特許第6144145号(P6144145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144145
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】プランジャ装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/20 20060101AFI20170529BHJP
   B22D 17/14 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   B22D17/20 G
   B22D17/14
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-159318(P2013-159318)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-29998(P2015-29998A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390009896
【氏名又は名称】愛知機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(74)【代理人】
【識別番号】100086520
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義久
(72)【発明者】
【氏名】西川 芳紀
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−031872(JP,A)
【文献】 特表2013−505138(JP,A)
【文献】 特開2012−040599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/00−17/32
B29C 45/46−45/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャスリーブ内の溶湯を真空状態のキャビティ内に射出するためのプランジャ装置であって、
射出ロッド部材と、
該射出ロッド部材の先端に取り付け固定されると共に、前記プランジャスリーブ内を摺動可能なプランジャチップと、
前記プランジャスリーブ内を摺動可能に前記プランジャチップに隣接配置されると共に、前記プランジャチップとの間に真空室となる空間を形成する空間形成用部材と、
を備え、
前記空間形成用部材は、前記射出ロッド部材に弾性支持されてなるプランジャ装置。
【請求項2】
前記空間形成用部材は、弾性部材を介して前記射出ロッド部材に取り付けられてなる請求項1に記載のプランジャ装置。
【請求項3】
前記空間形成用部材は、前記空間を真空にするための真空吸引口部を有してなる請求項1または2に記載のプランジャ装置。
【請求項4】
前記射出ロッド部材は、ロッド本体と、該ロッド本体の先端に取り外し可能に取り付けられたロッドジョイントと、を有し、
前記プランジャチップおよび前記空間形成用部材は、前記ロッドジョイントに取り付けられてなる
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプランジャ装置。
【請求項5】
前記空間形成用部材は、前記射出ロッド部材の外周面から張り出すリング状の張出部を有し、
前記真空吸引口部は、前記射出ロッド部材の軸線方向に前記張出部を貫通する貫通孔として形成されてなる請求項3または請求項3に従属する請求項4に記載のプランジャ装置。
【請求項6】
前記プランジャチップは、先端外周部に前記溶湯を滞留させる溶湯滞留部を有してなる請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプランジャ装置。
【請求項7】
前記溶湯滞留部は、前記プランジャチップ先端外周部の角部に設けられた面取り部である請求項6に記載のプランジャ装置。
【請求項8】
前記弾性部材は、Oリングを有してなる請求項2または請求項2に従属する請求項3ないし6のいずれか1項に記載のプランジャ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランジャスリーブ内の溶湯を真空状態のキャビティ内に射出するためのプランジャ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のプランジャ装置としては、軸線方向に2つに分割されたプランジャチップを、互いに所定距離離した状態で射出ロッドに取り付け固定することにより、当該2つのプランジャチップ間に空間を形成すると共に、射出ロッド内部に形成したエア通路を介して2つのプランジャチップ間に形成された空間を、真空発生装置に連通接続させることにより、当該空間を真空室とする構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この装置では、2つのプランジャチップ間に真空室となる空間を形成する構成であるため、プランジャチップ自体に真空室となる凹部を含む真空用経路を設ける必要がない。これにより、プランジャチップが大型化するのを抑制できる。また、プランジャチップの内部にプランジャチップを冷却するための冷却水通路を設ける場合においては、冷却水通路の設計自由度を高くすることができる。
【0004】
