(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
本実施の形態は、血液に関する検査および分析を行うための検体処理システムに本発明を適用したものである。以下、本実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、検体処理システム1を上側から見た場合の構成を示す図である。
【0031】
本実施の形態に係る検体処理システム1は、投入ユニット21と、検体移し替え装置22と、中継ユニット23と、中継ユニット24と、回収ユニット25と、搬送ユニット31〜33と、血球分析装置6と、塗抹標本作製装置43と、搬送コントローラ7を備えている。血球分析装置6は、情報処理ユニット5と、測定ユニット41、42を備えている
。また、検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ8と通信可能に接続されている。
【0032】
投入ユニット21と、検体移し替え装置22と、中継ユニット23、24と、回収ユニット25と、搬送ユニット31〜33は、検体ラックLの受け渡しが可能となるように、左右に隣接するよう配置されている。また、これらのユニットおよび装置は、10本の検体容器Tを支持可能な複数の検体ラックLが載置可能となるよう構成されており、
図1中の矢印に沿って検体ラックLが搬送可能となるよう構成されている。検体移し替え装置22には、検体ラックLを左方向に搬送する搬送路r1と、右方向に搬送する搬送路r2が設けられている。
【0033】
図2(a)、(b)は、それぞれ、検体容器Tと検体ラックLの構成を示す図である。
図2(a)は、検体容器Tの外観を示す斜視図であり、
図2(b)は、10本の検体容器Tが支持されている検体ラックLの外観を示す斜視図である。なお、
図2(b)には、検体ラックLが搬送されるときの向き(
図1に示す前後左右方向)が併せて示されている。
【0034】
図2(a)を参照して、検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。検体容器Tの側面には、バーコードラベルT1が貼付されている。バーコードラベルT1には、検体IDを含むバーコードが印刷されている。検体容器Tは、患者から採取された全血の血液検体を収容しており、上端の開口はゴム製の蓋部T2により密封されている。
【0035】
図2(b)を参照して、検体ラックLの後方の側面には、バーコードラベルL1が貼付されている。バーコードラベルL1には、ラックIDを含むバーコードが印刷されている。また、検体ラックLには、10本の検体容器Tを垂直に支持することが可能な支持部が形成されている。以下、各支持部の位置を、便宜上、搬送方向の下流から上流に向かって支持位置1〜10と称する。
【0036】
図1に戻って、ユーザは、検体の測定を開始する場合、まず、検体を収容する検体容器Tを検体ラックLにセットし、この検体ラックLを投入ユニット21に載置する。投入ユニット21に載置された検体ラックLは、後方に搬送され、検体移し替え装置22に搬出される。
【0037】
検体移し替え装置22は、内部に、バーコードユニット120と、バッファラック140と、6つのアーカイブラックR1と、1つのソーティングラックR2を備えている。後述のように、バッファラック140と、アーカイブラックR1と、ソーティングラックR2は、それぞれ、検体容器Tを支持する複数の支持部を備えている。また、ソーティングラックR2の前方には、検体ラックLを載置するスペースが設けられており、このスペースに5つの検体ラックLが設置されている。
【0038】
検体移し替え装置22は、投入ユニット21から検体移し替え装置22に搬出された検体ラックLに対して、まずバーコードユニット120による処理を行う。具体的には、バーコードユニット120は、検体ラックLのバーコードラベルL1からラックIDを読み取り、検体ラックLにおいて検体容器Tが支持されている支持位置を検知し、検体容器TのバーコードラベルT1から検体IDを読み取る。検体移し替え装置22は、バーコードユニット120により読み取った検体IDを、搬送コントローラ7を介してホストコンピュータ8に送信する。ホストコンピュータ8は、各検体に設定されている測定オーダと分析結果等に基づいて、検体移し替え装置22内で検体容器Tを移し替えるための情報(以下、「移し替え情報」という)を作成する。そして、検体移し替え装置22は、搬送コントローラ7を介してホストコンピュータ8から移し替え情報を受信する。
【0039】
続いて、検体移し替え装置22は、受信した移し替え情報に従って、検体ラックLに支持されている検体容器Tを、バッファラック140と、アーカイブラックR1と、ソーティングラックR2と、ソーティングラックR2の前方に載置された検体ラックL(以下、まとめて「収納部」という)に移し替える。また、検体移し替え装置22は、バッファラック140に支持されている検体容器Tを、適宜検体ラックLに移し替える。しかる後、この検体ラックLは中継ユニット23に搬出される。
【0040】
検体移し替え装置22から中継ユニット23に搬出された検体ラックLは、左方向に搬送される場合、中継ユニット24に搬出され、右方向に搬送される場合、中継ユニット23において前方へ搬送され、検体移し替え装置22に搬出される。中継ユニット23から中継ユニット24に搬出された検体ラックLは、中継ユニット24において前方へ搬送された後、搬送ユニット31に搬出される。
【0041】
搬送ユニット31〜33は、それぞれ、上流側から搬出された検体ラックLを、搬送コントローラ7の指示に従って搬送する。具体的には、対応するユニットおよび装置で処理が行われる場合、搬送ユニット31〜33は、上流側から搬出された検体ラックLを後方へ搬送し、それぞれ、対応するユニットおよび装置に対向する前方位置まで搬送する。また、測定ユニット41、42で処理が行われない場合、搬送ユニット31、32は、上流側から搬出された検体ラックLを左方向へ直進させ、順次、下流側の搬送ユニットに搬出する。
【0042】
測定ユニット41、42は、それぞれ、前方位置に搬送された検体ラックLから検体容器Tを抜き出し、この検体容器Tに収容された検体を測定する。情報処理ユニット5は、測定ユニット41、42から検体の測定データを受信して解析し、測定項目の各分析値を含む分析結果を生成する。また、情報処理ユニット5は、ホストコンピュータ8と通信可能に接続されており、分析結果をホストコンピュータ8に送信する。
【0043】
塗抹標本作製装置43は、前方位置において、検体ラックLに支持された検体容器Tから検体を吸引し、吸引した検体の塗抹標本を作製する。また、塗抹標本作製装置43は、ホストコンピュータ8と通信可能に接続されており、塗抹標本の作製が終了した旨をホストコンピュータ8に送信する。
【0044】
測定ユニット41、42と塗抹標本作製装置43による処理が終了し、下流側で処理の必要がなくなると、検体ラックLは、搬送中の搬送ユニット内で前方に搬送された後、この搬送ユニットにより上流側へ搬出される。こうして、検体ラックLは順次上流方向へ搬送される。
【0045】
搬送ユニット31〜33から順次上流側へ搬送された検体ラックLは、さらに、中継ユニット24と中継ユニット23により右方向へ搬送され、検体移し替え装置22に搬出される。検体移し替え装置22は、中継ユニット23から搬入された検体ラックLを、投入ユニット21に搬出する。
【0046】
検体移し替え装置22から投入ユニット21に搬出された検体ラックLは、投入ユニット21において後方へ搬送され、再び検体移し替え装置22に搬出される。この場合も、上記と同様、バーコードユニット120による読み取りが行われ、検体移し替え装置22は、ホストコンピュータ8から移し替え情報を受信し、受信した移し替え情報に従って、検体ラックLに支持されている検体容器Tを移し替える。
【0047】
こうして、測定ユニット41、42による再検と塗抹標本作製装置43による再度の塗
