特許第6144148号(P6144148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144148
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】予作動式スプリンクラー消火設備
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/64 20060101AFI20170529BHJP
   A62C 37/36 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   A62C35/64
   A62C37/36
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-160018(P2013-160018)
(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公開番号】特開2015-29631(P2015-29631A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】杉山 泰周
【審査官】 小笠原 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−290430(JP,A)
【文献】 特開2012−040263(JP,A)
【文献】 特開平10−188155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 35/64
A62C 35/58
A62C 37/36
A62C 37/00
G08B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の防護区画毎に、
閉鎖型のスプリンクラーヘッドと、
防護区画の火災を検出する火災感知器と、
遠隔制御により開放され、1次側の給水配管から供給された加圧消火用水を2次側配管に接続した前記スプリンクラーヘッドに供給する予作動弁装置と、
前記スプリンクラーヘッドの開放作動による前記予作動弁装置の2次側配管の減圧を検出する減圧検出器と、
前記火災感知器による火災検出と前記減圧検出器による減圧検出の両方を判別した場合に前記予作動弁装置を開放して前記スプリンクラーヘッドから加圧消火用水を散水させる制御部と、
を備え、定常監視状態で前記スプリンクラーヘッドを接続した前記予作動弁装置の2次側配管に加圧消火用水を充水するか又は加圧空気を充填した予作動式スプリンクラー消火設備に於いて、
前記火災感知器を接続した感知器線の断線を検出する第1断線監視部と、
前記減圧検出器を接続した制御線の断線を検出する第2断線監視部と、
放水断定操作を受け付ける放水断定スイッチと、
を設け、
前記制御部は、
前記第1断線監視部及び第2断線監視部による断線検出がなく、前記火災感知器による火災検出と前記減圧検出器による減圧検出の何れか一方を判別した状態で、前記放水断定スイッチによる放水断定操作の受付けを検出した場合、前記火災検出又は前記減圧検出を判別している防護区画の予作動弁装置を開放させることを特徴とする予作動式スプリンクラー消火設備。
【請求項2】
請求項1記載の予作動式スプリンクラー消火設備に於いて、
前記制御部は、前記第1断線監視部による前記感知器線の断線検出又は前記第2断線監視部による前記制御線の断線検出を判別した場合、断線障害警報を出力させることを特徴とする予作動式スプリンクラー消火設備。
【請求項3】
請求項記載の予作動式スプリンクラー消火設備に於いて、
前記予作動弁装置は、
加圧消火用水の圧力を利用した駆動機構により開閉動作する予作動弁と、
遠隔操作により前記予作動弁を開閉させる作動電動弁と、
を備え、
前記制御部は、前記作動電動弁の遠隔操作により前記予作動弁を開動作して、1次側の給水配管から供給された加圧消火用水を2次側配管に接続した前記スプリンクラーヘッドに供給することを特徴とする予作動式スプリンクラー消火設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知器による火災検出時に予作動弁を開放して2次側配管に加圧消火用水を供給した後にスプリンクラーヘッドの作動で放水させる予作動式スプリンクラー消火設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スプリンクラーヘッドの破損などによる誤放水を防止する消火設備として予作動式のスプリンクラー消火設備が知られている。
