(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の樹脂層の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率が、前記第2の樹脂層の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率よりも高い、請求項1に記載の合わせガラス。
前記第1の合わせガラス部材の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率が、前記第2の合わせガラス部材の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率よりも高い、請求項1に記載の合わせガラス。
前記赤外線反射層が、金属箔付き樹脂フィルム、樹脂層上に金属層及び誘電層が形成された多層積層フィルム、多層樹脂フィルム又は液晶フィルムである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の合わせガラス。
請求項1〜9のいずれか1項に記載の合わせガラスを、建築物又は車両において、外部空間と前記外部空間から熱線が入射される内部空間との間の開口部に取り付ける方法であって、
前記第1の合わせガラス部材が、前記外部空間側に位置するように、かつ前記第2の合わせガラス部材が前記内部空間側に位置するように、前記合わせガラスを前記開口部に取り付ける、合わせガラスの取り付け方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
【0027】
図2に、本発明の一実施形態に係る合わせガラスに用いられる合わせガラス用中間膜を模式的に部分切欠断面図で示す。
【0028】
図2に示す中間膜1は、多層中間膜である。中間膜1は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜1は、合わせガラス用中間膜である。中間膜1は、赤外線反射層2と、赤外線反射層2の第1の表面2a側に配置された第1の樹脂層3と、赤外線反射層2の第1の表面2aとは反対の第2の表面2b側に配置された第2の樹脂層4とを備える。第1の樹脂層3は、赤外線反射層2の第1の表面2aに積層されている。第2の樹脂層4は、赤外線反射層2の第2の表面2bに積層されている。赤外線反射層2は、中間層であり、熱線を反射する性能を有する。第1,第2の樹脂層3,4は、本実施形態では表面層である。赤外線反射層2は、第1,第2の樹脂層3,4の間に配置されている。赤外線反射層2は、第1,第2の樹脂層3,4の間に挟み込まれている。従って、中間膜1は、第1の樹脂層3と、赤外線反射層2と、第2の樹脂層4とがこの順で積層された多層構造を有する。
【0029】
なお、赤外線反射層2と第1の樹脂層3との間、及び、赤外線反射層2と第2の樹脂層4との間にはそれぞれ、他の層が配置されていてもよい。赤外線反射層2と第1の樹脂層3、及び、赤外線反射層2と第2の樹脂層4とはそれぞれ、直接積層されていることが好ましい。他の層として、ポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂を含む層、及びポリエチレンテレフタレート等を含む層が挙げられる。
【0030】
上記赤外線反射層は赤外線を反射する。上記赤外線反射層は、赤外線を反射する性能を有していれば特に限定されない。上記赤外線反射層としては、金属箔付き樹脂フィルム、樹脂層上に金属層及び誘電層が形成された多層積層フィルム、グラファイトを含むフィルム、多層樹脂フィルム及び液晶フィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、赤外線を反射する性能を有する。
【0031】
上記赤外線反射層は、金属箔付き樹脂フィルム、樹脂層上に金属層及び誘電層が形成された多層積層フィルム、多層樹脂フィルム又は液晶フィルムであることが特に好ましい。これらのフィルムは、赤外線の反射性能にかなり優れている。従って、これらのフィルムの使用により、遮熱性がより一層高く、高い可視光線透過率をより一層長期間に渡り維持できる合わせガラスが得られる。上記赤外線反射層は、金属箔付き樹脂フィルム、多層樹脂フィルム又は液晶フィルムであってもよい。
【0032】
上記金属箔付き樹脂フィルムは、樹脂フィルムと、該樹脂フィルムの外表面に積層された金属箔とを備える。上記樹脂フィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂及びポリイミド樹脂等が挙げられる。上記金属箔の材料としては、アルミニウム、銅、銀、金、パラジウム、及びこれらを含む合金等が挙げられる。
【0033】
上記樹脂層上に金属層及び誘電層が形成された多層積層フィルムは、樹脂層(樹脂フィルム)に、金属層及び誘電層が交互に任意の層数で積層された多層積層フィルムである。
【0034】
上記多層積層フィルムにおける上記樹脂層(樹脂フィルム)の材料としては、上記金属箔付き樹脂フィルムにおける樹脂フィルムの材料と同様の材料が挙げられる。上記多層積層フィルムにおける上記樹脂層(樹脂フィルム)の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリフッ化ビニリデン、環状ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ナイロン6,11,12,66などのポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド及びポリエーテルイミド等が挙げられる。上記多層積層フィルムにおける上記金属層の材料としては、上記金属箔付き樹脂フィルムにおける上記金属箔の材料と同様の材料が挙げられる。上記金属層の両面もしくは片面に、金属もしくは混合酸化物のコート層を付与することができる。上記コート層の材料としては、ZnO、Al
2O
3、Ga
2O
3、InO
3、MgO、Ti、NiCr及びCu等が挙げられる。
【0035】
上記多層積層フィルムにおける上記誘電層の材料としては、例えば酸化インジウム等が挙げられる。
【0036】
上記多層樹脂フィルムは、複数の樹脂フィルムが積層された積層フィルムである。上記多層樹脂フィルムの材料としては、上記多層積層フィルムにおける上記樹脂層(樹脂フィルム)の材料と同様の材料が挙げられる。上記多層樹脂フィルムにおける樹脂フィルムの積層数は、2以上であり、3以上であってもよく、5以上であってもよい。上記多層樹脂フィルムにおける樹脂フィルムの積層数は、1000以下であってもよく、100以下であってもよく、50以下であってもよい。
【0037】
上記多層樹脂フィルムは、異なる光学的性質(屈折率)を有する2種類以上の熱可塑性樹脂層が交互に又はランダムに任意の層数で積層された多層樹脂フィルムであってもよい。このような多層樹脂フィルムは、所望の赤外線反射性能が得られるように構成される。
【0038】
上記液晶フィルムとしては、任意の波長の光を反射するコレステリック液晶層を任意の層数で積層したフィルムが挙げられる。このような液晶フィルムは、所望の赤外線反射性能が得られるように構成される。
【0039】
上記第1の樹脂層の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率は、上記第2の樹脂層の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率よりも高いことが好ましい。この場合には、別の見方をすれば、上記第1の樹脂層の赤外線吸収率は、上記第2の樹脂層の赤外線吸収率よりも低い。
【0040】
上記第1の樹脂層の上記赤外線透過率が、上記第2の樹脂層の上記赤外線透過率よりも高い場合には、上記第1の樹脂層は、赤外線を比較的多く透過する。このため、上記第1の樹脂層を透過した多くの赤外線は、上記赤外線反射層に至る。上記赤外線反射層は、赤外線を反射するので、上記赤外線反射層に至った赤外線は、上記赤外線反射層により反射される。また、上記第1の樹脂層の赤外線透過率が高いことから、上記赤外線反射層により反射された赤外線の多くは、上記第1の樹脂層を透過する。この結果、中間膜に赤外線が入射された際の中間膜の温度上昇を抑制できる。このため、上記中間膜の遮熱性が高くなり、更に耐光性に優れているので高い可視光線透過率を長期間に渡り維持できる。また、上記中間膜を用いた合わせガラスを建築物又は車両の開口部に取り付けることで、建築物又は車両の内部空間の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0041】
一方で、上記第1の樹脂層の上記赤外線透過率が、上記第2の樹脂層の上記赤外線透過率よりも高い場合に、仮に上記第1の樹脂層と上記赤外線反射層とを赤外線の一部が透過すると、透過した赤外線は、上記第2の樹脂層に至る。上記第2の樹脂層の赤外線透過率が低いと、上記第2の樹脂層は、赤外線の透過を効果的に遮断する。このため、中間膜全体を通過する熱線の量を低減できる。このことによっても、上記合わせガラス用中間膜の遮熱性が高くなり、上記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを建築物又は車両の開口部に取り付けることで、建築物又は車両の内部空間の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0042】