抹標本の作製(以下、単に「再検」という)が不要であり、検体処理システム1以外で処理を行う必要がない検体容器Tは、アーカイブラックR1に移し替えられる。再検は不要であるが、検体処理システム1以外で処理を行う必要がある検体容器Tは、ソーティングラックR2に移し替えられる。再検が必要な検体容器Tは、上記と同様、適宜検体ラックLに移し替えられた後、中継ユニット23に搬出される。検体処理システム1による検体容器Tの処理は、検体容器TがアーカイブラックR1またはソーティングラックR2に移し替えられることにより終了する。
【0048】
なお、支持している全ての検体容器Tが移し替えられて空になった検体ラックLは、中継ユニット23に搬出されると、中継ユニット23において前方へ搬送された後、検体移し替え装置22に搬出される。検体移し替え装置22は、中継ユニット23から搬入された空の検体ラックLを、投入ユニット21に搬出する。投入ユニット21に搬出された空の検体ラックLは、投入ユニット21により右方向へ搬送され、回収ユニット25に搬出される。そして、この検体ラックLは、回収ユニット25において後方へ搬送され、回収ユニット25に収容される。こうして、検体ラックLの搬送が終了する。
【0049】
搬送コントローラ7は、投入ユニット21と、検体移し替え装置22と、中継ユニット23、24と、回収ユニット25と、搬送ユニット31〜33と通信可能に接続されており、これらによる検体ラックLの搬送動作を制御する。ホストコンピュータ8は、検体IDに対応付けて、この検体の測定オーダと、この検体の分析結果等を記憶している。また、ホストコンピュータ8は、検体移し替え装置22内で検体容器Tを移し替えるためのルールを保持している。
【0050】
図3は、検体移し替え装置22の内部構成を示す斜視図である。なお、
図3に示すX軸正方向、Y軸正方向、Z軸正方向は、それぞれ、左方向、前方、上方向に対応する。
【0051】
検体移し替え装置22は、
図1に示すバーコードユニット120と収納部に加えて、容器移送部200と、搬送部110と、昇降部130と、空ラック貯留部150(
図4参照)と、搬送部160と、6つのトレイ171と、2つのトレイ172を備えている。
【0052】
容器移送部200は、検体容器Tを検体移し替え装置22の内部で移送する。搬送部110は、投入ユニット21から搬出された検体ラックLを、搬送路r1(
図1参照)に沿って左方向に搬送する。昇降部130は、後述のように、搬送路r1の所定位置に位置付けられた検体ラックLを上方向に移動させる。搬送部160は、中継ユニット23から搬出された検体ラックLを、搬送路r2(
図1参照)に沿って右方向に搬送する。
【0053】
バッファラック140には、60個の支持部141が形成されている。1つのアーカイブラックR1には、125個の支持部R11が形成されており、ソーティングラックR2には、200個の支持部R21が形成されている。
【0054】
トレイ171は、アーカイブラックR1を支持しており、
図3の状態から前方に移動可能に構成されている。2つのトレイ172は、ソーティングラックR2と、ソーティングラックR2の前方に載置された検体ラックLを支持しており、
図3の状態から前方に移動可能に構成されている。また、2つのトレイ172は互いに連動して前後方向に移動するよう構成されている。収納部とトレイ171、172は、搬送部110、160よりも高い位置にあり、より詳細には、搬送部110、160によって搬送される検体容器Tの頭部(蓋部T2)よりも高い位置にある。これにより、6つのアーカイブラックR1は、検体移し替え装置22の内部を覆うカバー(図示せず)に形成された開口を介して、それぞれ、別々に前方へ引き出せるようになっている。また、ソーティングラックR2と、ソーティングラックR2の前方に載置された検体ラックLも、アーカイブラックR1と同様、
前方へ引き出せるようになっている。
【0055】
図4は、検体移し替え装置22の内部を上側から見た場合の構成を示す模式図である。なお、
図4では、便宜上、昇降部130が一点鎖線で示されている。
【0056】
容器移送部200は、前後方向に延びた2本のレール212と、左右方向に延びたレール222と、支持部230、240を含んでいる。レール212は、検体移し替え装置22の内部に固定されており、レール222は、レール212に沿って前後方向に移動する。支持部230は、レール222に沿って左右方向に移動し、支持部240は、支持部230に沿って上下方向に移動する。支持部240の下端には、検体容器Tを把持可能な把持部243が設置されている。容器移送部200の構成については、追って、
図6(a)、(b)と
図7を参照して説明する。
【0057】
搬送部110は、左右方向に延びたベルト111、112と、ベルト111、112の前方と後方に設置された壁部117a〜117cと、ラック押出し機構118を備えている。ベルト111、112が左方向に動くことにより、ベルト111、112に載置された検体ラックLが左方向に搬送される。
【0058】
図5(a)は、搬送部110を前方から(Y軸負方向に)見た場合の構成を示す模式図である。
【0059】
搬送部110は、ベルト111、112に加えて、プーリ113a、113b、114a〜114gと、ベルト115a、115bと、モータ116を備えている。ベルト111は、プーリ113a、113bに掛けられており、ベルト112は、プーリ114a〜114gに掛けられている。また、ベルト115aは、ベルト111、112よりも手前(Y軸正方向)側でプーリ113b、114aに掛けられており、ベルト115bは、ベルト112よりも手前側でプーリ114eとモータ116の軸に掛けられている。モータ116は、ベルト115bよりも手前側に位置している。
【0060】
これにより、モータ116が駆動されると、ベルト115bを介してプーリ114eが回転し、プーリ114a〜114gが回転する。プーリ114aが回転させられると、ベルト115aを介してプーリ113bが回転し、プーリ113aが回転する。こうして、ベルト111、112がモータ116の軸の回転に応じてプーリの周りを移動する。
【0061】
また、このように搬送部110が構成されると、プーリ113b、114aの間に空間S1が生じ、プーリ114b、114eの間に空間S2が生じる。空間S1、S2の大きさは、
図4に示すように、昇降部130の支持部139が挿入可能な程度に形成される。また、プーリ113a、113bの間のベルト111の上面と、プーリ114a、114bの間のベルト112の上面と、プーリ114e、114fの間のベルト112の上面は一致している。以下、この面を「搬送面」と称する。壁部117a〜117c(
図4参照)の上辺は、搬送面よりもやや高い位置に位置付けられており、壁部117a、117bと壁部117cとの前後方向の幅は、検体ラックLが一つだけ通過可能な程度に設定されている。
【0062】
図4に戻り、投入ユニット21から搬出された検体ラックLは、ベルト111により左方向に搬送され、バーコードユニット120に対向する位置P1に位置付けられる。位置P1に位置付けられた検体ラックLは、センサs1によって検出される。バーコードユニット120は、検体ラックLにおいて検体容器Tが支持されている支持位置を検知すると共に、ラックIDと検体IDを読み取る。
【0063】
図5(b)、(c)は、バーコードユニット120による読取動作を説明する図である。
【0064】
図5(b)を参照して、バーコードユニット120は、左右に併設された2つの移動部121を備えている。2つの移動部121は、左右方向に移動可能となるよう構成されており、それぞれ、2つのローラ121aと、ローラ121bと、バーコードリーダ121cを備えている。バーコードリーダ121cは、移動部121に固定されており、前方に位置付けられたバーコードラベルL1、T1から、ラックIDと検体IDを読み取る。
【0065】
左側の移動部121は、支持位置1〜5に対応する位置に順次送られ、右側の移動部121は、支持位置6〜10に対応する位置に順次送られる。
