特許第6144154号(P6144154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144154
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】圧縮空気乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   B01D53/26 230
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-172633(P2013-172633)
(22)【出願日】2013年8月22日
(65)【公開番号】特開2015-39673(P2015-39673A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】510063502
【氏名又は名称】ナブテスコオートモーティブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】西原 智哉
【審査官】 木原 啓一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−253898(JP,A)
【文献】 特開2005−090284(JP,A)
【文献】 特開2002−210323(JP,A)
【文献】 特開平10−296038(JP,A)
【文献】 特開平10−277352(JP,A)
【文献】 特開2009−183882(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0123743(US,A1)
【文献】 特開2010−201323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26−53/28
B60T 15/00−17/22
F04B 39/00−39/16
B01D 49/00−51/10
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機から圧縮空気が流入される入口と、乾燥圧縮空気を排出する出口と、油水分を排出し、ドレン排出装置が設けられたドレン排出口と、前記ドレン排出装置を駆動するガバナと、前記ガバナの排気を排出するガバナ排気口と、を有する支持ケースと、
乾燥剤が充填されて前記支持ケースに装着される乾燥容器と、
前記乾燥容器を覆いながら前記支持ケースに装着されるカバーと、
前記ドレン排出口を有するドレン排出通路と前記ガバナ排気口を有するガバナ排気口通路とを連通するバイパス通路と、を備え、
ロード動作時には前記入口から流入した圧縮空気を前記乾燥剤によって乾燥して前記出口から乾燥圧縮空気を排出し、アンロード動作時には前記カバー内の乾燥圧縮空気を前記乾燥容器内に通過させて油水分を前記ドレン排出口から排出する圧縮空気乾燥装置であって、
前記バイパス通路の開口端のいずれかに設けられ、前記ガバナ排気口通路から前記ドレン排出通路への通過を可能とし、前記ドレン排出通路から前記ガバナ排気口通路への通過を規制するチェックバルブを備える
ことを特徴とする圧縮空気乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮空気乾燥装置において、
前記チェックバルブは、円筒状であって、
前記ドレン排出通路の内壁には、前記チェックバルブを設置する溝を設ける
ことを特徴とする圧縮空気乾燥装置。
【請求項3】
請求項2に記載の圧縮空気乾燥装置において、
前記ドレン排出通路には、複数の貫通孔を有するフィルタプレートが設けられ、
前記チェックバルブの内径は、前記フィルタプレートの前記貫通孔を全て含む仮想円の外径と同じである
ことを特徴とする圧縮空気乾燥装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧縮空気乾燥装置において、
前記ドレン排出通路には、フィルタが収容され、
前記フィルタは、チェックバルブの一部に当接する
ことを特徴とする圧縮空気乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機から供給された圧縮空気を乾燥する圧縮空気乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラック、バス、建設機械等の車両は、エンジンと直結した圧縮機から送られる圧縮空気を利用してブレーキやサスペンション等のシステムを制御している。この圧縮空気には、大気中に含まれる水分や圧縮機内を潤滑する油分が含まれている。この水分や油分を含む圧縮空気が各システム内に侵入すると、錆の発生や、ゴム部材(Oリング等)の膨潤を招き、システムの作動不良が引き起こされる。このため、エア系統の圧縮機と各システム(ブレーキやサスペンション等)の間には、圧縮空気中の水分や油分を除去するための圧縮空気乾燥装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
