【実施例】
【0024】
実施例1
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、ジエチレングリコール、水酸化ナトリウムおよび水を10:75:10:5の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、(標準圧下で、すなわち計器測定された圧力が0MPaである)混合物を再循環させ、180℃で10時間加水分解させる。加水分解後の混合溶液を熱ろ過して、未反応の固体残渣、塩などを除去し、第1の塔を通過させて、(凝縮後に再利用され得る)水蒸気および軽量ガス状成分を除去し、ジエチレングリコールを第2の塔から回収し(その回収率は99.4%である)、生成物TDAを第3の塔内の塔頂留分から分離する。TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の(重量で)58%である。
【0025】
実施例2
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、ジエチレングリコール、水酸化ナトリウムおよび水を10:75:10:5の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.95MPa)で混合物を180℃で10時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、ジエチレングリコールの回収率は99.5%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の(重量で)60%である。
【0026】
参考例3
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、ジエチレングリコールおよび水酸化カリウムを15:70:15の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、混合物を再循環させ(標準圧)、180℃で10時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同様である。この場合、ジエチレングリコールの回収率は99.2%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の(重量で)53%である。
【0027】
参考例4
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、ジエチレングリコールおよび水酸化カリウムを15:70:15の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.15MPa)で混合物を180℃で10時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同様である。この場合、ジエチレングリコールの回収率は99.3%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の(重量で)55%である。
【0028】
実施例5
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、1,2−プロパンジオール、水酸化カリウムおよび水を20:60:15:5の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、混合物を再循環させ、140℃で12時間加水分解させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、1,2−プロパンジオールの回収率は99.0%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の41%である。
【0029】
実施例6
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、1,2−プロパンジオール、水酸化カリウムおよび水を20:60:15:5の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽(0.3MPa)内で混合物を140℃で12時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、1,2−プロパンジオールの回収率は99.2%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の42%である。
【0030】
参考例7
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、1,2−プロパンジオールおよび水酸化カリウムを20:60:20の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、混合物を再循環させ(標準圧)、130℃で10時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同様である。この場合、1,2−プロパンジオールの回収率は98.7%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の39%である。
【0031】
参考例8
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、1,2−プロパンジオールおよび水酸化カリウムを20:60:20の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.15MPa)で混合物を130℃で10時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同様である。この場合、1,2−プロパンジオールの回収率は98.9%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の38%である。
【0032】
実施例9
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、1,3−プロパンジオール、水酸化ナトリウムおよび水を15:45:15:25の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、混合物を再循環させ、160℃で8時間加水分解させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、1,3−プロパンジオールの回収率は98.3%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の38%である。
【0033】
実施例10
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、1,3−プロパンジオール、水酸化カリウムおよび水を15:45:15:25の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.55PMa)で混合物を160℃で12時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、1,3−プロパンジオールの回収率は98.9%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の44%である。
【0034】
参考例11
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、1,3−プロパンジオールおよび水酸化ナトリウムを25:50:25の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、混合物を再循環させ(標準圧)、160℃で8時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同様である。この場合、1,3−プロパンジオールの回収率は98.1%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の37%である。
【0035】
参考例12
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、1,3−プロパンジオールおよび水酸化ナトリウムを25:50:25の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.15MPa)で混合物を160℃で12時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同様である。この場合、1,3−プロパンジオールの回収率は98.8%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の43%である。
【0036】
実施例13
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、グリコール、水酸化ナトリウムおよび水を15:65:10:10の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、混合物を再循環させ(標準圧)、150℃で15時間加水分解させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、グリコールの回収率は99.3%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の57%である。
【0037】
実施例14
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、グリコール、水酸化ナトリウムおよび水を15:65:10:10の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.15MPa)で混合物を120℃で13時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、グリコールの回収率は99.6%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の49%である。
【0038】
参考例15
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、グリコールおよび水酸化ナトリウムを20:65:15の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、混合物を再循環させ(標準圧)、140℃で15時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同様である。この場合、グリコールの回収率は99.0%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の55%である。
【0039】
参考例16
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、グリコールおよび水酸化ナトリウムを20:65:15の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.15MPa)で混合物を140℃で13時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同様である。この場合、グリコールの回収率は99.1%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の50%である。
