(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記2種以上の表示用着色粒子において、互いに隣合う閾値電圧を持つ2種の粒子間で、高閾値電圧側の粒子の応答時間の逆数が0となる外挿電圧での低閾値電圧側の粒子の応答時間の逆数が1.0(1/sec)以上である請求項1に記載の表示用粒子分散液。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
【0018】
[表示用粒子分散液]
本実施形態に係る表示用粒子分散液は、2種以上の表示用着色粒子(以下、「着色粒子」と称する)と、着色粒子を分散する分散媒と、を有する。
2種以上の着色粒子は、全ての粒子が同じ帯電極性又は少なくとも一つの粒子が異なる帯電極性を示しており、電界に応じて移動し、その移動が開始する電界強度を付与するための閾値電圧(絶対値)が異なっている。
そして、2種以上の着色粒子は、互いに隣合う閾値電圧(絶対値)を持つ2種の粒子間で、高閾値電圧側の粒子の応答時間の逆数が0となる外挿電圧における低閾値電圧側の粒子の応答時間の逆数が0.5(1/sec)以上(望ましくは1.0(1/sec)以上)である。
【0019】
本実施形態に係る表示用粒子分散液では、上記構成により、泳動する各粒子の単独による表示色、及び2種以上の粒子の混合による表示色の鮮明な表示が実現される。
この理由は定かではないが、次に示す理由によるものと考えられる。
【0020】
まず、閾値電圧(絶対値)が異なる2種以上の着色粒子のうち、互いに隣合う閾値電圧(絶対値)を持つ2種の着色粒子間において、高閾値電圧側の着色粒子の応答時間の逆数が0となる外挿電圧における低閾値電圧側の着色粒子の応答時間の逆数が上記範囲以上になるとは、当該2種の着色粒子が、高閾値電圧側の着色粒子の応答時間の逆数の0への外挿電圧未満で、低閾値電圧側の着色粒子の応答時間の逆数の0への外挿電圧以上の電圧において、高閾値側の着色粒子を移動させずに低閾値側の着色粒子だけを対極基板側へ移動させられるという関係を有していることを意味すると考えられる。
このため、当該2種の着色粒子は、互いに独立して駆動(泳動)し、且つ一方の着色粒子が駆動(泳動)する際、他方の着色粒子が駆動(泳動)され難い状態になると考えられる。
【0021】
以上から、本実施形態に係る表示用粒子分散液では、泳動する各粒子の単独による表示色、及び2種以上の粒子の混合による表示色の鮮明な表示が実現されると考えられる。
具体的には、本実施形態に係る表示用粒子分散液では、例えば、シアン粒子、及び赤色粒子の2種の着色粒子を適用した場合、シアン粒子の単独によるシアン色、赤色粒子の単独による赤色、シアン粒子及び赤色粒子の混合による黒色の鮮明な表示が実現される。
一方、シアン粒子、マゼンタ粒子、イエロー粒子の3種の着色粒子を提供した場合、シアン粒子の単独によるシアン色、マゼンタ粒子の単独によるマゼンタ色、イエロー粒子の単独によるイエロー色、シアン粒子及びマゼンタ粒子の混合による青色、シアン粒子及びイエロー粒子の混合による緑色、マゼンタ粒子及びイエロー粒子の混合による赤色、シアン粒子、マゼンタ粒子及びイエロー粒子の混合による黒色の鮮明な表示が実現される。
【0022】
また、本実施形態に係る表示用粒子分散液は、着色粒子以外で、電界に応じて移動しない又は電界に応じた応答時間が着色粒子よりも遅い(特に極端に遅い)表示用白色粒子(以下、「白色粒子」と称する)を含んでもよい(つまり、分散媒中に白色粒子が分散されていてもよい)。この場合、着色粒子は、白色を除く色を呈する着色粒子が採用される。そして、白色粒子を含んだ場合であっても、着色粒子が表示媒体の裏面側(背面電極側)に確実に移動して表示媒体の表示面側に着色粒子が介在され難くなるので、その白色粒子単独による白色の鮮明な表示も実現される。
【0023】
ここで、閾値電圧(以下、「移動開始電圧」と称する場合がある)とは、着色粒子が移動を開始する電圧のことを意味するが、具体的には、ある一定未満の電圧(絶対値)を印加しても、着色粒子の移動が生じず、ある一定以上の電圧(絶対値)を印加したときに着色粒子の移動が開始するといった着色粒子の駆動電圧特性である。この閾値電圧が2種以上の着色粒子ごとに異なると、同じ帯電極性を持つ2種以上の着色粒子(同極性の2種以上の着色粒子)であっても、個別の移動が実現される。
【0024】
次に、2種以上の表示用着色粒子において、互いに隣合う閾値電圧を持つ粒子間で、高閾値電圧側の粒子の応答時間の逆数が0となる外挿電圧における低閾値電圧側の粒子の応答時間の逆数は、次のようにして求められるものである。
【0025】
まず、一対のガラス基板間に、対向距離50μmで対向面が水平に対向する2つの対向電極を配置し、2つの対向電極間を空隙(セル)とした応答時間の測定用素子を準備する。
次に、測定用素子のセルに、測定対象となる表示用粒子分散液を封入する。
次に、セルに表示用粒子分散液が封入された測定用素子の対向電極間に電圧を印加して電位差を与えて、測定対象となる着色粒子を対向電極の一方に移動させた状態とする。
次に、この状態で、対向電極間に目的とする電圧を印加して電位差を与えて電界を付与し、測定対象となる粒子を対向電極の他方に移動させる。
この様子を光ファイバー付きの高速分光器により測定し、測定対象となる着色粒子のピーク波長において9割が対向電極の他方に移動するまでに要する時間を計測し、その時間から、目的とする電圧を印加したときの電界強度に対する着色粒子の応答時間を算出する。
【0026】
以上の測定方法を利用し、目的とする電圧(絶対値)を対向電極に印加し、対向電極間に付与する電界強度として3つ以上の電界強度を付与したときの着色粒子の応答時間をそれぞれ算出する。
次に、この印加電圧(絶対値)による電界強度と算出した着色粒子の応答時間の逆数とから、最小二乗法により、印加電圧(絶対値)による電界強度と着色粒子の応答時間の逆数との関係の近似式を算出する。
そして、他の各着色粒子についても同様にして、印加電圧(絶対値)による電界強度と着色粒子の応答時間の逆数との関係の近似式をそれぞれ算出する。
なお、この近似式において、着色粒子の応答時間の逆数が「0」のときの電界強度を「着色粒子の応答時間の逆数が0となる外挿電圧(絶対値)」と定義する。
【0027】
最後に、2種以上の着色粒子のうち、対象となる互いに隣合う閾値電圧を持つ2種の着色粒子の各近似式を利用し、高閾値電圧側の着色粒子の応答時間の逆数が0となる外挿電圧(絶対値)を求め、その外挿電圧での低閾値電圧側の着色粒子の応答時間の逆数を求める。
【0028】
なお、2種以上の表示用着色粒子において、互いに隣合う閾値電圧を持つ粒子間で、粒子の応答時間の逆数の関係が上記条件を満たすための方法としては、例えば、1)着色粒子を構成する材料種を選択する方法、2)その含有量の調整する方法、3)粒子の大きさを調整する方法等が挙げられる。
【0029】
以下、本実施形態に係る表示用粒子分散液の各構成要素について説明する。
【0030】
(着色粒子)
着色粒子は、正又は負に帯電されており、予め定められた電界強度以上の電界が形成されることで分散媒中を移動するものである。また、2種以上の着色粒子は、互いに色が異なると共に、閾値電圧(つまり帯電特性)が異なる粒子である。この帯電特性が異なるとは、互いの粒子の帯電極性若しくは帯電量が異なること、又は、帯電極性及び帯電量の双方が異なることを示している。
なお、表示装置における表示色の変化は、この着色粒子の分散媒中の移動によって生じる。
【0031】
ここで、2種以上の着色粒子は、全ての粒子が同じ帯電極性又は少なくとも一つの粒子が異なる帯電極性を示しているが、その組み合わせは、表示色を鮮明に表示する観点から、以下の組み合わ
せである。
1)全ての粒子が同じ帯電極性である2種の着色粒子の組合せ
2)互いに異なる帯電極性である2種の着色粒子の組合せ
3)全ての粒子が同じ帯電極性である3種の着色粒子の組合せ
4)中間の閾値電圧を持つ粒子の帯電極性が異なり、他の閾値電圧を持つ2種の粒子((最も高い閾値電圧を持つ粒子及び最も低い閾値電圧を持つ粒子)の帯電極性が同じである3種の着色粒子の組合せ
5)最も高い閾値電圧を持つ粒子及び3番目に高い閾値電圧を持つ粒子が同じ帯電極性であり、2番目に高い閾値電圧を持つ粒子及び最も低い閾値電圧を持つ粒子の帯電極性が同じ帯電極性であり、且つ、最も高い閾値電圧を持つ粒子及び3番目に高い閾値電圧を持つ粒子と2番目に高い閾値電圧を持つ粒子及び最も低い閾値電圧を持つ粒子
との帯電極性が異なる帯電極性(隣り合う閾値電圧を持つ粒子が互いに異なる帯電極性)である4種の着色粒子の組合せ
【0032】
−着色粒子の組成−
着色粒子としては、例えば、樹脂粒子、これらの樹脂粒子の表面に着色剤を固定した粒子、樹脂中に着色剤を含有する粒子等が挙げられる。着色粒子としては、その他、絶縁性の金属酸化物粒子(例えばガラスビーズ、アルミナ、酸化チタン等の粒子)、プラズモン発色機能を有する金属コロイド粒子等も挙げられる。
【0033】
〜樹脂〜
着色粒子に使用する熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン;、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体、又はこれらの共重合体からなる樹脂が挙げられる。
着色粒子に使用する熱硬化性樹脂としては、例えば、ジビニルベンゼンを主成分とする架橋共重合体や架橋ポリメチルメタクリレート等の架橋樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0034】
着色粒子に使用する代表的な樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
【0035】
特に、着色粒子に使用する樹脂としては、粒子に帯電を持たせるために帯電性基を有する樹脂(以下、「帯電性基を有する高分子」と称する)が望ましく用いられる。
帯電性基を有する高分子は、例えば、カチオン性基又はアニオン性基を有する高分子である。
帯電性基としてのカチオン性基は、例えば、アミン基、4級アンモニウム基が挙げられ(これら基の塩も含む)、このカチオン基により粒子に正帯電極性が付与される。
帯電性基としてのアニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、及びリン酸塩基が挙げられ、このアニオン性基により粒子に負帯電極性が付与される。
帯電性基としては、その他、フッ素基、フェニル基等も挙げられる。
【0036】
帯電性基を有する高分子として、具体的には、例えば、帯電性基を有する単量体の単独重合体、帯電性基を有する単量体と他の単量体(帯電性基を持たない単量体)との共重合体が挙げられる。
【0037】
帯電性基を有する単量体としては、例えば、カチオン性基を有する単量体(以下、カチオン性単量体)、アニオン性基を有する単量体(以下、アニオン性単量体)、フッ素基を持つ単量体、フェニル基を持つ単量体等が挙げられる。
【0038】
カチオン性単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる。具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−オ クチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;、N−メチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−フェニルメチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−p−メトキシ−フェニルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジオクチルアミノスチレン等の含窒素基を有する芳香族置換エチレン系単量体類;、ビニル−N−エチル −N−フェニルアミノエチルエーテル、ビニル−N−ブチル−N−フェニルアミノエチルエーテル、トリエタノールアミンジビニルエーテル、ビニルジフェニルアミノエチルエーテル、N−ビニルヒドロキシエチルベンズアミド、m−アミノフェニルビニルエーテル等の含窒素ビニルエーテル単量体類;等が挙げられる。
【0039】
カチオン単量体としては、含窒素複素環式化合物類も好適に挙げられるが、このうちN−ビニルピロール等のピロール類;、N−ビニル−2−ピロリン、N−ビニル−3−ピロリン等のピロリン類;、N−ビニルピロリジン、ビニルピロリジンアミノエ ーテル、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリジン類;、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;、N−ビニルイミダゾリン等のイミダゾリン類;、N−ビニルインドール等のインドール類;、N−ビニルインドリン等のインドリン類;、N−ビニルカルバゾール、3,6−ジブロム−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール類;、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピロジン等のピリジン類;、(メタ)アクリルピペリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピペラジン等のピペリジン類、2−ビニルキノリン、4−ビニルキノリン等のキノリン類;、N−ビニルピラゾール、N−ビニルピラゾリン等のピラゾール類、2−ビニルオキサゾール等のオキサゾール類;、4−ビニルオキサジン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等のオキサジン類;などが特に望ましい。
【0040】
なお、カチオン単量体は、重合前又は重合後に4級アンモニウム塩化して塩構造を形成してもよい。4級アンモニウム塩化は、例えば、カチオン性基をアルキルハライド類やトシル酸エステル類と反応させることで実現される。
【0041】
アニオン性単量体としては、例えば、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、例えば、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、それらの無水物、そのモノアルキルエステルやカルボキシエチルビニルエーテル、カルボキシプロピルビニルエーテルの如きカルボキシル基を持つビニルエーテル類、及びその塩等が挙げられる。