圧縮空気乾燥装置内には、シリカゲルやゼオライト等の乾燥剤が充填されている。そして、圧縮空気乾燥装置は、乾燥剤が水分を吸着することで圧縮空気から水分を除去して圧縮空気を乾燥させる。
【0004】
圧縮空気乾燥装置は、水分を除去するロード動作では、入口から送入された圧縮空気を乾燥容器の下方から上方へ通過させることで、パージタンク内に圧縮乾燥空気を溜めながら、出口からメインタンクに供給する。また、圧縮空気乾燥装置は、メインタンクの気圧が上限に達すると、ガバナの作用によって乾燥剤を再生させるアンロード動作を行う。ガバナは、メインタンクの気圧が上限に達すると、ドレン弁を駆動する制御室に空気を供給して、ドレン弁を開弁させる。ドレン排出装置のドレン弁が開弁されると、パージタンク内に溜まった圧縮乾燥空気が乾燥容器の上方から下方へ通過されてドレン排出通路のドレン排出口から油水分が排出される。圧縮空気乾燥装置は、ロード動作とアンロード動作とを定期的に繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−173882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の圧縮空気乾燥装置では、ドレン弁を駆動した空気をガバナ排気口から排出している。ガバナ排気口は、ドレン排出口と異なり、ガバナ排気通路の開口部である。ガバナ排気口に泥や氷等の異物が付着してガバナ排気口が閉蓋されると、空気が排出できなくなる。
【0007】
図6に示されるように、発明者らは、ガバナ排気口38が異物Xによって閉蓋された際に備えて、ガバナ排気口38を有するガバナ排気通路36とドレン排出口19を有するドレン排出通路18とを連通するバイパス通路39を設けた圧縮空気乾燥装置を開発している。バイパス通路39を設けた圧縮空気乾燥装置は、ガバナ排気口38が閉蓋されると、ガバナ28から排出される空気をガバナ排気通路36からバイパス通路を通過させてドレン排出通路18を通過させてドレン排出口19から排出させる。
【0008】
一方、図7に示されるように、ドレン排出口19から油水分が排出される際に、油水分がドレン排出口19からバイパス通路39を通過して、油水分がガバナ排気口38から漏れ出ることがある。そこで、ガバナ排気口通路とドレン排出通路とを連通するバイパス通路を設けた圧縮空気乾燥装置において、ガバナ排気口からの油水分の漏出を抑制することが求められている。
【0009】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガバナ排気口通路とドレン排出通路とを連通するバイパス通路を設けつつ、ガバナ排気口からの油水分の漏出を抑制した圧縮空気乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
上記課題を解決する圧縮空気乾燥装置は、圧縮機から圧縮空気が流入される入口と、乾燥圧縮空気を排出する出口と、油水分を排出し、ドレン排出装置が設けられたドレン排出口と、前記ドレン排出装置を駆動するガバナと、前記ガバナの排気を排出するガバナ排気口と、を有する支持ケースと、乾燥剤が充填されて前記支持ケースに装着される乾燥容器と、前記乾燥容器を覆いながら前記支持ケースに装着されるカバーと、
前記ドレン排出口を有するドレン排出通路と前記ガバナ排気口を有するガバナ排気口通路とを連通するバイパス通路と、を備え、ロード動作時には前記入口から流入した圧縮空気を前記乾燥剤によって乾燥して前記出口から乾燥圧縮空気を排出し、アンロード動作時には前記カバー内の乾燥圧縮空気を前記乾燥容器内に通過させて油水分を前記ドレン排出口から排出する圧縮空気乾燥装置であって、前記バイパス通路の開口端のいずれかに設けられ、前記ガバナ排気口通路から前記ドレン排出通路への通過を可能とし、前記ドレン排出通路から前記ガバナ排気口通路への通過を規制するチェックバルブを備えることをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、バイパス通路の開口端にいずれかに設けられたチェックバルブがガバナ排気口通路からドレン排出通路への空気の通過を可能とし、ドレン排出通路からガバナ排気口通路への空気の通過を規制する。このため、ガバナ排気口が閉蓋されたときにはガバナから排出された空気がガバナ排気通路からバイパス通路を介してドレン排出通路に通過される。また、ドレン排出通路からガバナ排気口通路への油水分の通過がチェックバルブによって規制されるので、ガバナ排気口からの油水分の漏出を抑制できる。
