特許第6144248号(P6144248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144248
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】天井補強具および天井材の補強方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   E04B9/18 E
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-243126(P2014-243126)
(22)【出願日】2014年12月1日
(65)【公開番号】特開2016-104942(P2016-104942A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2016年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230984
【氏名又は名称】日本工機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514306412
【氏名又は名称】水澤 勝史
(73)【特許権者】
【識別番号】503159472
【氏名又は名称】山本 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】池田 努
(72)【発明者】
【氏名】水澤 勝史
(72)【発明者】
【氏名】山本 賢治
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5610559(JP,B1)
【文献】 米国特許第05314156(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/18 − 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する野縁および野縁受けを備えて構造物に吊下支持される天井材を補強する天井補強具であって、
構造物の躯体に取り付けられる複数の構造物側取付部材と、
天井材に取り付けられる天井側取付部材と、
前記各構造物側取付部材を天井側取付部材に連結する複数の連結部材とを備え、
前記天井側取付部材は、天井材の野縁に野縁受けを挟んで両側に取り付けられる一対の分割体を備えており、
一対の前記分割体は、それぞれ前記連結部材を回動自在に支持する主回動軸と、前記野縁受けの上部に係合する係合片とを備える天井補強具。
【請求項2】
一対の前記分割体は、野縁に取り付けられた状態で、前記主回動軸が互いに平行に配置され、
前記連結部材は、前記主回動軸の回動方向とは異なる方向に回動する副回動軸を介して、前記主回動軸に支持される請求項1に記載の天井補強具。
【請求項3】
互いに交差する野縁および野縁受けを備えて構造物に吊下支持される天井材を、請求項1または2に記載の天井補強具を用いて補強する方法であって、
前記天井側取付部材を天井材に取り付ける天井側取付ステップと、
複数の前記構造物側取付部材をそれぞれ構造物の躯体に取り付ける構造物側取付ステップとを備え、
前記天井側取付ステップは、一対の前記分割体を、前記係合片が互いに重なり合うように前記野縁受けに係合させて、前記野縁に取り付ける天井材の補強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井補強具および天井材の補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場、ビル、体育館などの構造物に吊下支持される天井材を補強する天井補強具として、例えば特許文献1に開示された構成が知られている。図5に示すように、この天井補強具200は、構造物の躯体210に取り付けられる複数の構造物側取付部材220(図5では1つのみを示す)と、天井材230の支持部材232に取り付けられる天井側取付部材240と、各構造物側取付部材220を天井側取付部材240に連結する複数の連結部材250とを備えている。各構造物側取付部材220および天井側取付部材240は、連結部材250を回動自在に支持する主回動軸224,244をそれぞれ備えており、天井側取付部材240の主回動軸244は、互いに平行になるように複数配置されて、それぞれに連結部材250が副回動軸を介して支持されている。この副回動軸は、天井側取付部材240の主回動軸244の回動方向とは異なる方向に連結部材250を回動自在に支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5610559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成を備える天井補強具200は、天井側取付部材240が主回動軸および副回動軸を備えることにより、躯体210に対する各構造物側取付部材220の取付作業が容易になると共に、耐震性を向上することができる。
【0005】
ところが、想定を超える非常に強い揺れが発生すると、天井側取付部材240を支持する支持部材232が変形する等して、支持部材232から天井側取付部材240が外れるおそれがあり、この点において更に改良の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、天井材に対する取り付けを確実に行うことで耐震性を高めることができる天井補強具および天井材の補強方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、互いに交差する野縁および野縁受けを備えて構造物に吊下支持される天井材を補強する天井補強具であって、構造物の躯体に取り付けられる複数の構造物側取付部材と、天井材に取り付けられる天井側取付部材と、前記各構造物側取付部材を天井側取付部材に連結する複数の連結部材とを備え、前記天井側取付部材は、天井材の野縁に野縁受けを挟んで両側に取り付けられる一対の分割体を備えており、一対の前記分割体は、それぞれ前記連結部材を回動自在に支持する主回動軸と、前記野縁受けの上部に係合する係合片とを備える天井補強具により達成される。
