【実施例】
【0027】
実施例1:補償プラーク値の決定
手動歯ブラシのヘッドを、ヘッドの外側に向いた青色LEDを挿入することにより、LEDからの光が歯表面に照射できるように改造して、原型プラーク検出歯ブラシを形成した。LEDを、同様に青色LEDにより照射される領域内に先端が向いた12個の光ファイバー繊維のアレイで包囲した。光ファイバーは歯ブラシのネックを通過し、歯ブラシの取っ手部分内に収容された一対の光センサー(Taos TSL12S−LF)に至っていた。ファイバーを2つのグループに分けた。1つのグループは515nmを超える波長のみ通過できる光学フィルター(Semrock FF01−500/LP)を通した一方、第2のグループは全部の波長を通過させ、即ち光学フィルターは全く使用されなかった。濾過された光はプラーク値を表した一方、未濾過の光は、集光器、即ち光ファイバーの先端と、歯の表面との間の距離の解釈に使用された。光センサーの出力は増幅器(アナログデバイスAD8544ARZ)に接続され、その増幅器は8ビット・マイクロコントローラ(Atmel ATMEGA8L−8AU)に接続されていた。マイクロコントローラは、2つの10ビット・アナログ−デジタル変換器を含み、その変換器は、マイクロコントローラ内で情報をデジタルフォーマットで操作できるようにする。
【0028】
この装置を用いて、蛍光材料を含有する模擬プラーク材料で被覆したTypodent歯モデルを使用して、実験を行った。プラークがヒトの口腔内で成長する方法を近似して、歯表面上に人工プラークを塗布した。実験は、距離とプラーク値との間の関係を形成できるように、例えば光ファイバー繊維の先端を歯表面からの様々な距離に配置することから構成された。
【0029】
原型デバイスを以下のパラメータの組で操作した。
・500Hz(0.002秒)でサンプリング、連続して4つの測定値を反復連続的に取得。
・出力データ値当たり全20個のデータポイントを平均。
・原型を
クロック速度が7MHzである8ビット・マイクロコントローラにより作動。
・RS232
対応の読み出しデータを表計算ソフト(spreadsheet)
への落とし込み、及び
・周辺光の補償。
【0030】
原型デバイスを、歯表面モデルの表面から0〜10mmの距離に配置した。読み取りを距離LEDオン、距離LEDオフ、プラークLEDオン、及びプラークLEDオフにより取得した。
ここで、「距離LEDオン」は、LEDをオンにしたときの第2の光変換器48が出力する電気信号の値である。また、「距離LEDオフ」は、LEDをオフにしたときの第2の光変換器48が出力する電気信号の値である。また、「プラークLEDオン」は、LEDをオンにしたときの第1の光変換器46が出力する電気信号の値である。また、「プラークLEDオフ」は、LEDをオフにしたときの第1の光変換器46が出力する電気信号の値である。各距離における
プラーク及び距離に関する信号の値
であるプラーク関連信号値、距離関連信号値を、以下を使用して計算した。
プラーク関連信号値=プラークLEDオン−プラークLEDオフ (I)
距離関連信号値=距離LEDオン−距離LEDオフ (II)
【0031】
表Iは、LEDオン、プラークLEDオフ、
プラーク関連信号値、距離LEDオン、距離LEDオフ、
距離関連信号値に関する測定値/計算値を示す。
【表1】
【0032】
縦列A(
プラーク関連信号値)の値を、縦列B(
距離関連信号値)に対してプロットした。得られた線を、直線式に曲線適合した。
プラーク関連信号値=1.304
×距離関連信号値−66.61 (III)
【0033】
歯表面モデルの表面から距離1mmの
プラーク関連信号値が226であったため、補償プラークの値は、以下を使用して決定した。
補償プラーク=226+(1.304
×距離関連信号値−66.61)/
プラーク関連信号値 (IV)
【0034】
表IIは、距離に対する補償プラークの計算値を示す。
【表2】
【0035】
表は、補償プラークの平均計算値が、距離に関わらず227.02であり、標準偏差は0.012(0.05%)であることを示す。したがって、プラーク読み取り値は、集光器から歯モデルの表面迄の距離を考慮に入れて補償されている。
【0036】
〔実施の態様〕
(1) 口腔内のプラークの検出方法であって、
前記口腔の表面を入射放射線
に当てることであって、前記表面は該表面に適用されたプラークに結合可能な蛍光剤を含み、前記
当てることが、第1の波長を有する反射光と、前記蛍光剤から発散する、第2の波長を有する蛍光発光とを提供する、ことと、
前記
当てることにより生じた前記蛍光発光の第1の部分を収集し、かつ、前記第1の蛍光発光の光信号を前記蛍光発光の前記第1の部分の電気信号に変換する第1の手段に搬送して、前記蛍光発光の前記第1の部分の前記光信号を前記蛍光発光の前記第1の部分の前記電気信号に変換することと、
前記反射光の第1の部分を収集し、かつ、前記反射光の前記第1の部分の光信号を前記反射光の前記第1の部分の電気信号に変換する第2の手段に搬送して、前記反射光の前記第1の部分の前記光信号を前記反射光の前記第1の部分の前記電気信号に変換することと、