しかしながら、上述したプランジャ装置では、2つのプランジャチップが射出ロッドに固定される構成、即ち、2つのプランジャチップと射出ロッドとが剛体的に結合される構成であるため、射出成形の際に生ずる振動の位相や振幅が2つのプランジャチップで同程度となり、振動に起因する圧力等のプランジャチップの摩耗に影響する因子が、各プランジャチップにおいて同程度に作用する。これにより、特に、各プランジャチップが同部材で構成されている場合には、ほぼ同時期に同程度の割合で摩耗が発生することになり、一度に2つのプランジャチップを交換する必要が生ずる。例えば、各プランジャチップの硬度を変える等、各プランジャチップを異なる部材で構成することも考えられるが、コスト増加を招く。このため、メンテナンスに要するコストを抑制するという点で、なお改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−144566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、メンテナンスに要するコストの増加抑制に資する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプランジャ装置は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係るプランジャ装置の好ましい形態によれば、プランジャスリーブ内の溶湯を真空状態のキャビティ内に射出するためのプランジャ装置が構成される。プランジャ装置は、射出ロッド部材と、プランジャチップと、空間形成用部材と、を備える。プランジャチップは、射出ロッド部材の先端に取り付け固定されると共に、プランジャスリーブ内を摺動可能である。空間形成用部材は、プランジャスリーブ内を摺動可能にプランジャチップに隣接配置され、プランジャチップとの間に真空室となる空間を形成する。そして、空間形成用部材は、射出ロッド部材に弾性支持される構成である。なお、本発明における「弾性支持される」態様としては、典型的には、空間形成用部材がゴムなどの弾性部材を介して射出ロッド部材に支持される態様がこれに該当する。
【0009】
本発明によれば、プランジャチップと、プランジャチップとは別体の空間形成用部材とによって真空室となる空間を形成する構成であるため、プランジャチップ自体に真空室となる空間や通路を形成する構成に比べて、プランジャチップが大型化することを抑制することができる。また、プランジャチップの内部にプランジャチップを冷却するための冷却水を流す冷却水通路を設ける場合において、冷却水通路の設計自由度を高くすることができる。さらに、空間形成用部材が、射出ロッド部材に弾性支持される構成、即ち、空間形成用部材が、射出ロッド部材に対して射出ロッド部材の軸線方向と交差する方向への移動が許容された状態で、射出ロッド部材に支持される構成であるため、射出成形の際に生じる振動の位相や振幅を、空間形成用部材とプランジャチップとで異ならせることができる。これにより、振動に起因する圧力等の摩耗に影響する因子の作用態様を、プランジャチップと空間形成用部材とで異なることになり、プランジャチップと空間形成用部材とに生じる摩耗の発生時期や程度を異ならせることができる。即ち、プランジャチップと空間形成用部材との交換時期を異ならせることができる。この結果、メンテナンスに要するコストが増加することを抑制することができる。なお、「因子の作用態様」とは、典型的には、当該因子の値の大きさや作用方向、作用頻度などがこれに該当する。
【0010】
本発明に係るプランジャ装置の更なる形態によれば、空間形成用部材は、弾性部材を介して射出ロッド部材に取り付けられるように構成されている。本発明における「弾性部材」とは、典型的にはゴムがこれに該当するが、バネを好適に包含する。
【0011】
本形態によれば、弾性部材を介して射出ロッド部材に空間形成用部材を取り付けるという簡易な構成で、空間形成用部材が射出ロッド部材に対して径方向に移動可能な構成を実現できる。
【0012】
本発明に係るプランジャ装置の更なる形態によれば、空間形成用部材は、プランジャチップとの間に形成される空間を真空にするための真空吸引口部を有する。
【0013】
本形態によれば、プランジャチップとプランジャスリーブとの隙間から浸入した溶湯によって真空吸引口部が詰まった場合には、空間形成用部材のみを交換すれば良いため、射出ロッド部材に真空吸引部を設け、真空吸引部が詰まった場合に射出ロッド部材ごと交換する構成に比べて、メンテナンスに要するコストの増加を抑制することができる。
【0014】
本発明に係るプランジャ装置の更なる形態によれば、射出ロッド部材は、ロッド本体と、当該ロッド本体の先端に取り外し可能に取り付けられたロッドジョイントと、を有する。そして、プランジャチップおよび空間形成用部材は、ロッドジョイントに取り付けられるように構成されている。
【0015】
本形態によれば、それぞれの機能に応じてプランジャ装置を、プランジャチップ、真空室形成部材、ロッドジョイントおよびロッド本体に分割する構成であるため、それぞれ必要に応じて部品の交換を行うことができる。これにより、部品交換を合理的に行うことができるため、メンテナンスに要するコストの増加をより抑制することができる。
【0016】
本発明に係るプランジャ装置の更なる形態によれば、空間形成用部材は、射出ロッド部材の外周面から張り出すリング状の張出部を有する。そして、真空吸引口部は、張出部を軸線方向に貫通する貫通孔として形成されている。
【0017】
