(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144259
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】ディスペンシングシステム
(51)【国際特許分類】
B65D 83/20 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
B65D83/20 100
【請求項の数】17
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-525135(P2014-525135)
(86)(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公表番号】特表2014-521571(P2014-521571A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】US2012050071
(87)【国際公開番号】WO2013023019
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2015年5月7日
(31)【優先権主張番号】13/206,453
(32)【優先日】2011年8月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500106743
【氏名又は名称】エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,ダニエル,エー.
(72)【発明者】
【氏名】シャディー,ランス,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャンソン,ジェフリー,ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,マーク,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン,ジェイムス,アール.
【審査官】
小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−159860(JP,A)
【文献】
特表2006−518311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/14
B65D 83/20
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管と、
前記導管から突き出した第1および第2のタブであって、各タブが、前記タブの第1の端部に隣接して配設された第1の傾斜面および第1の平坦面と、前記タブの第2の端部に隣接して配設された第2の傾斜面および第2の平坦面とを含み、容器用のオーバーキャップのチャネルに保持される第1および第2のタブと、
を備え、
前記第1の平坦面および前記第2の平坦面は、互いに平行であり、
前記第1の傾斜面および前記第2の傾斜面は、前記第1の平坦面および前記第2の平坦面に対して平行な軸に対して所定の角度を有し、
前記導管が、垂直導管に流体接続された水平導管を備え、前記水平導管の端部にアウトレットオリフィスが提供され、
前記垂直導管が、容器のバルブステムを受ける第1の端部に開口部を含む、アクチュエータ。
【請求項2】
前記第1および第2のタブが、前記水平導管の両側から外向きに突き出し、前記アウトレットオリフィスに隣接して配設される、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記垂直導管は、圧力を印加したときに前記バルブステムを作動させるのを支援する、第2の端部から延びたボタンをさらに含む、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1の傾斜面は、前記第1の端部を介して前記第1の平坦面に隣接して配設され、前記第2の傾斜面は、前記第2の端部を介して前記第2の平坦面に隣接して配設される、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第2の傾斜面と前記第1の平坦面とは第1の側面を成し、前記第1の傾斜面と前記第2の平坦面とは第2の側面を成す、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第2の平坦面および前記第2の傾斜面の長さ寸法は、それぞれ、前記第1の平坦面および前記第1の傾斜面の長さ寸法よりも大きい、請求項5に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記第1の平坦面および前記第2の平坦面は、前記アクチュエータがオーバーキャップ内に配設されたときに前記アクチュエータを直立位置に保持するのを支援する、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記第1および第2のタブが、互いに対して等しい数の平坦面と傾斜面とを含む、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
容器用のオーバーキャップであって、
チャンバを形成する側壁と、
前記オーバーキャップの前記側壁内のディスペンシングオリフィスと、
各々の中にチャネルが形成された第1および第2のフランジであって、前記第1のおよび第2のフランジが前記側壁から延びる、第1および第2のフランジと、
第1および第2のタブが突き出したアクチュエータであって、各タブが、第1および第2の平坦面と第1および第2の傾斜面とを含む、アクチュエータと、
を備え、
前記第1の平坦面および前記第2の平坦面は、互いに平行であり、
前記第1の傾斜面および前記第2の傾斜面は、前記第1の平坦面および前記第2の平坦面に対して平行な軸に対して所定の角度を有し、
前記アクチュエータが前記オーバーキャップ内に配設されたときに、前記第1および第2のタブが、前記第1および第2のフランジの前記チャネル中にそれぞれ保持される、容器用のオーバーキャップ。
