(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記板状鏡面領域が、板状鏡面領域の法線と、鏡面ルーバーフィルムのフィルム面の法線との為す角θ1が1〜40°の範囲内の値となるように平行配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の半透過型表示体。
前記板状鏡面領域の幅を1〜10000μmの範囲内の値とするとともに、厚さを10〜10000nmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の半透過型表示体。
前記鏡面ルーバーフィルムと、前記光拡散フィルムと、の間、または、前記光拡散フィルムにおける前記鏡面ルーバーフィルムの位置する側とは反対側に表示層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の半透過型表示体。
前記光拡散フィルムが、フィルム内に屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の領域を備えた内部構造を有する光拡散フィルムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の半透過型表示体。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態は、バックライトと、鏡面ルーバーフィルムと、光拡散フィルムと、を積層してなる半透過型表示体であって、鏡面ルーバーフィルムが、透明領域と、当該透明領域に対して固定された複数の板状鏡面領域と、からなるとともに、板状鏡面領域を鏡面ルーバーフィルムのフィルム面に沿った任意の一方向に平行配置してなることを特徴とする半透過型表示体である。
以下、本発明の実施形態を、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
【0023】
1.半透過型表示体の基本構成
図1(a)に示すように、本発明の半透過型表示体1は、バックライト150と、鏡面ルーバーフィルム10と、光拡散フィルム100と、を積層してなる半透過型表示体1である。
また、鏡面ルーバーフィルム10は、透明領域10bと、当該透明領域10bに対して固定された複数の板状鏡面領域10aと、からなるとともに、複数の板状鏡面領域10aを鏡面ルーバーフィルム10のフィルム面に沿った任意の一方向に平行配置してなる。
したがって、本発明の半透過型表示体1であれば、所定の鏡面ルーバーフィルム10を用いていることから、
図2(a)に示すように、外光3aを効率よく反射させて表示光4aとすることができる一方で、
図2(b)に示すように、バックライト光3bについては効率よく透過させて表示光4bとすることができる。
したがって、本発明の半透過型表示体1であれば、外光3aが豊富な環境下であっても、外光3aが不十分な環境下であっても、優れた表示特性を得ることができる。
【0024】
また、
図1(b)に示すように、本発明の半透過型表示体1は、鏡面ルーバーフィルム10と、光拡散フィルム100と、の間に表示層20を有することが好ましく、
図1(c)に示すように、光拡散フィルム100における鏡面ルーバーフィルム10の位置する側とは反対側に表示層20を有することも好ましい。
このように表示層を設けることにより、表示層による所望の表示内容を、外光が豊富な環境下であっても、外光が不十分な環境下であっても、優れた表示特性にて表示することができる。
なお、表示層とは、文字や図柄等を印刷した樹脂フィルム等や、液晶表示パネル等の表示パネル等を意味する。
【0025】
2.鏡面ルーバーフィルム
本発明の半透過型表示体は、
図3(a)〜(c)に示すように、透明領域10bと、当該透明領域10bに対して固定された複数の板状鏡面領域10aと、からなるとともに、複数の板状鏡面領域10aを鏡面ルーバーフィルム10のフィルム面に沿った任意の一方向に平行配置してなる鏡面ルーバーフィルム10を備えることを特徴とする。
この理由は、所定の鏡面ルーバーフィルムを備えることにより、外光を効率よく反射させて表示光とすることができる一方で、バックライト光については効率よく透過させて表示光とすることができるためである。
なお、
図3(a)には、鏡面ルーバーフィルム10の斜視図が示してあり、
図3(b)には、鏡面ルーバーフィルム10の上面図(平面図)が示してあり、
図3(c)には、
図3(b)に示す鏡面ルーバーフィルム10を、点線A−Aに沿って垂直方向に切断して、切断面を矢印に沿った方向から眺めた場合の鏡面ルーバーフィルム10の断面図が示してある。
【0026】
すなわち、
図3(a)〜(c)に示すような所定の鏡面ルーバーフィルム10であれば、
図2(a)に示すように、外光3aが豊富な環境下では、ルーバー状に平行配置された複数の板状鏡面領域10aの面と対向する方向から入射して来る外光3aを、透過させることなく効率的に反射させて表示光4aとし、観察者5に対して出射することができる。
一方、
図2(b)に示すように、外光3aが不十分な環境下では、ルーバー状に平行配置された複数の板状鏡面領域10aの面に対し平行から所定の角度範囲内の方向から入射して来るバックライト光3bを、効率よく透過させて表示光4bとし、観察者5に対して出射することができる。
したがって、所定の鏡面ルーバーフィルム10であれば、理想的には、外光3aの入射角度と、バックライト光3bの入射角度とが直交する環境下において、外光3aおよびバックライト光3bを、それぞれほぼ100%の利用効率で表示光(4a、4b)とすることができることになる。
なお、外光3aについては、通常、外光3aが豊富な環境下であれば、全方向からの外光3aが豊富であると見なすことができるが、観察者5の存在が観察者5の側からの外光3aの入射を遮ることになるため、必然的に外光3aは観察者5と対向する方向から主に入射して来ることになる。
また、バックライト光3bについては、後述するように、その入射角を調節することが可能であることから、例えば、後述するように、バックライト150としてエッジライト方式のバックライト150や、コリメート方式のバックライト150を用いることにより、ルーバー状に平行配置された複数の板状鏡面領域10aの面に対して平行から所定の角度範囲内の方向から入射させることができる。
なお、
図3(b)では、上方から眺めた場合に鏡面が隙間なく敷き詰められた態様を示しているが、本発明における鏡面ルーバーフィルムはこのような態様に限定されるものではない。
すなわち、
図2(a)に示すように、板状鏡面領域10aは、フィルム面に対して傾斜配置されるため、上方から眺めた場合に一部鏡面ではない領域が存在しても、斜めから入射する外光を十分効率よく反射させることができるためである。
【0027】
(1)透明領域
また、
図3(a)〜(c)に示すように、鏡面ルーバーフィルム10における透明領域10bは、外光やその反射光、およびバックライト光を透過させるための透明性を有しつつ、複数の板状鏡面領域10aを鏡面ルーバーフィルム10のフィルム面に沿った任意の一方向に平行配置させるための支持体として機能する領域である。
したがって、透明領域を構成する材料物質としては、透明性を有し、かつ、複数の板状鏡面領域を支持できるものであれば特に限定されるものではなく、透明樹脂、ガラスおよび透明金属酸化物等を用いることができる。
【0028】
また、透明領域が、上述した材料物質のうち、可視光領域での全光線透過率の平均が50%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは、90%以上である透明樹脂からなることがより好ましい。
この理由は、このような透明樹脂であれば、可視光を十分に透過させて、良好な表示特性が得られるためである。また、透明樹脂であれば加工が容易であることから、複数の板状鏡面領域を鏡面ルーバーフィルムのフィルム面に沿った任意の一方向に平行配置するように形成するための凹凸形状を容易に形成することができるためである。
さらに、透明樹脂であれば、任意の厚さに成形可能であることから、鏡面ルーバーフィルムの厚さの調節も容易になって、所定の厚さの鏡面ルーバーフィルムを効率よく得ることができる。
ここで、透明領域を構成する透明樹脂としては、従来公知の透明樹脂を使用することができる。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、四フッ化エチレン樹脂およびエチレン酢酸ビニルコポリマー等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、分子内にアクリロイル基を有するウレタンアクリレート等の各種アクリレート系樹脂および不飽和ポリエステル等の紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。
なお、上述した透明樹脂は、本発明の目的を損なわない限り、異なる2種類以上を併用することができる。例えば、屈折率が互いに異なる2種以上の樹脂を併用することもできる。
また、上述した透明樹脂には、顔料等の各種添加剤を含有させることもできる。
【0029】
ここで、
図4(a)〜(c)を用いて、透明領域の材料物質として透明樹脂を用いた場合の鏡面ルーバーフィルムの製造方法の一例を示す。
すなわち、まず、
図4(a)に示すように、片面に傾斜面12および傾斜面14の繰り返しよりなる所定の凹凸形状16が形成された透明樹脂フィルム10b´を作成する。
かかる所定の凹凸形状16は、
図4(b)に示すように、傾斜面12にのみ板状鏡面領域10aが形成されることになり、傾斜面14には、板状鏡面領域10aが形成されず、そのままの状態が保持されることになる。
したがって、板状鏡面領域10aが形成される複数の傾斜面12は、後に形成される複数の板状鏡面領域10aと同様に、鏡面ルーバーフィルム10のフィルム面に沿った任意の一方向に平行配置するように形成される。
また、板状鏡面領域10aが形成されない複数の傾斜面14も、複数の傾斜面12と同様に、鏡面ルーバーフィルム10のフィルム面に沿った任意の一方向に平行配置するように形成されることになる。
なお、かかる所定の凹凸形状16は、透明樹脂フィルム10b´の凹凸形状形成前の平滑な樹脂層に対して、鋳型による表面形状の転写およびその後の熱または活性エネルギー線(例えば、紫外線)による硬化処理、押し出し成型、エンボス処理により形成するのが一般的であるが、レーザー加工により形成することもできる。
【0030】
次いで、
図4(b)に示すように、所定の凹凸形状16のうち、傾斜面12にのみ板状鏡面領域10aを形成する。
かかる板状鏡面領域10aの形成方法としては、例えば、真空蒸着により蒸着源からの金属分子の飛翔方向に指向性を付与することで、傾斜面12にのみ、選択的に板状鏡面領域10aを形成することができる。
【0031】
次いで、
図4(c)に示すように、複数の板状鏡面領域10aが形成された所定の凹凸形状16の上に、透明樹脂組成物を塗布した後、硬化させて透明樹脂層10b´´とすることで、最終的な鏡面ルーバーフィルム10が得られる。
なお、透明樹脂フィルム10b´と、透明樹脂層10b´´を構成する透明樹脂の種類は、屈折率をそろえる観点からは同一であることが好ましいが、異なってもよい。
また、透明樹脂層10b´´は必須ではなく、省略してもよい。その場合、複数の板状鏡面領域10aが形成された所定の凹凸形状16が、直接的に、あるいは粘着剤層を介して光拡散フィルム、表示層、あるいはバックライトと接することになる。
【0032】
(2)板状鏡面領域
また、
図3(a)〜(c)に示すように、鏡面ルーバーフィルム10における板状鏡面領域10aは、上述した透明領域10bにより支持されて、鏡面ルーバーフィルム10のフィルム面に沿った任意の一方向に平行配置されてなる高反射率の鏡面を有する板状領域である。
したがって、板状鏡面領域を構成する材料物質としては、高反射率の鏡面を有する板状領域として形成可能なものであれば特に限定されるものではなく、アルミニウム、クロム、亜鉛、金、銀、銅、鉄、プラチナ、ニッケル、あるいはこれらの合金等の金属、または誘電体多層膜等を用いることができる。
【0033】
また、板状鏡面領域が金属蒸着膜からなることが好ましい。
この理由は、透明領域の項において記載したように、例えば、真空蒸着により蒸着源からの金属分子の飛翔方向に指向性を付与することで、
図4(b)に示すように、傾斜面12にのみ、選択的に板状鏡面領域10aを形成することができるためである。
また、均一で高反射率の鏡面を安定的に形成することができるためである。
【0034】
また、
図5に示すように、板状鏡面領域10aが、板状鏡面領域10aの法線と、鏡面ルーバーフィルム10のフィルム面の法線との為す角θ1(以下、板状鏡面領域の傾斜角θ1と称する場合がある。また、傾斜角θ1は鋭角(狭い方の角度)を意味することとする。)が1〜40°の範囲内の値となるように平行配置されてなることが好ましい。
この理由は、板状鏡面領域の傾斜角θ1をかかる範囲内の値とすることにより、
図2(a)に示すように、鏡面ルーバーフィルム10により反射された外光3a´を観察者5に対して効率よく表示光4aとして出射することができる一方で、
図2(b)に示すように、鏡面ルーバーフィルム10を透過したバックライト光3bについても観察者5に対して効率よく表示光4bとして出射することができるためである。
すなわち、板状鏡面領域の傾斜角θ1が1°未満の値となると、
図5における平行配置されてなる複数の板状鏡面領域10aの間の間隔L1が過度に狭くなって、バックライト光が鏡面ルーバーフィルムを効率よく透過することが困難になる場合があるためである。一方、板状鏡面領域の傾斜角θ1が40°を超えた値となると、鏡面ルーバーフィルムにより反射された外光を光拡散フィルムにより効率よく拡散させたとしても、観察者の視野内に表示光として出射することが困難になる場合があるためである。
したがって、板状鏡面領域の傾斜角θ1を5〜35°の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜30°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0035】
また、
図5に示すように、板状鏡面領域10aの幅L2を1〜10000μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、板状鏡面領域の幅L2が1μm未満の値となると、鏡面ルーバーフィルムが回折格子のような拡散素子となり、外光を反射させる機能を得ることができない場合があるためである。一方、板状鏡面領域の幅L2が10000μmを超えた値となると、半透過型表示体を観察する距離にもよるが、鏡面ルーバーフィルムにおける板状鏡面領域の周期が観察者から視認可能となる場合があるためである。
したがって、板状鏡面領域の幅L2を10〜1000μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜500μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0036】
また、
図5に示すように、板状鏡面領域10aの厚さL3を10〜10000nmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、板状鏡面領域の厚さL3が10nm未満の値となると、板状鏡面領域を均一に形成することが困難となり、入射光の一部が透過して反射率が低下しやすくなる場合があるためである。一方、板状鏡面領域の厚さL3が10000nmを超えた値となると、板状鏡面領域の端面の面積が過度に大きくなって、バックライト光が鏡面ルーバーフィルムを効率よく透過することが困難になる場合があるためである。
