特許第6143816号(P6143816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143816
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】アルミニウムバー用のフライス加工設備
(51)【国際特許分類】
   B23Q 41/00 20060101AFI20170529BHJP
   B23C 3/13 20060101ALI20170529BHJP
   B23C 3/14 20060101ALI20170529BHJP
   B23Q 7/00 20060101ALI20170529BHJP
   B21B 45/06 20060101ALI20170529BHJP
   B21B 3/00 20060101ALI20170529BHJP
   B21B 1/02 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   B23Q41/00 C
   B23C3/13
   B23C3/14
   B23Q7/00 E
   B23Q41/00 A
   B23Q41/00 E
   B21B45/06 E
   B21B3/00 J
   B21B1/02 D
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-168492(P2015-168492)
(22)【出願日】2015年8月28日
(65)【公開番号】特開2016-49623(P2016-49623A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2015年8月28日
(31)【優先権主張番号】10 2014 217 157.1
(32)【優先日】2014年8月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ リープリング
(72)【発明者】
【氏名】カール ディトリヒ
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−290175(JP,A)
【文献】 特表2005−535463(JP,A)
【文献】 特開2014−054697(JP,A)
【文献】 特開2001−328045(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3185311(JP,U)
【文献】 特開平10−034222(JP,A)
【文献】 特開2012−046315(JP,A)
【文献】 実開平07−003937(JP,U)
【文献】 米国特許第03954044(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 3/13
B23C 3/14
B23B 1/02
B23Q 41/00
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムバー(30)用のフライス加工設備であって、
アルミニウムバー(30)をフライス加工する少なくとも1つのフライス加工ステーション(3)と、
アルミニウムバー(30)を搬送する搬送装置と、
を備え、前記搬送装置は、フライス加工すべきアルミニウムバー(30)を収容して前記フライス加工ステーション(3)を通して搬送するように設けられた、前記フライス加工ステーション(3)に対して相対的に可動な少なくとも1つのパレット(20)を有し、
少なくとも1つの前記パレット(20)は、アルミニウムバー(30)を締め付け得る先細り形状の受け(24)を有することを特徴とする、アルミニウムバー(30)用のフライス加工設備。
【請求項2】
前記パレット(20)は、複数のローラ(10)上に載って走行する、請求項1記載のフライス加工設備。
【請求項3】
前記搬送装置は、前記ローラ(10)を装備する搬送経路を有し、前記パレット(20)は、前記搬送経路を通した搬送時に前記ローラ(10)の走行面と接触し、前記パレット(20)の駆動は、前記ローラ(10)のうちの少なくとも1つにより実施される、請求項2記載のフライス加工設備。
【請求項4】
アルミニウムバー(30)を回転させる転回ステーション(5)を備える、請求項1から3までのいずれか1項記載のフライス加工設備。
【請求項5】
前記フライス加工ステーション(3)の上流に設けられた測定ステーション(2)を備える、請求項1から4までのいずれか1項記載のフライス加工設備。
【請求項6】
前記搬送装置は、複数のアルミニウムバー(30)を同時にかつ/又は並行して搬送するように設計されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のフライス加工設備。
【請求項7】
複数のバー(30)を並行して処理するとともに、1つのバー(30)を繰り返し処理する循環システムとして設計されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のフライス加工設備。
【請求項8】
