(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144207
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】フィルタ及び螺旋状フィン付き中央管
(51)【国際特許分類】
B01D 29/07 20060101AFI20170529BHJP
B01D 29/50 20060101ALI20170529BHJP
B01D 29/11 20060101ALI20170529BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20170529BHJP
B01D 35/147 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
B01D29/06 510A
B01D29/06 510D
B01D29/26 B
B01D29/10 501B
B01D29/10 510C
B01D29/10 530B
B01D35/02 E
B01D35/14 101
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-556727(P2013-556727)
(86)(22)【出願日】2012年2月22日
(65)【公表番号】特表2014-509934(P2014-509934A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】US2012026100
(87)【国際公開番号】WO2012121885
(87)【国際公開日】20120913
【審査請求日】2014年10月6日
(31)【優先権主張番号】13/040,758
(32)【優先日】2011年3月4日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593020201
【氏名又は名称】ボールドウィン・フィルターズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Baldwin Filters Inc
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ビヤード,ジョン エイチ.
【審査官】
中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−534130(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0261029(US,A1)
【文献】
特表2007−501103(JP,A)
【文献】
実開昭60−042314(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0044298(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 29/07
B01D 29/11
B01D 29/50
B01D 35/02
B01D 35/147
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を画定し、上端板に取り付けられる第1の端部と、下端板に取り付けられる第2の端部とを有するフィルタメディア管状環と、
環状壁を有する中央管であって、前記環状壁は、内部軸方向流路と、前記環状壁を貫通する流入口と、前記中央管の一端部にある第1の開口と、を画定し、前記環状壁の内径は、下方から上方に向かうにしたがって大きくなるように設定され、流体が、前記フィルタメディア管状環を通り、前記流入口を通り、前記内部軸方向流路に沿って、半径方向に流れるように適合され、当該中央管が、前記上端板と前記下端板との相互間において、前記フィルタメディア管状環の内部空間内に軸方向に沿って取り外せないように固定されていると共に、前記上端板又は前記下端板のいずれか一方を越えて延出しないように、前記上端板と前記下端板との相互間に軸方向に沿って差し込まれている中央管と、
前記中央管と一体的に形成されて前記中央管と一体であり、前記環状壁から半径方向外向きに突出している少なくとも1つのフィンであって、前記少なくとも1つのフィンのそれぞれは、前記少なくとも1つのフィンの外周面が、前記フィルタメディア管状環の内周部を半径方向に支持するように、前記内部軸方向流路を中心とする少なくとも30度の角度スパンにわたって前記環状壁を覆い、前記環状壁と接触している、少なくとも1つのフィンと、を備える、
流体フィルタ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのフィンは、前記中央管の周りを複数回周回して延びている螺旋形状を備える、請求項1に記載の流体フィルタ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのフィンは、互いに離間関係にある少なくとも2つのフィンを含み、前記フィンの外周部同士の間に更なる介在構造物がなく、前記少なくとも2つのフィンは、前記中央管の材料によって、支持され、且つ、間接的につながれている、請求項1又は2に記載の流体フィルタ。
【請求項4】
前記少なくとも2つのフィンは、前記流入口の1つの軸方向側にある第1のフィンと、前記流入口の別の軸方向側にある第2のフィンと、を含む、請求項3に記載の流体フィルタ。
【請求項5】
前記少なくとも2つのフィンのそれぞれの外周面が、前記フィルタメディア管状環の内周部を半径方向に支持する、
請求項3又は4に記載の流体フィルタ。
【請求項6】
前記少なくとも2つのフィンのそれぞれは、前記内部軸方向流路を中心とする少なくとも30度の角度スパンにわたって前記環状壁を覆い、前記環状壁と接触している、請求項5に記載の流体フィルタ。
【請求項7】
前記中央管は、流量分割器を備え、前記中央管は、前記中央管の一端部において、前記第1の開口と対向する第2の開口を備え、前記フィルタメディア管状環の前記第2の開口側であり、且つ前記フィルタメディア管状環の内側の領域である前記フィルタメディア管状環の周囲に、当該流体フィルタの部分のうち前記第2の開口側よりも前記第1の開口側とは反対側の部分と前記第2の開口を介して連通する流れバイパスが画定されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の流体フィルタ。
