(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームの上方に昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレームと、該ドライブフレームの上方にチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックフレームと、前記ベースフレーム、ドライブフレーム及びチャックフレームの中央部を鉛直方向に貫通するケーシングチューブ挿通孔とを備えたチュービング装置本体と、前記ベースフレームの幅方向両側から水平方向かつチュービング装置本体の幅方向にそれぞれ突設させたアクスル部材と、該アクスル部材に沿う水平方向に移動可能に設けられた左右一対のクローラと、該クローラと前記チュービング装置本体とを相対的に前記アクスル部材に沿う水平方向に移動させるスライドシリンダと、該スライドシリンダを作動させるスライドシリンダ操作部と、前記ベースフレームの下方に突出して前記チュービング装置本体を昇降させることにより前記クローラを非接地状態と接地状態とに切り替えるジャッキシリンダと、該ジャッキシリンダを作動させるジャッキシリンダ操作部とを備え、
該スライドシリンダ操作部は、前記左右一対のクローラを移動させる各スライドシリンダを、両方のスライドシリンダを伸長方向又は短縮方向に同時に作動させるための拡縮移動操作部と、両方のスライドシリンダを、一方を伸長方向、他方を短縮方向に同時に作動させるための横移動操作部とを備え、
前記スライドシリンダは、前記ベースフレームの側面と前記クローラとの間に設けられた左右一対の復動型片ロッドシリンダであって、両シリンダのロッド伸長側同士が伸長側油圧配管で接続され、一方のスライドシリンダの短縮側が第1の短縮側油圧配管を介して前記横移動操作部に設けられた第1の4ポート3ポジション方向切換弁のAポートに接続され、他方のスライドシリンダの短縮側が第2の短縮側油圧配管を介して前記第1の4ポート3ポジション方向切換弁のBポートに接続され、前記拡縮移動操作部は、第2の4ポート3ポジション方向切換弁を備え、該第2の4ポート3ポジション方向切換弁のAポートが第1のパイロットチェック弁を備えた拡開側油圧配管を介して前記伸長側油圧配管に接続され、該第2の4ポート3ポジション方向切換弁のBポートは、一つの縮小側油圧配管から第1の縮小側油圧配管と第2の縮小側油圧配管とに分岐した後、第1の縮小側油圧配管は、第2のパイロットチェック弁を介して前記第1の短縮側油圧配管に接続され、第2の縮小側油圧配管は、第3のパイロットチェック弁を介して前記第2の短縮側油圧配管に接続され、前記第1のパイロットチェック弁は、第2の4ポート3ポジション方向切換弁から伸長側油圧配管に向かう流れを許容し、かつ、前記縮小側油圧配管の圧力上昇によって開弁し、前記第2のパイロットチェック弁及び前記第3のパイロットチェック弁は、第2の4ポート3ポジション方向切換弁から各短縮側油圧配管に向かう流れをそれぞれ許容し、かつ、拡開側油圧配管の圧力上昇によってそれぞれ開弁することを特徴とするチュービング装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至
図20は、本発明のチュービング装置の一形態例を示すもので、本形態例に示すチュービング装置は、ケーシングチューブの圧入作業、引抜作業を行うチュービング装置本体11と、該チュービング装置本体11の両側にアクスル部材21を介して設けられた左右一対のクローラ22とを備えるもので、さらに、前記チュービング装置本体11に作動油を供給するための油圧ホース50を介して接続され、前記チュービング装置本体11の上面に積み降ろし可能に搭載される油圧ユニット51を備えている。なお、本形態例では、チュービング装置本体11の方向は、油圧ユニット51を積み降ろしする方向(
図12において右方)を前方として説明する。
【0014】