【請求項10】
前記第1および第2のフランジが、前記側壁の長手方向の軸と実質的に平行になるように前記側壁から延びる、請求項9に記載のオーバーキャップ。
【請求項11】
前記第1および第2のフランジが、前記ディスペンシングオリフィスの両側で前記側壁から外向きに延びる、請求項9に記載のオーバーキャップ。
【請求項12】
各フランジが、前記チャネル内に前記第1および第2のタブを保持するのを支援するように適合された可動式ポストを含む、請求項11に記載のオーバーキャップ。
【請求項13】
前記チャネルが、作動動作中に、第1の休止位置と第2の撓曲位置との間で撓曲する、請求項9に記載のオーバーキャップ。
【請求項14】
前記タブの前記平坦面が、前記チャネル中に配設され、略直立位置で前記アクチュエータを保持する、請求項9に記載のオーバーキャップ。
【請求項15】
前記タブの前記傾斜面が、容器上に前記オーバーキャップの取り付けの間、前記アクチュエータの上方移動を可能にし、前記アクチュエータの回転運動を防止する、請求項9に記載のオーバーキャップ。
【請求項16】
前記側壁と前記第1および第2のフランジとの間にギャップが提供される、請求項9に記載のオーバーキャップ。
【請求項17】
容器上にオーバーキャップを取り付ける方法であって、
バルブステムをもつ容器を提供するステップと、
ディスペンシングオリフィスとそこから延びた第1および第2のフランジとを有するオーバーキャップを提供するステップであって、前記フランジが各々、その中に配設されたチャネルを含む、オーバーキャップを提供するステップと、
アウトレットオリフィスをもつ導管とバルブシートとを含むアクチュエータを提供するステップであって、前記導管から第1および第2のタブが延び、各タブが2つの平坦面と2つの傾斜面とを含み、第1の平坦面および第2の平坦面は、互いに平行であり、第1の傾斜面および第2の傾斜面は、前記第1の平坦面および前記第2の平坦面に対して平行な軸に対して所定の角度を有する、アクチュエータを提供するステップと、
前記第1および第2のフランジの前記チャネル内に前記第1および第2のタブをそれぞれ配置するステップであって、各タブの前記第1および第2の平坦面が、前記アクチュエータの上方への回転運動を実質的に防止し、それにより、前記オーバーキャップの前記ディスペンシングオリフィスと実質的に整列した状態で前記導管の前記アウトレットオリフィスが配置される、前記第1および第2のタブを配置するステップと、
前記容器に前記オーバーキャップを係合させることにより、前記バルブステムを前記導管のバルブシート内に取り付け、前記係合させることによって前記導管に付与された前記アクチュエータの下方への回転運動が、前記第1および第2のフランジ内の前記第1および第2の傾斜面によって、前記第1および第2のタブの運動をそれぞれ制限し、それにより、前記導管の前記アウトレットオリフィスと前記オーバーキャップの前記ディスペンシングオリフィスとの実質的なミスアライメントが防止される、前記容器に前記オーバーキャップを係合させるステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、容器上に配置するためのアクチュエータを備えるオーバーキャップを含むディスペンシングシステムに関し、より詳細には、オーバーキャップの側壁から延びたフランジと係合するための複数の傾斜面と平坦面とをもつ少なくとも1つのタブを有するアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール容器は、通常、空気清浄剤、脱臭剤、殺虫剤、殺菌剤、充血除去剤、香水または任意の他の既知の製品などの製品を保管し、噴霧するために使用される。製品は、炭化水素噴射剤または非炭化水素噴射剤によって容器からエアゾールバルブを介して押し出される。典型的なエアゾール容器は、その頂端部に開口部をもつ本体を備えている。本体の頂端部を封止するために、マウンティングカップが容器の開口部に圧着される。マウンティングカップは、ほぼ円形の形状をしており、圧着部位に隣接してマウンティングカップの基部から上向きに延びる外壁を含むかもしれない。また、基部の中央部分から上向きにペデスタルが延びる。バルブアセンブリは、バルブステム、バルブ本体およびバルブスプリングを含む。バルブステムは、ペデスタルを通って延び、遠位端は、ペデスタルから離れるように上向きに延び、近位端は、バルブ本体内に配設される。バルブ本体は、マウンティングカップの内側に固定され、浸漬管は、バルブ本体に取り付けられてもよい。浸漬管は、下向きに延びて容器の本体の内部に入る。バルブアセンブリを開くために、バルブステムの遠位端がその長手方向軸に沿って軸方向に押し下げられる。他の容器では、径方向にバルブステムを作動させるために、長手方向軸に対して直角な方向にバルブステムを傾ける、または移動させる。バルブアセンブリを開くと、容器内部と大気との圧力差により、バルブステムのオリフィスを通して内容物が容器から押し出される。
【0003】
エアゾール容器は、しばしば、容器の頂端部を覆うオーバーキャップを含む。典型的なオーバーキャップは、外向きに突き出したリッジを経由して容器に取り外し可能に取り付けられ、そのリッジは、オーバーキャップの内側下縁部に外接し、容器の頂部に外接する圧着シームと相互作用する。オーバーキャップが容器の頂部上に置かれたときに、オーバーキャップに下向き圧力が印加され、それにより、シームの外縁部にリッジが載り、シームの下側表面によって規定されたレッジの下でロックされる。
【0004】