【請求項8】
前記中央管及び前記少なくとも1つのフィンは、単体の可塑性成形構造物である、請求項1から7のいずれか一項に記載の流体フィルタ。
【請求項9】
前記フィルタメディア管状環は、内径を有する第1のフィルタメディア管状環であり、
前記中央管は、第1の中央キャビティを画定している壁と、前記壁内の前記流入口と、第1の開放端部とを有する中央管であり、
前記少なくとも1つのフィンは、前記第1のフィルタメディア管状環を前記内径において半径方向外向きに支持するように構成された外径を有する螺旋状フィンであって、前記螺旋状フィンは前記壁から外向きに延びており、且つ、前記第1のフィルタメディア管状環の前記内径と前記流入口との間に螺旋状流体流路を画定している、螺旋状フィンである、
請求項1から8のいずれか一項に記載の流体フィルタ。
【請求項10】
前記中央管は更に閉鎖端部を含む、請求項9に記載の流体フィルタ。
【請求項11】
前記螺旋状フィンは、前記第1のフィルタメディア管状環と前記流入口との間に単一の螺旋状流路を形成する、請求項9又は10に記載の流体フィルタ。
【請求項12】
前記中央管は、流量分割器を備え、前記中央管は、前記第1の開放端部と対向する、前記中央管の第2の開放端部を備え、前記第1のフィルタメディア管状環の前記第2の開放端部側であり、且つ前記第1のフィルタメディア管状環の内側の領域である前記第1のフィルタメディア管状環の周囲に、当該流体フィルタの部分のうち前記第2の開放端部側よりも前記第1の開放端部側とは反対側の部分と前記第2の開放端部を介して連通する流れバイパスが画定されている、請求項9に記載の流体フィルタ。
【請求項13】
前記螺旋状フィンは、前記中央管の周囲に、少なくとも360度にわたって延びている、請求項12に記載の流体フィルタ。
【請求項14】
前記中央管は、開放底端部を含み、当該流体フィルタは更に、
第2の中央キャビティを画定している第2のフィルタメディアであって、前記第2の中央キャビティは、開放上端部を有し、前記開放上端部は、前記中央管の前記第2の開放端部と流体連通している、第2のフィルタメディアと、
前記第1のフィルタメディア管状環と前記第2のフィルタメディアとの間に位置する封止材と、
前記第1のフィルタメディア管状環と前記第2のフィルタメディアとの間で前記封止材を圧縮するように構成されている、バイアスばねと、を備える、
請求項12又は13に記載の流体フィルタ。
【請求項15】
当該流体フィルタは、スピンオンフィルタであり、
当該流体フィルタは更に、開放端部を画定しているハウジングを備え、前記開放端部は、フィルタ取り付け構造物へのスピンオン取り付け用として構成されている、
請求項1から14のいずれか一項に記載の流体フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体(例えば、潤滑油、油圧油など)から不純物を濾過する装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は、フィルタメディアを支持する1つ以上のフィンが付いた中央管を有するフィルタであって、これらのフィンが少なくとも1つの流路を提供するフィルタを用いて、不純物を濾過することに関する。
【背景技術】
【0002】
スピンオンフィルタは、耐用年数が指定された設計になっている。このフィルタは、耐用年数が過ぎると、廃棄され、新しいフィルタと交換される。典型的には、複数の製造業者が、互換性のあるフィルタを製造している。低い周囲温度で始動させる必要があるエンジンに潤滑油を供給するフィルタの場合は、エンジンが運転温度まで温まる間に、濾過された潤滑油の適切な流量をエンジンに供給できるように、低温始動条件下での流れ抵抗が低いフィルタを選択することも重要である。従って、カートリッジフィルタの部品点数を減らすこと、並びに、流れ抵抗を減らすことが求められる。
【0003】
フィルタの全体的な濾過効率を高める為によく行われるのは、2つの別々のフィルタエレメントをスピンオンフィルタの共通ハウジングの中に組み込むことである。典型的には、これらのフィルタ
エレメントのうちの一方は、全流量式フィルタとして知られており、フィルタのハウジングを通過する流体の全て又は殆どを濾過する為に使用される。もう一方のフィルタエレメントは、業界ではバイパスフィルタとして知られており、ハウジングを通過する流体の一部分について、より高い効率で濾過を行う為に使用される。
【0004】
典型的には、このタイプの、先行技術のフィルタは、ベンチュリ管を含んでおり、ベンチュリ管は、ハウジング内の枢要な箇所において、流体内の圧力を局所的に低下させることにより、比較的密なバイパスフィルタを通して流体のごく一部(約10%)を取り出すことを支援する為に用いられる。この圧力低下は、ハウジングを通って流れる流体の殆どをベンチュリ管のスロート部に通して、ベンチュリ管のスロート部において流体を加速させることによって引き起こされる。この、流体の加速によって、ベンチュリ管のスロート部における流体圧力が、よく知られた流体力学の原理により、低下する。
【0005】
このタイプのフィルタでは、1つ以上の円柱状フィルタメディアが、中空の中央体積を取り囲んで配置されてよく、メディア外部からメディア内部にかけての流路によって流体が濾過される。そのような構成においては、フィルタメディアの内外の圧力差に対する反応としての内向きの崩壊に抗する為にフィルタメディアを構造的に支持することがしばしば必要になる。フィルタメディアを支持する1つのアプローチとして、フィルタメディアの内径部分に多孔支持管を配置することが可能であり、これは、例えば、米国特許公開第2009/0261029号明細書(フィッシャー(Fisher))において開示されている。
【0006】
別のアプローチとして、中央管柱又はベンチュリ管に、円周方向フィルタ補強部材を支持する軸方向リブを設けることが可能であり、これは、米国特許公開第2010/0044298号明細書(サウス(South)ら)において開示されている。そのような構成では、軸方向リブによって、複数の別個の流体濾過ゾーンが規定され、その結果として、フィルタメディア全体で濾過率に差が生じ、フィルタ寿命が短くなる可能性がある。