1つのバー(30)を繰り返し処理することは、繰り返しフライス加工することである、請求項7記載のフライス加工設備。
【請求項9】
少なくとも1つの前記パレット(20)は、当該設備内のパレット(20)の自動的な追跡に用いられる識別装置を装備している、請求項1から8までのいずれか1項記載のフライス加工設備。
【請求項10】
少なくとも1つの前記パレット(20)は、締付け力を維持する自律型の装置を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載のフライス加工設備。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載のフライス加工設備と、
前記フライス加工設備によりフライス加工されたアルミニウムバー(30)を圧延する圧延設備と、
を備える、アルミニウムバー(30)を加工する設備。
【請求項12】
請求項1から10までのいずれか1項記載のフライス加工設備を用いてアルミニウムバー(30)をフライス加工する方法であって、
アルミニウムバー(30)をフライス加工前に1つのパレット(20)に締め付け、該パレット(20)により前記フライス加工ステーション(3)を通して搬送することを特徴とする、アルミニウムバー(30)をフライス加工する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウムスラブ等のアルミニウムバー(Aluminiumbarren)用のフライス加工設備に係り、特にアルミニウムバーをフライス加工する少なくとも1つのフライス加工ステーションと、アルミニウムバーをフライス加工ステーションを通して搬送する搬送装置と、を備える、アルミニウムバー用のフライス加工設備に関するものである。さらに本発明は、このようなフライス加工設備を備える、アルミニウムバーを加工する設備、及びこのようなフライス加工設備を用いて、アルミニウムバーをフライス加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムバーの冷間圧延及び熱間圧延は、公知である。例えば圧延による変形加工が実施される前に、例えば鋳肌及び/又は合金含有物を除去すべく、アルミニウムバーをフライス加工法にかけることが必要である。フライス加工設備は、この場合、典型的には例えば150〜200cm/kW/minの極めて高い切削性能を有しており、高速でフライス加工する。
【0003】
従来、アルミニウムバーは、フライス加工設備内をローラコンベヤに載って移動する。バーの両面を相前後して加工する片面で作業するフライス盤は、両加工工程間でのバーの転回を必要とする。
【0004】
このような設備の処理量は、一方では、連続的な過程、つまり両面の相前後して行われるフライス加工により制限され、他方では、バーの、ローラコンベヤとの相互作用によっても制限されている。具体的には、バーの幾何学形状に基づいて、バーは、搬送時に搬送ローラに衝突する。これにより、搬送速度の上昇は、ローラ及び軸受、さらにはアルミニウムバー自体にも強い負荷がかかることを結果として伴う。これらの損傷を避けるため、速度は、とりわけこの理由から、任意に高めることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、高められた効率及び/又はより高い品質及び/又はフライス加工設備のより低い負荷でのフライス加工を可能にする、アルミニウムバー用のフライス加工設備、アルミニウムバーを加工する設備、及びアルミニウムバーをフライス加工する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る、アルミニウムバー用のフライス加工設備では、アルミニウムバーをフライス加工する少なくとも1つのフライス加工ステーションと、アルミニウムバーを搬送する搬送装置と、を備え、搬送装置は、フライス加工すべきアルミニウムバーを収容してフライス加工ステーションを通して搬送するように設けられた、フライス加工ステーションに対して相対的に可動な少なくとも1つのパレットを有するようにした。さらに上記課題を解決するために、本発明に係る、アルミニウムバーを加工する設備では、このようなフライス加工設備と、フライス加工設備によりフライス加工されたアルミニウムバーを圧延する圧延設備と、を備えるようにし、本発明に係る、このようなフライス加工設備を用いてアルミニウムバーをフライス加工する方法では、アルミニウムバーをフライス加工前に1つのパレットに締め付け、パレットによりフライス加工ステーションを通して搬送するようにした。好ましい態様は、従属請求項、本発明の以下の説明及び好ましい実施の形態の説明に見出せる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るフライス加工設備は、アルミニウムバーをフライス加工する少なくとも1つのフライス加工ステーションと、アルミニウムバーを搬送する搬送装置とを有している。「バー(Barren)」とは、まずは、直方体状又はブロック状のものと解すべきであるが、一般に、フライス加工と、好ましくは続いての圧延とを可能にする幾何学形状を含んでいる。