(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143880
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】レイヤー3(ネットワーク)のエンティティの仮想化のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/70 20130101AFI20170529BHJP
H04L 12/775 20130101ALI20170529BHJP
G06F 9/46 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
H04L12/70 D
H04L12/775
G06F9/46 350
【請求項の数】36
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-547455(P2015-547455)
(86)(22)【出願日】2013年12月10日
(65)【公表番号】特表2016-504854(P2016-504854A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】US2013073970
(87)【国際公開番号】WO2014093264
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2015年6月15日
(31)【優先権主張番号】61/736,894
(32)【優先日】2012年12月13日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510279365
【氏名又は名称】ゼットティーイー (ユーエスエー) インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】カスナビッシュ, ブミップ
【審査官】
岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/043416(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0153533(US,A1)
【文献】
米国特許第08248958(US,B1)
【文献】
磯貝 彰則 他,ネットワーク仮想化技術におけるマルチレイヤ資源管理モデルの検討,2012年電子情報通信学会総合大会講演論文集,2012年 3月 6日,通信2,p.66,B-6-66
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/70
G06F 9/46
H04L 12/775
IEEE Xplore
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークエンティティを仮想化する方法であって、
予め指定された設定に従い、レイヤー3(ネットワーク)エンティティのインスタンスを生成することと、
アプリケーションまたはサービスのために予め決められた期間において前記インスタンスの使用を管理することと、
を含み、
前記アプリケーションまたはサービスのための1つ以上の仮想ネットワークエンティティのアサインおよびリリースを管理するための管理クライアントを使用することをさらに含む方法。
【請求項2】
前記インスタンスの前記使用を管理することは、割り当て、維持および開放することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記設定の選択を速めるためにプロファイルまたは設定のデータベースを使用することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記管理クライアントは、標準のウェブベースのインターフェースである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記管理クライアントは、ネットワークコンフィギュレーションプロトコル、RFC6241(Network Configuration Protocol、RFC 6241)である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つ以上の前記仮想ネットワークエンティティは、独立して操作される複数のドメインからのものである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(i)前記アプリケーションまたはサービスおよび(ii)仮想ネットワークエンティティのコントローラー間のブローカーまたはオーケストレイターをさらに有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1つ以上の前記仮想ネットワークエンティティは、1つの物理装置において存在する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上の前記仮想ネットワークエンティティは、複数の物理装置において存在する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
1つ以上の前記仮想ネットワークエンティティは、複数の管理ドメインにおける複数の地理的に離散したドメインにおいて存在する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ネットワークエンティティは、1つ以上のルーター、ルーティング/トポロジーデータベース、ファイアウォールおよびロードバランサーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ネットワークエンティティは、付加価値のあるレイヤー3のサービスを提供する一つ以上の装置を含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ネットワークエンティティを仮想化するシステムであって、
予め指定された設定に従い、レイヤー3(ネットワーク)エンティティのインスタンスを生成する手段と、
アプリケーションまたはサービスのために予め決められた期間において前記インスタンスの使用を管理する手段と、
を有し、
前記アプリケーションまたはサービスのための1つ以上の仮想ネットワークエンティティのアサインおよびリリースを管理するための管理クライアントを使用する手段をさらに有するシステム。
【請求項14】
