特許第6143758号(P6143758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6143758ストランド状の巻取り材料を連続的に巻き取る方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143758
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】ストランド状の巻取り材料を連続的に巻き取る方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/048 20060101AFI20170529BHJP
   B65H 59/38 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   B65H67/048 W
   B65H59/38 Y
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-535011(P2014-535011)
(86)(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公表番号】特表2014-532021(P2014-532021A)
(43)【公表日】2014年12月4日
(86)【国際出願番号】EP2012069650
(87)【国際公開番号】WO2013053634
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年7月1日
(31)【優先権主張番号】102011116156.6
(32)【優先日】2011年10月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン グレッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クロル
(72)【発明者】
【氏名】ペーター シュタインケ
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ザイファート
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ルスト
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−201949(JP,A)
【文献】 特開平07−291530(JP,A)
【文献】 特開昭61−257875(JP,A)
【文献】 特開2007−269494(JP,A)
【文献】 特開2006−089224(JP,A)
【文献】 特表2005−505479(JP,A)
【文献】 特開昭53−041543(JP,A)
【文献】 特開平10−338423(JP,A)
【文献】 特開2011−195254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00−19/30
B65H 21/00−21/02
B65H 54/00−54/88
B65H 59/00−59/40
B65H 67/00−67/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストランド状の巻取り材料を連続的に巻き取ってボビンを形成する方法であって、該ボビンを1つの巻取りリボルバに保持された2つの巻取りスピンドルにおいて交互に巻き取り、該巻取りスピンドルを別個の2つのスピンドル駆動部により駆動し、該巻取りスピンドルの上流側に、ボビン巻成時に一定の巻取り速度を維持するために、弛みを備えた前記巻取り材料のループを形成する可動のダンサアームが配置されており、前記ループの弛みを、前記巻取りスピンドルのうちの1つの巻取りスピンドルのスピンドル回転数を調節するために利用し、前記巻取りスピンドルを前記巻取りリボルバの回転により、交換位置と運転位置との間で前記巻取り材料の引渡しのために移動させる、ストランド状の巻取り材料を連続的に巻き取ってボビンを形成する方法において、
前記巻取りリボルバの回転運動および/または回転速度を、前記ループの弛みに関連して制御し、交換工程の間、前記ループの弛みは、専ら前記巻取りリボルバの回転運動および/または回転速度によって補整され、前記交換工程の間、前記ループの弛みの変化は直接に、前記巻取りリボルバの回転運動および/または回転速度の変更につながることを特徴とする、ストランド状の巻取り材料を連続的に巻き取ってボビンを形成する方法。
【請求項2】