フライス加工ステーションの他に、さらに別のステーション、例えばアルミニウムバーを測定、位置調整、品質管理及び/又は転回する別のステーションが設けられていてもよい。搬送装置は、アルミニウムバーを好ましくは定置の様々なステーションを通して搬送するために用いられる。搬送装置は、フライス加工ステーションに対して相対的に可動な、場合によっては別のステーションに対しても相対的に可動な、少なくとも1つのパレットを有している。パレットは、その点において走行可能又は移動可能に設けられている。パレットの駆動は、受動的に実施されても、能動的に実施されてもよい。好ましくは、パレットは、受動的に駆動される。すなわち、パレット自体は、独自の駆動装置を搭載しておらず、外部から、例えばローラを介して駆動される。これに関する好ましい実施の形態については、以下で詳述する。しかし、パレットの駆動は、例えば各パレットに設けられた電動モータとその他の搬送手段とにより能動的に実施されてもよい。パレットは、アルミニウムバーを収容するために設けられている。好ましくは1つのパレットは、1つのバーを担持する。これによりアルミニウムバーは、フライス加工ステーションの(搬送方向で見て)上流においてパレットに締め付けられ、取り付けられ、固定され又はその他の方法でパレットにより保持される。次にパレットは、締め付けられたバーとともに、場合によっては別のステーションがあるにしろ、アルミニウムバーの少なくとも1つの表面をフライス加工するフライス加工ステーションを通走する。フライス盤は、例えば大型のフライスヘッドを備え、高い切削性能を有するブロックカッタ(Blockfraese)として構成されていてもよい。フライス盤は、切り屑を吸引するか、又はその他の方法で切り屑を除去する装置を装備していてもよい。好ましくは、フライス加工ステーションは、機台を有しており、機台上には、アルミニウムバーが締め付けられたパレットを収容して液圧により締め付けるシャトルが、走行可能に設けられている。シャトルは、この場合、好ましくは高い速度範囲に設計されている。
【0008】
上述のパレット構成により、極めて高い搬送速度が実現可能であることにより、フライス加工設備の処理能力は、向上する。フライス盤が、片面のフライス盤として設計されているとき、従来は両面のフライス盤によってのみ可能であった処理能力が達成可能である。さらに、アルミニウムバーのエッジがもはやロールマークにより損傷されないので、フライス加工された表面のより高い品質が実現される。択一的に又は組み合わされて、処理能力を向上させる潜在能力は、設備の消費電力を下げるためにも利用可能である。
【0009】
好ましくは、パレットは、複数のローラ上に載って走行する。ローラは、パレットに回転可能に取り付けられ、搬送経路上を走行することができ、かつ/又はローラは、搬送経路に設けられていることができ、この場合、パレットは、ローラの走行面と接触する。後者の場合、搬送経路は、いわばローラコンベヤとして形成されており、ローラは、パレットの部分ではなく、又はパレットに取り付けられていない。バーが直接、すなわちパレットなしに走行する従来慣用のローラコンベヤと比較して、ローラは、互いに、遙かに大きな間隔を置いて配置されることができる。これにより、全体として、極めて高い搬送速度で走行が可能であり、効率は、最適化された走行軌道及び/又は案内装置によりさらに改善可能である。
【0010】
好ましくは、フライス加工設備は、アルミニウムバーを回転させる転回ステーションを備えている。転回ステーションは、好ましくはバーを把持し、回転させるグリッパを装備している。フライス加工設備は、好ましくはさらに別のステーション、例えばフライス加工ステーションの上流に設けられている測定ステーション及び/又はバーの位置調整をするステーションを備えている。特に好ましくは、フライス加工設備は、複数のアルミニウムバーを同時に搬送及び/又は処理するように設計されている。処理とは、フライス加工、転回、測定、位置調整、管理等と解されることができる。様々な作業過程が、フライス加工と関連付けて又はフライス加工の範囲内で、並行して実施可能であるように努められている。換言すれば、フライス加工すべきすべての面を同時に加工することができないフライス盤において、バーの異なる面が相前後して加工されるとき、バーは、転回され、場合によっては新たに測定及び/又は位置調整もされねばならない。これらの作業は、並行した循環内に移される。これにより、非生産時間(Nebenzeit)は、フライス搬送の戻しを除いて減少する。このような並行した処理により、フライス加工時間は、連続的なフライス加工にもかかわらず、さもなければ両面のフライス盤によってのみ達成可能な時間に減少可能である。その点において、ここに示す並行した処理は、両面のフライス盤を模す。まさにこのような循環システムのために、ここに示すパレット構成は、特に好適である。それというのも、このパレットは、一方では、極めて高い速度で走行可能であり、これにより短い戻し時間に至り、他方では穏やかな搬送を実施するからである。
【0011】
