特許第6144140号(P6144140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6144140カッティング機能を備えたプリンタおよび印刷方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144140
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】カッティング機能を備えたプリンタおよび印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 21/16 20060101AFI20170529BHJP
   B26D 5/00 20060101ALI20170529BHJP
   B41J 25/20 20060101ALI20170529BHJP
   B41J 11/66 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   B41J21/16
   B26D5/00 F
   B41J25/20
   B41J11/66
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-152083(P2013-152083)
(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公開番号】特開2015-20399(P2015-20399A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087000
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 淳一
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 史祥
【審査官】 道祖土 新吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−233538(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/013190(WO,A1)
【文献】 特開2012−158122(JP,A)
【文献】 特開2011−051192(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2000954(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 21/16
B26D 5/00
B41J 11/66
B41J 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアに対してカッティング処理および印刷処理を行うことが可能なカッティング機能を備えたプリンタにおいて、
メディアに対してカッティングを行うカッティング手段と、
前記メディアにおいてカッティングされた部分を検知する検知手段と、
前記メディアに対して印刷を行う印刷手段と、
前記カッティング手段により前記メディアに対してカッティングデータに基づいて所定の形状のカッティングを行う際に、印刷するための基準となるクロップマークをカッティングし、前記カッティング手段によるカッティングが終了した後に、前記検知手段により前記クロップマークを検知して、前記クロップマークから印刷するための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として、前記印刷手段により前記メディアに対して画像データに基づいて所定の画像の印刷を行うよう制御する制御手段と
を有することを特徴とするカッティング機能を備えたプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のカッティング機能を備えたプリンタにおいて、
前記検知手段は、段差、色、光沢、反射率の少なくとも1つを検知するセンサーである
ことを特徴とするカッティング機能を備えたプリンタ。
【請求項3】
メディアに対してカッティング処理および印刷処理を行うことが可能なカッティング機能を備えたプリンタにおいて、
メディアに対してカッティングを行うカッティング手段と、
前記メディアにおいてカッティングされた部分を検知する第1の検知手段と、
前記メディアに対して印刷を行う印刷手段と、
前記メディアにおいて前記印刷手段により印刷された部分を検知する第2の検知手段と、
前記カッティング手段により前記メディアに対してカッティングデータに基づいて所定の形状のカッティングを行う際に、印刷するための基準となる第1のクロップマークをカッティングし、前記カッティング手段によるカッティングが終了した後に、前記第1の検知手段により前記第1のクロップマークを検知して、前記第1のクロップマークから印刷するための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として、前記印刷手段により前記メディアに対して画像データに基づいて所定の画像の印刷を行うよう制御する第1の制御と、前記印刷手段により前記メディアに対して画像データに基づいて所定の画像の印刷を行う際に、カッティングするための基準となる第2のクロップマークを印刷し、前記印刷手段による印刷が終了した後に、前記第2の検知手段により前記第2のクロップマークを検知して、前記第2のクロップマークからカッティングするための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として、前記カッティング手段により前記メディアに対してカッティングデータに基づいて所定の形状のカッティングを行うように制御する第2の制御とのいずれか一方の制御を実行する制御手段と
を有することを特徴とするカッティング機能を備えたプリンタ。
