(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜11を参照して本発明の1つの実施形態を説明する。
図1,2に示すように遊技機1は、パチンコ機(弾球遊技機)である。遊技機1は、矩形枠状の外枠10と、外枠10に開閉可能に取付けられる前枠11を有する。前枠11には、発射された弾球が落下する遊技領域を備える遊技盤12が取付けられる。
【0010】
図1〜3に示すように遊技機1は、上皿13と下皿14と操作ハンドル15を有する。上皿13は、遊技盤12の下側にて遊技機本体(外枠10)の下領域に位置する。上皿13は、弾球を貯留する凹部13aを有し、前枠11に設けられた発射装置16に弾球を供給する。下皿14は、上皿13の下側に位置する。下皿14は、上皿13からの余剰の弾球を貯留する凹部14aを有する。操作ハンドル15は、下皿14に隣接する。操作ハンドル15が遊技者によって回転され、発射装置16が弾球を遊技盤12の遊技領域へ発射する。
【0011】
図4に示すように遊技機1は、上皿ユニット1aと下皿ユニット1bとリングユニット1cを有する。上皿ユニット1aは、上皿13と操作ハンドル15と前板17を一体に有する。前板17は、
図1に示す外枠10の下前面に取付けられる。上皿13の底部には、前下方に延出する球樋13bが設けられる。球樋13bの入口には、ボタン18を押すことで開く蓋が設けられる。
【0012】
図4に示すように下皿ユニット1bは、下皿14と前カバー3b(カバー3の一部)を一体に有する。下皿14の後部には、後上方に延出する球樋14bが設けられる。球樋14bの入口は、上皿13の球樋13bの出口に接続される。したがってボタン18を押すことで上皿13の凹部13aに貯留された弾球が球樋13b,14bを通って下皿14の凹部14aに流下する。前カバー3bは、下皿14の後部から前上方に延出する。前カバー3bは、前板17に取付けられ、リングユニット1cを前下から覆う。
【0013】
図4に示すように上皿ユニット1aに上カバー3aが取付けられる。上カバー3aは、カバー3の一部であって、リングユニット1cを上方から覆う。上カバー3aの中央には、左右方向に長い開口部3cが形成される。開口部3cは、リングユニット1cの回転部材2の上領域を露出する。回転部材2の上領域は、開口部3cから上皿13の上方に突出する。上カバー3aの後部には、ボタン18が上下動可能に取付けられる。
【0014】
図5に示すようにリングユニット1cは、回転部材2とベース4とホルダー5を有する。回転部材2は、遊技者によって回転され得るリング状のリング2aを有する。リング2aは、外周面に厚み方向に延出する溝2eを等間隔に有する。遊技者は、溝2eによって周方向の力をリング2aに容易に加え得る。リング2aは、中心領域(回転中心領域)に厚み方向に貫通する開口部2bを有する。リング2aは、内周縁全周にラック2cを有し、ラック2cにローラ5bとギヤ21が当接される。
【0015】
図5に示すようにホルダー5は、回転部材2をベース4に対して回転可能に保持する。ホルダー5は、複数の保持部5aを有し、各保持部5aが各ローラ5bを回転可能に保持する。ローラ5bは、所定間隔に配置されて回転部材2の内周縁に当接し、回転部材2の内周縁を保持する。ローラ5bは、回転することで回転部材2が回転することを許容する。ホルダー5は、ベース4に取付けられ、ベース4に対して回転部材2を回転可能に保持する。
【0016】
図5,6に示すようにリングユニット1cは、回転部材2の回転を検知する回転検知センサ6b,7を有する。回転検知センサ6bは、エンコーダユニット6の一部品であって、エンコーダである。エンコーダユニット6は、回転検知センサ6bが取付けられる取付部材6aと、回転検知センサ6bに装着されるギヤ6cを有する。ギヤ6cは、ギヤ21,22を経由して回転部材2のラック2cに係合される。回転部材2が回転すると、回転検知センサ6bが回転部材2の回転速度あるいは加速度を検知して、演出装置に信号を発する。回転検知センサ6bは、ギヤ21,22を経由することで回転部材2から離れた所望場所に設置され得る。
