前記回転主軸を回転可能に軸承し
、
該外郭枠の上部に潮流抵抗の少ない形状のフロートを設けてその浮力で装置全体を海中に浮かせると共に前記外郭枠の下部に海底に係留された複数の係留材の上部を固定して潮流中に前記外郭枠を回転不能に係留したことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明にあっては、上記発明において、前記羽根転換機構が、前記羽根を転換させる油圧シリンダ及びその内部のピストンと、該シリンダへの圧力源であるコンプレッサと、該コンプレッサと前記シリンダとの間に設けられた油液用の圧送管と、油液の流通を断続可能に前記圧送管に設けられた電磁弁と、該電磁弁の開閉を制御する弁制御部と、該弁制御部に接続された潮流方向センサーと、前記コンプレッサ、前記電磁弁及び前記弁制御部の電源としての発電機に接続された蓄電池とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明にあっては、上記発明において、前記外郭枠が、回転主軸の上端部を軸承する上側軸承部を備えた上横枠と、前記回転主軸の下端部を軸承する下側軸承部を備えた下横枠と、前記上横枠と下横枠とを連結した外縦枠とで各羽根及び羽根軸の全体を囲うように形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明にあっては、上記発明において、前記回転主軸の中心線から放射状に設けた各羽根軸の先端に該中心線を中心とする環状レールを固設し、外郭枠の外縦枠に前記環状レールを外側から上下方向の移動を拘束し且つ周方向に自由にスライド可能に支持する環状レールガイド部を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項
5の発明にあっては、上記発明において、前記発電機及び蓄電池の設置領域と前記コンプレッサ、電磁弁及び弁制御部の設置領域をそれぞれ密閉ケースで覆うと共に該密閉ケース内部に空気を充満させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、回転体に設けた前記羽根転換機構によって、潮流方向センサーで前記羽根軸が上流に向いたことを感知したときに羽根が垂直状態に、下流方向に向いたことを感知したときに羽根が水平状態に、それぞれ前記羽根に連結された油圧によるシリンダ内のピストンの往復により強制的に短時間で羽根の向きが転換される。
そして、潮流の流れ方向に対して一方側では垂直に立てた羽根面で最大限潮流を受け、他方側では羽根面を水平にして抵抗を避け、潮流を受けて前記外郭枠に支えられた回転体の回転主軸を最大効率に回転させることが可能となる。そして該回転主軸の回転により発電機が稼動され、この結果、潮流は遅速であっても垂直とした羽根面の全面で該潮流を受けることで、潮流のエネルギーを効率良く電気エネルギーに変換させることが可能となる。
そして、強い潮流が流れる深い海中にその流域に応じて係留材の長さを調節するだけで海底までの水深が大きくても適宜深さに前記外郭枠を設置することができる。このため深い海底に流れる強い潮流を利用して潮流の大きなエネルギーを有効に利用することが可能となる。
又、前記外郭枠下部が係留材で引き下げられ、前記外郭枠上部のフロートには常時装置全体を引上げる浮力が働いているので前記外郭枠が上下逆転したり、大きく転倒したりすることはない。
又、外郭枠上部に設けたロートは潮流に対する抵抗が少ないので、潮流を受けて外郭枠内を縦に貫く回転主軸の中心線が垂直線に対して過度に傾くのが防止可能となる。
【0016】
請求項2の発明においては、前記羽根転換機構によって、コンプレッサに接続されて加圧された油液が圧送管から、油圧シリンダへ送られ、その油液の圧力でシリンダ内のピストンを作動させ、該ピストンに接続させた羽根を短時間で回動させる。