チュービング装置本体11は、一般的なチュービング装置と同様に、地上に据え付けられるベースフレーム12と、該ベースフレーム12の上方に昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレーム13と、該ドライブフレーム13の上方にチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックフレーム14とを備えており、前記ベースフレーム12、ドライブフレーム13及びチャックフレーム14の中央部には、鉛直方向に貫通して同軸上に配置されたケーシングチューブ挿通孔15が設けられている。また、前面一側部には、一般的なチュービング装置と同様の油圧ホース接続部11aが設けられている。
【0015】
最上部のチャックフレーム14の上面には、ケーシングチューブ挿通孔15を囲むようにしてチュービング装置本体11をクレーンで吊り上げる際に使用する吊り金具16が、チュービング装置本体11の前後方向の直線に対して45度の位置に、90度間隔で4箇所に突設されている。このケーシングチューブ挿通孔15の外周側で、4個の吊り金具16の内側の位置には、長方形状の油圧ユニット搭載部17が設けられている。さらに、油圧ユニット搭載部17の外側には、該油圧ユニット搭載部17に油圧ユニット51を搭載したときに、油圧ユニット51の左右両側及び前方の三方に張り出した状態になる作業デッキ18が設けられ、該作業デッキ18の外縁部には、落下防止柵18a及び昇降ステップ18bが設けられている。さらに、チャックフレーム14の上面前部右側には、油圧ユニット搭載部17に油圧ユニット51を搭載したときに油圧ホース50をチャックフレーム14の上面で束ねるためのホース固定部材19が設けられている。
【0016】
前記ベースフレーム12の下部四隅部には、該ベースフレーム12の底面から突出してチュービング装置本体11を昇降させるためのジャッキシリンダ20がそれぞれ設けられており、ベースフレーム12の左右両側には、前記アクスル部材21を介して左右一対のクローラ22がそれぞれ設けられている。また、ドライブフレーム13の右側面前部側には、複数の操作レバー23aなどの走行操作機器を備えた操作スタンド23がクローラ22の上方を跨ぐようにして設けられている。この操作スタンド23の前部側下部には、油圧ユニット51に接続される油圧ホース50を接続するためのホース接続部24が設けられるとともに、油圧ホース50が下方に垂れ下がってクローラ22に踏まれることを防止するため、油圧ホース50のホース接続部24側を下から支持するホース支持部材25が前方に向かって突設されている。また、操作スタンド23の外縁部には、落下防止柵23b及び昇降ステップ23cが設けられている。
【0017】
前記アクスル部材21は、ベースフレーム12の両側に2本ずつ着脱可能にそれぞれ取り付けられており、前記クローラ22は、アクスル部材21の先端部に着脱可能かつアクスル部材21に沿ってスライド可能に取り付けられている。また、各アクスル部材21の上面には、クローラ22をスライドさせるためのスライドシリンダ26がそれぞれ設けられている。
【0018】
ベースフレーム12の側面へのアクスル部材21の取り付けは、
図7に示すように、アクスル部材21をクレーンで吊った状態で行われ、アクスル部材21の端部に設けたフランジ21aをベースフレーム12にボルト結合することにより、ベースフレーム12の側面から側方に突出した状態で取り付けられる。アクスル部材21にクローラ22を取り付ける際には、まず、
図8に示すように、前記ジャッキシリンダ20を伸長させてチュービング装置本体11を上昇させ、アクスル部材21の高さをクローラ22が取り付け可能な高さとする。
【0019】
次に、
図9に示すように、クローラ22を吊り上げ、クローラ22のフレーム22aに設けられているアクスル挿通孔22bにアクスル部材21をそれぞれ挿通し、最後に、
図10に示すように、アクスル部材21の先端に設けられているロック孔21bとフレーム22aの外部側に設けられているロック孔22cとを重合させた状態でロックピン27を挿入し、抜け止めピン27aをロックピン27に差し込むことにより、各アクスル部材21の先端部にクローラ22がそれぞれ固定された状態となる。また、短縮状態としたスライドシリンダ26のロッド先端に設けられたロック孔26aとフレーム22aの内部側に設けられているロック孔22dとにロックピン28を挿入することにより、スライドシリンダ26とクローラ22とが連結された状態となる。この状態で、ベースフレーム12の前面に設けられたシリンダ操作部29とスライドシリンダ26とを一対のスライド操作用油圧ホース30でそれぞれ接続する。