【0017】
図5,6に示すように回転検知センサ7は、光または赤外線を利用するセンサである。回転検知センサ7の光または赤外線を遮断する遮蔽片2dがリング2aの内周縁に設けられる。回転検知センサ7は、ベース4に取付けられる。回転部材2が回転すると遮蔽片2dが回転検知センサ7を通過する。これにより回転検知センサ7が回転部材2の回転を検知して演出装置に信号を発する。
【0018】
ベース4は、回転部材2を回転可能に保持しつつスライド可能に遊技機本体に取付けられる。
図5に示すようにベース4は、板体4aとガイド4c,4dを有する。板体4aの前面に回転部材2が回転可能に取付けられる。板体4aの略中央に厚み方向に貫通する連通部4bが形成される。連通部4bは、回転部材2の開口部2bに対応して位置する。ホルダー5も開口部2bに対応して位置する連通部5cが形成される。したがって開口部2bと連通部4b,5cは、常にリングユニット1cの中央領域の一部を開口する。ガイド4cは、板体4aの左右側面に形成される。ガイド4dは、板体4aの下左右部に形成される。ガイド4c,4dは、それぞれ
図6に示すスライダー8によってスライド可能に支持される。
【0019】
図6〜8に示すようにスライダー8は、上スライド体8aと下スライド体8bを有する。上スライド体8aは、左右部にレール8a1と取付部8a2を有する。レール8a1は、ベース4のガイド4cに対面してガイド4cをスライド可能に支持する。取付部8a2は、前カバー3bのボス3b2に取付けられる。これにより上スライド体8aは、ベース4の上下略中央部分を前カバー3bに対し上下スライド可能に保持する。
【0020】
図6〜8に示すように下スライド体8bは、左右部にレール8b1と取付部8b2を有する。レール8b1は、ベース4のガイド4dに対面してガイド4dをスライド可能に支持する。取付部8b2は、前カバー3bのボス3b3に取付けられる。これにより下スライド体8bは、ベース4の下部分を前カバー3bに対し上下スライド可能に保持する。
【0021】
図6,7に示すように下スライド体8bとベース4は、付勢部材9によって連結される。付勢部材9は、例えばコイルばねである。付勢部材9の上端部は、下スライド体8bに形成されたばね掛け部8b3に係止される。付勢部材9の下端部は、ベース4に形成されたばね掛け部4eに係止される。付勢部材9は、伸びることでベース4を下スライド体8bに対して上方に付勢する。下スライド体8bは、ベース4の移動量を規制するストッパ8b4を有する。ストッパ8b4は、レール8b1の下部からベース4のガイド4dの下側に張り出す。これによりベース4の下方への移動量が規制される。
【0022】
図8,9に示すようにベース4が遊技機本体に対してスライドしたことを検知するスライド検知センサ20が前カバー3bに取付けられる。スライド検知センサ20は、光または赤外線を利用するセンサである。スライド検知センサ20の光または赤外線を遮断する遮蔽片4fがベース4に設けられる。ベース4が下方に移動し、遮蔽片4fがスライド検知センサ20を通過する。これによりスライド検知センサ20は、ベース4がスライドしたことを検知し、演出装置に信号を発する。
【0023】
図8に示すように回転部材2の開口部2bの領域に連通部4b,5cが位置する。連通部4b,5cおよび開口部2bに球樋3b1が挿入され、球樋3b1が
図4に示す球樋13bに接続される。回転部材2が回転した場合であっても、
図9,10に示すように回転部材2が上下方向にスライドした場合であっても連通部4b,5cは、常に開口部2b内に位置する。
【0024】
図4に示すように前カバー3bと上カバー3aは、上皿ユニット1aに取付けられて、