【0003】
予作動式スプリンクラー消火設備は、防護区画に設置された予作動弁装置、閉鎖型のスプリンクラーヘッド、火災感知器及び予作動制御盤で構成される。スプリンクラーヘッドを接続した予作動弁装置の2次側配管に加圧消火用水を充水するか又は圧縮空気を充填しており、火災感知器による火災発報とスプリンクラーヘッドによる減圧検出の両方を判別した場合(ダブルインターロック制御)、予作動弁装置を開放してスプリンクラーヘッドから加圧消火用水を放水させる。
【0004】
一方、スプリンクラーヘッドが破損した場合は、火災感知器による火災発報が判別されていないことから予作動弁装置の開放は行われず、誤放水を確実に防止することができる。
【0005】
また、従来の予作動式スプリンクラー消火設備では、火災感知器を接続する感知器線が断線している場合は、スプリンクラーヘッドが作動しても放水が行われないため、感知器線が断線した場合、火災信号として扱うようにしたシステムが提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−189372号公報
【特許文献2】特開平4−276271号公報
【特許文献3】特許第3238759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような感知器線が断線した場合に火災信号として扱うようにした従来の予作動式スプリンクラー消火設備にあっては、予作動弁装置の点検時などに誤ってスプリンクラーヘッドを破損し、併せて感知器線を断線してしまったような場合、感知器線の断線検出を火災信号として扱うことで、火災発報と減圧検出の両方が判別され、予作動弁装置の主弁が開放し、破損したスプリンクラーヘッドから誤放水が行われ、水損防止が図れなくなる問題点がある。
【0008】
一方、予作動弁制御盤で、感知器線が断線した場合には、断線した防護区画に対応して設けた断線表示灯の点灯により断線障害表示を行っているが、この断線障害表示を行っている防護区画で火災が発生した場合、火災信号が得られず、スプリンクラーヘッドが作動して減圧検出が判別されても放水は行われない。
【0009】
このような場合には、係員が予作動制御盤の操作部により火災が発生している防護区画に対する回線の選択操作を行い、続いて選択した予作動弁装置の主弁を開放させる操作を行う必要があり、感知器線の断線障害を検出して障害表示している防護区画で火災が発生した場合の予作動弁装置の開放に手間と時間がかかる問題がある。
【0010】
本発明は、火災感知器の感知器線及び又は減圧検出器の制御線の断線障害を検出している防護区画での火災発生に対し、簡単な操作で迅速且つ確実に予作動弁装置の開放操作を可能とする予作動式スプリングー消火設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(予作動式スプリンクラー消火設備)
本発明は、
複数の防護区画毎に、
閉鎖型のスプリンクラーヘッドと、
防護区画の火災を検出する火災感知器と、
遠隔制御により開放され、1次側の給水配管から供給された消火用水を2次側配管に接続したスプリンクラーヘッドに供給する予作動弁装置と、
スプリンクラーヘッドの開放作動による予作動弁装置の2次側配管の減圧を検出する減圧検出器と、
火災感知器による火災検出と減圧検出器による減圧検出の両方を判別した場合に予作動弁装置を開放してスプリンクラーヘッドから消火用水を散水させる制御部と、
を備え、定常監視状態でスプリンクラーヘッドを接続した予作動弁装置の2次側配管に加圧消火用水を充水するか又は加圧空気を充填した予作動式スプリンクラー消火設備に於いて、
火災感知器を接続した感知器線の断線を検出する第1断線監視部と、
減圧検出器を接続した制御線の断線を検出する第2断線監視部と、
放水断定操作を受け付ける放水断定スイッチと、
を設け、
制御部は、
第1断線監視部及び第2断線監視部による断線検出がなく、火災感知器による火災検出と減圧検出器による減圧検出の何れか一方を判別した状態で、放水断定スイッチによる放水断定操作の受付けを検出した場合、火災検出又は減圧検出を判別している防護区画の予作動弁装置を開放させることを特徴とする。