いくつかのシステムでは、オーバーキャップは、製品がそれを通って流出できるようにためのディスペンシングオリフィスを含む。そのようなシステムでは、アクチュエータは、典型的には、製品を、アクチュエータ中に、そしてオーバーキャップのディスペンシングオリフィスを通して外に放出するためにバルブステムと相互作用する。さらに、そのようなアクチュエータは、典型的には、ボタンまたはトリガーのような、アクチュエータと一体の作動機構を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術による作動システムを用いると、製造プロセス中に多数の問題が起こる。詳細には、アクチュエータボタンのような先行技術によるアクチュエータは、製造中に、超音波溶接、締まり嵌め、ピンアンドソケット、または他の方法によってオーバーキャップに固定されることがある。そのような固定技法は、消費者が使用する際の作動プロセス中にアクチュエータボタンが自由に撓曲するのを許容しない。そのようなシステムのアクチュエータボタンは、典型的には、オーバーキャップのディスペンシングオリフィスに直接隣接する前方の側壁に固定される。この硬い接続は、アクチュエータボタンにごくわずかな力が印加されると、アクチュエータボタンの破損につながり得る。また、そのような方法で側壁にアクチュエータボタンを固定すると、最終的には、アクチュエータボタンの疲労を引き起こし、その結果、ボタンまたは接続点の破損および/または歪みが起こることがある。
【0006】
そのような先行技術によるシステムに関連する別の問題は、作動を達成するためにアクチュエータボタンに力をかけると、しばしば、アクチュエータとディスペンシングオリフィスとのミスアライメントが生じ、それにより、製品が、ディスペンシングオリフィスを通ってオーバーキャップの内部に反対向きに噴霧されることである。
【0007】
組立てプロセス中にオーバーキャップを容器上に保持する(または取り付ける)とき、そのような先行技術によるシステムに関連するさらなる問題が起こる。容器のアクチュエータおよび/またはバルブステムの製造公差が変動することを仮定すると、容器上でのオーバーキャップの配置が、アクチュエータを、最初に容器上に配置するときには、望ましくない動作可能位置へと押し出すことがある。ミスアライメントは、より多くのオーバーキャップのミスキャップおよび/またはアクチュエータの破損につながる。そのような問題は、組立てプロセス中の製造ラインを減速させ、その結果、製造業者の利益損失を生じる。またさらに、使用中、ユーザによってアクチュエータのボタンに加えられる下向き圧力により、製造公差が変動することを仮定すると、アクチュエータは、バルブステムとのミスアライメントを引き起こすことがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本明細書では、容器と、オーバーキャップと、オーバーキャップ内に少なくとも部分的に配設されたアクチュエータとを含むディスペンシングシステムを提供する解決策が提供される。アクチュエータは、複数の傾斜面と平坦面とを含み、それらは、オーバーキャップから延びたフランジ中に配設されたチャネルと相互作用するように適合されている。アクチュエータの傾斜面および平坦面とフランジのチャネルとの間の相互作用は、詳細には、作動前、作動中、および作動後のアライメント能力を有するアクチュエータを提供する。
【0009】
さらに、本開示は、より能率的かつコスト効果のよい製造プロセスを必要とする、オーバーキャップのフランジ内にアクチュエータを保持するための新規の方法を提供する。
【0010】
またさらに、オーバーキャップが撓曲し、作動中に枢動することを許容することで、アクチュエータの寿命が延びると同時に、適切な噴霧角度を保持したまま、アクチュエータは、ディスペンシングオリフィスがミスアライメントを起こさないように防止し、ミスキャップ、破損または製造プロセス中の作動が防止される。
【0011】
本発明の1つの態様によれば、アクチュエータは、導管と、導管から突き出した第1および第2のタブとを含む。各タブは、タブの第1の端部に隣接して配設された第1の傾斜面および第1の平坦面と、タブの第2の端部に隣接して配設された第2の傾斜面および第2の平坦面とを含む。
【0012】
本発明の別の態様によれば、容器用のオーバーキャップは、チャンバを形成する側壁を有する。オーバーキャップの側壁内に、ディスペンシングオリフィスが提供される。第1および第2のフランジは各々、その中にチャネルを有する。第1および第2のフランジは、側壁から延びている。アクチュエータは、そこから突き出した第1および第2のタブを有する。各タブは、第1および第2の平坦面と第1および第2の傾斜面とを含む。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、容器用のオーバーキャップは、その中にディスペンシングオリフィスが形成された側壁を含む。アクチュエータは、そこから突き出した第1および第2のタブを有する。側壁から第1および第2のフランジが延びており、各フランジは、その中にチャネルが形成されている。第1および第2のタブは、それぞれ、第1および第2のフランジから延びた第1および第2の可動式ポストによって、第1および第2のフランジのチャネル内に保持される。
【0014】
本発明の別の態様によれば、容器上にオーバーキャップを取り付ける方法は、バルブステムをもつ容器を提供するステップと、ディスペンシングオリフィスとそこから延びた第1および第2のフランジとを有するオーバーキャップを提供するステップであって、フランジが各々、その中に配設されたチャネルを含む、オーバーキャップを提供するステップとを含む。別のステップは、アウトレットオリフィスをもつ導管とバルブシートとを含むアクチュエータを提供するステップであって、導管から第1および第2のタブが延び、各タブが2つの平坦面と2つの傾斜面とを含む、アクチュエータを提供するステップを含む。本方法は、第1および第2のフランジ内に第1および第2のタブをそれぞれ配置するステップであって、各タブの第1および第2の平坦面が、時計回りの回転運動を実質的に防止し、それにより、オーバーキャップのディスペンシングオリフィスと実質的に整列した状態で導管のアウトレットオリフィスが配置される、第1および第2のタブを配置するステップをさらに含む。本方法の別のステップは、容器にオーバーキャップを係合させ、それにより、バルブステムを導管のバルブシート内に取り付ける、係合させるステップを含む。係合させるステップによって導管に付与された反時計回りの回転運動は、第1および第2のフランジ内の第1および第2の傾斜面によって、第1および第2のタブの運動をそれぞれ制限し、それにより、導管のアウトレットオリフィスとオーバーキャップのディスペンシングオリフィスとの実質的なミスアライメントが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】容器と、それに取り付けられたオーバーキャップと含む製品ディスペンシングシステムの前方等角図である。