図5(c)に示すように、各支持位置において、移動部121は、ローラ121aを前方に移動させる。このとき、ローラ121aが検体容器Tに当接する距離よりもさらに前方に移動すると、当該支持位置に検体容器Tが存在しないことが検出される。ローラ121aが検体容器Tに当接する場合には、ローラ121bが回転され、バーコードラベルT1の読み取りが行われる。
【0066】
図4に戻り、バーコードユニット120による検知と読み取りが終了すると、上述したように、検体移し替え装置22は、読み取った検体IDをホストコンピュータ8に送信し、ホストコンピュータ8から移し替え情報を受信する。検体ラックLに移し替えが必要な検体容器Tが支持されている場合、この検体ラックLは、ベルト111、112により左方向に搬送され、ラック押出し機構118の鍔部118aに当接することにより、位置P21に位置付けられる。位置P21に位置付けられた検体ラックLは、センサs2によって検出される。他方、検体ラックLに移し替えが必要な検体容器Tが支持されていない場合、この検体ラックLは、ベルト111、112により左方向に搬送され、位置P21を通過し、位置P3に位置付けられる。位置P3に位置付けられた検体ラックLは、センサs3によって検出される。位置P3に位置付けられた検体ラックLは、中継ユニット23に搬出される。
【0067】
位置P21に位置付けられた検体ラックLは、昇降部130により上方向(Z軸正方向)に移動され、位置P22(
図9(c)参照)に位置付けられる。そして、検体ラックLが位置P22に位置付けられた状態で、検体ラックLに支持された移し替えが必要な検体容器Tが、適宜、収納部へ移し替えられ、バッファラック140に支持された検体容器Tが、適宜、この検体ラックLに移し替えられる。検体ラックLに対する検体容器Tの移し替えが終了すると、この検体ラックLは、昇降部130により再び位置P21に位置付けられ、ベルト112により左方向に搬送され、位置P3に位置付けられる。位置P3に位置付けられた検体ラックLは、中継ユニット23に搬出される。
【0068】
なお、位置P22において全ての検体容器Tが取り出されて空になった検体ラックLは、位置P21に位置付けられた後、ラック押出し機構118によって前方側の面が押されることにより、空ラック貯留部150に押し出される。空ラック貯留部150に貯留された空の検体ラックLは、バッファラック140に支持された検体容器Tの本数が所定値に達すると、適宜、ラック押出し機構151により位置P21に押し出され、昇降部130により位置P22に位置付けられる。そして、この検体ラックLにバッファラック140の検体容器Tが移し替えられる。
【0069】
次に、中継ユニット23から搬送部160に搬入された検体ラックLは、搬送部160のベルト161またはベルト162によって右方向に搬送され、位置P4または位置P5に位置付けられる。位置P5に位置付けられた検体ラックLは、ラック押出し機構163によって後方側の面が押されることにより、位置P4に位置付けられる。位置P4に位置付けられた検体ラックLは、ベルト161によって右方向に搬送され、投入ユニット21
に搬出される。
【0070】
図6(a)は、容器移送部200の支持部210の構成を示す模式図である。
【0071】
前後方向に延びた一対の支持板211は、検体移し替え装置22の左端と右端に設置されている。レール212は、支持板211上に設置されており、摺動部213は、レール212に対してY軸方向に摺動可能となっている。支持部材214は、摺動部213に固定されている。プーリ215a、215bは、レール212の前端と後端付近において、検体移し替え装置22の内部に設置されている。ベルト216は、プーリ215a、215bに掛けられており、支持部材214は、ベルト216に固定されている。右側のプーリ215aと左側のプーリ215aは軸217により接続されており、軸217にはベルト218を介してモータ219の軸が接続されている。このように支持部210が構成されると、モータ219が駆動されることにより、支持部材214がY軸方向に移動する。
【0072】
図6(b)は、容器移送部200の支持部220の構成を示す模式図である。
【0073】
X軸方向に延びた支持板221は、支持部210の一対の支持部材214に固定されている。レール222は、支持板221に設置されており、摺動部223は、レール222に対してX軸方向に摺動可能となっている。支持部材224は、摺動部223に固定されている。プーリ225a、225bは、レール222の左端と右端付近において、支持板221に設置されている。ベルト226は、プーリ225a、225bに掛けられており、支持部材224は、ベルト226に固定されている。右側のプーリ225aにはモータ227の軸が接続されている。このように支持部220が構成されると、モータ227が駆動されることにより、支持部材224がX軸方向に移動する。
【0074】
図7は、容器移送部200の支持部230、240の構成を示す模式図である。
【0075】
まず、支持部230について説明する。Z軸方向に延びた支持板231は、支持部220の支持部材224に固定されている。レール232は、支持板231に設置されており、摺動部233は、レール232に対してZ軸方向に摺動可能となっている。支持部材234は、摺動部233に固定されている。軸235はZ軸方向に延びており、軸235にはネジ状の溝が形成されている。支持部材234は、軸235がZ軸を中心として回転させられると、軸235の溝に沿ってZ軸方向に移動可能となるよう軸235に設置されている。軸235の上端にはモータ236の軸が接続されている。このように支持部230が構成されると、モータ236が駆動されることにより、支持部材234がZ軸方向に移動する。
【0076】
なお、支持部材234には遮光板237が設置されており、支持板231に設置された部材上には遮光式の一対のセンサ238が設置されている。支持部材234がZ軸方向に移動すると、遮光板237が一対のセンサ238の間に移動する。これにより、支持部材234が最も上側に位置付けられたことが検出される。
【0077】
次に、支持部240について説明する。支持部材241は、支持部230の支持部材234に固定されている。支持部材241の下方には、支持部材241に対してバネを介して支持部材242が設置されている。支持部材242の下方には、検体容器Tの上部をY軸方向から把持可能な把持部243が設置されている。このように支持部240が構成されると、把持部243は、支持部210によりY軸方向に移動可能となり、支持部220よりX軸方向に移動可能となり、支持部230によりZ軸方向に移動可能となる。
【0078】
なお、支持部材241、242を繋ぐ部材の上部には遮光板244が設置されており、
支持部材241に設置された部材上には遮光式の一対のセンサ245が設置されている。把持部243が下方に移動されるときに、把持部243に対してZ軸正方向に力が加えられると、遮光板244が一対のセンサ245の間に移動する。これにより、把持部243が下降中に検体容器Tの蓋部T2等に当接したことが検出される。
【0079】
図8は、昇降部130の構成を示す模式図である。
【0080】
昇降部130は、検体移し替え装置22の内部に設置された支持部材131と、支持部材131に設置され上下方向に延びたレール132と、レール132に対して上下方向に摺動可能な摺動部133と、支持部材131の上部と下部に設置されたプーリ134a、134bと、プーリ134a、134bに掛けられたベルト135と、支持部材131の後方に設置されたモータ136と、遮光式の一対のセンサ137a、137bと、摺動部133に設置された支持体138と、支持体138の前方に設置された一対の支持部139を備えている。
【0081】