上記第1の樹脂層と上記第2の樹脂層とは同一であってもよく、異なっていてもよい。上記第1の樹脂層と上記第2の樹脂層とは異なることが好ましい。上記第1の樹脂層の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率が、上記第2の樹脂層の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率よりも高い場合には、上記第1の樹脂層と上記第2の樹脂層との組成は異なる。
【0043】
上記第1の樹脂層は熱可塑性樹脂を含む。上記第1の樹脂層中の熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることがより好ましい。上記第1の樹脂層は、可塑剤を含むことが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含むことがより好ましい。上記第1の樹脂層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましく、酸化防止剤を含むことが好ましい。
【0044】
上記第2の樹脂層は熱可塑性樹脂を含む。上記第2の樹脂層中の熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることがより好ましい。上記第2の樹脂層は、可塑剤を含むことが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含むことがより好ましい。上記第2の樹脂層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましく、酸化防止剤を含むことが好ましい。
【0045】
上記第2の樹脂層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第2の樹脂層が遮熱性化合物を含むことで、上記第1の樹脂層の上記赤外線透過率が、上記第2の樹脂層の上記赤外線透過率よりも高くなる。この結果、上記第1の合わせガラス部材と上記第1の樹脂層との2つの層全体の上記赤外線透過率を、上記第2の合わせガラス部材と上記第2の樹脂層との2つの層全体の上記赤外線透過率よりも高くすることが容易である。
【0046】
上記第1の樹脂層は、遮熱性化合物を含んでいてもよい。また、上記第1の樹脂層中の上記遮熱性化合物の含有量(重量%)が上記第2の樹脂層中の上記遮熱性化合物の含有量(重量%)よりも少ないと、上記第1の樹脂層の上記赤外線透過率を、上記第2の樹脂層の上記赤外線透過率よりも高くすることが容易である。上記遮熱性化合物としては、金属酸化物粒子などの遮熱粒子や、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分(以下、成分Xと記載することがある)等が挙げられる。なお、遮熱性化合物とは、赤外線を吸収可能な化合物を意味する。上記第1の樹脂層又は上記第2の樹脂層が複数の遮熱性化合物を含む場合は、上記第1の樹脂層中の上記遮熱性化合物の合計の含有量(重量%)は上記第2の樹脂層中の上記遮熱性化合物の合計の含有量(重量%)よりも少ないことが好ましく、0.05重量%以上少ないことがより好ましく、0.1重量%以上少ないことが更に好ましく、0.2重量%以上少ないことが特に好ましく、0.4重量%以上少ないことが最も好ましい。さらに、遮熱性がより一層高くなることから、上記第2の樹脂層中の上記遮熱性化合物の合計の含有量(重量%)と上記第1の樹脂層中の上記遮熱性化合物の合計の含有量(重量%)との差は2重量%以下であることが好ましい。
【0047】
以下、上記第1,第2の樹脂層を構成する材料の詳細を説明する。
【0048】
(熱可塑性樹脂)
上記第1,第2の樹脂層は熱可塑性樹脂を含む。該熱可塑性樹脂は特に限定されない。熱可塑性樹脂として、従来公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記第1の樹脂層中の熱可塑性樹脂と、上記第2の樹脂層中の熱可塑性樹脂とは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0049】
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0050】
上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、合わせガラス部材及び赤外線反射層などの他の層に対する第1,第2の樹脂層の接着力がより一層高くなる。
【0051】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70〜99.8モル%の範囲内である。
【0052】
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3500以下、特に好ましくは3000以下、最も好ましくは2500以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。なお、上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
【0053】
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれているアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3又は4であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、中間膜のガラス転移温度が充分に低くなる。
【0054】
上記アルデヒドは特に限定されない。上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n−ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0055】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは18モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは28モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下、更に好ましくは32モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
【0056】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠して、測定することにより求めることができる。
【0057】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.3モル%以上、更に好ましくは0.5モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、特に好ましくは15モル%以下、最も好ましくは3モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
【0058】
上記アセチル化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0059】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは63モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下、更に好ましくは70モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
【0060】
上記アセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。
【0061】
上記アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、算出され得る。
【0062】
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、上記アセタール化度(ブチラール化度)及び上記アセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。
【0063】
(可塑剤)
中間膜の接着力をより一層高める観点からは、上記第1の樹脂層は可塑剤を含むことが好ましく、上記第2の樹脂層は可塑剤を含むことが好ましい。上記第1,第2の樹脂層中の熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である場合に、上記第1,第2の樹脂層はそれぞれ、可塑剤を含むことが特に好ましい。
【0064】
上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0065】
上記可塑剤としては、例えば、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などのリン酸可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0066】
上記一塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル、並びにトリエチレングリコール又はトリプロピレングリコールと一塩基性有機酸とのエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
【0067】