スピンドル交換を開始するために、前記運転位置において、前記巻取り材料を巻取り中の巻取りスピンドルのスピンドル回転数の調節を中断する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記巻取り中の巻取りスピンドルのスピンドル回転数を固定的な交換回転数に調節し、該交換回転数は、該巻取りスピンドルの、中断時に調節されていた調節回転数よりも下にある、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記交換回転数を、前記調節回転数に対して、該調節回転数の50%〜95%の範囲の値に調節する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
回転可能な巻取りリボルバ(2)であって、回転可能に支承された2つの巻取りスピンドル(3.1,3.2)を片持ち式に保持し、かつ回転運動により巻取りスピンドル(3.1,3.2)を交互に運転位置から交換位置へと前記巻取り材料(34)を引き渡すために移動させる、巻取りリボルバ(2)と、
前記巻取りスピンドル(3.1,3.2)に対応配置された2つのスピンドル駆動部(19.1,19.2)と、
前記巻取りスピンドル(3.1,3.2)に運転位置で対応配置されたダンサアーム装置(13)であって、該ダンサアーム装置(13)は、弛み(35)を備えた巻取り材料(34)のループを形成する可動のダンサアーム(14)と、回転数調節ユニット(17)とを有しており、該回転数調節ユニット(17)は、前記巻取りスピンドル駆動部(19.1,19.2)に接続されている、ダンサアーム装置(13)と、
前記巻取りリボルバ(2)の回転運動を実施するためのリボルバ駆動部(21)と
を備えた、巻取り材料(34)を連続的に巻き取ってボビン(6)を形成する、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法を実施する装置であって、
前記リボルバ駆動部(21)は、前記巻取りリボルバ(2)の回転運動および/または回転速度を制御するために、前記ダンサアーム装置(13)の前記回転数調節ユニット(17)に接続されていることを特徴とする、巻取り材料を連続的に巻き取ってボビンを形成する方法を実施する装置。
【請求項6】
前記ダンサアーム装置(13)の前記回転数調節ユニット(17)は、機械制御装置(31)に接続されており、該機械制御装置(31)により、ボビン(6)を巻成するための全ての巻取り工程および巻取りスピンドル(3.1,3.2)を交換するための交換工程が制御可能である、請求項記載の装置。
【請求項7】
前記回転数調節ユニット(17)は、マイクロプロセッサを有しており、該マイクロプロセッサにより、複数の保存された制御プログラムが選択的に実施可能である、請求項記載の装置。
【請求項8】
前記制御プログラムのうちの少なくとも1つの制御プログラムは、制御アルゴリズムを有しており、該制御アルゴリズムにより前記巻取りリボルバ(2)の回転運動および/または回転速度ならびに巻取りスピンドル(3.1,3.2)のうちの一方の巻取りスピンドルのスピンドル回転数が同時に制御可能である、請求項記載の装置。
【請求項9】
前記ダンサアーム装置(13)および前記巻取りスピンドル(3.1,3.2)を備えた前記巻取りリボルバ(2)は、フレーム壁(1)に保持されており、前記ダンサアーム(14)と、前記巻取りリボルバ(2)との間で、綾振り装置(8)および圧着ローラ(10)が前記フレーム壁(1)に保持されている、請求項からまでのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記ダンサアーム(14)は、複数のダンサアームローラ(15)を有しており、該ダンサアームローラ(15)は、それぞれ2つの変向箇所(16.1,16.2)の間に保持されていて、前記巻取りスピンドル(3.1,3.2)における複数の巻取り箇所のうちのそれぞれ1つに対応配置されている、請求項からまでのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の、ストランド状の巻取り材料を連続的に巻き取ってボビンを形成する方法と、請求項8の前提部に記載の、該方法を実施する装置とに関する。
【0002】
このような種類の方法ならびにこのような種類の装置は、国際公開第2003/033386号から知られている。
【0003】
公知の方法および公知の装置では、たとえば糸の製造プロセスから走入するストランド状の巻取り材料が、中断することなしに連続的に巻き取られてボビンを形成する。このためには、ボビンが、1つの巻取りリボルバに片持ち式に保持された2つの巻取りスピンドルにおいて交互に巻き取られる。2つの巻取りスピンドルは、巻取りリボルバによって交互に、巻取り材料を巻き取るための運転位置と、満管を取り出すための交換位置とに移動させる。