モータ136の軸はプーリ134bに接続されており、モータ136が駆動すると、プーリ134bが回転し、ベルト135が移動する。摺動部133は、ベルト135に固定されており、ベルト135が移動することにより、レール132に沿って上下方向に移動する。摺動部133の左端には鍔部133aが形成されている。モータ136が駆動されると、鍔部133aが一対のセンサ137a、137bの間に移動する。これにより、摺動部133と、支持体138と、支持部139が上端と下端に位置付けられたことが検出される。
【0082】
支持部139は、Y軸方向の幅d1が、検体ラックLの短手方向の幅d2よりも大きくなるよう構成されている。これにより、
図8に示すように、支持部139の水平面が検体ラックLの下面を支持した状態で支持体138上方向に駆動されると、検体ラックLが上方向に移動される。なお、支持体138には、検体ラックLの長手方向の幅よりも大きく、検体容器Tを支持した検体ラックLの高さ方向の幅よりも大きい開口138aが形成されている。これにより、位置P21に位置付けられた空の検体ラックLは、開口138aを介して、ラック押出し機構118により空ラック貯留部150に押し出される。
【0083】
図9(a)〜(c)は、検体容器Tの移し替え手順を示す図である。
【0084】
図9(a)に示すように、支持部139の水平面は、あらかじめ
図4と
図5(a)に示す空間S1、S2に挿入されており、搬送面よりも所定幅だけ下方に位置付けられた状態となっている。
図9(a)のように支持部139が位置付けられている状態を、以下、「待機状態」と称する。このように、支持部139が待機状態となっているとき、位置P1からX軸正方向に搬送された検体ラックLは、
図9(b)に示すように位置P21に位置付けられ、または、位置P21を通過して位置P3まで搬送される。
【0085】
次に、位置P21に検体ラックLが位置付けられると、この検体ラックLについて検体容器Tの移し替えが行われる場合、支持部139が上方向に移動され、
図9(c)に示すように、この検体ラックLが位置P22に位置付けられる。
図9(c)のように支持部139が位置付けられている状態を、以下、「上昇状態」と称する。このとき、位置P22に位置付けられた検体ラックLの各支持部の底面の高さはH1となる。
【0086】
ここで、アーカイブラックR1の支持部R11の底面の高さH2と、バッファラック140の支持部141の底面の高さH3は、H1に等しくなるよう、アーカイブラックR1とバッファラック140が構成されている。よって、検体ラックLが位置P22に位置付けられると、H1〜H3は互いに等しくなる。なお、ソーティングラックR2の支持部R
21の底面の高さと、ソーティングラックR2の手前に載置された検体ラックLの各支持部の底面の高さも、高さH1と等しくなるよう、ソーティングラックR2と、ソーティングラックR2の手前の検体ラックLの載置面が構成されている。すなわち、本実施の形態では、収納部の各支持部の底面の高さは全てH1となっている。
【0087】
こうして、支持部139が上昇状態(検体ラックLが位置P22に位置付けられた状態)で、適宜、この検体ラックLに支持された検体容器Tが収納部に移し替えられ、バッファラック140に支持された検体容器Tが検体ラックLに移し替えられる。そして、検体ラックLに対する検体容器Tの移し替えが終了すると、支持部139が
図9(b)に示す状態に戻され、検体ラックLがベルト112によりX軸正方向に搬送される。なお、位置P21に位置付けられた空の検体ラックLが、空ラック貯留部150に押し出される場合、支持部139は
図9(a)に示す状態よりもさらに下方に位置付けられる。これにより、空の検体ラックLは、支持体138の開口138aを介してY軸負方向に押し出される。
【0088】
次に、容器移送部200により、位置P22に位置付けられた検体ラックLに対する検体容器Tの移し替えが行われる。検体容器TがアーカイブラックR1に移し替えられる場合、最も左のアーカイブラックR1から順に検体容器Tが移し替えられ、1つのアーカイブラックR1が満杯になると、順次右隣りのアーカイブラックR1に検体容器Tが移し替えられる。最も右のアーカイブラックR1が満杯になると、最も左のアーカイブラックR1に検体容器Tが移し替えられる。さらに、各アーカイブラックR1内では、
図9(d)に示すように、最も手前(1列目)で且つ最も左の支持部R11から開始して、1列目の支持部R11が満杯になると、順次、1列ずつ後方の支持部R11に検体容器Tが移し替えられる。
【0089】
なお、検体容器Tが、バッファラック140と、ソーティングラックR2と、ソーティングラックR2の手前に載置された検体ラックLに移し替えられる場合、あらかじめ設定された範囲の支持部内で、
図9(d)に示すように、最も手前で且つ最も左の支持部から検体容器Tが移し替えられる。
【0090】
図10(a)〜(c)は、移し替えが行われるときの検体容器Tの移動距離を示す図である。
【0091】
図10(a)は、検体ラックLが位置P21に位置付けられた状態で、検体ラックLに対する検体容器Tの移し替えが行われる場合の比較例を示す図である。この場合、まず、バッファラック140等に支持されている検体容器Tと同じ高さになるよう、検体容器Tがαだけ上方向に引き上げられる。続いて、バッファラック140等に支持されている検体容器Tに当接しないよう、さらに検体容器TがZ1だけ上方向に引き上げられる。続いて、X軸方向とY軸方向(XY方向)の移動が行われた後、検体容器TがZ1だけ下方向に下降されて、目標となる支持部にセットされる。この場合、検体容器Tは、把持されてからセットされるまで、上下方向にα+Z1+Z1だけ移動されたことになる。
【0092】
本実施の形態では、検体容器Tとして採血管が用いられる。この場合、Z1は、検体処理システム1において使用されることが想定される採血管のうち、最も長い採血管の全長と同じか、または、それよりも長い距離が設定される。これにより、移送される採血管を、アーカイブラックR1等に支持された採血管に衝突することなく移送できる。Z1を、採血管の全長よりも長く設定する場合、たとえば、1mm〜20mm、より好ましくは、5mm〜10mmを全長に付加した距離とすることが好ましい。たとえば、最も長い採血管が125mmである場合、Z1は、126mm〜145mmの範囲内で、より好ましくは、130mm〜135mmの範囲内で設定される。
【0093】
図10(b)は、検体ラックLが位置P22よりもさらに高い位置まで引き上げられた後、適宜、目標となる支持部の近傍まで検体ラックLがY軸方向に移動させられる場合の比較例を示す図である。この場合、まず、機構180により検体ラックLが目標となる支持部の近傍までY軸方向に移動された後、検体ラックLから検体容器Tを抜き出すために、検体容器Tが、たとえばZ1だけ上方向に引き上げられる。続いて、XY方向の移動が行われた後、検体容器TがZ1+βだけ下方向に下降されて、目標となる支持部にセットされる。この場合、検体容器Tは、把持されてからセットされるまで、上下方向にZ1+Z1+βだけ移動されたことになる。
【0094】
図10(c)は、本実施の形態における検体ラックLに対する検体容器Tの移し替えを示す図である。この場合、まず、検体ラックLから検体容器Tを抜き出すために、検体容器TがZ1だけ上方向に引き上げられる。続いて、XY方向の移動が行われた後、検体容器TがZ1だけ下方向に下降されて、目標となる支持部にセットされる。この場合、検体容器Tは、把持されてからセットされるまで、上下方向にZ1+Z1だけ移動されたことになる。また、この場合のXY方向の移動距離は、
図10(a)に示す場合と同様になり、
図10(b)に示す場合より大きくなる。
【0095】
このように、本実施の形態の検体容器Tの上下方向の移動距離は、
図10(a)の比較例に比べてαだけ小さくなる。よって、本実施の形態では、
図10(a)に示す比較例に比べて、検体ラックLに対する検体容器Tの移し替えが迅速に行われる。
【0096】
また、本実施の形態の検体容器Tの上下方向の移動距離は、
図10(b)の比較例に比べてβだけ小さくなるものの、本実施の形態の検体容器TのXY方向の移動距離は、