前記蛍光発光の前記第1の部分及び前記反射光の前記第1の部分の前記電気信号を数学的に操作して補償プラーク値を提供することと、
を含む、方法。
(2) 前記蛍光剤がフルオレセイン又はその塩を含み、前記入射放射線が約450〜約500ナノメートルのピーク波長を有する、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記入射放射線が、前記表面と
当てる前に、第1の光学フィルターを通過する、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記入射放射線が約470ナノメートルの波長を有する、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記蛍光発光の前記光信号を前記蛍光発光の前記電気信号に変換する前に、前記反射光の第2の部分が前記蛍光発光の前記第1の部分と同時に収集され、かつ第2の光学フィルターを通して搬送され、前記第2のフィルターは約515ナノメートル未満の波長を有する光を除去する、実施態様1に記載の方法。
(6) 前記蛍光発光及び前記反射光の前記電気信号が、前記数学的操作の前に増幅される、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記蛍光発光及び前記反射光の前記電気信号が、前記数学的操作の前にデジタルフォーマットに変換される、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記蛍光発光の第2の部分が、前記反射光の前記第1の部分と同時に搬送される、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記蛍光発光及び反射光の前記第1の部分の前記搬送が、実質的に同時である、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記蛍光発光が、約520〜約530ナノメートルのピーク波長を含む、実施態様1に記載の方法。
【0037】
(11) 前記反射光及び前記蛍光発光が、光ファイバーにより収集及び搬送される、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記蛍光発光の前記光信号を前記蛍光発光の前記電気信号に変換する前に、前記反射光の前記第1の部分が、第3の光学フィルターを通して前記蛍光発光の前記第2の部分と同時に搬送され、前記第3のフィルターは約515ナノメートルを超える波長を有する光を除去する、実施態様7に記載の方法。
(13) 前記補償プラーク値が、前記蛍光発光の前記収集地点と、前記口腔の前記表面との間の距離の関数として決定される、実施態様1に記載の方法。
(14) 口腔の表面上のプラークを検出するデバイスであって、
前記口腔の前記表面上に入射放射線を指向させる放射線源と、
反射光及び蛍光発光を収集する集光器と、
前記収集された反射光及び前記収集された蛍光発光を前記デバイス内に搬送する光学経路と、
前記反射光及び前記蛍光発光の光学的光信号を電気信号に変換する手段と、
前記反射光及び前記蛍光発光の前記電気信号を数学的に操作して、補償プラーク値を決定する手段と、
を備える、デバイス。
(15) 前記集光器が光ファイバーを含む、実施態様14に記載のデバイス。
(16) 前記光学経路が光ファイバーを含む、実施態様14に記載のデバイス。
(17) 前記光学経路が前記光ファイバーを含む、実施態様15に記載のデバイス。
(18) 前記反射光及び蛍光発光の前記光学的光信号を前記電気信号に変換する前記手段が、光変換器を含む、実施態様14に記載のデバイス。
(19) 前記反射光及び前記蛍光発光の前記電気信号を増幅又は調整する手段を更に備える、実施態様14に記載のデバイス。
(20) 第1の光学フィルターを更に備え、前記表面
に当たる前に、前記入射放射線が前記第1の光学フィルターを通過する、実施態様14に記載のデバイス。
【0038】
(21) 第2の光学フィルターを更に備え、前記光学的光信号を前記電気信号に変換する前に、前記反射光の第2の部分と前記蛍光発光の第1の部分とが前記第2の光学フィルターを通して搬送される、実施態様14に記載のデバイス。
(22) 第3の光学フィルターを更に備え、前記光学的光信号を前記電気信号に変換する前に、前記反射光の第1の部分と前記蛍光発光の第2の部分とが前記第3の光学フィルターを通して搬送される、実施態様14に記載のデバイス。
(23) 前記反射光及び前記蛍光発光の前記電気信号を数学的に操作する前記手段がデータ処理装置を含み、前記データ処理装置は、前記電気信号の操作前に、前記反射光及び前記蛍光発光の前記電気信号をアナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換するアナログ−デジタル変換器を更に含む、実施態様14に記載のデバイス。