したがって、板状鏡面領域の厚さL3を100〜1000nmの範囲内の値とすることがより好ましく、200〜500nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0037】
(3)厚さ
また、
図5に示すように、鏡面ルーバーフィルム10の厚さL4を1〜10000μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、鏡面ルーバーフィルムの厚さL4をかかる範囲内の値とすることにより、製造が容易になるとともに、十分な表示特性を実現することができるためである。
すなわち、鏡面ルーバーフィルムの厚さL4が1μm未満の値となると、薄すぎることに起因して板状鏡面領域の形成が困難になる場合があるためである。一方、鏡面ルーバーフィルムの厚さL4が10000μmを超えた値となると、厚すぎることに起因して表示画像にぼけが生じやすくなる場合があるためである。
したがって、鏡面ルーバーフィルムの厚さL4を10〜1000μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜500μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、
図5に示すように、板状鏡面領域10aよりも下方の透明領域10bの厚さL5は、通常、0.5〜5000μmの範囲内の値とすることが好ましく、5〜500μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜250μmの範囲内の値とすることが特に好ましい。一方、板状鏡面領域10aよりも上方の透明領域10bの厚さL6は、通常、0.5〜5000μmの範囲内の値とすることが好ましく、5〜500μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜250μmの範囲内の値とすることが特に好ましい。
なお、本発明の半透過型表示体は、鏡面ルーバーフィルムと、光拡散フィルムとの組み合わせを必須としているが、光拡散フィルムを省略するとともに、例えば、板状鏡面領域に対して光拡散のための凹凸を設けたり、透明領域に対して光拡散のための微粒子を分散させたりすることも可能である。
【0038】
3.バックライト
本発明の半透過型表示体に使用されるバックライトは、特に限定されるものではなく、従来公知のバックライトを用いることができ、エッジライト方式であっても直下型方式でもよく、また、光源についても、冷陰極管やLED等、従来公知の光源を用いることができる。
【0039】
また、バックライトが、エッジライト方式のバックライトであることが好ましい。
この理由は、エッジライト方式のバックライトであれば、鏡面ルーバーフィルムに対するバックライト光の透過効率をさらに向上させることができるためである。
すなわち、
図6に示すように、エッジライト方式のバックライト150であれば、LED等の光源152から出射された光160が側方からアクリル板154の内部に入射し、表面反射を繰り返しながらアクリル板154の内部に広がってゆく。
そして、反射ドット155に当たった光160は、拡散されてアクリル板154の表面から外に出て、指向性(
図6においては、右上方向の指向性)を有するバックライト光3bとなる。
したがって、エッジライト方式のバックライト150であれば、設置する向きを考慮するだけで、
図2(b)に示すように、ルーバー状に平行配置された複数の板状鏡面領域10aの面に対して平行から所定の角度範囲内の方向からバックライト光3bを入射させることができる。
なお、言うまでもなく、コリメート板等を用いてバックライト光の指向性を一定に調整したコリメートバックライトを用いることも好ましい。
【0040】
4.光拡散フィルム
光拡散フィルムは、外光が豊富な環境下においては、広範囲の角度から入射して来る外光を、鏡面ルーバーフィルムによる反射を介して、観察者に対して効率よく表示光として拡散出射する機能を有している。
また、外光が不十分な環境下においては、鏡面ルーバーフィルムを透過したバックライト光を、観察者に対して効率よく表示光として拡散出射する機能を有している。
また、本発明における光拡散フィルムは、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル系の透明樹脂中に数平均粒径0.5〜20μmのシリコーン微粒子を分散させてなる微粒子分散系の光拡散フィルム等、従来公知の光拡散フィルムを用いることができる。
【0041】
中でも、特に、フィルム内に屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の領域を備えた内部構造を有する光拡散フィルムを用いることが好ましい。
この理由は、かかる所定の内部構造を有する光拡散フィルムであれば、広範囲の角度から入射して来る外光を、鏡面ルーバーフィルムによる反射を介して、観察者に対してより効率よく表示光として拡散出射することができるとともに、鏡面ルーバーフィルムを透過したバックライト光についても、観察者に対してより効率よく表示光として拡散出射することができるためである。
以下、このような所定の内部構造を有する光拡散フィルムについて具体的に説明するが、最初に
図7〜8を用いて、所定の内部構造を有する光拡散フィルムの基本原理について説明する。
すなわち、所定の内部構造を有する光拡散フィルムの基本的な態様であるフィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルムを例に挙げて、所定の内部構造を有する光拡散フィルムの基本原理について説明する。
【0042】
(1)光拡散フィルムにおける光拡散の基本原理
まず、
図7(a)には、フィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルム100aの上面図(平面図)が示してあり、
図7(b)には、
図7(a)に示すフィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルム100aを、点線A−Aに沿って垂直方向に切断して、切断面を矢印方向に眺めた場合の光拡散フィルム100aの断面図が示してある。
また、
図8(a)には、フィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルム100aの全体図を示し、
図8(b)には、
図8(a)のフィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルム100aをX方向から見た場合の断面図を示す。
かかる
図7(a)の平面図に示すように、フィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルム100aは、屈折率が相対的に高い柱状物112と、屈折率が相対的に低い領域114とからなるカラム構造113を有している。
また、
図7(b)の断面図に示すように、フィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルム100aのフィルム面内方向においては、屈折率が相対的に高い柱状物112と、屈折率が相対的に低い領域114は、それぞれ所定の幅を有して交互に配置された状態となっている。
【0043】
これにより、
図8(a)に示すように、入射角が光拡散入射角度領域内である場合には、入射光がフィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルム100aによって拡散されると推定される。
すなわち、
図7(b)に示すように、フィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルム100aに対する入射光の入射角が、カラム構造113の境界面113aに対し、平行から所定の角度範囲の値、つまり、光拡散入射角度領域内の値である場合には、入射光(152、154)は、カラム構造内の相対的に高屈折率の柱状物112の内部を、方向を変化させながら膜厚方向に沿って通り抜けることにより、出光面側での光の進行が一様でなくなるものと推定される。
その結果、入射角が光拡散入射角度領域内である場合には、入射光がフィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルム100aによって拡散され、拡散光(152´、154´)になると推定される。
一方、フィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルム100aに対する入射光の入射角が、光拡散入射角度領域から外れる場合には、
図7(b)に示すように、入射光156は、点線A−Aに沿って垂直方向に切断した断面内において、光拡散フィルム100aによって拡散されることなく、そのまま光拡散フィルム100aを透過し、透過光156´になるものと推定される。
なお、本発明において、「光拡散入射角度領域」とは、光拡散フィルムに対し、点光源からの入射光の角度を変化させた場合に、拡散光を出光するのに対応する入射光の角度範囲を意味する。
また、かかる「光拡散入射角度領域」は、
図8(a)に示すように、光拡散フィルムにおけるカラム構造の屈折率差や傾斜角等によって、その光拡散フィルムごとに決定される角度領域である。
【0044】
以上の基本原理により、フィルム内にカラム構造113を備えた光拡散フィルム100aは、例えば、
図8(a)に示すように、光の透過と拡散において入射角度依存性を発揮することが可能となる。
また、
図7および
図8に示すように、カラム構造113を有する光拡散フィルム100aは、通常、「等方性」を有することになる。
ここで、本発明において「等方性」とは、
図8(a)に示すように、入射光がフィルムによって拡散された場合に、拡散された出射光におけるフィルムと平行な面(フィルムの端面以外の面と平行な面を意味する。以下において同じ。)内での、その光の拡散具合(拡散光の広がりの形状)が、同面内での方向によって変化しない性質を有することを意味する。
より具体的には、
図8(a)に示すように、入射光がフィルム100aによって拡散された場合に、拡散された出射光の拡散具合は、フィルムと平行な面内において円状になる。
【0045】
また、
図8(b)に示すように、フィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルムにおいて、入射光の「入射角θa」と言った場合、入射角θaは、光拡散フィルムの入射側表面の法線の角度を0°とした場合の角度(°)を意味するものとする。
また、本発明において、「光拡散角度領域」とは、光拡散フィルムに対して、入射光が最も拡散される角度に点光源を固定し、この状態で得られる拡散光の角度範囲を意味するものとする。
さらに、本発明において、「拡散光の開き角θb」とは、上述した「光拡散角度領域」の角度幅(°)であり、
図8(b)に示すように、フィルムの断面を眺めた場合における拡散光の開き角θbを意味するものとする。
なお、光拡散角度領域の角度幅(°)と、光拡散入射角度領域の幅は、略同一になることが確認されている。
【0046】
また、
図8(a)に示す入射光Bのように、フィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルム100aは、入射光の入射角が光拡散入射角度領域に含まれる場合には、その入射角が異なる場合であっても、出光面側においてほぼ同様の光拡散をさせることができる。
したがって、フィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルムは、光を所定箇所に集中させる集光作用を有すると言うことができる。
なお、カラム構造内の柱状物112の内部における入射光の方向変化は、
図7(b)に示すような全反射により直線状にジグザグに方向変化するステップインデックス型となる場合の他、曲線状に方向変化するグラディエントインデックス型となる場合も考えられる。
また、
図7(a)および(b)では、相対的に屈折率が高い柱状物112と、相対的に屈折率が低い領域114と、の境界面を簡単のために直線で表したが、実際には、界面はわずかに蛇行しており、それぞれの柱状物は分岐や消滅を伴った複雑な屈折率分布構造を形成している。
その結果、一様でない光学特性の分布が光拡散性を高めているものと推定される。
以下、上述したフィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルムについて、より具体的な態様を例に挙げて説明する。
【0047】
(2)フィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルム
フィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルムとして、以下の構成の光拡散フィルムを例に挙げて説明する。
すなわち、内部構造がカラム構造であるとともに、光拡散フィルムの膜厚が60〜700μmの範囲内の値であり、かつ、フィルム面の法線に対する入射光の入射角を、フィルム長手方向に沿って、−70〜70°の範囲で変えた場合に、各入射角に対するヘイズ値が70%以上の値である光拡散フィルムを例に挙げて説明する。
【0048】
(2)−1 単一層
本態様に係る光拡散フィルムは、単一層であることが好ましい。
この理由は、複数の光拡散フィルムを積層させた場合と比較して、貼合工程を減らすことができ、経済的に有利であるばかりか、表示画像におけるボケの発生や層間剥離の発生についても効果的に抑制することができるためである。
なお、複数の光拡散フィルムを直接積層させた場合のほか、他のフィルム等を介して複数の光拡散フィルムを積層させた場合も、複数の光拡散フィルムを積層させた場合に含まれるものとする。
【0049】
(2)−2 光拡散特性
また、本態様に係る光拡散フィルムは、
図9(a)〜(c)に示すように、フィルム面の法線に対する入射角θaを、光拡散フィルム用組成物を膜状に塗布してなる塗布層101を光硬化する際の当該塗布層101の移動方向B、すなわち、フィルム長手方向に沿って、−70〜70°の範囲で変えた場合に、各入射角θaに対するヘイズ値を70%以上の値とする。
この理由は、光拡散フィルムがかかる所定の光拡散特性を有することにより、広範囲の角度から入射して来る外光を、鏡面ルーバーフィルムによる反射を介して、観察者に対してさらに効率よく表示光として拡散出射することができるためである。
すなわち、かかるヘイズ値が70%未満の値となると、鏡面ルーバーフィルムにより反射した外光を、観察者に対して効率よく表示光として拡散出射することが困難になる場合があるためである。
したがって、フィルム面の法線に対する入射角θaを、光拡散フィルム用組成物を膜状に塗布してなる塗布層を光硬化する際の当該塗布層の移動方向(フィルム長手方向)に沿って、−70〜70°(フィルム長手方向の一方の端部側をプラスとし、他方の端部側をマイナスとする。)の範囲で変えた場合に、各入射角θaに対するヘイズ値を75%以上の値とすることがより好ましく、80%以上の値とすることがさらに好ましい。
また、上述した光拡散特性は、通常、フィルムの一方の面において満足する場合は、もう一方の面においても満足することが確認されているが、仮に一方の面のみしか満足しない場合であっても、所定の効果が得られ、言うまでもなく、本態様に係る光拡散フィルムの範囲内である。
【0050】
なお、