図1に示すように回転部材2を覆う。回転部材2の上側領域は、開口部3cから上方に突出する。回転部材2は、上皿13の前面あるいは下面に沿って配設され傾斜する。回転部材2の前部は、上皿13の凹部13aよりも前に位置し、後部が凹部13aの後部と略同じ場所に位置する。回転部材2の上部は、上皿13よりも上に位置し、下部は、下皿14の底と略同じ場所に位置する。回転部材2の直径は、上皿13の幅と略同じ大きさである。
【0025】
回転部材2は、
図10,11に示すように遊技者によって左右方向に回転され、または下方に押される。回転部材2が回転すると、
図5に示す回転検知センサ6b、7のいずれかが演出装置に信号を発する。回転部材2が
図10,11に示すように下方に押されると、スライド検知センサ20が演出装置に信号を発する。演出装置は、これら信号に基づいて演出効果を奏する。演出装置は、例えば
図1に示す遊技盤12等に設けられる液晶表示装置、スピーカ、ランプ、可動部材を有する役物装置である。液晶表示装置は、画像を変化させることで演出効果を奏する。スピーカは、音を発することで演出効果を奏する。ランプは、光を発することで演出効果を奏する。役物装置は、可動部材を可動させることで演出効果を奏する。
【0026】
回転部材2は、遊技者によって所望のタイミングで操作され得る。例えば回転部材2は、大当たり時に遊技者によって操作される。あるいは液晶表示装置が表示する指示に対応して遊技者によって操作される。これにより演出装置が画像等を変化させ、演出効果を変化させる。
【0027】
回転部材2は、少なくとも一方向に複数回回転できる。好ましくは回転部材2は、無制限に同一方向に回転できる。これにより遊技者は、回転部材2を連続して回転させることがき、演出装置との連帯感を得る。回転部材2は、両方向に回転できることが好ましい。演出装置は、回転部材2の方向に応じた演出効果を奏することが好ましい。回転部材2は、強い回転力を受けた際に慣性力で所定回転することが好ましい。これにより遊技者は、より大きな爽快感を得ることができる。
【0028】
以上のように遊技機1用操作装置は、
図1に示すように回転部材2と回転検知センサ6b,7を有する。回転部材2は、遊技機本体に回転可能に設けられて遊技者によって少なくとも一方向に複数回回転され得る。回転検知センサ6b,7は、回転部材2の回転に連動して画像、光、音、可動部材の少なくとも1つによって演出装置が演出するように回転部材2の回転を検知し演出装置に信号を発する。
【0029】
したがって遊技者は、回転部材2を少なくとも一方向に複数回回転させることができる。回転させるという操作は、傾動あるいは押すという操作に対して新規である。しかも回転部材2は、複数回回転するため、操作量が比較的大きい。かくして遊技者は、回転部材2を回転させることで爽快感等を得ることができる。
【0030】
遊技機本体は、
図1に示すように弾球を流下させる遊技領域を備える遊技盤12を有する。回転部材2は、遊技盤12の外に位置しかつ遊技盤12の外において移動する弾球の通過を許容する
図8に示す開口部2bを有する。したがって回転部材2は、弾球が移動する通路を含む領域においても設置され得る。そのため回転部材2を比較的大きく構成でき、大きな回転部材2の回転によって遊技者がダイナミックな操作感を得ることができる。
【0031】
回転部材2は、
図5に示すようにリング状であり、回転中心に開口部2bを有する。したがって開口部2bは、回転部材2の回転角度に係らずに常に回転部材2を開口する。これにより開口部2bが常に弾球の通過を許容できる。
【0032】
遊技機本体は、
図1に示すように遊技盤12の下方において弾球を貯留する皿(上皿13)を有する。皿から流下する弾球が
図8に示す開口部2bを通過するように回転部材2が皿にあるいは皿に隣接して設けられる。したがって回転部材2は、皿の近くに位置することで遊技者に近接した位置に設置され得る。かくして遊技者は、回転部材2を容易に回転させ得る。
【0033】
回転部材2は、
図1に示すように皿(上皿13)の下面に沿って設けられ、弾球が皿から流下できるように