【
図2a】
図1に示した線2a−2aにほぼ沿った
図1の製品ディスペンシングシステムの側断面図である。
【
図3】
図1のオーバーキャップの前方等角図である。
【
図4】
図1のオーバーキャップの底部前方等角図である。
【
図5】
図1のオーバーキャップの底部後方等角図である。
【
図7】アクチュエータがない状態の
図3に示した線7−7にほぼ沿った
図1のオーバーキャップの断面図である。
【
図7a】明確のためにいくつかの部分が取り除かれた状態の
図7のオーバーキャップの拡大された部分断面図である。
【
図8】
図7のオーバーキャップ内の示されたフランジの拡大等角図である。
【
図9】
図1の製品ディスペンシングシステムにおいて使用されるように適合されたアクチュエータの等角図である。
【
図12】
図3の線12−12に沿ったオーバーキャップの断面図である。
【
図13】
図11のアクチュエータから外向きに延びたタブの拡大側立面図である。
【
図14】第1の非作動状態の
図1のディスペンシングシステムの部分断面図である。
【
図15】第2の作動前状態の
図1のディスペンシングシステムの部分断面図である。
【
図16】第3の作動状態の
図1のディスペンシングシステムの部分断面図である。
【
図17】明確のためにいくつかの部分が取り除かれた状態のオーバーキャップの別の実施形態の拡大部分断面図である。
【
図18】
図17のオーバーキャップとともに使用するアクチュエータの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[連邦政府資金援助研究開発に関する参照]
適用なし
【0019】
図1に、容器52と、その上に配設されたオーバーキャップ54とを含む製品ディスペンシングシステム50を示す。アクチュエータ56は、オーバーキャップ54内に少なくとも部分的に配設されており、ディスペンシングシステム50から容易に製品を噴霧することができるようにする。使用時に、製品ディスペンシングシステム50は、ユーザによるディスペンシングシステム50のオーバーキャップ54の手動アクティベーションのような特定の状態が発生したときに、容器52から製品を放出するように適合される。吐出される製品は、キャリア液、消臭液などに含まれる香料または殺虫剤であってもよい。また、製品は、殺菌剤、エアフレッシュナー、クリーナー、臭気除去剤、カビ抑制剤、防虫剤などのような、および/またはアロマセラピー特性を有する他の活性物質を含み得る。あるいは、製品は、容器から噴霧され得る当業者に知られている任意の固体、液体、または気体を含む。また、容器が任意のタイプの加圧製品または非加圧製品、ならびに/あるいはそれらの混合物を収容することができることも意図される。したがって、製品ディスペンシングシステム50は、任意の数の異なる製品を噴霧するように適合される。
【0020】
図2で最もよく分かるように、容器52は、その頂端部62に開口部60をもつ実質的に円筒形の本体58を備える。マウンティングカップ64は、開口部60を規定する、容器52のテーパー部に圧着される。マウンティングカップ64は、本体58の頂端部62を封止する。テーパー部の底端部の第2の圧着部は、シーム66を規定する。シーム66および/またはマウンティングカップ64は、当技術分野で知られているように、オーバーキャップ54を取り付けることができる位置を提供する。
【0021】
さらに
図2を参照すると、マウンティングカップ64は、全体的に円形状であり、圧着部位に隣接してマウンティングカップ64の基部70から上向きに突き出した環状の壁68を含んでもよい。基部70の中央部74から、中央ペデスタル72が上向きに延びている。従来のバルブアセンブリ(詳細には図示せず)は、バルブ本体(図示せず)に接続されたバルブステム76と、容器52内に配設されたバルブスプリング(図示せず)とを含む。バルブステム76は、ペデスタル72を通って上向きに延びており、遠位端78は、ペデスタル72から離れるように上向きに延び、オーバーキャップ54内に配設されたアクチュエータ56と相互作用するように適合される。長手方向の軸Aは、バルブステム76を通って延びる。
【0022】
図2aで最もよく分かるように、使用前には、アクチュエータ56は、バルブステム76の遠位端78と流体連通した状態で配置される。ユーザは、手動で、または自動的にアクチュエータ56を動作させてバルブアセンブリを開いてもよく、それにより、容器内部と大気との間の圧力差によって、容器52の内容物が、バルブステム76のオリフィス80を通り、オーバーキャップ54を通り、大気中へと押し出される。本開示は、エアゾール容器52に関して本出願人の発明について記載しているが、本発明は、当業者に知られている任意のタイプの容器とともに実施することもできる。
【0023】
次に、
図3〜
図7を参照して、オーバーキャップ54についてより詳細に説明する。オーバーキャップ54は、下縁部94から上向きに延び、頂部壁96に向かって内向きにテーパーが付いた側壁92を備える実質的に円筒形の球根状の本体90を含む。頂部壁96は、その前縁部98から後縁部100まで下向きに傾斜し、その中に配設された開口部102を含む(
図7参照)。開口部102は、以下により詳細に記載するように、アクチュエータ56の一部を受けるように適合される。オーバーキャップ54は、オーバーキャップ54の前縁部98に隣接して側壁92中に配設されたディスペンシングオリフィス104をさらに含み、それにより、そこを通って製品の外向きの放出を許容する。
【0024】