【0012】
上記圧縮空気乾燥装置について、前記チェックバルブは、円筒状であって、前記ドレン排出通路の内壁には、前記チェックバルブを設置する溝を設けることが好ましい。
同構成によれば、ドレン排出通路の内壁に設けられた溝に円筒状のチェックバルブを設置する。このため、チェックバルブの位置決めが容易となるとともに、チェックバルブの位置が固定されるので、ガバナ排気口からの油水分の漏出を更に抑制できる。
【0013】
上記圧縮空気乾燥装置について、前記ドレン排出通路には、複数の貫通孔を有するフィルタプレートが設けられ、前記チェックバルブの内径は、前記フィルタプレートの前記貫通孔を全て含む仮想円の外径と同じであることが好ましい。
【0014】
同構成によれば、ドレン排出通路に設けられたフィルタプレートの貫通孔を全て含む仮想円の外径とチェックバルブの内径が同じである。このため、チェックバルブによってフィルタプレートの貫通孔が塞がれてドレン排出通路の内部圧力が上昇することを抑制できる。
【0015】
上記圧縮空気乾燥装置について、前記ドレン排出通路には、フィルタが収容され、前記フィルタは、チェックバルブの一部に当接することが好ましい。
同構成によれば、ドレン排出通路に収容されたフィルタがチェックバルブの一部に当接する。このため、チェックバルブが固定されるので、ガバナ排気口からの油水分の漏出を更に抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガバナ排気口通路とドレン排出通路とを連通するバイパス通路を設けた圧縮空気乾燥装置において、ガバナ排気口からの油水分の漏出を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】圧縮空気乾燥装置の概略構成を半断面図。
図2】圧縮空気乾燥装置の下部の構造を示す断面図。
図3】圧縮空気乾燥装置のフィルタとチェックバルブとの大きさを示す図。
図4】圧縮空気乾燥装置の下部の構造を示す断面図。
図5】圧縮空気乾燥装置の下部の構造を示す断面図。
図6】従来の圧縮空気乾燥装置の下部の構造を示す断面図。
図7】従来の圧縮空気乾燥装置の下部の構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図5を参照して、圧縮空気乾燥装置の一実施形態について説明する。
図1に示されるように、圧縮空気乾燥装置は、有底円筒形状の支持ケース11と、乾燥剤12が充填された有底円筒形状の乾燥容器13と、乾燥容器13を覆いながら支持ケース11に取り付けられ、開口部が支持ケース11側に位置する有底円筒形状のパージタンク14とを備えている。なお、パージタンク14がカバーに相当する。
【0019】
支持ケース11の側面には、圧縮機(図示略)から供給された圧縮空気が流入する入口15と、乾燥圧縮空気をメインタンク(図示略)に排出する出口とが設けられている。また、支持ケース11の内部には、下部が開口した円柱形状の収容部21が形成されている。収容部21の上部には、ドレン排出装置25が設けられている。収容部21のドレン排出装置25の下部には、円筒状の排気管17が取り付けられている。排気管17の先端は、縮径している。排気管17は、大径部17aと小径部17bとを備えている。小径部17bは、支持ケース11の底部から突出している。なお、排気管17内がドレン排出通路18に相当し、排気管17の開口部がドレン排出口19に相当する。ドレン排出口19は、大気に開放している。
【0020】
ドレン排出装置25には、ドレンを排出するためのドレン弁26とピストン27とを備えている。ドレン弁26は、アンロード動作時に外気へドレンを排出する開放弁を兼ねている。ドレン弁26は、水分を除去するロード動作時には閉じている。メインタンク内の圧力が所定値に達すると、ガバナ28から制御室29に空気が供給されることによってピストン27が下げられてドレン弁26が開く。水分やオイルを含むドレンは、ドレン弁26の開閉に応じて圧縮空気と共に勢いよく外部へ放出される。
【0021】
