特許第6143857号(P6143857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6143857双方向視野角の表示パネル及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143857
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】双方向視野角の表示パネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20170529BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20170529BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20170529BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   G02F1/13 101
   G02F1/13 505
   G02F1/1335 505
   G09F9/00 313
   G09F9/00 338
   G09F9/30 349A
   G09F9/30 349C
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-518788(P2015-518788)
(86)(22)【出願日】2012年12月23日
(65)【公表番号】特表2015-528920(P2015-528920A)
(43)【公表日】2015年10月1日
(86)【国際出願番号】CN2012087227
(87)【国際公開番号】WO2014005412
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2015年12月9日
(31)【優先権主張番号】201210228457.9
(32)【優先日】2012年7月2日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】李 文波
(72)【発明者】
【氏名】魏 ▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】武 延兵
【審査官】 佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−242783(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/032132(WO,A1)
【文献】 特開2010−271699(JP,A)
【文献】 特開2008−009189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/13
G02F1/1335−1/13363
G09F9/00
G09F9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板を提供するステップと、
前記透明基板上に遮光層からなるグレーチングを形成するステップと、
前記グレーチングが形成された透明基板上に、透明調整層を形成するステップと、
前記透明調整層上に、画素層及び透明導電層を順に形成するステップと、を備え
前記透明基板上に遮光層からなるグレーチングを形成するステップが、
同一のマスクを用いて同時に、前記基板上に前記グレーチングと前記画素層との位置合わせマークを形成する工程を含むことを特徴とする双方向視野角の表示パネルの製造方法。
【請求項2】
前記遮光層は、黒色の金属層、または有機材料層、または有機材料及び反射材料からなる積層体であることを特徴とする請求項1に記載の双方向視野角の表示パネルの製造方法。
【請求項3】
前記グレーチングが形成された透明基板上に透明調整層を形成するステップは、
前記グレーチングが形成された透明基板上に透明材料をナイフコートまたはスピンコートし、前記透明材料を熱硬化して前記透明調整層を形成する工程、或いは、
前記グレーチングが形成された透明基板上に透明材料をナイフコート又はスピンコートし、前記透明材料を紫外線硬化して前記透明調整層を形成する工程、或いは、
前記グレーチングが形成された透明基板上に透明材料をナイフコート又はスピンコートし、前記透明材料を紫外線予備硬化してから熱硬化して前記透明調整層を形成する工程、或いは、
前記グレーチングが形成された透明基板上に化学気相成長工程によって非金属透明材料を堆積して、前記透明調整層を形成する工程、或いは、
前記グレーチングが形成された透明基板上にスパッタリング工程によって金属透明材料を堆積して、前記透明調整層を形成する工程、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の双方向視野角の表示パネルの製造方法。
【請求項4】
前記透明調整層の厚みは0より大きくかつ500μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の双方向視野角の表示パネルの製造方法。
【請求項5】
前記グレーチングが形成された透明基板上に透明調整層を形成するステップの前に、