図10(b)の比較例に比べて大きくなってしまう。しかしながら、
図10(b)に示す比較例の場合、検体ラックLをXY方向に移動させるための機構180が必要になり、さらに、位置P22に位置付けた検体ラックLをこの機構180に移し替える必要があるため、検体移し替え装置22の構成が複雑になってしまう。また、
図10(b)に示す比較例の場合、検体容器Tの移し替えを迅速化させるためには、検体容器TのY軸方向の移動距離ΔLをなるべく小さく設定する必要がある。しかし、このように移動距離ΔLを小さく設定すると、機構180の位置と、目標となる支持部の位置とがY軸方向に接近するため、検体ラックLから抜き取った検体容器Tを支持部へと降下させる際に、検体容器Tの降下が機構180によって阻害されることが起こり得る。これを回避するために、検体ラックLから検体容器Tを抜き取る毎に、機構180をY軸方向に頻繁に移動させなければならず、このため、機構180に支持された検体ラックLがY軸方向に不所望に揺り動かされ、検体ラックLにおける検体容器Tの保持状態が不安定となってしまう。これに対し、本実施の形態では、検体ラックLが位置P22で静止した状態で検体容器Tの移し替えが行われるため、
図10(b)の比較例に比べて、検体移し替え装置22の構成が簡素になり、且つ、検体容器Tの移し替えの際に検体ラックLにおける検体容器Tの保持状態が不安定となることもない。このように、本実施の形態によれば、簡素な構成により、迅速かつ安定的に、検体容器Tを支持部に移し替えることができる。
【0097】
図11は、検体移し替え装置22と、投入ユニット21と、搬送コントローラ7の概要構成を示す図である。
【0098】
検体移し替え装置22は、制御部321と、通信部322と、バーコードユニット120と、容器移送部200と、駆動部323と、センサ部324を備える。制御部321は、検体移し替え装置22内の各部を制御すると共に、検体移し替え装置22内の各部から出力された信号を受信する。また、制御部321は、通信部322を介して搬送コントローラ7と通信を行う。
【0099】
駆動部323は、モータ116、219、227、236、136と、ラック押出し機構118、151、163を駆動させるための駆動源と、把持部243を駆動させるための駆動源を含んでいる。センサ部324は、センサs1〜s3、238、245、137a、137bを含んでいる。
【0100】
本実施の形態では、駆動部323に含まれる各モータは、サーボモータより構成される。すなわち、駆動部323に含まれる各モータにより駆動される部材等が、どの位置にあるかを検出するための光学式センサ等がなくても、これらモータは精度良く制御され得る。なお、駆動部323に含まれる各モータにより駆動される部材等が、どの位置にあるかを検出するための光学式センサ(たとえば、
図8のセンサ137a、137b)が適宜用いられても良い。こうすると、より精度良く各モータを制御することができる。
【0101】
投入ユニット21は、制御部311と、通信部312と、駆動部313と、センサ部314を備える。制御部311は、投入ユニット21内の各部を制御すると共に、投入ユニット21内の各部から出力された信号を受信する。また、制御部311は、通信部312を介して搬送コントローラ7と通信を行う。なお、中継ユニット23、24と、回収ユニット25についても、投入ユニット21と同様の構成となっている。
【0102】
搬送コントローラ7は、制御部701と、通信部702と、ハードディスク703と、表示入力部704を備える。制御部701は、通信部702を介して、投入ユニット21と、検体移し替え装置22と、中継ユニット23、24と、回収ユニット25と、搬送ユニット31〜33と、ホストコンピュータ8と通信を行う。
【0103】
図12は、検体移し替え装置22による処理を示すフローチャートである。この処理は、投入ユニット21から検体移し替え装置22に検体ラックLが搬出されることにより開始される。
【0104】
検体移し替え装置22の制御部321は、投入ユニット21から搬出された検体ラックLを、ベルト111により左方向に搬送して位置P1に位置付ける(S101)。続いて、制御部321は、バーコードユニット120により、この検体ラックLのどの支持位置に検体容器Tが支持されているかを検知すると共に、検体IDとラックIDの読み取りを行う(S102)。続いて、制御部321は、支持している検体容器Tの移し替え情報を、ホストコンピュータ8に問い合わせる(S103)。しかる後、制御部321は、S103において問い合わせた全ての検体容器Tの移し替え情報を受信する(S104)。
【0105】
次に、制御部321は、S104で受信した移し替え情報に基づいて、この検体ラックLに移し替えが必要である検体容器Tが支持されているかを判定する(S105)。移し替えが必要である検体容器Tがないと(S105:NO)、制御部321は、位置P1に位置付けられている検体ラックLを、ベルト111、112により左方向へ搬送し、位置P21を通過させて中継ユニット23に搬出する(S110)。なお、S110において、支持部139が待機状態または上昇状態でない場合、検体ラックLは位置P1で待機され、支持部139が待機状態または上昇状態となったときに、この検体ラックLは位置P21を通過させられる。
【0106】
他方、移し替えが必要である検体容器Tがあると(S105:YES)、制御部321は、位置P1に位置付けられている検体ラックLを、ベルト111、112により左方向へ搬送し、位置P21に位置付ける(S106)。続いて、制御部321は、支持部139により、位置P21に位置付けられた検体ラックLを上昇させ、位置P22に位置付ける(S107)。そして、制御部321は、検体ラックLに支持されている移し替えが必
要な検体容器Tの移し替えを行う(S108)。
【0107】
検体容器Tの移し替えが終わると、制御部321は、位置P22に位置付けられた検体ラックLを下降させ、位置P21に位置付ける(S109)。そして、制御部321は、位置P21に位置付けられている検体ラックLを、ベルト111、112により左方向へ搬送し、中継ユニット23に搬出する(S110)。こうして、投入ユニット21から検体移し替え装置22に搬出された検体ラックLの処理が終了する。
【0108】
次に、検体ラックLを位置P22に精度良く位置付けるとともに、検体容器Tの移し替えが行われるときの検体ラックLの位置ずれを規制するための構成について説明する。
【0109】
図13(a)、(b)は、検体移し替え装置22内に配されたラック規制部材Fと支持部181の構成を示す図である。
図13(a)、(b)では、便宜上、その他の機構(搬送部110、昇降部130等)の図示が省略されている。
【0110】
支持部181は、検体移し替え装置22の内部シャーシ(図示せず)に固定されている。支持部181には、Y軸負側に切欠き181aが設けられ、この切欠き181aをX軸方向に挟む位置に、それぞれ、部材181bが設置されている。これら2つの部材181bの上端に、それぞれ、ラック規制部材Fが固定されている。ラック規制部材Fは、位置P21の上方に設けられている。ラック規制部材Fには、開口F1が形成されており、開口F1のY軸正側の厚みはY軸負側の厚みよりも大きい。また、2つのラック規制部材Fは、樹脂製のプラスチックで構成されており、互いに同じ形状を有している。ラック規制部材Fは、Z軸方向に対称な形状を有しており、表裏逆に装着しても、同様の機能を発揮する。
図13(a)、(b)に示す状態において、2つのラック規制部材Fは、YZ平面に対して互いに対称となるように配置されている。また、2つのラック規制部材Fは、開口F1が互いに正対向するように配置されている。
【0111】
上述したように、検体容器Tの移し替えが行われるとき、まず、
図13(a)に示すように、検体ラックLが位置P21に位置付けられる。続いて、位置P21に位置付けられた検体ラックLが、昇降部130の支持部139(