【0004】
上流側のプロセスから供給される巻取り材料を連続的に受容することを保証するために、巻取りスピンドルには運転位置においてダンサアーム装置が対応配置されている。ダンサアーム装置は、ダンサアームによって、弛み(Durchhang)を備えた巻取り材料のループを形成する。ダンサアームは可動に形成されているので、ループの弛みの大きさは、直接にダンサアームの位置を決定する。ダンサアームは、巻取り材料の巻取り時に巻取りスピンドルの回転数を調節するために回転数調節ユニットと協働し、この場合、巻取りスピンドルの回転数は、ボビンの直径増大とは関係なしに一定の巻取り速度が優先されるように、調節(閉ループ制御)される。その限りでは、糸ループの弛みの大きさもしくは弛み量は、巻取り時に巻取り材料の一様な受容を達成するために役立つ。したがって、公知の方法および公知の装置では、ダンサアーム装置が、運転位置に移動された巻取りスピンドルと、該巻取りスピンドルのスピンドル駆動部とにそれぞれ接続される。2つの巻取りスピンドルを運転位置と交換位置との間で交換する場合、ダンサアームにおける巻取り材料のループの弛みには、それぞれのスピンドル回転数およびボビン直径の他に、巻取りスピンドルの変位運動によっても付加的に影響が与えられる、という問題が生じる。その限りでは、巻取り材料の、巻取りスピンドルの変位運動中に巻き取られる層が、低すぎる巻取り速度で巻き取られ、このことは、ボビンの周面における巻取り材料の不都合に緩い層をもたらす。
【0005】
したがって本発明の課題は、ストランド状の巻取り材料を連続的に巻き取るこのような種類の方法ならびにこのような種類の装置を改良して、巻取り材料が、ボビンの巻成の最後まで、巻取り材料の固く巻かれた層で巻き取られ得るようにすることである。
【0006】
本発明の別の目的は、巻取り材料を、交換段階の間もできるだけ一定の速度で、上流側のプロセスから受容することができるようにすることである。
【0007】
この課題は、本発明により、請求項1に記載の特徴を有する方法および請求項8に記載の特徴を有する装置により解決される。
【0008】
本発明の有利な態様は、各従属請求項に記載の特徴および特徴の組合せにより定義されている。
【0009】
本発明は、スピンドル駆動部の他にリボルバ駆動部も、ダンサアーム装置の回転数調節に関連付けられることにより優れている。したがって、巻取りリボルバの回転運動および/または回転速度は、本発明により巻取り材料のループの弛みに関連して制御され得る。巻取りリボルバの回転運動および/または回転速度から結果として生じる弛みの変化は、高すぎるまたは低すぎるスピンドル回転数を調節する必要なしに、効果的に補正され得る。したがって、本発明に係る装置では、リボルバ駆動部が、巻取りリボルバの回転運動および/または回転速度を制御するためにダンサアーム装置の回転数調節装置に接続されている。
【0010】
本発明の別の利点は、上述の構成によって有利にはボビンの形成中に必要となる、ボビンの拡大に基づく変位運動が有利には巻取りリボルバにより実施可能であることにある。したがって本発明は、リボルバ駆動部とダンサアーム装置の回転数制御ユニットとの間の接続がスピンドル交換中に形成されることのみに制限されるものではない。
【0011】
ダンサアームにおける糸ループの弛みを同一に保ってスピンドル交換を実施することができるように、基本的には択一的な2つの方法形態が提供されている。第1の態様では、スピンドル交換を開始するために、巻取り材料を巻き取っている巻取り中の巻取りスピンドルのスピンドル回転数の調節が中断される。その限りでは、交換工程の間、ダンサアームにおけるループの弛みは、専ら巻取りリボルバの回転運動および/または回転速度によって補整される。弛みの変化は直接に、巻取りリボルバの回転運動および/または回転速度の変更につながる。
【0012】
この態様において、ボビンの連続的な巻成を実現するためには、巻取り中の巻取りスピンドルのスピンドル回転数を固定的な交換回転数に調節し、該交換回転数が、巻取りスピンドルの、中断時に調節されていた調節回転数の下方にある方法形態が有利に使用され得る。この場合、交換回転数は有利には、巻取り材料の連続的な巻取りの他に、巻取り材料の十分に過剰な材料供給が与えられていて、これにより巻取りスピンドルの変位運動を巻取りリボルバの回転によって実現することができるようにされる。巻取りスピンドルの交換回転数が、調節回転数に対して、該調節回転数の50%〜95%の範囲の値に調節されると有利である。
【0013】