設定された前記画素層のサブ画素の幅及び前記グレーチングの開口の大きさを得るステップと、
前記サブ画素の幅及び前記グレーチングの開口の大きさによって前記透明調整層の厚みを確定するステップと、が行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の双方向視野角の表示パネルの製造方法。
【請求項6】
以下の式(1)によって前記グレーチングと前記画素層との距離である前記透明調整層の厚みhを確定し、前記画素層の各サブ画素は、カラーフィルターユニット及びブラックマトリックスからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の双方向視野角の表示パネルの製造方法。
【数1】
(式(1)において、mは、各ブラックマトリックスの幅、pは各カラーフィルターユニ
ットの幅、Ps(=p+m)は各サブ画素の幅、aは前記グレーチングの開口の大きさをそれぞれ表わす
【請求項7】
前記透明調整層の厚みhが下記の式(2)で示されることを特徴とする請求項6に記載の双方向視野角の表示パネルの製造方法。
【数2】
【請求項8】
透明基板と、
前記透明基板上にあり、遮光層からなるグレーチングと、
前記グレーチングが形成された透明基板上にある透明調整層と、
前記透明調整層上にある画素層及び透明導電層と、
同一のマスクプレートを用いて前記グレーチングの形成と同時に前記透明基板上に形成された、前記グレーチングと前記画素層との位置合わせマークと、
を備えることを特徴とする双方向視野角の表示パネル。
【請求項9】
前記グレーチングと前記画素層との距離である前記透明調整層の厚みは、以下の式(3)で示されるものであり、前記画素層の各サブ画素は、カラーフィルターユニット及びブラックマトリックスとからなることを特徴とする請求項8に記載の双方向視野角の表示パネル。
【数3】
(式(3)において、mは各ブラックマトリックスの幅、pは各カラーフィルターユニッ
トの幅、Ps(=p+m)は各サブ画素の幅、aは前記グレーチングの開口の大きさをそれぞれ表わす)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向視野角の表示パネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
双方向視野角(双方向映像とも称する)表示は、異なる角度で異なる映像を表示し、即ち、ユーザがディスプレイスクリーンの異なる角度から異なる映像を見ることができる。例えば、双方向視野角表示は、車載用ディスプレイに用いられる。車内の異なる席の乗客は、双方向視野角のディスプレイによって、同一のディスプレイから異なる映像を見ることができ、乗客ごとにそれぞれのディスプレイを提供する必要がなくなるため、ディスプレイを設置するコストが低減され、車内空間が節約される。
【0003】
図1に示すように、従来の双方向視野角の液晶ディスプレイ構造は、第1の基板11、液晶層12、画素層13、第2の基板14、パターン化遮蔽層15及び透明基板16を備え、パターン化遮蔽層15は、不透明遮蔽層パターン151、152、153及び154を備える。この構造の双方向視野角の液晶ディスプレイは、パターン化遮蔽層15によって双方向視野角の表示効果を生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した構造の双方向視野角の液晶ディスプレイは、パターン化遮蔽層15が第2の基板14上に貼り付けられ、画素層13との距離が長いため、双方向の可視野角度が小さくなってしまい、ユーザの体験が影響される。従来技術では、双方向の可視野角度を大きくするために、一般的に、第2の基板14を薄くすることで双方向の可視野角度を最適化するが、第2の基板14の厚みを薄くすると、生産工程中に、基板の平坦度が低下され、基板が割れて、液晶注入が失敗する等の問題が生じ、製品の歩留まりが厳しく影響される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の双方向視野角の表示パネル及びその製造方法を提供する。
【0006】
一方面は、双方向視野角の表示パネルの製造方法であって、
透明基板を提供するステップと、
前記透明基板上に、遮光層からなるグレーチングを形成するステップと、
前記グレーチングが形成された透明基板上に、透明調整層を形成するステップと、
前記透明調整層上に、画素層及び透明導電層を順に形成するステップと、を備える。
【0007】
さらに、上述した前記透明基板上に遮光層からなるグレーチングを形成するステップは、同一マスクによって、前記基板上に、前記グレーチングと前記画素層との位置合わせマークを同時に形成する工程を含む。
【0008】
さらに、前記遮光層は、黒色の金属層、または有機材料層、または有機材料と反射材料からなる積層体である。
【0009】
さらに、上述した前記グレーチングが形成された透明基板上に透明調整層を形成するステップは、
前記グレーチングが形成された透明基板上に透明材料をナイフコートまたはスピンコートし、前記透明材料を熱硬化して前記透明調整層を形成する工程、或いは、
前記グレーチングが形成された透明基板上に透明材料をナイフコート又はスピンコートし、前記透明材料を紫外線硬化して前記透明調整層を形成する工程、或いは、
