(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144269
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】マトリックスバンドリテーナー
(51)【国際特許分類】
A61C 5/50 20170101AFI20170529BHJP
A61C 5/80 20170101ALI20170529BHJP
A61C 19/06 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
A61C5/04
A61C5/12
A61C19/06 A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-540168(P2014-540168)
(86)(22)【出願日】2012年11月2日
(65)【公表番号】特表2014-534031(P2014-534031A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】US2012063455
(87)【国際公開番号】WO2013067455
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年9月29日
(31)【優先権主張番号】596176
(32)【優先日】2011年11月2日
(33)【優先権主張国】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】590004464
【氏名又は名称】デンツプライ シロナ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,シモン,ピー.
【審査官】
武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第3152400(US,A)
【文献】
米国特許第6234793(US,B1)
【文献】
米国特許第3482315(US,A)
【文献】
米国特許第2439703(US,A)
【文献】
米国特許第2588059(US,A)
【文献】
米国特許第3081543(US,A)
【文献】
特開平8−89516(JP,A)
【文献】
特表平7−500511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 5/50
A61C 5/80
A61C 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用マトリックスバンドリテーナーであって、
近位端部(42)及び遠位端部(40)を有するリトラクター(16)であって、該近位端部にバンド係合部(48)を有する、リトラクター(16)と、
近位端部と、遠位端部と、長手方向延在部(90)とを有する本体部(14)であって、該長手方向延在部は、該本体部の該近位端部側に位置し、該長手方向延在部は近位端部と遠位端部とを有し、該本体部の該近位端部にヘッド部を有する本体部(14)と、
該リトラクター(16)を該本体部(14)に連結する弾性付勢機構(80)とを備え、該弾性付勢機構は一対の弾力的弓状アーム(80)を含み、該弓状アームは近位端部と遠位端部とを有し、該弓状アームの該遠位端部は該リトラクター(16)の該遠位端部において連結されており、該弓状アームの該近位端部は該長手方向延在部の該遠位端部に連結されており、該弾性付勢機構は静止位置と完全能動位置とを有し、該静止位置では、該ヘッド部は該バンド係合部から第1の距離だけ離間し、該完全能動位置では、該ヘッド部は該バンド係合部から、該第1の距離よりも大きい第2の距離だけ離間し、該弾力的弓状アーム(80)は、該静止位置から該完全能動位置に向けて該弾性付勢機構を付勢するアクチュエーターを提供する、歯科用マトリックスバンドリテーナー。
【請求項2】
前記本体部(14)は前記弓状アーム(80)を含む、請求項1に記載の歯科用マトリックスバンドリテーナー。
【請求項3】
前記長手方向延在部(90)はチャネル(92)を有し、前記リトラクター(16)の少なくとも一部が前記チャネル(92)内に延在し、前記本体部(14)は、前記ヘッド部と前記チャネル(92)との間に壁(116)を更に含み、第1のバンド収容スロット(118)が、前記壁(116)を分離している、請求項1に記載の歯科用マトリックスバンドリテーナー。
【請求項4】
前記ヘッド部は可動トグル当接面(140)を有し、該可動トグル当接面は第2のバンド収容スロット(138)を有する、請求項1に記載の歯科用マトリックスバンドリテーナー。