しかし択一的には、有利な別の方法形態により、巻取り材料を巻取り中の巻取りスピンドルのスピンドル回転数の調節が、ループの弛みの所定の部分値に制限され、ループの弛みの第2の部分値が巻取りリボルバの回転運動および/または回転速度の制御のために利用される可能性も生じる。したがって、ダンサアームにおけるループの弛みの変更は、スピンドル回転数によっても、巻取りリボルバの回転運動および/または回転速度によっても補整され得る。スピンドル回転数の調節または巻取りリボルバの回転の調節のために利用可能であるループの弛みの2つの部分値は、同じ大きさであっても、互いに異なる大きさであってもよい。したがって、たとえば弛みの変更が確認された場合に、それぞれ、弛みの補償の50%がスピンドル回転数変更によって補償され、かつ弛みの補償の50%が巻取りリボルバの回転速度の変更によって補償され得る。この方法形態は、たとえばボビンの巻成中に、ボビンの拡大に基づいて必要となる変位運動を巻取りリボルバの回転運動により実施するために特に適している。この場合、巻取りリボルバの運動段階に有利には弛みの部分値による回転数調節が行われ得る。
【0014】
ボビン交換時に、巻取りスピンドルの位置交換は比較的に大きな経路を必要とするので、巻取りリボルバの回転速度の制御が、巻取りリボルバの、160°〜200°の範囲の連続的な回転運動の間に行われる方法形態が、交換段階のために特に有利に実施されている。したがって、連続的な運動フローが、ダンサアームの位置をほぼ変化させずに、交換段階中に実施され得る。上流側のプロセスからの巻取り材料の受容は、ほぼ変化しないままである。
【0015】
ダンサアーム装置の個々の調節段階の間の連続的な移行を可能にするために、本発明に係る装置は有利には、ダンサアーム装置の回転数調節ユニットが機械制御装置に接続されていて、該機械制御装置によりボビンの巻成のための全ての巻取り工程および巻取りスピンドルの交換のための交換工程が制御可能であるように、形成されている。したがって、スピンドル駆動部およびリボルバ駆動部の、運転位置かつ交換時において互いに異なる回転数調節は、迅速にかつ運転状態に適合されて変更され得る。
【0016】
各運転状態で巻取り材料の巻取りにとって所望のダンサアーム調節が維持されているように、回転数調節ユニットは、有利にはマイクロプロセッサを有している。マイクロプロセッサにより、保存された複数の制御プログラムが選択的に実施可能である。したがって、たとえば複数の制御プログラムのうちの1つによって、巻取りスピンドルの交換回転数の調節が規定されていてよく、この交換回転数は交換段階における巻取り材料の巻取りを規定する。他方では択一的に1つの制御プログラムが保存されていてよく、該制御プログラムでは、ループの弛みの複数の部分値がスピンドル駆動部の調節およびリボルバ駆動部の制御のために保存されている。
【0017】
ダンサアームにおけるループの弛みを補正するために巻取りリボルバの回転運動または回転速度の迅速な変更が可能であるように、ダンサアーム装置と、巻取りスピンドルを備えた巻取りリボルバとがフレーム壁に保持されていて、この場合にダンサアームと巻取りリボルバとの間で、綾振り装置と圧着ローラとがフレーム壁に保持されている本発明の変化形が実施されている。その限りでは、巻取りスピンドルのみが巻取りリボルバにおいてガイドされているので、過剰な質量が巻取りリボルバによって運動される必要がない。
【0018】
基本的には、本発明による方法は、巻取りスピンドルにおいて複数のボビンが同時に巻き取られる装置のためにも適している。その限りでは、本発明に係る装置は、ダンサアームが複数のダンサアームローラを有していて、これらのダンサアームローラはそれぞれ2つの変向箇所の間に保持されていて、巻取りスピンドルにおける複数の巻取り箇所のうちの1つにそれぞれ対応配置されているように、形成されている。したがってダンサアームは、各巻取り箇所で弛みを形成するために使用され得る。個別の巻取り箇所の間の不均一性は、この場合、スピンドル回転数および/または巻取りリボルバの回転運動の重畳した調節により補償される。
【0019】
本発明に係る方法ならびに本発明に係る装置を、添付の図面を参照しながら以下に本発明に係る装置の1実施の形態につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る方法を実施する本発明に係る装置の実施の形態を概略的に示す正面図である。
図2図1に示した実施の形態を示す概略的な平面図である。
図3図1に示した実施の形態を、スピンドル交換時に示す概略的な正面図である。
【0021】
図1から図3には、巻取り材料を連続的に巻き取ってボビンを形成する本発明に係る装置の1つの実施の形態が複数の視点で示されている。図1および図3は、実施の形態の互いに異なる運転状態を正面図で示しており、図2は上から見た平面図で示している。複数の図面のうちの1つに特に関連付けがされていない場合、以下の説明は全ての図面に当てはまる。