その際、前記弁制御部による電磁弁の開閉のタイミングを、潮流の上流方向と下流方向に羽根軸が向いたことを前記潮流方向センサーが感知したときに作動するよう設定することで、そのタイミングで圧送管に設けられた油液の圧力でシリンダ内のピストンを作動させ、該ピストンに接続させた羽根を羽根軸が潮流の上流方向に向いたときには水平状態から垂直状態に、下流方向に向いたときには垂直状態から水平状態に確実にそれぞれ90度強制的に回動させることが可能となる。
即ち、前記羽根転換機構で油圧により強制的に羽根を回動させ、羽根転換時の羽根が水平から垂直、及び垂直から水平になるまでの時間を最小限に抑えることで潮流を受けた回転体の回転力を効率良く得ることが可能となる。
【0017】
請求項3の発明においては、海中に設置された装置全体は外郭枠によって内部の回転体と一体的な構造であるため、一方向からの潮流を受けて外郭枠が傾いて回転主軸が垂直方向に対して傾斜が生じたとしても、潮流の方向を感知する潮流方向センサーの信号を受けて流れの方向に応じて常に各羽根は潮流の上流方向では垂直に、下流方向では水平に転換される。この結果、回転主軸は正常な回転が持続できるので外郭枠の傾斜は発電の大きな障害とはならない。
又、装置全体を工場生産により製造でき、製造された装置を設置場所に運搬し、そこで海底の深さに応じて係留材の長さを調節して装置全体を海中へ投入することで容易に設置でき、この装置を引上げて別の場所へ移設することも容易に行うことが可能となる。
【0018】
請求項4の発明においては、各羽根軸の先端を繋げた環状レールが外郭枠の外縦枠に設けた環状レールガイド部に支持されて羽根を安定的に回転させることができるので、回転主軸が振れるのを防止されて、該回転主軸を安定的に回転させ、効率良く発電することが可能となる。
【0023】
請求項
5の発明においては、空気を充満させ、中に海水が入らない密閉ケース内に発電機、蓄電池等及びコンプレッサ及び電磁弁等が収納されるので、それらの構成部品を海水に接触させず、塩害から守って装置の寿命を引き伸ばすことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の潮流発電装置の実施形態を、以下図を参照して説明する。
本発明は、
図1に示すように、海面L下の海中Uの中層にある潮流Fのエネルギーを利用して羽根3を回転させ、その回転で発電機を回転させて発電するものであり、潮流F中に静置した外郭枠9と、
図2に示すように、該外郭枠9内で潮流Fを受けて回転する羽根3を備えた回転体Kとから成る回転動力部と、
図3に示すように、前記回転体Kの回転で稼動する発電機22を備える。
【0026】
前記回転体Kは、
図2に示すように、立てた中央の回転主軸1の中心線xから放射状に複数突出させた上下複数段に各羽根軸2を備える。
そして、該羽根軸2に平面板状の羽根3を板面の中心が該羽根軸2の中心線yと合致し且つ該中心線yを中心に90度回動可能に装着する。
【0027】
前記羽根3は海中Uの中流の遅い流れを捕らえて大きな回転力を得るために面積を大きくすることが好ましく、その羽根3のサイズは限定するものではないが、例えば幅1〜5m、長さ10〜50mと極めて大きな羽根3を用いることができる。
該羽根3の厚さは、水平状態での横方向の流れが通過しやすいようにできるだけ薄くする。なお、各羽根軸2への装着のため羽根3の中央を厚くする場合には断面を流線型に形成すると良い。
図5では、板面の強度を高めるため中央部を厚く且つ先側端を薄く形成した態様の羽根3を示す。そして、羽根3の内部を空洞にすれば、浮力が得られるので長い羽根が自重で垂れ下がるのを防止することができる。
該羽根3及び羽根軸2の材質は、海水による腐食が少ないステンレス製とすることが好ましい。又、腐食を防ぐため金属板の表面に樹脂膜を被覆した板を用いることもできる。
羽根3の板面はできるだけ平面とすることが水平状態のときの羽根の潮流に対する抵抗が少なくなるので好ましいが、回転方向の面は僅かに膨らませ、その背面は僅かに凹ませた緩い湾曲面に形成することで潮流を羽根3の後ろから受け易くしても良い。
【0028】