【請求項4】
メディアに対してカッティングを行うカッティング手段と、
前記メディアにおいてカッティングされた部分を検知する検知手段と、
前記メディアに対して印刷を行う印刷手段と
を有するカッティング機能を備えたプリンタにおいて、前記メディアに対して印刷を行う印刷方法であって、
前記カッティング手段により前記メディアに対してカッティングデータに基づいて所定の形状のカッティングを行うとともに、印刷するための基準となるクロップマークのカッティングを行うカッティング工程と、
前記検知手段により前記クロップマークを検知して、前記クロップマークから印刷するための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として、前記印刷手段により前記メディアに対して画像データに基づいて所定の画像の印刷を行う印刷工程と
を、前記カッティング機能を備えたプリンタが実行する
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項5】
メディアに対してカッティングを行うカッティング装置と、
前記メディアにおいてカッティングされた部分を検知する検知手段と、前記メディアに対して印刷を行う印刷装置と
を利用して、前記メディアに対して印刷を行う印刷方法であって、
前記メディアに対してカッティングデータに基づいて所定の形状のカッティングを行うとともに、前記印刷装置により印刷するための基準となるクロップマークのカッティングを行うカッティング工程を前記カッティング装置が実行し、
前記検知手段により前記クロップマークを検知して、前記クロップマークから印刷するための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として、前記メディアに対して画像データに基づいて所定の画像の印刷を行う印刷工程を前記印刷装置が実行する
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項6】
請求項4または5のいずれか1項に記載の印刷方法において、
前記センサーは、段差、色、光沢、反射率の少なくとも1つを検知するセンサーである
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項7】
メディアに対してカッティングを行うカッティング手段と、
前記メディアにおいて前記カッティング手段によりカッティングされた部分を検知する第1の検知手段と、
前記メディアに対して印刷を行う印刷手段と、
前記メディアにおいて前記印刷手段により印刷された部分を検知する第2の検知手段と
を有するカッティング機能を備えたプリンタにおいて、前記メディアに対して印刷を行う印刷方法であって、
前記カッティング手段により前記メディアに対してカッティングデータに基づいて所定の形状のカッティングを行うとともに、印刷するための基準となる第1のクロップマークのカッティングを行う第1のカッティング工程と、前記第1の検知手段により前記第1のクロップマークを検知して、前記第1のクロップマークから印刷するための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として、前記印刷手段により前記メディアに対して画像データに基づいて所定の画像の印刷を行う第1の印刷工程とを行う第1の工程と、
前記印刷手段により前記メディアに対して画像データに基づいて所定の画像の印刷を行う際に、カッティングするための基準となる第2のクロップマークを印刷する第2の印刷工程と、前記第2の検知手段により前記第2のクロップマークを検知して、前記第2のクロップマークからカッティングするための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として、前記カッティング手段により前記メディアに対してカッティングデータに基づいて所定の形状のカッティングを行う第2のカッティング工程とを行う第2の工程と
を有し、前記第1の工程と前記第2の工程とのいずれか一方の工程を、前記カッティング機能を備えたプリンタが実行する
ことを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッティング機能を備えたプリンタおよび印刷方法に関し、さらに詳細には、所望の画像の印刷および所定の形状のカッティングを行うことが可能なカッティング機能を備えたプリンタおよびカッティングされたメディアへの印刷方法に関する。
【0002】
なお、本明細書において「メディア」とは、普通紙などの紙類よりなる各種の記録メディアは勿論のこと、PCV、ポリエステルなどの樹脂やアルミ、鉄、木材などのような材料などの各種の材料よりなるメディアが含まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
近年、インクジェットプリンタなどの各種プリンタは、高品質な印刷結果を得るために高解像度で印刷が行われるようになっている。また、一方で、印刷機能に加えてカッティングの機能を搭載したプリンタも各種提案されている。
【0004】
こうしたカッティング機能を搭載したプリンタにおいては、画像データに基づいてメディアに印刷を行って画像を作成する画像作成機能を実現するインクヘッドと、カッティングデータに基づいてメディアを切断するカッティング機能を実現するための構成たるカッターなどを備えたカッティングヘッドとを備えたヘッド装置が配設されている。
【0005】
そして、画像が印刷される印刷位置に対するメディアが切り抜かれる位置を決定するために、インクヘッドは、画像データによる印刷の後に、当該印刷に対する所定の位置、例えば、印刷された画像の四隅近傍に、カッティングするための基準位置を検出するためのクロップマークを印刷する。その後、カッティングヘッドは、このクロップマークに基づいて、カッティングデータによりカッティングするための領域の位置合わせを行う。