【0022】
連続的な巻取りのための本発明に係る装置の本実施の形態は、巻取りリボルバ2を有している。巻取りリボルバ2は、フレーム壁1に回転可能に支承されていて、リボルバ駆動部21を介して反時計回りに回転可能である。リボルバ駆動部21には、リボルバ制御装置29が対応配置されている。このリボルバ制御装置29によって、リボルバ駆動部21は巻取りリボルバ2の回転運動を実施するために制御可能である。
【0023】
巻取りリボルバ2は、回転可能に支承された2つの巻取りスピンドル3.1,3.2を支持している。これらの巻取りスピンドル3.1,3.2は、それぞれの自由端で突出しているように保持されている。巻取りスピンドル3.1,3.2は、巻取りリボルバ2において互いに対して180°だけずらされて保持されている。各巻取りスピンドル3.1,3.2は、スピンドル駆動部19.1,19.2に連結している。これらのスピンドル駆動部19.1,19.2は、それぞれスピンドル制御装置20.1,20.2を介して制御可能である。これらのスピンドル制御装置20.1,20.2およびリボルバ制御装置29は、中央の機械制御装置31に接続されていて、それぞれ個別に各運転状態に応じて別個に制御されるか、または一緒に制御され得る。
【0024】
図2の図面から判るように、駆動部19.1,19.2および21ならびに制御装置20.1,20.2および29は、フレーム壁1の背面側に配置されている。フレーム壁1の正面では、巻取りスピンドル3.1,3.2が巻取りリボルバ2において片持ち式に突出し、その周面に、それぞれ1つの巻管5.1,5.2を有している。巻管5.1,5.2の周面において、ボビン6が巻成され得る。各巻取りスピンドル3.1,3.2は、捕捉装置4.1,4.2を有している。これらの捕捉装置4.1,4.2は、図2に示すように、巻管5.1,5.2の側方で隣に、巻取りスピンドル3.1,3.2の周面において、巻取りスピンドル3.1,3.2の支承端部の領域に配置されている。
【0025】
巻取りスピンドル3.1,3.2に設けられた捕捉装置4.1,4.2は同一に形成されているので、ここでは巻取りスピンドル3.2の捕捉装置4.2についてのみ説明する。捕捉装置4.2は、捕捉フックとして形成された複数の捕捉エレメント33を有している。これらの捕捉エレメント33は、巻取りスピンドル3.2の周面に均等に分配されて配置されている。捕捉フック33には、巻取りスピンドル3.2の周面において、1つの捕捉溝32が対応配置されている。この捕捉溝32は、該捕捉溝32内に突入する捕捉フック33よりも大きな幅を有している。
【0026】
図1および図2の図面から判るように、各巻取りスピンドル3.1,3.2にはそれぞれ1つの分離装置7.1,7.2と、ガイドロッド23.1,23.2と、保持ロッド22.1,22.2とが対応配置されている。分離装置7.1,7,2と、ガイドロッド23.1,23.2と、保持ロッド22.1,22.2とは、巻取りスピンドル3.1,3.2の間に分配されて配置されていて、巻取りリボルバ2に固く結合されている。
【0027】
図2から判るように、分離装置7.1,7.2は、それぞれ1つの支持体28.1,28.2により1つの捕捉平面に保持されている。この捕捉平面は、捕捉装置4.1,4.2により描かれている。分離装置7.1,7.2は同一に構成されており、それぞれ1つの可動のロック手段26と、該ロック手段26と協働するナイフ27とを有している。
【0028】
保持ロッド22.1,22.2と、ガイドロッド23.1,23.2とは、互いに異なる長さで突出して巻取りリボルバ2に配置されている。ガイドロッド23.1,23.2よりも長い保持ロッド22.1,22.2の自由端は、巻管5.1,5.2のボビン中心を越えて突出している。ボビン中心は実質的に巻管5.1,5.2の半分の長さにより規定されている。実質的に巻管5.1,5.2の長さにより規定されている巻取り領域内で、保持ロッド22.1,22.2は、それぞれ1つの糸ガイド24.1,24.2を有している。これらの糸ガイド24.1,24.2は、保持ロッド22.1,22.2でガイドされる巻取り材料の位置決めのために役立つ。
【0029】
保持ロッド22.1,22.2よりも短いガイドロッド23.1,23.2の自由端は、巻管5.1,5.2の巻取り領域にまで突出し、捕捉装置4.1,4.2を覆っている。
【0030】