【0007】
本発明は、そのようなフィルタを提供する。本発明のこれら及び他の利点、並びに更なる発明的特徴が、本明細書で提供される本発明の説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は、フィルタメディア管状環と中央管とを含む流体フィ
ルタを提供する。中央管は環状壁を有し、環状壁は、内部軸方向流路と、環状壁を貫通する流入口と、中央管の一端部にある第1の開口と、を画定している。流体が、フィルタメディア管状環を通り、流入口を通り、内部軸方向流路に沿って、半径方向に流れるように適合される。少なくとも1つのフィンが、中央管と一体的に形成されて中央管と一体であって、環状壁から半径方向外向きに突出している。前記少なくとも1つのフィンのそれぞれは、少なくとも1つのフィンの外周面が、フィルタメディア管状環の内周部を半径方向に支持するように、
内部軸方向流路を中心とする少なくとも30度の角度スパンにわたって環状壁を覆い、これと接触している。
【0009】
別の態様では、本発明は、流体フィ
ルタを提供し、流体フィ
ルタは、第1のフィルタメディア管状環と中央管とを含み、第1のフィルタメディア管状環は内径を有し、中央管は、第1の中央キャビティを画定している壁と、壁内の流入口と、第1の開放端部と、を有する。
また、流体フィ
ルタは、螺旋状フィンを含み、螺旋状フィンは、第1のフィルタメディア
管状環をその内径において半径方向外向きに支持するように構成された外径を有する。螺旋状フィンは、壁から外向きに延びており、
第1のフィルタメディア
管状環の内径と流入口との間に螺旋状流体流路を画定している。
【0010】
更に別の態様では、本発明は、流体フィ
ルタを提供し、流体フィ
ルタは、フィルタメディア管状環と中央管とを含み、中央管は環状壁を有し、環状壁は、内部軸方向流路と、環状壁を貫通する流入口と、中央管の一端部にある第1の開口と、を画定している。流体が、フィルタメディア管状環を通り、流入口を通り、内部軸方向流路に沿って、半径方向に流れるように適合される。少なくとも2つのフィンが、中央管と一体的に形成されて中央管と一体であって、環状壁から半径方向外向きに突出している。この少なくとも2つのフィンは、互いに離間関係にあり、各フィンの外周部同士の間に更なる介在構造物がなく、この少なくとも2つのフィンは、中央管の材料によって、支持され、且つ、間接的につながれている。この少なくとも2つのフィンのそれぞれの外周面が、フィルタメディア管状環の内周部を半径方向に支持している。
【0011】
本発明の他の態様、目的、及び利点は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて読むことにより、より明らかになるであろう。
【0012】
添付図面は、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を成すものであり、本発明の様々な態様を図示し、以下の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を担う。
【0013】
本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して説明されるが、本発明をそれらの実施形態に限定することは意図されていない。寧ろ、あらゆる代替、修正、及び均等物を、添付の特許請求の範囲によって定義される、本発明の趣旨及び範囲に含まれるものとして包含することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明のフィルタの断面斜視図の細部を示す図であって、フィルタエレメントを通る流路を示す図である。
【
図3】本発明の、螺旋状フィンが付いた中央管を有するフィルタカートリッジの分解斜視図である。
【
図4】本発明のフィルタの第2の実施形態の断面図である。
【
図5】本発明のフィルタの第2の実施形態の断面図の細部を示す図であって、フィルタエレメントを通る流路を示す図である。
【
図6】本発明のフィルタの、螺旋状フィンを有する中央管の斜視図である。
【
図7】本発明のカートリッジフィルタにおける流量と圧力との関係を、先行技術のカートリッジフィルタの場合と比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び
図2は、本発明の第1の例示的実施形態を、スピンオンフィルタ10の形態で示している。
図1を参照すると、フィルタ10は、バイパスフィルタ14及び全流量式フィルタ16を囲むハウジング12と、ベンチュリ管又は中央管18と、スペーサ20と、中間封止材22と、出口封止材24と、入口封止材26と、螺旋状圧縮ばね28と、を含む。
【0016】
ハウジング12は、円筒状側壁34でつながれた閉鎖端部30及び開放端部32を有し、円筒状側壁34は、ハウジング12の閉鎖端部30から開放端部32に延びる長手軸36を画定している。スピンオンフィルタ10は、垂直方向に取り付けられた構成で示されており、閉鎖端部30はフィルタ10の底部にあり、開放端部32はフィルタ10の上部にある。しかしながら、スピンオンフィルタ10は、任意の方向に取り付け可能である。
【0017】
バイパスフィルタ14は、ハウジング12内の、長手軸36沿いの、ハウジング12の開放端部32に隣接する箇所に配置されている。バイパスフィルタ14では、外周部38がハウジング12の側壁34から内側に間隔をおくことにより、バイパスフィルタ14の周囲に空間40が形成されている。空間40は、バイパスフィルタ14と側壁34との間を流体が通過することを可能にしている。バイパスフィルタ14では又、内周部42がバイパスフィルタ14の軸方向貫通ボア44を画定しており、貫通ボア44は、長手軸36を中心としている。バイパスフィルタ14の内周部42と外周部38との間に、バイパスフィルタメディア46が配置されている。バイパスフィルタメディア46は、バイパスフィルタ14の周囲の空間40からバイパスフィルタ14の貫通ボア44へと、バイパスフィルタメディア46を通って半径方向を内向きに流れる流体から、所定のサイズの粒子を取り除く場合の定格バイパスフィルタ効率を有している。