前記グレーチングが形成された透明基板上に透明材料をナイフコート又はスピンコートし、前記透明材料を紫外線予備硬化してから熱硬化して前記透明調整層を形成する工程、或いは、
前記グレーチングが形成された透明基板上に化学気相成長工程によって非金属透明材料を堆積して、前記透明調整層を形成する工程、或いは、
前記グレーチングが形成された透明基板上にスパッタ工程によって金属透明材料を堆積して、前記透明調整層を形成する工程、を含む。
【0010】
さらに、前記透明調整層の厚みは0〜500μmである。
【0011】
さらに、上述した前記グレーチングが形成された透明基板上に透明調整層を形成するステップの前に、
設定された前記画素層のサブ画素の幅及び前記グレーチングの開口を得るステップと、
前記サブ画素の幅及び前記グレーチングの開口によって前記透明調整層の厚みを確定するステップと、が行われる。
【0012】
さらに、以下の式(1)によって前記グレーチングと前記画素層との距離である前記透明調整層の厚みhを確定し、前記画素層の各サブ画素は、カラーフィルターユニット及びブラックマトリックスからなる。
【数1】
(式(1)において、mは、各ブラックマトリックスの幅、pは各カラーフィルターユニットの幅、Ps(=p+m)は各サブ画素の幅、aは前記グレーチングの開口の大きさをそれぞれ表わす)
【0013】
さらに、前記厚みhは、下記の式(2)で示されることができる。
【数2】
【0014】
本発明は、双方向視野角の表示パネルであって、
透明基板と、
前記透明基板上にあり、遮光層からなるグレーチングと、
前記グレーチングが形成された透明基板上にある透明調整層と、
前記透明調整層上にある画素層及び透明導電層と、を備える。
【0015】
さらに、前記グレーチングと前記画素層との距離である前記透明調整層の厚みは、以下の式(3)で示されるものであり、前記画素層の各サブ画素は、カラーフィルターユニット及びブラックマトリックスとからなる。
【数3】
(式(3)において、mは各ブラックマトリックスの幅、pは各カラーフィルターユニットの幅、Ps(=p+m)は各サブ画素の幅、aは前記グレーチングの開口の大きさをそれぞれ表わす)
【0016】
以下、本発明の実施形態の技術案をさらに明確に説明するために、実施形態の図面を簡単に説明する。下記の図面は、本発明の実施形態の一部に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来技術に係る双方向視野角の液晶ディスプレイの構造概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの構造概略図である。
図3】本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの可視領域を示す概略図である。
図4】本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの視野角を示す概略図である。
図5】本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの製造方法を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの製造方法を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの製造方法を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの製造方法を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの製造方法を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の目的、技術案及び利点をさらに明確にするために、本発明の実施形態の図面を参照しながら、本発明の実施形態の技術案を明確で完全に説明する。なお、下記の実施形態は、本発明の実施形態の一部であり、全ての実施形態ではない。本発明の実施形態に基づき、当業者が創造的労働をしない前提で得られる全ての他の実施形態は、いずれも本発明の保護範囲に入る。
【0019】
本発明の実施形態は、従来技術における、通常第2の基板を薄くすることで双方向可視視野角を最適化するが、第2の基板の厚みを薄くすると、生産工程中に基板の平坦度が低下され、基板が割れ、液晶注入が失敗する等の問題が生じ、製品の歩留まりが影響される。この問題に対して、双方向可視視野角を最適化するとともに、基板を薄くすることによる製品の歩留まり低下の問題を改善することができる双方向視野角の表示パネル及びその製造方法を提供する。
【0020】
本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの製造方法は、透明基板17を提供するステップと、透明基板17上に、遮光層からなるグレーチング18を形成するステップと、グレーチング18が形成された透明基板17上に透明調整層19を形成するステップと、透明調整層19上に画素層13及び透明導電層20を順に形成するステップと、を備える。
【0021】