スルホン酸モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリックアシッドエステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコニックアシッドエステル等及びその塩が挙げられる。また、スルホン酸モノマーとしては、その他2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸の硫酸モノエステル及びその塩も挙げられる。
リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
なお、アニオン性単量体は、重合前若しくは重合後にアンモニウム塩化して塩構造を形成させてもよい。アンモニウム塩化は、例えば、アニオン性基を3級アミン類若しくは4級アンモニウムハイドロオキサイド類と反応させることで実現される。
【0042】
フッ素基を持つ単量体としては、例えばフッ素基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、具体的には、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロメチルトリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0043】
フェニル基を持つ単量体としては、例えば、スチレン、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
他の単量体としては、例えば、水溶性単量体(例えばヒドロキシル基を有する単量体等)が挙げられ、具体的には、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドユニットを持つモノマ−(例えばテトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレートなどのアルキルオキシオリゴエチレングリコールの(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの片末端(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸及びその塩、マレイン酸、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩、ビニルスルホン酸及びその塩。ビニルピロリドンなどが挙げられる。
他の単量体としては、その他周知の非イオン性の単量体が挙げられる。
【0045】
なお、「(メタ)アクリル」は「アクリル、メタクリル」の双方の表記である。「(メタ)アクリロ」は「アクリロ、メタクリロ」の双方の表記である、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート、メタクリレート」の双方の表記である。
【0046】
〜着色剤〜
着色粒子に使用する着色剤としては、有機若しくは無機の顔料や、油溶性染料等が挙げれる。
着色剤としては、例えば、マグネタイト、フェライト等の磁性紛、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤が挙げられる。
着色剤として具体的には、例えば、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、等が代表的なものとして挙げられる。
【0047】
着色剤の含有量としては、例えば、着色粒子を構成する樹脂に対し10質量%以上99質量%以下がよく、望ましくは30質量%以上80質量%以下である。
【0048】
〜その他成分〜
着色粒子には、必要に応じて、帯電制御剤を含んでもよい。帯電制御剤としては、電子写真用トナー材料に使用される公知のものが挙げられ、例えば、セチルピリジルクロライド、BONTRON P−51、BONTRON P−53、BONTRONE−84、BONTRON E−81(以上、オリエント化学工業社製)等の第4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、テトラフェニル系化合物、酸化金属粒子、各種カップリング剤により表面処理された酸化金属粒子が挙げられる。
【0049】
〜その他構成〜
・シリコーン化合物による表面処理
着色粒子の表面には、反応性基を持つシリコーン化合物により表面処理が施されていてもよい。つまり、着色粒子は、当該着色粒子をコア粒子とし、このコア粒子の表面にシリコーン化合物の被覆層を有するコア・シェル構造の粒子であってもよい。
なお、コア・シェル構造の粒子の場合、コア粒子は、シリコーン化合物の反応性基と反応する反応性基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基等)を持つ樹脂を含むことがよい。このような反応性基を持つ樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ゼラチン、寒天等が好適に挙げられる。
また、シリコーン化合物が帯電性基を持つ場合、コア粒子は、帯電性基を有さない樹脂を含んで構成されていてもよい。
【0050】
シリコーン化合物としては、例えば、シリコーン鎖を持つ単量体と、反応性基を持つ単量体と、必要に応じて、帯電性基を持つ単量体と、他の単量体と、の共重合体からなる樹脂が挙げられる。
ここで、シリコーン化合物は、OH基を有さないシリコーン化合物(つまりOH基を持つ単量体を重合成分として含まないシリコーン化合物)であることがよい。
これにより、他の構成要素である他の着色粒子や白色粒子、基板表面の絶縁層やカプセル壁を構成する樹脂に含まれる官能基にプロトンを奪われることで、OH基が負帯電化し、正帯電に設計した粒子が部分的に負帯電化したり、負帯電に設計した粒子が必要以上に帯電してしまうことが防止され、目的通りの帯電特性を有する粒子となる。
【0051】
シリコーン鎖を持つ単量体としては、例えば、シリコーン鎖を持つマクロモノマーであり、具体的には、例えば、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーンモノマー(下記構造式1で示されるシリコーン化合物:例えば、チッソ社製:サイラプレーン:FM−0711,FM−0721,FM−0725等、信越化学工業社製:X−22−174DX,X−22−2426,X−22−2475等)等が挙げられる。
【0053】
構造式1中、R
1は、水素原子、又はメチル基を示す。R
1’は、水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。nは自然数(例えば1以上1000以下、望ましくは3以上100以下)、を示す。xは1以上3以下の整数を示す。
【0054】
反応性基を持つ単量体としては、例えば、エポキシ基を有するグリシジル(メタ)アクリレート、イソシアネート基を有するイソシアネート系モノマー(例えば、昭和電工:カレンズAOI(2−イソシアナトエチルアクリラート)、カレンズMOI(2−イソシアナトエチルメタクリレート))、ブロックされたイソシアネート基を有するイソシアネート系モノマー(例えば、昭和電工:カレンズMOI−BM(メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル)、カレンズMOI−BP(2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート))等が挙げられる。
なお、ブロックされたイソシアネート基とは、例えば、イソシアネート基が置換基と反応した状態となっており、イソシアネート基が加熱によって脱離する置換基と反応しない状態となっているものである。これにより、イソシアネート基の反応性が抑制され、加熱により置換基が離脱すると反応する状態となる。
【0055】
帯電性基を持つ単量体としては、上記帯電性基を持つ高分子で説明した帯電性基を持つ単量体と同様なものが挙げられる。
他の単量体としては、帯電性基を持たない単量体が挙げられ、上記帯電性基を持つ高分子で説明した他の単量体(帯電性基を持たない単量体)と同様なものが挙げられる。
【0056】
シリコーン化合物において、シリコーン鎖を持つ単量体は、全単量体に対して占める質量比で5質量%以上90質量%以下が望ましく、より望ましくは30質量%以上80質量%以下である。
また、反応性基を持つ単量体は、全単量体に対して占める質量比で3質量%以上80質量%以下が望ましく、より望ましくは5質量%以上60質量%以下である。
【0057】
シリコーン化合物の重量平均分子量としては、500以上100万以下が望ましく、より望ましくは1000以上100万以下である。
【0058】
シリコーン化合物は、コア粒子の表面に対する処理量(被覆量)は、例えば、コア粒子に対して、0.4質量%以上15質量%以下であることがよく、望ましくは0.4質量%以上6質量%以下である。
【0059】
・外添剤
着色粒子の表面には、必要に応じて、外添剤を付着させてもよい。外添剤の色は、着色粒子の色に影響を与えないように、透明であることが望ましい。
外添剤としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、アルミナ等の金属酸化物等の無機粒子が挙げられる。外添剤は、着色粒子の帯電性、流動性、及び環境依存性等を調整するために、これらをカップリング剤やシリコーンオイルで表面処理してもよい。
カップリング剤としては、アミノシラン系カップリング剤、アミノチタン系カップリング剤、ニトリル系カップリング剤等の正帯電性のものと、窒素原子を含まない(窒素以外の原子で構成される)シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、エポキシシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤等の負帯電性のものが挙げられる。
シリコーンオイルとしては、アミノ変性シリコーンオイル等の正帯電性のものと、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスルホン変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等の負帯電性のものが挙げられる。
なお、これらカップリング剤やシリコーンオイルは、外添剤の所望の抵抗に応じて選択される。
【0060】
外添剤の一次粒子は、例えば、1nm以上100nm以下であることがよく、望ましくは5nm以上50nm以下であるが、これに限定されない。
【0061】
外添剤の外添量は、例えば、着色粒子100質量部に対して、0.01質量部以上3質量部以下であることがよく、望ましくは0.05質量部以上1質量部以下である。
外添剤の外添量は、着色粒子の粒径と外添剤の粒径の兼ね合いから調整することがよい。そして、外添剤の外添量を上記範囲にすると、着色粒子表面から外添剤の少なくとも一部が遊離し、これが他方の着色粒子の表面に付着して、所望の帯電特性が得られなくなるのが防止され易くなる点で有利である。
【0062】
外添剤は、複数種類の着色粒子の何れか1種にだけ添加してもよいし、複数種又は全種類の着色粒子へ外添してもよい。全着色粒子の表面に外添剤を添加する場合は、着色粒子表面に外添剤を衝撃力で打込んだり、着色粒子表面を加熱して外添剤を着色粒子表面に強固に固着したりすることが望ましい。これにより、外添剤が着色粒子から遊離し、異極性の外添剤が強固に凝集して、電界で解離させることが困難な外添剤の凝集体を形成することが防止され、ひいては画質劣化が防止され易くなる点で有利である。
【0063】
−着色粒子の特性等−
着色粒子の体積平均粒径は、例えば、0.05μm以上20μm以下であることがよく、望ましくは0.1μm以上10μm以下である。なお、着色粒子の大きさは、特に制限はなく、用途に応じて、望ましい範囲が決定される。
【0064】
着色粒子の濃度(表示装置の一対の基板間に封入された状態での表示用粒子分散液中の濃度)は、目的とする表示色が得られる濃度であれば特に限定されるものではなく、例えば、0.01質量%以上50質量%以下であることがよい。
なお、着色粒子の濃度は、表示装置の一対の基板間に封入された状態での表示用粒子分散液中の濃度としても上記範囲であることがよい。また、着色粒子の濃度は、表示装置の一対の基板間の距離)により調整することが有効である。所望の色相を得るために、表示装置の一対の基板間の距離が大きくなるほど粒子濃度は少なくなり、当該距離が小さくほど粒子濃度は多くなる。
【0065】
−着色粒子の製造方法−
着色粒子を製造する方法としては、従来公知のどの方法を用いてもよい。具体的には、例えば、以下に示す方法が挙げられる。
1)特開平7−325434公報記載のように、樹脂、顔料及び必要に応じて帯電制御剤を目的とする混合比になるように計量し、樹脂を加熱溶融させた後に顔料を添加して混合、分散させ、冷却した後、ジェットミル、ハンマーミル、ターボミル等の粉砕機により、着色粒子を製造する方法。
2)懸濁重合、乳化重合、分散重合等の重合法やコアセルベーション、メルトディスパージョン、エマルジョン凝集法により、着色粒子を製造する方法。
3)樹脂が可塑性を有している場合、分散媒が沸騰せず、かつ、樹脂、着色剤及び必要に応じて帯電制御剤の少なくとも一方の分解点よりも低温で、樹脂、着色剤、分散媒及び必要に応じて帯電制御剤の原材料を分散及び混錬して、粒子を製造する方法(具体的には、着色粒子は、例えば、流星型ミキサー、ニーダー等で樹脂、着色剤、及び必要に応じて帯電制御剤を分散媒中で加熱溶融し、樹脂の溶媒溶解度の温度依存性を利用して、溶融混合物を撹拌しながら冷却し、凝固/析出させて、着色粒子を製造する方法)。
4)分散及び混練のための粒状メデイアを装備した適当な容器、例えばアトライター、加熱したボールミル等の加熱された振動ミル中に上記の原材料を投入し、この容器を望ましい温度範囲、例えば80℃以上160℃以下で分散及び混練して、粒子を作製する方法。
なお、粒状メデイアとしては、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼、アルミナ、ジルコニア、シリカ等が望ましく用いられる。粒状メデイアを利用した方法によって、着色粒子を製造するには、あらかじめ流動状態にした原材料をさらに粒状メデイアによって容器内に分散させた後、分散媒を冷却して分散媒から着色剤を含む樹脂を沈殿させることがよい。粒状メデイアは、冷却中及び冷却後にも引き続き運動状態を保ちながら、剪断及び/又は、衝撃を発生させ、得られる着色粒子の粒径を小さくすることがよい。
【0066】
(白色粒子)
−白色粒子の構成−