図8に示すように開口部2bが前後方向に貫通し、詳しくは前後および上下方向に斜めに貫通する。したがって回転部材2は、比較的大きな皿に沿って形成されることで大きく構成され得る。しかも皿の下面に沿うことで回転部材2の前領域が遊技者に近接し、遊技者が回転部材2を容易に回転させ得る。
【0034】
遊技機1用操作装置は、
図6に示すベース4と付勢部材9と
図8に示すスライド検知センサ20を有する。ベース4は、回転部材2が回転可能に装着されかつ遊技機本体(前カバー3b)にスライド可能に取付けられる。付勢部材9は、ベース4を一方向に付勢する。スライド検知センサ20は、ベース4のスライドを検知して演出装置に信号を発する。したがって回転部材2は、遊技機本体に対し回転するのみならずスライドもする。これにより遊技者は、2つの操作を楽しむことができる。回転部材2が遊技者によって押されることで新たな演出効果も演出装置によって奏され得る。
【0035】
遊技機本体は、
図1に示すように回転部材2を覆うカバー3と開口部3cを有する。開口部3cは、回転部材2の一部を露出して回転部材2が遊技者によって押されることで
図6に示す付勢部材9に抗してスライドすることを許容する。したがって回転部材2は、遊技者によって左右方向等の意図しない方向に力を受けることが避けられる。これにより回転部材2が所定方向に確実に押され得る。
【0036】
本発明は、上記実施の形態に限定されず、以下の形態等であっても良い。例えば、上記の構成に加え、あるいは
図5に示す回転検知センサ6b,7に代え、回転部材2の回転に連動する連動演出装置を有していても良い。連動演出装置は、例えばランプ、スピーカ、音発生器、可動部材を有する役物装置である。ランプ、スピーカは、回転部材2の回転によって発電する発電機から電気を受けて光または音を発する。音発生器は、例えばベース4に取付けられる板であって、板の端部が回転部材2のラック2cに当接し、回転部材2の回転時にラック2cにより振動して音を発する。役物装置は、回転部材2の回転力を伝達するリンク等を有し、リンク等によって可動部材が可動する。
【0037】
回転部材2は、
図5に示すようにリング状でも良いし、球形状あるいは円盤形状でも良い。回転部材2は、上述するように遊技領域の下方に設けられても良いし、遊技領域の上方、下方あるいは側方に設けられても良い。回転部材2は、カバー3によって一部を除いた略全周が覆われていても良いし、全周が覆われていなくても良い。
【0038】
回転部材2は、上述するように遊技機本体に対して回転およびスライド可能に設けられても良いし、回転のみ可能でスライド不能に設けられても良い。回転部材2は、斜めに設けられても良いし、直立あるいは水平に設けられても良い。回転部材2の回転方向は、横方向でも良いし、前後方向、上下方向でも良い。
【0039】
回転部材2は、光を透過できる材料から形成され、回転部材2の内部にLED等の発光体が設けられても良い。発光体は、演出装置の演出時に発光あるいは回転部材2が操作された際に発光しても良い。発光体は、回転部材2の回転方向を表示しても良い。
【0040】
演出装置は、回転部材2が回転する時とスライドする時に異なる演出をしても良く、例えば異なる音を発しても良い。演出装置は、回転部材2の回転速度に応じて演出を変更しても良い。
【0041】
遊技機1は、回転部材2を回転させるモータ等の駆動装置を有していても良い。駆動装置は、演出装置が演出する際に回転部材2を回転させても良い。
【0042】
付勢部材9は、上述するように引張りばねでも良いし、ベース4を上方に付勢するようにベース4と遊技機本体に接続された圧縮ばねでも良い。
【0043】
遊技機1は、上述するようにパチンコ機でも良いし、雀球遊技機、スマートボール遊技機、アレンジボール遊技機などの他の弾球遊技機、あるいはスロットマシン、パチスロ等であっても良い。遊技機1は、上述するように下皿14を有していても良いし、下皿14を有さなくても良い。
【0044】
回転部材2の開口部2bは、上述するように弾球の通過を許容する構成であっても良いし、これに加えてあるいはこれに代えて配線が相通される構成であっても良い。