本形態によれば、空間形成用部材におけるリング状部の張出部を有効に活用して真空吸引口部を設ける構成であるため、真空吸引口部を設けるためのスペースを別途確保する必要がない。この結果、装置の大型化を抑制できる。また、真空吸引口部が貫通孔として形成される構成であるため、構造も簡単である。
【0018】
本発明に係るプランジャ装置の更なる形態によれば、プランジャチップは、先端外周部に溶湯を滞留させる溶湯滞留部を有するように構成されている。本発明における「溶湯滞留部」は、典型的には、プランジャチップの先端外周部の角部を面取りした部分がこれに該当するが、プランジャチップの先端外周部の角部を凹み状に処理した凹部を好適に包含する。
【0019】
本形態によれば、プランジャチップの先端外周部において溶湯を滞留させることができるため、プランジャチップの先端外周部近傍の溶湯を他の部分の溶湯に比べて早期に凝固状態にすることができる。これにより、プランジャチップの先端外周部には溶湯の半凝固層が形成されることになり、空間からプランジャチップとプランジャスリーブとの間の隙間を介して浸入する空気等を遮断することができる。また、逆に、溶湯が当該隙間を介して空間に浸入することも防止することができる。
【0020】
本発明に係るプランジャ装置の更なる形態によれば、溶湯滞留部は、プランジャチップ先端外周部の角部に設けられた面取り部である。
【0021】
本形態によれば、プランジャチップ先端外周部の角部に面取り部を設けるという簡易な構成で溶湯滞留部を構成することができる。
【0022】
本発明に係るプランジャ装置の更なる形態によれば、弾性部材は、Oリングを有している。本形態によれば、空間形成用部材と射出ロッド部材との隙間を塞ぐことができるため、空間をより効果的に真空状態とすることができる。また、空間形成用部材を射出ロッド部材に対して径方向に移動可能に保持するための部材をシール部材としても機能させる構成であるため合理である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、プランジャ装置におけるメンテナンスに要するコストの増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施の形態に係るプランジャ装置10を備える真空ダイカスト装置30の構成の概略を示す構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係るプランジャ装置10の要部を示す要部拡大断面図である。
図3】プランジャチップ12に溶湯が接触した状態を示す状態図である。
図4】真空リング18が、ロッドジョイント14に対して、ロッドジョイント14の軸線方向に交差する方向に移動した状態を示す状態図である。
図5】真空リング18が、ロッドジョイント14に対して、ロッドジョイント14の軸線方向に交差する方向に移動した状態を示す状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係るプランジャ装置10を備える真空ダイカスト装置30の構成の概略を示す構成図である。実施例の真空ダイカスト装置30は、図1に示すように、固定型32と、可動型34と、固定型32と可動型34との合わせ面に配置されたガス抜き装置50と、固定型32に連結されたプランジャスリーブ42と、プランジャスリーブ42内に挿通されるプランジャ装置10と、配管70を介してガス抜き装置50およびプランジャ装置10に接続された真空発生装置80と、配管72を介してプランジャ装置10に接続されたエア源82と、を備える。プランジャ装置10は、本発明における「プランジャ装置」に対応し、プランジャスリーブ42は、本発明における「プランジャスリーブ」に対応する実施構成の一例である。
【0029】
固定型32および可動型34には、図1に示すように、ダイカスト製品を成形するためのキャビティ36が区画形成されている。
【0030】
プランジャスリーブ42は、軸線方向に貫通する内孔42aを有する円筒状部材として構成されており、固定型32に連結されることにより、キャビティ36と内孔42aとが連通接続されて、溶湯が流れる溶湯通路が構成される。プランジャスリーブ42の固定型32との接続端部とは軸線方向において反対側の端部寄りの外周部には、溶湯を内孔42a内に給湯するための給湯口42bが形成されている。
【0031】
ガス抜き装置50は、図1に示すように、キャビティ36内のガスを抜くために、固定型32および可動型34における上方部に設けられる。ガス抜き装置50は、例えば、固定型32および可動型34の合わせ面に形成されたガス抜き溝や当該ガス抜き溝に設置される弁体を備えるガスベント(ガス抜き弁)として構成される。
【0032】
図2は、本発明の実施の形態に係るプランジャ装置10の要部を示す要部拡大断面図である。プランジャ装置10は、図2に示すように、プランジャチップ12と、プランジャチップ12に接続されたロッドジョイント14と、ロッドジョイント14上に配置された真空リング18と、ロッドジョイント14に接続された射出ロッド16と、から構成されており、図1に示すように、射出ロッド16の他端側において射出シリンダ11に連結されている。プランジャチップ12は、本発明における「プランジャチップ」に対応し、ロッドジョイント14は、本発明における「ロッドジョイント」に対応し、真空リング18は、本発明における「空間形成用部材」に対応する実施構成の一例である。また、ロッドジョイント14および射出ロッド16は、本発明における「射出ロッド部材」に対応する実施構成の一例である。
【0033】