白色粒子としては、例えば、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物の球状粒子、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物の球状粒子、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物の球状粒子、((株)日本触媒製エポスター)、酸化チタン含有架橋ポリメチルメタクリレートの球状粒子(積水化成品工業(株)製MBX−ホワイト)、架橋ポリメチルメタクリレートの球状粒子(綜研化学製ケミスノーMX)、ポリテトラフルオロエチレンの微粒子(ダイキン工業(株)製ルブロンL、 Shamrock TechnologiesInc.製 SST−2)、フッ化炭素の球状粒子(日本カーボン製CF−100、ダイキン工業製CFGL,CFGM)、シリコーン樹脂の球状粒子(東芝シリコーン(株)製トスパール)、酸化チタン含有ポリエステルの球状粒子(日本ペイント製ビリューシア PL1000ホワイトT)、酸化チタン含有ポリエステル・アクリルの球状粒子(日本油脂製コナックNo181000ホワイト)、シリカの球状粒子(宇部日東化成製ハイプレシカ)等が挙げられる。
【0067】
特に、白色粒子としては、白色顔料(例えば酸化チタン等)を樹脂で被覆した白色粒子が、白色表示の反射率を上げる観点からよい。
このような被覆樹脂としては、特に制限はないが、白色表示の反射率を上げ、白色粒子の沈降及び電界による移動低減の観点から、ビニルビフェニル化合物の少なくとも一種を重合成分として含む重合体がよい。
一方、白色顔料としては、例えば、酸化亜鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、リトボン、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニア、酸化アンチモン、硫酸バリウム等が挙げられる。
これらの中でも、白色顔料としては、白色粒子の高反射率と沈降抑制とを両立させる観点から、酸化チタンがよい。
ここで、酸化チタン粒子は、硫酸法、塩素法、気相法等いずれの方法により潜像されたものでもよい。酸化チタンの結晶系は、アナターゼ型、ルチル型、又はプルカイト型いずれの結晶系のものでもよいが、ルチル型が望ましい。酸化チタン粒子は、光触媒性を抑制する観点から、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ケイ素などを含有していることが望ましい。
なお、白色粒子は、白色表示の反射率を上げ、白色粒子の沈降及び電界による移動低減の観点から、ビニルビフェニル化合物の少なくとも一種を重合成分として含む重合体の粒子であってもよい。
【0068】
白色粒子を構成する材料の屈折率は、高反射率の観点から、分散媒の屈折率との屈折率差が大きいほうがよく、その屈折率差として少なくとも0.1以上、望ましくは0.3以上あることがよい。但し、白色粒子の屈折率は、分散媒の屈折率より大きくても、小さくてもよい。
【0069】
−白色粒子の特性等−
白色粒子は、例えば、表示媒体において背景色として白色を表示する機能を有する粒子である。このため、白色粒子は、分散媒中に浮遊した状態で含まれていることがよい。
そして、白色粒子は、着色粒子と逆極性の帯電特性を有するか、又は帯電量が低く、電解に応じて移動する応答時間が着色粒子よりも低い粒子であることがよく、特に、実質的に、電界に応じて移動しない粒子であることが望ましい。具体的には、同電界下での白色粒子の応答時間は、着色粒子の応答時間の1/5以下、望ましくは1/10以下であることがよい。
【0070】
白色粒子の体積平均粒径は、0.05μm以上20μm以下であることがよく、望ましくは0.1μm以上1μm以下である。白色粒子の体積平均粒径を0.05μm以上とすると高反射率が実現され易くなる。白色粒子の体積平均粒径を20μm以下とすると、白色粒子の沈降が抑制され易くなる。
【0071】
白色粒子の濃度(表示媒体の一対の基板間に封入された状態での表示用粒子分散液中の濃度)は、例えば、1体積%以上50体積%以下であることがよく、望ましくは2体積%以上30体積%以下である。
白色粒子の濃度を上記範囲にすると、白表示の反射率を高めつつ、表示用白色粒子の分散による分散媒の粘度上昇を抑え、着色粒子による表示応答性の低下も抑制され易くなる点で有利である。
なお、白色粒子の濃度は、表示媒体の一対の基板間に封入された状態での表示用粒子分散液中の濃度としても上記範囲であることがよい。また、表示用白色粒子の濃度は、表示装置の一対の基板間の距離)により調整することが有効である。所望の色相を得るために、表示媒体の一対の基板間の距離が大きくなるほど粒子濃度は少なくなり、当該距離が小さくほど粒子濃度は多くなる。
【0072】
−白色粒子の製造方法−
白色粒子の製造方法は、例えば、着色粒子の製造方法と同様な方法が挙げられる。
【0073】
(分散媒)
分散媒としては、絶縁性液体であることが望ましい。ここで、「絶縁性」とは、体積固有抵抗値が10
11Ωcm以上であることを示している。
絶縁性液体として具体的には、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、シリコーンオイル、高純度石油、エチレングリコール、アルコール類、エーテル類、エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリドン、N−メチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ベンジン、ジイソプロピルナフタレン、オリーブ油、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモテトラフルオロエタンなどや、それらの混合物が好適に挙げられる。
【0074】
これらの中でも、分散媒としては、シリコーンオイルを適用することがよい。
シリコーンオイルとして具体的には、シロキサン結合に炭化水素基が結合したシリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、ジエチルシリコーンオイル、メチルエチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル等)が挙げられる。これらの中も、ジメチルシリコーンが特に望ましい。
【0075】
−分散媒の添加剤−
分散媒には、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散安定剤、酸化防止、紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加してもよいが、上記で示した特定の体積固有抵抗値の範囲となるように添加することが望ましい。
【0076】
分散媒には、帯電制御剤として、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、金属石鹸、アルキルリン酸エステル類、コハク酸イミド類等を添加して使用してもよい。
これら界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
【0077】
〜ノニオン系界面活性剤〜
・ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル類。
ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル類。
・モノオールタイプのポリオキシアルキレングリコール、ジオールタイプのポリオキシアルキレングリコール、トリオールタイプのポリオキシアルキレングリコール等のグリコール類。
・オクチルフェノールエトキシレート等の第1級直鎖アルコールエトキシレート及び、第2級直鎖アルコールエトキシレート等のアルキルアルコールエーテル類。
ポリオキシエチレンラウリルエステル等のポリオキシアルキレンアルキルエステル類。
ソルビタンモノラウレイト、ソルビタンジラウレイト、ソルビタンセスキパルミテート等のソルビタン脂肪酸エステル類。
・ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレイト、ポリオキシエチレンソルビタンジラウレイト、ポリオキシエチレンソルビタンセスキラウレイト、等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類。
・飽和脂肪酸ステアリルエステル、不飽和脂肪酸ステアリルエステル、ステアリン酸ポリエチレングリコールエステル等の脂肪酸エステル類。
・ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類及び、これら脂肪酸のアミド化化合物類。ポリオキシエチレンアルキルアミン類、高級脂肪酸モノエタノールアミド類、高級脂肪酸ジエタノールアミド類、アミド化合物類及び、アルカノールアミド類。
【0078】
〜アニオン系界面活性剤〜
・ポリカルボン酸型高分子活性剤、ロジン石鹸等のカルボン酸塩類。ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコールの硫酸エステルNa塩、ラウリルアルコールの硫酸エステルアミン塩、高級アルコール硫酸エステルNa塩等のアルコール系硫酸エステル塩類及び、ラウリルアルコールエーテルの硫酸エステルアミン塩、ラウリルアルコールエーテルの硫酸エステルNa塩、合成高級アルコールエーテルの硫酸エステルアミン塩、合成高級アルコールエーテルの硫酸エステルNa塩、アルキルポリエーテル硫酸エステルアミン塩、アルキルポリエーテル硫酸エステルNa塩、天然アルコールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルアミン塩、天然アルコールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルNa塩、合成アルコールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルアミン塩、合成アルコールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルNa塩、アルキルフェノールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルアミン塩、アルキルフェノールEO(エチレンオキシド)付加体系硫酸エステルNa塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルアミン塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルNa塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルアミン塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルNa塩等の硫酸エステル塩類。
・各種アルキルアリルスルホン酸アミン塩、各種アルキルアリルスルホン酸Na塩、ナフタレンスルホン酸アミン塩、ナフタレンスルホン酸Na塩、各種アルキルベンゼンスルホン酸アミン塩、各種アルキルベンゼンスルホン酸Na塩、ナフタレンスルホン酸縮合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等のスルホン酸塩類。
・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸アミン塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸Na塩などのポリオキシアルキレン系スルホン酸塩類。
【0079】
〜カチオン系界面活性剤〜
・アルキルトリメチルアミン系4級アンモニウム塩類。テトラメチルアミン系塩、テトラブチルアミン塩等の4級アンモニウム塩類。(RNH
3)(CH
3COO)〔R=ステアリル・セチル・ラウリル・オレイル・ドデシル・ヤシ・大豆・牛脂等〕で表される酢酸塩類。ラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩(ハロゲン・アミン塩等)、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム塩(ハロゲン・アミン塩等)、ドデシルジメチルベンジルアンモニウム塩(ハロゲン・アミン塩等)等のベンジルアミン系4級アンモニウム塩類。
・R(CH
3)N(C
2H
4O)
mH(C
2H
4O)
n・X〔R=ステアリル・セチル・ラウリル・オレイル・ドデシル・ヤシ・大豆・牛脂等/X=ハロゲン・アミン等〕で表されるポリオキシアルキレン系4級アンモニウム塩類。
【0080】
〜両性系界面活性剤〜
・各種ベタイン型界面活性剤等。
【0081】
これら帯電制御剤の含有量は、例えば、全粒子固形分に対して0.01質量%以上であることがよく、望ましくは20質量%以下、より望ましくは0.05質量%以上10質量%以下である。
帯電制御剤の含有量を0.01質量%以上にすると、希望とする帯電制御効果が十分発揮され易くなる点で有利であり、20質量%以下にすると、分散媒の過度な電導度の上昇が抑制され易くなる点で有利である。
【0082】
分散媒は、高分子が添加されていてもよい。この高分子としては、高分子ゲル、高分子ポリマー等であることが望ましい。
【0083】
−分散媒の特性−
分散媒の比重は、例えば、温度25℃の環境下において、0.6g/cm
3以上1.2g/cm
3以下であることがよく、0.7g/cm
3以上1.1g/cm
3以下が望ましく、0.7g/cm
3以上1.0g/cm
3以下がより望ましい。
表示用白色粒子の比重を上記範囲にすると、表示用白色粒子の沈降が抑制され易くなる点で有利である。
【0084】
分散媒の粘度は、例えば、温度20℃の環境下において、0.1mPa・s以上100mPa・s以下であることよく、0.1mPa・s以上50mPa・s以下であることが望ましく、0.1mPa・s以上20mPa・s以下であることがより望ましい。
【0085】
(表示用粒子分散液のその他態様)
本実施形態に係る表示用粒子分散液は、カプセル壁で内包されていてもよい。つまり、カプセル粒子中に、着色粒子、分散媒、及び必要に応じて白色粒子が含有されていてもよい。
【0086】
カプセル壁を構成する主たる材料は、ゼラチン、ホルマリン樹脂、ウレタン樹脂を望ましく用いることができるが、ゼラチンであることが最も望ましい。