本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの製造方法は、透明基板上に遮光層からなるグレーチングを形成し、そして、グレーチングが形成された透明基板上に透明調整層を形成し、透明調整層上に画素層を形成する。本発明の技術案では、双方向視野角の表示パネルは、グレーチングが基板の内側にあり、透明調整層を介して画素層と分離し、透明調整層の厚みを調整することでグレーチングと画素層との間の距離が調整され、双方向視野角が最適化される。さらに、本発明は、基板を薄くする必要がなく、基板を薄くすることによる製品の歩留まりの低下の問題が避けられた。
【0022】
上述したステップを完成した後、図2に示すように、透明基板17と、透明基板17上にあり、遮光層からなるグレーチング18と、グレーチング18が形成された透明基板17上にある透明調整層19と、透明調整層19上にある画素層13及び透明導電層20と、を備える。本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルが形成される。
【0023】
本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルでは、双方向視野角の表示パネルのグレーチングが基板の内側にあり、透明調整層を介して画素層と分離し、透明調整層の厚みを調整することでグレーチングと画素層との距離を調整することができ、双方向視野角が最適化される。さらに、本発明の実施形態は、基板を薄くする必要がないので、基板を薄くすることによる製品の歩留まりの低下の問題が避けられた。
【0024】
図3は、本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの可視領域を示す概略図である。図3に示すように、バックライト21からの光線がグレーチング18を通った後、左右の可視領域を形成すると共に、左右の画像を同時に見る複数のクロストーク領域を形成する。左右の可視領域をできるだけ大きくすると、クロストーク領域が相応に小さくなる。
【0025】
可視領域の大きさは、グレーチングの開口、及びグレーチングの配置高さと一定の関係を有するため、本発明の実施形態は、可視領域を最大化するように、双方向視野角の表示パネルの構造を設計する設計案を提供する。図4は、本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの視野角を示す概略図である。図4に示すように、 双方向視野角の表示パネルは左右の可視野角が対称しており、グレーチングの対称中心におけるグレーチングの開口の中心軸が画素層18の鉛直中心軸のブラックマトリックスに位置合わせる。これによって、左右の視野角の対称が確保される。
【0026】
図4に示すように、画素層の各サブ画素は、カラーフィルターユニット及びブラックマトリックスからなり、各ブラックマトリックスの幅がmであり、各カラーフィルターユニットの幅がpであり、各サブ画素の幅がPs=p+mであり、グレーチングの開口がaであり、グレーチングと画素層との距離、即ち、透明調整層の厚みがhであり、透明基板の屈折率がnであり、双方向視野角の表示パネルの有効可視野角度が(α−β)である。屈折の法則により、
【数4】
【数5】
さらに、
【数6】
【数7】
【数8】
で表すことができるので、
【数9】
となる。また、透明基板がガラスまたは有機材料からなり、屈折率nが1〜1.5であり、計算を簡単化するため、nを1にすると、
【数10】
が得られる。
【数11】
という関数に対して、数学の関数の知識から容易に理解するように、(a−m)(3m+2p−a)=(2h) の場合に、f(h)が最小値を有し、sin(α−β)が最大値を有する。このとき、
【数12】
となる。サブ画素のピッチがPs=p+mであるため、
【数13】
が得られる。このとき、
【数14】
である。従って、数式(10)から分かるように、設定された表示パネルに対して、Psが一定値であり、ブラックマトリックスの幅mを適当に大きくてして、開口aを小さくすることで、可視野角度が広げられる。式(8)、(11)から分かるように、グレーチングの配置高さhが、
【数15】
である場合、或いは、他の光学条件を満たす場合、この値に接近するほど、可視視野角が最適になる。中心のクロストークの角度が2(90°−α)であり、
【数16】
となる。従って、グレーチングの開口aが小さくなり、ブラックマトリックスの幅mが大きくなり、中心のクロストークの角度が小さくなる。hの低下によって、中心のクロストークの角度がある程度で向上される。さらに、
【数17】
となる。要するに、h=Ps/4の付近である場合、一方の可視視野角が大きくて中心のクロストークの角度が小さい。従って、設定された双方向視野角の表示パネルを生産するとき、グレーチングの配置高さ(即ち、透明調整層の厚み)は、できるだけPs/4に接近すべきである。
【0027】
以下、図5図10を組み合わせて、本発明の実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの製造方法を詳しく説明する。
【0028】
ステップ1、図5に示すように、透明基板17を提供する。製造する前に、透明基板17を洗浄してもよい。透明基板17の材質は、ガラスまたは有機材料であってもよい。
【0029】