プランジャチップ12は、図2に示すように、内部に有底段付き孔13を有する円筒状部材として構成されており、図1に示すように、プランジャスリーブ42の内孔42a内を摺動する。プランジャチップ12は、プランジャスリーブ42の内孔42aの内径とほぼ同径の外径を有する円筒部12aと、円筒部12aの一端側(図2における左側)の角部を面取りすることにより形成された面取り部12bと、円筒部12aの他端側(図2における右側)に連続して形成されたテーパー部12cと、テーパー部12cに連続して形成された円筒部12dと、から構成されている。テーパー部12cは、円筒部12aから遠ざかるに伴い径が小さくなるような傾斜面を有している。したがって、円筒部12dの外径は、円筒部12aの外径に比べて小さい。有底段付き孔13は、円筒部12dの端面側(図2における右側)においてのみ開口されており、円筒部12aに対応する部分に形成された孔13aにおける内径が最も大きく、テーパー部12cに対応する部分に形成された孔13cにおける内径が最も小さい。円筒部12dに対応する部分に形成された孔13dにおける内径は、孔13cにおける内径よりも若干大きい。孔13cは、軸線方向全域において雌ネジが形成されたネジ孔として構成されている。面取り部12bは、本発明における「溶湯滞留部」に対応する実施構成の一例である。
【0034】
ロッドジョイント14は、図2に示すように、ほぼ中央部にフランジ部14cを有する段付き軸状部材として構成されている。フランジ部14cを挟んで軸線方向両側に延出する両軸部の先端部分は、外周面に雄ネジが形成された雄ネジ部14a,14bとして構成されている。また、両雄ネジ部14a,14bとフランジ部14cとの間は、雄ネジ部14a,14bの外径よりも若干大きい外径に形成された円筒部14d,14eとされている。円筒部14dの外径は、プランジャチップ12の有底段付き孔13における孔13dの内径よりも若干小さく形成されており、外周面にはOリングR1を嵌装するための環状溝g1が形成されている。また、円筒部14eの外径は、円筒部14dの外径とほぼ同じ大きさに形成されており、外周面にはOリングR2,R3を嵌装するための環状溝g2,g3が形成されている。ロッドジョイント14の内部には、軸線方向に貫通する貫通孔15が形成されている。なお、フランジ部14cの外周面には、互いに平行な二面、即ち、二面幅14fが形成されている。OリングR2は、本発明における「弾性部材」に対応する実施構成の一例である。
【0035】
ロッドジョイント14の雄ネジ部14aは、プランジャチップ12の有底段付き孔13におけるネジ孔としての孔13cに螺合される。これにより、プランジャチップ12とロッドジョイント14とがネジ結合される。プランジャチップ12は、ロッドジョイント14のフランジ部14cの一端面(図2における左側の面)に突き当たることで軸線方向の位置決めがなされる。また、プランジャチップ12とロッドジョイント14とがネジ結合された状態において、ロッドジョイント14の円筒部14dに嵌装されたOリングR1が、プランジャチップ12の有底段付き孔13における孔13dに弾性変形した状態で接触する。これにより、ロッドジョイント14の円筒部14dと、孔13dとの隙間が封止される。
【0036】
射出ロッド16は、図2に示すように、軸状部材として構成されており、内部に段付き孔17が形成されている。段付き孔17は、一端(図2において左側)が開口しており、他端が図示しない水源に接続されている。段付き孔17は、開口側から順に内径が小さくなる3つの孔17a,17b,17cにより構成されている。孔17aの内径は、ロッドジョイント14の円筒部14eの外径よりも若干大きく形成されている。また、孔17bは、軸線方向全域に亘って雌ネジが形成されたネジ孔として構成されている。孔17cの内径は、ロッドジョイント14の貫通孔15の内径とほぼ同径に形成されている。
【0037】
射出ロッド16のネジ孔としての孔17bには、ロッドジョイント14の雄ネジ部14bが螺合される。これにより、射出ロッド16とロッドジョイント14とが同軸状にネジ結合される。射出ロッド16は、孔17bと孔17cとの接続部である段部、即ち、孔17bの底面が、ロッドジョイント14の雄ネジ部14bの端面に突き当たることで軸線方向の位置決めがなされる。ここで、射出ロッド16がロッドジョイント14にネジ結合された状態において、フランジ部14cの他端面(プランジャチップ12における円筒部12dの端面が当接する端面とは軸線方向において反対側の端面。図2における右側の面)と当該他端面と対向する射出ロッド16の先端面との間には、環状凹部が形成される。この環状凹部の軸線方向幅寸法は、真空リング18の軸線方向幅寸法よりも若干大きくなるように設定されている。また、射出ロッド16とロッドジョイント14とがネジ結合された状態においては、ロッドジョイント14の円筒部14eの外周面と射出ロッド16の孔17aの内周面との間でOリングR3が圧縮方向に弾性変形される。これにより、ロッドジョイント14の円筒部14と、孔17aとの隙間が封止される。プランジャチップ12の有底段付き孔13、ロッドジョイント14の貫通孔15および射出ロッド16の段付き孔17によって、プランジャチップ12を冷却するための冷却水通路が構成される。冷却水通路は、具体的には、段付き孔17から貫通孔15および孔13に亘って挿通された冷却パイプPの内部通路と、当該冷却パイプPの外周面と各孔(孔13,貫通孔15および段付き孔17)の内周面との間に形成された環状通路とにより構成される。即ち、冷却水は、冷却パイプPの内部通路を通して孔13a内に供給されてプランジャチップ12を冷却し、プランジャチップ12を冷却した後は、冷却パイプPの外周面と各孔(孔13,貫通孔15および段付き孔17)の内周面との間に形成された環状通路を通して排水される。