前記インスタンスの使用を管理するための手段は、割り当てるための手段、維持するための手段および開放するための手段を含む請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記設定の選択を速めるためにプロファイルまたは設定のデータベースを使用する手段をさらに有する請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記管理クライアントは、標準のウェブベースのインターフェースである請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記管理クライアントは、ネットワークコンフィギュレーションプロトコル、RFC6241(Network Configuration Protocol、RFC 6241)である請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
1つ以上の前記仮想ネットワークエンティティは、独立して操作される複数のドメインからのものである請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
(i)前記アプリケーションまたはサービスおよび(ii)仮想ネットワークエンティティのコントローラー間のブローカーまたはオーケストレイターを使用する手段をさらに有する請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
1つ以上の前記仮想ネットワークエンティティは、1つの物理装置において存在する請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
1つ以上の前記仮想ネットワークエンティティは、複数の物理装置において存在する請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
1つ以上の前記仮想ネットワークエンティティは、複数の管理ドメインにおける複数の地理的に離散したドメインにおいて存在する請求項13に記載のシステム。
【請求項23】
前記ネットワークエンティティは、1つ以上のルーター、ルーティング/トポロジーデータベース、ファイアウォールおよびロードバランサーを含む請求項13に記載のシステム。
【請求項24】
前記ネットワークエンティティは、付加価値のあるレイヤー3のサービスを提供する一つ以上の装置を含む請求項13に記載のシステム。
【請求項25】
ネットワークエンティティを仮想化するための指示が格納されたコンピューター読み取り可能な媒体を含む製品であって、
予め指定された設定に従い、レイヤー3(ネットワーク)エンティティのインスタンスを生成するための指示と、
アプリケーションまたはサービスのために予め決められた期間において前記インスタンスの使用を管理するための指示と、
を含み、
前記アプリケーションまたはサービスのための1つ以上の仮想ネットワークエンティティのアサインおよびリリースを管理するための管理クライアントを使用するための指示をさらに含む製品。
【請求項26】
前記インスタンスの使用を管理するための指示は、割り当てのための指示、維持のための指示および開放のための指示を含む請求項25に記載の製品。
【請求項27】
前記設定の選択を速めるためにプロファイルまたは設定のデータベースを使用するための指示をさらに含む請求項25に記載の製品。
【請求項28】
前記管理クライアントは、標準のウェブベースのインターフェースである請求項25に記載の製品。
【請求項29】
前記管理クライアントは、ネットワークコンフィギュレーションプロトコル、RFC6241(Network Configuration Protocol、RFC 6241)である請求項25に記載の製品。
【請求項30】
1つ以上の前記仮想ネットワークエンティティは、独立して操作される複数のドメインからのものである請求項25に記載の製品。
【請求項31】
(i)前記アプリケーションまたはサービスおよび(ii)仮想ネットワークエンティティのコントローラー間のブローカーまたはオーケストレイターを使用するための指示をさらに含む請求項30に記載の製品。
【請求項32】
1つ以上の前記仮想ネットワークエンティティは、1つの物理装置において存在する請求項25に記載の製品。
【請求項33】
1つ以上の前記仮想ネットワークエンティティは、複数の物理装置において存在する請求項25に記載の製品。
【請求項34】
1つ以上の前記仮想ネットワークエンティティは、複数の管理ドメインにおける複数の地理的に離散したドメインにおいて存在する請求項25に記載の製品。
【請求項35】
前記ネットワークエンティティは、1つ以上のルーター、ルーティング/トポロジーデータベース、ファイアウォールおよびロードバランサーを含む請求項25に記載の製品。
【請求項36】
前記ネットワークエンティティは、付加価値のあるレイヤー3のサービスを提供する一つ以上の装置を含む請求項25に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークレイヤーのエンティティ(対象物)を仮想化するためのメカニズムに関する。これらのエンティティは、ルーター、ルーティング/トポロジーデータベース、ファイアウォール、ロードバランサー等を含む。付加価値のあるレイヤー3のサービスを提供する多くの他のデバイスも、ネットワークレイヤーのエンティティとみなすことができる。これらは、計算、記憶、リンク/チャンネル、ルーティングおよびフォワーディングを行うテーブル/エンジン、ファイアウォール、ポリシー/サービス品質マネージャー、ローンバランサー/ディストリビューター等を含んでもよい。仮想化のプロセスは、下記のネットワーク全体のエンティティの作成、利用および移動を可能にする。
【0002】
・(仮想化された)ネットワークポート
・(仮想化された)ネットワークリンク
・(仮想化された)フォワーディングテーブル
・(仮想化された)DNS
・(仮想化された)ロードバランサー
・(仮想化された)AAAサーバー
・(仮想化された)ルーティングエンジン
・(仮想化された)付加価値のあるネットワーク化されたサービスエンティティ
【背景技術】
【0003】
今日におけるネットワークエンティティの仮想化のプロセスは、大部分がレイヤー2に基づくメカニズムおよびサービスに関する。たとえば、DMTFの仮想化管理イニシアティブは、仮想環境の管理ライフサイクルを処理する仕様のセットを開発した。オープン仮想化フォーマットまたはOVFは、異なるプラットフォームを横断して設置するために仮想マシンをパッケージ化して記述する標準フォーマットおよびアプリケーションを提供する。他の仕様は、(a)イーサネットポート、(b)メモリーリソース、(c)プロセッサーリソース、および(d)記憶装置リソースの仮想化をカバーする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