【0013】
(断線障害警報)
制御部は、第1断線監視部による感知器線の断線検出又は第2断線監視部による制御線の断線検出を判別した場合、断線障害警報を出力させる。
【0014】
(予作動弁装置)
予作動弁装置は、
加圧消火用水の圧力を利用した駆動機構により開閉動作する予作動弁と、
遠隔操作により予作動弁を開閉させる作動電動弁と、
を備え、
制御部は、作動電動弁の遠隔操作により予作動弁を開動作して、1次側の給水配管から供給された加圧消火用水を2次側配管に接続したスプリンクラーヘッドに供給する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の予作動式スプリンクラー消火設備によれば、予作動制御盤に、火災感知器を接続した感知器線の断線を検出する第1断線監視部、減圧検出器を接続した制御線の断線を検出する第2断線監視部及び放水断定操作を受け付ける放水断定スイッチを設け、制御部により、第1断線監視部による感知器線の断線検出と減圧検出器による減圧検出を判別した状態、第2断線監視部による制御線の断線検出と火災感知器による火災検出を判別した状態、或いは、第1断線監視部による感知器線の断線検出と第2断線監視部による制御線の断線検出の両方を判別した状態で、放水断定スイッチによる放水断定操作の受付けを検出した場合、断線検出を判別している防護区画の予作動弁装置を開放させるようにしたため、断線障害を検出している防護区画で火災が発生した場合、係員は放水断定スイッチを操作するだけで、その防護区画に設けた予作動弁装置を自動的に選択して開放動作させることができ、火災感知器の感知器線及び又は減圧検出器の制御線の断線障害を検出している防護区画での火災発生に対し、簡単な操作で迅速且つ確実に予作動弁装置を開放して火災を抑制することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】予作動式スプリンクラー消火設備の概略を示した説明図
図2図1の予作動弁装置を取り出して詳細を示した説明図
図3図1の予作動弁制御盤の機能構成の実施形態を示したブロック図
図4】予作動制御盤のパネルを取出して示した説明図
図5】予作動制御盤の制御部による動作機能を一覧で示した説明図
図6】予作動式スプリンクラー消火設備における火災発生時の制御動作を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
[予作動式スプリンクラー消火設備の概要]
図1は本発明による予作動式スプリンクラー消火設備の概要を示した説明図である。図1に示すように、建物の地下階などのポンプ室には消火ポンプ10を設置し、モータ12により駆動する。モータ12はポンプ制御盤14により起動・停止の運転制御を受ける。モータ12により駆動された消火ポンプ10は水源水槽15からの消火用水を吸入し、建物の高さ方向に配置した給水本管16に加圧した消火用水を供給する。
【0018】
消火ポンプ10に対しては呼水槽17を設ける。また消火ポンプ10を始動するため圧力タンク18を設ける。圧力タンク18は給水本管16に接続し、配管内の加圧消火用水を導入して内部の空気を圧縮している。圧力タンク18には圧力スイッチ20を設け、圧力スイッチ20は給水本管16の管内圧力が規定圧力以下に低下したことを検出してポンプ制御盤14に減圧検出信号を出力し、これによってモータ12を駆動して消火ポンプ10を始動する。
【0019】
給水本管16からは建物の例えば階別の防護区画毎に分岐管22を引き出している。分岐管22の分岐部分には予作動弁装置24を設けている。予作動弁装置24の2次側の分岐管22には閉鎖型のスプリンクラーヘッド26を設けている。またスプリンクラーヘッド26を設置した防護区画には火災感知器36を設置し、火災感知器36からの感知器線を自火報受信機35を介して予作動制御盤34に接続している。
【0020】
分岐管22の末端側には末端試験弁28を設け、その2次側を、オリフィス30を介して排水管32に接続している。予作動弁装置24は通常の監視状態で閉鎖状態にあり、また設備の運用を開始した場合に、予作動弁装置24の2次側のスプリンクラーヘッド26を接続した分岐管22に1次側の給水本管16と同じ規定圧の加圧消火用水を充水している。また予作動弁装置24の2次側の分岐管22には、ノズル付きホースを収納した補助散水栓25を設けている。