上記多塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
【0068】
上記有機エステル可塑剤としては、特に限定されず、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。
【0069】
上記有機リン酸可塑剤としては、特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0070】
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
【0072】
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数2〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基であることが好ましく、炭素数6〜10の有機基であることがより好ましい。
【0073】
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)及びトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)の内の少なくとも1種を含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
【0074】
上記可塑剤の含有量は特に限定されない。上記第1,第2の樹脂層において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記可塑剤の各含有量は、好ましくは25重量部以上、より好ましくは30重量部以上、更に好ましくは35重量部以上、好ましくは75重量部以下、より好ましくは60重量部以下、更に好ましくは50重量部以下、特に好ましくは40重量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記可塑剤の含有量が上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層高くなる。
【0075】
(遮熱性化合物)
成分X:
上記第2の樹脂層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第2の樹脂層は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むことが好ましい。上記第2の樹脂層は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むか、又は、後述する遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第1の樹脂層は、上記成分Xを含んでいてもよい。上記成分Xは遮熱性化合物である。中間膜全体で少なくとも1層に上記成分Xを用いることにより、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。上記第2の樹脂層が上記成分Xを含むことにより、赤外線をより一層効果的に遮断できる。
【0076】
上記成分Xは特に限定されない。成分Xとして、従来公知のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物を用いることができる。上記成分Xは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0077】
上記成分Xとしては、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン、ナフタロシアニンの誘導体、アントラシアニン及びアントラシアニンの誘導体等が挙げられる。上記フタロシアニン化合物及び上記フタロシアニンの誘導体はそれぞれ、フタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記ナフタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニンの誘導体はそれぞれ、ナフタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記アントラシアニン化合物及び上記アントラシアニンの誘導体はそれぞれ、アントラシアニン骨格を有することが好ましい。
【0078】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、上記成分Xは、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン及びナフタロシアニンの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、フタロシアニン及びフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。
【0079】
遮熱性を効果的に高め、かつ長期間にわたり可視光線透過率をより一層高いレベルで維持する観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有することが好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子を含有することが好ましく、銅原子を含有することも好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニン及びバナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子に酸素原子が結合した構造単位を有することが好ましい。
【0080】
上記第1の樹脂層又は上記第2の樹脂層が上記成分Xを含む場合に、上記第1,第2の樹脂層100重量%中、上記成分Xの各含有量は、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.02重量%以上、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.04重量%以下である。上記第1,第2の樹脂層における上記成分Xの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ上記可視光線透過率が充分に高くなる。例えば、可視光線透過率を70%以上にすることが可能である。
【0081】
遮熱粒子:
上記第2の樹脂層は、遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第1の樹脂層は、遮熱粒子を含んでいてもよい。遮熱粒子は遮熱性化合物である。中間膜全体で少なくとも1層に遮熱性化合物を用いることにより、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。上記第2の樹脂層が遮熱粒子を含むことにより、赤外線をより一層効果的に遮断できる。
【0082】
合わせガラスの遮熱性をより一層高める観点からは、上記遮熱粒子は、金属酸化物粒子であることがより好ましい。上記遮熱粒子は、金属の酸化物により形成された粒子(金属酸化物粒子)であることが好ましい。遮熱粒子は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0083】
可視光よりも長い波長780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質にいったん吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。上記遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。なお、遮熱粒子とは、赤外線を吸収可能な粒子を意味する。
【0084】
上記遮熱粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、ニオブドープ酸化チタン粒子、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子、ルビジウムドープ酸化タングステン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子等の金属酸化物粒子や、六ホウ化ランタン(LaB
6)粒子等が挙げられる。これら以外の遮熱粒子を用いてもよい。なかでも、熱線の遮蔽機能が高いため、金属酸化物粒子が好ましく、ATO粒子、GZO粒子、IZO粒子、ITO粒子又は酸化タングステン粒子がより好ましく、ITO粒子又は酸化タングステン粒子が特に好ましい。特に、熱線の遮蔽機能が高く、かつ入手が容易であるので、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)が好ましく、酸化タングステン粒子も好ましい。
【0085】
上記酸化タングステン粒子は、下記式(X1)又は下記式(X2)で一般に表される。上記中間膜では、下記式(X1)又は下記式(X2)で表される酸化タングステン粒子が好適に用いられる。
【0086】
W
yO
z ・・・式(X1)
上記式(X1)において、Wはタングステン、Oは酸素を表し、y及びzは2.0<z/y<3.0を満たす。
【0087】
M
xW
yO
z ・・・式(X2)
上記式(X2)において、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta及びReからなる群から選択される少なくとも1種の元素、Wはタングステン、Oは酸素を表し、x、y及びzは、0.001≦x/y≦1、及び2.0<z/y≦3.0を満たす。