【0018】
ハウジング12内に、閉鎖端部30と隣接して、全流量式フィルタ16が配置されており、全流量式フィルタ16では、外周部48がハウジング12の側壁34から内側に間隔をおくことにより、バイパスフィルタ14の周囲の空間40の続きが形成されており、これによって、全流量式フィルタ16の周囲に、全流量式フィルタ16とハウジング12の側壁34との間を流体が通過する為の空間40が与えられている。全流量式フィルタ16と側壁34との間の空間40は、バイパスフィルタ14とハウジング12の側壁34との間の空間40と密封流体連通接続されている。「全流量式」という用語は、全流量に対応可能であるが、バイパスフィルタがある為、典型的には70〜90%の流量で運転されることを意味するものとする。全流量式フィルタ16は、バイパスフィルタ14の場合より大きな粒子を捕集する為に、バイパスフィルタ14より開いていて透過性が高いメディアである。従って、流れの殆どが、バイパスフィルタ14をバイパスして、全流量式フィルタ16を通って流れることにも注目されたい。
【0019】
全流量式フィルタ16では、その内周部50が、全流量式フィルタ16の軸方向貫通ボア52を画定している。全流量式フィルタ16の貫通ボア52は、
図1及び
図2で示されるように、中間封止材22がバイパスフィルタ14と全流量式フィルタ16とで挟まれたときに、中間封止材22の開口54によって、バイパスフィルタ14の貫通ボア44と密封流体連通接続される。全流量式フィルタ16は更に、全流量式フィルタ16の内周部50と外周部48との間に配置された全流量式フィルタメディア56を含んでおり、全流量式フィルタメディア56は、全流量式フィルタ16の周囲の環状空間40から全流量式フィルタ16の貫通ボア
52へと、全流量式フィルタメディア56を通って半径方向を内向きに流れる流体から、その所定のサイズの粒子を取り除く場合の定格全流量式フィルタ効率を有している。その所定のサイズの粒子を取り除くことに関しては、バイパスフィルタ効率は全流量式フィルタ効率より高い。
【0020】
バイパスフィルタ14及び全流量式フィルタ16を通る流体の流量間のバランスをとる為に、バイパスフィルタ
14の貫通ボア44内に、中央管18が配置されている。図示された実施形態では、中央管18は、流量バランスエレメントであり、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許公開第2009/0261029号明細書において開示されている。別の実施形態では、中央管18は、ベンチュリ管である。中央管18は、可塑性材料(例えば、熱可塑性材料)、複合材料、又は金属で形成されてよい。好ましくは、中央管は、(螺旋状フィンとともに)単一の単体可塑性構成部品として成形され、結果として一体的に形成される。
【0021】
全流量式フィルタ16は、その下端板58を、ハウジング12の閉鎖端部30に隣接して含んでいる。下端板58は、全流量式
フィルタメディア56の下端に取り付けられており、全流量式フィルタ16のほぼ外周部48から内周部50にかけて延びている。下端板58は又、無孔の中央区画60を含み、中央区画60は、全流量式フィルタ16の貫通ボア52への流体の流入を阻止する。全流量式フィルタ16は又、上端板62を含んでおり、上端板62は、全流量式フィルタメディア56の上端に、バイパスフィルタ14と隣接して取り付けられており、全流量式フィルタ16の外周部48からほぼ内向きに延びており、全流量式フィルタ16の貫通ボア52の出口64を画定している、中央に位置する環状カラーの形で終端されている。
【0022】
バイパスフィルタ14は、下端板66を含んでおり、下端板66は、バイパスフィルタメディアの下端に、全流量式フィルタ16の上端板62と隣接して取り付けられており、バイパスフィルタ14の外周部38からほぼ内向きに延びており、バイパスフィルタ14の全流量入口68を画定している、中央に位置する環状カラーの形で終端されている。全流量式フィルタ16の貫通ボア52とバイパスフィルタ14の貫通ボア44との間の接合部は、中間封止材22によって封止されており、中間封止材22は、全流量式フィルタ16の上端板62とバイパスフィルタ14の下端板66との間で圧縮されている。中間封止材22は又、全流量式フィルタ16の出口64の周囲のカラーと、バイパスフィルタ14の全流量入口68の周囲のカラーとを連結することにより、中間封止材22の開口54を貫通する密封流体連通を出口64と全流量入口68との間に与える。
【0023】
バイパスフィルタ14は又、上端板70を含んでおり、上端板70は、ハウジング12の開放端部32に隣接する、バイパスフィルタメディア46の端部に取り付けられている。バイパスフィルタ14の上端板70は、バイパスフィルタ14の外周部38からほぼ内向きに延びており、環状カップ72の形で終端されており、環状カップ72は、底部に、バイパスフィルタ14の貫通ボア44の出口74を画定している穴を有する。バイパスフィルタ14の貫通ボア44の出口74は又、本明細書に開示のスピンオンフィルタ10の例示的実施形態におけるフィルタ出口の役割も果たす。
【0024】
図1及び
図2に示されるように、出口封止材24は、環状カップ72内に取り付けられており、ベース板及びスペーサ装置20のスペーサ75によって定位置に保持される。出口封止材24は、環状カップ72によって位置決めされて、出口管を封止する。これは、スピンオンフィルタの技術分野において周知である。本明細書に記載のカートリッジに関しては、様々な取り付け構成を採用することが可能である。実際、本明細書に記載のフィルタエレメントの具体的な利点及び構造的構成は、何らかの特定の取り付けタイプに依存するものではなく、これに限定されるものでもない。例えば、米国特許公開第2009/0261029号明細書に示された取り付け用アダプタを、本発明のカートリッジと併せて使用してよい。
【0025】