【0038】
真空リング18は、プランジャスリーブ42の内孔42a内を摺動するように、外径がプランジャチップ12の円筒部12aの外径と同径に形成されると共に、内部に軸線方向に貫通する貫通孔18aが形成されたリング状部材として構成されている。貫通孔18aの内径は、ロッドジョイント14の円筒部14eの外径よりも若干大きく形成されている。また、真空リング18の貫通孔18aよりも径方向外方の位置には軸線方向に貫通する貫通孔18bが形成されている。より詳細には、貫通孔18bは、真空リング18をロッドジョイント14に取り付けた際に、ロッドジョイント14の外周面から張り出すフランジ部を軸線方向に貫通するように形成されている。貫通孔18bには、パイプ20が接続される。パイプ20は、真空リング18をロッドジョイント14に取り付けた際に、プランジャチップ12が配置される側とは反対側から接続される。パイプ20における貫通孔18bに接続された端部とは反対側の端部には、配管70,72が接続さる。
【0039】
真空リング18は、ロッドジョイント14上において、プランジャチップ12に隣接して配置される。具体的には、ロッドジョイント14の円筒部14eにOリングR2を介して支持される。即ち、真空リング18は、ロッドジョイント14と射出ロッド16とによって形成される環状凹部に配置される。ここで、環状凹部の軸線方向幅寸法が、真空リング18の軸線方向幅寸法よりも若干大きくなるように設定されているため、真空リング18は、ロッドジョイント14に対する径方向移動が許容された状態で、ロッドジョイント14に支持される構成となる。真空リング18がロッドジョイント14の円筒部14eにOリングR2を介して支持される構成は、本発明における「射出ロッド部材に弾性支持される」に対応する実施構成の一例である。なお、真空リング18は、ロッドジョイント14に射出ロッド16がネジ結合される前に、ロッドジョイント14の円筒部14eに嵌装される。
【0040】
プランジャチップ12、ロッドジョイント14、真空リング18および射出ロッド16が一体に組み付けられると、プランジャチップ12と真空リング18との間には、図2に示すように、環状凹部RCが形成される。具体的には、環状凹部RCは、プランジャチップ12のテーパー部12cおよび円筒部12dの外周面と、ロッドジョイント14のフランジ部14cの外周面と、真空リング18のプランジャチップ12側を向く端面とによって構成される。なお、環状凹部RCは、軸線方向に平行に切った断面が略U字形状をしている。
【0041】
真空発生装置80は、キャビティ36内や後述する空間S内の空気を排出するための装置である。真空発生装置80とキャビティ36およびパイプ20とを接続する配管70中には、図1に示すように、真空発生装置80によるキャビティ36および空間Sからの空気(ガス)の吸引が可能な状態と吸引を停止する状態とを切り替える切換え弁84,86が設けられている。なお、説明の便宜上、切換え弁84,86の状態のうち、真空発生装置80によるキャビティ36および空間Sからの空気(ガス)の吸引が可能な状態を「開状態」、真空発生装置80によるキャビティ36および空間Sからの空気(ガス)の吸引を停止する状態を「閉状態」という。
【0042】
エア源82は、パイプ20や真空リング18の貫通孔18bにエアを供給して、パイプ20内や貫通孔18b内を洗浄する(逆洗)ためのエアを供給する。エア源82とパイプ20とを接続する配管72中には、図1に示すように、エア源82からパイプ20へのエアの供給が可能な状態と供を停止する状態とを切り替える切換え弁88が設けられている。なお、説明の便宜上、切換え弁88の状態のうち、エア源82からパイプ20への空気の供給が可能な状態を「開状態」、エア源82からパイプ20への空気の供給を停止する状態を「閉状態」という。
【0043】
次に、こうして構成された実施例のプランジャ装置10の動作、特に、溶湯を射出する際の動作について説明する。図3はプランジャチップ2に溶湯が接触した状態を示す状態図である。射出開始前は、切換え弁84,86,88はいずれも閉状態となっている。この状態で、プランジャスリーブ42の給湯口42bから溶湯を供給すると共に、プランジャ装置10、具体的には、ロッドジョイント14で連結されたプランジャチップ12,真空リング18および射出ロッド16をプランジャスリーブ42の内孔42aに挿入する。ここで、ロッドジョイント14で連結されたプランジャチップ12,真空リング18および射出ロッド16がプランジャスリーブ42の内孔42a内に挿通されることで、図3に示すように、プランジャチップ12と真空リング18との間に形成された環状凹部RCの開放端部(断面U字形状の上方開放部)がプランジャスリーブ42の内孔42aで塞がれて、リング状の空間Sが構成される。即ち、プランジャチップ12の背面にリング状の空間Sが形成される。空間Sは、本発明における「空間」に対応する実施構成の一例である。
【0044】