【0021】
予作動弁制御盤34は火災感知器36からの火災検出信号に基づく火災発報(火災検出)と、後の説明で明らかにするスプリンクラーヘッド26の作動に伴う減圧警報検出スイッチ(減圧検出器)による減圧検出の両方を判別したときに、予作動弁装置24を開放する。
【0022】
[予作動弁装置の構成]
図2図1の予作動弁装置を取り出して詳細を示した説明図の例である。図2に示すように、予作動弁装置24は、制御弁38に続いて、本弁として機能する予作動弁40を備え、その2次側の防護区画に設置した分岐管22にスプリンクラーヘッド26及び補助散水栓25を接続している。
【0023】
またスプリンクラーヘッド26を設置した防護区画に火災感知器36を設置し、感知器線により自火報受信機35を介して予作動制御盤34に接続している。
【0024】
初期状態において、シリンダ42内には1次側の加圧消火用水が、仕切弁76、オリフィス70、逆止弁72及び仕切弁50を通る配管で充水され、これによってピストン44を弁座45に押し当てて弁閉鎖状態としている。この配管には信号停止弁73を介してシリンダ42内の圧力を示す制御室圧力計74を接続している。
【0025】
予作動弁装置24の開放は作動電動弁48により行う。作動電動弁48はシリンダ42内を排水管に接続する経路に設け、通常の監視状態では閉鎖状態にある。作動電動弁48を図1に示した予作動制御盤34からの開制御信号により開動作すると、シリンダ42内の加圧消火用水が、開放した作動電動弁48を通って排水され、シリンダ42内の圧力が低下することで、1次側からの押圧をピストン44が受けて予作動弁40は開可能状態となる。
【0026】
この状態で、2次側配管に接続しているスプリンクラーヘッド26が火災による熱気流を受けて開放すると、作動したスプリンクラーヘッド26からの放水により2次側の圧力が低下し、ピストン44がリターンスプリング46に抗してストロークして予作動弁40が開放し、1次側から2次側に加圧消火用水が供給される。
【0027】
予作動弁40が開放すると、その1次側に接続している図1に示した給水本管16の圧力が低下し、この減圧を圧力タンク18に設けている圧力スイッチ20で検出して、ポンプ制御盤14が消火ポンプ10を始動する。予作動弁40の2次側に設けているスプリンクラーヘッド26の作動による減圧は、減圧検出器として機能する減圧警報圧力スイッチ58で検出する。
【0028】
また予作動弁40の開放による2次側への流水は流水警報圧力スイッチ60で検出する。流水警報圧力スイッチ60に対しては、予作動弁40の弁座45の弁体シート面に開口した開口穴からの配管を、信号停止弁62を介して接続している。また信号停止弁62の2次側はオリフィス64を介して排水側に接続している。
【0029】
予作動弁40がピストン44のストロークにより開放すると、弁座45からピストン44が離れることで、流水警報圧力スイッチ60に対する配管に信号停止弁62を介して1次側の加圧消火用水が供給され、これによって遅延タイマによる所定時間継続して水圧が加わったときに流水警報圧力スイッチ60が作動し、流水警報検出信号を予作動制御盤34へ出力する。予作動弁40が閉鎖した場合に流水警報圧力スイッチ60に加わる加圧消火用水はオリフィス64を通って排水され、流水警報圧力スイッチ60が復旧する。
【0030】
[予作動制御盤の構成]
(予作動制御盤の概要)
図3は予作動弁制御盤の機能構成の実施形態を示したブロック図、である。
【0031】
図3に示すように、予作動弁制御盤34は、制御部100、操作部102、表示部104、警報部106を備え、図1に示した例えば階別の防護区画毎に、予作動弁装置24−1〜24−nを接続している。なお、予作動弁装置24−1〜24−nを区別しない場合は予作動弁装置24とする。
【0032】
予作動弁装置24−1〜24−nは図2に示した構成を備えるが、その内の火災感知器36、減圧警報圧力スイッチ58及び作動電動弁48を取り出して示している。なお、火災感知器36は予作動弁装置の防護区画に設置しているが、説明の都合上、予作動弁装置の中に示している。
【0033】
制御部100は、例えばプログラムの実行により実現される機能であり、ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等を使用する。