【0008】
この天井補強具において、一対の前記分割体は、野縁に取り付けられた状態で、前記主回動軸が互いに平行に配置されることが好ましく、前記連結部材は、前記主回動軸の回動方向とは異なる方向に回動する副回動軸を介して、前記主回動軸に支持されることが好ましい。
【0009】
また、本発明の前記目的は、互いに交差する野縁および野縁受けを備えて構造物に吊下支持される天井材を、上記の天井補強具を用いて補強する方法であって、前記天井側取付部材を天井材に取り付ける天井側取付ステップと、複数の前記構造物側取付部材をそれぞれ構造物の躯体に取り付ける構造物側取付ステップとを備え、前記天井側取付ステップは、一対の前記分割体を、前記係合片が互いに重なり合うように前記野縁受けに係合させて、前記野縁に取り付ける天井材の補強方法により達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、天井材に対する取り付けを確実に行うことで耐震性を高めることができる天井補強具および天井材の補強方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る天井補強具の全体構成図である。
図2図1に示す天井補強具の要部を示す平面図である。
図3図1に示す天井補強具の他の要部を示す側面図である。
図4図1に示す天井補強具の施工例を示す斜視図である。
図5】従来の天井補強具の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る天井補強具の全体構成図である。図1に示すように、天井補強具1は、鋼材等からなり、構造物側取付部材10、天井側取付部材20および連結部材30を備えている。本実施形態の天井補強具1は、後述するように、工場、ビル、体育館などの構造物に構造物側取付部材10を取り付け、天井材に天井側取付部材20を取り付けることにより、吊り下げ支持される天井材を補強することができる。
【0013】
図2は、図1に示す構造物側取付部材10の平面図である。図1および図2に示すように、構造物側取付部材10は、ブロック状の本体11の中央に挿入部材12が取り付けられており、本体11は、一対の挟持部材14,15の間に配置されている。本体11は、主回動軸13により一対の挟持部材14,15に回動自在に支持されている。挿入部材12は、基端側の脚部12a,12aの間に本体11を挟持して、結合ピンからなる副回動軸16により、主回動軸13の回動面と直交する平面に沿って(すなわち、図1の矢示A方向に)回動自在に支持されている。
【0014】
一対の挟持部材14,15は、板状体を折り曲げて形成されており、切欠状の保持部14a,15aが、本体11を挟んで対向するように配置されている。保持部14a,15aは、構造物の躯体110に装着可能とされており、本実施形態においては、主架構を構成するように構造物の上部に水平に配置されたH形鋼の下部に、保持部14a,15aを係合可能とされている。一対の挟持部材14,15は、主回動軸13と平行に延びるボルト14bをナット15bに締結することにより結合されており、ボルト14bの締め込みにより、一対の保持部14a,15aの間に躯体110を挟持すると共に、主回動軸13の回転抵抗を抑制してスムーズな回動を可能にしている。保持部14a,15aは、構造物側取付部材10を取り付ける躯体110の形状に合わせて適宜形成すればよく、その形状は特に限定されるものではない。構造物側取付部材10の取付箇所は、梁やスラブ等の躯体の水平部だけでなく、柱や壁などの躯体の垂直部や、躯体の傾斜部であってもよい。
【0015】
図3は、図1に示す天井側取付部材20の側面図である。図1および図3に示すように、天井側取付部材20は、一対の分割体21,22を備えており、図3は、一方の分割体21側を示している。一方の分割体21は、板状部材の幅方向両側を対向するように折り曲げて形成された支持体21aの対向面の間に、2つのブロック状の本体21bが間隔をあけて支持されている。本体21bは、結合ピンからなる主回動軸21cにより、図1の矢示B方向に回動自在に支持されており、本体21bの軸方向中央に挿入部材21dが取り付けられている。挿入部材21dは、基端側の2つの脚部21eの間に本体21bを挟持して、結合ピンからなる副回動軸21fにより、図3の矢示C方向に回動自在に支持されている。支持体21aの下面には、蓋状の装着部材21gが溶接等により固定されている。また、支持体21aの一方端部には、支持体21aよりも幅広に形成された係合片21hが起立状態で固定されている。係合片21hは、上端部21iが外方に向けて略直角に折り曲げられている。
【0016】
天井材120は、板材やメッシュ材等からなり、野縁121に支持されている。野縁121の上部には、野縁121と直交する野縁受け124が配置されている。一方の分割体21は、係合片21hの上端部21iを野縁受け124に係合させた状態で、野縁121の幅方向両側縁部を装着部材21gと当て板122との間に挟持し、ボルト等の締結具123を用いて野縁121に固定することができる。締結具123の数は特に限定されないが、本実施形態においては支持体21aの底部における4か所に締結具123が取り付けられている。
【0017】
