特許第6144141号(P6144141)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144141
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】代掻き作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/04 20060101AFI20170529BHJP
   A01B 33/12 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   A01B35/04 D
   A01B33/12 B
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-155753(P2013-155753)
(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公開番号】特開2015-23836(P2015-23836A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】河原 文雄
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−165605(JP,A)
【文献】 特開2005−304330(JP,A)
【文献】 特開2004−187633(JP,A)
【文献】 特開2009−000011(JP,A)
【文献】 国際公開第01/06831(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 35/04
A01B 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部に装着され、該走行機体から伝達される動力によって回転する耕耘ロータと、該耕耘ロータの上部を覆って前後に延びるシールドカバーと、該シールドカバーの進行方向後側に上下方向に揺動自在に設けられた第1整地板と、該第1整地板の後端部に上下方向に揺動自在に設けられた第2整地板とを備え、前記耕耘ロータが回転しながら前記走行機体の前進走行とともに進行して圃場の耕耘作業を行う代掻き作業機において、
前記第1整地板には、前記第2整地板の底面よりも上方位置に開口する前側開口部と、該前側開口部に連通して形成され前記前側開口部から流入する泥水を前記第2整地板の前方へ流す泥水流路とが設けられている
ことを特徴とする代掻き作業機。
【請求項2】
前記泥水流路は、前記前側開口部よりも後方側の前記第1整地板の腹面側に設けられた後側開口部に連通している
ことを特徴とする請求項1に記載の代掻き作業機。
【請求項3】
前記後側開口部の後端部は、前記第1整地板と前記第2整地板との間の圃場の表面に向かって臨んでいる
ことを特徴とする請求項2に記載の代掻き作業機。
【請求項4】
前記前側開口部の前方には、正面視において該前側開口部を覆い、側面視において前記前側開口部の前方に空間部を形成して、前記空間部を通った泥水を前記前側開口部に導く正面覆部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の代掻き作業機。
【請求項5】
前記第2整地板には、前記第1整地板と前記第2整地板との間の圃場の表面の上方に配置されて前記後側開口部から吐出する泥水を前記圃場の表面側へ導く案内部材が設けられている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の代掻き作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の後部に装着され、走行機体から伝達される動力によって耕耘ロータが回転しながら走行機体の走行とともに進行して水田の代掻き作業を行う代掻き作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
このような代掻き作業機には、例えば、複数の耕耘爪を有した耕耘ロータ(実施例ではロータリー作業体)が作業機本体(実施例では機枠)に回転自在に設けられ、耕耘ロータの上部を覆うカバー体が作業機本体に設けられ、カバー体の後端部に第1整地板(実施例では第1の整地体)が上下方向に揺動自在に設けられ、第1整地板の後端部に第2整地板(実施例では第2の整地体)が上下方向に揺動自在に設けられたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この代掻き作業機による耕耘作業時には、耕耘ロータの耕耘爪によって耕耘された耕土は第1整地板側に放出されて、第1整地板及び第2整地板によって整地される。ここで、第1整地板側に放出された泥水は、進行方向前側に移動する第1整地板によって前側に押し寄せられて、耕耘ロータの耕耘爪によって耕土内に鋤込まれたわらを浮上させて耕耘ロータと第1整地板との間で滞留させる。そして、わらは、第1整地板の側方に流れ出る泥水によって代掻き作業機の側方に流されてしまう。
【0004】
そこで、従来の代掻き作業機には、第1整地板との第2整地板との間に排出口を設けて第1整地板側に放出された泥水を後方側に排出するとともに、排出口の前側及び第2整地板の下方に後方側へ延びるレーキを設けて浮き上がろうとするわらを耕土内に押し込んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−165605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この従来の代掻き作業機では、排出口が後方に向かって斜め上方へ延びているので、排出口を通ったわらや泥水は第2整地板の上方へ吐出されて第2整地板の上方を通過してしまう。