排気管17には、フィルタ31が設けられている。フィルタ31は、クラッシュドアルミである。フィルタ31の上下には、複数の貫通孔を有する円板状の上部フィルタプレート32と下部フィルタプレート33とが設けられている。フィルタ31は、放出に伴う騒音を低減させるサイレンサとして機能する。フィルタ31とフィルタプレート32,33とは、排気管17の上方から挿入されてリテイニングリング34によって固定されている。排気管17は、収容部21に挿入されてリテイニングリング35によって固定されている。
【0022】
支持ケース11には、ガバナ28の排気をガバナ排気通路36に通過させるガバナ排気口通路37が設けられている。ガバナ排気口通路37は、収容部21の内壁と排気管17の外壁とによって形成される空間である。排気管17の外壁には、均等な間隔をおいて6個の溝が延出方向に沿って形成されている。なお、排気管17の外壁の溝の数量は、任意に変更可能である。ガバナ排気口通路37の開口部がガバナ排気口38に相当する。ガバナ排気口38は、大気に開放している。
【0023】
乾燥容器13内には、下部プレート45と上部プレート46とに上下方向において挟まれた状態で粒状の乾燥剤12が充填されている。乾燥容器13の下部には、衝突材としてのオイルセパレートフィルタ44が設けられている。オイルセパレートフィルタ44は、クラッシュドアルミである。オイルセパレートフィルタ44は、内部を圧縮空気が通過する際に、圧縮空気に含まれるオイルミストが衝突することでオイルミストを除去する。
【0024】
下部プレート45及び上部プレート46には、複数の貫通孔が形成されている。下部プレート45の上面には、乾燥剤12を保持するための不織布からなる薄膜47が設けられている。また、上部プレート46の下面には、乾燥剤12を保持するための不織布からなる薄膜48が設けられている。なお、不織布は、例えばポリエステル及びレーヨンからなる。
【0025】
上部プレート46と蓋材41との間には、コイルばね42が設置されている。コイルばね42は、蓋材41が乾燥容器13に固定されることで、付勢力が発生して、上部プレート46を下方へ押圧する。よって、コイルばね42の付勢力は、上側から上部プレート46と、乾燥剤12と、下部プレート45と、オイルセパレートフィルタ44とに伝達されて付与される。これにより、オイルセパレートフィルタ44はコイルばね42によって付勢された状態となっている。
【0026】
パージタンク14は、乾燥容器13を覆い、支持ケース11の上端部23にボルト24によって取り付けられる。パージタンク14の内壁と乾燥容器13の外壁とによって形成される空間は、除湿した乾燥圧縮空気を溜めるタンク16として機能する。
【0027】
図2に示されるように、排気管17には、ドレン排出通路18とガバナ排気口通路37とを連通するバイパス通路39が設けられている。バイパス通路39は、貫通孔であって、排気管17の大径部17aの下方に設けられている。大径部17aの内壁下方には、チェックバルブ50を収容する溝17cが全周に亘って設けられている。バイパス通路39は、溝17cに貫通している。溝17cには、円環状のチェックバルブ50が収容されている。チェックバルブ50の厚みは、下方から上方に向かうほど薄くなっている。フィルタ31の下部外周縁には、切欠31aが設けられている。チェックバルブ50の下部は、フィルタ31の切欠31aに当接されている。排気管17には、チェックバルブ50が挿入された後に、下部フィルタプレート33、フィルタ31、上部フィルタプレート32が挿入される。チェックバルブ50は、バイパス通路39のドレン排出通路18側の開口端に設けられ、排気管17の溝17cの内壁に接触している。チェックバルブ50は、排気管17の溝17cの内壁に接触することでバイパス通路39を閉じる。チェックバルブ50の上部側は、排気管17の中心側へ傾くことができ、溝17cの内壁から離間することでバイパス通路39を開く。チェックバルブ50は、バイパス通路39側から空気によって押圧された際に排気管17の中心側へ傾いてバイパス通路39を開く。
【0028】
図3に示されるように、下部フィルタプレート33に形成される複数の貫通孔33aが全て含まれる最小の円(仮想円C)を想定する。仮想円Cの外径D2は、下部フィルタプレート33の外径D1よりも小さい(D2<D1)。そして、チェックバルブ50の内径D3は、仮想円Cの外径D2と同じである(D3=D2)。これにより、下部フィルタプレート33の貫通孔33aを通過する空気をチェックバルブ50が邪魔することがなく、排気管17内の内部圧力の上昇を抑制できる。
【0029】
次に、図1図2図4、及び図5を参照して、前述のように構成された圧縮空気乾燥装置の動作について説明する。