【請求項5】
前記ヘッド部は略円筒状の受け部(112)を有し、該受け部は略円筒状のスイベルヘッド(110)を収容する、請求項4に記載の歯科用マトリックスバンドリテーナー。
【請求項6】
前記略円筒状のスイベルヘッド(110)は、2つの壁部(136)を有するディスク状ベース(134)を含み、前記2つの壁部(136)は前記ベース(134)から上方に延在しており、前記2つの壁部(136)は前記第2のバンド収容スロット(138)によって分離され、前記2つの壁部(136)は概ね円筒状外面(140)を形成し、各壁部(136)が凸状内面(142)を画定し、該凸状内面(142)は前記第2のバンド収容スロット(138)を形成するように分岐しており、各壁部(136)が上端部を有し、該上端部から横方向外方にリッジ(144)が延在し、前記略円筒形の受け部(112)は、アンダーカット(124)を有する開口(120)と、スロット(122)とを有し、円筒形スタブ(146)が、前記スイベルヘッド(110)の底部から、前記アンダーカットを有する開口に収容されるように延在し、前記円筒形スタブ(146)は延出部(148)を有し、該延出部は、横方向に延在するとともに、前記開口(120)及び前記スロット(122)を介して概ね後方に向いた方向において収容される形状とされており事後ロック係合を可能とさせる、請求項5に記載の歯科用マトリックスバンドリテーナー。
【請求項7】
前記リトラクター(16)及び前記本体部(14)は一体部品である、請求項1に記載の歯科用マトリックスバンドリテーナー。
【請求項8】
前記リトラクター(16)は、前記バンド係合部(48)と前記遠位端部との間に延在するロッド部と、前記本体部(14)の前記遠位端部のコネクター部(86)に取り付けられるコネクター部(46)とを含み、前記バンド係合部(48)は固定トグル受け部(64)を有するカプラー部(48)を含み、第3のバンド収容スロット(66)が、前記固定トグル受け部(64)から前記リトラクター(16)の前記近位端部の開口に向かって延在し、前記長手方向延在部(90)には前記リトラクター(16)を収容して保持するチャネル(92)が設けられており、該チャネル(92)に延在する舌部(96)が該カプラー部(48)に設けられた溝に収容される、請求項1に記載の歯科用マトリックスバンドリテーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用マトリックスバンドとともに用いるリテーナーに関し、特に、歯の修復中に環状マトリックスバンドを固定する歯科用マトリックスバンドリテーナーに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2011年11月2日に出願された、ニュージーランド国特許出願第596176号に対する優先権を主張する。この特許出願の内容全体は、引用することにより、本明細書の一部をなす。
【背景技術】
【0003】
環状マトリックスバンド及びマトリックスバンドの使用が、修復歯科学(restorative dentistry)においてよく知られており、広く利用されている。
【0004】
従来技術における主たる問題は、環状バンドでは、修復処置中、テンショナーを適所に配置したままにしてマトリックスバンドにかかる張力を維持することが必要となることや、バンドがバレル体(barrel-type feature)に張架されていることである。双方の場合において、修復処置は張力付与具の存在によって制限を受ける。
【0005】
歯科用マトリックスリテーナーは、歯の修復中、マトリックスバンドを締め付けて、マトリックスバンドを歯の周囲に固定する機械器具である。歯科用マトリックスリテーナーは、通常、本体部材とヘッド部材とからなる。マトリックスバンドは、ヘッド部材を通して取付けられ、本体部材は、歯の周囲でのマトリックスバンドの締付けを行う。上述したように、従来技術における問題は、修復中、マトリックスバンドリテーナーが環状バンドに取り付けられたままであり、歯科医にとって障害となる。
【0006】
従来技術のマトリックスバンドリテーナーは、プラスチックや金属等の様々な材料から作成することができる。従来技術のマトリックスバンドリテーナーは、使い捨てとすることも、使い捨て不可とすることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、環状マトリックスバンドを歯の周囲に配置して締め付ける手段を提供することである。
【0008】