他方の分割体22は、一方の分割体21と同様の構成を備えており、係合片22hの上端部22iを野縁受け124に係合させた状態で、野縁121に対して野縁受け124を挟んで一方の分割体21と反対側に固定されている。他方の分割体22の係合片22hは、一方の分割体21の係合片21hよりも若干高くなるように形成されており、他方の係合片22hの上端部22iが、一方の係合片21hの上端部21iを介して野縁受け124に係合する。他方の分割体22も、後述する連結部材30を異なる方向に回動させる主回動軸22cおよび副回動軸を備えており、一対の分割体21,22を野縁121に取り付けた状態で、各主回動軸21c,22cが互いに平行に配置される。
【0018】
図1に示すように、連結部材30は棒状の部材であり、主パイプ31および副パイプ32を備えている。主パイプ31は、両端部にスリット31a,31bが周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)形成されており、内径を拡開させることができる。主パイプ31は、一方端に構造物側取付部材10の挿入部材12が、他方端に副パイプ32の一方端部がそれぞれ挿入され、セットカラー等のクランプ33,34により固定される。連結部材30は、主パイプ31に対する副パイプ32の挿入長さを適宜調節することにより伸縮させることができ、主パイプ31の内周面と副パイプ32の外周面との間に作用する摩擦力によって全体長さを維持することができる。主パイプ31および副パイプ32の材質は特に限定されず、鋼管等であってもよいが、シームレスのアルミ管を好ましく用いることができる。
【0019】
副パイプ32の他方端部には、主パイプ31と同様に複数のスリット32aが形成されており、図3に示すように、天井側取付部材20の挿入部材21d,22dが挿入されて、クランプ35により固定される。図1においては、1つの連結部材30のみを示し、他の連結部材30の図示を一部省略しているが、他の連結部材30についても上記と同様の構成であり、不図示の構造物側取付部材10に連結されている。
【0020】
上記の構成を備える天井補強具1は、例えば、鉄骨造体育館などの構造物における吊り天井の補強用として好適に使用することができる。図4は、天井補強具1の施工例を示す斜視図である。図4に示す天井材120は、複数並列された野縁121に固定されて支持されており、これら野縁121は、直交するように複数並列された野縁受け124にクリップ125で取り付けられている。野縁受け124は、スラブや梁などの構造物の躯体(図示せず)から垂下する吊りボルト126に、ハンガー127を介して支持されている。
【0021】
天井補強具1は、天井材120の野縁121に天井側取付部材20を、構造物の躯体(図示せず)の4か所に構造物側取付部材10をそれぞれ固定し、各連結部材30がトラスを構成するように長さ調整して、各連結部材30の両端部を構造物側取付部材10および天井側取付部材20に装着することにより、取り付けることができる。野縁121に対する天井側取付部材20の取り付けは、上述したように、一対の分割体21,22を、それぞれの係合片21h,22hが野縁受け124に係合した状態で、野縁受け124を挟んで両側に配置して行う。
【0022】
このように、天井側取付部材20が、一対の分割体21,22を備えることにより、各分割体21,22の野縁121に沿う方向の長さを短くできると共に、野縁121および野縁受け124の双方に各分割体21,22を固定することができる。したがって、非常に大きな地震等による揺れが発生した場合でも、天井材120に対する天井側取付部材20の取り付け状態を良好に維持することができ、耐震性を高めることができる。各係合片21h,22hと野縁受け124とは、本実施形態のように、一方の係合片21hの上端部21iに他方の係合片22hの上端部22iが重なるように係合させることが好ましいが、各係合片21h,22h同士を、互いに干渉することなく個別に野縁受け124と係合させてもよい。
【0023】
連結部材30は、構造物側取付部材10および天井側取付部材20において、それぞれ主回動軸13,21cにより回動自在に支持されると共に、天井側取付部材20において、副回動軸21fにより主回動軸21cとは異なる方向に回動自在に支持されているため、躯体に対する構造物側取付部材10の取付け自由度を高めることができ、取付作業を容易にすることができる。
【0024】
天井側取付部材20が備える主回動軸21cおよび副回動軸21fは、本実施形態のように互いに直交することが好ましく、これによって、施工性や耐震性の向上が図られるだけでなく、地震等において連結部材30から大きな力(特に引張力)を受けた場合の強度を良好に維持することができる。天井側取付部材20の主回動軸21cおよび副回動軸21fは必ずしも直交する必要はなく、互いに異なる方向であればよい。また、本実施形態においては、主回動軸21cおよび副回動軸21fの軸線同士が互いに交差するように配置されているが、平面視において交差するように配置されていればよく、主回動軸21cおよび副回動軸21fが取付状態において異なる高さ位置に配置されていてもよい。
【0025】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、1つの天井側取付部材20に対して、4つの構造物側取付部材10がそれぞれ連結部材30を介して連結されているが、構造物側取付部材10の数は、連結部材30がトラスを構成するように配置可能であればよく、特に限定されるものではない。天井側取付部材20に対する連結部材30の連結は、一対の分割体21,22のそれぞれに対して1または複数を取り付けて、行うことができる。
【符号の説明】
【0026】
1 天井補強具
10 構造物側取付部材
20 天井側取付部材
21,22 分割体
21c,22c 主回動軸
21h,22h 係合片
30 連結部材
110 躯体
120 天井材
121 野縁
124 野縁受け
図1
図2
図3
図4
図5