ゼラチンとしては、コラーゲンからの誘導過程で石灰などによる処理を伴う所謂アルカリ処理ゼラチン、同じく塩酸などによる処理を伴う所謂酸処理ゼラチン、加水分解酵素などの処理を伴う酸素処理ゼラチン、ゼラチン分子中に含まれる官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基をそれらと反応しうる基を一個持った試薬で処理、改質した例、例えばフタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン、トリメトリト化ゼラチン等の所謂ゼラチン誘導体、変性ゼラチン等、例えば特開昭62−215272号222頁左下欄6行目から225頁左上欄末行目などに記載される当業界内で一般に用いられているものが挙げられる。
【0087】
ゼラチン等の高分子電解質をカプセル壁に用いた場合に使用される架橋剤としては、例えば、グリオキサール、グルタルアルデヒド、スクシンアルデヒド、ジカルボン酸(例えば例えば、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタル酸、アジピン酸、2,3−O−イソプロピリデン酒石酸等)、二酸塩化物(例えばスクシニルクロリド、フマリルクロリド、グルタリルクロリド、アジポイルクロリド等)、トリカルボン酸(例えばクエン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸等)が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、特表2005−522313に、酵素(トランスグルタミナーゼなど)による架橋反応を用いることが記載されており、この様な架橋反応を生じさせる酵素も挙げられる。
架橋剤としては、例えば、特表2009−531532記載に記載された、エポキシ樹脂、2−ヒドロキシアルキルアミド類、テトラメトキシメチルグリセリル、ポリアジリジン、ポリカルボジイミド、イソシアネート類、ブロック化イソシアネート類、乾性油(例えばトリグリセリド類、グリセロールエポキシエステル類、脂肪酸のトリエステル類等)、脂肪族アミン類、フェノール類、ポリイソシアネート類、アミン類、尿素、カルボン酸類、アルコール類、ポリエーテル類、尿素ホルムアルデヒド、メラミン類、アルデヒド類、多価アニオン類の塩も挙げられる。
架橋剤は、その架橋反応を促進する触媒と併用してもよく、触媒としては、特表2009−531532記載に記載された、アルコール類、フェノール類、弱酸類、アミン類、金属塩類、ウレタン類、キレート類、有機金属材料、光開始剤、フリーラジカル開始剤、強酸類のオニウム塩類が挙げられる。
【0088】
なお、架橋剤及びその触媒の少なくとも一方を水相中に添加して用いるか、又は内相油相中に添加して有機溶媒中から架橋反応を起こさせるかについては、目的に応じて選択することができる。
【0089】
ここで、カプセル壁を形成のための乳化分散工程において用いられる乳化分散装置として、高速撹拌機(ディゾルバー)、ホモジナイザー、インラインミキサー等の通常の乳化手段が挙げられるが、特に、マイクロリアクター又はマイクロミキサーを利用することが好適である。
【0090】
通常の乳化手段は、乳化に必要な剪断力の働く領域が、乳化翼の極く近傍に限られているため、剪断力が乳化翼の遠近で不均一になり、分散液滴の粒子径分布が広くなる問題があった。また超音波分散装置は実験室スケールないし小規模での工業生産スケールで用いられる場面があるが、高度の生産性を訴求した生産システムにおいては生産量、コスト、及び粒子径分布の制御などに課題が残っている。
【0091】
この点に関して、特許第2630501号明細書には、前記のような乳化手段を用いることにより生ずる粒径分布の問題を解決する乳化方法として、いわゆるシリンドリカルミルを用いる乳化方法が開示されている。この乳化方法は、固定した外側円筒の中で内側円筒を回転させて、内側円筒と外側円筒との間隙に分散媒と分散液との混合液を通して乳濁液を得る乳化方法であり、混合液を外側円筒の一端部の側面より円周に沿って接線方向から供給し、混合液が内外円筒間の間隙を回転しつつ移動する間、内側円筒の長さにわたって均一な剪断力を働かせるようにして充分に乳化させる方法である。この乳化方法によると、極めて狭い粒径分布を有する乳化液が得られるが、この方法で得られる液滴粒径の大きさは、内側円筒と外側円筒との間隙の大きさに依存するので、ある限度以下の粒径の乳化粒子を得にくく、この方法で得られる液滴の粒径は、通常10μm程度が限度で、数μm以下の粒径の液滴を得ることはでき難いのが現状である。
【0092】
これに対して、いわゆるマイクロリアクターと称される装置が、ファインケミカル分野、バイオケミカル分野等で用いられるようになり、最近大きな発展を遂げている(W.Ehrfeld, V.Hessel, H.Lowe, "Microreactor", 1Ed.(2000), WILEY-VCHを参照)。
マイクロリアクターは、マイクロスケールの複数の流路(チャンネル)を有する反応装置を一般に総称するものであり、たとえば二種類の液体が異なる流路を通る間に、極めて薄い液膜として互いに接触するもので、その間に層の界面を通して物質移動が行われ、反応が生ずる。
マイクロリアクターは、化学反応だけでなく、2種以上の液体を混合したり又は分離を行うことにも利用される。特に、混合のために用いるマイクロリアクターはマイクロミキサーと称され、混合すべき互いに異なる液体の液膜を積層構造に作り、これを狭い通路を通すことにより相互に混合するものであり、例えば、液体として油相液と水相液を用いることにより乳化分散液の調製が実現される。WO00/62913号公報には、このようなマイクロリアクターを用いて分散を行わせる分散機(マイクロミキサー)が提案されている。この分散機は、液体Aおよび液体Bの液流をそれぞれ、マイクロスケールの流路(チャンネル)に別々に通すことによって、空間的に分割された液層(液膜)に分割し、次いで分割した液流を結合し狭い通路を通すことにより液体Aまたは液体Bを細かい液滴に分散させ、その際、機械的なオシレーターを用いて液滴化を促進する方法である。
【0093】
このようなマイクロチャンネルを有するマイクロリアクター又はマイクロミキサーを用いた乳化分散によりカプセル壁を作製する技術については特開2002−282678及び特開2002−282679に詳述されており、本実施形態ではこれを利用することがよい。
【0094】
(表示用粒子分散液の用途)
本実施形態に係る表示用粒子分散液は、表示方式の表示媒体、表示方式の調光媒体(調光素子)等に利用される。なお、表示方式の表示媒体、表示方式の調光媒体(調光素子)としては、公知である電極(基板)面の対向方向に粒子群を移動させる方式、それとは異なり電極(基板)面に沿った方向に移動させる方式(いわゆるインプレーン型素子)、又はこれらを組み合わせたハイブリッド素子がある。
【0095】
[表示装置(表示媒体)]
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る表示装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る表示装置を示す概略構成図である。
なお、本実施形態に係る表示装置10は、その表示媒体12の着色粒子群34と白色粒子群36と分散媒50とを含む表示用粒子分散液として、上記本実施形態に係る表示用粒子分散液を適用する形態である。つまり、着色粒子群34として着色粒子の群を適用し、白色粒子群36として白色粒子の群を適用した形態である
【0096】
本実施形態に係る表示装置10は、
図1に示すように、例えば、表示媒体12と、電圧印加部16(電界発生手段の一例)と、制御部18と、を含んで構成されている。
【0097】
(表示媒体)
表示媒体12は、
図1に示すように、例えば、表示面とされる表示基板20と、表示基板20に間隙をもって対向する背面基板22と、これらの基板間を所定間隔に保持すると共に、表示基板20と背面基板22との間を複数のセルに区画する間隙部材24と、を含んで構成されている。
ここで、上記セルとは、表示基板20と、背面基板22と、間隙部材24と、によって囲まれた領域を示している。このセル中には、着色粒子群34と、白色粒子群36と、それら粒子群を分散する分散媒50と、が封入されている。着色粒子群34及び白色粒子群36はこの分散媒50中に分散され、着色粒子群34はセル内に形成された電界強度に応じて表示基板20と背面基板22との間を移動する。
【0098】
なお、この表示媒体12に画像を表示したときの各画素に対応するように間隙部材24を設け、各画素に対応するようにセルを形成することで、表示媒体12を、画素毎の色表示が可能となるように構成してもよい。
そして、表示媒体12の分散媒50中には、互いに色が異なる複数種類の着色粒子群34が分散されている。複数種類の着色粒子群34は、基板間を電気泳動する粒子であり、電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が各色の粒子群でそれぞれ異なる。
【0099】
−表示基板・背面基板−
表示基板20は、支持基板38上に、例えば、表面電極40及び表面層42を順に積層した構成となっている。背面基板22は、例えば、支持基板44上に、背面電極46及び表面層48を順に積層した構成となっている。
【0100】
支持基板38及び支持基板44の材料としては、例えば、ガラスや、プラスチック、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等が挙げられる。
【0101】
表面電極40及び背面電極46の材料としては、例えば、インジウム、スズ、カドミウム、アンチモン等の酸化物、ITO等の複合酸化物、金、銀、銅、ニッケル等の金属、ポリピロールやポリチオフェン等の有機材料等が挙げられる。表面電極40及び背面電極46は、これらの単層膜、混合膜又は複合膜のいずれであってもよく、例えば、蒸着法、スパッタリング法、塗布法等で形成される。
【0102】
表面電極40及び背面電極46の膜厚は、所望の導電率が得られるように調整されるが、一般には、例えば、10nm以上1μm以下である。
背面電極46及び表面電極40は、従来の液晶表示素子又はプリント基板のエッチング等従来公知の手段により、所望のパターン、例えば、マトリックス状、又はパッシブマトリックス駆動を可能とするストライプ状に形成される。
【0103】
表面電極40は、例えば、支持基板38に埋め込まれていてもよい。同様に、背面電極46も、例えば、支持基板44に埋め込まれていてもよい。背面電極46及び表面電極40各々を表示基板20及び背面基板22と分離させ、表示媒体12の外部に配置してもよい。
【0104】
なお、上記では、表示基板20と背面基板22の双方に電極(表面電極40及び背面電極46)を備える場合を説明したが、何れか一方にのみ設けるようにしてもよい。
また、アクティブマトリックス駆動を可能にするために、支持基板38及び支持基板44は、例えば、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)、TFD(薄膜ダイオード)、MIM(Metal−Insulator−Metal)素子、バリスタなどの能動素子を備えていてもよい。配線の積層化及び部品実装が容易であることから、能動素子は表示基板20ではなく背面基板22に形成することが望ましい。
【0105】
表面電極40及び背面電極46が、各々支持基板38及び支持基板44上に形成されている場合、表面電極40及び背面電極46の破損や、着色粒子群34の各粒子の固着を招く電極間のリークの発生を抑制するため、必要に応じて表面電極40及び背面電極46各々上に誘電体膜としての表面層42及び表面層48を形成することが望ましい。
なお、本実施形態では、表示基板20と背面基板22の対向面の双方に表面層(表面層42及び表面層48各々)が設けられている場合を説明するが、表示基板20と背面基板22の対向面の何れか一方にのみ設けられた構成であってもよい。また、これらが異なる材質であってもよい。
【0106】
表面層42及び表面層48の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、共重合ナイロン、エポキシ樹脂、紫外線硬化アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0107】
表面層42及び表面層48の材料としては、分散媒50がシリコーンオイルである場合、粒子の固着防止の観点から、例えば、シリコーン鎖を有する高分子化合物が好適に挙げられる。
シリコーン鎖を持つ高分子化合物としては、例えば、下記構成単位(A)と下記構成単位(B)とを含む共重合体が挙げられる。
【0109】
構成単位(A)及び(B)中、Xは、シリコーン鎖を含む基を表す。
Ra
1は、水素原子、又はメチル基を表す。
Ra
2は、水素原子、メチル基、又はハロゲン原子(例えば塩素原子)を表す。
Rb
2は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シアノ基、芳香族基、複素環基、又は−C(=O)−O−Rc
2(但し、Rc
2は、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキル基(−(C
xH
2x−O)
n−H[x,n=1以上の整数])、アミノ基、モノアルキルアミノ基、又はジアルキルアミノ基を表す。)
n1、及びn2は、共重合体全体に対するそれぞれの構成単位のモル%を示し、0<n1<50、0<n2<80を表す。nは、1以上3以下の自然数を表す。
【0110】
構成単位(A)中、Xが表すシリコーン鎖を含む基は、例えば、直鎖状、又は分枝状のシリコーン鎖(Si−O結合が2つ以上連なったシロキサン鎖)を含む基であり、好適には、ジメチルシロキサン構造(−Si(CH
3)
2−O−)が2以上連なった、置換基で一部(−CH
3の一部)が置換されていてもよいジメチルシロキサン鎖を含む基である。 Xが表すシリコーン鎖を含む基として具体的には、例えば、下記構造式(X1)、又は(X2)で示される基が挙げられる。
【0112】
構造式(X1)及び(X2)中、R
1は、水酸基、水素原子、又は炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。nは、1以上10以下の整数を表す。
【0113】
シリコーン鎖を持つ高分子化合物において、構造単位(A)を構成する単量体として具体的には、例えば、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーンモノマー(例えば、チッソ社製:サイラプレーン:FM−0711,FM−0721,FM−0725等、信越化学工業社製:X−22−174DX,X−22−2426,X−22−2475等)等が挙げられる。これらの中でも、サイラプレーン:FM−0711、FM−0721、FM−0725等が望ましい。