【0006】
しかしながら、こうしたカッティング機能を備えたプリンタにおいては、メディア上に塗布されたインクが乾燥する前にメディアのカッティング処理を行うと、カッティングヘッドによりインクが擦れて印刷画像が滲んでしまうことが問題点として指摘されていた。
【0007】
こうした問題点を解決するための手段としては、インクを十分に乾燥させた後にカッティング処理を行うことがなされているが、こうした手法では、インクを十分に乾燥させる時間が必要となり、作業時間が増大するという新たな問題が生じていた。
【0008】
また、こうした手法では、インクを乾燥させる際にはメディアが熱に曝されるため、熱に弱いメディアの場合、熱によりメディアに縒れが生じ、印刷されたクロップマークの位置がずれ、カッティングするための領域の位置合わせを正確に行うことができないという新たな問題が生じていた。
【0009】
なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、本願明細書に記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、印刷画像が滲むことなく正確にカッティングすることが可能なカッティング機能を備えたプリンタおよび印刷方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明によるカッティング機能を備えたプリンタは、メディアに対してカッティング処理および印刷処理を行うことが可能なカッティング機能を備えたプリンタにおいて、メディアに対してカッティングを行うカッティング手段と、上記メディアにおいてカッティングされた部分を検知する検知手段と、上記メディアに対して印刷を行う印刷手段と、上記カッティング手段により上記メディアに対してカッティングデータに基づいて所定の形状のカッティングを行う際に、印刷するための基準となるクロップマークをカッティングし、上記カッティング手段によるカッティングが終了した後に、上記検知手段により上記クロップマークを検知して、上記クロップマークから印刷するための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として、上記印刷手段により上記メディアに対して画像データに基づいて所定の画像の印刷を行うよう制御する制御手段とを有するようにしたものである。
【0012】
また、本発明によるカッティング機能を備えたプリンタは、上記したカッティング機能を備えたプリンタにおいて、上記検知手段は、段差、色、光沢、反射率の少なくとも1つを検知するセンサーであるようにしたものである。
【0013】
また、本発明によるカッティング機能を備えたプリンタは、メディアに対してカッティング処理および印刷処理を行うことが可能なカッティング機能を備えたプリンタにおいて、メディアに対してカッティングを行うカッティング手段と、上記メディアにおいてカッティングされた部分を検知する第1の検知手段と、上記メディアに対して印刷を行う印刷手段と、上記メディアにおいて上記印刷手段により印刷された部分を検知する第2の検知手段と、上記カッティング手段により上記メディアに対してカッティングデータに基づいて所定の形状のカッティングを行う際に、印刷するための基準となる第1のクロップマークをカッティングし、上記カッティング手段によるカッティングが終了した後に、上記第1の検知手段により上記第1のクロップマークを検知して、上記第1のクロップマークから印刷するための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として、上記印刷手段により上記メディアに対して画像データに基づいて所定の画像の印刷を行うよう制御する第1の制御と、上記印刷手段により上記メディアに対して画像データに基づいて所定の画像の印刷を行う際に、カッティングするための基準となる第2のクロップマークを印刷し、上記印刷手段による印刷が終了した後に、上記第2の検知手段により上記第2のクロップマークを検知して、上記第2のクロップマークからカッティングするための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として、上記カッティング手段により上記メディアに対してカッティングデータに基づいて所定の形状のカッティングを行うように制御する第2の制御とのいずれか一方の制御を実行する制御手段とを有するようにしたものである。
【0014】
また、本発明による印刷方法は、メディアに対してカッティングを行うカッティング手段と、上記メディアにおいてカッティングされた部分を検知する検知手段と、上記メディアに対して印刷を行う印刷手段とを有するカッティング機能を備えたプリンタにおいて、上記メディアに対して印刷を行う印刷方法であって、上記カッティング手段により上記メディアに対してカッティングデータに基づいて所定の形状のカッティングを行うとともに、印刷するための基準となるクロップマークのカッティングを行うカッティング工程と、上記検知手段により上記クロップマークを検知して、上記クロップマークから印刷するための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として、上記印刷手段により上記メディアに対して画像データに基づいて所定の画像の印刷を行う印刷工程とを、上記カッティング機能を備えたプリンタが実行するようにしたものである。
【0015】