【0040】
実施例17
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、1,4−ブタンジオール、水酸化ナトリウムおよび水を30:40:25:5の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、混合物を再循環させ、150℃で15時間加水分解させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、1,4−ブタンジオールの回収率は99%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の42%である。
【0041】
実施例18
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、1,4−ブタンジオール、水酸化カリウムおよび水を30:40:25:5の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.4MPa)で混合物を150℃で10時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、1,4−ブタンジオールの回収率は99.2%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の38%である。
【0042】
参考例19
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、1,4−ブタンジオールおよび水酸化ナトリウムを30:40:30の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、混合物を再循環させ(標準圧)、150℃で15時間加水分解させる。その他のステップは実施例1のステップと同様である。この場合、1,4−ブタンジオールの回収率は98.7%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の41%である。
【0043】
参考例20
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、1,4−ブタンジオールおよび水酸化カリウムを30:40:30の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.15MPa)で混合物を150℃で14時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同様である。この場合、1,4−ブタンジオールの回収率は98.8%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の40%である。
【0044】
実施例21
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、ヘキサンジオール、水酸化ナトリウムおよび水を10:45:10:25の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、混合物を再循環させ、130℃で11時間加水分解させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、ヘキサンジオールの回収率は99%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の42%である。
【0045】
実施例22
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、ヘキサンジオール、水酸化ナトリウムおよび水を10:45:10:25の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.2MPa)で混合物を130℃で9時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、ヘキサンジオールの回収率は99.1%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の37%である。
【0046】
参考例23
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、ヘキサンジオールおよび水酸化ナトリウムを25:50:25の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、混合物を再循環させ(標準圧)、130℃で11時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同様である。この場合、ヘキサンジオールの回収率は98.7%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の41%である。
【0047】
参考例24
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、ヘキサンジオールおよび水酸化カリウムを20:50:30の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.15MPa)で混合物を130℃で9時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同様である。この場合、ヘキサンジオールの回収率は98.8%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の36%である。
【0048】
実施例25
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、ヘプタノール、水酸化ナトリウムおよび水を15:60:15:10の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、混合物を再循環させ、120℃で16時間加水分解させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、ヘプタノールの回収率は98.0%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の35%である。
【0049】
実施例26
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、ヘプタノール、水酸化カリウムおよび水を15:60:15:10の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.15MPa)で混合物を120℃で16時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、ヘプタノールの回収率は98.5%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の36%である。
【0050】
実施例27
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、ブタンジオールとヘキサンジオールとの1:1の混合物、炭酸ナトリウムおよび水を10:60:30:10の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.3MPa)で混合物を140℃で10時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、混合アルコールの回収率は99.2%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の43%である。
【0051】
参考例28
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、ジエチレングリコールとグリコールとの1:1の混合物および炭酸ナトリウムを20:65:15の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、混合物を再循環させ(標準圧)、140℃で14時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同様である。この場合、混合アルコールの回収率は99.0%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の55%である。
【0052】
参考例29
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、ジエチレングリコールとヘプタノールとの1:1の混合物および炭酸カリウムを28:50:22の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.15MPa)で混合物を130℃で14時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同様である。この場合、混合アルコールの回収率は98.9%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の46%である。
【0053】
実施例30
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、1,2−プロパンジオールとヘプタノールとの1:1の混合物、水酸化カリウムおよび水を、15:60:15:10の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、密封された反応槽内(0.2MPa)で混合物を130℃で14時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、ヘプタノールの回収率は98.0%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の41%である。
【0054】
実施例31
TDIタール固体廃棄物残渣粒子、ジエチレングリコールとヘプタノールとグリコールとの1:1:1の混合物、水酸化ナトリウムおよび水を15:60:15:10の重量比で混合する。撹拌中に、窒素ガスを投入することによって空気を排出させた後、混合物を再循環させ(標準圧)、140℃で14時間反応させる。その他のステップは実施例1のステップと同じである。この場合、ヘプタノールの回収率は98.6%であり、TDAの収率は廃棄物残渣の追加量の45%である。
【0055】
この発明では、上述の相間移動触媒をTDIタール廃棄物残渣の加水分解反応に用いるので、比較的緩和な条件下で生成の産業化を実現することができ、TDAが回収され、これにより、資源を再利用するという目的が達成される。最終的に燃焼させなければならない固体廃棄物材料の量が35〜60%低減されるように、この発明におけるトルエンジアミンの回収率は加水分解に用いられる高沸点での固体TDIタール廃棄物残渣の量の約35〜60重量パーセントとされる。この発明における加水分解反応後の残留する廃水および使用済みの相間移動触媒は再利用されてもよく、これにより、当該方法の経済性を向上させ、さらに、最終的な固体廃棄物材料が環境にさらなる悪影響を及ぼすことがなくなるだろう。
【0056】
結論として、この発明は、緩和な条件下でのTDAの極めて効率的な回収を実現し、そして、廃水および使用済みの相間移動触媒を再利用することによって、それ自体が、工業生産および経済的利益の実現可能性と、環境保全性とを有することになる。