図9(a)は、点光源202からの照射光50をレンズ204によって平行光60とし、移動方向Bに沿って移動している工程シート102上の塗布層101に対して照射し、光硬化している様子を示す側面図である。
また、
図9(b)は、光源310および積分球320を用いて、フィルム面の法線に対する入射角θaを、塗布層の移動方向B(フィルム長手方向)に沿って−70〜70°の範囲で変えながら、各入射角θaに対するヘイズ値を測定している様子を示す側面図である。
また、
図9(c)は、フィルム面の法線に対する入射角θaを−70〜70°の範囲で変えた様子を、フィルムを固定した状態で示した側面図である。
【0051】
次いで、
図10〜13を用いて、本態様に係る光拡散フィルムの光拡散特性と、当該光拡散フィルムを反射型表示体に適用した場合における表示光の拡散出射との関係を説明する。
ここで、光拡散フィルムを反射型表示体に適用した場合における表示光の拡散出射は、外光が豊富な環境下で本発明の半透過型表示体を使用した場合(バックライト光を用いず、外光を光源として用いる場合)における表示光の拡散出射に相当する。
これは、反射型表示体における反射板(鏡面反射板)が、本発明における鏡面ルーバー構造の板状鏡面領域に相当するからである。
したがって、光拡散フィルムを反射型表示体に適用した場合における表示光の拡散出射を評価することは、外光が豊富な環境下における本発明の半透過型表示体の表示特性を評価することに相当する。
【0052】
最初に、
図10〜13の概要を説明すると、
図10(a)には、実施例1の光拡散フィルム100a(本態様に係る光拡散フィルム)に対し、入射角θaにて光を入射し、1回拡散させた様子が示してある。
また、
図10(b)には、
図10(a)の入射角θaを変化させた場合における、各入射角θa(°)に対するヘイズ値(%)を測定した入射角−ヘイズ値チャートが示してある。
さらに、
図10(c)には、
図10(a)の入射角θaを変化させた場合における、各入射角θaの範囲に対する1回拡散された光の拡散具合(コノスコープ画像の模式図)が示してある。
【0053】
また、
図11(a)には、実施例1の光拡散フィルム100aを反射板10´に対して貼合し、測定用試験片とし、当該試験片のフィルム側から入射角θaにて光を入射し、反射板10´での反射を介して2回拡散させた様子が示してある。
また、
図11(b)には、
図11(a)の入射角θaを変化させた場合における、各入射角θa(°)に対するフィルム正面の輝度(cd/m
2)を測定した入射角−輝度チャートが示してある。
さらに、
図11(c)には、
図11(a)の入射角θaを変化させた場合における、各入射角θaに対する2回拡散された光の拡散具合(コノスコープ画像)が示してある。
【0054】
また、
図12(a)には、本態様に係る光拡散フィルムのパラメータを満足しない、フィルム内にカラム構造を有する光拡散フィルム100α(以下、「本態様に係る光拡散フィルムではない光拡散フィルム」と称する。)に対し、入射角θaにて光を入射し、1回拡散させた様子が示してある。
また、
図12(b)には、
図12(a)の入射角θaを変化させた場合における、各入射角θa(°)に対するヘイズ値(%)を測定した入射角−ヘイズ値チャートが示してある。
さらに、
図12(c)には、
図12(a)の入射角θaを変化させた場合における、各入射角θaの範囲に対する1回拡散された光の拡散具合(コノスコープ画像の模式図)が示してある。
【0055】
また、
図13(a)には、本態様に係る光拡散フィルムでない光拡散フィルム100αを反射板10´に対して貼合し、測定用試験片とし、当該試験片のフィルム側から入射角θaにて光を入射し、反射板10´での反射を介して2回拡散させた様子が示してある。
また、
図13(b)には、
図13(a)の入射角θaを変化させた場合における、各入射角θa(°)に対するフィルム正面の輝度(cd/m
2)を測定した入射角−輝度チャートが示してある。
さらに、
図13(c)には、
図13(a)の入射角θaを変化させた場合における、各入射角θaに対する2回拡散された光の拡散具合(コノスコープ画像)が示してある。
【0056】
まず、
図10(a)に示す実施例1の光拡散フィルム100aは、
図10(b)の入射角−ヘイズ値チャートに示すように、入射角θaを−70〜70°の範囲で変えた場合に、各入射角θaに対するヘイズ値が70%以上の値をとっており、本態様に係る光拡散フィルムの要件を満たしている。
また、
図10(b)の入射角−ヘイズ値チャートにおける入射角θa=−70〜−18°、−18〜−2°、−2〜34°、34〜44°および44〜70°の範囲に対する1回拡散された光の拡散具合は、それぞれ
図10(c)のコノスコープ画像の模式図に示す通りである。
すなわち、実施例1の光拡散フィルム100aは、入射角θaを−70〜70°の範囲で変えた場合に、各入射角θaに対するヘイズ値が70%以上の値であることから、
図10(c)に示すように、入射角θa=−70〜70°の全範囲において、直線透過光の少ない均一な拡散光を得ることができることが分かる(直線透過光が多い程、ヘイズ値は小さくなる)。
より具体的には、入射角θa=−2〜34°の範囲においては、入射角θaが
図8(a)等を用いて説明した光拡散入射角度領域に該当することから、
図10(c)に示すように円形の等方性光拡散が生じていることが分かる。
一方、入射角θa=−70〜−18°、−18〜−2°、34〜44°および44〜70°の範囲においては、入射角θaが
図8(a)等を用いて説明した光拡散入射角度領域の範囲外に該当することから、円形の等方性光拡散が生じずに、
図10(c)に示すように三日月型の光拡散が生じていることが分かる。
【0057】
ここで、
図7(b)を用いた先の説明においては、入射角θaが光拡散入射角度領域の範囲外の場合には、点線A−Aに沿って垂直方向に切断した断面内において、入射光がフィルムによって拡散されることなく透過すると記載した。
しかしながら、かかる説明は、等方性光拡散が生じる光拡散入射角度領域を分かりやすく説明するための便宜的なものであり、実際には、
図8(a)における入射光AおよびCのように、入射角度が光拡散入射角度領域に含まれない場合には、出射光のフィルムと平行な面内での拡散は三日月型になる。
ここで、実際には、三日月型の拡散光も、透過光ではなく、文字通り、拡散光である点に留意されたい。
いずれにしても、実施例1の光拡散フィルム100aは、入射角θaを−70〜70°の範囲で変えた場合に、各入射角θaに対するヘイズ値が70%以上の値であることから、等方性光拡散または三日月型の光拡散の違いはあるものの、入射角θa=−70〜70°の全範囲において、直線透過光の少ない均一な拡散光が得られることが分かる。
【0058】
これにより、
図10(a)に示す実施例1の光拡散フィルム100aは、
図11(a)に示すように、入射角θaの光を反射板10´での反射を介して合計2回拡散させた場合に、効率的にフィルム正面に拡散出射することができる。
すなわち、
図11(b)の入射角−輝度チャートに示すように、入射角θaを0〜60°の範囲で変えた場合に、各入射角θaに対するフィルム正面の輝度が、少なくとも入射角θa=10〜40°の範囲で8cd/m
2(ゲイン約1:標準白色板よりも効率よく外光を反射可能と判断される値)を超えた値となっており、広い範囲の入射光を、反射板10´の反射を介した合計2回の拡散により効率的にフィルム正面に拡散出射できることが分かる。
これは、実施例1の光拡散フィルムであれば、1回目の拡散において入射光を均一に拡散させることができることから、反射板での反射を介した2回目の拡散が、反射角と内部構造の傾斜角との関係で不均一になったとしても、結果的に均一な拡散光をフィルム面側に出射することができるためであると考えられる。
また、
図11(a)に示す合計2回拡散させるモデルは、光拡散フィルムを反射型表示体に適用した場合の光拡散特性を測定するためのモデルである。
【0059】
なお、
図11(c)には、実際の様子をより具体的に示すべく、入射角θa=0°、20°、40°および60°に対する2回拡散された光の拡散具合(コノスコープ画像)が示してある。
すなわち、0cd/m
2〜各コノスコープ画像における最大の輝度の値までの輝度分布を、青色から赤色までの14段階に分けて表し、0cd/cm
2が青色であり、0cd/m
2を超えた値〜各コノスコープ画像における最大の輝度の値までを13等分し、0cd/m
2〜最大の輝度の値に近づくのに伴い、青色〜水色〜緑色〜黄色〜オレンジ色〜赤色と13段階で変化するように表している。
また、各コノスコープ画像における放射状に引かれた線は、それぞれ方位角方向0°―180°方向(方位角0°と方位角180°を結ぶ直線上にあることを意味する。以下同じ。)、45°―225°方向、90°―270°方向、135°―315°方向を示し、同心円状に引かれた線は、内側から順に極角方向18°、38°、58°、78°を示す。
したがって、各コノスコープ画像における各同心円の中心部分における色が、フィルム正面に拡散出射された拡散光の相対的な輝度を表しており、各同心円の中心部分における絶対的な輝度が、
図11(b)の各プロットの縦軸の値に対応している。
【0060】
一方、
図12(a)に示す本態様に係る光拡散フィルムではない光拡散フィルム100αは、
図12(b)の入射角−ヘイズ値チャートに示すように、入射角θaを−70〜70°の範囲で変えた場合に、入射角θaの値によってはヘイズ値が70%未満の値をとる場合があり、本態様に係る光拡散フィルムの要件を満たしていない。
また、
図12(b)の入射角−ヘイズチャートにおける入射角θa=−70〜−17°、−17〜−7°、−7〜16°、16〜36°および36〜70°の範囲に対する1回拡散された光の拡散具合は、それぞれ
図12(c)のコノスコープ画像の模式図に示す通りである。
すなわち、本態様に係る光拡散フィルムではない光拡散フィルム100αは、入射角θaを−70〜70°の範囲で変えた場合に、入射角θaの値によってはヘイズ値が70%未満の値をとる場合があることから、
図12(c)に示すように、そのような入射角θaの範囲においては、直線透過光が多くなり、均一な拡散光を得ることができないことが分かる。
より具体的には、入射角θa=−7〜16°の範囲においては、入射角θaが
図8(a)等を用いて説明した光拡散入射角度領域に該当し、かつ、ヘイズ値が70%以上の値であることから、
図12(c)に示すように円形の等方性光拡散が生じていることが分かる。
一方、入射角θa=−17〜−7°および16〜36°の範囲においては、入射角θaが
図8(a)等を用いて説明した光拡散入射角度領域の範囲外に該当し、かつ、ヘイズ値が70%以上の値であることから、円形の等方性光拡散が生じずに、
図12(c)に示すように三日月型の光拡散が生じていることが分かる。
他方、入射角θa=−70〜−17°および36〜70°の範囲においては、入射角θaが
図8(a)等を用いて説明した光拡散入射角度領域の範囲外に該当し、かつ、ヘイズ値が70%未満の値であることから、輪郭としては三日月型の光拡散が生じつつも、その中央部分に直進透過光が強く現れた不均一な光拡散が生じていることが分かる。
したがって、本態様に係る光拡散フィルムではない光拡散フィルム100αは、入射角θaを−70〜70°の範囲で変えた場合に、入射角θaの値によってはヘイズ値が70%未満の値をとる場合があることから、そのような入射角θaの範囲においては、輪郭としては三日月型の光拡散が生じるものの、直進透過光が多くなり、均一な拡散光を得ることができないことが分かる。
【0061】
その結果、
図12(a)に示す本態様に係る光拡散フィルムではない光拡散フィルム100αは、
図13(a)に示すように、入射角θaの光を反射板10´での反射を介して合計2回拡散させた場合に、効率的にフィルム正面に拡散出射することが困難になる。
すなわち、
図13(b)の入射角−輝度チャートに示すように、入射角θaを0〜60°の範囲で変えた場合に、各入射角θaに対するフィルム表面の輝度が、入射角θa=10〜30°の範囲でしか8cd/m
2を超えた値をとることができず、広い範囲の入射光を、反射板10´の反射を介した2回の拡散により効率的にフィルム正面に拡散出射できないことが分かる。
また、入射角θaを20°から30°に変化させた際のフィルム表面の輝度の落差が著しいため、実質的に、入射角θa=0〜20°という狭い範囲でしか効率的にフィルム正面に拡散出射できないことも分かる。
これは、本態様に係る光拡散フィルムではない光拡散フィルムでは、1回目の拡散において、特に入射角θaの絶対値が大きい場合に、入射光を均一に拡散させることができないことから、反射板での反射を介した2回目の拡散が、反射角と内部構造の傾斜角との関係で不均一になった場合に、均一な拡散光をフィルム面側に出射することができないためであると考えられる。
つまり、フィルム面側に出射される拡散光が不均一になった場合には、通常、フィルム正面以外の角度に拡散光が比較的高い輝度で出射することになるため、フィルム正面の輝度が相対的に低下しやすくなるものと考えられる。
なお、
図13(c)には、実際の様子をより具体的に示すべく、入射角θa=0°、20°、40°および60°に対する2回拡散された光の拡散具合(コノスコープ画像)が示してある。
したがって、
図11(c)の場合と同様に、各コノスコープ画像における各同心円の中心部分における色が、フィルム正面に拡散出射された拡散光の相対的な輝度を表しており、各同心円の中心部分における絶対的な輝度が、
図13(b)の各プロットの縦軸の値に対応している。
【0062】
なお、上述した実施例1における光拡散フィルムのように、本態様に係る光拡散フィルムは、外光の方位角方向における入射角度が変化した場合であっても、極角方向における入射角度が変化した場合であっても、反射板の反射を介した2回の拡散により効率的にフィルム正面に拡散出射することができる。
一方、上述した本態様に係る光拡散フィルムではない光拡散フィルムの場合は、塗布層の移動方向(フィルム長手方向)と直交する方位角方向において、極角方向における外光の入射角度が変化した場合には、反射板の反射を介した2回の拡散により効率的にフィルム正面に拡散出射することができる。
ただし、本態様に係る光拡散フィルムではない光拡散フィルムの場合は、その他の方位角方向からの外光については、極角方向における外光の入射角度が変化した場合には、反射板の反射を介した2回の拡散によっても、効率的にフィルム正面に拡散出射することが困難となる。
したがって、本態様に係る光拡散フィルムではない光拡散フィルムを用いた半透過型表示体であっても、特定方位角方向でしか外光の入射角度が変化しない環境下(例えば、地面に埋め込み、太陽光を外光として利用する場合等)であれば、十分に半透過型表示体として実用可能である。
【0063】
(2)−3 内部構造
本態様に係る光拡散フィルムは、光拡散フィルムにおける内部構造が、屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物をフィルム膜厚方向に林立させてなるカラム構造であれば、特に限定されるものではない。
但し、上述した所定の光拡散特性を安定的に発揮させる観点からは、光拡散フィルムにおける一方の面を第1の面とし、他方の面を第2の面とした場合に、柱状物が、第1の面から第2の面に向かって形状変化してなる変形柱状物であることが好ましい。
この理由は、例えば、第1の面から第2の面に向かって形状変化しない通常の柱状物からなるカラム構造を備えた光拡散フィルムの場合、上述した所定の光拡散特性を安定的に得られないことが確認されているためである。