また、本発明による印刷方法は、メディアに対してカッティングを行うカッティング装置と、上記メディアにおいてカッティングされた部分を検知する検知手段と、上記メディアに対して印刷を行う印刷装置とを利用して、上記メディアに対して印刷を行う印刷方法であって、上記メディアに対してカッティングデータに基づいて所定の形状のカッティングを行うとともに、上記印刷装置により印刷するための基準となるクロップマークのカッティングを行うカッティング工程を上記カッティング装置が実行し、上記検知手段により上記クロップマークを検知して、上記クロップマークから印刷するための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として、上記メディアに対して画像データに基づいて所定の画像の印刷を行う印刷工程を上記印刷装置が実行するようにしたものである。
【0016】
また、本発明による印刷方法は、上記した印刷方法において、上記センサーは、段差、色、光沢、反射率の少なくとも1つを検知するセンサーであるようにしたものである。
【0017】
また、本発明による印刷方法は、メディアに対してカッティングを行うカッティング手段と、上記メディアにおいて上記カッティング手段によりカッティングされた部分を検知する第1の検知手段と、上記メディアに対して印刷を行う印刷手段と、上記メディアにおいて上記印刷手段により印刷された部分を検知する第2の検知手段と、を有するカッティング機能を備えたプリンタにおいて、上記メディアに対して印刷を行う印刷方法であって、上記カッティング手段により上記メディアに対してカッティングデータに基づいて所定の形状のカッティングを行うとともに、印刷するための基準となる第1のクロップマークのカッティングを行う第1のカッティング工程と、上記第1の検知手段により上記第1のクロップマークを検知して、上記第1のクロップマークから印刷するための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として、上記印刷手段により上記メディアに対して画像データに基づいて所定の画像の印刷を行う第1の印刷工程とを行う第1の工程と、上記印刷手段により上記メディアに対して画像データに基づいて所定の画像の印刷を行う際に、カッティングするための基準となる第2のクロップマークを印刷する第2の印刷工程と、上記第2の検知手段により上記第2のクロップマークを検知して、上記第2のクロップマークからカッティングするための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として、上記カッティング手段により上記メディアに対してカッティングデータに基づいて所定の形状のカッティングを行う第2のカッティング工程とを行う第2の工程とを有し、上記第1の工程と上記第2の工程とのいずれか一方の工程を、上記カッティング機能を備えたプリンタが実行するようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上説明したように構成されているので、印刷画像が滲むことなく正確にカッティングすることができるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明によるカッティング機能を備えたプリンタを示す概略構成斜視説明図である。
図2図2は、図1の要部を拡大した拡大説明図である。
図3図3は、印刷およびカッティング処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図4図4(a)は、所定の形状にカッティングされた部分の四隅近傍においてカッティングされた正方形状のクロップマークを示す説明図であり、また、図4(b)は、クロップマークの変形例を示す説明図であり、また、図4(c)は、クロップマークの変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるカッティング機能を備えたプリンタおよび印刷装置の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0021】
まず、図1には、本発明によるカッティング機能を備えたインクジェットプリンタの概略構成説明図が示されており、図2には、図1における要部の概略構成説明図が示されている。
【0022】
この図1に示すインクジェットプリンタ10においては、給紙装置(図示せず。)によって、メディアとして幅方向たる主走査方向において所定の長さを有する記録紙200が、後述するベース部材14上に供給され、主走査方向と直交する方向たる副走査方向、即ち、記録紙200の長手方向に搬送するようになされている。
【0023】
こうしたインクジェットプリンタ10は、基台部材12に支持され主走査方向に延長して配設された固定系のベース部材14と、ベース部材14の左右両端でベース部材14に直交して配設された側方部材16L、16Rと、左右2つの側方部材16L、16Rを連結する中央壁18と、中央壁18の壁面に主走査方向に延長して配設されたガイドレール20と、ガイドレール20と平行に配設されたガイドレール22と、中央壁18の壁面に沿って主走査方向に移動自在に配設された駆動ベルト24と、駆動ベルト24が固定的に配設されるとともに、ベース部材14上の記録紙200と対向するようにしてガイドレール20、24に摺動自在に配設されたカッティングヘッド26と、ベース部材14上の記録紙200と対向するようにしてガイドレール20、22に摺動自在に配設されたインクヘッド28とを有して構成されている。
【0024】
なお、こうしたインクジェットプリンタ10の全体の動作は、マイクロコンピューター30によって制御されている。
【0025】
より詳細には、カッティングヘッド26は、カッター32により記録紙を所定の形状にカッティング処理を行うヘッド装置であって、左方側にホルダ34を介してカッター32が配設されており、カッター32の下端部においてカッター刃36が取り付けられている。
【0026】
さらに、カッティングヘッド26の下方側においては、センサー42が配設されている。
【0027】
また、インクヘッド28は、インクにより記録紙200上に所望の画像を印刷するヘッド装置であって、ベース部材14上で搬送される記録紙200と対向する下面においてインクジェットノズル(図示せず。)が設けられている。