これに加えて、パレットが個別に制御可能であり、すなわちパレットの速度が少なくとも部分的に個別に制御可能であれば、異なるステーションの処理量のずれは、搬送装置により巧みに埋め合わせ可能である。この目的のために、択一的又は付加的には、少なくとも1つの引き渡しステーション及び/又はバッファステーションが、搬送経路内に設けられていてもよい。引き渡しステーション及び/又はバッファステーションは、例えば少なくとも1つのパレットを受け入れ、バッファとして一時的に貯える。好ましくは、フライス加工ステーションの上流に、引渡しステーションが接続されている。引渡しステーションは、例えば測定ステーションの上流に存在しているか、又は測定ステーションに統合されていてもよい。
【0012】
好ましくは、パレットは、アルミニウムバーを締め付け得る先細り形状の受けを有している。締付けは、信頼性の高い搬送を保証するために、好ましくは、センタリングされた位置で実施される。好ましくは、各パレットは、締付け力を維持する自律型の装置を有している。これにより、フライス加工設備の様々なステーションを通した搬送中の、信頼性の高い固定が実現される。特に好ましくは、パレットは、設備内のパレットの自動的な追跡に用いられる識別装置を装備している。識別装置は、様々な情報、例えば締め付けられたバーの材料特性、寸法及びその他の特性に関する情報を記憶するそれぞれ1つのメモリを有していてもよい。識別装置は、例えば設備のステーション及び/又は中央の制御部により読み取り可能である。これにより、設備内のパレットの追跡及び場合によっては個別の制御も可能である。
【0013】
アルミニウムバーを加工する設備が、フライス加工設備と、フライス加工設備によりフライス加工されたアルミニウムバーを圧延する圧延設備と、を備えていると、圧延がフライス加工後に実施される。上流に接続されたフライス盤を有するこのような圧延設備のために、ここに示すパレット構成は特に好適である。
【0014】
本発明は、特に好ましくはアルミニウムバーの圧延処理の技術分野で使用されるものであるが、場合によっては別の分野でも実施可能である。さらに、本発明の別の利点及び特徴は、好ましい実施の形態の以下の説明から看取可能である。そこに示す特徴は、単独でも、又は互いに矛盾しない限りは、上述の特徴の少なくとも1つと組み合わせても、実施可能である。以下に、好ましい実施の形態について添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】複数のステーションを備えるフライス加工設備の概略図である。
図2】アルミニウムバーが締め付けられたパレットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。ここで、異なる図中の同一、類似又は機能同一の要素には、同一の符号を付してあり、これらの要素の繰り返しとなる説明は、冗長になることを避けるために一部省略する。
【0017】
図1は、受入れステーション1と、測定ステーション2と、フライス加工ステーション3と、排出ステーション4と、転回ステーション5とを備えるフライス加工設備を略示している。ステーション1,2,3,4,5は、循環する搬送経路に沿って存在している。搬送経路は、パレット20を搬送する相応の搬送手段、本実施の形態ではローラ10を装備している。図1からは、複数のパレット20を同時に循環させることができ、その点において、複数のパレット20により担持されたバー(図1には図示せず)の並行した処理が実施可能であることが判る。バー30の一例は図2に示してある。図2は、バー30が締め付けられたパレット20を三次元的に略示している。
【0018】
受入れステーション1において、一方では、バー30の供給が、例えば構内クレーン又はフォークリフト(図示せず)により実施される。他方、受入れステーション1において、空のパレット20が供給され、循環に供される。バー30は、中心にセンタリングされ、移送システム(図示せず)により持ち上げられ、パレット20の上に下ろされる。横方向搬送によりパレット20は、測定ステーション2へ移動する。
【0019】
個々のステーション1,2,3,4,5の上流及び/又は下流には、場合によっては引渡しステーション(特に図示せず)が接続されていてもよい。引渡しステーションは、例えば少なくとも1つのパレット20を受け入れ、バッファとして一時的に貯えることができるようになっていてもよい。いずれにしても引渡しステーションは、少なくとも、パレット20を後続の加工工程に引き渡す。好ましくは、フライス加工ステーション3の上流には、引渡しステーションが接続されている。引渡しステーションは、測定ステーション2の上流に存在しているか、又は測定ステーション2に統合されていてもよい。引渡しステーションと処理ステーションとの統合は、他の作業(品質管理、位置調整等)についても可能である。
【0020】
測定ステーション2において、バー30の測定が実施される。例えばバー30の表面構造が測定され、特に表面内の最深点が求められる。これにより、フライス加工による必要な材料除去量が決定される。
【0021】