本発明の目的は、使いやすい歯科用環状マトリックスバンドリテーナーを提供することである。
【0009】
本発明の更なる目的は、ひとたび配置されると、修復領域において障害が生じることのない環状マトリックスバンドを包含することである。
【0010】
本発明の更なる目的は、バンドが歯の周囲に締め付けられると、トグルで留められた環状バンドから取り外すことができるマトリックスバンドリテーナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、歯科用マトリックスバンドリテーナーを提供するものである。当該リテーナーは、近位端部及び遠位端部を有するリトラクターを備え、バンド係合部が近位端部に位置しており、近位端部及び遠位端部を有する本体部を備え、ヘッド部が近位端部に位置しており、リトラクターを本体部に連結する付勢機構を備えている。ヘッド部は、静止位置においては、バンド係合部から第1の距離だけ離間している。ヘッド部は、完全能動位置では、バンド係合部から第1の距離よりも大きい第2の距離だけ離間している。付勢機構は、静止位置から完全能動位置に向けて付勢機構を付勢するアクチュエーターを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】歯科用環状マトリックスを伴う、本発明の1つの実施形態による歯科用環状マトリックスバンドリテーナーの斜視図である。
【
図2】
図1の歯科用環状マトリックスバンドの斜視図である。
【
図3】
図1の歯科用環状マトリックスバンドリテーナーの本体部の上方斜視図である。
【
図4】
図1の歯科用環状マトリックスバンドリテーナーの本体部の下方斜視図である。
【
図5】
図1の歯科用環状マトリックスバンドリテーナーの本体部の前方上方斜視図である。
【
図6】
図1の歯科用環状マトリックスバンドリテーナーのリトラクターの斜視図である。
【
図7】
図1の歯科用環状マトリックスバンドリテーナーのリトラクターの遠位側端部の斜視図である。
【
図8】
図1の歯科用環状マトリックスバンドリテーナーのリトラクターの近位側端部の斜視図である。
【
図9】
図1の歯科用環状マトリックスバンドリテーナーのスイベルヘッドの底部前方斜視図である。
【
図10】
図1の歯科用環状マトリックスバンドリテーナーのスイベルヘッドの頂部後方斜視図である。
【
図11】
図1の歯科用環状マトリックスバンドリテーナーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、歯科用環状マトリックス12を伴う、本発明の1つの実施形態による歯科用環状マトリックスバンドリテーナー10の斜視図である。リテーナー10は、本体部14とリトラクター16とを備えるように示されている。本体部14はヘッド部18を含む。
【0014】
歯科用環状マトリックス12が
図2に示されている。本発明は歯科用環状マトリックス12自体に関するものではないが、その構造は本発明をより十分に理解するのに重要である。歯科用環状マトリックス12は、第1の端部24及び第2の端部26を有するバンド22を含む。このバンドは、折り返して上記端部同士を位置合わせした状態で重ねられ、環状バンド部28を形成する。上記端部は、固定トグル30等によってともに固定される。可動トグルすなわち摺動トグル32が締まり嵌めによってバンド上に構成される。理解されるように、上記端部から離れるように可動トグルを移動させると、ループになったバンドの環の大きさを制限する。
【0015】
図6はリトラクター16の上方斜視図である。
図7はリトラクターの遠位端部40の斜視図であり、
図8はリトラクターの近位端部42の斜視図である。
図6〜
図8は、リトラクター16がロッド部44を有し、遠位端部にコネクター部46と、近位端部にカプラー部48とを有することを示している。リトラクター16は、例えば、プラスチックや金属を含む剛性構造を呈する種々の材料から作製することができる。
図7において最も良く見て取れるように、コネクター部は、開放遠位端50を有するカプラー状構造を有する。図示されているコネクター部は、開放されている頂部52と、閉鎖されている底部56を提供する壁54とを有する。壁の内面58は、一連の同様な形状の湾曲溝60を有する。
図8において最も良く見て取れるように、カプラー部は、1対のプロング部(prong:叉)62によって部分的に形成される略C字状の外形を有する。プロング部は略D字状の開口64を形成し、この開口64からリトラクターの近位端の開口に向かってスロット66が延在している。理解されるように、スロットは、把持機能を向上させるために曲がりくねった曲線形状を呈する。カプラー部の両側は、長手方向に延在する溝68をそれぞれ有する。