【0020】
さらに、
図11に示すように、クレーンで吊った操作スタンド23をドライブフレーム13の右側面所定位置にボルトにて固定するとともに、操作スタンド23の下部に設けた走行用油圧ホース接続部23dとクローラ22の油圧モータ22eとを走行用油圧ホース31で接続する。最後に、操作スタンド23のホース接続部24及び前記チュービング装置本体11の油圧ホース接続部11aと油圧ユニット51とをあらかじめ設定された長さの前記油圧ホース50で接続する。
【0021】
このようにしてクローラ22を取り付けることにより、ロックピン27を取り付けた状態でクローラ22がアクスル部材21を介してチュービング装置本体11のベースフレーム12に固定された状態となり、ジャッキシリンダ20を縮めてチュービング装置本体11を下降させ、クローラ22を接地させることで走行可能となる。一方、ジャッキシリンダ20を伸ばしてクローラ22を非接地状態にするとともに、ロックピン27を抜き取った状態でスライドシリンダ26を伸縮させることにより、クローラ22をアクスル部材21に沿ってスライドさせることができる。
【0022】
エンジン式の油圧ユニット51は、防音構造を備えた直方体形状のケーシング52の内部に、チュービング装置本体11に所定圧力の作動油を供給する油圧ポンプ、該油圧ポンプを駆動するエンジン、作動油を貯留する作動油タンク、エンジンの燃料を貯留する燃料タンクなどを収容したものであって、ケーシング52の天井部中央両側には、油圧ユニット51をクレーンで吊り上げる際に使用する吊り金具53が設けられ、ケーシング52の底部には、該ケーシング52と一体的に設けられているユニット架台54の下部に、前記油圧ユニット搭載部17に対応した形状を有する嵌合架台55が取り付けられている。また、ケーシング52の側面には、油圧ホース接続部56や制御盤57が設けられ、天井部の中央部及び一端部の2箇所には、油圧ホース50を吊り上げる手段であるチェーンブロック58がそれぞれ側面側に突設されている。
【0023】
嵌合架台55は、開口を外側に向けたチャンネル材を、前記ユニット架台54より小さな長方形状に四方組みしたものであって、一般的なエンジン式の油圧ユニット51におけるユニット架台54とは別に形成され、チュービング装置本体11に搭載可能とするために、ユニット架台54の下部にボルトなどで固定されている。油圧ユニット51を油圧ユニット搭載部17に搭載したときに、嵌合架台55は、チャックフレーム14の上面に設けた前記吊り金具16の内側に嵌まり込む状態となり、
図5及び
図6に示すように、吊り金具16に、嵌合架台55のチャンネル材における下部フランジ55aに係合する係合部材59を、カラー59aを介してボルト59bで取り付けることにより、油圧ユニット51を油圧ユニット搭載部17に確実に保持することができる。
【0024】
このように形成したチュービング装置で作業を行う際には、
図12に示すように、油圧ユニット51をチュービング装置本体11の前方に降ろすことにより、通常のチュービング装置と同様の操作で作業を行うことができる。作業場所を移動する際には、油圧ホース50の届く範囲ならば、クローラ22によって自走して所定の位置に移動することができる。また、クレーンで油圧ユニット51を吊り上げて移動させることにより、広い範囲で作業を行うことが可能である。このとき、ホース支持部材25で油圧ホース50を支持しているので、チュービング装置本体11が走行する際にクローラ22で油圧ホース50を踏みつけることを防止できる。
【0025】
作業場所が離れていて油圧ユニット51をクレーンで吊り上げて移動させることができない場合は、
図12に示すように、チュービング装置本体11の前方に油圧ユニット51を配置した状態で、前記チェーンブロック58にて油圧ホース50の油圧ユニット51側を吊り上げた状態にするとともに、吊り金具53を利用してクレーンで油圧ユニット51を吊り上げ、