【0028】
さらに、インクヘッド28においては、センサー38が配設されている。
【0029】
なお、こうしたセンサー38、42については、例えば、反射率を検知するセンサーであって、従来より公知の技術によるセンサーを用いることができるので、その詳細な説明は省略することとする。
【0030】
カッティングヘッド26とインクヘッド28とは、連結部材40により連結されており、連結部材40は、図示しない機構によってカッティングヘッド26とインクヘッド28とを連結状態としたり、連結状態の解除を行う。
【0031】
なお、こうした連結部材40の構成としては、従来より公知の技術を用いることができるため、その詳細な説明は省略する。
【0032】
また、駆動部(図示せず。)の駆動により、当該駆動部により駆動する駆動ベルト24に固定的に配設されたカッティングヘッド26はガイドレール20、22に沿って主走査方向に移動するようになされている。
【0033】
したがって、連結部材40によりカッティングヘッド26とインクヘッド28とが連結されていない場合には、駆動部(図示せず。)によりカッティングヘッド26のみがガイドレール20、22に沿って主走査方向に移動することとなる。
【0034】
一方、連結部材40によりカッティングヘッド26とインクヘッド28とが連結されている場合には、駆動部(図示せず。)によりカッティングヘッド26およびインクヘッド28がガイドレール20、22に沿って主走査方向に移動することとなる。
【0035】
以上の構成において、カッティング機能を備えたインクジェットプリンタ100により記録紙200に対して、所定の画像を印刷するとともに所定のカッティング処理を行う場合について説明する。
【0036】
まず、記録紙200を所定の形状にカッティング処理するためのカッティングデータと記録紙200に所定の画像を印刷するための画像データとがマイクロコンピューター30に入力された状態で、印刷およびカッティング処理の開始が指示されると、印刷およびカッティング処理が開始される。
【0037】
ここで、図3のフローチャートには、印刷およびカッティング処理の処理内容が示されており、この印刷およびカッティング処理においては、まず、マイクロコンピューター30に接続された表示装置(図示せず。)にカッティングの後に印刷を行う「カッティング−印刷処理」あるいは印刷の後にカッティングを行う「印刷−カッティング処理」を選択可能な選択画面を表示する(ステップS302)。
【0038】
次に、表示された選択画面において、カッティング−印刷処理が選択されたか否かを判断する(ステップS304)。
【0039】
このステップS304の判断処理において、カッティング−印刷処理が選択されていない(つまり、選択画面において印刷−カッティング処理が選択された場合である。)と判断されると、マイクロコンピューター30により画像データに基づいて記録紙200に対して所定の画像の印刷を行う(ステップS306)。
【0040】
このステップS306の処理においては、記録紙200上に画像データに基づいて所定の画像の印刷を行うとともに、当該所定の画像の四隅近傍に正方形状のクロップマークを印刷する。なお、このクロップマークは、カッティングするための基準となる位置を取得するための目印となる。
【0041】
画像データに基づいて所定の画像の印刷が終了すると、記録紙200上に塗布されたインクの乾燥を行う(ステップS308)。
【0042】
インクを乾燥すると、次に、ステップS306の処理において印刷したクロップマークをセンサー42により検知し、マイクロコンピューター30により当該クロップマークからカッティングするための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準としてカッティングデータに基づくカッティングを行い(ステップS310)、印刷およびカッティング処理を終了する。
【0043】
なお、クロップマークからカッティングするための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として所定の位置に所定の形状のカッティングを行う技術は、公知の技術のため、その詳細な説明は省略する。
【0044】
一方、ステップS304の判断処理において、カッティング−印刷処理が選択されたと判断されると、マイクロコンピューター30によりカッティングデータに基づいて記録紙200に対して所定の形状にカッティングを行う(ステップS312)。
【0045】
このステップS312の処理においては、記録紙200をカッティングデータに基づいて所定の形状にカッティングを行うとともに、当該所定の形状にカッティングした部分の四隅近傍に、クロップマークとして正方形状のカッティングを行う(図4(a)を参照する。)。なお、このクロップマークは、印刷するための基準となる位置を取得するための目印となる。
【0046】
記録紙200がカッティングデータに基づいて所定の形状にカッティングされると、作業者によりクロップマークとしてカッティングされた正方形状が取り除かれ、クロップマークが取り除かれた記録紙200においてセンサー38によりクロップマークを検知し、マイクロコンピューター30により当該クロップマークから印刷するための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として画像データに基づく印刷を行い(ステップS314)、印刷およびカッティング処理を終了する。
【0047】
なお、クロップマークから印刷するための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として所定の画像を印刷する技術としては、印刷されたクロップマークからカッティングするための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として所定の形状のカッティングを行う技術と同様の技術を用いることができ、こうした技術は、公知の技術のため、その詳細な説明は省略する。