測定ステーション2には、短い搬送後、フライス加工ステーション3が接続している。フライス加工ステーション3は、シャトルを有するブロックカッタを有していてもよい。ブロックカッタは、高い切削性能を有する大型のフライスヘッドと、切り屑を除去(例えば吸引)する手段とを有している。フライス加工ステーション3の、図1に符号6で示した機械テーブル上をシャトル7が走行する。シャトル7は、パレット20を受容し、液圧により締め付ける。シャトル7は、大きな速度範囲に設計されている。
【0022】
フライス加工ステーション3に続いて、場合によっては、再び引渡しステーションが、(上述のように)存在していてもよい。フライス加工ステーション3の下流のこのような引渡しステーションは、フライス加工されたバー30を有するパレット20を受け取り、フライス加工された面をオペレータ又は自動的な品質管理システムが判定することを可能にする。システムにより解放されると、第2の(次の)面をフライス加工するため又は第1の面を繰り返しフライス加工するために引き続き搬送を行うか、又はバー30を排出ステーション4に割り振る。
【0023】
図1には、排出ステーション4へのパレット20の横方向搬送を例示してある。排出ステーション4において、フライス加工し終えたバー30は、パレット20から持ち上げられ、場合によっては、バー貯蔵所、圧延設備又はその他の装置に移送する別の搬送装置に提供される。この場合、空のパレット20は、循環から取り除かれ、後の時点で受入れステーション1に改めて提供される。しかし、完了したフライス加工工程後のバー30の後処理、すなわち、排出ステーション4による排出に続く処理が、やはり、ここに示すパレット搬送システムを用いて実施されることも可能である。換言すれば、圧延設備、バー貯蔵所、及び/又はフライス加工設備に後続するか、又はフライス加工設備に前置されているその他の装置が、やはりパレット20によるバー30の搬送を実現してもよい。この場合、供給ステーション1及び排出ステーション4において、バー30をパレット20と一体化すること又は両者を分離することは、必ずしも実施されない。むしろ、この場合、供給ステーション1及び排出ステーション4は、バー30を有するパレット20の、フライス加工設備内への入口及びフライス加工設備からの出口として用いられる。
【0024】
例えば不十分にフライス加工された表面を改めてフライス加工するために、又は第2の面(又は一般に他の面)をフライス加工するために、バー30がフライス加工後に引き続き循環内にとどまる場合、対応するパレット20は、次いで転回ステーション5を通過する。転回ステーション5は、必要な場合にバー30をブロック転回グリッパにより転回させる。このために転回ステーション5は、場合によっては、パレット20の締付けシステムの操作機能を装備している。
【0025】
転回ステーション5に続いて、バー30が締め付けられたパレット20は、再度の加工ラウンドに送られる。
【0026】
ここに示すフライス加工設備は、とりわけ、搬送システムが循環システムとして設計されていることを特徴としている。バー30は、パレット20に載せられて移動する。これにより、本来のフライス加工に対して付加的に、補足的な課題、例えば位置調整、測定、品質管理等が、「非生産時間」中に、すなわち並行して実施される。こうして、さもなければ両面のフライス盤によってのみ達成可能な処理率が達成される。
【0027】
バー30が締め付けられたパレット20の詳細図は、図2に示してある。バー30は、受け24上に位置している。受け24は、好ましくは先細り形状あるいは円錐形に形成されている。バー30の固定は、締付け装置23により実施される。さらにパレット20は、走行面22を有している。走行面22は、搬送経路に沿ってパレット20を案内し、申し分なく搬送するために用いられる。さらに、パレット20をシステム内に受け入れ、安定化し、駆動を補助し、パレット20を保持する等の機能を有する手段21が設けられていてもよい。
【0028】
パレット20は、バー30を好ましくは中央位置に締め付ける。パレット20は、場合によっては、バー30が常に確実かつ高信頼性に保持されるように、自律型の圧力維持機能又は締付け力維持機能を装備している。圧力維持機能及び締付け力維持機能は、受入れステーション1、排出ステーション4及び転回ステーション5において外部から制御可能である。各パレット20は、好ましくは識別コード(Identcode)を装備しており、この識別コードは、例えば材料追跡システムにおいて管理される。これにより材料データ及びバー30の追跡が可能である。
【0029】
使用可能である限り、実施の形態に示したすべての個々の特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、互いに組み合わせ及び/又は組み換え可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 受入れステーション
2 測定ステーション
3 フライス加工ステーション
4 排出ステーション
5 転回ステーション
6 機械テーブル
7 シャトル
10 ローラ
20 パレット
21 機械受容部
22 走行面
23 締付け装置
24 バー受け
30 バー
図1
図2