図13に示す状態にする。
図14に示すように、クレーンで吊り上げた油圧ユニット51を移動させてチュービング装置本体11の上方に位置させ、嵌合架台55を油圧ユニット搭載部17に合わせて油圧ユニット51を下降させる。
【0026】
このとき、油圧ホース50をチェーンブロック58で吊り上げているので、油圧ユニット51をチュービング装置本体11に向けて直線的に移動させることにより、油圧ユニット51の側面側に保持した油圧ホース50を、チュービング装置本体11のホース接続部24を有する操作スタンド23側の作業デッキ18上に載置することができる。これにより、作業デッキ18の幅とチェーンブロック58の突出位置とを適切に設定することにより、油圧ユニット51を油圧ユニット搭載部17に向けて下降させる際に、油圧ホース50が油圧ユニット51で踏まれることを防止でき、油圧ユニット51の搭載作業を容易に行うことができる。また、ホース固定部材19で束ねた油圧ホース50を作業デッキ18上に固定することにより、走行時の振動で油圧ホース50が移動することがなく、油圧ホース50を保護することができる。
【0027】
チュービング装置本体11から油圧ユニット51を降ろす際には、前記搭載時の手順を逆に行えばよく、油圧ユニット51を地上に設置する際にも、ケーシング52の側面側壁面から突出したチェーンブロック58で油圧ホース50を吊り上げて保持しているので、油圧ユニット51で油圧ホース50を踏みつけることを防止できる。
【0028】
チュービング装置本体11の質量は、比較的小口径のケーシングチューブを扱うもので20トン程度であるから、チュービング装置本体11を吊り上げて移動させるためには、40トン以上、好ましくは60トン以上の吊り上げ能力を有する大型のクローラクレーンを必要とするのに対し、対応する油圧ユニット51の質量は5トン程度であり、ケーシングチューブの質量やハンマグラブの荷重も数トンであるから、油圧ユニット51やケーシングチューブなどを吊り上げて移動させるだけなら10トン程度、余裕をみても20トン程度の吊り上げ能力を有する小型のクローラクレーンを用意すればよいことになる。また、チュービング装置本体11では、クローラ22などの質量が増加した分だけカウンターウエイトの重量を減少できるので、チュービング装置本体11を移動させる際のカウンターウエイトの移送も容易に行うことができる。
【0029】
このように、自走用のクローラ22を備えたチュービング装置本体11の上に油圧ユニット51を搭載可能に形成したことにより、大型クレーンが進入困難な狭い場所でもチュービング装置を容易に移動させることができ、作業効率の向上を図ることができる。また、前記特許文献1に記載されたチュービング装置のように、チュービング装置本体11の前又は後に強固な架台を取り付けるものに比べて装置コストの上昇を抑えることができるとともに、油圧ユニット51を搭載した状態での走行性の向上も図ることができる。加えて、チュービング装置本体11を吊り上げるためにチャックフレーム14の上面に設けられる4個の吊り金具16を、嵌合架台55の嵌合部と係合手段とに利用することにより、油圧ユニット51を搭載するためのチュービング装置本体11の改造箇所を少なくすることができ、改造に要するコストの低減を図ることができる。
【0030】
図15乃至
図20は、本形態例における前記スライドシリンダ26を伸縮作動させるための油圧回路の一例、及び、ジャッキシリンダ20及びスライドシリンダ26を作動させて杭芯合わせを行う手順の一例を示すもので、シリンダ操作部29のスライドシリンダ操作部に設けられたバルブブロック70の2個のスライドシリンダ用切換弁をそれぞれのスライドシリンダ用操作レバー71,72で操作することによってスライドシリンダ26を伸縮作動させるとともに、ジャッキシリンダ操作部に設けられた4個のジャッキシリンダ用切換弁をそれぞれのジャッキシリンダ用操作レバー73で操作することによってジャッキシリンダ20を伸縮作動させるように形成している。
【0031】
なお、
図15乃至