【0007】
従って、排出口を通ったわらは水田の田面に浮いてしまい、水田全体のわらの埋没性を向上させることができない。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、水田全体のわらの埋没性を向上させることができる代掻き作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の代掻き作業機は、走行機体の後部に装着され、該走行機体から伝達される動力によって回転する耕耘ロータと、該耕耘ロータの上部を覆って前後に延びるシールドカバーと、該シールドカバーの進行方向後側に上下方向に揺動自在に設けられた第1整地板と、該第1整地板の後端部に上下方向に揺動自在に設けられた第2整地板とを備え、耕耘ロータが回転しながら走行機体の前進走行とともに進行して圃場の耕耘作業を行う代掻き作業機において、第1整地板には、第2整地板の底面よりも上方位置に開口する前側開口部と、該前側開口部に連通して形成され前側開口部から流入する泥水を前記第2整地板の前方へ流す泥水流路とが設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の泥水流路は、前側開口部よりも後方側の第1整地板の腹面側に設けられた後側開口部に連通していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の後側開口部の後端部は、第1整地板と第2整地板との間の圃場の表面に向かって臨んでいることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の前側開口部の前方には、正面視において該前側開口部を覆い、側面視において前側開口部の前方に空間部を形成して、空間部を通って泥水を前側開口部に導く正面覆部材が設けられていることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の第2整地板には、第1整地板と第2整地板との間の圃場の表面の上方に配置されて後側開口部から吐出する泥水を圃場の表面側へ導く案内部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係わる代掻き作業機によれば、上記特徴を有することで、水田全体のわらの埋没性を向上させることが可能な代掻き作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態に係わる代掻き作業機の平面図を示す。
図2】この代掻き作業機の要部部分断面図を示す。
図3】代掻き作業機に設けられた第1整地板の背面側斜視図を示す。
図4】第1整地板の正面側斜視図を示す。
図5】第1整地板の正面図を示す。
図6】第1整地板の断面図を示す。
図7】代掻き作業機の要部拡大部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の代掻き作業機の好ましい実施の形態を図1図7に基づいて説明する。なお、説明の都合上、図1に示す矢印の方向を前後方向及び左右方向として以下説明する。
【0017】
代掻き作業機1は、図1(平面図)に示すように、作業機本体10を備える。作業機本体10は、左右方向に延びる主フレーム11を備え、この主フレーム11の左右方向中央部にはギアボックス13が設けられている。このギアボックス13には入力軸14が前方に突出して回転自在に設けられ、入力軸14は走行機体90のPTO軸(図示せず)から動力が伝達されるようになっている。ギアボックス13の上方には前方に向かって突出したマスト16が設けられ、主フレーム11には前方斜め下方に向かって突出した一対のロアアーム(図示せず)が設けられ、これらマスト16及びロアアームは走行機体90の後部に設けられた三点リンク連結機構(図示せず)に連結されるように構成されている。
【0018】
主フレーム11の左右両端部には下方へ延びるチェーンケース19及びサポートアーム20が対向して取り付けられ、これらチェーンケース19及びサポートアーム20の下側間には代掻きロータ23(図2参照)が回転自在に支持されている。代掻きロータ23は、チェーンケース19及びサポートアーム20間に回転自在に支持された回転軸に複数の代掻き爪25(図2参照)を放射状に取り付けて構成されている。代掻きロータ23は、ギアボックス13の入力軸14に伝達された動力が主フレーム11に内蔵された動力伝達機構(図示せず)及びチェーンケース19内の動力伝達機構(図示せず)を介して伝達されてダウンカット方向(図2の矢印A方向)に回転駆動されるようになっている。
【0019】
代掻きロータ23の上方のチェーンケース19及びサポートアーム20間には、図1及び図2(要部部分断面図)に示すように、代掻きロータ23の上部を覆って前後方向に延びるシールドカバー30が配設されている。シールドカバー30は、チェーンケース19及びサポートアーム20のそれぞれに取り付けられて前後方向に延びる一対の側板部31と、一対の側板部31の上部間に繋がって代掻きロータ23の回転軌跡に沿って湾曲形成された天板部33とを有してなる。側板部31は天板部33の側部を覆うようにして前後方向に延びる。側板部31の後側は天板部33の後側端部から下方へ延びて、その下端部は水田Bの田面Bsの近傍位置まで延びている。