図1に示されるように、中央管18には、ほぼ無孔の壁80が、バイパスフィルタ14の内周部42から間隔をおいて配置されており、壁80は、バイパスフィルタ14の下端板66及び上端板70の間を延びて、中央ボア84を画定している。壁80の両開放端部は、バイパスフィルタ14の全流量入口68と、バイパスフィルタ14の貫通ボア44の出口74とに、封止的に接続されている。中央管18のほぼ無孔の壁80は又、1つ以上の貫通孔をその中に画定しており、これらの貫通孔は、中央管18の1つ以上のバイパス流入口82を形成することにより、貫通ボア44と中央ボア84との間に流体連通を与えている。一実施形態では、中央管18の壁80に、2つのバイパス流入口82が設けられている。バイパス流入口82は、流量バランス装置18の等価バイパス流量制限オリフィスを画定しており、そのサイズは、バイパス流入口82が、バイパスフィルタメディア46を通って中央ボア84に入る流体流量を、流体のフィルタ装置10への総流入量のうちの所望のバイパス流量配分に制限するように決定される。
【0026】
中央管18は又、全流量入口86を含んでおり、全流量入口86は、バイパスフィルタ14の全流量入口68と結合されて、全流量入口68から流体を受け取る。中央管18は更に、出口88を含んでおり、出口88は、バイパスフィルタ14の貫通ボア44の出口74と結合されている。
【0027】
中央管18のバイパス流入口82のまわりに、中央管18の無孔壁80の環状区画90が配置されており、これは、全流量制限器90を画定している。全流量制限器90のサイズは、全流量制限器90が、全流量式
フィルタメディア56を通ってバイパスフィルタ14の全流量入口68及び中央管18の全流量入口86に流入する流体の配分を、流体のフィルタ装置10への総流入量のうちの所望の全流量配分に制限するように決定される。別の実施形態では、環状区画90のサイズは、環状区画90が、ベンチュリのスロート部として動作して、全流量入口68から環状区画90を通る流体の流れに対する応答として、バイパス流入口82において圧力低下を引き起こすように決定される。
【0028】
図2において最もよく示されるように、スピンオンフィルタ10のベース板及びスペーサ装置20は、ベース板92及びスペーサ75を含む。ベース板及びスペーサ装置20は、ハウジング12の開放端部32とバイパスフィルタ14の上端板70との間に作用的に取り付けられており、バイパスフィルタ14及び全流量式フィルタ16をハウジング12内で位置決めしたり、フィルタ装置10を、フィルタ取り付けアダプタ(図示せず)にスピンオン取り付けされるように適合させたりするなど、幾つかの機能を果たす。
【0029】
ベース板92は、本例示的実施形態では、ベース板92の上端部96及び下端部98を画定している環状壁94を含み、ベース板92の上端部96は、フィルタハウジング12の開放端部32と接合されている。本例示的実施形態では、ハウジング12の開放端部32と隣接する、ハウジング12の側壁34の一部分が、ベース板92の上端部96の上に形成される(上端部96を包み込む)ことによって、ベース板92がハウジング12と、いわゆる「J−ロック」接続により接合されている。しかしながら、本発明の他の実施形態では、ベース板92は、他のタイプの接続により、ハウジング12の開放端部32と接続されてよい。
【0030】
この第1の例示的実施形態のベース板92の環状壁94は無孔であるが、本発明の他の実施形態のベース板は、流体が通過する為の穴を含んでよい。本例示的実施形態の環状壁94は、第1、第2、及び第3の壁区画100、102、103を含む。第1の壁区画100は、ベース板92の上端部96を含み、その外径は、ハウジング12の側壁34の内径とほぼ等しい。ベース板92の環状壁94の第1及び第2の壁区画100、102は、第3の壁区画103によって接続されている。第2の壁区画102は、内面の直径が第1の壁区画100の外径より若干小さく、スピンオンフィルタ10をフィルタ取り付けアダプタに取り付ける為の、フィルタ取り付けアダプタと係合する雌ねじ104を含む。入口封止材26は、スピンオンフィルタ10が取り付けアダプタに取り付けられたときに、ハウジング12の開放端部32の接合部を封止面で封止する。
【0031】
図2を更に参照すると、スペーサ75は、本例示的実施形態では、環状壁108を含み、環状壁108は、ベース板の下端部98とバイパスフィルタ14の上端板70との間を延びており、スペーサ75の上端部110及び下端部112を画定している。スペーサ75の上端部110及びベース板92の下端部98は、スペーサ75の上端部110とベース板92の下端部98との間を流体が流れないように十分に密着嵌合するように構成されている。
【0032】
スペーサ75の下端部112は、バイパスフィルタ14の上端板70に取り付けられて、バイパスフィルタ14の上端板70の環状カップ72内に突き出た環状フランジ118を画定している。環状フランジ118は、出口封止材24を環状カップ72内に保持している。環状フランジ118は、スペーサ75の下端部112において、フィルタ取り付けアダプタの出口管が貫通する穴120を形成している。出口封止材24は、出口74を、ベース板92及び環状壁108の外側の面と流体連通しないように封止している。
【0033】
スペーサ75の本例示的実施形態の環状壁108は又、円周方向に間隔をおいて配置された複数の入口流路122を画定しており、入口流路122は、ベース板92及びスペーサ75の内面と外面との間に流体連通を与えている。スペーサ75の複数の入口流路122は、連係して、流体がフィルタ取り付けアダプタからフィルタハウジング12の入口プレナム114に流入できるようにするフィルタ入口を画定している。フィルタハウジング12の入口プレナム114は、空間40と流体連通している。しかしながら、本発明の他の実施形態では、スペーサ75の環状壁108は、無孔であってよく、フィルタハウジング12への流体の流入を可能にする他の備えがなされてよい。
【0034】
フィルタ装置10のばね28は、ハウジング12の閉鎖端部30と全流量式フィルタ16の下端板58との間で圧縮されることにより、ベース板及びスペーサ装置20に対してバイパスフィルタ14及び全流量式フィルタ16を軸方向に位置決めする軸方向の力を与え、且つ、中間封止材22によって与えられるバイパスフィルタ14と全流量式フィルタ16との間の封止を維持する。