【0088】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、酸化タングステン粒子は、金属ドープ酸化タングステン粒子であることが好ましい。上記「酸化タングステン粒子」には、金属ドープ酸化タングステン粒子が含まれる。上記金属ドープ酸化タングステン粒子としては、具体的には、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子及びルビジウムドープ酸化タングステン粒子等が挙げられる。
【0089】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、セシウムドープ酸化タングステン粒子が特に好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、該セシウムドープ酸化タングステン粒子は、式:Cs
0.33WO
3で表される酸化タングステン粒子であることが好ましい。
【0090】
上記遮熱粒子の平均粒子径は好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、熱線の遮蔽性が充分に高くなる。平均粒子径が上記上限以下であると、遮熱粒子の分散性が高くなる。
【0091】
上記「平均粒子径」は、体積平均粒子径を示す。平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装社製「UPA−EX150」)等を用いて測定できる。
【0092】
上記第1の樹脂層又は上記第2の樹脂層が上記遮熱粒子を含む場合に、上記第1,第2の樹脂層100重量%中、遮熱粒子の各含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、特に好ましくは1.5重量%以上、好ましくは6重量%以下、より好ましくは5.5重量%以下、更に好ましくは4重量%以下、特に好ましくは3.5重量%以下、最も好ましくは3.0重量%以下である。上記遮熱粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ上記可視光線透過率が充分に高くなる。
【0093】
上記第1の樹脂層又は上記第2の樹脂層が上記遮熱粒子を含む場合に、上記第1,第2の樹脂層は、上記遮熱粒子を0.1〜12g/m
2の割合で含有することが好ましい。上記遮熱粒子の割合が上記範囲内である場合には、遮熱性が充分に高くなり、かつ上記可視光線透過率が充分に高くなる。上記遮熱粒子の割合は、好ましくは0.5g/m
2以上、より好ましくは0.8g/m
2以上、更に好ましくは1.5g/m
2以上、特に好ましくは3g/m
2以上、好ましくは11g/m
2以下、より好ましくは10g/m
2以下、更に好ましくは9g/m
2以下、特に好ましくは7g/m
2以下である。上記割合が上記下限以上であると、遮熱性がより一層高くなる。上記割合が上記上限以下であると、上記可視光線透過率がより一層高くなる。
【0094】
(紫外線遮蔽剤)
上記第1の樹脂層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第2の樹脂層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第1の樹脂層と上記第2の樹脂層との双方が、紫外線遮蔽剤を含むことがより好ましい。紫外線遮蔽剤の使用により、中間膜及び合わせガラスが長期間使用されても、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。該紫外線遮蔽剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0095】
上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。紫外線遮蔽剤は、紫外線吸収剤であることが好ましい。
【0096】
従来広く知られている一般的な紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属系紫外線遮蔽剤、金属酸化物系紫外線遮蔽剤、ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤(ベンゾトリアゾール化合物)、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤(ベンゾフェノン化合物)、トリアジン系紫外線遮蔽剤(トリアジン化合物)、マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤(マロン酸エステル化合物)、シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤(シュウ酸アニリド化合物)及びベンゾエート系紫外線遮蔽剤(ベンゾエート化合物)等が挙げられる。
【0097】
上記金属系紫外線遮蔽剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。
【0098】
上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤として、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
【0099】
上記絶縁性金属酸化物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。上記絶縁性金属酸化物は、例えば5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有する。
【0100】
上記ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等のベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤が挙げられる。紫外線を吸収する性能に優れることから、上記ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤はハロゲン原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることが好ましく、塩素原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることがより好ましい。
【0101】
上記ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
【0102】
上記トリアジン系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(BASF社製、「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
【0103】
上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤としては、2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル−2,2−(1,4−フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2−(p−メトキシベンジリデン)−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル4−ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
【0104】
上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤の市販品としては、Hostavin B−CAP、Hostavin PR−25、Hostavin PR−31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
【0105】
上記シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤としては、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−フェニル)シュウ酸ジアミド、2−エチル−2’−エトキシ−オキシアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
【0106】
上記ベンゾエート系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(BASF社製、「Tinuvin120」)等が挙げられる。
【0107】
中間膜及び合わせガラスの経時後の可視光線透過率の低下を抑制するために、上記紫外線遮蔽剤は、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、又は2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)であることが好ましく、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールであってもよい。
【0108】