そして、ロッドジョイント14で連結されたプランジャチップ12,真空リング18および射出ロッド16をプランジャスリーブ42の内孔42aに挿入した後、プランジャチップ12および真空リング18がプランジャスリーブ42の内孔42a内をキャビティ36側に向けて摺動するように、射出シリンダ11を駆動する。これにより、プランジャスリーブ42内の溶湯のキャビティ36に向けた射出が開始される。そして、切換え弁84,86が開状態とされ、キャビティ36内の空気(ガス)がガス抜き装置50を介して吸引されると共に、リング状の空間S内の空気(ガス)がパイプ20を介して吸引されて、キャビティ36およびリング状の空間Sが真空状態とされる。このように、キャビティ36のみならずプランジャチップ12の背面をも真空状態とすることにより、プランジャチップ12とプランジャスリーブ42の内孔42aとの隙間を通って外気がプランジャスリーブ42内、より具体的には、プランジャスリーブ42内のうち溶湯が存在する領域に流入することがない。この結果、溶湯の泡立ちを防止でき、ダイカスト製品にガス欠陥が発生することを良好に防止することができる。なお、プランジャチップ12の背面を真空状態とする構成とすることによって、キャビティ36内の空気(ガス)を吸引するタイミングを、プランジャチップ12の背面を真空状態としない構成に比べて早めることができる(具体的には、真空リング18が、給湯口42bを通過した時点からキャビティ36内の空気(ガス)の吸引を開始することができる)ため、キャビティ36内の空気(ガス)を吸引する時間を長くすることができる。これにより、キャビティ36内の真空度をより上げることができ、ダイカスト製品内部に残留するガス量を低減することができる。この結果、ダイカスト製品の品質向上を図ることができる。
【0045】
また、仮に、真空吸引によって、溶湯がプランジャチップ12とプランジャスリーブ42の内孔42aとの隙間を逆流してパイプ20が詰まった場合には、ロッドジョイント14を射出ロッド16から取り外すと共に、ロッドジョイント14から真空リング18を取り外し、その後、パイプ20を真空リング18から抜き取ることで、溶湯が詰まったパイプ20のみを交換することができる。真空リング18の貫通孔18bに溶湯が詰まった場合には、真空リング18の交換のみで済む。したがって、射出ロッド16ごと交換する構成に比べて、メンテナンスに要するコストの増加を抑制することができる。
【0046】
さらに、真空リング18に形成した貫通孔18bを、リング状の空間Sから空気(ガス)を吸引するための通路の一部とする構成、即ち、真空リング18におけるロッドジョイント14の外周面から張り出したフランジ部を真空吸引の通路として有効に活用する構成であるため、真空吸引の通路を設けるためのスペースを別途確保する必要がない。この結果、装置の大型化を抑制できる。また、真空吸引の通路が貫通孔18bとして形成される構成であるため、構造も簡単である。
【0047】
また、射出が開始されると、図3に示すように、プランジャチップ12の先端に設けた面取り部12bとプランジャスリーブ42の内孔42aとの間のスペースASに溶湯が入り込み、当該スペースAS内に入り込んだ溶湯は、当該スペースAS内で滞留することになるため、他の領域における溶湯に比べて凝固し易く、当該スペースAS内において半凝固層を構成する。これにより、リング状の空間Sからプランジャチップ12とプランジャスリーブ42の内孔42aとの隙間を通って空気(ガス)が流入することをさらに抑制することができる。また、逆に、溶湯がプランジャチップ12とプランジャスリーブ42の内孔42aとの隙間からリング状の空間S内に流入することも良好に防止することができる。
【0048】
また、プランジャチップ12がロッドジョイント14を介して射出ロッド16に剛体的に結合されているのに対して、真空リング18はロッドジョイント14にOリングR2を介して弾性支持される構成、即ち、真空リング18はロッドジョイント14に対して、ロッドジョイント14の軸線方向と交差する方向への移動が許容された状態で、ロッドジョイント14に支持される構成であるため、射出成形の際にプランジャ装置10に振動が生じた場合に、プランジャチップ12と真空リング18とを個々に振動させることができる。図4および図5は真空リング18がロッドジョイント14に対して、ロッドジョイント14の軸線方向と交差する方向に移動した状態を示す状態図である。射出成形の際にプランジャ装置10に振動が生じた場合における、真空リング18のロッドジョイント14に対する軸線方向と交差する方向への移動の態様としては、例えば、図4に示すように、真空リング18の軸線CL2がロッドジョイント14の軸線CL1に対して平行状に移動する態様や、図5に示すように、真空リング18の軸線CL2がロッドジョイント14の軸線CL1に対して傾斜状に移動する態様が考えられる。いずれの場合においても、真空リング18のロッドジョイント14に対する軸線方向と交差する方向への移動は、OリングR2の弾性変形可能な領域において行われる。
【0049】
このように、実施例のプランジャ装置10においては、射出成形の際に振動が生じた場合に、プランジャチップ12と真空リング18とが個々に振動する構成、言い換えると、プランジャチップ12と真空リング18とで射出成形の際に生じる振動の位相や振幅を異ならせることができる構成であるため、振動に起因する圧力等の摩耗に影響する因子の値の大きさや作用方向、作用頻度等を、プランジャチップ12と真空リング18とで異ならせることができる。これにより、プランジャチップ12と真空リング18とに生じる摩耗の発生時期や程度を異ならせることができる。即ち、プランジャチップ12と真空リング18との交換時期を異ならせることができる。この結果、メンテナンスに要するコスト増加を抑制することができる。