図20では、図示及び説明を容易に行えるように、片側2本ずつ配置しているスライドシリンダ26を片側各1本ずつとして表し、
図15において右側に位置するアクスル部材21を右側アクスル部材21R,クローラ22を右側クローラ22R,スライドシリンダ26を右側シリンダ26R,ロックピン27を右側ロックピン27Rとし、同じく左側に位置するアクスル部材21を左側アクスル部材21L,クローラ22を左側クローラ22L,スライドシリンダ26を左側シリンダ26L,ロックピン27を左側ロックピン27Lとして説明する。また、
図15乃至
図18の各図において、(A)は油圧回路の全体構成を示し、(B)はスライドシリンダ操作部のバルブブロックの回路構成を示しており、
図19及び
図20では、上段は概略平面図、下段は概略正面図を示している。
【0032】
まず、
図15乃至
図18において、チュービング装置本体11の右側に連結されている右側シリンダ26Rのヘッド側(ロッド伸長側)26Raとチュービング装置本体11の左側に連結されている左側シリンダ26Lのヘッド側(ロッド伸長側)26Laとを伸長側油圧配管32で接続するとともに、右側シリンダ26Rのロッド側(ロッド短縮側)26Rbと左側シリンダ26Lのロッド側(ロッド短縮側)26Lbとを前記シリンダ操作部29を介して右左それぞれの短縮側油圧配管33R,33Lで接続している。
【0033】
シリンダ操作部29には、スライドシリンダ操作部とジャッキシリンダ操作部とが併設されており、スライドシリンダ操作部には、横移動操作部となる第1スライドシリンダ用操作レバー71(以下、第1操作レバー71という)によって操作されるスプリングリターンレバー操作式の4ポート3ポジション方向切換弁からなる第1切換弁74と、拡縮移動操作部となる第2スライドシリンダ用操作レバー72(以下、第2操作レバー72という)によって操作されるスプリングリターンレバー操作式の4ポート3ポジション方向切換弁からなる第2切換弁75とが設けられている。各切換弁74,75にそれぞれ設けられている4個のポートP,T,A,Bの内、各ポートPは、スライド操作用油圧ホース30の作動油供給側配管30Pに、各ポートTは、スライド操作用油圧ホース30の作動油返送側配管30Tに、バルブブロック70内の図示しない回路を介してそれぞれ接続されている。
【0034】
前記第1切換弁74のAポート74aには、前記右短縮側油圧配管33Rが接続され、第1切換弁74のBポート74bには、前記左短縮側油圧配管33Lが接続されている。
【0035】
また、前記第2切換弁75のAポート75aには、拡開側パイロットチェック弁34Cを備えた拡開側油圧配管34を介して前記伸長側油圧配管32が接続され、第2切換弁75のBポート75bには、縮小側油圧配管35が接続されている。この縮小側油圧配管35は、右縮小側油圧配管35Rと左縮小側油圧配管35Lとに分岐した後、右縮小側油圧配管35Rは、右縮小側パイロットチェック弁35RCを介して前記右短縮側油圧配管33Rに接続され、左縮小側油圧配管35Lは、左縮小側パイロットチェック弁35LCを介して前記左短縮側油圧配管33Lに接続されている。
【0036】
前記拡開側パイロットチェック弁34Cは、第2切換弁75のAポート75aから伸長側油圧配管32に向かう流れを許容し、かつ、該拡開側パイロットチェック弁34Cのパイロット配管34Pが接続した縮小側油圧配管35の圧力上昇により開弁するように形成されている。また、前記右縮小側パイロットチェック弁35RCは、第2切換弁75のBポート75bから縮小側油圧配管35を通り、右縮小側油圧配管35Rを経て右短縮側油圧配管33Rに向かう流れを許容し、左縮小側パイロットチェック弁35LCは、第2切換弁75のBポート75bから縮小側油圧配管35を通り、左縮小側油圧配管35Lを経て左短縮側油圧配管33Lに向かう流れを許容するもので、両パイロットチェック弁35RC,35LCは、右縮小側パイロットチェック弁35RCのパイロット配管35RP及び左縮小側パイロットチェック弁35LCのパイロット配管35LPが接続した前記拡開側油圧配管34の圧力上昇により開弁するように形成されている。
【0037】
次に、スライドシリンダ用操作レバー71,72による各シリンダ26R,26Lの操作を説明する。まず、