【0114】
構成単位(B)を構成する単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド、スチレン、ビニルカルバゾール、スチレン、スチレン誘導体、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、ブタジエン、ビニルピロリドン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、これらの表記において、「(メタ)アクリレート」等の記述は、「アクリレート」および「メタクリレート」等のいずれをも含む表現である。
【0115】
シリコーン鎖を持つ高分子化合物は、構造単位(A)及び(B)以外に架橋単位を含んでもよい。架橋単位としては、例えば、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基などを含む単量体が挙げられる。
【0116】
シリコーン鎖を持つ高分子化合物の重量平均分子量としては、100以上100万以下が望ましく、より望ましくは400以上100万以下である。なお、重量平均分子量は静的光散乱法又はサイズ排除カラムクロマトグラフィーにより測定され、本明細書に記載の数値は当該方法によって測定されたものである。
【0117】
シリコーン鎖を持つ高分子化合物で構成される表面層(表面層42、表面層48及び表面層25)の厚みは、例えば、0.001μm以上10μm以下がよく、望ましくは0.01μm以上1μm以下である。
【0118】
表面層42及び表面層48の材料としては、上記した絶縁材料の他に、絶縁性材料中に電荷輸送物質を含有させたものも使用され得る。電荷輸送物質を含有させることにより、粒子への電荷注入による粒子帯電性の向上や、粒子の帯電量が極度に大きくなった場合に粒子の電荷を漏洩させ、粒子の帯電量を安定させるなどの効果が得られる。
電荷輸送物質としては、例えば、正孔輸送物質であるヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、アリールアミン化合物等や、電子輸送物質であるフルオレノン化合物、ジフェノキノン誘導体、ピラン化合物、酸化亜鉛等や、ポリビニルカルバゾールなどの電荷輸送性を有する樹脂が挙げられる。
【0119】
−間隙部材−
間隙部材24は、表示基板20と背面基板22との間隙を保持するための部材であり、表示基板20の透明性を損なわないように形成され、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、光硬化樹脂、ゴム、金属等で形成される。
間隙部材24には、セル状のものと、粒子状のものがある。セル状のものとしては、例えば、網や、エッチングやレーザー加工等によりマトリックス状に穴を開けたシートが挙げられる。
間隙部材24は表示基板20及び背面基板22の何れか一方と一体化されてもよく、支持基板38又は支持基板44をエッチング処理、レーザー加工したり、予め作製した型を使用し、プレス加工、印刷等によって、任意のサイズのセルパターンを有する支持基板38又は支持基板44、及び間隙部材24が作製される。この場合、間隙部材24は、表示基板20側、背面基板22側のいずれか、又は双方に作製し得る。間隙部材24は有色でもよいが、表示媒体12に表示される表示画像に悪影響を及ぼさないように無色透明であることが望ましい。
【0120】
(電圧印加部)
電圧印加部16は、例えば、表面電極40及び背面電極46に電気的に接続されている。なお、本実施の形態では、表面電極40及び背面電極46の双方が、電圧印加部16に電気的に接続されている場合を説明するが、表面電極40及び背面電極46の一方が接地されており、他方が電圧印加部16に接続されていてもよい。
電圧印加部16は、例えば、表面電極40及び背面電極46に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部18の制御に応じた電圧を表面電極40及び背面電極46間に印加する。
【0121】
(制御部)
制御部18は、例えば、電圧印加部16に信号の授受をするように接続されている。
制御部18は、図示しないが、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)と、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、装置全体を制御する制御プログラムや処理ルーチンによって示されるプログラムを含む各種プログラムが予め記憶されたROM(Read Only Memory)と、を含むマイクロコンピュータとして構成されている。
【0122】
(駆動方法)
本実施形態に係る表示装置10では、表示媒体12において、表示基板20と背面基板22との間に印加する印加電圧(V)を変えることによって、異なる色を表示する。
表示媒体12では、表示基板20と背面基板22との間に形成された電界に応じて移動することによって、表示媒体12の各画素に対応するセル毎に、画像データの各画素に応じた色を表示する。
【0123】
ここで、表示媒体12において、
図2に示すように、着色粒子群34は、各色毎に、着色粒子群34が基板間を電気泳動する際の電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値がそれぞれ異なる。そして、各色の着色粒子群34は、各色毎に各色の着色粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲を有し、当該電圧範囲がそれぞれ異なる。言い換えれば、当該電圧の絶対値は、当該電圧範囲を有し、着色粒子群34の各色毎に当該電圧範囲がそれぞれ異なる。
【0124】
以下、本実施形態に係る表示装置10(表示媒体12)の各態様の駆動方法について説明する。なお、以下の説明において、印加電圧の極性は、背面基板22の背面電極46に印加する電圧極性を示している。
【0125】
−第1態様の駆動方法−
第1態様の駆動方法は、表示媒体12の同一セル内に封入されている着色粒子群34として、
図1に示すように、シアン色のシアン粒子群34C、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34M、及びイエロー色のイエロー粒子群34Yの3色の着色粒子群34が封入されている態様の駆動方法である。
但し、シアン粒子群34C、マゼンタ粒子群34M、及びイエロー粒子群34Yは、全て正帯電の粒子である。
【0126】
ここで、第1態様の駆動方法では、シアン色のシアン粒子群34C、イエロー色のイエロー粒子群34Y、及びマゼンタ色のマゼンタ粒子群34Mの3色の粒子群各々が移動を開始するときの電圧(移動開始電圧)の絶対値として、シアン色のシアン粒子群34Cが|Vtc|、イエロー色のイエロー粒子群34Yが|Vty|、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34Mが|Vtm|であるとして説明する。
また、各色の着色粒子群34のシアン色のシアン粒子群34C、イエロー色のイエロー粒子群34Y、及びマゼンタ色のマゼンタ粒子群34Mの3色の粒子群各々をほぼ全て移動させるための最大電圧の絶対値として、シアン色のシアン粒子群34Cが|Vdc|、イエロー色のイエロー粒子群34Yが|Vdy|、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34Mが|Vdm|であるとして説明する。
【0127】
また、Vty、−Vty、Vdy、−Vdy、Vtc、−Vtc、Vdc、−Vdc、Vtm、−Vtm、Vdm、及び−Vdmの絶対値は、|Vty|<|Vdy|<|Vtc|<|Vdc|<|Vtm|<|Vdm|の関係であるとして説明する。
具体的には、
図2に示すように、例えば、着色粒子群34はすべて同極性に帯電され、イエロー粒子群34Yを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vty≦Vy≦Vdy|(VtyからVdyの間の値の絶対値)、シアン粒子群34Cを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtc≦Vc≦Vdc|(VtcからVdcの間の値の絶対値)、及びマゼンタ粒子群34Mを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtm≦Vm≦Vdm|(VtmからVdmの間の値の絶対値)が、この順で重複することなく、大きくなるように設定されている。
【0128】
また、各色の着色粒子群34を独立駆動するために、イエロー粒子群34Yをほぼ全て移動させるための最大電圧の絶対値|Vdy|が、シアン粒子群34Cを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtc≦Vc≦Vdc|(VtcからVdcの間の値の絶対値)、及びマゼンタ粒子群34Mを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtm≦Vm≦Vdm|(VtmからVdmの間の値の絶対値)よりも小さく設定されている。
また、シアン粒子群34Cをほぼ全て移動させるための最大電圧の絶対値|Vdc|が、マゼンタ粒子群34Mを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtm≦Vm≦Vdm|(VtmからVdmの間の値の絶対値)よりも小さく設定されている。
【0129】
即ち、第1態様の駆動方法では、各色の着色粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲が重ならないように設定することによって、各色の着色粒子群34が独立駆動されるようにしている。
なお、「着色粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲」とは、粒子が移動開始するために必要な電圧と移動開始からさらに電圧及び電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和するまでの電圧範囲を示す。
また、「着色粒子群34をほぼ全て移動させるために必要な最大電圧」とは上記の移動開始からさらに電圧及び電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和する電圧を示す。
【0130】
また、「ほぼ全て」とは、各色の着色粒子群34の特性ばらつきがあるため、一部の着色粒子群34の特性が表示特性に寄与しない程度異なるものがあることを表す。すなわち上述した移動開始からさらに電圧及び電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和した状態である。
【0131】
また、「表示濃度」は、表示面側における色濃度を光学濃度(Optical Density=0D)の反射濃度計X−rite社の反射濃度計で測定しながら、表示面側と背面側との間に電圧を印加して且つこの電圧を測定濃度が増加する方向に徐々に変化(印加電圧を増加又は減少)させて、単位電圧あたりの濃度変化が飽和し、且つその状態で電圧及び電圧印加時間を増加させても濃度変化が生じず、濃度が飽和したときの濃度を示している。
【0132】
そして、第1態様の駆動方法では、表面基板20と背面基板22との基板間に0Vから電圧を印加して除々に印加電圧の電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vtyを超えると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに、電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vdyとなると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0133】
さらに、電圧値を上昇させて、表面基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が+Vtcを超えると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値を上昇させて、表面基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が+Vdcとなると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0134】
さらに、電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vtmを超えると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vdmとなると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0135】
反対に、表面基板20と背面基板22との基板間に0Vからマイナス極の電圧を印加して除々に電圧の絶対値を上昇させ、基板間に印加された電圧−Vtyの絶対値を超えると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの基板間の移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに、電圧値の絶対値を上昇させ、表面基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が−Vdy以上となると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0136】
さらに、電圧値の絶対値を上昇させてマイナス極の電圧を印加し、表面基板20と背面基板22との基板間に印加される電圧が−Vtcの絶対値を超えると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値の絶対値を上昇させて、表面基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が−Vdcとなると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0137】
さらに、電圧値の絶対値を上昇させてマイナス極の電圧を印加し、表面基板20と背面基板22との基板間に印加される電圧が−Vtmの絶対値を超えると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに電圧値の絶対値を上昇させて、基板間に印加された電圧が−Vdmとなると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0138】