これに対し、第1の面から第2の面に向かって形状変化してなる変形柱状物からなるカラム構造を備えた光拡散フィルムの場合、上述した所定の光拡散特性を安定的に得られることが確認されているためである。
以下、変形柱状物からなるカラム構造について、具体的に説明する。
【0064】
より具体的には、
図8(a)に示すように、変形柱状物112において、第2の面116から第1の面115に向かって直径が増加することが好ましい。
この理由は、このような変形柱状物を有するカラム構造を形成することにより、光拡散フィルムに対して、より安定的に所定の光拡散特性を付与することができるためである。
すなわち、このような変形柱状物であれば、通常の柱状物と比較して、柱状物の軸線方向と平行な光であっても直進透過しにくいため、光拡散フィルムに対して、より安定的に所定の光拡散特性を付与することができるためである。
【0065】
また、
図14(a)に示すように、変形柱状物112´が、当該柱状物の途中において屈曲部を有していることが好ましい。
この理由は、このような変形柱状物を有するカラム構造を形成することにより、光拡散フィルムに対して、一段と安定的に所定の光拡散特性を付与することができるためである。
すなわち、このような変形柱状物であれば、通常の柱状物と比較して、光が直進透過しにくいだけでなく、拡散光の開き角を拡大できることから、光拡散フィルムに対して、一段と安定的に所定の光拡散特性を付与することができるためである。
【0066】
また、
図14(b)に示すように、変形柱状物(112a´´、112b´´)が、第1の面115´´の側に位置する第1の柱状物112a´´と、第2の面116´´の側に位置する第2の柱状物112b´´と、からなることが好ましい。
この理由は、このような変形柱状物を有するカラム構造を形成することにより、光拡散フィルムに対して、一段と安定的に所定の光拡散特性を付与することができるばかりか、得られる光拡散特性を効率的に制御することができるためである。
すなわち、このような変形柱状物であれば、通常の柱状物と比較して、光が直進透過しにくいだけでなく、拡散光の開き角を拡大できることから、光拡散フィルムに対して、一段と安定的に所定の光拡散特性を付与することができるためである。
また、第1の柱状物の上端部と、第2の柱状物の下端部とが、後述する実施例3の光拡散フィルムのように、互い違いに重なり合うことで形成される重複カラム構造領域を有することも好ましい。
この理由は、かかる重複カラム構造領域を有することにより、第1および第2の柱状物の間の柱状物未形成部分における散乱光の発生を抑制して、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を、さらに向上させることができるためである。
【0067】
(i)屈折率
カラム構造において、屈折率が相対的に高い柱状物の屈折率と、屈折率が相対的に低い領域の屈折率との差を0.01以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率の差が0.01未満の値となると、入射光がカラム構造内で全反射する角度域が狭くなることから、入射角度依存性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、カラム構造における屈折率が相対的に高い柱状物の屈折率と、屈折率が相対的に低い領域の屈折率との差を0.05以上の値とすることがより好ましく、0.1以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、屈折率が相対的に高い柱状物の屈折率と、屈折率が相対的に低い領域の屈折率との差は大きい程好ましいが、屈曲カラム構造を形成可能な材料を選定する観点から、0.3程度が上限であると考えられる。
【0068】
(ii)最大径
また、
図15(a)に示すように、カラム構造において、柱状物の断面における最大径Sを0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる最大径が0.1μm未満の値となると、入射光の入射角度にかかわらず、光拡散特性を示すことが困難になる場合があるためである。一方、かかる最大径が15μmを超えた値となると、カラム構造内を直進する光が増加し、拡散光の均一性が悪化する場合があるためである。
したがって、カラム構造において、柱状物の断面における最大径を0.5〜10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、柱状物の断面形状については、特に限定されるものではないが、例えば、円、楕円、多角形、異形等とすることが好ましい。
また、柱状物の断面とは、フィルム表面と平行な面によって切断された断面を意味する。
なお、柱状物の最大径や長さ等は、光学デジタル顕微鏡にて観察することにより測定することができる。
【0069】
(iii)柱状物間の距離
また、
図15(a)に示すように、カラム構造において、柱状物間における距離、すなわち、隣接する柱状物におけるスペースPを0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる距離が0.1μm未満の値となると、入射光の入射角度にかかわらず、光拡散性を示すことが困難になる場合があるためである。一方、かかる距離が15μmを超えた値となると、カラム構造内を直進する光が増加し、拡散光の均一性が悪化する場合があるためである。
したがって、カラム構造において、柱状物間における距離を0.5〜10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0070】
(iv)厚さ
また、カラム構造の厚さ、すなわち、
図15(b)に示すように、フィルム面の法線方向における柱状物の長さLaを50〜700μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるカラム構造の厚さLaが50μm未満の値となると、柱状物の長さが不足して、カラム構造内を直進してしまう入射光が増加し、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を得ることが困難になる場合があるためである。一方、かかるカラム構造の厚さLaが700μmを超えた値となると、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射してカラム構造を形成する際に、初期に形成されたカラム構造によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望のカラム構造を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、カラム構造の厚さLaを70〜400μmの範囲内の値とすることがより好ましく、80〜300μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、本態様に係る光拡散フィルムは、
図15(b)に示すように膜厚方向全体にカラム構造(膜厚方向長さLa)が形成されていてもよいし、フィルムの上端部、下端部の少なくともいずれか一方にカラム構造未形成部分を有していてもよい。
なお、
図14(a)〜(b)に示すような変形柱状物を有するカラム構造の場合には、上方部分(光拡散フィルムを製造する際に活性エネルギー線が照射される側の部分)における柱状物の長さと、下方部分における柱状物の長さとの比を、通常、7:1〜1:50の範囲内とすることが好ましい。
【0071】
(v)傾斜角
また、
図15(b)に示すように、カラム構造において、柱状物112が光拡散フィルムの膜厚方向に対して一定の傾斜角θcにて林立してなることが好ましい。
この理由は、柱状物の傾斜角を一定とすることにより、カラム構造内において入射光をより安定的に反射させて、カラム構造に由来した入射角度依存性をさらに向上させることができるためである。
また、傾斜角θcを0〜50°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、カラム構造によって発現する光拡散角度領域を任意の方向に調整するためである。つまり半透過型表示体を設置する位置、視認者が半透過型表示体を視認する角度を考慮し、拡散光を視認者の方向へ集光するためである。
より具体的には、例えば、視認者が映像をおよそ半透過型表示体の正面で視認することになる場面では、フィルムの正面が光拡散角度領域となるように柱状物の傾斜角θcを制御する。一方、例えば、視認者が半透過型表示体を下方等から視認する場面では、その方向が光拡散角度領域となるように柱状物の傾斜角θcを制御する。
但し、傾斜角θcが50°を超えた値となると、フィルムの正面に対して拡散光を出射することが困難になる場合がある。
したがって、傾斜角θcを0〜40°の範囲内の値とすることがより好ましく、0〜30°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、傾斜角θcは、フィルム面に垂直な面であって、1本の柱状物全体を軸線に沿って2つに切断する面によってフィルムを切断した場合の断面において測定されるフィルム表面に対する法線の角度を0°とした場合の柱状物の傾斜角(°)を意味する。
より具体的には、
図15(b)に示す通り、傾斜角θcは、カラム構造の上端面の法線と、柱状物の最上部との為す角度のうち狭い側の角度を意味する。
また、
図15(b)に示す通り、柱状物が左側に傾いているときの傾斜角を基準とし、柱状物が右側に傾いているときの傾斜角をマイナスで表記する。
なお、
図14(a)〜(b)に示すような変形柱状物を有するカラム構造の場合は、通常、上方部分における柱状物(光の入射側の柱状物)の傾斜角を0〜50°の範囲内の値とするとともに、下方部分における柱状物(光の出射側の柱状物)の傾斜角を0〜50°の範囲内の値とすることが好ましい。
【0072】
また、柱状物の傾斜角に関し、半透過型表示体に対して入射して来る外光を、光拡散フィルムによって効率よく拡散させた後、鏡面ルーバーフィルムによって反射させる観点からは、
図16に示すように、柱状物112の傾斜方向を示す矢印Aと、板状鏡面領域10aの法線方向を示す矢印Bと、が同一方向となるように、光拡散フィルム100と鏡面ルーバーフィルム10とを積層することが好ましい。
ここで、上述した「同一方向」とは、矢印Aと矢印Bとが完全に一致している必要はなく、矢印Aと矢印Bとの為す鋭角が0〜30°の範囲内の値であってもよい。
また、理想的には、
図16に示す入射角θaで入射した外光3aの媒体中での角度と、柱状物の傾斜角θcとが一致することが好ましい。
そして、例えば、半透過型表示体の正面に対して表示光4aを出射する場合であれば、
図16に示すように、板状鏡面領域10aの傾斜角θ1を1/2θcとすることが好ましい。なお、上述したθ1とθcとの関係は、完全な一致を必要とするものではなく、θcについて当該光拡散フィルム100の光拡散角度領域に対応した幅を許容するものである。
また、入射して来る外光の拡散ではなく、鏡面ルーバーフィルムによって反射された外光を効率よく拡散させことを重視する場合には、光拡散フィルムにおける柱状物の傾斜角を0°、もしくはその周辺の値(−10〜10°)とすることが好ましい。
【0073】
(2)−4 膜厚
また、本態様に係る光拡散フィルムにおいては、膜厚を60〜700μmの範囲内の値とする。
この理由は、光拡散フィルムの膜厚が60μm未満の値となると、カラム構造内を直進する入射光が増加し、所定の光拡散特性を示すことが困難になる場合があるためである。
一方、光拡散フィルムの膜厚が700μmを超えた値となると、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射してカラム構造を形成する際に、初期に形成されたカラム構造によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望のカラム構造を形成することが困難になる場合があるためである。また、表示画像にボケが生じ易くなる場合があるためである。
したがって、光拡散フィルムの膜厚を80〜450μmの範囲内の値とすることがより好ましく、100〜250μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0074】
(2)−5 製造方法
本態様に係る光拡散フィルムは、下記工程(a)〜(c)を含む製造方法により製造することが好ましい。
(a)(A)成分としての複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルと、(B)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートと、(C)成分としての光重合開始剤と、を含む光拡散フィルム用組成物を準備する工程
(b)光拡散フィルム用組成物を工程シートに対して塗布し、塗布層を形成する工程
(c)塗布層に対して活性エネルギー線を照射する工程
以下、各工程について、図面を参照しつつ、具体的に説明する。
【0075】
(i)工程(a):光拡散フィルム用組成物の準備工程
かかる工程は、所定の光拡散フィルム用組成物を準備する工程である。
より具体的には、(A)〜(C)成分および所望によりその他の添加剤を混合する工程である。
また、混合に際しては、室温下でそのまま撹拌してもよいが、均一性を向上させる観点からは、例えば、40〜80℃の加温条件下にて撹拌して、均一な混合液とすることが好ましい。
また、塗工に適した所望の粘度となるように、希釈溶剤をさらに加えることも好ましい。
以下、光拡散フィルム用組成物について、より具体的に説明する。
【0076】
(i)−1 (A)成分
(種類)
光拡散フィルム用組成物は、(A)成分として、複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましい。
この理由は、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、(A)成分の重合速度を、(B)成分の重合速度よりも速くして、これらの成分間における重合速度に所定の差を生じさせ、両成分の共重合性を効果的に低下させることができるものと推定されるためである。
その結果、光硬化させた際に、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域中に、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立させてなるカラム構造を効率よく形成することができる。
また、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、単量体の段階では(B)成分と十分な相溶性を有しつつも、重合の過程において複数繋がった段階では(B)成分との相溶性を所定の範囲にまで低下させて、カラム構造をさらに効率よく形成することができるものと推定される。
さらに、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、カラム構造における(A)成分に由来した領域の屈折率を高くして、(B)成分に由来した領域の屈折率との差を、所定以上の値に調節することができる。
したがって、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、後述する(B)成分の特性と相まって、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い領域と、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域とからなるカラム構造を効率的に得ることができる。