図1および図2の図面から判るように、巻取りリボルバ2の側方で隣に、綾振り装置8がフレーム壁1に片持ち式に保持されている。綾振り装置8は、綾振り糸ガイド9を有している。この綾振り糸ガイド9は、綾振り駆動部18によって巻取りスピンドル3.1,3.2に対して平行に往復案内可能である。この場合、綾振り糸ガイド9は、ベルト、ねじ山付きシャフト、または溝付きシャフトを用いて駆動部によって位置決めされ得る。綾振り糸ガイド9の往復案内のために、綾振り駆動部18は綾振り制御装置30に接続されている。綾振り制御装置30は、機械制御装置31に接続されている。この場合、綾振り糸ガイド9は、巻取り材料の巻取りのために、巻取り領域内で往復移動され得る。しかし綾振り糸ガイド9は、綾振り行程領域の外側でも、巻取りスピンドルの交換段階の間に巻取り材料を位置決めするために位置決めされ得る。綾振り糸ガイド9が巻取り材料の巻付けのために往復ガイドされる綾巻き行程は、好適には、巻取りスピンドル3.1,3.2の周面に設けられた巻管5.1,5.2の幅よりも幾らか小さく形成されている。
【0031】
さらに図1および図2から判るように、綾振り装置8の下流側には、回転可能に支承された圧着ローラ10が配置されている。圧着ローラ10は、巻管5に形成されるボビン6の周面に当て付けられる。圧着ローラ10は、フォーク状の揺動アーム11を介して保持される。揺動アーム11は、突出した旋回軸12に旋回可能に支承されている。揺動アーム11には、距離センサ25が対応配置されている。距離センサ25は、ボビンの巻成中に圧着ローラ10の変位運動を検知する。この場合、圧着ローラ10の変位運動は、圧着ローラ10のほぼ一定の位置で、ボビンの巻成のための巻取りリボルバの新たなサイクル(weitertakten)を実施するために、利用される。このためには、距離センサ25が、機械制御装置31に接続されている。
【0032】
走入側では綾振り装置8の上流側に、ダンサアーム装置13が配置されている。ダンサアーム装置13は、フレーム壁1の正面側に旋回可能なダンサアーム14を有している。ダンサアーム14は、L字形に形成されていて、一方の脚部の自由端にダンサアームローラ15を有している。ダンサアームローラ15は、供給される巻取り材料34をガイドする2つの変向ローラ16.1,16.2の間の平面に保持されている。これらの変向ローラ16.1,16.2は複数のロッド37によりフレーム壁1に保持されている。この場合、変向ローラ16.1,16.2の間でダンサアーム14に保持されたダンサアームローラ15により、変向箇所の間で巻取り材料の弛み35が形成される。この場合にダンサアーム14の自由端は、重力で巻取り材料34の弛み35に作用するので、弛み35の変化は直接に巻取り張力の増大または減少に帰せられている。
【0033】
ダンサアーム14は、第2の脚部で回転可能に支承されていて、回転角センサ36に結合されている。回転角センサ36は、フレーム壁1の正面におけるダンサアーム14もしくはダンサアームローラ15の各位置を検出する。
【0034】
ダンサアーム14もしくは回転角センサ36は、ダンサアーム装置13の回転数調節ユニット17に接続されているので、ダンサアーム14の位置に応じて直接に弛み35の修正のための制御信号を形成することができる。回転数調節ユニット17は、機械制御装置31に接続されている。択一的には、回転数調節ユニット17を直接にスピンドル制御装置20.1,20.2およびリボルバ制御装置29に接続する可能性も生じる。
【0035】
したがって、図1および図2に示された、連続的な巻取りのための本発明に係る装置は、帯状の巻取り材料を連続的にほぼ均一な巻取り張力で巻き取るために適している。巻き取られたボビン6の直径の増大時に一定の周速度を維持するために、巻取りスピンドル3.1,3.2の回転数は、ダンサアーム装置13のダンサアーム14により形成された巻取り材料34の弛み35に応じて調節される。スピンドル回転数が同一に保たれていて、巻き取られるボビン6のボビン直径が増大する場合、過剰に高い巻取り速度が発生し、過剰に高い巻取り速度は弛み35の減少、ひいてはダンサアーム14の位置の変化をもたらす。巻取り材料34の弛み35の変化は、直接にダンサアーム14の位置変化により検知され、回転数調節ユニット17において制御信号に変換され、該制御信号は直接にスピンドル制御装置20.1または機械制御装置31へと伝達され、これによりスピンドル駆動部19.1によるスピンドル回転数の修正を得ることができる。
【0036】
ボビンの完成後に、巻取りスピンドル3.1,3.2の間での巻取り材料34の引き渡しが、巻取りリボルバ2の回転運動により実施される。この状態では、供給される巻取り材料34は、ボビン6における巻取りの他に、付加的に巻取りスピンドル3.1の位置交換によっても受容されるので、巻取り材料の供給速度が同一に保たれている場合、ダンサアーム14における弛み35の変化が生じる。特にこの状態を、巻取り材料の受容を同一のままで実施することができるように、本発明に係る装置は基本的に互いに異なる2つの方法形態で運転され得る。