【0035】
濾過対象の流体の総流入量が、スペーサ75の複数の入口流路122からスピンオンフィルタ10に供給され、入口プレナム114に入り、更に、ハウジング12の側壁34と、バイパスフィルタ14及び全流量式フィルタ16の外周部38、48との間の空間40に入る。流入流体は又、全流量式フィルタ16の下端板58とハウジング12の閉鎖端部30との間の、ばね28の周囲の、ハウジング12の閉鎖端部30と隣接した空間124に流入して空間124を満たす為、ハウジング12内の、バイパスフィルタ14及び全流量式フィルタ16の外側の全体積が、濾過対象の流入流体で満たされる。
【0036】
図3に最もよく示されるように、中央管18には螺旋状フィン構造130が設けられ、フィン構造130は、上部フィン130a及び下部フィン130bを含む少なくとも2つのフィンを含んでよい。これらの上部フィン130a及び下部フィン130bは、それぞれが流入口につながっていてよく、それによって、それぞれの外周部同士では接続されずに、中央管18の支持部を通して間接的に接続されているだけでよい。各フィンは、フィルタの中心軸及び軸方向流路の周囲において少なくとも30度にわたって延びてよく(それによって、中央管の外側の同じ角度スパンを覆い、この角度スパンに接続されてよく)、典型的には少なくとも90度にわたって、そして最も典型的には、中央管の周りを1回以上周回して延びてよい。各フィンは、水平方向に平坦であってよく、それによって、軸に垂直であってよいが(螺旋状フィン構造130の平坦部分129に注目されたい)、各フィンは、それぞれのスパンに対して半径方向および軸方向の要素を有することが好ましい。
【0037】
中央管18の螺旋状フィン構造130は、フィルタメディアの内側を支持する為に、壁80の変化する半径方向内径から螺旋状フィン130の外側端部134にかけて延びている。好ましい一実施形態では、螺旋状フィン構造130の外側端部134は、バイパスフィルタ14の内周部42に隣接する、ハウジング12の長手軸36から一定の半径の場所に位置決めされる。図示されるように、螺旋状フィン構造130は、ほぼ平坦な部分129を含み、ほぼ平坦な部分129は、長手軸36にほぼ垂直に配置されており、螺旋状フィン構造130は更に、隣接する平坦部分129同士をつなぐ1つ以上の傾斜部分131を含む。別の実施形態では、螺旋状フィン構造130は、一定の傾斜角を有するほぼ滑らかな曲線を描くものであってよい。従って、本明細書で用いる「螺旋状」は、両方の実施形態を包含する広い意味で用いられる(例えば、螺旋状構造は、ほぼ螺旋状であるが平坦部分または不連続部分を含んでよい)。
【0038】
螺旋状フィン構造130の外側端部134は、バイパスフィルタ14の内周部42と半径方向外向きに接触してこれを支持することにより、空間40と貫通ボア44との間の流体圧力差に対する反応としての半径方向内向きの圧壊に抗してバイパスフィルタ14を支持する。図示されるように、螺旋状フィン構造130は、軸方向リブや追加の支持構造を持たずにフィルタメディア14の内周部42を支持するように構成されている。螺旋状フィン構造130によってバイパスフィルタ14の内周部42が半径方向外向きに支持されることにより、独立した支持物(有孔中央管や内側スクリーンなど)をバイパスフィルタ14の内周部42に配置することがさほど必要でなくなるか、不要になる。
【0039】
図2に示されるように、螺旋状フィン構造130は、バイパスフィルタ14の貫通ボア44内での螺旋状流路132を画定している。螺旋状流路132は、バイパス流入口82と流体連通することにより、バイパスフィルタ14を通過して濾過された流体が貫通ボア44に入り、バイパス流入口82に入る流路となる。
【0040】
本発明の好ましい一実施形態では、螺旋状フィン構造130は、中央管18の壁80と一体的に形成される。図示されるように、螺旋状フィン132は、中央管18の出口88から入口86にかけて連続的に延びており、螺旋状フィン構造130は、ほぼ無孔である。他の実施形態では、螺旋状フィン構造130は、不連続であってよく、有孔であることによって螺旋状流路及び他の流体流路の両方を提供してよい。
【0041】
好ましい一実施形態では、中央管18に単一の螺旋状フィン130が設けられる。しかしながら、中央管18に、2つ以上の螺旋状フィンを交互に設けて、それぞれがバイパスフィルタ14の内周部42とバイパス流入口82との間に流体連通を与える2つ以上の流体流路を、一緒に画定してもよい。そのような構成では、複数の螺旋状フィンが、二重螺旋、三重螺旋などを形成することになる。
【0042】
図1に示されるように、全流量式フィルタ16の内周部50は、有孔であることによって、流入する流体が、全流量式フィルタ16のメディア56を通って、全流量式フィルタ16の外周部48の周囲の空間40から全流量式フィルタ16の貫通ボア52の中へ半径方向内向きに流れることを可能にしている。流体のうち、全流量式フィルタ16を通過した一部は、全流量式フィルタ16の出口64を通って全流量式フィルタ16の貫通ボア52を出て、中央管の全流量入口86に入る。
【0043】
図2に示されるように、流体のうち、バイパスフィルタ14を通過した一部は、バイパスフィルタ14の螺旋状フィン構造130によって、中央管18内のバイパス流入口82に流れる。全流量式フィルタ16を通過した流れ部分と、バイパスフィルタ14を通過した流れ部分とが結合されて、共通の総流出量の濾過済み流体となり、これが開口74を通ってスピンオンフィルタ10を出ていく。
【0044】
総流入量のうちの、バイパスフィルタ14及び全流量式フィルタ16のそれぞれを通過する各割合は、主に、中央管18のバイパス流入口82及び全流量制限器90のサイズによって決まり、これに、バイパスフィルタ14及び全流量式フィルタ16のメディア46、56の動作特性が加味される。
【0045】