なお、「複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステル」とは、(メタ)アクリル酸エステルのエステル残基部分に複数の芳香環を有する化合物を意味する。
また、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の両方を意味する。
【0077】
また、このような(A)成分としての複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラシル、(メタ)アクリル酸ベンジルフェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸ナフチルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸アントラシルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸ベンジルフェニルオキシアルキル等、若しくは、芳香環上の水素原子の一部がハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロゲン化アルキル等によって置換されたもの等を挙げることができる。
【0078】
また、(A)成分としての複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルとして、ビフェニル環を含有する化合物を含むことが好ましく、特に、下記一般式(1)で表わされるビフェニル化合物を含むことが好ましい。
【0080】
(一般式(1)中、R
1〜R
10は、それぞれ独立しており、R
1〜R
10の少なくとも1つは、下記一般式(2)で表わされる置換基であり、残りは、水素原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシ基、フッ素以外のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基およびフッ素以外のハロゲン原子のいずれかの置換基である。)
【0082】
(一般式(2)中、R
11は、水素原子またはメチル基であり、炭素数nは1〜4の整数であり、繰り返し数mは1〜10の整数である。)
【0083】
この理由は、(A)成分として、特定の構造を有するビフェニル化合物を含むことにより、(A)成分および(B)成分の重合速度に所定の差を生じさせ、(A)成分と、(B)成分との相溶性を所定の範囲にまで低下させて、両成分同士の共重合性をさらに低下させることができると推定されるためである。
また、カラム構造における(A)成分に由来した領域の屈折率を高くして、(B)成分に由来した領域の屈折率との差を、所定以上の値に、より容易に調節することができる。
【0084】
また、一般式(1)で表わされるビフェニル化合物の具体例としては、下記式(3)〜(4)で表わされる化合物を好ましく挙げることができる。
【0087】
(分子量)
また、(A)成分の分子量を、200〜2500の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(A)成分の分子量が200未満の値となると、立体障害が小さくなるため(B)成分との共重合が生じ易くなるものと推定され、その結果、カラム構造を効率よく形成することが困難になる場合があるためである。一方、(A)成分の分子量が2,500を超えた値となると、(B)成分との分子量の差が小さくなるのにともなって、(A)成分の重合速度が低下して(B)成分の重合速度に近くなり、(B)成分との共重合が生じ易くなるものと推定され、その結果、カラム構造を効率よく形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分の分子量を、240〜1500の範囲内の値とすることがより好ましく、260〜1000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、(A)成分の分子量は、分子の組成と、構成原子の原子量から得られる計算値から求めることができる。
【0088】
(屈折率)
また、(A)成分の屈折率を1.5〜1.65の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(A)成分の屈折率が1.5未満の値となると、(B)成分の屈折率との差が小さくなり過ぎて、有効な光拡散角度領域を得ることが困難になる場合があるためである。一方、(A)成分の屈折率が1.65を超えた値となると、(B)成分の屈折率との差は大きくなるものの、(B)成分との見かけ上の相溶状態さえも形成する事が困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分の屈折率を、1.52〜1.62の範囲内の値とすることがより好ましく、1.56〜1.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、上述した(A)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(A)成分の屈折率を意味する。
また、屈折率は、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
【0089】
(含有量)
また、光拡散フィルム用組成物における(A)成分の含有量を、後述する(B)成分100重量部に対して、25〜400重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(A)成分の含有量が25重量部未満の値となると、(B)成分に対する(A)成分の存在割合が少なくなって、
図7(b)の断面図に示すカラム構造における(A)成分に由来した柱状物の幅が過度に小さくなり、良好な入射角度依存性を有するカラム構造を得ることが困難になる場合があるためである。また、光拡散フィルムの厚さ方向における柱状物の長さが不十分になり、所定の光拡散特性を示さなくなる場合があるためである。一方、(A)成分の含有量が400重量部を超えた値となると、(B)成分に対する(A)成分の存在割合が多くなって、(A)成分に由来した柱状物の幅が過度に大きくなり、逆に、良好な入射角度依存性を有するカラム構造を得ることが困難になる場合があるためである。また、光拡散フィルムの厚さ方向における柱状物の長さが不十分になり、所定の光拡散特性を示さなくなる場合があるためである。
したがって、(A)成分の含有量を、(B)成分100重量部に対して40〜300重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、50〜200重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0090】
(i)−2 (B)成分
(種類)
光拡散フィルム用組成物は、(B)成分として、ウレタン(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
この理由は、ウレタン(メタ)アクリレートであれば、(A)成分に由来した領域の屈折率と、(B)成分に由来した領域の屈折率との差を、より容易に調節できるばかりか、(B)成分に由来した領域の屈折率のばらつきを有効に抑制し、カラム構造を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味する。
【0091】
また、ウレタン(メタ)アクリレートは、(B1)イソシアナート基を少なくとも2つ含有する化合物、(B2)ポリオール化合物、好ましくはジオール化合物、特に好ましくはポリアルキレングリコール、および(B3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから形成される。
【0092】
(屈折率)
また、(B)成分の屈折率を1.4〜1.55の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B)成分の屈折率が1.4未満の値となると、(A)成分の屈折率との差は大きくなるものの、(A)成分との相溶性が極端に悪化し、カラム構造を形成することができないおそれがあるためである。一方、(B)成分の屈折率が1.55を超えた値となると、(A)成分の屈折率との差が小さくなり過ぎて、所望の入射角度依存性を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、(B)成分の屈折率を、1.45〜1.54の範囲内の値とすることがより好ましく、1.46〜1.52の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、上述した(B)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(B)成分の屈折率を意味する。
そして、屈折率は、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
【0093】
また、上述した(A)成分の屈折率と、(B)成分の屈折率との差を、0.01以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率の差が0.01未満の値となると、入射光がカラム構造内で全反射する角度域が狭くなることから、光拡散における開き角が過度に狭くなる場合があるためである。一方、かかる屈折率の差が過度に大きな値となると、(A)成分と(B)成分の相溶性が悪化しすぎて、カラム構造を形成できないおそれがあるためである。
したがって、(A)成分の屈折率と、(B)成分の屈折率との差を、0.05〜0.5の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜0.2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ここでいう(A)成分および(B)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(A)成分および(B)成分の屈折率を意味する。
【0094】
(i)−3 (C)成分
(種類)
また、光拡散フィルム用組成物は、(C)成分として、光重合開始剤を含有させることが好ましい。
この理由は、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射した際に、効率的に、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域中に、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立させてなるカラム構造を形成することができるためである。
ここで、光重合開始剤とは、紫外線等の活性エネルギー線の照射により、ラジカル種や水素イオン等、重合反応を開始させる物質を発生させる化合物をいう。
【0095】
かかる(C)成分としての光重合開始剤は、α−ヒドロキシアセトフェノン型光重合開始剤、α−アミノアセトフェノン型光重合開始剤およびアシルフォスフィンオキサイド型重合開始剤からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
この理由は、これらの光重合開始剤であれば、後述する(D)成分と組み合わせて用いた場合に、カラム構造に対してより明確に屈曲を生じさせることができることから、得られる光拡散フィルムにおける拡散光の開き角を、より効果的に拡大することができるためである。
すなわち、これらの光重合開始剤であれば、屈曲したカラム構造の形成に際し、(A)成分および(B)成分に由来した領域の屈折率差がより大きくなるよう、これらの成分の分離を促しつつ硬化させることに寄与していると推測されるためである。
光重合開始剤の具体例として、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン]等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、α−ヒドロキシアセトフェノン型光重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンであることが好ましい。
【0096】
(含有量)
また、光拡散フィルム用組成物における(C)成分の含有量を、(A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して、0.2〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(C)成分の含有量が0.2重量部未満の値となると、十分な入射角度依存性を有する光拡散フィルムを得ることが困難になるばかりか、重合開始点が過度に少なくなって、フィルムを十分に光硬化させることが困難になる場合があるためである。一方、(C)成分の含有量が20重量部を超えた値となると、塗布層の表層における紫外線吸収が過度に強くなって、かえってフィルムの光硬化が阻害されたり、臭気が過度に強くなったり、あるいはフィルムの初期の黄色味が強くなったりする場合があるためである。
したがって、(C)成分の含有量を、(A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して、0.5〜15重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0097】
(i)−4 (D)成分
(種類)
また、本発明における光拡散フィルム用組成物は、特に
図14(a)に示すような柱状物の途中において屈曲部を有する変形柱状物112´を有するカラム構造を形成する場合に、(D)成分として、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
この理由は、(D)成分として、紫外線吸収剤を含むことにより、活性エネルギー線を照射した際に、所定波長の活性エネルギー線を、所定の範囲で選択的に吸収することができるためである。
その結果、光拡散フィルム用組成物の硬化を阻害することなく、
図14(a)に示すように、フィルム内に形成されるカラム構造に屈曲を生じさせることができ、これにより、得られる光拡散フィルムに対し、より安定的に所定の光拡散特性を付与することができる。
【0098】
また、(D)成分が、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤およびヒドロキシベンゾエート系紫外線吸収剤からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0099】
また、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、下記式(5)〜(9)で表わされる化合物が好ましく挙げられる。
【0105】
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、下記式(10)で表わされる化合物が好ましく挙げられる。
【0107】
(含有量)
また、光拡散フィルム用組成物における(D)成分の含有量を、(A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して、2重量部未満(但し、0重量部を除く。)の値とすることが好ましい。