オーバーキャップ54は、容器52の一部を受けるための、下縁部94に隣接する開口部110をさらに含む。
図4、
図5および
図7で最もよく分かるように、オーバーキャップ54は、その内部表面114の周りの配設された、外向きに延びた複数の固定リブ112を含む。固定リブ112は、下縁部94と実質的に平行となるように配向される。固定リブ112同士の間に、複数の直線で規定された突起116が配設され、突起116は、オーバーキャップとともに使用するために様々な容器サイズの自由度が可能になるように適合される。詳細には、突起116は、より大きい直径(すなわち、オーバーキャップの直径と実質的に同様の直径)を有する容器をオーバーキャップに挿入したときにオーバーキャップの側壁にかかる圧力を軽減する。従来のシステムでは、オーバーキャップは、オーバーキャップの可撓性が制限されていることを理由に、より大きい容器と係合することができない。さらに、これらの従来のオーバーキャップにかかる外向きの応力が大きすぎると、オーバーキャップに亀裂が入ることがある。さらに、固定リブ112/突起116の交互構造により、オーバーキャップは、より小さい直径を有する容器に係合することが可能になる。固定リブ112/突起116セットアップは、容器に、容器の上にオーバーキャップを保持するための十分な干渉作用を提供する。
【0025】
側壁92の内部表面114は、オーバーキャップ54の中心に向かって径方向に内向きに延びた、複数の等距離に離間した細長い第2の安定リブ120をさらに含む。安定リブ120は、互いに実質的に平行であり、固定リブ112の上方に提供される。好ましい実施形態では、同じ個数のリブ112および120が提供され、各安定リブ120は、対応する固定リブ112の中央部分122と実質的に整列している。
図2aで最もよく分かるように、容器52上にオーバーキャップ54を配置すると、そのシーム66は、スナップ嵌合タイプの方法で、固定リブ112と安定リブ120との間に提供された環状のギャップ124(
図5を参照)内に嵌合保持される。容器52にオーバーキャップ54を取り付けるのを支援するための、オーバーキャップ54の内部表面114に外接する任意の数およびサイズのリブ112、120が含まれてもよい。あるいは、当技術分野で知られているように、他の方法を利用して容器52にオーバーキャップ54を固定することができる。
【0026】
また、安定リブ120は、オーバーキャップ54にかかる頂部荷重を増大させることができるように、オーバーキャップ54にさらなる構造一体性を提供してもよい。詳細には、安定リブ120の底部表面は、容器52の周りのオーバーキャップ54の上部に印加される力を分散させるのを支援するように容器52の一部と相互作用する。さらに、安定リブ120は、キャッピングプロセスの間、および/またはキャッピングプロセスの後に、オーバーキャップ54を整列させ、適切な位置に配置するのを支援する。そのようなアライメント支援は、アクチュエータ56がバルブステム76上に正しく配置されることを保証するのに役立つ。
【0027】
図5で最もよく分かるように、オーバーキャップ54の側壁92の内部表面114から下向きに、2つの同様に成形された細長いフランジ130a、130bが延びている。フランジ130a、130bは、第1の端部132で側壁92に取り付けられる。フランジ130a、130bの第2の端部134は、側壁92から離間している。フランジ130の第1の端部132は、ディスペンシングオリフィス104に隣接するポイントで側壁92に接続しており、安定リブ120と実質的に平行になるように下向きに延びている。フランジ130a、130bの各々の前縁部138と側壁92の内部表面114との間に、ギャップ136(
図7および
図7aを参照)が形成される。ギャップ136により、フランジ130a、130bは、フランジ130が前縁部138の全長にわたってオーバーキャップ54に固定されているのとは対照的に、撓曲し、作動プロセス中にヒンジとして機能することができるようになる。ギャップ136の幅は、互いに平行である軸Bと軸Cとの間で測定した場合、好ましくは少なくとも0.2mmである。特定の実施形態では、ギャップ136の好ましい範囲は、約0.2mm〜約10mmであり、より好ましくは約0.8mm〜約3mmであり、最も好ましくは約1mmである。軸「B」は、側壁92と交差し、軸「C」は、フランジ130a、130bの前縁部138を通って長手方向に平行に延びている。ギャップ136の間隔は、詳細には、本明細書で説明するようなガイド機能を依然として提供しながら、アクチュエータ56の適切な量の撓曲を可能にするようにサイズ決定される。ギャップ136のサイズは、本明細書に記載される利点を実現することができるように適切なサイズに調整され得る。容器サイズ、オーバーキャップサイズ、噴霧される製品のタイプ、アクチュエータサイズ、構成要素の製造材料などのような様々な製造時の考慮がなされてもよい。
【0028】
さらに
図5を参照すると、フランジ130a、130bは各々、可動式ポスト142a、142bがそこから延びている外側側壁140と、チャネル146a、146bがその中に形成された内部側壁144によってそれぞれ規定される。ポスト142a、142bの遠位端148は、フランジ130a、130bの第2の端部134を通り過ぎて下向きに延びている。可動式ポスト142a、142bの遠位端148は、折り畳まれ、フランジ130a、130bの第2の端部134を介してアクセス可能なチャネル146a、146bの一部を少なくとも部分的に覆うように適合されている。別の実施形態では、可動式ポスト142a、142bの遠位端148は、少なくとも、フランジ130a、130bの第2の端部134を介してアクセス可能なチャネル146a、146bの部分のすべてを覆う。いくつかの実施形態では、ポスト142a、142bは、フランジ130a、130bと一体であるが、他の実施形態では、ポスト142a、142bは、フランジ130a、130bに取り付けられた別個の構造である。ポスト142a、142bは、熱間かしめ、冷間成形、ロールオーバー、スウェッジングなどのような当業者に知られている任意のプロセスを利用して形成することができる。