上記第1,第2の樹脂層が上記紫外線遮蔽剤を含む場合に、上記第1,第2の樹脂層100重量%中、紫外線遮蔽剤の各含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下である。上記紫外線遮蔽剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、経時後の可視光線透過率の低下がより一層抑えられる。特に、上記第1,第2の樹脂層100重量%中、紫外線遮蔽剤の含有量が0.2重量%以上であることにより、中間膜及び合わせガラスの経時後の可視光線透過率の低下を顕著に抑制できる。
【0109】
(酸化防止剤)
上記第1の樹脂層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第2の樹脂層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第1の樹脂層と上記第2の樹脂層との双方が酸化防止剤を含むことが好ましい。該酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0110】
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する酸化防止剤である。上記リン系酸化防止剤はリン原子を含有する酸化防止剤である。
【0111】
上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤であることが好ましい。
【0112】
上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’−t−ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0113】
上記リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、及び2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0114】
上記酸化防止剤の市販品としては、例えばBASF社製「IRGANOX 245」、BASF社製「IRGAFOS 168」、BASF社製「IRGAFOS 38」、住友化学工業社製「スミライザーBHT」、並びにチバガイギー社製「イルガノックス1010」等が挙げられる。
【0115】
上記第1,第2の樹脂層が上記酸化防止剤を含む場合に、上記第1,第2の樹脂層100重量%中、酸化防止剤の各含有量は、好ましくは0.1重量%以上、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1.8重量%以下である。上記酸化防止剤の含有量が上記下限以上であると、中間膜及び合わせガラスの高い可視光線透過率がより一層長期間に渡り維持される。上記酸化防止剤の含有量が上記上限以下であると、添加効果を得るために過剰な酸化防止剤が生じ難くなる。
【0116】
(他の成分)
上記合わせガラス用中間膜は、必要に応じて、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤及び蛍光増白剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0117】
(合わせガラス用中間膜の他の詳細)
上記合わせガラス用中間膜は、第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との間に配置されて用いられる。
【0118】
上記合わせガラス用中間膜は、建築物又は車両において、外部空間(第1の空間)と該外部空間から熱線が入射される内部空間(第2の空間)との間の開口部に取り付ける合わせガラスを得るために用いられることが好ましい。この場合に、上記第1,第2の樹脂層のうち、上記第1の樹脂層が上記外部空間側に位置するように配置されることが好ましい。
【0119】
上記合わせガラス用中間膜の厚みは特に限定されない。実用面の観点、並びに遮熱性を充分に高める観点からは、中間膜の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。中間膜の厚みが上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。
【0120】
上記赤外線反射層の厚みは、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.04mm以上、更に好ましくは0.07mm以上、好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.2mm以下、更に好ましくは0.18mm以下、特に好ましくは0.16mm以下である。上記赤外線反射層の厚みが上記下限以上であると、合わせガラスの遮熱性がより一層高くなる。上記赤外線反射層の厚みが上記上限以下であると、合わせガラスの透明性がより一層高くなる。
【0121】
上記第1,第2の樹脂層の厚みはそれぞれ、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.25mm以上、特に好ましくは0.3mm以上、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.6mm以下、より一層好ましくは0.5mm以下、更に好ましくは0.45mm以下、特に好ましくは0.4mm以下である。上記第1,第2の樹脂層の厚みが上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記第1,第2の樹脂層の厚みが上記上限以下であると、合わせガラスの透明性がより一層高くなる。
【0122】
上記中間膜の製造方法は特に限定されない。該中間膜の製造方法として、従来公知の方法を用いることができる。例えば、上述した各成分を混練し、中間膜を成形する製造方法等が挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出成形する製造方法が好ましい。特に、上記第1,第2の樹脂層は、押出成形により形成することが好ましい。
【0123】
上記混練の方法は特に限定されない。この方法として、例えば、押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー又はカレンダーロール等を用いる方法が挙げられる。なかでも、連続的な生産に適しているため、押出機を用いる方法が好適であり、二軸押出機を用いる方法がより好適である。なお、上記合わせガラス用中間膜を得る際に、第1の樹脂層と赤外線反射層と第2の樹脂層とを別々に作製した後、第1の樹脂層と赤外線反射層と第2の樹脂層とを積層して中間膜を得てもよく、第1の樹脂層と赤外線反射層と第2の樹脂層とを共押出により積層して中間膜を得てもよい。
【0124】
また、赤外線反射層の表面に、第1,第2の樹脂層を形成するための組成物を塗工して、第1,第2の樹脂層を形成して、中間膜を得てもよい。
【0125】
中間膜の製造効率が優れることから、第1の樹脂層と第2の樹脂層とが、同一のポリビニルアセタール樹脂を含むことが好ましく、同一のポリビニルアセタール樹脂及び同一の可塑剤を含むことがより好ましく、同一の樹脂組成物により形成されていることが更に好ましい。一方で、遮熱性をより一層高める観点からは、第1の樹脂層と第2の樹脂層とが、異なる樹脂組成物により形成されていることが好ましい。
【0126】
(合わせガラス)
本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、該第1,第2の合わせガラス部材の間に配置された中間膜とを備える。該中間膜が、上述した合わせガラス用中間膜である。上記中間膜における上記第1の樹脂層の外側に、上記第1の合わせガラス部材が配置されている。上記中間膜における上記第2の樹脂層の外側に上記第2の合わせガラス部材が配置されている。上記第1の合わせガラス部材と上記第1の樹脂層との2つの層全体の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率は、上記第2の合わせガラス部材と上記第2の樹脂層との2つの層全体の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率よりも高い。
【0127】
上記第1の合わせガラス部材と上記第1の樹脂層との2つの層全体の上記赤外線透過率は、上記第1の合わせガラス部材と上記第1の樹脂層との2つの層の積層体の赤外線透過率である。上記第2の合わせガラス部材と上記第2の樹脂層との2つの層全体の上記赤外線透過率は、上記第2の合わせガラス部材と上記第2の樹脂層との2つの層の積層体の赤外線透過率である。
【0128】
従来、中間膜を用いた合わせガラスの遮熱性が低いことがあり、Tts(Total solar energy transmitted through a glazing)が高いことがあった。さらに、従来の合わせガラスでは、低いTtsと高い可視光線透過率(Visible Transmittance)とを両立することは困難であるという問題があった。
【0129】
これに対して、上記合わせガラスが第1,第2の合わせガラス部材の間に配置された中間膜を備えており、該中間膜が上記赤外線反射層と上記第1,第2の樹脂層とを備えており、上記第1の合わせガラス部材と上記第1の樹脂層との2つの層全体の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率が、上記第2の合わせガラス部材と上記第2の樹脂層との2つの層全体の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率よりも高い場合には、合わせガラスの遮熱性を高くすることができる。さらに、上記合わせガラスの可視光線透過率を高くすることができる。本発明では、遮熱性の指標であるTtsが低い合わせガラスを得ることができ、更に上記可視光線透過率が高い合わせガラスを得ることができる。例えば、合わせガラスのTtsを60%以下にし、かつ可視光線透過率を65%以上にすることができる。さらに、Ttsを55%以下にすることもでき、Ttsを50%以下にすることもでき、更に可視光線透過率を70%以上にすることができる。