この理由は、(D)成分の含有量が2重量部以上の値となると、光拡散フィルム用組成物の硬化が阻害されて、フィルム表面に収縮シワが生じたり、全く硬化しなくなったりする場合があるためである。一方、(D)成分の含有量が過度に少なくなると、フィルム内に形成される所定の内部構造に対し、十分な屈曲を生じさせることが困難になり、得られる光拡散フィルムに対し、所定の光拡散特性を安定的に付与することが困難になる場合があるためである。
したがって、(D)成分の含有量を、(A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して、0.01〜1.5重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.02〜1重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0108】
(i)−5 他の添加物
また、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜、上述した化合物以外の添加剤を添加することができる。
このような添加剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、重合促進剤、重合禁止剤、赤外線吸収剤、可塑剤、希釈溶剤、およびレベリング剤等が挙げられる。
なお、このような添加剤の含有量は、一般に、(A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して、0.01〜5重量部の範囲内の値とすることが好ましく、0.02〜3重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜2重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0109】
(ii)工程(b):塗布工程
かかる工程は、
図17(a)に示すように、光拡散フィルム用組成物を工程シート102に対して塗布し、塗布層101を形成する工程である。
工程シートとしては、プラスチックフィルム、紙のいずれも使用することができる。
このうち、プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルム、トリアセチルセルロースフィルム等のセルロース系フィルム、およびポリイミド系フィルム等が挙げられる。
また、紙としては、例えば、グラシン紙、コート紙、およびラミネート紙等が挙げられる。
また、後述する工程を考慮すると、工程シート102としては、熱や活性エネルギー線に対する寸法安定性に優れたプラスチックフィルムであることが好ましい。
このようなプラスチックフィルムとしては、上述したもののうち、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルムおよびポリイミド系フィルムが好ましく挙げられる。
【0110】
また、工程シートに対しては、光硬化後に、得られた光拡散フィルムを工程シートから剥離し易くするために、工程シートにおける光拡散フィルム用組成物の塗布面側に、剥離層を設けることが好ましい。
かかる剥離層は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、アルキッド系剥離剤、オレフィン系剥離剤等、従来公知の剥離剤を用いて形成することができる。
なお、工程シートの厚さは、通常、25〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0111】
また、工程シート上に光拡散フィルム用組成物を塗布する方法としては、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、およびグラビアコート法等、従来公知の方法により行うことができる。
なお、このとき、塗布層の膜厚を60〜700μmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0112】
(iii)工程(c):活性エネルギー線の照射工程
かかる工程は、
図17(b)に示すように、塗布層101に対して活性エネルギー線照射を行い、フィルム内にカラム構造を形成し、光拡散フィルムとする工程である。
より具体的には、活性エネルギー線の照射工程においては、工程シートの上に形成された塗布層に対し、光線の平行度が高い平行光を照射する。
【0113】
ここで、平行光とは、発せられる光の方向が、いずれの方向から見た場合であっても広がりを持たない略平行な光を意味する。
より具体的には、例えば、
図18(a)に示すように、点光源202からの照射光50をレンズ204によって平行光60とした後、塗布層101に照射したり、
図18(b)〜(c)に示すように、線状光源225からの照射光50を、照射光平行化部材200(200a、200b)によって平行光60とした後、塗布層101に照射したりすることが好ましい。
【0114】
なお、
図18(d)に示すように、照射光平行化部材200は、線状光源225による直接光のうち、光の向きがランダムとなる線状光源225の軸線方向と平行な方向において、例えば、板状部材210aや筒状部材210b等の遮光部材210を用いて光の向きを統一することにより、線状光源225による直接光を平行光に変換することができる。
より具体的には、線状光源225による直接光のうち、板状部材210aや筒状部材210b等の遮光部材210に対する平行度が低い光は、これらに接触し、吸収される。
したがって、板状部材210aや筒状部材210b等の遮光部材210に対する平行度が高い光、すなわち、平行光のみが、照射光平行化部材200を通過することになり、結果として、線状光源225による直接光が、照射光平行化部材200により平行光に変換されることになる。
なお、板状部材210aや筒状部材210b等の遮光部材210の材料物質としては、遮光部材210に対する平行度の低い光を吸収できるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、耐熱黒塗装を施したアルスター鋼板等を用いることができる。
【0115】
また、照射光の平行度を10°以下の値とすることが好ましい。
この理由は、照射光の平行度をかかる範囲内の値とすることにより、カラム構造を効率的、かつ、安定的に形成することができるためである。
したがって、照射光の平行度を5°以下の値とすることがより好ましく、2°以下の値とすることがさらに好ましい。
【0116】
また、照射光の照射角としては、
図19に示すように、塗布層101の表面に対する法線の角度を0°とした場合の照射角θdを、通常、−80〜80°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、照射角が−80〜80°の範囲外の値となると、塗布層101の表面での反射等の影響が大きくなって、十分なカラム構造を形成することが困難になる場合があるためである。
【0117】
また、照射光としては、紫外線や電子線等が挙げられるが、紫外線を用いることが好ましい。
この理由は、電子線の場合、重合速度が非常に速いため、重合過程で(A)成分と(B)成分が十分に相分離できず、カラム構造を形成することが困難になる場合があるためである。一方、可視光等と比較した場合、紫外線の方が、その照射により硬化する紫外線硬化樹脂や、使用可能な光重合開始剤のバリエーションが豊富であることから、(A)成分および(B)成分の選択の幅を広げることができるためである。
【0118】
また、紫外線の照射条件としては、塗布層表面におけるピーク照度を0.1〜10mW/cm
2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるピーク照度が0.1mW/cm
2未満の値となると、カラム構造を明確に形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかるピーク照度が10mW/cm
2を超えた値となると、(A)成分および(B)成分の相分離が進む前に硬化してしまい、逆に、カラム構造を明確に形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、紫外線照射における塗布層表面のピーク照度を0.3〜8mW/cm
2の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜6mW/cm
2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ここでいうピーク照度とは、塗布層表面に照射される活性エネルギー線が最大値を示す部分での測定値を意味する。
【0119】
また、紫外線照射における塗布層表面における積算光量を5〜200mJ/cm
2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる積算光量が5mJ/cm
2未満の値となると、カラム構造を上方から下方に向けて十分に伸長させることが困難になる場合があるためである。一方、かかる積算光量が200mJ/cm
2を超えた値となると、得られる光拡散フィルムに着色が生じる場合があるためである。
したがって、紫外線照射における塗布層表面における積算光量を7〜150mJ/cm
2の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜100mJ/cm
2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、フィルム内に形成する内部構造により、ピーク照度および積算光量を最適化することが好ましい。
【0120】
また、紫外線照射の際に、工程シート上に形成された塗布層を、0.1〜10m/分の速度にて移動させることが好ましい。
この理由は、かかる速度が0.1m/分未満の値となると、量産性が過度に低下する場合があるためである。一方、かかる速度が10m/分を超えた値となると、塗布層の硬化、言い換えれば、カラム構造の形成よりも速く、塗布層に対する紫外線の入射角度が変化してしまい、カラム構造の形成が不十分になる場合があるためである。
したがって、紫外線照射の際に、工程シート上に形成された塗布層を、0.2〜5m/分の範囲内の速度にて移動させることがより好ましく、0.3〜3m/分の範囲内の速度にて移動させることがさらに好ましい。
なお、紫外線照射工程後の光拡散フィルムは、工程シートを剥離することによって、最終的に使用可能な状態となる。
【0121】
なお、
図14(b)に示すような第1の面側に位置する第1の柱状物と、第2の面側に位置する第2の柱状物とからなる変形柱状物(112a´´、112b´´)を有するカラム構造を形成する場合には、紫外線照射を2段階に分けて行う。
すなわち、最初に第1の紫外線照射を行い、塗布層の下部、すなわち第1の面側に第1の柱状物を形成し、塗布層の上部、すなわち第2の面側にカラム構造未形成領域を残す。
このとき、安定的にカラム構造未形成領域を残す観点からは、第1の紫外線照射を、酸素阻害の影響を利用すべく、酸素存在雰囲気下で行うことが好ましい。
次いで、第2の紫外線照射を行い、第2の面側に残されたカラム構造未形成領域に第2の柱状物を形成する。
このとき、安定的に第2の柱状物を形成する観点からは、酸素阻害の影響を抑制すべく、第2の紫外線照射を、非酸素雰囲気下で行うことが好ましい。
【0122】
(3)その他の光拡散フィルム
ここまで、フィルム内に屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の領域を備えた内部構造を有する光拡散フィルムとして、カラム構造を有する光拡散フィルムを例に挙げて説明してきたが、所定の内部構造にはカラム構造以外にも様々な態様が存在する。
例えば、
図20(a)に示すように、フィルム内に、屈折率が異なる複数の板状領域(122、124)をフィルム面に沿った任意の一方向に交互に配置してなるルーバー構造123を有する光拡散フィルム100bであってもよい。
当該光拡散フィルムは、例えば、カラム構造を有する光拡散フィルムの製造における照射光平行化部材を省略し、線状光源の活性エネルギー線を直接塗布層に照射する以外はカラム構造を有する光拡散フィルムと同様の方法により製造することができる。
また、ルーバー構造における板状領域の間隔は、カラム構造における柱状物間の距離(スペース)と同様であり、ルーバー構造における板状領域の幅は、カラム構造における柱状物の最大径と同様である。また、ルーバー構造の厚さ、傾斜角、フィルムの膜厚等は、カラム構造を有する光拡散フィルムと同様にすることができる。なお、当該ルーバー構造を有する光拡散フィルムを本発明に適用する場合、縦横均等に光拡散させる観点から、ルーバー構造における板状領域が上下でクロスするように2枚以上のフィルムを積層して用いることが好ましい。
また、
図20(b)に示すように、フィルム内に、相対的に屈折率が低い領域134の中に相対的に屈折率が高い複数の薄片状物132を、フィルム面に沿った任意の一方向に沿って複数列配列させてなる、謂わば、カラム構造とルーバー構造とのハイブリッド構造133を有する光拡散フィルム100cであってもよい。
当該光拡散フィルムは、例えば、カラム構造を有する光拡散フィルムの製造における照射光平行化部材の板状部材の間隔を所定程度広げること以外はカラム構造を有する光拡散フィルムと同様の方法により製造することができる。
なお、薄片状物の構造の詳細は、ルーバー構造が断続的に分断されている以外は、上述したルーバー構造と同様である。
【0123】
また、
図20(c)に示すように、フィルム内に2つのルーバー構造を有する光拡散フィルム100dであってもよい。
当該光拡散フィルムは、照射光平行化部材を省略し、線状光源の活性エネルギー線を直接塗布層に照射する以外、
図14(b)に示すような単一フィルム内に上下2段のカラム構造を有する光拡散フィルムと同様の方法により製造することができる。なお、塗布層の移動方向に対して、1段目のルーバー構造形成時と、2段目のルーバー構造形成時とで、塗布層の上方から眺めた場合の線状光源の配置が対称となるようにすることにより、
図20(c)に示すような内部構造を有する光拡散フィルムが得られる。当該構造であれば、上述したルーバー構造を有する光拡散フィルムを2枚以上積層する必要が無い上、層間剥離の恐れも無いため、好ましい。
なお、膜厚方向における内部構造の詳細は、
図14(b)に示すカラム構造を有する光拡散フィルムと同様であり、ルーバー構造の詳細は、
図20(a)に示すルーバー構造の場合と同様である。
また、
図20(d)に示すように、フィルム内にルーバー構造とカラム構造を共に有する光拡散フィルム100eであってもよい。
なお、当該光拡散フィルムの製造方法および内部構造の詳細は、上述した内容の組み合わせであることから、省略する。
【0124】
5.表示層
また、
図1(b)〜(c)に示す表示層20については、文字や図柄等により表示内容を表した層であれば特に制限されるものではないが、表示内容をより自由に構成することができることから、文字や図柄等を構成するインキ等からなる印刷層20a、易印刷層20bおよび透明あるいは半透明の樹脂フィルム20cの積層体とすることが好ましい。
この理由は、文字や図柄等が印刷されていない部分については、鏡面ルーバーフィルムにより反射された外光、あるいは、鏡面ルーバーフィルムを透過したバックライト光が樹脂フィルムを容易に透過する一方、文字や図柄等が印刷された部分については、鏡面ルーバーフィルムにより反射された外光、あるいは、鏡面ルーバーフィルムを透過したバックライト光の透過が阻害されるため、表示内容の視認性を効果的に向上させることができるためである。
また、表示層は、鏡面ルーバーフィルムや光拡散フィルム上に直接印刷された印刷層であってもよい。