ステップ2、図6に示すように、1枚のマスク(mask)によって、透明基板17上に遮光層からなるグレーチング18を形成する。ここで、該マスクは、グレーチングを製造するパターンだけでなく、表示パネルを製造するための工程マーク(mark)、例えば、PI(ポリイミド)マーク、シール(seal)マーク、カッティング(cutting)マーク等を含み、マスクと、マスク載置台と、ガラス基台との位置合わせマークも含み、画素層を形成するためのブラックマトリックス、カラーフィルターユニットの層位置あわせマークをも含む。
【0030】
従来技術は、一般的に、画素層を形成するとともに、表示パネルを製造するための工程マークを形成するが、本発明の実施形態においても、画素層を形成するとともに表示パネルを製造するための上記工程マークを形成すると、これらの工程マークは、グレーチングの開口領域の表示を影響する可能性があるため、本実施形態は、グレーチングを形成するとともに上記工程マークを形成する。
【0031】
遮光層は、不透光性材料を用い、遮光層は、黒色金属層、例えば、Crであり、或いは、ブラックマトリックスと同じ有機材料を用いる。さらに、遮光層は、有機材料層と反射層との積層体であってもよい。反射層が光線を反射するため、光線の透過率及び利用率が向上され、双方向視野角の表示パネルの表示輝度が向上される。反射層はAlを用いてもよい。
【0032】
ステップ3、図7に示すように、グレーチング18が形成された透明基板17上に、ナイフコート又はスピンコートによって、透明調整層19を形成する。
【0033】
透明調整層19を形成する方法は、グレーチング18が形成された透明基板17上に透明材料をナイフコート又はスピンコートし、透明材料を熱硬化して、透明調整層19を形成する工程、或いは、グレーチング18が形成された透明基板17上に透明材料をナイフコート又はスピンコートし、透明材料を紫外線硬化して、透明調整層19を形成する工程、或いは、グレーチング18が形成された透明基板17上に透明材料をナイフコート又はスピンコートし、透明材料を紫外線予備硬化してから熱硬化して、透明調整層19を形成する工程、或いは、グレーチング18が形成された透明基板17上に、化学気相成長工程によって非金属透明材料を堆積して、透明調整層19を形成する工程、或いは、グレーチング18が形成された透明基板17上に、スパッタリング工程によって金属透明材料を堆積して、透明調整層19を形成する工程、を備える。
【0034】
該透明調整層19は、グレーチング18と画素層13との間の距離を調整でき、該透明調整層19の厚みは0〜500μmであってもよい。具体的に、該透明調整層19の厚みは、上述した本発明の実施形態の設計案によって確定される。透明調整層19が用いる材料は、絶縁材料または金属材料であってもよい。グレーチング18が用いる材料は絶縁材料である場合、透明調整層19は金属材料を用いる。これによって、透明調整層19の平坦度がさらに向上される。
【0035】
ステップ4、図8に示すように、透明調整層19上に、通常の工程によって、画素層13を構成するブラックマトリックス(BM)及びカラーフィルターユニット(RGB)を形成する。ここで、ブラックマトリックスを形成するマスクにおいて、元の周辺の工程マークを除去してもよいが、 ブラックマトリックス及びグレーチングの位置合わせマークを保留するとともに、該位置合わせマークが所在する設計位置が、RGB層及びグレーチングの位置合わせマークを影響しないように確保する必要がある。
【0036】
ステップ5、図9に示すように、画素層13上に透明導電層20を形成し、透明導電層20がITOを用いてもよい。
【0037】
ステップ6、図10に示すように、通常のPI摩擦配向(rubbing)を介して、seal 剤の印刷によって、下基板22と、グレーチング18、透明調整層19、画素層13及び透明導電層20が形成された基板17とをセル化し、そして、液晶注入工程を行い、図10に示すような双方向視野角の表示パネルを形成する。
【0038】
本実施形態に係る双方向視野角の表示パネルの製造方法、及び双方向視野角の表示パネルは、グレーチングが基板の内側にあり、透明調整層を介して画素層と分離し、設定された表示パネルのパラメータによって透明調整層の厚みを調整することで、双方向視野角が最適化される。さらに、本発明の実施形態は、基板を薄くする必要がなく、基板を薄くすることによる製品の歩留まりの低下の問題が避けられた。
【0039】
本発明の各方法の実施形態では、上述した各ステップの番号は、各ステップの順序を限定することはない。当業者にとって、創造的労働をしない前提で、各ステップの順序を変化することも本発明の保護範囲に入る。
【0040】
以上は、本発明の例示的な実施形態であり、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲に基づく。
【符号の説明】
【0041】
11 第1の基板
12 液晶層
13 画素層
14 第2の基板
15 パターン化遮蔽層
16 透明基板
17 透明基板
18 グレーチング
19 透明調整層
20 透明導電層
151〜154 不透明遮蔽層パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10