【0029】
図7および
図8で最もよく分かるように、各チャネル146a、146bは、直線で規定されており、フランジ130a、130bの第1の端部132に隣接するポイントから、フランジ130a、130bの第2の端部134に向かって下向きに延びている。
図8を参照すると、チャネル146a、146bは、内部表面160a、160b、160cおよび端部壁162によって規定される。製造の前には、チャネル146a、146bは、アクチュエータ56の一部を挿入することができるように第2の端部134で開いている。本実施形態では、内部表面160a〜cは、約2mm〜約10mmの長さ寸法と約0.5mm〜約4mmの幅寸法とを有しており、より好ましくは約4mm〜約8mmの長さ寸法と約0.75mm〜約2mmの幅寸法とを有している。さらに、チャネル146a、146bの各々は、約0.2mm〜約1mmの深さ寸法を、より好ましくは約0.4mmの深さ寸法を含む。別の実施形態では、チャネル146a、146bは、アクチュエータ56上の対応する部品と相互作用するように適合された、断面およびサイズが変動する内部表面を備える。チャネル146は、以下により詳細に後述するように、アクチュエータ56のための整列・誘導機構として作用する。
【0030】
次に
図9〜
図12を参照すると、アクチュエータ56は、導管182上に配設されたボタン180と、そこから延びた細長い本体184とを含むように示されている。ボタン180は、導管182および本体184と一体である。ボタン180は、オーバーキャップ54の頂部壁96の開口部102に相補的な形状を含んでおり(
図3参照)、部分的にそこを通って延びる。本実施形態における導管182は、垂直導管186を備えており、垂直導管186は、その第1の端部で容器52のバルブステム76と流体連通し、その第2の端部でボタン180に取り付けられている。本実施形態の本体184は、その第1の端部で垂直導管186と流体連通している水平導管188を備える。垂直導管186は、容器52からバルブステム76を受けるようにサイズ決定されたインレットオリフィス190(
図12参照)を含む。インレットオリフィス190により、流体は、導管186、188を通ってアウトレットオリフィス194まで延びる通路192(
図2aおよび
図12を参照)を通過することができるようになる。水平導管188の第2の端部に隣接して、先端を切断された円筒形ヘッド196が配設されており、円筒形ヘッド196は、それを貫通して延びるアウトレットオリフィス194を含む。アクチュエータ56の一部には、たとえば、渦流チャンバ、ノズルインサートなどのような当技術分野で知られている様々な構成要素が任意に含まれてもよい。
【0031】
図9、
図11、および
図13で最もよく分かるように、2つの細長いタブ200a、200bが、アウトレットオリフィス194の両側でアクチュエータ56のヘッド196から外向きに突き出している。タブ200a、200bは各々、タブ200a、200bの第1の端部206に隣接して配設された第1の平坦面202および第1の傾斜面204と、タブ200a、200bの第2の端部212に隣接して配設された第2の平坦面208および第2の傾斜面210を含む。タブ200a、200bの第1の端部206は各々、以下により詳細に記載するようにオーバーキャップ54内でアクチュエータ56をセンタリングするのを支援するための丸みを帯びた縁部を含む。第1の平坦面202および第2の平坦面208は、タブ200a、200bの中心点によって規定される軸218(
図13参照)に対して実質的に平行になるように延びている。第1の平坦面202と第2の傾斜面210とは、互いに同一空間に広がっており、タブ200a、200bの第1の側面214を形成する。第1の傾斜面204と第2の平坦面208とは、互いに同一空間に広がっており、タブ200a、200bの第2の側面216を形成する。第2の平坦面208および第2の傾斜面210の長さ寸法は、それぞれ、第1の平坦面202および第1の傾斜面204の対応する長さ寸法よりも大きい。好ましい実施形態では、第2の平坦面208は約1mm〜約4mmの長さ寸法を有し、第2の傾斜面210は約1mm〜約4mmの長さ寸法を有する。さらに、好ましくは、第1の平坦面202は約1mm〜約4mmの長さ寸法を有し、第1の傾斜面204は約1mm〜約4mmの長さ寸法を有する。本実施形態では、第1の平坦面202は約2.0mmの長さ寸法を有し、第1の傾斜面204は約2.0mmの長さ寸法を有し、第2の平坦面208は約3.0mmの長さ寸法を有し、第2の傾斜面210は約3.0mmの長さ寸法を有する。第1の平坦面202および第1の傾斜面204と第2の平坦面208および第2の傾斜面210との長さの比は、約0.25:1〜:約1.5:1であることが有利であることが分かった。本実施形態では、長さの比は、約2:3である。
【0032】
図13に示すように、第1の傾斜面204および第2の傾斜面210は、タブ200a、200bの第1の平坦面202および第2の平坦面208に対して平行な軸222に対する角度220を規定する。好ましい実施形態では、軸222と第1の傾斜面204または第2の傾斜面210との間の角度は、約2度〜約10度である。本実施形態では、この角度は約5度である。第1の傾斜面204に対する角度220と第2の傾斜面210に対する角度220とは互いに同じあることが好ましい。別の実施形態では、第1の傾斜面204に対する角度220と第2の傾斜面210対する角度220とは、互いに対して異なっている。
【0033】
オーバーキャップ54を動作可能な状態にするために、オーバーキャップ54内のフランジ130a、130bのチャネル146a、146bの中に、アクチュエータ56のタブ200a、200bをスライドさせる、または圧入する。チャネル146a、146b内にタブ200a、200bが配設されると、ポスト142a、142bを内向きに折り畳んで、またはかしめて、または第2の端部134を覆うようにして(