【0048】
以上において説明したように、本発明によるカッティング機能を備えたインクジェットプリンタ10においては、まず、記録紙200に対して、所定の形状へカッティングするカッティング処理を行った後に、所定の画像を印刷する印刷処理を行うようにした。
【0049】
そして、カッティング処理の際に、クロップマークとしてカッティング形状の四隅近傍に正方形状のカッティングを行うようにした。
【0050】
その後、作業者により取り除かれたクロップマークをセンサー38により検知し、検知したクロップマークから印刷するための基準となる位置を取得し、取得した位置を基準として画像データに基づく印刷を行うようにした。
【0051】
これにより、本発明によるカッティング機能を備えたインクジェットプリンタ10においては、所定の画像を印刷する前にカッティングを行うため、印刷画像が滲むことがなくなる。
【0052】
また、本発明によるカッティング機能を備えたインクジェットプリンタ10においては、インクの乾燥処理を行う必要がなく、作業時間の短縮化を図ることができる。
【0053】
さらに、本発明によるカッティング機能を備えたインクジェットプリンタ10においては、インクの乾燥処理を行う必要がないので、熱に弱いメディアに対して印刷およびカッティング処理を行ったとしても、メディアが熱による縒れることがなくなり、カッティングおよび印刷を正確に実行することができる。
【0054】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(7)に示すように変形するようにしてもよい。
【0055】
(1)上記した実施の形態においては、カッティング機能を備えたインクジェットプリンタ10においては、印刷およびカッティング処理が開始されると、「カッティング−印刷処理」あるいは「印刷−カッティング処理」のいずれか一方を選択する選択画面が表示され、作業者が選択した処理を行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、印刷およびカッティング処理が開始されると、常に「カッティング−印刷処理」が行われるようにしてのよい。
【0056】
この際には、カッティングヘッド26に取り付けられたセンサー42を設ける必要はない。
【0057】
(2)上記した実施の形態においては、カッティング機能を備えたインクジェットプリンタ10において「カッティング−印刷処理」を行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、それぞれ別体のカッティング装置および印刷装置を使用して、「カッティング−印刷処理」を行うようにしてもよい。
【0058】
この場合には、カッティング装置におけるヘッド装置においては、カッティングヘッド26が設けられ、印刷装置におけるヘッド装置においては、インクヘッド28とセンサー38とが設けられるようにする。
【0059】
(3)上記した実施の形態においては、カッティング機能を備えたインクジェットプリンタ10を一例として、印刷処理がインクジェット方式によりなされるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、印刷処理としてレーザー方式やドットインパクト方式などの各種の印刷方式を用いるようにしてもよい。
【0060】
(4)上記した実施の形態においては、センサー38として、反射率を検知するセンサーとしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、センサー38として、段差を検知するセンサー、色を検知するセンサー、あるいは、光沢を検知するセンサーなどを用いてもよい。
【0061】
(5)上記した実施の形態においては、「カッティング−印刷処理」において、カッティングの際にクロップマークとしてカッティングした所定の形状の四隅近傍に正方形状のカッティングを行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、例えば、図4(b)に示すように、カッティングした所定の形状の四隅近傍に略L字形状のカッティングを行うようにしたり、図4(c)に示すように、カッティングした所定の形状を挟むようにして対向する位置に所定の幅を備えたライン形状のカッティングを行うようにしてもよい。
【0062】
(6)上記した実施の形態においては、ステップS312の処理において、記録紙200をカッティングデータに基づいて所定の形状にカッティングを行い、所定の形状にカッティングした部分の四隅近傍に、クロップマークとして正方形状のカッティングを行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0063】
即ち、ステップS312の処理においては、クロップマークとして正方形状のカッティングを行った後に、カッティングデータに基づく所定の形状のカッティングを行うようにしてもよい。
【0064】
(7)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(6)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、所定の画像が印刷され、画像が印刷されたメディアが所定の形状にカッティングされた成果物を取得する際に用いて好適である。
【符号の説明】
【0066】
10 インクジェットプリンタ、26 カッティングヘッド、28 インクヘッド、30 マイクロコンピューター、32 カッター、38、42 センサー、200 記録紙
図1
図2
図3
図4