【0050】
以上説明した実施例のプランジャ装置10によれば、プランジャチップ12はロッドジョイント14にネジ結合すると共に、真空リング18はロッドジョイント14にOリングR2を介して弾性支持する構成であるため、射出成型の際にプランジャ装置10に振動が生じた場合に、プランジャチップ12と真空リング18とを個々に振動させることができる。即ち、プランジャチップ12と真空リング18とで射出成形の際に生じる振動の位相や振幅を異ならせることができる構成であるため、振動に起因する圧力等の摩耗に影響する因子の値の大きさや作用方向、作用頻度等を、プランジャチップ12と真空リング18とで異ならせることができる。これにより、プランジャチップ12と真空リング18とに生じる摩耗の発生時期や程度を異ならせることができる。この結果、プランジャチップ12と真空リング18との交換時期を異ならせることができ、メンテナンスに要するコスト増加を抑制することができる。なお、プランジャチップ12とは別対の真空リング18を用いて真空室となる空間Sを形成する構成であるため、プランジャチップ12自体に空間Sを形成する構成に比べて、プランジャチップ12の大型化を抑制することができる。また、冷却水通路(有底段付き孔13)の設計自由度を高くすることができる。
【0051】
また、真空リング18とロッドジョイント14との間に配置されたがOリングR2によって、真空リング18とロッドジョイント14との間の隙間を塞ぐ(密封する)ことができるため、空間Sの真空状態をより効果的に実現できる。しかも、真空リング18をロッドジョイント14に支持するための部材をシール部材としても機能させる構成であるため、合理的である。
【0052】
また、実施例のプランジャ装置10によれば、真空リング18におけるロッドジョイント14の外周面から張り出したフランジ部に貫通孔18bを形成し、当該貫通孔18bにパイプ20を接続することにより、真空吸引の通路を形成する構成であるため、仮に、真空吸引によって、溶湯がプランジャチップ12とプランジャスリーブ42の内孔42aとの隙間を逆流して貫通孔18bないしパイプ20が詰まった場合には、真空リング18ないしパイプ20のみの交換で済ませることができる。したがって、射出ロッド16ごと交換する構成に比べて、メンテナンスに要するコストの増加を抑制することができる。なお、真空吸引の通路として、真空リング18におけるロッドジョイント14の外周面から張り出したフランジ部に貫通孔18bを形成する構成であるため、真空吸引の通路を設けるためのスペースを別途確保する必要がない。この結果、装置の大型化を抑制できる。また、真空吸引の通路が貫通孔18bとして形成される構成であるため、構造も簡単である。
【0053】
さらに、実施例のプランジャ装置10によれば、プランジャ装置10を、それぞれの機能に応じて分割する構成、より詳細には、溶湯と接触して溶湯を押し出すためのプランジャチップ12と、真空室としての空間Sを形成するための真空リング18と、プランジャチップ12および真空リング18を支持するためのロッドジョイント14と、射出シリンダ11に接続されて駆動軸として機能する射出ロッド16とに分割する構成であるため、それぞれ必要に応じて部品の交換を行うことができる。これにより、部品交換を合理的に行うことができるため、メンテナンスに要するコストの増加をより抑制することができる。
【0054】
また、実施例のプランジャ装置10によれば、プランジャチップ12の先端に面取り部12bを設ける構成であるため、当該面取り部12bとプランジャスリーブ42の内孔42aとの間のスペースASに溶湯が入り込み、当該スペースAS内に入り込んだ溶湯を滞留させることができる。即ち、スペースAS内の溶湯を、他の領域における溶湯に比べて凝固し易い状態として、当該スペースAS内に半凝固層を構成することができる。これにより、リング状の空間Sからプランジャチップ12とプランジャスリーブ42の内孔42aとの隙間を通って空気(ガス)が流入することを効果的に抑制することができる。また、逆に、溶湯がプランジャチップ12とプランジャスリーブ42の内孔42aとの隙間からリング状の空間S内に流入することも良好に防止することができる。
【0055】
実施例のプランジャ装置10では、OリングR2を介して真空リング18をロッドジョイント14に弾性支持する構成としたが、真空リング18がロッドジョイント14に弾性支持できれば良く、例えば、真空リング18をゴムブッシュやバネを介してロッドジョイント14に弾性支持する構成としても構わない。
【0056】
また、実施例のプランジャ装置10では、OリングR2は1つとしたが、OリングR2は複数設けても良い。
【0057】
また、実施例のプランジャ装置10では、真空リング18に真空吸引の通路の一部を構成する貫通孔18aを設ける構成としたが、真空吸引の通路は射出ロッド16やロッドジョイント14の内部に設ける構成としても差し支えない。
【0058】
また、実施例のプランジャ装置10では、プランジャチップ12における先端側外周部の角部を面取りすることにより面取り部12bを形成する構成としたが、面取り部12bに変えて、プランジャチップ12における先端側外周部の角部を凹み状の凹部に形成する構成としてもかまわない。なお、プランジャチップ12における先端側外周部の角部には、面取り部12bや凹部を形成しない構成であっても差し支えない。
【0059】
また、実施例のプランジャ装置10では、ロッドジョイント14および射出ロッド16を別部材として構成するものとしたが、ロッドジョイント14は有さず、射出ロッド16にロッドジョイント14の機能を持たせる構成としても構わない。