スピンオンフィルタ10の本例示的実施形態に関して上述された、各メディア効率定格、及び総流入量のうちの所望の各割合は、スピンオンフィルタ10の本例示的実施形態における構成要素の具体的な構成及び配置とともに、低温始動運転時の流体流に対する抵抗が、このタイプの先行技術のスピンオンフィルタより低いフィルタ装置を提供する為に、且つ、全体濾過効率を高く維持したまま、取り除かれた汚染物質を保持する能力が、このタイプの先行技術のスピンオンフィルタより高くなるように、適切に、且つ、意図的に選択されたものである。低温始動運転時の流体流に対する抵抗を低くすることは、エンジン潤滑システムの場合には、低温始動運転時のエンジンの潤滑性能を向上させうる点で有利である。取り除かれた汚染物質を保持する能力を高めることは、フィルタの交換間隔を長くして、フィルタ装置で保護されるシステムの運転コストを減らすことが可能な点で有利である。
【0046】
しかしながら、当業者であれば理解されるように、本発明の他の実施形態では、バイパスフィルタと全流量式フィルタとの間で流入流体を様々に配分する為に、様々な効率定格を有するバイパスフィルタメディア及び全流量式フィルタメディアを利用すること、及び/又は、フィルタ装置の中央管(又は他の構成要素)の構成を変更することが望ましいであろう。
【0047】
図4〜
図6を参照すると、本発明によるスピンオンフィルタ200の第2の例示的実施形態が示されており、既述の参照符号は同様の機能を表している。フィルタ200は、フィルタ220を囲むハウジング12と、中央管202と、入口封止材26と、螺旋状圧縮ばね28と、を含む。ハウジング12は、円筒状側壁34でつながれた閉鎖端部30及び開放端部32を有し、円筒状側壁34は、ハウジング12の閉鎖端部30から開放端部32に延びる長手軸を画定している。スピンオンフィルタ200は、垂直方向に取り付けられた構成で示されており、閉鎖端部30はフィルタ200の底部にあり、開放端部32はフィルタ200の上部にある。しかしながら、スピンオンフィルタ200は、任意の方向に取り付け可能である。
【0048】
フィルタ220は、内周部224及び外周部226を画定しているフィルタメディア222と、下端板228と、上端板232と、を有する。フィルタ220の下端板228は、フィルタメディア222の下端部に取り付けられている。下端板228は、中央管202の中央ボア250への流体の流入を阻止する隆起した無孔中央区画230を含む。フィルタ220の上端板232が、フィルタメディア222の上端部に取り付けられており、上端板232は、フィルタ220の外周部226からほぼ内向きに延びており、中央管202の中央ボア250の出口248を画定している、中央に位置する環状カラー234の形で終端されている。
【0049】
中央管202は、環状壁204、開放上端部214、底端部218、及び底部支持フランジ216を含む。開放上端部214は、上端板232に隣接して位置決めされており、開放上端部214は、出口248と流体連通している。底部支持フランジが下端板228の隆起した無孔中央区画230と接触することにより、中央管202がフィルタ220に対して中央に位置決めされる。図示されるように、中央管202の底端部218は、無孔の閉鎖底端部である。別の実施形態では、底端部218は開放されてよく、底部支持フランジ216は、中央区画230と結合されてよい。一実施形態では、中央管202の環状壁204の内径は、底部支持フランジ216に最も近い部分の、小さい方の直径から、開放上端部214に最も近い部分の、大きい方の直径にかけて、わずかに大きくなる。他の実施形態では、環状壁204は、内径がほぼ一定であってよく、或いは、開放上端部214に最も近い直径が減少してよい。
【0050】
図4を参照すると、本発明のフィルタカートリッジには、任意選択で、ドレンバルブ31として示されているドレンが設けられてよい。図示されるように、スピンオンフィルタ200が図示された縦構成で取り付けられている場合に、ドレンバルブ31がスピンオンフィルタ200の中で最も低い位置にあるように、ドレンバルブ31が閉鎖端部30内に配置される。ドレンバルブ31は、通常は閉じた状態で設けられている。スピンオンフィルタ200の取り外し又は交換が必要になった場合は、ドレンバルブ31を作動させて、フィルタ200の流体内容物を排出することによって、スピンオンフィルタ200を取り外す際にこぼれる流体内容物を減らすことが可能である。ドレンバルブ31は、当該技術分野において知られている任意のタイプのバルブ(例えば、ボールバルブ、ゲートバルブ、又はプラグバルブ)であってよい。或いは、ドレンは、ねじが切られた開口及びドレンねじ込みプラグを含んでよい。
【0051】
図5を参照すると、スピンオンフィルタカートリッジ用の一代替取り付け構成が示されている。スピンオンフィルタ200には、フィルタハウジング12の開放端部32に隣接して上板236が設けられている。上板236の外側端部240は、ハウジング12の開放端部32において側壁34と接続されている。上板236の内側端部238に、フィルタ取り付けアダプタと係合する為のねじ242が切られており、これによって、スピンオンフィルタ200がフィルタ取り付けアダプタに取り付けられ、封止出口248がフィルタ取り付けアダプタに取り付けられる。入口封止材26は、スピンオンフィルタ200が取り付けアダプタに取り付けられたときに、ハウジング12の開放端部32の接合部を封止面で封止する。
【0052】
上板236には、円周方向に間隔をおいて配置された複数の入口流路122が設けられ、入口流路122は、上板236の内面と外面との間に流体連通を与えている。上板236の複数の入口流路122は、連係して、流体がフィルタ取り付けアダプタからフィルタハウジング12の入口プレナム114に流入できるようにするフィルタ入口を画定している。フィルタハウジング12の入口プレナム114は、空間40と流体連通している。
【0053】
上端板232の、中央に位置する環状カラー234に、中央スペーサ244が封止的に結合されている。中央スペーサ244の上端部246が上板236の内側端部238と封止的に係合することにより、中央管202がハウジング12内で中央に位置決めされ、入口プレナム114が出口248から封止される。
【0054】