図12の矢印230参照)、チャネル146a、146bを覆い、アクチュエータ56をその中に保持する。アクチュエータ56をそこから取り外すことができないように、ポスト142a、142bを圧着してチャネル146a、146bを覆うことができる。アクチュエータ56は、たとえば、冷間かしめ、熱間かしめ、フランジ130a、130bの延在する壁を形成またはロールオーバーすること、およびスウェッジングを含む多くの方法で、チャネル146a、146b内に保持することができる。ポスト142a、142bは、チャネル146a、146bの一部をブロックし、それにより、製造プロセスの間の重要な利点が提供される。詳細には、アクチュエータ56は、製造プロセスの間、オーバーキャップ54内に保持され、全体を通してその中に保持される。オーバーキャップ54内にアクチュエータ56を固定することにより、容器52をオーバーキャップ54に係合させ、組立てプロセスの間、適切に整列させることができるようになり、それにより、アクチュエータ56のミスアライメントおよび破損の可能性が低減される。
【0034】
その後、組み付けられたオーバーキャップ54は、上述した方法と同様の方法で、容器52上に取り付けられ、保持される、すなわち、オーバーキャップ52のリブ112、120が容器52のシーム66と相互作用して、スナップ嵌合タイプの方法でオーバーキャップ54を容器52に固定する。この状態では、アクチュエータ56のボタン180は、オーバーキャップ54を通って上向きに延び、オーバーキャップ54の頂部壁96に配設された開口部102から外に出る。ボタン180は、適切に取り付けると、開口部102を通って上に延び、作動プロセスを実現するためにユーザが圧力を印加することができる表面を生成する。さらに、この状態では、容器52のバルブステム76がインレットオリフィス190内に取り付けられ、それにより、インレットオリフィス190および導管186を規定する表面は、それらの間に実質的に流体のしっかりとした封止を提供する。バルブステム76、リブ112、120およびアクチュエータ56、たとえば、インレットオリフィス190の寸法および配置は、導管186とバルブステム76との間の適切な流体封止を維持する点で、また、アクチュエータ56のミスアライメントを防止する、たとえば、アウトレットオリフィス194がディスペンシングオリフィス104とミスアライメントすることを防止する点で重要である。従来のオーバーキャップ構成では、変動する製造公差は、典型的には、オーバーキャップに欠陥が生じる原因となり、上述の構成要素のアラインメントは、構成要素が破損する、容器の排出が早すぎる、または噴霧角度が不適当になる原因となる。たとえば、従来のオーバーキャップのバルブステムを、オーバーキャップが設計されたものよりも大きい高さ成分で製造した場合、容器上にオーバーキャップを取り付けた結果、バルブステムまたはアクチュエータを破損、容器の内容物が偶発的な排出、および/またはディスペンシングオリフィスのミスアライメントにより不適当な角度でまたはオーバーキャップ自体内で噴霧する可能性がある。
【0035】
アクチュエータ56をオーバーキャップ54に挿入し、その中に保持すると、ディスペンシングシステム50によって様々な利点が実現される。詳細には、フランジ130a、130bのチャネル146a、146bを規定する表面は、その第2の端部134に直接隣接する区域ではオーバーキャップ54に取り付けられてない。このように離隔することにより、チャネル146a、146bは撓曲することができるようになり、それにより、アクチュエータ56のアウトレットオリフィス194をディスペンシングオリフィス104内で適切に整列させることができるようになる。
【0036】
別の利点は、オーバーキャップ54を容器52に接合する係合動作の間およびその後に、チャネル146a、146b内におけるタブ200a、200bの回転運動または枢動運動によって、依然としてアクチュエータ56の制限された上方移動が可能なまま、アクチュエータ56を非作動位置で直立するように保持することである。アクチュエータ56により制限された上向き移動の許容差により、オーバーキャップ54は、係合動作の間またはその後に作動することなく、公差スタックアップおよびプリロード状態を調整することが可能になる。より詳細には、オーバーキャップ54が容器52に係合したとき、タブ200a、200bの第1の端部206の丸みを帯びた縁部は、チャネル146a、146b中にアクチュエータ56を誘導するのに役立つ。各タブ200a、200bの第1の平坦面202および第2の平坦面208は、時計回りの回転運動を実質的に防止し、第1の平坦面202および第2の平坦面208と内部表面160c、160aとの相互作用によって、アクチュエータ56を直立位置(
図2a参照)に保つ。ボタン180に印加された圧力により、タブ200a、200bは、カムをチャネル146a、146bへと後退させて、その中にアクチュエータ56を保持する。同時に、導管188のアウトレットオリフィス194は、ディスペンシングオリフィス104と実質的に整列した状態で配置され、バルブステム76は、垂直導管186のインレットオリフィス190内に取り付ける。取り付けによって、たとえば、バルブステムが大きすぎること、またはインレットオリフィスの延在部分が低くすぎることによって導管186に付与された任意の反時計回りの回転運動は、第1の傾斜面204および第2の傾斜面212がチャネル146a、146bの内部表面160a、160cに当たることによって、第1のタブ200aおよび第2のタブ200bの運動を制限する。このように運動を制限することにより、水平導管188のアウトレットオリフィス194とオーバーキャップ54のディスペンシングオリフィス104との実質的なミスアライメントが防止され、インレットオリフィス190とバルブステム76との間の適切な流体の封止が維持される。
【0037】
図14〜
図16を特に参照すると、様々な作動前状態および作動状態のディスペンシングシステム50が示されている。
図14および
図15で最もよく分かるように、ディスペンシングシステム50のアクチュエータ56に力を加えると、アクチュエータ56が第1の非作動状態(