【0130】
また、上記合わせガラスでは、上述した構成が備えられているので、遮熱性の指標であるTds(Solar Direct Transmittance)を低くすることができる。例えば、合わせガラスのTdsを50%以下にすることができ、45%以下にすることもでき、更に40%以下にすることができる。
【0131】
上記第1の合わせガラス部材と上記第1の樹脂層との2つの層は全体で、赤外線を比較的多く透過する。さらに、上記第1の合わせガラス部材と上記第1の樹脂層とを透過した多くの赤外線は、上記赤外線反射層に至る。上記赤外線反射層に至った赤外線は、上記赤外線反射層により反射される。また、上記第1の合わせガラス部材と上記第1の樹脂層との2つの層全体の赤外線透過率が高いことから、上記赤外線反射層により反射された赤外線の多くは、上記第1の樹脂層と上記第1の合わせガラス部材とを透過する。この結果、中間膜に赤外線が入射された際の中間膜の温度上昇を抑制できる。このため、上記合わせガラス用中間膜の遮熱性が高くなり、更に耐光性に優れているので高い可視光線透過率を長期間に渡り維持できる。また、上記合わせガラスを建築物又は車両の開口部に取り付けることで、建築物又は車両の内部空間の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0132】
一方で、仮に上記第1の合わせガラス部材と上記第1の樹脂層と上記赤外線反射層とを赤外線の一部が透過した場合には、透過した赤外線は、上記第2の樹脂層又は上記第2の合わせガラス部材に至る。上記第2の樹脂層と上記第2の合わせガラス部材との2つの層全体の赤外線透過率は比較的低いので、上記第2の樹脂層及び上記第2の合わせガラス部材は、赤外線の透過を効果的に遮断する。このため、合わせガラス全体を通過する熱線の量を低減できる。このことによっても、合わせガラスの遮熱性が高くなり、該合わせガラスを建築物又は車両の開口部に取り付けることで、建築物又は車両の内部空間の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0133】
また、上記第2の樹脂層に至る赤外線の量を低減できる結果、上記第2の樹脂層の劣化を抑えることができ、合わせガラス全体での耐光性が高くなる。このため、高い可視光線透過率を長期間に渡り維持できる。さらに、上記第2の樹脂層が遮熱粒子などの遮熱性化合物を含む場合に、該遮熱性化合物の劣化も抑制でき、高い遮熱性を長期間に渡り維持できる。
【0134】
本発明に係る合わせガラスは、建築物又は車両において、外部空間と上記外部空間から熱線が入射される内部空間との間の開口部に取り付ける合わせガラスであることが好ましい。この場合に、上記第1,第2の合わせガラス部材のうち、上記第1の合わせガラス部材が上記外部空間側に位置するように配置されることが好ましい。
【0135】
図1に、本発明の一実施形態に係る合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を断面図で示す。
【0136】
図1に示す合わせガラス11は、中間膜1と、第1,第2の合わせガラス部材21,22とを備える。中間膜1は、第1,第2の合わせガラス部材21,22の間に挟み込まれている。中間膜1の第1の表面1aに、第1の合わせガラス部材21が積層されている。中間膜1の第1の表面1aとは反対の第2の表面1bに、第2の合わせガラス部材22が積層されている。中間膜1における第1の樹脂層3の外側の表面3aに第1の合わせガラス部材21が積層されている。中間膜1における第2の樹脂層4の外側の表面4aに第2の合わせガラス部材22が積層されている。
【0137】
上記第1の合わせガラス部材と上記第1の樹脂層との2つの層全体の上記赤外線透過率を、上記第2の合わせガラス部材と上記第2の樹脂層との2つの層全体の上記赤外線透過率よりも高くすることが容易であることから、上記第1の樹脂層の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率が、上記第2の樹脂層の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率よりも高いか、又は、上記第1の合わせガラス部材の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率が、上記第2の合わせガラス部材の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率よりも高いことが好ましい。この場合に、上記第1の樹脂層の上記赤外線透過率が、上記第2の樹脂層の上記赤外線透過率よりも高く、かつ、上記第1の合わせガラス部材の上記赤外線透過率が、上記第2の合わせガラス部材の上記赤外線透過率よりも高くてもよい。
【0138】
遮熱性をより一層効果的に高める観点からは、上記第1の樹脂層の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率が、上記第2の樹脂層の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率よりも高いことが好ましい。
【0139】
遮熱性を更に一層効果的に高める観点からは、上記第1の合わせガラス部材の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率が、上記第2の合わせガラス部材の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率よりも高いことが好ましい。
【0140】
上記第1,第2の合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。上記合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。上記第1,第2の合わせガラス部材がそれぞれガラス板又はPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムであり、かつ上記中間膜が、上記第1,第2の合わせガラス部材として、少なくとも1枚のガラス板を含むことが好ましい。上記第1,第2の合わせガラス部材の双方がガラス板であることが特に好ましい。
【0141】
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス及びグリーンガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
【0142】
上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材はそれぞれ、クリアガラス又は熱線吸収板ガラスであることが好ましい。赤外線透過率が高く、合わせガラスの遮熱性がより一層高くなることから、上記第1の合わせガラス部材は、クリアガラスであることが好ましい。赤外線透過率が低く、合わせガラスの遮熱性がより一層高くなることから、上記第2の合わせガラス部材は、熱線吸収板ガラスであることが好ましい。熱線吸収板ガラスは、グリーンガラスであることが好ましい。上記第1の合わせガラス部材が、クリアガラスであり、かつ上記第2の合わせガラス部材が熱線吸収板ガラスであることが好ましい。上記熱線吸収板ガラスは、JIS R3208に準拠した熱線吸収板ガラスである。
【0143】
上記第1,第2の合わせガラス部材の厚みは特に限定されないが、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下である。上記合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下である。上記合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
【0144】
上記合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記第1,第2の合わせガラス部材の間に、上記中間膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりして、第1,第2の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。
【0145】
上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記合わせガラスは、建築用又は車両用の合わせガラスであることが好ましく、車両用の合わせガラスであることがより好ましい。上記合わせガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。遮熱性が高くかつ可視光線透過率が高いので、上記合わせガラスは、自動車に好適に用いられる。
【0146】
透明性により一層優れた合わせガラスを得る観点からは、合わせガラスの上記可視光線透過率は、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、更に好ましくは70%以上である。合わせガラスの可視光線透過率は、JIS R3211(1998)に準拠して測定できる。