【0020】
シールドカバー30の後側には斜め下方へ延びる第1整地板40が上下揺動自在に取り付けられ、第1整地板40の後端部には第2整地板60が上下揺動自在に取り付けられている。
【0021】
第1整地板40は、図2図3(背面側斜視図)、図4(正面側斜視図)、に示すように、代掻きロータ23の後方側を覆う整地本体部41と、整地本体部41の左右両端部に取り付けられた一対の整地側板部43とを有してなる。一対の整地側板部43の上端部間には、整地本体部41の左右方向に延びる支持軸部45が掛け渡された状態で設けられている。この支持軸部45が作業機本体10の後側に上下方向に回動自在に取り付けられて、第1整地板40は支持軸部45を回動中心として上下方向に回動自在である。
【0022】
整地本体部41は、板状であり、側面視において前側が上方へ凸状に湾曲して下方へ延びる。整地本体部41の後端部には、下方へ凸状に屈曲して後側が曲面状に形成された整地本体下側底部42が接続されて、整地本体部41と整地本体下側底部42とが一体化されている。なお、整地本体下側底部42は第1整地板40の一部を構成する。整地本体下側底部42の上部には、整地本体下側底部42を貫通する前側開口部42aが設けられている。この前側開口部42aは、整地本体下側底部42の左右方向中央部に対して左右両側の幅方向一端部から他端部に亘って設けられている。
【0023】
なお、整地本体部41の幅方向中央部には、後方側へ突出して側面視環状に形成されたヒンジ部47aが設けられている。このヒンジ部47aは板状の腹側補強板47を折り曲げて形成され、腹側補強板47の前側は整地本体部41及び整地本体下側底部42の左右方向中央部の腹面41b、42bに沿って前側に延びた状態で整地本体部41及び整地本体下側底部42の腹面41b、42bに固定されている。ヒンジ部47aは第2整地板60の左右方向中央部を回動自在に軸支する。
【0024】
また、整地本体部41の左右方向中央部の背面41cには、腹側補強板47に対向配置された背面側補強板48が設けられている。この背面側補強板48は、後述する整地本体下側上部49と整地本体部41の背面41c、49cに沿って第1整地板40の後端部から前側に延びた状態で第1整地板40及び整地本体下側上部49の背面41c、49cに固定されている。この背面側補強板48は、腹側補強板47と相まって第1整地板40の強度を補強している。
【0025】
前側開口部42aは、図2及び図5(正面図)に示すように、正面視において長方形状に形成され、第1整地板40及び第2整地板60が水田Bの田面Bsに接地した状態で、第2整地板60の底面60aより上方の位置に配置されている。なお、詳細は後述するが、前側開口部42aは、第1整地板40の前方の泥水Mを後方側へ流すために泥水流路50に導く。
【0026】
第1整地板40の後端部には、図6に示すように、前側開口部42aを覆うようにして第1整地板40の整地本体下側底部42に対して上方に所定間隔を有して後方側へ延びる整地本体下側上部49が設けられている。この整地本体下側上部49は第1整地板40の一部を構成する。なお、本実施例では、整地本体下側上部49は第1整地板40と一体である場合を示したが、整地本体下側上部49が第1整地板40と別体に形成されて接続されてもよい。
【0027】
この整地本体下側上部49は、整地本体下側底部42、整地側板部43と相まって、これらによって囲まれる領域に側面視において袋状の内側空間部Sを形成する。この内側空間部Sは、側面視において、後方側へ進むに従って上下方向の幅が広くなり、更に後方側へ進むに従って上下方向の幅が狭くなるように形成されて、後述する後側開口部41dに連通している。整地本体下側上部49の後端部と整地本体下側底部42の後端部との間には、背面視において長方形状に開口する後側開口部41dが形成されている。なお、内側空間部Sは、側面視において袋状に限るものではなく、長方形状等でもよい。
【0028】
内側空間部Sは、前端部が前述した前側開口部42aに連通し、後端部が後側開口部41dに連通して、泥水が流通可能な泥水流路50を形成している。
【0029】
後側開口部41dに繋がる整地本体下側上部49の後端部49aは、図2及び図6に示すように、第1整地板40及び第2整地板60が水田Bの田面Bsに接地した状態で、第1整地板40と第2整地板60との間の田面Bsに泥水が吐出するように斜め下方へ臨むように形成されている。このため、前側開口部42aから泥水が流入すると、この泥水は泥水流路50を流れて後側開口部41dから田面Bsに向かって吐出される。
【0030】
前側開口部42aの前方には、図5及び図6に示すように、正面視において前側開口部42aを覆い、側面視において前側開口部42aの前方に前側空間部Fを形成して上下方向に延びる正面覆板52が設けられている。この正面覆板52は、板状に形成され、前側開口部42aの上方の第1整地板40の腹面41bにボルト等の締結手段(図示せず)によって固定される固定部52aと、固定部52aの下部に繋がって固定部52aに対して屈曲して下方へ延びて正面視において前側開口部42aを覆う正面覆本体部52bとを有してなる。
【0031】