我々は、ネットワークレイヤーのエンティティに対する考慮が明らかに欠けていることに注目する。レイヤー2のドメインは狭い地理的領域(部屋、キャンパス、小さい都市等)上の典型的なブロードキャストドメインをカバーするのに対し、ネットワークレイヤーは広い地理的領域(大きい都市、州、国、およびそれ以上)をカバーするため、自動ロードバランスおよび災害リカバリのためにより魅力的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
レイヤー3のエンティティの仮想化は、ブロードキャスト(ローカルエリアネットワークまたはLAN)ドメインの上のレイヤー2ドメインにおいて共通して使用される仮想化メカニズムの利点を拡張する。しかし、これはレイヤー3上で行われるため、範囲はより広い地理的領域に拡張する。
【0006】
これは、事実上発展途上の広域のネットワークを意識したサービスおよびデバイス、また同様に、サービスやデバイスを意識したネットワークの有効な発展の可能性をもたらす。
【0007】
他の側面において、本発明は上述した特徴および利点に対応する特徴および利点を有するシステムおよびコンピュータープログラムを提供する。
【0008】
本発明の目的は、下記の説明および添付の図面を参照することにより明らかとなる。
【0009】
上記の一般的な説明および下記の図面および詳細な説明は、例示的で説明的なものであり、特許請求の範囲に記載された発明のさらなる説明を提供するものであると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
発明は一般的な用語で記載され、添付の図面への参照がなされているが、必ずしもスケールどおりに記載されているわけではない。添付の図面は、発明のさらなる理解をもたらすために提供されており、本明細書に含まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、開示される実施形態および/または態様を示し、さらに詳細な説明と共に、特許請求の範囲の記載によって範囲が定められる発明の原理を説明する役割を果たす。
【
図1】ネットワーク(レイヤー3)エンティティを抽象化(仮想化)するための上位概略図を示す。
【
図2】仮想化されたネットワークのエンティティの制御および管理として、仮想化されたネットワークのエンティティがアプリケーションおよびサービスによって制御および管理される様子を示す。
【
図3】仮想化されたネットワークのエンティティを使用する装置の構成として、仮想化されたレイヤー3エンティティを使用して装置が構成される様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、いくつかの発明の実施形態が示される添付の図面を参照しつつ、下記においてより完全に記載されている。本明細書において提供される図面および説明は、本発明の明確な理解に関する要素を示すために単純化されていることがあり、また、明確化の目的のために、従来のレイヤー3(ネットワーク)のエンティティの仮想化のためのシステムおよび方法において認識される他の要素が除去されていると理解されるべきである。当業者は、本明細書に記載される装置、システムおよび方法を実装するために、他の要素および/またはステップは、任意および/または必須であると認識できる。しかしながら、このような要素およびステップは周知であり、それらは本発明の理解を容易にしないため、このような要素およびステップに関する議論は、本明細書において提供されないことがある。本開示は、当業者に周知の開示された要素、システムおよび方法に対する全ての要素、変形および修正を本質的に含むものとみなされる。
【0012】
図1は、ネットワークエンティティを抽象化(仮想化)するための上位概略図を示す。
【0013】
仮想化のプロセスは、予め指定された設定に従ってレイヤー3(ネットワーク)のエンティティのインスタンスを生成することと、その使用を特定のアプリケーション/サービスのために予め決められた期間において管理(割り当て、維持および開放)することとを含む。
【0014】
設定の選択を速めるために、プロファイル/設定データベースの使用が要求されてもよい。加えて、アプリケーションおよびサービスのための仮想ネットワークエンティティ(VNE)のアサインおよびリリースを管理するために、管理クライアントが使用されてもよい。管理クライアントのために標準のウェブベースのインターフェースが使用されてもよい。たとえば、IETFのNetConf(Network Configuration Protocol(NETCONF)、RFC6241、ウェブリンクtools.ietf.org/html/rfc6241を参照)プロトコルが、VNEの管理に関するオペレーションに使用されてもよい。
【0015】
図2は、仮想化されたネットワークエンティティがアプリケーションおよびサービスによって制御および管理される様子を示す。
【0016】
アプリケーション/サービスが、独立して操作される複数のドメインのVNEを要求する場合、
図1に示すように、アプリケーション/サービスおよびVNEコントローラーの間にブローカーまたはオーケストレイターを使用することが要求されうる。
【0017】
図3は、仮想化されたレイヤー3のエンティティを使用して装置が構成される様子を示す。装置において使用されるVNEは、1つの物理装置(最も単純なケース)、1つの管理ドメインにおける複数の物理装置、または複数の管理ドメインにおける複数の地理的に離散したドメイン(最悪のケース)において存在しうる。複数の管理ドメインのVNEがアプリケーション/サービスによって利用される場合、プライバシー、セキュリティ、サービス品質およびサービスレベルアグリーメントに関する問題は慎重に対処されなければならない。
【0018】
具体的な用語が本明細書において使用されたとしても、それらは一般的かつ説明的な意味として使用されているだけであり、限定の目的で使用されているものではない。また、本発明は、説明形式においてある程度具体的に説明および図示されているが、記載や図面は例示のためだけに作成されていることに留意されたい。構成の詳細や、要素やステップの結合および変更について様々な変更を行うことが可能である。したがって、このような変更は、特許請求の範囲によって範囲が定められる本発明に含まれるものとする。