すなわち、第1形態の駆動方法では、
図2に示すように、基板間に印加される電圧が−VtyからVtyの範囲内(電圧範囲|Vty|以下)となるような電圧が表面基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度の着色粒子群34(イエロー粒子群34Y、シアン粒子群34C、及びマゼンタ粒子群34M)の粒子の移動は生じていないといえる。
そして、基板間に、電圧+Vty及び電圧−Vtyの絶対値以上の電圧が印加されると、3色の着色粒子群34の内のイエロー粒子群34Yについて表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度の粒子の移動が生じはじめて表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdy及び電圧Vdyの絶対値|Vdy|以上の電圧が印加されると、単位電圧あたりの表示濃度に変化は生じなくなる。
【0139】
さらに、基板間に印加される電圧が−VtcからVtcの範囲内(電圧範囲|Vtc|以下)となるような電圧が表面基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度のシアン粒子群34C及びマゼンタ粒子群34Mの粒子の移動は生じていないといえる。
そして、基板間に、電圧+Vtc及び電圧−Vtcの絶対値以上の電圧が印加されると、シアン粒子群34C及びマゼンタ粒子群34Mの内のシアン粒子群34Cについて、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度の粒子の移動が生じはじめて単位電圧あたりの表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdc及び電圧Vdcの絶対値|Vdc|以上の電圧が印加されると、表示濃度に変化は生じなくなる。
【0140】
さらに、基板間に印加する電圧が−VtmからVtmの範囲内(電圧範囲|Vtm|以下)となるような電圧が表面基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度のマゼンタ粒子群34Mの粒子の移動は生じていないといえる。
そして、基板間に、電圧+Vtm及び電圧−Vtmの絶対値以上の電圧が印加されると、マゼンタ粒子群34Mについて、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度の粒子の移動が生じ始めて表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdm及び電圧Vdmの絶対値|Vdm|以上の電圧が印加されると、表示濃度に変化は生じなくなる。
【0141】
次に、具体的に、
図3を参照して、第1態様の駆動方法について説明する。
【0142】
はじめに、表示基板20と背面基板22との間に電圧−Vdmを印加する。これにより、シアン粒子群34C、イエロー粒子群34Y、及びマゼンタ粒子群34Mの全てが背面基板22側に位置され、白色(W)表示とする(
図3(A)参照)。
【0143】
次に、もっとも移動開始電圧が高いマゼンタ粒子群34Mを移動させるか、そのままの状態とするかを選択する。電圧+Vdmを印加した場合は、シアン粒子群34C、イエロー粒子群34Y、及びマゼンタ粒子群34Mの全てが表示基板20側に移動して黒(K)表示となる(
図3(B)参照)。一方、電圧+Vtmを印加した場合は、シアン粒子群34C、イエロー粒子群34Yは表示基板20側に移動するが、マゼンタ粒子群34Mはそのままの状態となり緑色(G)表示となる(
図3(C)参照)。
なお、電圧が+Vtmを超え、+Vdm未満の場合には、マゼンタ粒子群34Mの一部が移動するので、中間調が得られる。
【0144】
次に、2番目に移動開始電圧が高いシアン粒子群34Cを移動させるか、そのままの状態とするかを選択する。
まず、電圧−Vdcを印加した場合は、シアン粒子群34Cは背面基板22側へ移動する。一方、電圧−Vtcを印加した場合は、シアン粒子群34Cは表示基板20側に残る。また、移動開始電圧がシアン粒子群34Cより低いイエロー粒子群34Yは、いずれの場合も背面基板22側へ移動する。一方、移動開始電圧がシアン粒子群34Cより高いマゼンタ粒子群34Mは、いずれの場合もそれ以前の状態を維持する。
なお、電圧が−Vtcを超え、−Vdc未満の場合には、シアン粒子群34Cの一部が移動するので、中間調が得られる。
【0145】
したがって、
図3(B)の状態で電圧−Vdcを印加した場合は、マゼンタ粒子群34Mは表示基板20側に残ったままで、シアン粒子群34Cとイエロー粒子群34Yは背面基板22側へ移動して、結果としてマゼンタ色(M)表示となる(
図3(D)参照)。
図3(B)の状態で電圧−Vtcを印加した場合は、マゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cは表示基板20側に残ったままで、イエロー粒子群34Yは背面基板22側へ移動して、結果として青色(B)表示となる(
図3(E)参照)。
【0146】
一方、
図3(C)の状態で電圧−Vdcを印加した場合は、マゼンタ粒子群34Mは背面基板22側に残ったままで、シアン粒子群34Cとイエロー粒子群34Yは背面基板22側へ移動して、結果として白色(W)表示となる(
図3(F)参照)。
図3(C)の状態で電圧−Vtcを印加した場合は、マゼンタ粒子群34Mは背面基板22側に残ったまま、シアン粒子群34Cは表示基板20側に残ったままで、イエロー粒子群34Yは背面基板22側へ移動して、結果としてシアン色(C)表示となる(
図3(G)参照)。
【0147】
最後に、移動開始電圧がもっとも低いイエロー粒子群34Yを移動させるか、そのままの状態とするかを選択する。電圧+Vdyを印加した場合は、イエロー粒子群34Yは表示基板20側へ移動し、一方、電圧Vtyを印加した場合は、イエロー粒子群34Yは背面基板22側に残る。移動開始電圧がイエロー粒子群34Yよりも高いシアン粒子群34Cとマゼンタ粒子群34Mは、いずれの場合もそれ以前の状態を維持する。それゆえ、電圧Vtyを印加した場合は、それ以前の表示色を維持する。
なお、電圧が+Vtyを超え、+Vdy未満の場合には、イエロー粒子群34Yの一部が移動するので、中間調が得られる。
【0148】
したがって、
図3(D)の状態で電圧Vdyを印加した場合は、イエロー粒子群34Yは表示基板20側へ移動し、マゼンタ粒子群34Mは表示基板20側に、シアン粒子群34Cは背面基板22側に残ったままで、結果として赤色(R)表示となる(
図3(H)参照)。
図3(E)の状態で電圧Vdyを印加した場合は、イエロー粒子群34Yは表示基板20側へ移動し、マゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cは表示基板20側に残ったままで、結果として黒色(K)表示となる(
図3(I)参照)。
図3(F)の状態で電圧Vdyを印加した場合は、イエロー粒子群34Yは表示基板20側へ移動し、マゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cは背面基板22側に残ったままで、結果としてイエロー色(Y)表示となる(
図3(J)参照)。
図3(G)の状態で電圧Vdyを印加した場合は、イエロー粒子群34Yは表示基板20側へ移動し、マゼンタ粒子群34Mは背面基板22側に、シアン粒子群34Cは表示基板20側に残ったままで、結果として緑色(G)表示となる(
図3(K)参照)。
【0149】
このように、第1態様の駆動方法では、移動開始電圧が高い各着色粒子群34から順に、その粒子群に応じた電圧を基板間に印加することで、各粒子を選択的に移動させて、目的とするカラー表示が実現される。
【0150】
−第2態様の駆動方法−
第2態様の駆動方法は、表示媒体12の同一セル内に封入されている着色粒子群34として、
図1に示すように、シアン色のシアン粒子群34C、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34M、及びイエロー色のイエロー粒子群34Yの3色の着色粒子群34が封入されている態様の駆動方法である。
但し、マゼンタ粒子群34M及びイエロー粒子群34Yは正帯電の粒子であり、移動開始電圧(閾値電圧)の絶対値がマゼンタ粒子群34Mよりも低く且つイエロー粒子群34Yよりも高い中間値を持つシアン粒子群34Cは負帯電の粒子である。
つまり、
図4に示すように、シアン粒子群34Cは、表面基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が+Vtcを超えると背面基板22側に移動し、電圧が−Vtcを超えると表示基板20側に移動する駆動特性を有している。
【0151】
なお、これら以外の各着色粒子群34の駆動特性、及びその他事項は、第1態様の駆動方法と同様であるため、説明を省略する。
【0152】
次に、具体的に、
図5を参照して、第2態様の駆動方法について説明する。
【0153】
はじめに、表示基板20と背面基板22との間に目的とする電圧の印加を繰り返し、シアン粒子群34C、イエロー粒子群34Y、及びマゼンタ粒子群34Mの全てが背面基板22側に位置させた状態とし、白色(W)表示とする(
図5(A)参照)。
【0154】
次に、もっとも移動開始電圧が高いマゼンタ粒子群34Mを移動させるか、そのままの状態とするかを選択する。電圧+Vdmを印加した場合は、イエロー粒子群34Y及びマゼンタ粒子群34Mは表示基板20側に移動するが、シアン粒子群34Cはそのままの状態となり、赤色(R)表示となる(
図5(B)参照)。一方、電圧+Vtmを印加した場合は、イエロー粒子群34Yは表示基板20側に移動するが、シアン粒子群34Cとマゼンタ粒子群34Mはそのままの状態となりイエロー色(Y)表示となる(
図5(C)参照)。
なお、電圧が+Vtmを超え、+Vdm未満の場合には、マゼンタ粒子群34Mの一部が移動するので、中間調が得られる。
【0155】
次に、2番目に移動開始電圧が高い負帯電のシアン粒子群34Cを移動させるか、そのままの状態とするかを選択する。
まず、電圧−Vdcを印加した場合は、シアン粒子群34Cは表示基板20側へ移動する。一方、電圧−Vtcを印加した場合は、シアン粒子群34Cは背面基板22側に残る。また、移動開始電圧がシアン粒子群34Cより低いイエロー粒子群34Yは、いずれの場合も背面基板22側へ移動する。一方、移動開始電圧がシアン粒子群34Cより高いマゼンタ粒子群34Mは、いずれの場合もそれ以前の状態を維持する。
なお、電圧が−Vtcを超え、−Vdc未満の場合には、シアン粒子群34Cの一部が移動するので、中間調が得られる。
【0156】
したがって、
図5(B)の状態で電圧−Vdcを印加した場合は、マゼンタ粒子群34Mは表示基板20側に残ったままで、シアン粒子群34Cは表面基板20側へ移動し、イエロー粒子群34Yが背面基板22側へ移動して、結果として青色(B)表示となる(
図5(D)参照)。
図5(B)の状態で電圧−Vtcを印加した場合は、マゼンタ粒子群34Mは表示基板20側に残ったままで、シアン粒子群34Cは背面基板22側に残ったままで、イエロー粒子群34Yが背面基板22側へ移動して、結果としてマゼンタ色(M)表示となる(
図5(E)参照)。
【0157】
一方、
図5(C)の状態で電圧−Vdcを印加した場合は、マゼンタ粒子群34Mは背面基板22側に残ったままで、シアン粒子群34Cは表面基板20側へ移動して、イエロー粒子群34Yは背面基板22側へ移動して、結果としてシアン色(C)表示となる(
図5(F)参照)。
図5(C)の状態で電圧−Vtcを印加した場合は、マゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cは背面基板22側に残ったままで、イエロー粒子群34Yが背面基板22側へ移動して、結果として白色(W)表示となる(
図5(G)参照)。
【0158】
最後に、移動開始電圧がもっとも低いイエロー粒子群34Yを移動させるか、そのままの状態とするかを選択する。電圧+Vdyを印加した場合は、イエロー粒子群34Yは表示基板20側へ移動し、一方、電圧Vtyを印加した場合は、イエロー粒子群34Yは背面基板22側に残る。移動開始電圧がイエロー粒子群34Yよりも高いシアン粒子群34Cとマゼンタ粒子群34Mは、いずれの場合もそれ以前の状態を維持する。それゆえ、電圧Vtyを印加した場合は、それ以前の表示色を維持する。
なお、電圧が+Vtyを超え、+Vdy未満の場合には、イエロー粒子群34Yの一部が移動するので、中間調が得られる。
【0159】
したがって、
図5(D)の状態で電圧Vdyを印加した場合は、イエロー粒子群34Yは表示基板20側へ移動し、マゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cは表示基板20側に残ったままで、結果として黒色(K)表示となる(
図5(H)参照)。
図5(E)の状態で電圧Vdyを印加した場合は、イエロー粒子群34Yは表示基板20側へ移動し、マゼンタ粒子群34Mは表示基板20側に残ったままで、シアン粒子群34Cは背面基板22側に残ったままで、結果として赤色(R)表示となる(
図5(I)参照)。
図5(F)の状態で電圧Vdyを印加した場合は、イエロー粒子群34Yは表示基板20側へ移動し、マゼンタ粒子群34Mは背面基板22側に残ったままで、シアン粒子群34Cは表示基板20側に残ったままで、結果として緑色(G)表示となる(
図5(J)参照)。
図5(G)の状態で電圧Vdyを印加した場合は、イエロー粒子群34Yは表示基板20側へ移動し、マゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cは背面基板22側に残ったままで、結果としてイエロー色(Y)表示となる(
図5(K)参照)。
【0160】
このように、第2態様の駆動方法では、移動開始電圧が高い各着色粒子群34から順に、その粒子群に応じた電圧を基板間に印加することで、各粒子を選択的に移動させて、目的とするカラー表示が実現される。
【0161】
−第3態様の駆動方法−
第3態様の駆動方法は、表示媒体12の同一セル内に封入されている着色粒子群34として、
図7(A)に示すように、シアン色のシアン粒子群34C、赤色の赤色粒子群34Rの2色の着色粒子群34が封入されている態様の駆動方法である。
但し、シアン粒子群34C、及び赤色の赤色粒子群34Rは、全て正帯電の粒子である。