又、前記回転主軸1はステンレス製の棒状又はパイプ状の軸体が使用でき、潮流の圧力を受けて回転する羽根3を備えた羽根軸2を支えることができる強度を要する。
そして、
図1に示すように、上下複数段の各羽根軸2は該回転主軸1の周壁から等分度間隔に放射状に複数突出させる。
なお、
図1及び
図2は、該回転主軸1の1段部分に90度間隔に4本の羽根軸2を放射状に突出させた態様を示すが、その角度や数は限定するものではない。
【0029】
そして、
図4に示すように、前記回転主軸1と前記羽根3との間に、潮流方向センサー46で前記羽根軸2が上流に向いたことを感知したときに羽根3が水平方向から垂直状態に、下流方向に向いたことを感知したときに羽根3が垂直方向から水平状態に、それぞれ前記羽根3に連結された油圧によるシリンダ50内のピストンの往復により強制的に転換可能とした羽根転換機構4を備える。
該羽根転換機構4は、圧力源であるコンプレッサ40を設けると共に各羽根転換機構4に対して該コンプレッサ40で加圧された油液を往復可能に送る圧送管44、45に電磁弁42、43を設ける。
そして、
図6に示すように、前記圧送管44、45から前記各電磁弁42、43を経て送られた油液の圧力でシリンダ51内のピストン52を往復させることにより前記羽根3を水平方向から垂直方向に90度回動可能とする。
【0030】
又、前記各電磁弁42、43には、
図4に示すように、前記回転主軸2に設けた潮流の方向を水圧に違いで感知する潮流方向センサー46が感知した信号を受けて、各羽根3を水平方向から垂直方向に向くまで作動するように設定されたタイミングで前記各電磁弁42、43の開閉操作を行う弁制御部41を備える。
なお、
図4中の符号47は潮流方向センサー46からの潮流方向の情報を前記弁制御部41へ伝達するセンサー受信線である。
前記潮流方向センサー46は、例えば等分度間隔で8〜16箇所に周囲に向けたセンサー受圧部を設け、それらの圧力差から最大圧が得られたセンサー受圧部の方向を中流の流れの方向と判定する潮流方向センサー等が使用可能である。
【0031】
上記回転体Kは前記外郭枠9内に回転可能に支持するため、前記回転主軸1の上部には上側軸受部5を設け、下部には下側軸受部6を設けて前記外郭枠9に前記回転主軸1を直立状態に支持させる。
そのため、
図1に示すように、前記回転主軸1の上側軸受部5は上側軸承部7に軸承すると共に前記上側軸承部7には上横枠13を固定し、又、前記回転主軸1の下側軸受部6は下側軸承部8に軸承すると共に前記下側軸承部8には下横枠14を固定する。更に、該上横枠13と該下横枠14とを外縦枠15で連結させて固定する。
即ち、
図1に示すように、前記上横枠13、下横枠14及び外縦枠15で前記各羽根3及び羽根軸2を囲う外郭枠9の中に前記回転主軸1を中心に各羽根軸2及び羽根3等から成り潮流を受けて回転する回転体Kが収納されて、潮流で前記回転主軸1を回転させる回転動力部が形成される。
なお、各枠を、
図1では前記外郭枠9の上横枠13及び下横枠14の先端の横振れを防いで各枠部分を相互に強固に固定するため上側外周枠16及び下側外周枠17を固設した態様を示すが、この態様では前記外郭枠9の全体がより強固に結合される。
又、前記外郭枠9の上横枠13及び下横枠14と上側外周枠16及び下側外周枠17の材質は、強度があって腐食し難いステンレスを用いることが好ましい。
【0032】
そして、
図1に示すように、放射状の前記羽根軸2を設けた前記回転主軸1が振れなく安定的に回転できるように、前記回転主軸1の中心線xから同一平面上で放射状に設けた各羽根軸2の先端2aに、該中心線xを中心とする環状レール18を固設し、この環状レール18に近接状態に対面する前記外郭枠9を構成する外縦枠15の内側に、前記環状レール18を外側から上下方向の移動を拘束し且つ周方向に自由にスライド可能に支持する環状レールガイド部19を設ける。