【0060】
(実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係)
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。なお、本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。
プランジャ装置10は、本発明の「プランジャ装置」に対応する構成の一例である。
射出ロッド16は、本発明の「射出ロッド部材」に対応する構成の一例である。
射出ロッド16は、本発明の「ロッド本体」に対応する構成の一例である。
ロッドジョイント14は、本発明の「射出ロッド部材」に対応する構成の一例である。
ロッドジョイント14は、本発明の「ロッドジョイント」に対応する構成の一例である。
プランジャチップ12は、本発明の「プランジャチップ」に対応する構成の一例である。
真空リング18は、本発明の「空間形成部材」に対応する構成の一例である。
OリングR2は、本発明の「弾性部材」に対応する構成の一例である。
OリングR2は、本発明の「Oリング」に対応する構成の一例である。
貫通孔18aは、本発明の「真空吸引部」に対応する構成の一例である。
面取り部12bは、本発明の「溶湯滞留部」に対応する構成の一例である。
【0061】
以上の発明の趣旨に鑑み、本発明に係るクラッチ切替装置は、下記の態様が構成可能である。
(態様1)
「プランジャスリーブ内の溶湯を真空状態のキャビティ内に射出するためのプランジャ装置であって、
射出ロッド部材と、
該射出ロッド部材の先端に取り付け固定されると共に、前記プランジャスリーブ内を摺動可能なプランジャチップと、
前記プランジャスリーブ内を摺動可能に前記プランジャチップに隣接配置されると共に、前記プランジャチップとの間に真空室となる空間を形成する空間形成用部材と、
を備え、
前記空間形成用部材は、前記射出ロッド部材に弾性支持されてなるプランジャ装置。」
(態様2)
「プランジャスリーブ内の溶湯を真空状態のキャビティ内に射出するためのプランジャ装置であって、
射出ロッド部材と、
該射出ロッド部材の先端に取り付け固定されると共に、前記プランジャスリーブ内を摺動可能なプランジャチップと、
前記プランジャスリーブ内を摺動可能に前記プランジャチップに隣接配置され、前記プランジャチップとの間に真空室となる空間を形成すると共に、前記射出ロッド部材に弾性支持されてなる空間形成用部材と、
を備えるプランジャ装置。」
(態様3)
「前記空間形成用部材は、弾性部材を介して前記射出ロッド部材に取り付けられてなる前記態様1または2に記載のプランジャ装置。」
(態様4)
「前記空間形成用部材は、前記空間を真空にするための真空吸引口部を有してなる前記態様1から3のうちのいずれかに記載のプランジャ装置。」
(態様5)
「前記射出ロッド部材は、ロッド本体と、該ロッド本体の先端に取り外し可能に取り付けられたロッドジョイントと、を有し、
前記プランジャチップおよび前記空間形成用部材は、前記ロッドジョイントに取り付けられてなる
前記態様1から4のうちのいずれかに記載のプランジャ装置。」
(態様6)
「前記空間形成用部材は、前記射出ロッド部材の外周面から張り出すリング状の張出部を有し、
前記真空吸引口部は、前記射出ロッド部材の軸線方向に前記張出部を貫通する貫通孔として形成されてなる前記態様4または前記態様4に従属する前記態様5に記載のプランジャ装置。」
(態様7)
「前記プランジャチップは、先端外周部に前記溶湯を滞留させる溶湯滞留部を有してなる前記態様1から6のうちのいずれかに記載のプランジャ装置。」
(態様8)
「前記溶湯滞留部は、前記プランジャチップ先端外周部の角部に設けられた面取り部である前記態様7に記載のプランジャ装置。」
(態様9)
「前記溶湯滞留部は、前記プランジャチップ先端外周部の角部に設けられた凹部である前記態様7に記載のプランジャ装置。」
(態様10)
「前記弾性部材は、Oリングを有してなる前記態様3から9のうちのいずれに記載のプランジャ装置。」
(態様11)
「前記態様1から8のうちのいずれかに記載のプランジャ装置を用いて前記キャビティ内に前記溶湯を射出することにより鋳造成形されてなる鋳造成形品。」
(態様12)
「前記鋳造成形品は、シリンダブロックである前記態様11に記載の鋳造成形品。」
【符号の説明】
【0062】
10 プランジャ装置
11 射出シリンダ
12 プランジャチップ
12a 円筒部
12b 面取り部
12c テーパー部
12d 円筒部
13 有底段付き孔13
13a 孔
13c 孔
13d 孔
14 ロッドジョイント
14a 雄ネジ部
14b 雄ネジ部
14c フランジ部
14d 円筒部
14e 円筒部
14f 二面幅
15 貫通孔
16 射出ロッド
17 段付き孔
17a 孔
17b 孔
17c 孔
18 真空リング
18a 貫通孔
18b 貫通孔
20 パイプ
32 固定型
34 可動型
36 キャビティ
42 プランジャスリーブ
42a 内孔
42b 給湯口
50 ガス抜き装置
70 配管
72 配管
80 真空発生装置
82 エア源
84 切換え弁
86 切換え弁
88 切換え弁
R1 Oリング
R2 Oリング
R3 Oリング
g1 環状溝
g2 環状溝
g3 環状溝
RC 環状凹部
S 空間
P 冷却パイプ
AS スペース
CL1 軸線
CL2 軸線
図1
図2
図3
図4
図5