図8参照)により上方向に移動される。このとき、上方向に移動された検体ラックLは、切欠き181aを通り、さらに、2つのラック規制部材Fの開口F1によって規定される領域A(
図14(b)参照)に下側から通される。そして、検体ラックLの上面がラック規制部材Fの上面と略同じ高さとなるまで、検体ラックLが上方向に移動される。こうして、
図13(b)に示すように、検体ラックLが位置P22に位置付けられる。
【0112】
図14(a)、(b)は、ラック規制部材Fの詳細な構成を示す図である。
図14(a)は、
図13(a)、(b)に示す左側のラック規制部材Fを示しており、
図14(b)は、
図13(a)、(b)に示す2つのラック規制部材Fを上側から見た場合の平面図である。
【0113】
開口F1は、面F11、F21、F31と、2つの傾斜面F12と、2つの傾斜面F22と、2つの傾斜面F32から構成されている。面F11、F21は、XZ平面に平行であり、面F31は、YZ平面に平行である。傾斜面F12、F22、F32は、それぞれ、面F11、F21、F31の上側と下側に形成されている。なお、傾斜面F12、F32の間と、傾斜面F22、F32の間には、ラック規制部材Fの内部側に凹部が形成されている。このように構成された2つのラック規制部材Fが、
図13(a)、(b)に示すように設置されると、
図14(b)に示すように、2つの開口F1(より詳細には、面F11、F21、F31)によって、XY平面に平行な面内に領域Aが規定される。
【0114】
図14(c)、(d)は、位置P22に位置付けられた検体ラックLと、ラック規制部材Fとの位置関係を示す図である。
図14(c)は、検体ラックLが位置P22に位置付けられたときに、YZ平面に平行な面C1、C2(
図14(b)参照)による断面をX軸負方向に見た図である。
図14(d)は、検体ラックLが位置P22に位置付けられたときに、XZ平面に平行な面C3(
図14(b)参照)による断面をY軸正方向に見た図である。なお、
図14(c)、(d)では、便宜上、検体容器Tと、検体ラックLと、支持部139の位置が、破線で示されている。
【0115】
図14(c)を参照して、面F11、F21の間隔(領域AのY軸方向の幅)は、検体ラックLの短手方向の幅d2よりも僅かに大きくなるよう構成されている。また、面F11、F21は、位置P22に位置付けられた検体ラックLの側面に対して僅かに離れるよう構成されている。傾斜面F12、F22のY軸方向の間隔は、面F11、F21に対して下方向に離れるに従って、面F11、F21の間隔よりも大きくなるよう構成されている。
【0116】
図14(d)を参照して、2つの面F31の間隔(領域AのX軸方向の幅)は、検体ラックLの長手方向の幅d3よりも僅かに大きくなるよう構成されている。また、2つの面F31は、位置P22に位置付けられた検体ラックLの側面に対して僅かに離れるよう構成されている。2つの傾斜面F32のX軸方向の間隔は、面F31に対して下方向に離れるに従って、2つの面F31の間隔よりも大きくなるよう構成されている。
【0117】
このように2つのラック規制部材Fが構成され、検体移し替え装置22内に配置されると、位置P21から上方向に移動される際の衝撃や振動が検体ラックLに加わることによって検体ラックLがXY平面内においてずれている場合でも、ラック規制部材Fにより検体ラックLが位置P22に案内され、位置ずれが解消される。具体的には、上方向に移動される検体ラックLの上面の端部が、適宜、下側の傾斜面F12、F22、F32に当接することにより、検体ラックLが領域A内に案内され、最終的に位置P22に位置付けられる。
【0118】
こうして、
図14(c)、(d)に示すように、検体ラックLが位置P22に案内されると、容器移送部200の把持部243(
図7参照)は、この検体ラックLに支持された検体容器Tを円滑に取り出すことができるようになる。すなわち、取り出し対象の検体容器Tが、ずれることなく意図した位置に位置付けられるため、把持部243は、検体ラックLに支持された検体容器Tを円滑に取り出すことができる。また、検体ラックLが位置P22に案内されると、把持部243は、バッファラック140から取り出した検体容器Tを、この検体ラックLの目標となる支持部に円滑にセットすることができるようになる。すなわち、この検体ラックLの目標となる支持部が、ずれることなく意図した位置に位置付けられるため、把持部243は、取り出した検体容器Tを円滑に検体ラックLにセットすることができる。また、検体ラックLの動きはラック規制部材Fによって領域A内に制限されているため、把持部243による検体容器Tのセット・取り出しの際に振動ないし衝撃が検体ラックLに加わっても、それによる検体ラックLの位置ずれを抑制でき、その後の検体容器Tのセット・取り出しに影響を及ぼすことがない。
【0119】
なお、検体ラックLの位置P22は、昇降部130の支持部139が上昇状態にあるときに、検体ラックLの上端付近が領域A内に収まる位置である。すなわち、本実施の形態の位置P22は、検体ラックLが支持部139により上方向に移動されるときに、この検体ラックLの上端付近が領域Aに収まることにより、把持部243による検体容器Tの移し替えが円滑に行われ得る位置のことである。
【0120】
以上、本実施の形態によれば、以下のように、検体容器Tの移し替えを迅速に行うこと
ができる。すなわち、本実施の形態のように、収納部が搬送部110よりも高い位置に配置される場合、位置P21に位置付けられた検体ラックLと収納部との間に、上下方向の段差が生じる。このため、
図10(a)に示すように、検体容器Tが、位置P21に位置付けられた検体ラックLから収納部へと個別に移し替えられると、移し替えを行う検体容器Tの上下方向の移動距離が大きくなるため、検体容器Tの移し替えに要する時間が長くなってしまう。これに対し、本実施の形態によれば、容器移送部200により検体容器Tが移し替えられる前に、検体ラックLが支持部139により上昇させられ、位置P22に位置付けられる。これにより、
図10(c)に示すように、移し替えを行う検体容器Tの上下方向の移動距離が小さくなるため、検体容器Tの移し替えを迅速に行うことができる。
【0121】
また、本実施の形態によれば、位置P22に位置付けられた検体ラックLの各支持部の底面(載置面)と、収納部の各支持部の底面(載置面)とは、同じ高さとなっている。これにより、検体ラックLから検体容器Tを抜き出すときの上方向のストロークと、抜き出した検体容器Tを収納部にセットするときの下方向のストロークとが、略同様となるため、検体移し替えの制御および検体移し替え装置22の構成を簡素にすることができる。
【0122】
また、本実施の形態によれば、収納部とトレイ171、172は、搬送部110、160よりも高い位置にあり、より詳細には、搬送部160によって搬送される検体容器Tの頭部(蓋部T2)よりも高い位置にある。このため、収納部の各部は、それぞれ、別々に前方へ引き出せるようになっている。これにより、搬送部160により検体容器Tが搬送されている場合にも、収納部の各部を別々に引き出すことができ、検体容器Tを外部に取り出すことができる。
【0123】
また、本実施の形態によれば、
図9(d)に示すように、引き出し口に近い側(前方)の支持部から順に埋まるように、容器移送部200により検体容器Tの移し替えが行われる。これにより、収納部に収納された検体を取り出す際の収納部の引き出し量を抑えることができる。
【0124】
また、本実施の形態によれば、ラック規制部材Fにより、持ち上げられた検体ラックLが位置P22に位置付けられ、且つ、位置P22に位置付けられた検体ラックLのXY平面(水平面)内の動きが規制される。これにより、把持部243は、検体ラックLに支持された検体容器Tを円滑に取り出すことができ、取り出した検体容器Tを円滑に検体ラックLにセットすることができる。
【0125】