この形態では、長い羽根3の基端部が回転主軸1に支持され、先端部が支該環状レールガイド部19に支持され、この両側の支持により羽根3の上下の振れ防止されて回転主軸1の回転中心線(x)が振れずに安定的な回転が可能となる。
【0033】
更に、該外郭枠9の上部にフロート10を設けてその浮力で装置全体を浮かせると共に前記外郭枠9の下部に海底Gに係留された複数の線状係留材11の上部を固定する。
複数の各係留材11は、
図1に示すように、下部を相互に離した状態で海底Gにアンカー12で係留することで、前記外郭枠9を回転しないように設置される。そして該外郭枠9を中で潮流Fを受けた羽根3により前記回転体Kが回転する。
図1では前記線状係留材11の数は4本の例を示したが、その数は限定するのではなく、前記外郭枠9に相互に離して繋ぐことで、前記外郭枠9が回転不能となるように海底に降りたアンカー12によって係留材11が一定の緊張を持って海底Gに係留される必要がある。
該係留材11は、ワイヤー、チェーン、ロープ等の海中Uに浮かんだ装置全体が潮流Fの抵抗を受けても引き千切れないほど大きい強度を有するものを用いる。
【0034】
又、前記外郭枠9の上部に設けた前記フロート10は潮流の流れに対して抵抗が少ない形状に形成する。
例えば、縦断面が横向きに流線形状とした円盤状箱体10aとすることが好ましい。
本発明では装置全体が海中Uに不安定に浮遊しているのでフロート10の抵抗が大きいと潮流Fの力でアンカー12が海底Gを移動して装置全体が押し流されてしまうおそれがあり、前記フロート10を抵抗が少ない形状にするのはこれを防ぐためである。
なお、羽根軸2の長さや羽根3の広さは限定するものではなく、装置全体の規模に応じて自由な寸法に設計することができ、前記外郭枠9もそのサイズに応じたサイズに形成する。
【0035】
又、上記
図1及び
図2には前記羽根3は1本の羽根軸2に対して1枚を装着した場合の形態を示したが、
図5に示すように、該羽根3を複数枚に分割することが可能である。
小さく分割すると該羽根3を90度回動させて方向転換させる際に各羽根3に対する海水の抵抗が分散され、分割した1つの羽根3に対して回転抵抗を小さくすることが可能となる。
例えば、
図5は1本の羽根軸2に対して羽根3を3枚に分割した例を示す。この形態では各分割羽根3a、3b、3cに対して夫々羽根転換機構4を装着する。そして該羽根軸2にはステンレスパイプを使用し、該パイプの内部に各圧送管44a、45a、44b、45b、44c、45cを挿通させて、前記各分割羽根3a、3b、3cの羽根転換機構4を前記回転主軸1に設けたコンプレッサ40の各圧送管44a、45a、44b、45b、44c、45cを、それに対応した各電磁弁42、43を介して接続する。
なお、
図5中の符号65は羽根3が前記羽根軸2に対して前記羽根3を水平方向から垂直方向に90度回動可能とする羽根回転軸受部65である。
なお、
図7に示すように、該羽根回転軸受部65にはベアリング65aを組み込むことで前記羽根3が円滑に回動できるようにすると良い。
【0036】
そして、前記各羽根転換機構4に対する各電磁弁42、43の弁制御部41による制御は各羽根3a、3b、3cが同時に回動するように設定するか又は各羽根3a、3b、3cの回動の開始と終了に若干の時間差を設定する。
該時間差は、例えば移動速度の速い外側の分割羽根3cから順次の3b、3aと回動が終了したら次の羽根が開始するように設定することができる。
このように時間差を設ける理由は、コンプレッサ40の限られた圧縮能力を複数個所に対して最大限に利用することでコンプレッサ40のコンパクト化を図るためである。
【0037】
又、
図4に示すように、前記コンプレッサ40や電磁弁42、43の周囲には空気を充満させた密閉ケース48で囲う。気密性を高めるため該密閉ケース48の部品の結合部分は樹脂でシールすることで塩水である海水が該密閉ケース48内部に全く入らないようにする。
該
図4では前記密閉ケース48は容器部48aと蓋部48bとで空気を充填した空間を密閉した態様を示す。
【0038】