【0037】
第1の方法形態では、スピンドル交換の開始前に、巻取り中の巻取りスピンドルのスピンドル回転数が固定的な交換回転数に調節される。巻取り中の巻取りスピンドルの交換回転数は、ダンサアーム装置13による調節回転数に対して小さく調節されている。巻取りスピンドルの交換回転数は、好適には調節回転数の50%〜95%の範囲の値に調節される。したがって、巻取りスピンドルの位置が変更されない場合、巻取りスピンドルにおける巻取りによる、供給された巻取り材料の不十分な受容が必然的に生じる。それにもかかわらず供給された巻取り材料をほぼ一様に受容することができるように、ダンサアーム装置はリボルバ制御装置に接続されており、これによって、ダンサアームにおいて巻取り材料の安定した弛みが存在するように、巻取りリボルバの回転運動もしくは巻取りリボルバの回転速度を巻取りスピンドルの交換時に制御することができる。
【0038】
図1および図3に示した実施の形態では、ボビン6が完成した後にスピンドル交換を開始するために、巻取りスピンドル3.1がスピンドル駆動部19.1によって、スピンドル制御装置20.1により設定された交換回転数で駆動される。並行して、リボルバ駆動部21が、リボルバ制御装置29により作動されて、これにより巻取りスピンドル3.1を交換領域に移動させ、かつ巻取りスピンドル3.2を運転領域に移動させることができる。この状態では、ダンサアーム装置13の回転数調節ユニット17がリボルバ制御装置29に接続されている。この場合、回転数調節ユニット17とリボルバ制御装置29との接続は、機械制御装置31を介して間接的に、または直接に信号線路を介して行われ得る。したがって基本的には、スピンドル交換のために必要となる制御プログラムが直接に回転数調節ユニット17のマイクロプロセッサに組み込まれているか、択一的に機械制御装置31に保存されていることが可能である。制御プログラムは、複数の制御アルゴリズムを有していてよく、回転数調節ユニット17と、巻取りスピンドルの駆動部と、リボルバとの間の結びつきを運転条件に応じて、かつ方法態様に応じて設定することができる。回転数調節ユニット17は、巻取りリボルバ2の回転運動の間、リボルバ制御装置29に接続されたままである。したがって、たとえば連続的に、または非連続的に実施可能である回転運動をダンサアーム14における弛み35に関連して制御することができる。
【0039】
巻取りリボルバの回転運動が連続的に実施される場合、有利には巻取りリボルバ2の回転速度は、ダンサアーム14における弛み35が許容の公差範囲内に保持されるように、調節され得る。
【0040】
図1および図3に示した実施の形態でスピンドル交換を実施するための択一的な態様は、回転数調節ユニット17がスピンドル交換中にスピンドル駆動部19.1のスピンドル制御装置20.1とリボルバ駆動部21のリボルバ制御装置29とに接続される方法形態により実施される。この場合、弛み35が変化すると、ループの弛み35の変化部分値が、巻取り材料を巻取り中の巻取りスピンドル3.1のスピンドル回転数を調節するために利用され、糸ループの弛みの第2の変化部分値が、巻取りリボルバ2の回転運動および/または回転速度を制御するために利用され得る。この場合、ループの弛みのこれらの変化部分値の分割は、有利には50%〜95%の範囲で行われるので、リボルバ駆動部は、巻取りリボルバ2の回転運動もしくは回転速度を調節するために、ダンサアーム14におけるループの弛みの変化の5%〜50%の割合を使用することができる。50%〜95%であるループの弛みの変化の残りの割合は、巻取り材料を巻取り中の巻取りスピンドルのスピンドル回転数を調節するために利用される。
【0041】
ダンサアーム装置13が巻取りスピンドル3.1のスピンドル回転数の調節のためにも、巻取りリボルバ2の回転運動の制御のためにも使用されるこの方法形態は、ボビン6の巻取り中にも有利に使用され得る。ここで、ボビンが拡大した場合に必要となる、圧着ローラ10と巻取りスピンドル3.1または3.2との間での変位運動が、巻取りリボルバ2の回転運動により行われることが公知である。この場合、ボビン6の巻成中に、巻取りスピンドル3.1は巻取りリボルバ2の回転運動によって連続的にまたは非連続的にその運転位置を変更される。特に巻取りリボルバ2の回転運動中にスピンドル回転数の調節エラーが生じないように、ダンサアーム14におけるループの弛み35の変化分はこの段階で複数の部分値に分割されるので、複数の部分値のうちの一方の部分値は巻取りスピンドル回転数を調節するために利用され、他方の部分値は巻取りリボルバ2の回転運動を調節するために利用され得る。
【0042】