図14)から第2の作動前状態(
図15)へと枢動する。第2の作動前状態のときには、アクチュエータ56のインレットオリフィス190およびアウトレットオリフィス194が、第1の位置から第2の位置まで移動する。
【0038】
さらに
図14および
図15を参照すると、インレットオリフィス190は、バルブステム76を中心として、第1の非作動状態と第2の作動前状態との間で枢動する。さらに、特定の実施形態では、アウトレットオリフィス194は、アクチュエータ56が第1の位置から第2の位置まで遷移すると移動する。この実施形態では、アウトレットオリフィス194は、第2の位置でオーバーキャップ54のディスペンシングオリフィス104と実質的に整列した状態で配設されることが好ましい。別の実施形態では、アウトレットオリフィス194は、アクチュエータ56が第3の作動状態になるまで、ディスペンシングオリフィス104と実質的に整列した状態には遷移されない。第1の非作動状態、第2の作動前状態および第3の作動状態の間、インレットオリフィス194と容器52のバルブステム76との間に、実質的に流体のしっかりとした接続が維持される。
【0039】
さらに
図14〜
図16を参照すると、垂直導管186を通って延びるチャネル300の中心軸によって長手方向軸Dが規定される具体的な実施形態は示されている。
図14で最もよく分かるように、軸Dが軸Aからオフセットしており、これは、アクチュエータ56が、垂直導管186のチャネル300と実質的に完全には垂直に整列していないことを示している。アクチュエータ56が枢動するにつれて、軸Dは、ほぼ中間点で、または第2の作動前状態で軸Aと整列する。最終的には、第3の作動位置では、軸Dは、軸Aからオフセットして軸Aの反対側上にあり、これは、アクチュエータ56が作動位置へと完全に枢動したことを示している。
【0040】
アクチュエータ56が枢動するにつれて、アクチュエータ56の噴霧角度も変化する。第1の非作動位置における作動前のアクチュエータ56の噴霧角度xは、長手方向軸Aに対して、約90度〜約100度である(
図14参照)。アクチュエータ56が第2の作動前位置に遷移すると、噴霧角度は、長手方向軸Aに対して約85度〜約95度になる(
図15参照)。1つの実施形態では、第3の作動状態にあるときには噴霧角度は変化しないことが好ましいが、他の実施形態では、アウトレットオリフィス194がディスペンシングオリフィス104と実質的に整列した状態である限り、アクチュエータ56が第3の作動状態になるまで第2の位置の上述の噴霧角度範囲を満たさなくてもよく、あるいは、噴霧角度がさらに大きくなってもよい(
図16参照)。
【0041】
使用時には、アクチュエータ56に力を加えることによって、ディスペンシングシステム50から材料が噴霧される。この力によって、インレットオリフィス190を第2の作動前位置まで移動させるように、アクチュエータ56が枢動可能に回転する(
図15参照)。好ましい実施形態では、アクチュエータ56は、第1の位置から第2の位置まで、約2度〜約15度で枢動する。その後、アクチュエータ56を撓曲させて第3の作動状態および位置までインレットオリフィス190を移動させ、それにより、材料がそこから噴霧される(
図16参照)。第3の作動状態では、バルブステム76が適切に当たるように作用するために、アクチュエータ56の一部を弾性的に変形させて、インレットオリフィス190が下向きに移動することができるようにする。1つの実施形態では、アクチュエータ56を第3の位置に配置することにより、アクチュエータ56は、第2の位置と同じ量だけ長手方向軸からオフセットする。しかしながら、他の実施形態では、アクチュエータ56は、長手方向軸から約1度〜約20度オフセットしている。
【0042】
アクチュエータ56から力を取り除くと、インレットオリフィス190は、第1の非作動位置に戻る。アクチュエータ56は、アクチュエータ56の弾力性、および容器52内でバルブアセンブリを閉じるためにバルブスプリングによって上向きに移動するバルブステム76の力のうちの1つまたは複数によって、第1の非作動位置に移動される。
【0043】
次に
図17および
図18を参照すると、本明細書で前述したオーバーキャップ54およびアクチュエータ56と同様のオーバーキャップ54’およびアクチュエータ56’を含むディスペンシングシステム50’の別の実施形態が示されている。詳細には、オーバーキャップ54は、フランジ130’から外向きに延びた細長い突起350を含む。突起350は、前述の実施形態ついて記載したように、複数の平坦面および傾斜面を含み得る。アクチュエータ56’は、チャネル146’を含み、任意選択で可動式ポスト(図示せず)を含み得る。ディスペンシングシステム50’の機能は、本明細書に記載したディスペンシングシステム50と同様である。詳細には、フランジ130’の突起350は、アクチュエータ56’に配設されたチャネル146’の中へとスライドして、オーバーキャップ54’上にアクチュエータ56’を保持する。
【0044】
本明細書に記載した実施形態のうちのいずれかは、別の実施形態に関して開示される構造または方法のうちのいずれかを含むように変更することができる。さらに、本開示は、詳細には示されたタイプのエアゾール容器に限定されるものではない。またさらに、本明細書に開示した実施形態のうちのいずれかのオーバーキャップは、任意のタイプのエーロゾルまたは非エアゾール容器とともに動作するように変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
上記の説明に鑑みると、当業者には、本発明に対する数多くの修正が明らかになるであろう。したがって、この説明は、例示的なものにすぎないと解釈されるべきであり、当業者が本発明を実施および利用することが可能にすることを目的として、また、当業者に本発明を実施するための最良の形態を教示することの目的として提示されるものである。添付の特許請求の範囲に含まれるすべての修正形態に関するに独占的権利が確保される。