図15に示すように、第2操作レバー72が中立位置で第2切換弁75が遮断状態のときに、第1操作レバー71を右側に倒すと、前記油圧ユニット51から作動油供給側の油圧ホース50、油圧ホース接続部11aを介して作動油供給側配管30Pからシリンダ操作部29に供給される所定圧力の作動油が、
図15の各矢印FAで示すように、第1切換弁74のAポート74aから右短縮側油圧配管33Rを介して右側シリンダ26Rのロッド側26Rbに供給され、ピストン26Rcを
図15において左側に移動させ、右側シリンダ26Rを短縮方向に作動させる。
【0038】
このとき、右側シリンダ26Rのヘッド側26Raからは、ピストン26Rcに押された作動油が伸長側油圧配管32に押し出され、伸長側油圧配管32を通って左側シリンダ26Lのヘッド側26Laに流入し、左側シリンダ26Lのピストン26Lcを
図15において左側に移動させ、左側シリンダ26Lを伸長方向に作動させる。ピストン26Lcに押された左側シリンダ26Lのロッド側26Lbからは、短縮側油圧配管33Lに作動油が押し出され、短縮側油圧配管33Lを通って第1切換弁74のBポート74bに戻り、作動油返送側配管30Tからドレン側の油圧ホース接続部11a及び油圧ホース50を経て油圧ユニット51の作動油タンクに戻される。
【0039】
したがって、ジャッキシリンダ20が短縮状態で両クローラ22R,22Lが接地しているときに、両ロックピン27R,27Lを抜き取って第1操作レバー71を右側に倒すと、右側クローラ22Rは、短縮方向に作動する右側シリンダ26Rにより、アクスル部材21に沿ってチュービング装置本体11に近付く方向に移動し、左側クローラ22Lは、伸長方向に作動する左側シリンダ26Lにより、アクスル部材21に沿ってチュービング装置本体11から離れる方向に移動することになる。これにより、チュービング装置本体11は、両クローラ22R,22Lに対して相対的に
図15の矢印ARに示すように右方向に移動することになる。
【0040】
図16に示すように、第1操作レバー71を逆の左側に倒すと、
図16の各矢印FAで示すように、作動油供給側配管30Pからの作動油が、第1切換弁74のBポート74bから左短縮側油圧配管33Lを介して左側シリンダ26Lのロッド側26Lbに供給され、ピストン26Lcを
図16において右側に移動させ、左側シリンダ26Lを短縮方向に作動させるとともに、左側シリンダ26Lのヘッド側26Laの作動油が伸長側油圧配管32に押し出されて右側シリンダ26Rのヘッド側26Raに流入し、右側シリンダ26Rのピストン26Rcを
図16において右側に移動させ、右側シリンダ26Rを伸長方向に作動させる。右側シリンダ26Rのロッド側26Rbからは、短縮側油圧配管33Rに作動油が押し出され、右短縮側油圧配管33Rを通って第1切換弁74のAポート74aに戻り、作動油返送側配管30Tから戻される。
【0041】
したがって、第1操作レバー71を左側に倒すと、チュービング装置本体11は、両クローラ22R,22Lに対して相対的に
図16の矢印ALに示すように左方向に移動することになる。このように、ジャッキシリンダ20が短縮状態で両クローラ22R,22Lが接地状態のときに、第1操作レバー71を操作することにより、クローラ22R,22Lに支持されたチュービング装置本体11を幅方向に移動させることができる。
【0042】
また、第1操作レバー71を操作すると、伸長側油圧配管32内の作動油の圧力が上昇するが、拡開側パイロットチェック弁34Cが閉じ状態を保持するため、拡開側油圧配管34から作動油が抜けることはない。同様に、右短縮側油圧配管33Rや左短縮側油圧配管33Lの圧力が上昇しても、右縮小側パイロットチェック弁35RC及び左縮小側パイロットチェック弁35LCが閉じ状態を保持するため、右短縮側油圧配管33Rや左短縮側油圧配管33Lから作動油が抜けることはない。
【0043】
図17に示すように、ジャッキシリンダ20を伸長させて両クローラ22R,22Lを非接地状態とし、第1操作レバー71が中立位置で第1切換弁74が遮断状態のときに、第2操作レバー72を左側の伸長側に倒すと、