図6に最もよく示されるように、中央管202には、環状壁204の外側を取り囲む螺旋状フィン206が設けられている。中央管202の螺旋状フィン206は、環状壁204の変化する半径方向内径から螺旋状フィン206の外側端部208にかけて延びている。図示されるように、中央管202の螺旋状フィン206は、ほぼ平坦な部分129を含み、ほぼ平坦な部分129は、中央管202の長手軸にほぼ垂直に配置されており、螺旋状フィン206は更に、隣接する平坦部分129同士をつなぐ複数の傾斜部分131を含む。別の実施形態では、螺旋状フィン206は、一定の傾斜角を有するほぼ滑らかな曲線を描くものであってよい。
【0055】
図4〜
図6を再度参照すると、螺旋状フィン206の外側端部208は、フィルタ220の内周部224に隣接する、ハウジング12の長手軸から一定の半径の場所に位置決めされる。螺旋状フィン206の外側端部208は、フィルタ220の内周部224と半径方向に接触してこれを支持することにより、外周部226と内周部224との間の流体圧力差に対する反応としての半径方向内向きの圧壊に抗してフィルタ220を支持する。螺旋状フィン206によってフィルタ220の内周部224が半径方向外向きに支持されることにより、独立した支持物(有孔中央管や内側スクリーンなど)をフィルタ220の内周部224に配置することがさほど必要でなくなるか、不要になる。
【0056】
螺旋状フィン206は、フィルタ220の内周部224と中央管202の環状壁204との間に位置する螺旋状流路210を画定している。螺旋状流路210が流入口212と流体連通していることにより、フィルタ220を通って濾過された流体が流入口212に至る流路が形成されている。流入口212は、環状壁204の外側と中央管202の中央ボア250との間に流体連通を与えている。
【0057】
本発明の好ましい一実施形態では、螺旋状フィン206は、中央管202の環状壁204と一体的に形成される。図示されるように、螺旋状フィン206は、中央管202の長さと同一の広がりを有し、中央管202の開放上端部214から底部支持フランジ216にかけて連続的に延びており、螺旋状フィン206は、ほぼ無孔である。他の実施形態では、螺旋状フィン206は、不連続であってよく、有孔であることによって螺旋状流路及び他の流体流路の両方を提供してよい。
【0058】
好ましい一実施形態では、中央管202に単一の螺旋状フィン206が設けられる。しかしながら、中央管202に、2つ以上の螺旋状フィンを交互に設けて、それぞれがフィルタ220の内周部224と流入口212との間に流体連通を与える2つ以上の流体流路を、一緒に画定してもよい。そのような構成では、複数の螺旋状フィンが、二重螺旋、三重螺旋などを形成することになる。
【0059】
図7を参照すると、2つのフィルタについての流量と圧力との関係が示されている。線300は、
図4〜
図6に示された螺旋状フィンを有する中央管が組み込まれた、本発明を実施するカートリッジフィルタについての流量と圧力との関係を示している。線302は、フィルタメディア224の内周部226に位置する有孔支持管と、独立した中央管又は中央管柱202とを組み込んだフィルタについての流量と圧力との関係を示している。図示されるように、一体化された螺旋状フィン206を有する中央管202の使用によって、流量制限の低減が達成される。
【0060】
本明細書で引用した、刊行物、特許出願、および特許を含む文献はすべて、各文献が個々に具体的に示される形で参照によって本明細書に組み込まれ、且つ、各文献の全体が本明細書に記述されているのと同等程度に、参照により本明細書に組み込まれている。
【0061】
本発明を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)「a」、「an」、及び「the」の各語句、並びに同様の指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数及び複数の両方を包含するものとして解釈されるべきである。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「包含する(containing)」の各語句は、特に断らない限り、オープンエンドターム(即ち、「〜を含むが、これに限定されない」という意味)として解釈されるべきである。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に参照する為の略記法としての役割を果たすことのみを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、本明細書に組み込まれている。本明細書中で説明される全ての方法は、本明細書中で特に指摘されたり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、任意の好適な順序で実施されてよい。本明細書中で与えられるあらゆる例、又は例示的言い回し(例えば、「など(such as)」は、特に主張されない限り、単に本発明をより明快にすることだけを意図したものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中の如何なる言い回しも、特許請求されていない任意の要素を、本発明の実施に不可欠な要素として示すものとして解釈されてはならない。
【0062】
本明細書においては、本発明を実施する為の、本発明者らが知っている最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態を説明している。当業者であれば、前述の説明を読むことにより、これらの好ましい実施形態の変形形態が明らかになるであろう。本発明者らは、当業者がそのような変形形態を適宜採用することを想定しており、本明細書において具体的に説明されたもの以外の方法で本発明が実施されることを企図している。従って、本発明は、準拠法によって許可されているとおり、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載されている内容のあらゆる修正及び均等物を包含する。更に、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、好ましい実施形態のあらゆる可能な変形形態における上述の要素のあらゆる組み合わせが本発明に包含される。