また、本実施の形態によれば、位置P21から上方向に移動される検体ラックLがXY平面内においてずれている場合でも、傾斜面F12、F22、F32により、検体ラックLが位置P22に位置付けられる。すなわち、検体ラックLが上方移動される際に、検体ラックLを徐々に領域A内へと誘導することができる。これにより、持ち上げられた検体ラックLを、円滑に位置P22に位置付けることができる。
【0126】
また、本実施の形態によれば、ラック規制部材Fは、
図14(c)、(d)に示すように、持ち上げられた検体ラックLの上部側面に対向する面F11、F21、F31を有しており、面F11、F21、F31が検体ラックLの上部側面に当接することにより、検体ラックLの動きが規制される。これにより、検体ラックLの側面全体に対向するように配置されるような部材が用いられる場合に比べて、簡素な構成で効率良く検体ラックLの動きを規制することができる。
【0127】
また、本実施の形態によれば、ラック規制部材Fは、平面視で矩形に形成された検体ラックLの上部の四隅を支持する。これにより、確実に検体ラックLの動きを規制すること
ができる。
【0128】
また、本実施の形態によれば、ラック規制部材Fは、樹脂製のプラスチックで構成
されている。これにより、検体ラックLがラック規制部材Fに接触したときの衝撃がラック規制部材Fによって吸収されるため、検体ラックLの破損を回避することができる。
【0129】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0130】
たとえば、上記実施の形態では、測定ユニット41、42の測定対象が血液である場合について例示したが、測定ユニット41、42の測定対象は尿であっても良い。すなわち、尿を測定する測定ユニットを含む検体処理システムにも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を測定する測定ユニットを含む臨床検体処理システムに本発明を適用することもできる。
【0131】
また、上記実施の形態では、
図15(a)に示すように、位置P21に位置付けられた検体ラックLが上方向に移動され、位置P22に位置付けられた状態で、検体容器Tの移し替えが行われた。この場合、
図15(b)に示すように、検体容器TのX軸方向の移動距離が大きくなる。そこで、
図15(c)に示すように、検体ラックLが位置P21に位置付けられた後、目標となる収納部の支持部に近づくよう、適宜、斜め方向に移動されても良い。この場合、たとえば、昇降部130の支持部材131がXZ平面内でZ軸方向に対して傾けられる。こうすると、
図15(d)に示すように、検体ラックLに支持された移し替えを行う検体容器Tと、目標となる収納部の支持部とのX軸方向の距離が近づくため、上記実施の形態に比べて、さらに検体容器Tの移し替えを迅速に行うことができる。
【0132】
また、
図16(a)、(b)に示すように、位置P21に位置付けられた検体ラックLが、位置P22の僅かにY軸正方向側に位置する位置P23に向けて斜め方向に移動させられ、位置P23に位置付けられた状態で、検体容器Tの移し替えが行われるようにしても良い。この場合、たとえば、昇降部130の支持部材131がYZ平面内でZ軸方向に対して傾けられる。
【0133】
なお、特許請求の範囲に記載の「上方移動」とは、上記実施の形態のように、位置P21に位置付けられた検体ラックLが、垂直上方に移動されて位置P22に位置付けられることに限らない。すなわち、特許請求の範囲に記載の「上方移動」とは、
図15(c)、(d)に示すように、検体ラックLがXY平面内で斜め方向に移動される場合や、
図16(a)、(b)に示すように、検体ラックLがYZ平面内で斜め方向に移動される場合も含むものである。
【0134】
また、
図15(c)、(d)では、検体ラックLが斜め方向に移動されたが、これに替えて、検体ラックLがZ軸方向に移動され位置P22に位置付けられた後、X軸方向に移動されるようにしても良い。また、
図16(a)、(b)においても、検体ラックLがZ軸方向に移動され位置P22に位置付けられた後、Y軸方向に移動され位置P23に位置付けられるようにしても良い。
【0135】
また、上記実施の形態では、検体ラックLの上方への移動は、位置P21から位置P22のみであったが、これに限らず、検体ラックLは、位置P21から位置P22への移動に加えて、搬送路r1上の他の位置で上方へ移動されるようにしても良い。たとえば、
図16(c)、(d)に示すように、搬送路r1に、位置P21に対してX軸方向にずれた位置P24が設けられ、位置P24に位置付けられた検体ラックLを上昇させて位置P25に位置付けるようにしても良い。この場合、検体ラックLに支持された移し替えを行う
検体容器Tと、目標となる収納部の支持部が近くなるよう、検体ラックLが位置P22、P25の何れかに位置付けられる。これにより、上記実施の形態に比べて、さらに検体容器Tの移し替えを迅速に行うことができる。
【0136】
また、上記実施の形態では、
図10(c)に示すように、検体ラックLの各支持部の底面の高さが、収納部の各支持部の底面の高さと等しくなるよう、検体ラックLが位置P22に位置付けられた。しかしながら、これに限らず、検体ラックLが位置P22よりも僅かに上方または下方に位置付けられ、検体ラックLの各支持部の底面の高さが、収納部の各支持部の底面の高さと同じでなくても良い。この場合も、
図10(a)に示すように位置P21に位置付けられた検体ラックLから検体容器Tが移し替えられる場合に比べて、検体容器Tの移し替えを迅速に行うことができる。
【0137】
また、検体ラックLが位置P22よりも僅かに上方に位置付けられる場合、
図17(a)に示すように、検体ラックLの上面の高さH4が、収納部に支持された検体容器Tの蓋部T2の上面の高さH5と略同じとなるように、上昇後の検体ラックLの位置P26を設定するのが望ましい。こうすると、検体ラックLに支持された検体容器Tは、検体ラックLから抜き出されるのに必要なストロークだけ上方に移動されれば良く、検体移し替え時の検体容器Tの上下方向の移動ストロークを最小化することができる。
【0138】
すなわち、このように位置P26が設定されると、
図17(b)に示すように、検体容器Tの抜き取りの際に、検体ラックLに支持されている検体容器TがZ2だけ上方向に移動され、検体容器Tの最下端がH4よりも僅かに上に位置付けられると、同時に、この検体容器Tの最下端は、収納部に支持されている検体容器Tの蓋部T2よりも僅かに上に位置付けられる。これにより、検体容器Tは、収納部に支持されている検体容器Tの上方を通ってY軸正方向に移動可能となる。この場合、Z2はZ1よりも小さいため、検体容器Tを移し替えるのに必要な上下方向の移動距離(Z2+Z1)は、
図10(c)に示す場合の上下方向の移動距離(Z1+Z1)に比べて小さくなり、且つ、最小の値となる。よって、この構成によれば、検体容器Tの移し替えを最も迅速に行うことができる。
【0139】
なお、検体移し替え装置22に搬送される検体容器Tの長さにバラつきがある場合、
図17(a)、(b)に示す高さH5を、最も長い検体容器Tの蓋部T2の上面の高さとして、上記と同様の思想により、位置P26が設定されれば良い。
【0140】
また、上記実施の形態では、2つのベルト111、112がベルト115aを介して連動して駆動されたが、
図17(c)に示すように、1つのベルト112のみが用いられるようにしても良い。
図17(c)に示す構成は、
図5(a)に示す構成から、ベルト111、115aが省略され、プーリ113b、114aの下方に、プーリ114h、114iが追加されている。ベルト112は、プーリ114a〜114iに掛けられており、モータ116よって駆動される。この場合も、プーリ113b、114aの間に空間S1が生じ、プーリ114b、114eの間に空間S2が生じ、空間S1、S2に支持部139が挿入可能となる。
【0141】
また、上記実施の形態の検体処理システム1には、
図1に示すように、検体移し替え装置が1台だけ設置されたが、これに限らず、2台以上の検体移し替え装置が隣接するようにして配置されても良い。
【0142】