以上で前記羽根軸2に装着した羽根3及びその羽根3の羽根軸2の中心線yを中心に羽根3が回動可能となる回転動力部の構造を説明したが、次に該回転主軸1が中心線xを中心に回転し、この回転で発電機22を稼動させる仕組みを説明する。
図3に示すように、前記外郭枠9の上横枠13に固定した上側軸承部7に発電機固定台20を固定すると共に、前記回転体Kの回転主軸1に対しては該発電機固定台20を回転可能に装着する。
その際に、前記発電機固定台20には前記回転主軸1の回転を発電機22まで伝達する回転伝達部21を設ける。
そして、前記発電機固定台20には蓄電池37を固設し、該蓄電池37と前記発電機22とを電線36で接続し、前記発電機22で発電した電気の一部を充電できるようにする。
そして、該蓄電池37には前記コンプレッサ40、潮流方向センサー46、電磁弁42、43及び弁制御部41を接続する。
【0039】
又、塩水である海水から部品を保護するために、前記回転伝達部21と発電機22を囲ってその内部に空気を充満させた密閉ケース49を設ける。
該密閉ケース49も前記密閉ケース48と同様に気密性を高めるため該密閉ケース49の部品の結合部分は樹脂でシールすることで塩水である海水が該密閉ケース49内部に全く入らないようにする。該
図3では、前記発電機固定台20の軸取付部38に固定した内側気密ケース34と、該内側気密ケース34の外側の一部を覆って前記発電機固定台20に固定した外側気密ケース35とで二重に覆った態様の密閉ケース49を示す。
又、前記回転主軸1や伝達軸26などの回転軸部分と前記密閉ケース49との接触面にはパッキンを装着し、グリースを塗ることで前記密閉ケース49内部の気密性を高めることができる。
【0040】
そして、前記外郭枠9は
図1に示すように、海底Gに係留された複数の線状係留材11に回転不能に係留され、この回転しない外郭枠9の上横枠13に固定された上側軸承部7には前記回転主軸1の上部の上側軸受部5が回転可能に軸承されているが、
図3に示すように、該上側軸承部7に発電機固定台20を固設する。
即ち、前記回転主軸1はその中心線xを中心に潮流を受ける羽根3に押されて回転するが発電機固定台20は外郭枠9に固定されるので回転しない状態となる。
【0041】
上記前記回転伝達部21は、
図3に示すように、前記回転主軸1の上部にメインギヤー24を歯車固定部23によって固定することで、該回転主軸1の回転によってメインギヤー24も同時に回転可能とする。
他方、発電機固定台20には発電機22を設け、該発電機22の発電機駆動軸29には駆動ギヤー28を固設ける。
そして、前記発電機固定台20に回転可能に設けられた歯車伝達軸26に伝達ギヤー25、27が固着され、前記回転主軸1のメインギヤー24には一方の伝達ギヤー25が、前記発電機22の駆動ギヤー38にはもう一方の伝達ギヤー27が夫々噛み合って、前記メインギヤー24の回転で前記発電機22の発電機駆動軸29が回転し、この結果、前記回転主軸1の回転が前記発電機22を稼動させることとなる。
【0042】
なお、上記
図3では、前記回転主軸1の上部において、該回転主軸1の上側軸受部5が前記上側軸承部7にベアリング30を介して円滑に回転可能に軸承され、又、前記上側軸承部7に固定された前記発電機固定台20の軸取付部38が該回転主軸1の上側軸受部5との間にベアリング31を介して円滑に回転可能に軸承された態様を示す。
又、該
図3中の符号32は前記回転主軸1の上部に被せたキャップ32であり、符号33は前記上側軸承部7に前記発電機固定台20を固定するための固定ネジ33であり、符号39は外郭枠9の上横枠13に前記上側軸承部7を固定するための固定ネジ39である。
【0043】
又、本発明では前記コンプレッサ40、電磁弁42、43及び弁制御部41は電気を使用するので、前記発電機22で発電された電気を貯える蓄電池37を前記発電機固定台20に設け、該蓄電池37を前記発電機22に電線36で接続する。
【0044】
そして、前記発電機22には発生させた電気を外部に送電する海中用送電線91を接続する。