図1に示されるように、ロード動作時には、圧縮機から入口15を介して流入した圧縮空気は、乾燥容器13内に入り、オイルセパレートフィルタ44を通過することで圧縮機のオイルやダストが除去される。続いて、下部プレート45の貫通孔を通過して、乾燥剤12の中を通過することで水分が除去される。乾燥された圧縮空気は、パージタンク14内のタンク16に流入して溜められる。そして、タンク16に流入した乾燥圧縮空気は、一部を残して出口を通過して外部のメインタンク内に溜められる。メインタンク内の圧縮空気は例えばエアブレーキ系統の各機器の作動に利用される。
【0030】
図2に示されるように、圧縮空気乾燥装置は、メインタンクの気圧が上限に達すると、ガバナ28の作用によって乾燥剤を再生させるアンロード動作に移行する。ガバナ28は、メインタンクの気圧が上限に達すると、ドレン弁26を駆動する制御室29に空気を供給して、ピストン27を移動させることでドレン弁26を開弁させる。ドレン排出装置25のドレン弁26が開弁されると、パージタンク14内に溜まった圧縮乾燥空気が乾燥容器13の上方から下方へ通過されてドレン排出通路18のドレン排出口19から油水分が排出される。すなわち、タンク16に溜まっていた乾燥圧縮空気は、上部プレート46の貫通孔を通過して乾燥容器13内に流入し、乾燥剤12の中を通過することで乾燥剤12を再生させる。乾燥剤12の中を通過した圧縮空気は、下部プレート45の貫通孔を通過して、オイルセパレートフィルタ44を通過する。そして、圧縮空気は、ドレン排出装置25内を通過して、排気管17のフィルタ31を通過して外部にドレンとともに排出される。
【0031】
このとき、ガバナ排気口通路37には圧縮空気が流入せず大気に開放しており、排気管17には圧縮空気が流入するので、ガバナ排気口通路37の圧力よりもドレン排出通路18の圧力が高い。チェックバルブ50は、ドレン排出通路18に流入した圧縮空気によって押圧されるので、排気管17の内壁に当接する。このため、バイパス通路39は、チェックバルブ50によって閉じられている。よって、ドレン排出通路18に流入した圧縮空気は、バイパス通路39を介してガバナ排気口通路37に流入することなく、ドレン排出口19から排出される。
【0032】
次に、図4に示されるように、アンロード動作後には、ガバナ28において使用された圧縮空気がガバナ排気通路36を介してガバナ排気口通路37に流入する。ガバナ排気口通路37に流入した圧縮空気は、バイパス通路39にも流入する。このとき、ガバナ排気口通路37には圧縮空気が流入して、ドレン排出通路18には圧縮空気が流入せず大気に開放しているので、ドレン排出通路18の圧力よりもガバナ排気口通路37の圧力が高い。チェックバルブ50は、バイパス通路39に流入した圧縮空気によって押圧されるので、排気管17の内壁から離間する。チェックバルブ50の下部は、フィルタ31によって固定されているので、チェックバルブ50が外れることはない。このため、バイパス通路39は開いている。よって、ガバナ排気口通路37に流入した圧縮空気は、ガバナ排気口38から排出されるとともに、バイパス通路39を介してドレン排出口19から排出される。
【0033】
図5に示されるように、ガバナ排気口38に泥や氷等の異物Xが付着してガバナ排気口38が閉蓋されると空気が排出できなくなる。ガバナ排気口38が異物Xによって閉蓋された際には、ガバナ排気口通路37に流入した圧縮空気は、バイパス通路39に全て流入する。なお、ガバナ排気口38は、異物Xによって完全に塞がれた状態までならなくてもある程度塞がれると流れが悪くなり、バイパス通路39に流れる場合もある。このとき、ガバナ排気口通路37には圧縮空気が流入して、ドレン排出通路18には圧縮空気が流入せず大気に開放しているので、ドレン排出通路18の圧力よりもガバナ排気口通路37の圧力が高い。チェックバルブ50は、バイパス通路39に流入した圧縮空気によって押圧されるので、排気管17の内壁から離間する。このため、バイパス通路39は開いている。よって、ガバナ排気口通路37に流入した圧縮空気は、バイパス通路39を介してドレン排出口19から全て排出される。
【0034】
さて、上記の圧縮空気乾燥装置では、ガバナ排気口38が異物Xによって閉蓋された際に備えて、ガバナ排気口通路37とドレン排出通路18とを連通するバイパス通路39を設けている。そして、排気管17の溝17cにチェックバルブ50を収容した。このため、チェックバルブ50によってバイパス通路39におけるドレン排出通路18からガバナ排気口通路37への油水分の通過を規制できる。よって、ドレン排出口19から排出される空気に含まれる油水分のガバナ排気口38からの漏出を抑制できる。