【0162】
ここで、第3態様の駆動方法では、シアン粒子群34C、及び赤色の赤色粒子群34Rの2色の粒子群各々が移動を開始するときの電圧(移動開始電圧)の絶対値として、シアン色のシアン粒子群34Cが|Vtc|、赤色の赤色粒子群34Rが|Vtr|であるとして説明する。
また、各色の着色粒子群34のシアン色のシアン粒子群34C、赤色の赤色粒子群34Rの2色の粒子群各々をほぼ全て移動させるための最大電圧の絶対値として、シアン色のシアン粒子群34Cが|Vdc|、赤色の赤色粒子群34Rが|Vdr|であるとして説明する。
【0163】
また、Vtr、−Vtr、Vdr、−Vdr、Vtc、−Vtc、Vdc、及び−Vdcの絶対値は、|Vtr|<|Vdr|<|Vtc|<|Vdc|の関係であるとして説明する。
具体的には、
図6に示すように、例えば、着色粒子群34はすべて同極性に帯電され、赤色粒子群34Rを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtr≦Vr≦Vdr|(VtrからVdrの間の値の絶対値)、及びシアン粒子群34Cを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtc≦Vc≦Vdc|(VtcからVdcの間の値の絶対値)が、この順で重複することなく、大きくなるように設定されている。
【0164】
また、各色の着色粒子群34を独立駆動するために、赤色粒子群34Rをほぼ全て移動させるための最大電圧の絶対値|Vdr|が、シアン粒子群34Cを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtc≦Vc≦Vdc|(VtcからVdcの間の値の絶対値)よりも小さく設定されている。
【0165】
即ち、第3態様の駆動方法でも、各色の着色粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲が重ならないように設定することによって、各色の着色粒子群34が独立駆動されるようにしている。
【0166】
そして、第3態様の駆動方法では、表面基板20と背面基板22との基板間に0Vから電圧を印加して除々に印加電圧の電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vtrを超えると、表示媒体12において赤色粒子群34Rの移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに、電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vdrとなると、表示媒体12において赤色粒子群34Rの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0167】
さらに、電圧値を上昇させて、表面基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が+Vtcを超えると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値を上昇させて、表面基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が+Vdcとなると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0168】
反対に、表面基板20と背面基板22との基板間に0Vからマイナス極の電圧を印加して除々に電圧の絶対値を上昇させ、基板間に印加された電圧−Vtrの絶対値を超えると、表示媒体12において赤色粒子群34Rの基板間の移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに、電圧値の絶対値を上昇させ、表面基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が−Vdr以上となると、表示媒体12において赤色粒子群34Rの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0169】
さらに、電圧値の絶対値を上昇させてマイナス極の電圧を印加し、表面基板20と背面基板22との基板間に印加される電圧が−Vtcの絶対値を超えると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値の絶対値を上昇させて、表面基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が−Vdcとなると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0170】
すなわち、第3形態の駆動方法では、
図6に示すように、基板間に印加される電圧が−VtrからVtrの範囲内(電圧範囲|Vtr|以下)となるような電圧が表面基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度の着色粒子群34(赤色粒子群34R、及びシアン粒子群34C)の粒子の移動は生じていないといえる。
そして、基板間に、電圧+Vtr及び電圧−Vtrの絶対値以上の電圧が印加されると、2色の着色粒子群34の内の赤色粒子群34Rについて表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度の粒子の移動が生じはじめて表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdr及び電圧Vdrの絶対値|Vdr|以上の電圧が印加されると、単位電圧あたりの表示濃度に変化は生じなくなる。
【0171】
さらに、基板間に印加される電圧が−VtcからVtcの範囲内(電圧範囲|Vtc|以下)となるような電圧が表面基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度のシアン粒子群34Cの粒子の移動は生じていないといえる。
そして、基板間に、電圧+Vtc及び電圧−Vtcの絶対値以上の電圧が印加されると、シアン粒子群34Cについて、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程度の粒子の移動が生じはじめて単位電圧あたりの表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdc及び電圧Vdcの絶対値|Vdc|以上の電圧が印加されると、表示濃度に変化は生じなくなる。
【0172】
なお、これら以外の各着色粒子群34の駆動特性、及びその他事項は、第1態様の駆動方法と同様であるため、説明を省略する。
【0173】
次に、具体的に、
図7を参照して、第3態様の駆動方法について説明する。
【0174】
はじめに、表示基板20と背面基板22との間に電圧−Vdcを印加する。これにより、シアン粒子群34C、及び赤色粒子群34Rの全てが背面基板22側に位置され、白色(W)表示とする(
図7(A)参照)。
【0175】
次に、
図7(A)の状態で電圧+Vdcを印加した場合は、シアン粒子群34C、及び赤色粒子群34Rの全てが表示基板20側に移動して黒(K)表示となる(
図7(B)参照)。
図7(A)の状態で電圧+Vtcを印加した場合は、赤色粒子群34Rは表示基板20側に移動するが、シアン粒子群34Cはそのままの状態となり赤色(R)表示となる(
図7(C)参照)。
なお、電圧が+Vtcを超え、+Vdc未満の場合には、シアン粒子群34Cの一部が移動するので、中間調が得られる。
【0176】
次に、
図7(B)の状態で電圧−Vdcを印加した場合は、シアン粒子群34Cと赤色粒子群34Rは背面基板22側へ移動して、結果として白色(W)表示となる(
図7(D)参照)。
図7(B)の状態で電圧−Vdrを印加した場合は、シアン粒子群34Cは表示基板20側に残ったままで、赤色粒子群34Rは背面基板22側へ移動して、結果としてシアン色(C)表示となる(
図7(E)参照)。
一方、
図7(C)の状態で電圧−Vdrを印加した場合は、シアン粒子群34Cは背面基板22側に残ったままで、赤色粒子群34Rは背面基板22側へ移動して、結果として白色(W)表示となる(
図7(F)参照)。
なお、電圧が−Vtrを超え、−Vdr未満の場合には、赤色粒子群34Rの一部が移動するので、中間調が得られる。
【0177】
このように、第3態様の駆動方法では、移動開始電圧が高い各着色粒子群34から順に、その粒子群に応じた電圧を基板間に印加することで、各粒子を選択的に移動させて、目的とするカラー表示が実現される。
【0178】
−第4態様の駆動方法−
第4態様の駆動方法は、表示媒体12の同一セル内に封入されている着色粒子群34として、
図9(A)に示すように、シアン色のシアン粒子群34C、赤色の赤色粒子群34Rの2色の着色粒子群34が封入されている態様の駆動方法である。
但し、赤色粒子群34Rは正帯電の粒子であり、移動開始電圧(閾値電圧)の絶対値が高いシアン粒子群34Cは負帯電の粒子である。
つまり、
図8に示すように、シアン粒子群34Cは、表面基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が+Vtcを超えると背面基板22側に移動し、電圧が−Vtcを超えると表示基板20側に移動する駆動特性を有している。
【0179】
なお、これら以外の各着色粒子群34の駆動特性、及びその他事項は、第3態様の駆動方法と同様であるため、説明を省略する。
【0180】
次に、具体的に、
図9を参照して、第4態様の駆動方法について説明する。
【0181】
はじめに、表示基板20と背面基板22との間に目的とする電圧の印加を繰り返し、シアン粒子群34C、及び赤色粒子群34Rの全てが背面基板22側に位置させた状態とし、白色(W)表示とする(
図9(A)参照)。
【0182】
次に、
図9(A)の状態で電圧+Vdrを印加した場合は、赤色粒子群34Rは表示基板20側に移動するが、シアン粒子群34Cはそのままの状態となり、赤色(R)表示となる(
図9(B)参照)。
図9(A)の状態で電圧−Vdcを印加した場合は、シアン粒子群34Cは表示基板20側に移動するが、赤色粒子群34Rはそのままの状態となりシアン色(C)表示となる(
図9(C)参照)。
【0183】
次に、
図9(B)の状態で電圧−Vdcを印加した場合は、シアン粒子群34Cは表示基板20側に移動し、赤色粒子群34Rは背面基板22側へ移動して、結果としてシアン色(C)表示となる(
図9(D)参照)。
図9(B)の状態で電圧−Vdrを印加した場合は、シアン粒子群34Cは背面基板22側に残ったままで、赤色粒子群34Rが背面基板22側へ移動して、結果として白色(W)表示となる(
図9(E)参照)。
【0184】
一方、
図9(C)の状態で電圧+Vdcを印加した場合は、シアン粒子群34Cは背面基板22側に移動し、赤色粒子群34Rは表示基板20側へ移動して、結果として赤色(R)表示となる(
図9(F)参照)。
図9(C)の状態で電圧+Vdrを印加した場合は、シアン粒子群34Cは表面基板20側に残ったままで、赤色粒子群34Rは表面基板20側へ移動して、結果として黒色(K)表示となる(
図9(G)参照)。
なお、電圧が+Vtrを超え、−Vdr未満の場合には、赤色粒子群34Rの一部が移動するので、中間調が得られる。
【0185】
このように、第4態様の駆動方法では、移動開始電圧が高い各着色粒子群34から順に、その粒子群に応じた電圧を基板間に印加することで、各粒子を選択的に移動させて、目的とするカラー表示が実現される。
【0186】
[表示装置を備えた電子機器等]
本実施形態に係る表示装置は、例えば、画像の保存及び書換えが行える、電子機器、展示用媒体、カード媒体等(具体的には、例えば、電子掲示板、電子回覧版、電子黒板、電子広告、電子看板、点滅標識、電子ペーパー、電子新聞、電子書籍、複写機・プリンタと共用できる電子ドキュメントシート、ポータブルコンピューター、タブレットコンピューター、携帯電話、スマートカード、署名機器、時計、棚ラベル、フラッシュドライブ等)に備えられる。
【実施例】
【0187】
以下に本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
なお、本実施例における各測定方法は、以下の通りである。
【0188】
[実施例1:CRW混合系:CR同極]
(シアン粒子C1の作製)
1)コア粒子の作製−液中乾燥法−
水溶性樹脂としてスチレンアクリル系樹脂「X345(星光PMC社製)」6.48gと、メラミン樹脂「MX035(三和ケミカル社製)」0.72g(全樹脂の10質量%相当)と、シアン顔料「PB15:3」を26重量%含む水分散液「Emacol SF Blue H524F (三洋色素社製)」18.8gと、蒸留水24.1gと、を60℃に加温しながら混合し、インク固形分濃度が15%、乾燥後の顔料濃度が50%となるように分散相を調製した。
次に、界面活性剤「KF−6028(信越化学工業社製)」3.5gをシリコーンオイル「KF−96−2cs(信越化学工業社製)」に溶解して連続相350gを調整し、これに上記分散相50gを加えて内歯式卓上分散機ROBOMICS(特殊機化工業社製)を用いて、回転数8000rpm、温度30℃で10分間乳化を行った。
その結果、乳化液滴径が約2μmの乳化液を得た。これをロータリーエバポレーターにより真空度20mbar、水浴温度50℃で12時間乾燥を行った。
更に、このシリコーンオイル粒子分散液を遠心分離器による沈降工程と、超音波洗浄機による再分散工程を3回繰り返し、過剰な界面活性剤「KF−6028(信越化学工業社製)」を除き濃縮して、コア粒子6gを得た。遠心分離の条件は6000rpmで15分とした。得られたコア粒子をSEM観察して、画像解析した結果、平均粒径0.6μmで、C.V.値(単分散性を示す指標:Coefficient of Variation:CV[%]=(σ/D)×100(σ:標準偏差、D:平均粒径))30%であった。
【0189】
2)表面処理
シリコーンマクロモノマーである「サイラプレーンFM−0721(チッソ社製)」83gと、フェノキシ基を含むモノマーである「AMP−10G(○○社製)」2.3gと、ブロックイソシアネート基を含むモノマーである「カレンズMOI−BP(昭和電工社製)」4.4gと、をシリコーンオイル「KF−96− 2CS(信越化学工業社製)」210gに混合して溶解した。これに重合開始剤としてAIBN(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))0.9gを溶解し、窒素フロー下で60℃、6時間重合を行なって、表面処理用の樹脂を生成し、表面処理溶液を得た。