該送電線91は、
図1に示すように、前記上横枠13の側方へ送電線ガイド棒90を突出させて該送電線ガイド棒90の先端部に前記送電線91を固定して海中へと導くことで、該送電線91が前記羽根3や羽根軸2等に絡まらないようにすることができる。
【0045】
次に上記羽根転換機構4について詳述する。
該羽根転換機構4は油圧によるシリンダ50内のピストンの往復で前記羽根3を水平方向から垂直方向に90度回動可能とするものである。
該羽根転換機構4の前記シリンダ50は、
図4に示すように、前記各圧送管44、45を介してコンプレッサ40に接続され、前記各圧送管44、45に設けた前記各電磁弁42、43で潮流方向センサー46が感知した信号を受ける弁制御部41により開閉の制御がなされて稼動する。
該羽根転換機構4に使用可能な油圧シリンダ50としては、
図6に示す円弧状シリンダ51や
図10、
図11及び
図12に示す円筒状のシリンダ81があり、該円筒状シリンダ81については後述する各種態様が可能である。
【0046】
該シリンダ50のうち、先ず円弧状シリンダ51を使用した形態から説明する。
図6〜
図9は該円弧状シリンダ51の形態を示す斜視図及び断面図等の各図である。
前記円弧状シリンダ51のシリンダ室58、59には円弧状のピストンヘッド52a、52b部分が90度以上回動して往復可能となるように装着される。
そして、
図6に示すように、該ピストンヘッド52a、52b両側の前記シリンダ室58、59内に臨ませて油液を注入するための油液出入口60、61がシリンダヘッド51a、51bに形成され、該油液出入口60、61には送液路62、63を介して各圧送管44、45から交互に油液が圧入され、圧入されていない方から油液が排出される。
この油圧制御で前記シリンダ室58、59内を前記ピストンヘッド52a、52bが往復回動可能となる。
【0047】
即ち、前記羽根3が水平となった際には、一方の油液出入口60から入る油液で前記ピストンヘッド52aを押すので一方の前記羽根縦向き用シリンダ室58が拡張状態となり、他方の油液出入口61から油液が排出され他方の羽根縦向き用シリンダ室59が縮小状態となる。
又、前記羽根3が垂直となった際には、
図6に示すように、他方の油液出入口61から入る油液で前記ピストンヘッド52bを押すので他方の前記羽根縦向き用シリンダ室59が拡張状態となり、一方の油液出入口60から油液が排出され一方の前記羽根縦向き用シリンダ室58が縮小状態となる。
このようにして前記ピストン52が90度回動しつつ往復可能となる。
【0048】
そして、
図8及び
図9に示すように、前記ピストン52と羽根3とはピストン52を支持する円盤部52dの一部から羽根固着用突起55を外部にシリンダケース67から円弧状のピン往復孔56を貫通して外部に向けて突設した突起部分に前記羽根3の側部に設けた羽根固定部57を固定することで該ピストン52の角度90度の回動で前記羽根3の往復回動が可能となる。
【0049】
そして、
図4に示すように、前記油液出入口60、61は送液路62、63から圧送管44、45を介して電磁弁42、43及びコンプレサ40に接続され、該羽根3の回動制御は、潮流方向センサー46が感知した信号を受けて、各羽根3を水平方向から垂直方向に向くまで作動するように設定されたタイミングで前記電磁弁42、43の開閉操作を行う弁制御部41で制御されて、前記羽根反軸2が回転主軸1を180度回転するごとに作動が実行される。
【0050】
上記円弧状シリンダ51の構造について更に詳述する。
前記円弧状シリンダ51は、
図8に示すように、羽根軸2への軸着部53と、円盤状のシリンダケース66、67とで囲われ、該シリンダケース66、67間にピストン52の軸受部52c、円盤部52d及びピストンヘッド52a、52bから成る円盤状のピストン52が収納される。
前記シリンダケース66、67は前記軸着部53で羽根軸2に固着し、更に該羽根軸2に対してシリンダ固定部64で更に強固に固定する。