図17の各矢印FAで示すように、作動油供給側配管30Pからの作動油が、第2切換弁75のAポート75aから拡開側油圧配管34に供給され、作動油の圧力で拡開側パイロットチェック弁34Cが開くことにより、拡開側油圧配管34から前記伸長側油圧配管32に供給される。伸長側油圧配管32に供給された作動油は、二分して右側シリンダ26Rのヘッド側26Ra及び左側シリンダ26Lのヘッド側26Laにそれぞれ供給され、右側シリンダ26R及び左側シリンダ26Lをそれぞれ伸長させる。このとき、拡開側油圧配管34の圧力上昇によって右縮小側パイロットチェック弁35RC及び左縮小側パイロットチェック弁35LCがそれぞれ開弁状態になるので、右側シリンダ26Rのロッド側26Rb及び左側シリンダ26Lのロッド側26Lbの各作動油は、短縮側油圧配管33R及び左短縮側油圧配管33Lを通り、右縮小側パイロットチェック弁35RC及び左縮小側パイロットチェック弁35LCを通って縮小側油圧配管35から第2切換弁75のBポート75bに戻る。これにより、両クローラ22R,22Lは、
図17に矢印AWで示すように、チュービング装置本体11から離れる方向にそれぞれ移動し、両クローラ22R,22Lのトレッドが拡がることになり、走行時や作業時の安定性を向上させることができる。
【0044】
また、
図18に示すように、第2操作レバー72を逆の右側の縮小側に倒すと、
図18の各矢印FAで示すように、作動油供給側配管30Pからの作動油が、第2切換弁75のBポート75bから縮小側油圧配管35に供給され、右縮小側パイロットチェック弁35RC及び左縮小側パイロットチェック弁35LCを開いて短縮側油圧配管33R及び左短縮側油圧配管33Lに供給され、右側シリンダ26Rのロッド側26Rb及び左側シリンダ26Lのロッド側26Lbにそれぞれ供給されて右側シリンダ26R及び左側シリンダ26Lをそれぞれ短縮させる。このとき、縮小側油圧配管35の圧力上昇によって拡開側パイロットチェック弁34Cが開弁状態になるので、右側シリンダ26Rのヘッド側26Ra及び左側シリンダ26Lのヘッド側26Laの各作動油は、伸長側油圧配管32を通り、拡開側パイロットチェック弁34Cを通って拡開側油圧配管34から第2切換弁75のAポート75aに戻る。これにより、両クローラ22R,22Lは、
図17に矢印ANで示すように、チュービング装置本体11に近付く方向にそれぞれ移動し、両クローラ22R,22Lの全幅寸法が小さくなり、チュービング装置の運搬を容易に行うことが可能となる。
【0045】
図19及び
図20は、スライドシリンダ用操作レバー71,72及びジャッキシリンダ用操作レバー73を操作して杭芯合わせを行う手順の一例を示している。まず、両シリンダ26R,26Lを短縮させて両クローラ22R,22Lを基準位置とし、各ロックピン27R,27Lを取り付けて両クローラ22R,22Lを各アクスル部材21R,21Lに固定した走行状態で、両クローラ22R,22Lを操作し、前後進及び操舵によって機械中心Mを杭芯Tの近傍で、前後方向の位置を合わせた状態になるようにチュービング装置を移動させる。
図19に示す例では、杭芯Tに対して機械中心Mが、前後方向は合致し、幅方向(左右方向)が僅かに右側に外れた位置になっている。
【0046】
この状態から機械中心Mを杭芯Tに合わせるため、
図19(A)に示すように、チュービング装置本体11を移動させたい方向のロックピン、すなわち、杭芯Tに近い側の左側クローラ22Lを固定している左側ロックピン27Lを抜き取り、左側クローラ22Lを左側アクスル部材21Lに沿って移動可能な状態にするとともに、ジャッキシリンダ用操作レバー73を操作してジャッキシリンダ20を伸長させ、チュービング装置本体11を上昇させて両クローラ22R,22Lを浮かせた状態(非接地状態)にする。
【0047】
次に、