なお、表示層の厚さは、10〜1000μmの範囲内の値とすることが好ましく、20〜500μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
【0125】
また、
図21(a)に示すように、表示層20を、例えば、所定の間隙を介して互いに対抗するTFT(Thin Film Transistor)基板24および対向基板25と、TFT基板24と対向基板25との間に設けられた液晶層26とを備えた液晶表示パネル20とすることも好ましい。
かかる液晶層26は、例えば、ネマティック(Nematic)液晶を含んで構成され、駆動回路からの印加電圧により、液晶層26に入射する光を画素ごとに透過または遮断する変調機能を有しており、液晶の光透過レベルを変えることにより、画素ごとの階調が調整される。
また、液晶表示パネル以外にも、電気泳動方式表示パネル、MEMSシャッター方式表示パネルおよびエレクトロウェッティング方式表示パネルを使用することができる。
【0126】
6.粘着剤層
また、
図1(a)〜(c)に示すように、鏡面ルーバーフィルム10、光拡散フィルム100および表示層20は、それぞれ粘着剤層30を介して積層してあることが好ましい。
かかる粘着剤層を構成する粘着剤としては、十分な粘着性および透明性を有するものであれば特に制限されるものではないが、例えば、従来公知のアクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ゴム系の粘着剤を使用することができる。
なお、粘着剤層の厚さは、1〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、3〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
【0127】
7.その他の態様
また、本発明の半透過型表示体のその他の態様を、
図21(b)を用いて説明する。
すなわち、
図21(b)は、外光入射側に耐光性を有する層40を積層した態様の半透過型表示体1である。
このように、半透過型表示体における外光入射側に耐光性を有する層を積層することにより、光拡散フィルムが紫外線により黄変することを効果的に防止することができる。
かかる耐光性を有する層は、紫外線吸収剤を分散させた樹脂フィルムを用いることができる。
【実施例】
【0128】
以下、実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【0129】
[実施例1]
1.光拡散フィルムの作成
(1)低屈折率重合性化合物(B)成分の合成
容器内に(B2)成分としての重量平均分子量9,200のポリプロピレングリコール(PPG)1モルに対して、(B1)成分としてのイソホロンジイソシアナート(IPDI)2モル、および(B3)成分としての2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)2モルを収容した後、常法に従って反応させ、重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレートを得た。
【0130】
なお、ポリプロピレングリコールおよびポリエーテルウレタンメタクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、下記条件に沿って測定したポリスチレン換算値である。
・GPC測定装置:東ソー(株)製、HLC−8020
・GPCカラム :東ソー(株)製(以下、通過順に記載)
TSK guard colmun HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒 :テトラヒドロフラン
・測定温度 :40℃
【0131】
(2)光拡散フィルム用組成物の調製
次いで、得られた(B)成分としての重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレート100重量部に対し、(A)成分としての前記式(3)で表される分子量268のo−フェニルフェノキシエトキシエチルアクリレート(新中村化学(株)製、NKエステル A−LEN−10)150重量部と、(C)成分としての2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン20重量部((A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して8重量部)とを添加した後、80℃の条件下にて加熱混合を行い、光拡散フィルム用組成物を得た。
なお、(A)成分および(B)成分の屈折率は、アッベ屈折計(アタゴ(株)製、アッベ屈折計DR−M2、Na光源、波長589nm)を用いてJIS K0062に準じて測定したところ、それぞれ1.58および1.46であった。
【0132】
(3)塗布工程
次いで、得られた光拡散フィルム用組成物を、工程シートとしてのフィルム状の透明ポリエチレンテレフタレートシート(以下、PETと称する。)に対して塗布し、膜厚170μmの塗布層を形成した。
【0133】
(4)活性エネルギー線照射工程
次いで、塗布層を
図17(b)におけるB方向に移動させながら、中心光線平行度を±3°以内に制御した紫外線スポット平行光源(ジャテック(株)製)を用い、平行度が2°以下の平行光(主ピーク波長365nm、その他254nm、303nm、313nmにピークを有する高圧水銀ランプからの紫外線)を、照射角(
図19のθd)がほぼ10°となるように塗布層に照射した。
その際のピーク照度は2.00mW/cm
2、積算光量は53.13mJ/cm
2、ランプ高さは240mmとし、塗布層の移動速度は0.2m/分とした。
【0134】
次いで、確実な硬化を図るべく、塗布層の露出面側に、厚さ38μmの紫外線透過性を有する剥離フィルム(リンテック(株)製、SP−PET382050)をラミネートした。
次いで、剥離フィルムの上から、上述した平行光の進行方向をランダムにした散乱光をピーク照度10mW/cm
2、積算光量150mJ/cm
2となるように照射して塗布層を完全硬化させ、工程シートと剥離フィルムを除いた状態での膜厚が170μmである光拡散フィルムを得た。
また、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に平行かつフィルム面と直交する面で切断した断面図の模式図を
図22(a)に示し、その断面写真を
図22(b)に示す。
また、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に垂直かつフィルム面と直交する面で切断した断面の断面写真を
図22(c)に示す。
図22(b)および(c)より、得られた光拡散フィルムにおける内部構造が、
図8(a)に示すような変形柱状物を有するカラム構造であることが分かる。
なお、光拡散フィルムの切断は剃刀を用いて行い、断面の写真の撮影はデジタルマイクロスコープ(キーエンス(株)製、VHX−2000)を用いて反射観察により行った。
【0135】
(5)光拡散特性の評価
(5)−1 ヘイズ値の測定
得られた光拡散フィルムのヘイズ値を測定した。
すなわち、
図9(b)に示すように、得られた光拡散フィルムを回転させることにより、フィルム面の法線に対する入射角θaを、塗布層の移動方向Bに沿って、−70〜70°の範囲で変えながら、各入射角θaに対するヘイズ値(%)をBYK(株)製の装置を改造したものを用いて、ASTM D 1003に準じて測定した。
また、その際の光拡散フィルムに対する光の入射は、
図23(a)に示すように、光拡散フィルムの裏側、すなわち光拡散フィルムを製造する際の活性エネルギー線を照射した側の反対側から行った。
また、以降の実施例においても、柱状物の傾斜と同じ側の傾きを有する入射角θaをプラスの値として表記し、柱状物の傾斜と逆の側の傾きを有する入射角θaをマイナスの値として表記する。得られた入射角−ヘイズ値チャートを
図24に示す。
なお、ヘイズ値(%)は、下記数式(1)にて算出される値を意味し、下記数式(1)中、拡散透過率(%)とは、全光線透過率(%)から平行光透過率(%)を引いた値であり、平行光透過率(%)とは、直進透過光の進行方向に対し、±2.5°までの広がりを有する光の透過率(%)を意味する。
【0136】
【数1】
【0137】
(5)−2 コノスコープによる測定
得られた光拡散フィルムを反射型表示体に適用した場合に相当する光拡散特性を測定した。
なお、光拡散フィルムを反射型表示体に適用した場合における表示光の拡散出射は、外光が豊富な環境下で本発明の半透過型表示体を使用した場合(バックライト光を用いず、外光を光源として用いる場合)における表示光の拡散出射に相当する。
すなわち、
図25に示すように、得られた光拡散フィルム100aを鏡面反射板10´に対して貼合し、測定用試験片とした。
次いで、
図25に示すように、コノスコープ(autronic−MELCHERS GmbH社製)400の反射モードを用いて、試験片(100a、10´)に対して可動式の光源アーム410から光を入射した。
また、その際の光拡散フィルムに対する光の入射は、
図23(b)に示すように、光拡散フィルムの裏側、すなわち光拡散フィルムを製造する際の活性エネルギー線を照射した側の反対側から行った。
また、以降の実施例においても、柱状物の傾斜と同じ側の傾きを有する入射角θaをプラスの値として表記し、柱状物の傾斜と逆の側の傾きを有する入射角θaをマイナスの値として表記する。得られたコノスコープ画像を
図26(a)〜(g)に示す。
なお、鏡面反射板は、JDSU(株)製のBV2であり、測定用試験片は、かかる鏡面反射板のアルミ蒸着面に対して厚み15μmの粘着剤層を介して光拡散フィルムを貼合して得た。
【0138】
また、これらのコノスコープ画像は、
図26(h)に示すように、0cd/m
2〜各コノスコープ画像における最大の輝度の値までの輝度分布を、青色から赤色までの14段階に分けて表し、0cd/m
2が青色であり、0cd/m
2を超えた値〜各コノスコープ画像における最大の輝度の値を13等分し、0cd/m
2〜最大の輝度の値に近づくのに伴い、青色〜水色〜緑色〜黄色〜オレンジ色〜赤色と13段階で変化するように表している。
また、各コノスコープ画像における放射状に引かれた線は、それぞれ方位角方向0°―180°方向(方位角0°と方位角180°を結ぶ直線上にあることを意味する。以下同じ。)、45°―225°方向、90°―270°方向、135°―315°方向を示し、同心円状に引かれた線は、内側から順に極角方向18°、38°、58°、78°を示す。
したがって、各コノスコープ画像における各同心円の中心部分における色が、フィルム正面に拡散出射された拡散光の相対的な輝度を表している。
また、
図27に、入射角θaと、
図26(a)〜(g)における各同心円の中心部分における輝度(cd/m
2)との関係を示す入射角−輝度チャートを示す。かかる
図26より、入射角θa=0〜50°の広い範囲の入射光を、効率的にフィルム正面に拡散出射できることが分かる。
【0139】
2.鏡面ルーバーフィルムの作成
また、
図4(a)に示すように、金型(鋳型)密着させた紫外線硬化樹脂を硬化させることにより、ポリメタクリル酸メチル樹脂フィルム10b´の片面に対し、傾斜角θ1=10°の傾斜面12および傾斜角θ2=60°の傾斜面14の繰り返しよりなる凹凸形状16を形成した。
次いで、
図4(b)に示すように、凹凸形状16のうち、傾斜面12にのみ、蒸着源としてアルミニウムを用いた真空蒸着により、選択的に板状鏡面領域10aを形成した。
次いで、
図4(c)に示すように、複数の板状鏡面領域10aが形成された凹凸形状16の上に、光拡散フィルムを作成する際に用いた光拡散フィルム用組成物を塗布した後、ランダム光により硬化させて透明樹脂層10b´´とし、鏡面ルーバーフィルム10を得た。
得られた鏡面ルーバーフィルムは、厚さ(
図5におけるL3)300nm、幅(
図5におけるL2)92μmのアルミニウムからなる複数の板状鏡面領域が、傾斜角(
図5におけるθ1)10°にて平行配置されてなるものであり、複数の板状鏡面領域間の間隔(
図5におけるL1)は17μmであった。
また、鏡面ルーバーフィルムの厚さ(
図5におけるL4)は200μmであり、このうち、板状鏡面領域よりも下方の透明領域の厚さ(
図5におけるL5)は100μmであり、板状鏡面領域よりも上方の透明領域の厚さ(
図5におけるL6)は100μmであった。
また、得られた鏡面ルーバーフィルムは、フィルムの角度を変えることで、
図28(a)に示すように、光を透過させる場合と、
図28(b)に示すように、光を反射させる場合とに明確に分かれることから、実際に、意図した通りの鏡面ルーバーフィルムが得られていることが分かる。
なお、
図28(a)では、鏡面ルーバーフィルムの奥にある段ボール箱の図柄が確認できるのに対し、
図28(b)では、図柄が確認できず、代わりに板状鏡面領域による反射光が確認できる。
【0140】
3.半透過型表示体の製造
次いで、
図1(a)に示すように、得られた光拡散フィルムを、得られた鏡面ルーバーフィルムの上に厚さ15μmの粘着剤層を介して貼合して、光拡散フィルムおよび鏡面ルーバーフィルムの積層体を得た。
このとき、得られた光拡散フィルムにおける柱状物の傾斜角は7°であり、0°周辺の値であることから、柱状物の傾斜方向と、板状鏡面領域の法線方向との関係は、特に考慮することなく、光拡散フィルムおよび鏡面ルーバーフィルムを積層した(実施例2〜3および比較例1においても同様)。
次いで、得られた積層体を、LEDを光源としたエッジライト方式のフロントライト(kobo Inc.社製、Kobo gloに内蔵の導光板)の上に空間を介して配置して、半透過型表示体を得た。
このとき、上方から眺めた場合に、鏡面ルーバーフィルムにおける板状鏡面領域の下から上への傾斜方向と、エッジライト方式のバックライトにおけるバックライト光の下から上への傾斜方向(指向性)と、が一致するように積層体とバックライトとを配置した(実施例2〜5および比較例2においても同様)。
【0141】
4.半透過型表示体の評価
(1)外光が豊富な環境下における表示特性の評価
得られた半透過型表示体について、外光が豊富な環境下(照度780ルクス環境下)における表示特性を評価した。
すなわち、
図29に示すように、得られた半透過型表示体1を、光拡散フィルムの面が上側となるように水平な面の上に載置した。
次いで、半透過型表示体1の表面の法線に対して、基準方向を規定するための矢印C方向に0°傾斜した位置(外光の入射角θa=0°)に外光光源としての線状光源2を配置した。
このとき、線状光源2は、半透過型表示体1の表面と平行、かつ、その軸線が板状鏡面領域10aの延び方向と一致するよう(紙面と直交するよう)に配置した。
また、このとき、半透過型表示体1は、上方から眺めた場合に、エッジライト方式のバックライトにおけるバックライト光の下から上への傾斜方向(指向性)が、図中の矢印の方向と逆向きになるように配置した(実施例2〜5および比較例1〜2においても同様)。
次いで、バックライトを消灯した状態で、半透過型表示体1の表面の法線に対して矢印C方向に−5°傾斜した位置(観察角度θ
ob=−5°)から、半透過型表示体1を観察するとともに、写真撮影を行った。得られた写真を
図30(a)における(1)に示す。
なお、
図30(a)における(2)は、比較のために並べて評価した、後述する比較例1の反射型表示体の写真である。
また、
図29中の矢印Cは、半透過型表示体の評価における外光の入射方向や観察方向等の関係を明確にするための基準方向を規定するための便宜的な矢印である。
【0142】
また、外光の入射角θaを35°に変えた以外は同様にして、半透過型表示体1を観察するとともに、写真撮影を行った。得られた写真を