正面覆本体部52bは、下方へ延びるに従って前側開口部42aから離反するように延びて、正面覆本体部52bと前側開口部42aとの間に前側空間部Fを形成するとともに、正面覆本体部52bの下端部と整地本体下側底部42の腹面42bとの間に前側空間部Fに連通する流入開口部52cを形成する。正面覆本体部52bは、正面視において前側開口部42aを完全に覆うようにするため、正面覆本体部52bの下端部は前側開口部42aよりも下方の位置に延びている。このため、水田Bの田面Bsに浮き上がったわらの前側開口部42aへの流入を防止することができる。
【0032】
第1整地板40の整地本体部41の裏面には後方側へ延びるレーキ55(図2参照)が左右方向に所定間隔を有して複数取り付けられている。
【0033】
次に、第2整地板60について説明する。第2整地板60は、図7に示すように、第1整地板40の後方側に配置された整地本体部61と、整地本体部61の左右両端部に上方へ突出するとともに前後方向に延びるフランジ部62とを有してなる。フランジ部62の前側は第1整地板40側へ突出し、フランジ部62の前側端部が第1整地板40の整地側板部43の後端部に回動自在に取り付けられている。また、整地本体部61の左右方向中央部は、第1整地板40のヒンジ部47a(図3参照)に軸支されている。つまり、第2整地板60は、第1整地板40の整地側板部43及びヒンジ部47aによって上下方向に回動自在に支持されている。
【0034】
第2整地板60の底面60aは前後方向に延び、その前側は整地本体部61の前側端部に沿って上方へ屈曲して延び、さらに前方へ屈曲して底面60aに略並行に延びる。そして、底面60aの前側端部には斜め前方へ延びる案内板60bが設けられている。なお、案内板60bは底面60aと一体的に構成されたものでもよいし、別体に設けられたものでもよい。
【0035】
案内板60bの前端部は、第1整地板40の後端部に対して所定の隙間Aを有して延びている。案内板60bは、後側開口部41dからの泥水が上方へ向かって吐出した場合でも、この泥水を第1整地板40と第2整地板60との間の水田Bの田面Bs上に落ちるように泥水の移動を案内する。
【0036】
第2整地板60の整地本体部61の裏面には後方側に延びるレーキ64が左右方向に所定間隔を有して複数取り付けられている。
【0037】
なお、第2整地板の左右両端部には、整地作業の幅を拡大可能な延長整地板70が上下方向に回動自在に取り付けられている(図1参照)。
【0038】
次に、本発明の代掻き作業機1によって水田Bの田面Bsに存在するわらWを耕土内に鋤込む作業を行う場合の代掻き作業機1の動作について、図1及び図7を参照しながら説明する。先ず、図1に示すように、走行機体90に代掻き作業機1を連結するとともに、走行機体90のPTO軸に図示しない動力伝達軸を介して入力軸14を連結する。そして、第1整地板40及び第2整地板60を水田Bの田面Bsに接地させ、走行機体90を前進動させるとともに、走行機体90からの動力を代掻き作業機1の作業機本体10に伝達させて、代掻きロータ23(図2参照)をダウンカット方向に回転させる。
【0039】
そして、代掻き作業時において、代掻きロータ23(図2参照)の代掻き爪25にて耕耘された耕土は第1整地板40側に放出され、第1整地板40及び第2整地板60によって均平に整地される。また、水田Bの田面Bsに存在するわらWのうち代掻きロータ23の内側にあるわらWは代掻きロータ23の代掻き爪25によって耕土内に鋤込まれ、そして浮き上がろうとするわらWは第1整地板40に設けられたレーキ55によって上方から押し込まれて耕土内に鋤込まれた状態で埋没する。
【0040】
また、代掻きロータ23の代掻き爪25によって後方側に放出された泥水は、流入開口部52c、前側空間部F、前側開口部42aを通って泥水流路50を流れて後側開口部41dから後方側へ吐出される。後側開口部41dから吐出された泥水は、斜め下方へ吐出されて第1整地板40と第2整地板60との間の水田Bの田面Bs上に放出される。
【0041】
このため、第1整地板40のレーキ55によって水田B内にすき込まれたわらWが水田Bの田面Bsに浮き上がろうとした場合、浮き上がろうとするわらWは、後側開口部41dから吐出する泥水によって水田B内に押し込まれ、さらに第2整地板60のレーキ64によって水田B内に確実にすき込まれる。
【0042】
従って、代掻き爪25やレーキ55によって鋤込まれるわらWの全体の埋没量を増加させることができ、その結果、水田B全体のわらWの埋没性を向上させることができる。また、第1整地板40前方に滞留する泥水が、後方へ抜け易くなるため、第1整地板40とシールドカバー30の側板部31との間から浮いたわらWや泥水を押し出してしまうことを防止することができる。
【0043】
なお、前述した実施例では、第1整地板40の左右方向中央に対して左右両側に前側開口部42aが形成されて後方側へ延びる2つの泥水流路50を設けた場合を示したが、第1整地板40の左右方向に所定間隔を有して3つ以上の前側開口部42aを形成して後方側へ延びる3つ以上の泥水流路を設けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 代掻き作業機
30 シールドカバー
40 第1整地板
42a 前側開口部
41b 腹面
41d 後側開口部
42 整地本体下側底部(第1整地板)
49 整地本体下側上部(第1整地板)
49a 後端部
50 泥水流路
52 正面覆板(正面覆部材)
60 第2整地板
60a 底面
60b 案内板(案内部材)
90 走行機体
B 水田(圃場)
Bs 田面(表面)
F 前側空間部(空間部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7