図18は、検体処理システム1が2台の検体移し替え装置を含む場合の構成を示す図である。
図18に示す検体処理システム1は、
図1に示す検体移し替え装置22と中継ユニット23の間に、検体移し替え装置26が設置されている。この場合、投入ユニット21から下流側に搬出される検体ラックLが、適宜、2台の第の検体移し替え装置22、26
に供給され、検体容器Tの移し替えが行われる。
【0143】
この場合、検体移し替え装置22で検体容器Tの移し替えが行われていても、この検体ラックLは支持部139により上方に移動させられているため、後続の検体ラックLを、検体移し替え装置26へと搬送することができる。また、検体移し替え装置26で検体容器Tの移し替えが行われていても、この検体ラックLは支持部139により上方に移動させられているため、後続の検体ラックLを中継ユニット23へと搬出することができる。すなわち、別途搬送路を配置することなく、検体ラックLの搬送順序を入れ替えることができ、検体容器Tの移し替えが行われている間においても、後続の検体ラックLを下流へと送ることができる。よって、迅速に検体容器Tの移し替えを行うことが可能となる。
【0144】
また、上記実施の形態では、ラック規制部材Fの上面側と下面側は、XY平面に対して対称となるよう構成されたが、これに限らず、
図19(a)に示すように、上側の傾斜面F12、F22、F32が省略されても良い。この場合、左右に設置されるラック規制部材を同一形状とすることができないため、右側に設置されるラック規制部材は、
図19(a)に示すラック規制部材Fに対して、YZ平面に対称な形状のラック規制部材とされる。
【0145】
また、上記実施の形態では、領域Aは、面F11、F21、F31によって規定されたが、これに限らず、線によって規定されるようにしても良い。たとえば、
図19(b)に示すように、上記ラック規制部材Fにおいて、面F11、F21、F31が省略され、上側と下側の傾斜面F12、F22、F32が繋げられていても良い。この場合、上側と下側の傾斜面F12の間の稜線と、上側と下側の傾斜面F22の間の稜線と、上側と下側の傾斜面F32の間の稜線によって、領域Aが規定される。
【0146】
また、領域Aは、点によって規定されるようにしても良い。たとえば、
図19(c)に示すように、上記ラック規制部材Fにおいて、面F11、F21、F31上に、それぞれ、半球形状の突起部F11a、F21a、F31aが設けられても良い。また、突起部F11a、F21a、F31aは、
図19(d)に示すように、円錐形状であっても良い。こうすると、
図19(c)、(d)に示す場合、突起部F11a、F21a、F31aの先端部分の点によって、領域Aが規定される。
【0147】
また、上記実施の形態では、上方向に移動される検体ラックLが、傾斜面F12、F22、F32により位置P22に案内されたが、これに限らず、他の案内手段によって検体ラックLが案内されるようにしても良い。たとえば、
図20(a)に示すように、上記ラック規制部材Fにおいて、2つの傾斜面F12が一段低く形成され、これら2つの傾斜面F12上に、それぞれ斜め方向に延びる2つの突条部F12aが設けられても良い。なお、傾斜面F22、F32についても、同様にして突条部(図示せず)が設けられる。こうすると、傾斜面F12、F22、F32上に設けられた突条部の先端(稜線)に沿って、検体ラックLが位置P22に案内される。
【0148】
また、上方向に移動される検体ラックLは、必ずしも傾斜面F12、F22、F32のような平面により案内される必要はなく、曲面により案内されるようにしても良い。たとえば、
図20(b)に示すように、上記ラック規制部材Fにおいて、面F11と2つの傾斜面F12に替えて、開口F1の内壁面に円柱を2分割した形状を有する円柱部F12bが設けられても良い。なお、面F21と2つの傾斜面F22、および、面F31と2つの傾斜面F32についても、これらに替えて、同様に円柱を2分割した形状を有する円柱部(図示せず)が設けられる。こうすると、円柱部の曲面に沿って、検体ラックLが位置P22に案内される。また、検体ラックLは、互いに対向する円柱部F12bの頂点によって挟まれることによって、位置決めされ、移動が規制される。
【0149】
また、上記実施の形態では、ラック規制部材Fにより、位置P22に位置付けられた検体ラックLのX軸方向とY軸方向の両方向の動きが規制されたが、これに限らず、検体ラックLのX軸方向とY軸方向の何れかの方向の動きが規制されるようにしても良い。
【0150】
図20(c)は、検体ラックLのX軸方向(長手方向)の動きのみを規制するラック規制部材Fの構成を示す図である。この場合のラック規制部材Fは、
図14(a)に示す上記実施の形態のラック規制部材Fから、面F11、F21と、傾斜面F12、F22が省略された形状を有している。この場合、搬送面において検体ラックLが位置P21からX軸方向にずれているような場合でも、この検体ラックLは上方向に移動されることにより、
図20(d)に示すように、2つの面F31によって設定される範囲A1内に位置付けられ、上昇状態においてX軸方向の動きが規制される。なお、検体ラックLのY軸方向(短手方向)の動きは、昇降部130の支持部139(
図8参照)により概ね規制されている。よって、上記実施の形態と同様、この検体ラックLは位置P22に位置付けられ、上昇状態においてXY平面内の動きが規制される。
【0151】
また、上記実施の形態では、ラック規制部材Fにより、位置P22に位置付けられた検体ラックLのXY平面の動きが規制されたが、さらに、以下に示す板バネ182を用いて、位置P22に位置付けられた検体ラックLのZ軸正方向の動きが規制されるようにしても良い。
【0152】
図21(a)は、ラック規制部材Fに設置された板バネ182の構成を示す図である。2つの板バネ182は、左右のラック規制部材Fの上面に固定されている。また、2つの板バネ182は、金属で構成されており、互いに同じ形状を有している。
図21(a)に示す状態において、2つの板バネ182は、表裏が逆になるように設置されており、YZ平面に対して互いに対称となっている。さらに、
図21(b)、(c)に示すように、上側から(Z軸負方向に)見た場合に、板バネ182は、位置P22に位置付けられた検体ラックLの一部に掛かるよう構成されている。
【0153】
このように2つの板バネ182が構成され、ラック規制部材Fの上面に配置されると、この検体ラックLに支持された検体容器Tが把持部243により取り出される際に、検体容器Tが検体ラックLに引っかかり、検体ラックLが上方向に持ち上げられることを抑制することができる。これにより、持ち上げられた検体ラックLが支持部139に落ちる衝撃により、検体容器Tが傷付く事態を回避することができる。また、持ち上げられた検体ラックLがその状態で止まることで、検体ラックLの搬送が正常に行われなくなる事態を回避することができる。
【0154】
また、この場合、板バネ182が金属で構成されているため、上方向に移動される検体ラックLが板バネ182に衝突した場合でも、検体ラックLを確実に位置P22に位置付けることができるとともに、板バネ182の破損を回避することができる。
【0155】
なお、この場合、昇降部130のステッピングモータ136を調整して、昇降部130の支持部139が上昇状態になったとき、検体ラックLの上面が板バネ182に押し付けられるようにしても良い。こうすると、位置P22の検体ラックLに検体容器Tがセットされる際に、検体容器Tが検体ラックLに引っかかり、検体ラックLが下方向に押し下げられることを抑制することができる。これにより、押し下げられた検体ラックLが再度位置P22に戻る衝撃により、検体容器Tが傷付く事態を回避することができる。また、押し下げられた検体ラックLがその状態で止まることで、検体ラックLの搬送が正常に行われなくなる事態を回避することができる。
【0156】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。