図19(B)に示すように、拡縮用の第2操作レバー72を伸長側である左側に倒すと、前述のように、所定圧力の作動油が第2切換弁75のAポート75aから拡開側油圧配管34、拡開側パイロットチェック弁34C、伸長側油圧配管32を通って左側シリンダ26Lのヘッド側26Laに供給され、左側シリンダ26Lを伸長させる。このとき、右側シリンダ26Rは、右側ロックピン27Rによって右側クローラ22Rが右側アクスル部材21Rに固定されているため、伸長側油圧配管32からの作動油で伸長せずに短縮状態を保持している。左側シリンダ26Lのロッド側26Lbの作動油は、左短縮側油圧配管33L、左縮小側パイロットチェック弁35LCを通り、縮小側油圧配管35から第2切換弁75のBポート75bに戻る。これにより、左側クローラ22Lがチュービング装置本体11から離れる方向に移動し、アクスル部材21の先端側に位置する状態となる。
【0048】
次に、
図19(C)に示すように、ジャッキシリンダ用操作レバー73を操作してジャッキシリンダ20を短縮させ、チュービング装置を下降させて両クローラ22R,22Lを接地状態にした後、右側クローラ22Rを固定している右側ロックピン27Rも抜き取る。これにより、両クローラ22R,22Lが各アクスル部材21R,21Lに沿って移動可能な状態になり、相対的にチュービング装置本体11を幅方向に移動できる状態になる。
【0049】
この状態で、
図20(A)に示すように、横移動用の第1操作レバー71を、チュービング装置本体11を移動させたい方向、すなわち、左側に倒すと、前述のように、所定圧力の作動油が、第1切換弁74のBポート74bから左短縮側油圧配管33Lを通って左側シリンダ26Lのロッド側26Lbに供給され、左側シリンダ26Lを短縮方向に作動させるとともに、左側シリンダ26Lのヘッド側26Laの作動油が押し出されて伸長側油圧配管32から右側シリンダ26Rのヘッド側26Raに流入し、右側シリンダ26Rを伸長方向に作動させ、右側シリンダ26Rのロッド側26Rbの作動油が押し出され、短縮側油圧配管33Rを通って第1切換弁74のAポート74aに戻る。これにより、接地状態のクローラ22R,22Lに対してチュービング装置本体11が左側に移動するので、杭芯Tと機械中心Mとが一致したときに第1操作レバー71を中立位置に戻すことにより、チュービング装置本体11を、あらかじめ設定された作業位置に設置した状態にすることができる。
【0050】
次に、
図20(B)に示すように、ジャッキシリンダ用操作レバー73を操作してジャッキシリンダ20を伸長させ、両クローラ22R,22Lを非接地状態にする。そして、
図20(C)に示すように、拡縮用の第2操作レバー72を短縮側の右側に倒し、前述のように、所定圧力の作動油を、第2切換弁75のBポート75bから縮小側油圧配管35、右縮小側パイロットチェック弁35RC及び左縮小側パイロットチェック弁35LC、短縮側油圧配管33R及び左短縮側油圧配管33Lを介して右側シリンダ26Rのロッド側26Rb及び左側シリンダ26Lのロッド側26Lbにそれぞれ供給することにより、右側シリンダ26R及び左側シリンダ26Lをそれぞれ短縮させ、クローラ22R,22Lを基準位置にした後、右側ロックピン27R及び左側ロックピン27Lを装着し、各アクスル部材21R,21Lに各クローラ22R,22Lを固定する。
【0051】
このように、クローラ22R,22Lによる前後進及び操舵では、杭芯Tと機械中心Mとを合致させることができなかったときでも、機械中心Mと杭芯Tとの前後方向の位置を合わせた状態で、スライドシリンダ用操作レバー71,72及びジャッキシリンダ用操作レバー73の操作と各ロックピン27R,27Lの抜き差しとにより、杭芯Tと機械中心Mとを容易かつ確実に合致させることができ、あらかじめ設定された位置にケーシングチューブを確実に施工することができる。
【0052】
なお、アクスル部材とクローラとの固定は、ロックピンを使用せずにスライドシリンダの保持力で行うこともでき、1箇所に限らず複数箇所で固定することも可能である。さらに、ロックピン以外のボルトや各種係止部材などの適宜な固定手段を採用することができる。また、本発明は、油圧ユニットを搭載しないチュービング装置にも適用可能であり、チュービング装置の施工地域への長距離移送は、一般のチュービング装置と同様に、各フレームやクローラを適宜分解して行うことができ、作業に関する操作は、一般のチュービング装置と同様にして作業用操作器を操作して行うことができる。