【0147】
遮熱性により一層優れた合わせガラスを得る観点からは、合わせガラスの上記Ttsは、好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下、更に好ましくは53%以下、特に好ましくは51%以下、最も好ましくは50%以下である。上記Ttsは、ISO 13837に準拠して測定される。
【0148】
遮熱性により一層優れた合わせガラスを得る観点からは、合わせガラスの上記Tdsは、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下、更に好ましくは43%以下、特に好ましくは41%以下である。上記Tdsは、ISO 13837に準拠して測定される。
【0149】
上記赤外線透過率(Tir)は、赤外線透過率を測定し、JIS Z8722、及びJIS R3106に記載の重価係数を用いて規格化することにより求められる。
【0150】
第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層との2つの層全体の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率T1は以下のように測定される。
【0151】
第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層とクリアガラス(厚み2.5mm)とがこの順に積層された合わせガラスを作製する。JIS R3106(1998)の付表2に示された780〜2100nmの重価係数を使用し、赤外線透過率の新たな重価係数として、規格化する。次いで、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3106(1998)に準拠して、合わせガラスの波長780〜2100nmにおける分光透過率を得る。得られた分光透過率を、新たに規格化した重価係数を乗じて加重平均として求め、780〜2100nmの赤外線透過率を算出する。
【0152】
第2の合わせガラス部材と第2の樹脂層との2つの層全体の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率T2は以下のように測定される。
【0153】
第2の合わせガラス部材と第2の樹脂層とクリアガラス(厚み2.5mm)とがこの順に積層された合わせガラスを作製する。JIS R3106(1998)の付表2に示された780〜2100nmの重価係数を使用し、赤外線透過率の新たな重価係数として、規格化する。次いで、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3106(1998)に準拠して、合わせガラスの波長780〜2100nmにおける分光透過率を得る。得られた分光透過率を、新たに規格化した重価係数を乗じて加重平均として求め、波長780〜2100nmの赤外線透過率を算出する。
【0154】
また、第1の樹脂層又は第2の樹脂層などの波長780〜2100nmにおける赤外線透過率は、具体的には、以下のようにして測定される。
【0155】
第1の樹脂層又は第2の樹脂層(赤外線透過率の測定対象)などを2枚のクリアガラスの間に積層し、合わせガラスを作製する。JIS R3106(1998)の付表2に示された780〜2100nmの重価係数を使用し、赤外線透過率の新たな重価係数として、規格化する。次いで、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3106(1998)に準拠して、合わせガラスの波長780〜2100nmにおける分光透過率を得る。得られた分光透過率を、新たに規格化した重価係数を乗じて加重平均として求め、波長780〜2100nmの赤外線透過率を算出する。
【0156】
合わせガラスのヘーズ値は、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.4%以下である。合わせガラスのヘーズ値は、JIS K6714に準拠して測定できる。
【0157】
(合わせガラスの取り付け方法)
本発明に係る合わせガラスの取り付け方法は、上述した合わせガラスを、建築物又は車両において外部空間と該外部空間から熱線が入射される内部空間との間の開口部に取り付ける方法である。
【0158】
具体的には、第1の合わせガラス部材が、外部空間側に位置するように、かつ第2の合わせガラス部材が、内部空間側に位置するように、合わせガラスを開口部に取り付ける。すなわち、外部空間/第1の合わせガラス部材/(他の層/)第1の樹脂層/(他の層/)赤外線反射層/(他の層/)第2の樹脂層/(他の層/)第2の合わせガラス部材/内部空間の順に配置されるように、合わせガラスを取り付ける。好ましくは、外部空間/第1の合わせガラス部材/第1の樹脂層/(他の層/)赤外線反射層/(他の層/)第2の樹脂層/第2の合わせガラス部材/内部空間の順に配置されることが好ましく、外部空間/第1の合わせガラス部材/(他の層/)第1の樹脂層/赤外線反射層/第2の樹脂層/(他の層/)第2の合わせガラス部材/内部空間の順に配置されることが好ましく、外部空間/第1の合わせガラス部材/第1の樹脂層/赤外線反射層/第2の樹脂層/第2の合わせガラス部材/内部空間の順に配置されることが好ましい。上記の配置形態には、外部空間と第1の合わせガラス部材との間に他の部材が配置されている場合が含まれ、内部空間と第2の合わせガラス部材との間に他の部材が配置されている場合が含まれる。
【0159】
上記積層構造において、上記他の層及び上記他の部材はそれぞれ存在していてもよく、存在していなくてもよい。外部空間から熱線を含む太陽光が合わせガラスに入射され、合わせガラスを通過した熱線を含む太陽光は内部空間に導かれる。上記のように合わせガラスを開口部に取り付けた場合には、第1の合わせガラス部材の外側の表面が熱線の入射面となる。また、第1の樹脂層に第2の樹脂層よりも早く熱線が入射する。
【0160】
以下、実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
【0161】
第1,第2の樹脂層を形成するために、以下の材料を用いた。
【0162】
熱可塑性樹脂:
下記の表1に示すポリビニルブチラール樹脂PVB1〜PVB7(いずれも、n−ブチルアルデヒドによりアセタール化されているポリビニルブチラール樹脂(PVB))を用意した。
【0164】
可塑剤:
3GO(トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート)
【0165】
他の成分:
BHT(酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)
T−460(2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、BASF社製「Tinuvin460」)
T−326(紫外線遮蔽剤、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
LAF70(紫外線遮蔽剤、トリアジン系紫外線遮蔽剤、ADEKA社製「LA−F70」)
VSU(紫外線遮蔽剤、2−エチル−2’−エトキシ−オキシアニリド、クラリアントジャパン社製「Sanduvor VSU」)
PR25(紫外線遮蔽剤、マロン酸[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−ジメチルエステル、クラリアントジャパン社製「Hostavin PR−25」)
ITO(ITO粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子)
CWO(CWO粒子、セシウムドープ酸化タングステン(Cs
0.33WO
3)粒子)
43V(成分X、フタロシアニン化合物、中心金属としてバナジウムを含有する、山田化学社製「NIR−43V」)
SG−5A1257(成分X、銅を含有するフタロシアニン化合物、住化カラー社製「BLUE SG−5A1257」)
【0166】
また、以下の赤外線反射層を用意した。
【0167】
XIR−75(金属箔付き樹脂フィルム、Southwall Technologies社製「XIR−75」)
多層フィルム(3M、多層樹脂フィルム、住友スリーエム社製「マルチレイヤー Nano 80S」)
【0168】
また、以下の合わせガラス部材(ガラス)を用意した。
【0169】
クリアガラス(縦100cm×横100cm×厚み2mm)
グリーンガラス(JIS R3208に準拠した熱線吸収板ガラス、縦100cm×横100cm×厚み2mm)
【0170】
(樹脂層A1の作製)
ポリビニルブチラール樹脂(PVB1)100重量部に対し、可塑剤(3GO)40重量部と、紫外線遮蔽剤(T−326)0.8重量部と、酸化防止剤(BHT)0.2重量部とを添加し、ミキシングロールで充分に混練し、組成物を得た。
【0171】
得られた組成物を押出機により押出して、厚み380μmの単層の樹脂層A1を得た。
【0172】
(樹脂層A2〜A7の作製)
配合成分の種類及び配合量を下記の表2に示すように設定したこと以外は樹脂層A1と同様にして、厚み380μmの単層の樹脂層A2〜A7を得た。
【0174】
(樹脂層B1の作製)