【0034】
制御部100に対しては防護区画毎に設けた予作動弁装置24−1〜24−n側に設けた火災感知器36を感知器線114により接続し、また減圧警報圧力スイッチ58を制御線116により接続し、更に、作動電動弁48を制御線118により接続している。
【0035】
火災感知器36を接続した感知器線114に対しては第1断線監視部110を設け、感知器線114の断線を検出すると断線検出信号を制御部100へ出力する。減圧警報圧力スイッチ58を接続した制御線116に対しては第2断線監視部112を設け、制御線116の断線を検出すると断線検出信号を制御部100へ出力する。
【0036】
操作部102は、予作動制御盤34の制御動作に必要な各種の操作スイッチに加え、本実施形態にあっては、放水断定スイッチ108を新たに設けている。放水断定スイッチ108は放水断定操作を受け付けてスイッチ信号を制御部100に出力する。
【0037】
表示部104は、予作動制御盤34の制御動作に必要な各種の表示器を設けている。警報部106には火災警報、障害警報を音響出力するスピーカなどを設けている。
【0038】
図4は予作動制御盤のパネルを取出してその一例を示した説明図であり、図3に示した操作部102、表示部104及び警報部106を設けている。
【0039】
図4に示す予作動制御盤パネルの操作部102は、表示部の一部の機能と警報部の機能を備えており、例えば電話ジャック132、電話呼出灯134、交流電源灯136、予備電源灯138、予備電源試験灯140、蓄積中灯142、ヒューズ断灯144、音響孔146、主音響停止スイッチ148、移報停止スイッチ150、障害音響停止スイッチ152、逐次音響停止スイッチ154、感知器連動停止スイッチ156、試験復旧スイッチ158、火災復旧スイッチ160、予作動弁閉鎖スイッチ162、2桁の回線番号を設定するダイヤル式の回線選択スイッチ166,168を備え、更に、放水断定スイッチ108を備える。
【0040】
表示部104は、予作動式スプリンクラー消火設備の設置義務のある例えば6F〜22Fの階別の防護区画に分けて、予作動弁閉表示灯120、予作動弁開表示灯122、火災表示灯124、2次圧力低下警報灯126、感知器線断線表示灯128及び制御線断線表示灯130を設けている。
【0041】
(制御部の構成)
予作動制御盤34の制御部100は、防護区画毎に、図5のモード1〜6の制御を行う。
【0042】
(動作モード1)
制御部100は、第1断線監視部110により感知器線114の断線検出と第2断線監視部112による制御線116の断線検出の両方を判別していない通常監視状態で、火災感知器36による火災検出と減圧警報圧力スイッチ58による減圧検出の両方を判別した場合に予作動弁装置24の予作動弁40を開放してスプリンクラーヘッド26から加圧消火用水を散水させる制御を行う。
【0043】
(動作モード2)
制御部100は、第1断線監視部110により火災感知器36を接続した感知器線114の断線検出を判別した状態で、放水断定スイッチ108による放水断定操作の受付けを検出していない場合、図4に示した対応する階の感知線断線表示灯128を点灯し、スピーカから所定の断線障害の警報音を出力させる制御を行う。
【0044】
(動作モード3)
また、制御部100は、第2断線監視部112により減圧警報圧力スイッチ58を接続した制御線116の断線検出を判別した状態で、放水断定スイッチ108による放水断定操作の受付けを検出していない場合、図4に示した対応する階の制御線断線表示灯130を点灯し、スピーカから所定の断線障害の警報音を出力させる制御を行う。
【0045】
(動作モード4)
制御部100は、第1断線監視部110により火災感知器36を接続した感知器線114の断線検出と、減圧警報圧力スイッチ58による減圧検出を判別した状態で、放水断定スイッチ108による放水断定操作の受付けを検出した場合、感知器線114の断線を検出し且つ減圧警報圧力スイッチ58による減圧を検出した防護区画の制御線118を選択し、制御線118を介して作動電動弁48へ開制御信号を出力して作動電動弁48の開動作し、これより予作動弁40を開放してスプリンクラーヘッド26から加圧消火用水を散水させる制御を行う。
【0046】