該ピストン52の軸受部52cは、
図8に示すように、羽根軸2に固着されたシリンダ51の軸着部53にベアリング54を介して前記シリンダケース66、67内で円滑に回転可能となるように装着される。
【0051】
前記シリンダヘッド51a、51bは、
図9に示すように、前記シリンダケース66、67内に円形に湾曲させた角柱の如き円弧状のシリンダ室形成体68が挟着され、そのシリンダ室形成体68の両側端面に形成される。
なお、
図8中の符号69はシリンダ室形成体68のネジ穴69、符号70は前記シリンダケース66のネジ孔70、符号71は前記シリンダケース66に前記シリンダ室形成体68を固定する固定ネジ71である。
又、符号72、75、78はネジ穴であり、符号73、76、79はネジ孔であり、符号74、77、80は固定ネジである。前記両側のシリンダケース66、67を強固に固定するために前記固定ネジ74、77、80が螺着される。
【0052】
次に、円筒状のシリンダ81を使用した形態の前記羽根転換機構4を説明する。
前記羽根転換機構4は、
図10、
図11、
図12に示すように、シリンダ81及び該シリンダ81に内蔵したピストン82を円筒状としたものである。
該円筒状のシリンダ81ではピストン82が、シリンダ81のシリンダ室83a、83b内を往復する。
そして、この形態では、該ピストン83に接続されたピストンロッド84の往復によって、クランク、ギヤー、ベルト、ワイヤー、又はチェーンの内いずれか1つ又は複数を介して羽根3が角度90度に往復回動するようにピストンロッド84と羽根3とをリンクさせたものである。
なお、
図10、
図11及び
図12中の符号85はシリンダ81を回転主軸1に固定するためのシリンダ固定体、符号86は回転主軸1にピストンロッド84を安定的に支持するためのロッド支持部である。
【0053】
そのうち、クランク87を組み込んだ羽根転換機構4の態様を説明する。
この態様では、
図9に示すように、前記ピストン82に接続されたピストンロッド84が往復すると、そのロッド84に枢支部92を介して連結されロッド93が往復し、そのロッド93に設けられ枢支部94が往復する。
そして、この往復で羽根3に設けたと回転軸65から突出したアーム95に枢支されたアーム95が回動して羽根3が回動する。
【0054】
次に、ギヤーを組み込んだ羽根転換機構4の態様を説明する。
この態様では、
図10に示すように、円筒状のシリンダ81に内蔵されるピストン82がピストンロッド84に接続され、前記ピストンロッド84に先端にラック96が設けられ、該ラック96が往復すると、この往復で羽根3に設けたと回転軸60に設けられたピニオン97が往復することで羽根3が回動する。
【0055】
更に、ベルト98を組み込んだ羽根転換機構4の態様を説明する。
この態様では、
図11に示すように、円筒状のシリンダ81及び該シリンダ81に内蔵されるピストン82に接続されたピストンロッド74に先端にベルト98が設けられ、該ベルト98が引かれると羽根3に設けたと回転軸60に設けられたベルト車99が回転することで、そのベルト車99に連結した羽根3が回動する。
その後ピストンロッド84が押されるとベルト98が弛むと、渦巻きの戻しバネ100の力で回転軸65の回転が戻され羽根3が元の位置に回動して戻される。
【0056】
なお、上記各円筒状シリンダ81の態様においても円弧状シリンダ51と同様に、上記
図9、
図10、
図11に示すように、いずれも前記シリンダ81への油圧注入は、圧送管44、45を介して電磁弁42、43、コンプレサ40に接続され、潮流方向センサー46が感知した信号を受けて、各羽根3を水平方向から垂直方向に向くまで作動するように設定されたタイミングで前記電磁弁42、43の開閉操作を行う弁制御部41で制御される。
即ち、上記
図9、
図10、
図11に示すいずれの態様においても、羽根3の回動は前記弁制御部41で制御されて適宜羽根反軸2が回転主軸1を180度回転するごとに作動することとなる。