可塑剤(3GO)40重量部と、ITOを得られる樹脂層B1中で0.39重量%となる量とを添加し、充分に混練し、可塑剤分散液を得た。ポリビニルブチラール樹脂(PVB1)100重量部に対し、可塑剤分散液全量と、酸化防止剤(BHT)0.2重量部とを添加し、ミキシングロールで充分に混練し、組成物を得た。
【0175】
得られた組成物を押出機により押出して、厚み380μmの単層の樹脂層B1を得た。
【0176】
(樹脂層B2〜B17の作製)
配合成分の種類及び含有量を下記の表3に示すように設定したこと以外は樹脂層B1と同様にして、厚み380μmの単層の樹脂層B2〜B17を作製した。
【0177】
なお、下記の表3において、PVB1、3GO、BHT、T−326、T−460、LAF70、VSU及びPR25の配合量は、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)100重量部に対する配合量(重量部)を示す。ITO、CWO、43V及びSG−5A1257の配合量は、樹脂層100重量%中での配合量(重量%)を示す。
【0179】
(
参考例1)
(1)合わせガラス用中間膜の作製
赤外線反射層として、XIR−75(金属箔付き樹脂フィルム、Southwall Technologies社製「XIR−75」)を用意した。
【0180】
用意したXIR−75を赤外線反射層として用いて、該赤外線反射層を得られた樹脂層A1と得られた樹脂層B3との間に挟み込んで、中間膜を得た。
【0181】
(2)合わせガラスの作製
得られた中間膜を、縦30cm×横30cmの大きさに切断した。また、1枚のクリアガラス(縦30cm×横30cm×厚み2mm)と、1枚のグリーンガラス(JIS R3208に準拠した熱線吸収板ガラス、縦30cm×横30cm×厚み2mm)とを用意した。このクリアガラスとグリーンガラスとの間に、得られた中間膜を挟み込み、真空ラミネーターにて90℃で30分間保持し、真空プレスし、積層体を得た。積層体において、ガラス板からはみ出た中間膜部分を切り落とし、合わせガラスを得た。
【0182】
(
参考例2〜
12、実施例13〜23及び参考例24〜29)
第1,第2の樹脂層の種類、赤外線反射層の種類、並びに第1,第2の合わせガラス部材(ガラス)の種類を下記の表4〜6に示すように設定したこと以外は
参考例1と同様にして、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0183】
(比較例1)
赤外線反射層を用いずに、得られた樹脂層A1と得られた樹脂層A1とを積層して、中間膜を得た。得られた中間膜を用いたこと以外は
参考例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0184】
(比較例2)
参考例1と同じ赤外線反射層を、得られた樹脂層A1と得られた樹脂層A1との間に挟み込んで、中間膜を得た。得られた中間膜を用いたこと、並びに第2の合わせガラス部材としてクリアガラスを用いたこと以外は
参考例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0185】
(比較例3)
赤外線反射層として、多層フィルム(3M、多層樹脂フィルム、住友スリーエム社製「マルチレイヤー Nano 80S」)を用意した。
【0186】
用意した多層フィルムを単独で赤外線反射層として用いて、該赤外線反射層を、得られた樹脂層A1と得られた樹脂層A1との間に挟み込んで、中間膜を得た。得られた中間膜を用いたこと、並びに第2の合わせガラス部材としてクリアガラスを用いたこと以外は
参考例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0187】
(比較例4)
赤外線反射層として、多層フィルム(3M、多層樹脂フィルム、住友スリーエム社製「マルチレイヤー Nano 80S」)を用意した。
【0188】
用意した多層フィルムを単独で赤外線反射層として用いて、該赤外線反射層を、得られた樹脂層A1と得られた樹脂層A1との間に挟み込んで、中間膜を得た。得られた中間膜を用いたこと、並びに第1の合わせガラス部材をグリーンガラスに変更したこと以外は
参考例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0189】
(評価)
(1)可視光線透過率(A光Y値、A−Y(380〜780nm))の測定
分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3211(1998)に準拠して、得られた合わせガラスの波長380〜780nmにおける上記可視光線透過率を測定した。
【0190】
(2)Tds(direct solar energy transmitted through a glazing)の測定
分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、ISO 13837に準拠して、得られた合わせガラスの波長300〜2500nmでのTdsを測定した。
【0191】
(3)Tts(Total solar energy transmitted through a glazing)の測定
ISO 13837に準拠して、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、波長300〜2500nmの透過率/反射率を測定して、Ttsを算出した。
【0192】
合わせガラスの積層構成及び評価結果を下記の表4〜6に示す。また、下記の表4〜6の赤外線透過率の「2つの層」の欄には、第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層との2つの層全体の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率をT1、第2の合わせガラス部材と第2の樹脂層との2つの層全体の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率をT2としたときに、T1とT2との関係を記載した。下記の表4〜6の赤外線透過率の「樹脂層」の欄には、第1の樹脂層の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率をTx1、第2の樹脂層の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率をTx2としたときに、Tx1とTx2との関係を記載した。下記の表4〜6の赤外線透過率の「合わせガラス部材」の欄には、第1の合わせガラス部材の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率をTy1、第2の合わせガラス部材の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率をTy2としたときに、Ty1とTy2との関係を記載した。
【0193】
なお、第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層との2つの層全体の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率T1は以下のように測定した。第1の合わせガラス部材と第1の樹脂層とクリアガラス(厚み2.5mm)とがこの順に積層された合わせガラスを作製した。JIS R3106(1998)の付表2に示された780〜2100nmの重価係数を使用し、赤外線透過率の新たな重価係数として、規格化した。次いで、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3106(1998)に準拠して、合わせガラスの波長780〜2100nmにおける分光透過率を得た。得られた分光透過率を、新たに規格化した重価係数を乗じて加重平均として求め、波長780〜2100nmの赤外線透過率T1を算出した。
【0194】
第2の合わせガラス部材と第2の樹脂層との2つの層全体の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率T2は以下のように測定した。第2の合わせガラス部材と第2の樹脂層とクリアガラス(厚み2.5mm)とがこの順に積層された合わせガラスを作製した。JIS R3106(1998)の付表2に示された780〜2100nmの重価係数を使用し、赤外線透過率の新たな重価係数として、規格化した。次いで、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3106(1998)に準拠して、合わせガラスの波長780〜2100nmにおける分光透過率を得た。得られた分光透過率を、新たに規格化した重価係数を乗じて加重平均として求め、波長780〜2100nmの赤外線透過率T2を算出した。
【0195】
また、第1の樹脂層又は第2の樹脂層の波長780〜2100nmにおける赤外線透過率Tx1,Tx2は以下のようにして測定した。第1の樹脂層又は第2の樹脂層を2枚のクリアガラス(厚み2.5mm)の間に積層し、合わせガラスを作製した。JIS R3106(1998)の付表2に示された780〜2100nmの重価係数を使用し、赤外線透過率の新たな重価係数として、規格化した。次いで、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3106(1998)に準拠して、合わせガラスの波長780〜2100nmにおける分光透過率を得た。得られた分光透過率を、新たに規格化した重価係数を乗じて加重平均として求め、波長780〜2100nmの赤外線透過率を算出した。