ここで、制御部100は、減圧警報圧力スイッチ58による減圧検出を判別した場合、図4に示す対応する階の2次圧力低下警報灯126を点灯し、スピーカから警報音を出力する制御を行う。このため係員は、2次圧力低下警報灯126の点灯により、その階で火災が発生してスプリンクラーヘッド26が作動したことを知り、必要があれば現場確認を行った後、放水断定スイッチ108を操作することで、制御部100は、感知器線114の断線を検出し且つ減圧警報圧力スイッチ58による減圧を検出した防護区画の予作動弁装置24を自動的に選択して開放する制御を行い、スプリンクラーヘッド26から加圧消火用水を散水させることができる。
【0047】
このため、係員は、感知器線114の断線検出と減圧警報圧力スイッチ58の減圧検圧が行われた防護区画を認識し、この防護区画の予作動弁装置24の回線を回線選択スイッチ166,168を操作して選択することなく、放水断定スイッチ108を操作するだけで、対応する防護区画の予作動弁装置24を自動的に選択して開放する制御が行われ、スプリンクラーヘッド26から加圧消火用水を散水させることができる。
【0048】
また、予作動弁装置24を点検する場合などに誤ってスプリンクラーヘッド26を破損し、併せて感知器線114を断線してしまったような場合は、断線障害警報が報知されるだけであり、予作動弁装置24の開放は行われないことから、破損したスプリンクラーヘッド26から誤放水による水損を確実に防止できる。
【0049】
(動作モード5)
制御部100は、第2断線監視部112により減圧警報圧力スイッチ58を接続した制御線116の断線検出と、火災感知器36による火災検出を判別した状態で、放水断定スイッチ108による放水断定操作の受付けを検出した場合、制御線116の断線を検出し且つ火災感知器36による火災を検出した防護区画の制御線118を選択し、制御線118を介して作動電動弁48へ開制御信号を出力して作動電動弁48の開動作し、これより予作動弁40を開放してスプリンクラーヘッド26から加圧消火用水を散水させる制御を行う。
【0050】
ここで、制御部100は、火災感知器36による火災検出を判別した場合、図4に示す対応する階の火災表示灯124を点灯し、スピーカから火災警報音を出力する制御を行う。このため係員は、火災表示灯124の点灯と火災警報音により、その階で火災が発生したことを知り、必要があれば現場確認を行った後、放水断定スイッチ108を操作することで、制御部100は、制御線116の断線を検出し且つ火災感知器36による火災を検出した防護区画の予作動弁装置24を自動的に選択して開放する制御を行い、スプリンクラーヘッド26から加圧消火用水を散水させることができる。
【0051】
このため、係員は、制御線116の断線検出と火災感知器36の火災検圧が行われた防護区画を認識し、この防護区画の予作動弁装置24の回線を回線選択スイッチ166,168を操作して選択することなく、放水断定スイッチ108を操作するだけで、対応する防護区画の予作動弁装置24を自動的に選択して開放する制御が行われ、スプリンクラーヘッド26から加圧消火用水を散水させることができる。
【0052】
(動作モード6)
制御部100は、第1断線監視部110により火災感知器36を接続した感知器線114の断線検出と、第2断線監視部112により減圧警報圧力スイッチ58を接続した制御線116の断線検出とを判別した状態で、放水断定スイッチ108による放水断定操作の受付けを検出した場合、第1断線監視部110により感知器線114の断線を検出し且つ第2断線監視部112により制御線116の断線を検出した防護区画の制御線118を選択し、制御線118を介して作動電動弁48へ開制御信号を出力して開動作し、これより予作動弁40を開放してスプリンクラーヘッド26から加圧消火用水を散水させる制御を行う。
【0053】
ここで、制御部100は、第1断線監視部110により火災感知器36を接続した感知器線114の断線検出と、第2断線監視部112により減圧警報圧力スイッチ58を接続した制御線116の断線検出とを判別した場合、図4に示す対応する階の感知器線断線表示灯128と制御線断線表示灯130を点灯すると共にスピーカから断線障害の警報音を出力する制御を行っている。
【0054】