図30(b)における(1)に示す。
なお、
図30(b)における(2)は、比較のために並べて評価した後述する比較例1の反射型表示体の写真である。
また、外光の入射角θaを30°とした場合の実施例1の半透過型表示体の写真を
図31(a)における(1)に示し、比較のために並べて評価した後述する実施例4の半透過型表示体の写真を
図31(a)における(2)に示す。
また、外光の入射角θaを40°とした場合の実施例1の半透過型反射体の写真を
図31(b)における(1)に示し、比較のために並べて評価した後述する実施例4の半透過型表示体の写真を
図31(b)における(2)に示す。
また、一部重複するが、外光の入射角θaを30°とした場合の実施例1の半透過型表示体の写真を
図31(c)における(1)に示し、比較のために並べて評価した後述する実施例5の半透過型表示体の写真を
図31(c)における(2)に示す。
さらに、一部重複するが、外光の入射角θaを40°とした場合の実施例1の半透過型表示体の写真を
図31(d)における(1)に示し、比較のために並べて評価した後述する実施例5の半透過型表示体の写真を
図31(d)における(2)に示す。
これら
図30(a)〜(b)における(1)および
図31(a)〜(d)における(1)に示すように、実施例1の半透過型表示体は、外光が豊富な環境下において、外光を効率よく反射させて表示光とすることができ、バックライトを用いずとも優れた表示特性を得られることが確認できた。
すなわち、かかる評価では、外光の入射角θa=35°の環境下において、観察角度θ
ob=−5°にて半透過型表示体を観察する状況を設定した。
その結果、
図30(b)における(1)に示すように、外光の入射角θa=35°、観察角度θ
ob=−5°の条件下で、輝度が十分に高く、かつ、その均一性も高い優れた表示特性を得られることが確認できた。
また、外光の入射角θaを、35°の近辺である30〜40°の範囲で変化させた場合であっても、ほぼ同様の優れた表示特性を得られることが確認できた。
一方、外光の入射角θaを、設定した35°とは大きく異なる0°とした場合には、観察角度θ
ob=−5°からではほとんど表示光が観察されないことから、実施例1の半透過型表示体は、外光の入射方向および反射方向を特定の方向に効果的に絞っており、外光の利用効率が高い半透過型表示体であると判断できる。
なお、かかる評価で設定した外光の入射角θa=35°、観察角度θ
ob=−5°は一例であり、鏡面ルーバーフィルムにおける板状鏡面領域の傾斜角度、および光拡散フィルムにおける光拡散角度領域を変えることで、様々な外光の入射角θa、観察角度θ
obに対応することができる。
【0143】
(2)外光が不十分な環境下における表示特性の評価
得られた半透過型表示体について、外光が不十分な環境下における表示特性を評価した。
すなわち、外光光源としての線状光源を消灯し、バックライトを点灯させたほかは、外光が豊富な環境下における表示特性の評価と同様に半透過型表示体を観察するとともに、写真撮影を行った。得られた写真を
図32における(1)に示す。
なお、線状光源を消灯した状態での半透過型表示体の表面の照度は0.1ルクスであった。
なお、
図32における(2)は、比較のために並べて評価した後述する比較例1の反射型表示体の写真である。
かかる
図32における(1)に示すように、実施例1の半透過型表示体は、外光が不十分な環境下であっても、バックライト光を効率よく透過させて表示光とすることができ、優れた表示特性を得られることが確認できた。
【0144】
[実施例2]
実施例2では、以下のようにして光拡散フィルムを製造したほかは、実施例1と同様に光拡散フィルムを製造し、評価した。
また、得られた光拡散フィルムを用いて実施例1と同様に半透過型表示体を製造し、評価した。
【0145】
1.光拡散フィルムの製造および評価
実施例2では、光拡散フィルム用組成物を調製する際に、さらに(D)成分としての式(10)で表される紫外線吸収剤(BSF(株)製、TINUVIN 384−2)を0.5重量部((A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して0.2重量部)添加したほかは、実施例1と同様に光拡散フィルムを製造し、評価した。得られた結果を、
図33〜37に示す。
ここで、
図33(a)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に平行かつフィルム面と直交する面で切断した断面の模式図であり、
図33(b)は、その断面写真である。
また、
図33(c)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に垂直かつフィルム面と直交する面で切断した断面の写真である。
また、
図34(a)は、
図33(b)の断面写真における柱状物の屈曲部付近を拡大した写真であり、
図34(b)は、柱状物の屈曲部より下方部分をさらに拡大した写真である。
図33(b)〜(c)および
図34(a)〜(b)より、得られた光拡散フィルムにおける内部構造が、
図14(a)に示すような変形柱状物を有するカラム構造であることが分かる。
また、
図35は、得られた光拡散フィルムにおける入射角−ヘイズ値チャートである。
また、
図36(a)〜(g)は、得られた光拡散フィルムを反射型表示体に適用した場合に相当する光拡散具合を示すコノスコープ画像である。
また、
図37は、入射角θaと、
図36(a)〜(g)における各同心円の中心部分における輝度(cd/m
2)との関係を示す入射角−輝度チャートである。かかる
図37より、入射角θa=0〜60°の広い範囲の入射光を、効率的にフィルム正面に拡散出射できることが分かる。
【0146】
2.半透過型表示体の評価
実施例2の半透過型表示体では、実施例1の半透過型表示体と同様の評価結果が得られた。
したがって、煩雑になるのを防ぐ観点から、半透過型表示体の写真の掲載は省略した。
【0147】
[実施例3]
実施例3では、以下のようにして光拡散フィルムを製造したほかは、実施例1と同様に光拡散フィルムを製造し、評価した。
また、得られた光拡散フィルムを用いて実施例1と同様に半透過型表示体を製造し、評価した。
【0148】
1.光拡散フィルムの製造および評価
実施例3では、塗布層の膜厚を210μmに変えるとともに、活性エネルギー線照射の際に、平行光を照射した後に、塗布層の露出面側に剥離フィルムをラミネートした状態で、散乱光を照射する代わりに、中心光線平行度を±3°以内に制御した紫外線スポット平行光源(ジャテック(株)製)を用い、平行度が2°以下の平行光を、照射角(
図19のθd)がほぼ25°となるように塗布層に照射したほかは、実施例1と同様に光拡散フィルムを製造し、評価した。得られた光拡散フィルムの膜厚は210μmであった。得られた結果を、
図38〜42に示す。
ここで、
図38(a)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に平行かつフィルム面と直交する面で切断した断面の模式図であり、
図38(b)は、その断面写真である。
また、
図38(c)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に垂直かつフィルム面と直交する面で切断した断面の断面写真である。
また、
図39(a)は、
図38(b)の断面写真における第1の柱状物および第2の柱状物が重複している重複カラム構造領域付近を拡大した写真であり、
図39(b)は、重複カラム構造領域より下方部分をさらに拡大した写真である。
図38(b)〜(c)および
図39(a)〜(b)より、得られた光拡散フィルムにおける内部構造が、
図14(b)に示すような変形柱状物を有するカラム構造であることが分かる。
また、
図40は、得られた光拡散フィルムにおける入射角−ヘイズ値チャートである。
また、
図41(a)〜(g)は、得られた光拡散フィルムを反射型表示体に適用した場合に相当する光拡散具合を示すコノスコープ画像である。
また、
図42は、入射角θaと、
図41(a)〜(g)における各同心円の中心部分における輝度(cd/m
2)との関係を示す入射角−輝度チャートである。かかる
図42より、入射角θa=0〜60°の広い範囲の入射光を、効率的にフィルム正面に拡散出射できることが分かる。
【0149】
2.半透過型表示体の評価
実施例3の半透過型表示体では、実施例1の半透過型表示体と同様の評価結果が得られた。
したがって、煩雑になるのを防ぐ観点から、半透過型表示体の写真の掲載は省略した。
【0150】
[実施例4]
実施例4では、以下のようにして光拡散フィルムを製造したほかは、実施例1と同様に光拡散フィルムを製造し、評価した。
また、得られた光拡散フィルムを用いて実施例1と同様に半透過型表示体を製造し、評価した。
【0151】
1.光拡散フィルムの製造および評価
実施例4では、アクリル酸ブチルおよびアクリル酸を、重量比95:5の割合で用い、常法に従って重合してなる重量平均分子量180万のアクリル系共重合体100重量部に対し、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成(株)製、アロニックスM−315、分子量423、3官能型)15重量部と、光重合開始剤としてのベンゾフェノンと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとの重量比1:1の混合物(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア500)1.5重量部と、イソシアネート系架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製、コロネートL)0.3重量部と、シランカップリング剤としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM−403)0.2重量部と、真球状シリコーン微粒子(GE東芝シリコーン(株)製、トスパール145、平均粒径4.5μm)18.6重量部を加えるとともに、酢酸エチルを加え、混合し、粘着性材料の酢酸エチル溶液(固形分14重量%)を調製した。
【0152】
次いで、得られた粘着性材料の酢酸エチル溶液を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、コスモシャインA4100)に対し、乾燥後の厚さが25μmになるように、ナイフ式塗工機で塗布した後、90℃で1分間乾燥処理して粘着性材料層を形成した。
次いで、剥離シートとしての厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製の剥離フィルム(リンテック(株)製、SP−PET3811)の剥離層と、得られた粘着性材料層とを貼合し、貼合してから30分後にHバルブ使用の無電極ランプ(フュージョン(株)製)を用いて、照度600mW/cm
2、光量150mJ/cm
2となるように、剥離フィルム側から粘着性材料層に紫外線を照射した。
そして、得られた紫外線硬化後の粘着性材料層を実施例4の光拡散フィルムとした。
得られた光拡散フィルムは、入射角θaを−70〜70°の範囲で変化させた場合に、ヘイズ値が常に約98%であった。
なお、実施例4においては、コノスコープによる測定を省略した。
【0153】
2.半透過型表示体の評価
(1)外光が豊富な環境下における表示特性の評価
また、
図31(a)〜(b)における(2)に示すように、実施例4の半透過型表示体は、使用した光拡散フィルムの光拡散特性の違いに起因して、
図31(a)〜(b)における(1)に示す実施例1の半透過型表示体と比較した場合、輝度の均一性は高いものの、十分な輝度が得られず、暗いことが確認された。
また、外光の入射角θaの変化(θa=30〜40°)に対しても、実施例4の半透過型表示体は、実施例1の半透過型表示体と比較した場合、輝度の変化が大きくなることが確認された。
【0154】
(2)外光が不十分な環境下における表示特性の評価
実施例1と同様の評価を行った結果、実施例4の半透過型表示体は、外光が不十分な環境下であっても、バックライト光を効率よく透過させて表示光とすることができ、優れた表示特性を得られることが確認された。
【0155】
[実施例5]
実施例5では、真球状シリコーン微粒子の添加量を減らしたほかは、実施例4と同様に光拡散フィルムを製造し、評価した。
また、得られた光拡散フィルムを用いて実施例1と同様に半透過型表示体を製造し、評価した。
【0156】
1.光拡散フィルムの評価
得られた光拡散フィルムは、入射角θaを−70〜70°の範囲で変化させた場合に、ヘイズ値が常に約50%であった。
なお、実施例5においても、コノスコープによる測定を省略した。
【0157】
2.半透過型表示体の評価
(1)外光が豊富な環境下における表示特性の評価
また、
図31(c)〜(d)における(2)に示すように、実施例5の半透過型表示体は、使用した光拡散フィルムの光拡散特性の違いに起因して、
図31(c)〜(d)における(1)に示す実施例1の半透過型表示体と比較した場合、十分な輝度が得られ、明るいものの、輝度の均一性が低いことが確認された。
また、外光の入射角θaの変化(30〜40°)に対しては、実施例5の半透過型表示体は、実施例1の半透過型表示体と同等に輝度の変化を抑制できることが確認された。
【0158】
(2)外光が不十分な環境下における表示特性の評価
実施例1と同様の評価を行った結果、実施例5の半透過型表示体は、外光が不十分な環境下であっても、バックライト光を効率よく透過させて表示光とすることができ、優れた表示特性を得られることが確認された。
【0159】
[比較例1]
比較例1では、鏡面ルーバーフィルムの代わりに、鏡面反射板(厚さ100μmのPETフィルムの表面にアルミニウムを厚さ300nmとなるように蒸着したもの)を用いたほかは、実施例1と同様に反射型表示体(鏡面反射板を用いたことから、半透過型表示体ではなく、反射型表示体となる。)を製造し、評価した。
【0160】
1.外光が豊富な環境下における表示特性の評価
図30(a)〜(b)における(2)に示すように、比較例1の反射型表示体は、実施例1の鏡面ルーバーフィルム(板状鏡面領域の傾斜角:10°)の代わりに鏡面反射板(鏡面反射板の傾斜角:0°)を用いたことに起因して、
図30(a)〜(b)における(1)に示す実施例1の半透過型表示体と比較した場合、設定した外光入射角θa=35°、観察角度θ
ob=−5°の条件下では有効な表示特性を得ることができないことが確認された。
【0161】
2.外光が不十分な環境下における表示特性の評価
また、
図32における(2)に示すように、比較例1の反射型表示体は、鏡面ルーバーフィルムの代わりに鏡面反射板を用いたことに起因して、バックライト光を全く透過させることができず、ひいては、全く表示光を出射することができないことが確認された。
【0162】
[比較例2]
比較例2では、光拡散フィルムを用いなかったほかは、実施例1と同様に半透過型表示体を製造し、評価した。
【0163】
1.外光が豊富な環境下における表示特性の評価
比較例2の半透過型表示体は、光拡散フィルムを用いなかったことに起因して、非常にぎらついた、ほとんど鏡のような表示特性を示し、表示体としては適用できないことが確認された。
【0164】
2.外光が不十分な環境下における表示特性の評価
また、比較例2の半透過型表示体は、光拡散フィルムを用いなかったことに起因して、バックライト自体の拡散特性そのままの、非常にぎらついた状態となり、表示体としては適用できないことが確認された。