図1から図3に示した実施の形態では、スピンドル交換時の巻取り材料の引渡しは自動的に行われる。ボビンが巻取りスピンドル3.1,3.2のうちの一方において最後まで巻成されるや否や、機械制御装置31を介してリボルバ駆動部21が作動され、これにより満管を備えた巻取りスピンドルは交換位置へと移動され、空の巻管を備えた巻取りスピンドルは捕捉位置へと移動され得る。スピンドル交換の状態は図3に示されている。この場合、満管6を備えた巻取りスピンドル3.1は交換位置に、空管5.2を備えた巻取りスピンドル3.2は捕捉位置に移動されている。
【0043】
巻取りリボルバ2の回転中に、ガイドロッド22.2,23.2ならびに分離装置7.2は、巻取り材料34の経路に配置される。同時に綾振り糸ガイド9は、綾振り行程の外側で巻取り領域の側方で隣に位置決めされ、これにより、巻取り材料34の引渡しを開始することができる。巻取り材料34は、未だにボビン6に巻取り中の巻取りスピンドル3.1によって巻き取られている。この場合、ガイドロッド22.2の糸ガイド24.2は、巻取り材料が、綾振り糸ガイド9の位置決め時にボビン6の周面から脱落することを阻止する。空の巻管5.2を備える巻取りスピンドル3.2が捕捉箇所に到達すると、綾振り糸ガイド9は軸方向で巻取りスピンドル3.2に対して平行に移動され、これにより巻取り材料34を捕捉装置4.2内に導くことができる。この場合、巻取り材料34は、巻取りスピンドル3.2の周面の捕捉溝32内に進入する。捕捉溝32内には、捕捉装置4.2の捕捉フック33が位置決めされている。綾振り糸ガイド9の前進運動により巻取り材料34が、捕捉装置4.2の位置決めされた捕捉フック33の下方に到達する。巻取り材料34が巻取りスピンドル3.2に捕捉装置4.2により捕捉されるや否や、巻取りスピンドル3.2はスピンドル駆動部19.2により所定の巻取り速度へと加速される。巻取り中の巻取りスピンドル3.1と、空の巻管5.2を備えた巻取りスピンドル3.2との間に形成された巻取り材料34のストランドに、引張力が形成される。この引張力は、分離装置7.2内に保持されたロック手段26に影響し、巻取り材料34は分離装置7.2をロック解除し、ロック手段26と協働するナイフ27へと供給される。これにより、巻取り材料34の切断は、巻取り材料34の最小引張力の形成後にようやく達成される。
【0044】
巻取り材料の引渡しの上述の経過は、本明細書では単に例示的に示唆されており、択一的には別の補助装置により実施可能であり、該別の補助装置は、たとえば巻取りリボルバにおける糸ガイドのための付加的なアクチュエータにより形成されている。
【0045】
本発明に係る方法および本発明に係る装置にとって重要であるのは、交換段階中に、ダンサアーム装置14が巻取りリボルバ2の回転運動および/または回転速度を制御するために使用可能であるということである。
【0046】
本発明に係る装置の図1図3に示した実施の形態は、巻取りスピンドル3.1,3.2にそれぞれ1つの巻取り箇所を有している。基本的には、巻取りスピンドル3.1,3.2において、複数のボビンが同時に巻き取られる可能性もある。したがって、たとえば図2に示された巻取り機では、巻取りスピンドル3.1,3.2において2つの巻管が平行に相並んで保持されていて、これらの巻管においてそれぞれ2つのボビンが同時に巻き取られ得る。スピンドル回転数の調節のためには、ダンサアーム14に平行に配置された2つのダンサアームローラが配置されていて、これらのダンサアームローラは、巻取り箇所の上流側に配置されていて、それぞれ巻取り材料を巻取り箇所にガイドする。ダンサアームのダンサアームローラは、図1に示したボビンと同様に、それぞれ2つの変向箇所の間に配置されている。したがって、2つの巻取り箇所は共通のダンサアームおよび回転数調節ユニットにより巻取りスピンドル回転数を調節される。
【符号の説明】
【0047】
1 フレーム壁
2 巻取りリボルバ
3.1,3.2 巻取りスピンドル
4.1,4.2 捕捉装置
5.1,5.2 巻管
6 ボビン
7.1,7.2 分離装置
8 綾振り装置
9 綾振り糸ガイド
10 圧着ローラ
11 揺動アーム
12 旋回軸線
13 ダンサアーム装置
14 ダンサアーム
15,15.1,15.2 ダンサローラ
16.1,16.2 変向ローラ
17 回転数調節ユニット
18 綾振り駆動部
19.1,19.2 スピンドル駆動部
20.1,20.2 スピンドル制御装置
21 リボルバ駆動部
22 保持ロッド
23.1,23.2 ガイドロッド
24.1,24.2 糸ガイド
25 距離センサ
26 ロック手段
27 ナイフ
28.1,28.2 支持体
29 リボルバ制御装置
30 綾振り制御装置
31 機械制御装置
32 捕捉溝
33 捕捉フック
34 巻取り材料
35 弛み
36 回転角センサ
37 ロッド
図1
図2
図3