この断線障害警報の出力状態で、係員が現場からの通報などにより、断線障害警報を出している防護区画での火災発生を知った場合、放水断定スイッチ108を操作することで、制御部100は、第1断線監視部110により感知器線114の断線を検出し、且つ、第2断線監視部112により制御線116の断線を検出した防護区画の予作動弁装置24を自動的に選択して開放する制御を行い、係員は防護区画の予作動弁装置24の回線を回線選択スイッチ166,168により選択する操作を必要とすることなく、簡単且つ確実に、スプリンクラーヘッド26から加圧消火用水を散水させることができる。
【0055】
(その他の動作モード)
火災感知器36もしくは減圧警報圧力スイッチ58どちらかで火災検出と減圧検出の一つでも判別し、感知器線114制御線116が正常な場合でもあっても、放水断定スイッチ108による放水断定操作の受付けを検出した場合には、火災感知器36による火災を検出もしくは、減圧警報圧力スイッチ58による減圧を検出した防護区画の予作動弁装置24を自動的に選択して開放する制御を行い、スプリンクラーヘッド26から加圧消火用水を散水させることができる。
【0056】
[予作動式スプリンクラー消火設備の制御動作]
図6は予作動式スプリンクラー消火設備で火災が発生した場合の制御動作、即ち図5のモード1の制御動作を示したフローチャートである。なお図7にあっては、予作動弁制御盤34の処理をブロックで示し、それ以外のイベントや操作などについては二重のブロックで示している。
【0057】
図6に示すように、ステップS1(以下「ステップ」は省略)で火災が発生した場合、S2で火災感知器36が火災を検出し、S3で予作動弁制御盤34の制御部100が所定時間の蓄積動作を行い、蓄積時間を経過しても火災検出が継続している場合は、S4で火災検出を判別する。
【0058】
一方、S5でスプリンクラーヘッド26が火災による熱気流を受けて作動すると、S6で予作動弁40の2次側配管内の減圧が発生し、これをS7のように減圧警報圧力スイッチ58が作動して減圧検出信号を出力する。
【0059】
予作動弁制御盤34の制御部100は減圧警報圧力スイッチ58からの減圧検出信号を受信して減圧検出を判別し、これによって火災検出と減圧検出の両方を判別することでアンド条件が成立し、作動電動弁48に開制御信号を出力して、S8で作動電動弁48を開放させる。
【0060】
作動電動弁48が開放すると、図2に示したように、シリンダ42の加圧消火用水が排水されて圧力が低下し、1次側加圧消火用水の押圧を受けてピストン44がストロークし、S9に示す予作動弁40の開放が行われる。
【0061】
予作動弁40が開放すると、弁座45に設けている流路が開放して1次加圧消火用水が流水警報圧力スイッチ60に供給され、所定の蓄積時間後にS10のスイッチ作動となる。続いてS11で予作動弁40の開放に伴い1次側配管内即ち給水配管16の圧力低下が発生し、これに伴い、図1に示した圧力タンク18の圧力スイッチ20がS12に示すように作動し、S13で消火ポンプ10が始動することで加圧消火用水が供給され、開放状態にある予作動弁装置を介して、作動しているスプリンクラーヘッドから消火用水が放水され、S14の消火が行われる。
【0062】
続いてS15で消火を確認したならば、S16で図4に示した操作部102の予作動弁閉鎖スイッチ162を操作することで、作動電動弁48の閉鎖をS16で行う。作動電動弁48が閉鎖すると、図2に示したように予作動弁40の閉鎖がS17で行われ、これに伴い、流水警報圧力スイッチ60がS18で復旧し、S19で放水停止に至る。
【0063】
[本発明の変形例]
上記の実施形態は、予作動弁装置の2次側配管に加圧消火用水を充水する場合を例に取っているが、2次側配管に圧縮空気を充填させるようにしたスプリンクラー消火設備或いは真空ポンプを使用して2次側配管を負圧するスプリンクラー消火設備についても同様に適用できる。
【0064】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0065】
24,24−1〜24−n:予作動弁装置
34:予作動弁制御盤
36:火災感知器
40:予作動弁
42:シリンダ
44:ピストン
45:弁座
48:作動電動弁
58:減圧警報圧力スイッチ
100:制御部
102:操作部
108:放水断定スイッチ
110:第1断線監視部
112:第2断線監視部
114:感知器線
116、118:制御線
図1
図2
図3
図4
図5
図6