次に、上記コア粒子1gを200mLのナスフラスコに取り、シリコーンオイル「KF−96−2cs(信越化学工業社製)」を29g加え、25℃でコア粒子分散液に超音波を加えながら撹拌分散した。これに、上記表面処理溶液6gを投入した。表面処理溶液の投入速度は0.5mL/sで行った。
次に、これを撹拌しながらオイルバス中で加温した。まず、100℃で1時間加温し、続けて130℃で1.5時間の加熱を行い、ブロックイソシアネート基のブロック基を脱離させ、表面処理用の樹脂とコア粒子中のメラミン樹脂と反応を行った。
次に、冷却後、シリコーンオイル粒子分散液を遠心分離器による沈降工程と、超音波洗浄機による再分散工程を3回繰り返し、過剰な表面処理用の樹脂を除去した。最終的に得られた粒子は0.7gであった。
【0190】
以上の工程を経て、シアン粒子C1を得た。なお、得られたシアン粒子C1は、正帯電の粒子であった。
【0191】
(赤色粒子R1の作製)
−分散液A−1Aの調製−
下記成分を混合し、10mmΦのジルコニアボールにてボールミル粉砕を20時間実施して分散液A−1Aを調製した。
・メタクリル酸メチル 38.7g
・メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル 2.25g
・赤色顔料(Red3090:山陽色素社製) 4.05g
【0192】
−分散液A−1B(炭酸カルシウム分散液A−1B)の調製−
下記成分を混合し、上記と同様にボールミルにて微粉砕して炭酸カルシウム分散液A−1Bを調製した。
・炭酸カルシウム 40g
・水 60g
【0193】
−混合液A−1Cの調製−
下記成分を混合し、超音波機で脱気を10分間行い、次いで乳化機で攪拌して混合液A−1Cを調製した。
・炭酸カルシウム分散液A−1B 60g
・20%食塩水 4g
【0194】
−着色粒子の調製−
分散液A−1A:20g、ジメタクリル酸エチレングリコール:0.6g、重合開始剤V601(Dimethyl 2,2’−azobis(2−methylpropionate):和光純薬工業社製):0.2g、をはかりとり、充分混合し、超音波機で脱気を10分おこなった。これを前記混合液A−1Cに加え、乳化機で乳化を実施した。
次に、この乳化液をフラスコにいれ、シリコーン詮をし、注射針を使用し、減圧脱気を充分行い、窒素ガスで封入した。次に65℃で15時間反応させ粒子を調製した。
冷却後、粒子を濾過し、得られた粒子粉をイオン交換水中に分散させ、塩酸水で炭酸カルシウムを分解させ、ろ過を行った。
その後充分な蒸留水で洗浄し、目開き:15μm、10μmのナイロン篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粒子は、体積平均粒径13μmであった。
【0195】
−4級アンモニウム化処理−
得られた粒子を1cStシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF96−1cs)に分散させ、臭化ドデシル(4級化剤)を、粒子の調整に用いたメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルと等モル量加え、90℃で6時間加熱した。
冷却後、この分散液を多量のシリコーンオイルにて洗浄し、減圧乾燥させることにより赤色粒子R1を得た。
【0196】
(白色粒子Wの作製)
還流冷却管を取り付けた500ml三口フラスコに、2−ビニルナフタレン(新日鐵化学社製)45gと、シリコーンマクロモノマー「サイラプレーンFM−0721(チッソ社製)」45gと、シリコーンオイル「KF −96L−1CS(信越化学工業社製)」240gと、を加えた。65℃に昇温した後,窒素ガスによるバブリングを15分間行い,開始剤として過酸化ラウロイル(アルドリッチ社製)を2.3gを投入した。窒素雰囲気下にて65℃、24時間の重合を行った。
得られた粒子懸濁液を8,000rpmで10分間遠心分離し,上澄み液を除去した後尾,シリコーンオイル「KF−96−2CS(信越化学工業社製)」を用いて再分散させる洗浄工程を3回繰り返した。最後にシリコーンオイルにて粒子固形分濃度40質量%に調製して、白色粒子Wの分散液を得た。白色粒子Wの体積平均粒径は450nmであった。
【0197】
(CRW系表示用粒子分散液(1)の調製)
シアン粒子C1: 0.1gと、赤色粒子R1: 1.3gと、白色粒子W: 2.0gと、をシリコーンオイル「KF−96L−2cs(信越化学工業社製)」6.6gに添加して、超音波撹拌して、CRW系表示用粒子分散液(1)を調製した。
【0198】
[実施例2:CRW混合系:CR同極]
(シアン粒子C2の作製)
コア粒子の作製時に、メラミン樹脂「MX035(三和ケミカル社製)」の配合量を0.36g(全樹脂の5質量%相当)に変えた以外は、シアン粒子C1と同様にして、シアン粒子C2を得た(最終的に得られた粒子は0.6g)。なお、得られたシアン粒子C2は、正帯電の粒子であった。
【0199】
(CRW系表示用粒子分散液(2)の調製)
シアン粒子C2: 0.1gと、赤色粒子R1(実施例1と同じ): 1.3gと、白色粒子W(実施例1と同じ): 2.0gと、をシリコーンオイル「KF−96L−2cs(信越化学工業社製)」6.6gに添加して、超音波撹拌して、CRW系表示用粒子分散液(2)を調製した。
【0200】
[比較例1:CRW混合系:CR同極]
(比較シアン粒子C1の作製)
スチレンアクリル系樹脂「X345(星光PMC社製)」の配合量を6.96g、メラミン樹脂「MX035(三和ケミカル社製)」の配合量を0.14g(全樹脂の2質量%相当)に変更した以外は、シアン粒子C1と同様にして、比較シアン粒子C1を得た(最終的に得られた粒子は0.4g)。なお、得られた比較シアン粒子C2は、正帯電の粒子であった。
【0201】
(CRW系比較表示用粒子分散液(C1)の調製)
比較シアン粒子C1: 0.1gと、赤色粒子R1(実施例1と同じ): 1.3gと、白色粒子W(実施例1と同じ): 2.0gと、をシリコーンオイル「KF−96L−2cs(信越化学工業社製)」6.6gに添加して、超音波撹拌して、CRW系比較表示用粒子分散液(C1)を調製した。
【0202】
[実施例3:CRW混合系:CR異極]
(シアン粒子C3の作製)
比較シアン粒子C1で作製したコア粒子、及び以下に示す表面処理溶液を用いた以外は、シアン粒子C1と同様にして、シアン粒子C3を得た。得られたシアン粒子C3は負帯電の粒子であった。
【0203】
−表面処理液の作製−
シリコーンマクロモノマーである「サイラプレーンFM−0721(チッソ社製)」83gと、メタクリル酸1.8gと、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート4gと、ブロックイソシアネート基を含むモノマーである「カレンズMOI−BP(昭和電工社製)」0.5gと。をシリコーンオイル「KF−96− 2CS(信越化学工業社製)」210gに混合して溶解した。これに重合開始剤としてAIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)0.9gを溶解し、窒素下で60℃、6時間重合を行なって、表面処理用の樹脂を生成し、表面処理溶液を得た。
【0204】
(CRW系表示用粒子分散液(3)の調製)
シアン粒子C3: 0.1gと、赤色粒子R1(実施例1と同じ): 1.3gと、白色粒子W(実施例1と同じ): 2.0gと、をシリコーンオイル「KF−96L−2cs(信越化学工業社製)」6.6gに添加して、超音波撹拌して、CRW系表示用粒子分散液(3)を調製した。
【0205】
[比較例2:CRW混合系:CR異極]
(比較シアン粒子C2の作製)
シアン粒子C1で作製したコア粒子、シアン粒子C3で用いた表面処理溶液を用いた以外は、シアン粒子C1と同様にして、比較シアン粒子C2を得た。得られた比較シアン粒子C2は負帯電の粒子であった。
【0206】
(CRW系比較表示用粒子分散液(C2)の調製)
比較シアン粒子C2: 0.1gと、赤色粒子R1(実施例1と同じ): 1.3gと、白色粒子W(実施例1と同じ): 2.0gと、をシリコーンオイル「KF−96L−2cs(信越化学工業社製)」6.6gに添加して、超音波撹拌して、CRW系比較表示用粒子分散液(C2)を調製した。
【0207】
[実施例4:CMYW混合系:CMY同極]
(マゼンタ粒子M1の作製)
以下に示すコア粒子を用いた以外は、シアン粒子C1と同様にして、マゼンタ粒子M1を得た(最終的に得られた粒子は0.5g)。得られたマゼンタ粒子M1は正帯電の粒子であった。
【0208】
−コア粒子の作製−
水溶性樹脂としてスチレンアクリル系樹脂「X345(星光PMC社製)」6.48gと、メラミン樹脂「MX035(三和ケミカル社製)」0.72g(全樹脂の10質量%相当)と、マゼンタ顔料「PR122」を21質量%含む水分散液「Emacol SF Red H502F (三洋色素社製)」18.8gと、蒸留水24.1gと、を60℃に加温しながら混合し、インク固形分濃度が15%、乾燥後の顔料濃度が50%となるように分散相を調製した。
次に、界面活性剤「KF−6028(信越化学工業社製)」3.5gをシリコーンオイル「KF−96−2cs(信越化学工業社製)」に溶解して連続相350gを調整し、これに上記分散相50gを加えて内歯式卓上分散機ROBOMICS(特殊機化工業社製)を用いて、回転数10000rpm、温度30℃で10分間乳化を行った。
その結果、乳化液滴径が約1μmの乳化液を得た。これをロータリーエバポレーターにより真空度20mbar、水浴温度50℃で12時間乾燥を行った。
更に、このシリコーンオイル粒子分散液を遠心分離器による沈降工程と、超音波洗浄機による再分散工程を3回繰り返し、過剰な界面活性剤「KF−6028(信越化学工業社製)」を除き濃縮して、コア粒子4gを得た。遠心分離の条件は10000rpmで15分とした。得られたコア粒子をSEM観察して、画像解析した結果、平均粒径0.2μmで、C.V.値(単分散性を示す指標:Coefficient of Variation:CV[%]=(σ/D)×100(σ:標準偏差、D:平均粒径))30%であった。
【0209】
(イエロー粒子Y1の作製)
赤色顔料に代えて、黄色顔料「FY7416:山陽色素社製」を用いた以外は、赤色粒子R1と同様にして、イエロー粒子Y1を得た。得られたイエロー粒子Y1は正帯電の粒子であった。
【0210】
(CMYW系表示用粒子分散液(4)の調製)
シアン粒子C1(実施例1と同じ): 0.1gと、マゼンタ粒子M1: 0.1gと、イエロー粒子Y1: 1.3gと、白色粒子W(実施例1と同じ): 2.0gと、をシリコーンオイル「KF−96L−2cs(信越化学工業社製)」6.6gに添加して、超音波撹拌して、CMYW系表示用粒子分散液(4)を調製した。
【0211】
[実施例5:CMYW混合系:MY同極、C異極]
(CMYW系表示用粒子分散液(5)の調製)
シアン粒子C3(実施例3と同じ): 0.1gと、マゼンタ粒子M1(実施例4と同じ): 0.1gと、イエロー粒子Y1(実施例4と同じ): 1.3gと、白色粒子W(実施例1と同じ): 2.0gと、をシリコーンオイル「KF−96L−2cs(信越化学工業社製)」6.6gに添加して、超音波撹拌して、CMYW系表示用粒子分散液(4)を調製した。
【0212】
[実施例6:MYW混合系:MY同極]
(MYW系表示用粒子分散液(5)の調製)
マゼンタ粒子M1(実施例4と同じ): 0.1gと、イエロー粒子Y1(実施例4と同じ): 1.3gと、白色粒子W(実施例1と同じ): 2.0gと、をシリコーンオイル「KF−96L−2cs(信越化学工業社製)」6.6gに添加して、超音波撹拌して、CMYW系表示用粒子分散液(4)を調製した。
【0213】
[評価]
(各粒子の特性)
既述の方法に従って、各例で得られた表示用粒子分散液に含まれる着色粒子ついて、印加電圧(絶対値)による電界強度と着色粒子の応答時間の逆数との関係の近似式をそれぞれ測定した。その結果を
図10〜
図17に示す。
そして、各例で得られた表示用粒子分散液において、互いに隣合う閾値電圧(絶対値)を持つ2種の着色粒子間で、高閾値電圧側の着色粒子の応答時間の逆数が0となる外挿電圧における低閾値電圧側の着色粒子の応答時間の逆数を求めた。その結果を表1に示す。
なお、表1、
図10〜
図17中、対象となる低閾値電圧側の着色粒子における「高閾値電圧側の着色粒子の応答時間の逆数が0となる外挿電圧における低閾値電圧側の着色粒子の応答時間の逆数」は、「1/T
0」と略記する。
【0214】
(表示駆動特性)
−高分子化合物Aの合成−
サイラプレーンFM−0721(チッソ社製、重量平均分子量Mw=5000) 5質量部、フェノキシエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製、NKエステルAMP−10G) 5質量部、及びヒドロキシエチルメタクリレート (和光純薬社製)90質量部を、イソプロピルアルコール(IPA) 300質量部に混合し、重合開始剤としてAIBN(2,2−アゾビスイソブチルニトリル) 1質量部を溶解し、窒素下で70℃、6時間重合を行なった。これによる生成物を、ヘキサンを再沈殿溶媒として精製、乾燥し高分子化合物Aを得た。
【0215】
−評価セルの作製−
上記高分子化合物Aを固形分濃度が4wt%になるようにIPA(イソプロピルアルコール)に溶解した。電極として厚さ50nmのITO(酸化スズインジウム)をスパッタリング法で成膜したガラス基板上に、上記高分子化合物Aの溶液をスピンコートして、130℃で1時間乾燥させて、膜厚が100nmの表面層を形成した。
このようにして作製した表面層付きITO基板を2枚用意し、表示基板、及び背面基板とした。50μmのテフロン(登録商標)シートをスペーサーとして、互いの表面層を対向させて背面基板上に表示基板を重ね合わせて、クリップにて固定した。
そして、各例で得られた表示用粒子分散液を上記基板間の間隙に注入した後、封止して、評価用セルを作製した。
【0216】
−表示駆動評価−
作製した評価用セルを用いて、封入した表示用粒子分散液の着色粒子の数、帯電極性に応じて、上述した第1〜第4駆動方法に基づき、表示駆動を行い、各粒子による表示色を目視にて観察し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0217】
【表1】
【0218】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、各粒子の単独による表示色、及び2種以上の粒子の混合による表示色の鮮明な表示が実現されていることがわかる。