【0035】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)バイパス通路39の開口端に設けられたチェックバルブ50がガバナ排気通路36からドレン排出通路18への空気の通過を可能とし、ドレン排出通路18からガバナ排気口通路37への空気の通過を規制する。このため、ガバナ排気口38が閉蓋されたときにはガバナ28から排出された空気がガバナ排気通路36からバイパス通路39を介してドレン排出通路18に通過される。また、ドレン排出通路18からガバナ排気口通路37への油水分の通過がチェックバルブ50によって規制されるので、ガバナ排気口38からの油水分の漏出を抑制できる。
【0036】
(2)排気管17の内壁に設けられた溝17cに円筒状のチェックバルブ50を設置する。このため、チェックバルブ50の位置決めが容易となるとともに、チェックバルブ50の位置が固定されるので、ガバナ排気口38からの油水分の漏出を更に抑制できる。
【0037】
(3)排気管17に設けられた下部フィルタプレート33の貫通孔33aを全て含む仮想円Cの外径D2とチェックバルブ50の内径D3が同じである。このため、チェックバルブ50によって下部フィルタプレート33の貫通孔33aが塞がれてドレン排出通路18の内部圧力が上昇することを抑制できる。
【0038】
(4)排気管17に収容されたフィルタ31がチェックバルブ50の一部に当接する。このため、チェックバルブ50が固定されるので、ガバナ排気口38からの油水分の漏出を更に抑制できる。
【0039】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態では、排気管17の大径部17aの下方にバイパス通路39を設けた。しかしながら、ドレン排出通路18からガバナ排気口通路37へ連通できれば、排気管17の大径部17aの下方に限らず、排気管17の大径部17aの上方等の他の位置に設けてもよい。
【0040】
・上記実施形態では、フィルタ31がチェックバルブ50の下部に当接した。しかしながら、チェックバルブ50の位置がずれなければ、フィルタ31をチェックバルブ50に当接させなくてもよい。
【0041】
・上記実施形態では、下部フィルタプレート33の貫通孔33aを全て含む仮想円Cの外径D2とチェックバルブ50の内径D3を同一とした。しかしながら、チェックバルブ50によって貫通孔33aの一部が塞がれても排気管17の内部圧力の上昇が少なければ、チェックバルブ50の内径D3を仮想円Cの外径D2よりも小さくしてもよい。
【0042】
・上記実施形態では、排気管17の内壁に溝17cを設けてチェックバルブ50を収容した。しかしながら、排気管17の内部にチェックバルブ50を設置した状態で位置決めできれば、溝17cを省略してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、チェックバルブ50の厚みを下方から上方に向かうほど薄くした。しかしながら、チェックバルブ50の厚みを上方から下方に向かうほど薄くしてもよく、チェックバルブ50の厚みを下方から上方まで同一にしてもよい。
【0044】
・上記実施形態では、バイパス通路39のドレン排出通路18側の開口端にチェックバルブ50を設置したが、バイパス通路39のガバナ排気口通路37側の開口端にチェックバルブを設けてもよい。
【符号の説明】
【0045】
11…支持ケース、12…乾燥剤、13…乾燥容器、14…パージタンク、15…入口、16…タンク、17…排気管、17a…大径部、17b…小径部、17c…溝、18…ドレン排出通路、19…ドレン排出口、21…収容部、23…上端部、24…ボルト、25…ドレン排出装置、26…ドレン弁、27…ピストン、28…ガバナ、29…制御室、31…フィルタ、31a…切欠、32…上部フィルタプレート、33…下部フィルタプレート、33a…貫通孔、34…リテイニングリング、35…リテイニングリング、36…ガバナ排気通路、37…ガバナ排気口通路、38…ガバナ排気口、39…バイパス通路、41…蓋材、42…コイルばね、44…オイルセパレートフィルタ、45…下部プレート、46…上部プレート、47…薄膜、48…薄膜、50…チェックバルブ、C…仮想円、D1…フィルタプレートの外径、D2…仮想円の外径、D3…チェックバルブの内径、X…異物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7