【0016】
図3は、歯科用環状マトリックスバンドリテーナー10の本体部14の上方斜視図である。本体部14は、弓の形状になっている1対の弾力的外側アーム80を含む。これらのアームは、第1の端部82及び第2の端部84をそれぞれ有する。第1の端部同士は、本体部14の略中間部においてつながっている。第2の端部同士は、本体部14の遠位位置においてつながっている。リトラクターに連結されるコネクター部86が、本体部の遠位端部に位置している。
【0017】
ネック部90が、弾力的外側アームの第1の端部から本体部14の近位端部まで延在している。ネック部は、リトラクター16を収容して保持するチャネル92を有する。チャネルは、1対の対向する側壁94によって形成される。チャネルは、側壁の内面に沿って長手方向に延在する対向する突条部又は舌部96を有する。舌部は、カプラー部にある1対の溝に収容されるようになっており、それにより剛性の向上がもたらされる。側壁の下端部は第1の底壁98を介して接続されており、第1の底壁98は、1対の弾力的外側アームの第1の端部に隣接して位置している。側壁の下端部は、また、第2の底壁100を介して接続されており、第2の底壁100は、本体部の近位端部に位置する。側壁の上端部は頂壁すなわちブリッジ102によって接続されており、ブリッジ102は、概ね弾力的外側アームの第1の端部同士が出会う場所に位置する。ネック部はリトラクター当接面104を更に有し、この当接面104は、近位方向へのリトラクターの移動を制限する。
【0018】
図1に示されているように、本体部14はヘッド部を含む。ヘッド部は、略円筒状のスイベルヘッド110を含む。
図3において見て取れるように、ヘッド部は、スイベルヘッドを収める受け部112を含む。受け部は、第2の底壁の一部を含む。第2の底壁の上面には略円筒形の凹部114が設けられる。この上面の遠位周囲から上方に向かって、スイベルヘッド当接面すなわちスイベルヘッド用壁116が延在している。スイベルヘッド用壁116は、略円筒形の凹部及びスイベルヘッドと概ね整合する円筒形面を呈する。スイベルヘッド用壁は、垂直に延びるスロット118によって分離されている。このスロットは、ネック部を通って延在する長手方向軸と概ね整合する。この実施形態では、スイベルヘッド用壁及びリトラクター当接面は同じ構造によって形成されることが理解される。円形開口120が、円筒形凹部の概ね中心の位置において第2の底壁を貫通している。スロット開口122が、円形開口から本体部の近位端側に向かって延在している。円形開口とスロット開口とが一緒になって、略鍵穴の形状を形成する。
図4において見て取れるように、鍵穴状開口はアンダーカット124を有する。アンダーカット124は鍵穴状開口の周縁に沿って延在している。アンダーカット124は、スロット開口と略同じ又はスロット開口よりも僅かに大きい半径を有し、この周縁に沿った最も遠位側の位置を起点として両方向に延在し、全体としておよそ225度の角度わたって延在している。このようにして、第1の停止部及び第2の停止部126が形成される。
【0019】
図4もコネクター部を示している。コネクター部は壁130を有する。壁130は、本体部の遠位側端部から近位側端部に向かって、かつ本体部の頂部側に延在している。コネクター部の壁の内面から本体部の底部側に向かって、一連の同様な形状の湾曲フランジ132が垂直方向に延在している。湾曲フランジすなわちプロング部(prong)は、
図11に示されているようなリトラクターの湾曲溝と係合するようにされている。本体部の長手方向軸に沿ったリトラクターの位置は、それぞれの湾曲溝に挿入される湾曲フランジの位置を変更することによって調整することができることが理解される。垂直のプロング部は、材料の伸張を可能にするように、ヘッド部に対して調整可能な長さ(リーチ)を提供する。
【0020】
図9及び
図10に示されているように、スイベルヘッドは略円筒形のベース部134を有する。1対の壁136が、ベース部からリテーナーの頂部側に向かって垂直に延在している。垂直の壁は、垂直のスロット138によって分離されている。垂直の壁の外面140は略円筒形の面を提供、すなわち画定している。垂直の壁の内面142は、スリットに向かって収束する凸面をそれぞれ画定している。リッジ144が、垂直の壁のそれぞれの上縁から横方向外方に延在している。円形開口の直径よりも僅かに小さい直径を有するスタブ146が、ベース部から下方に延在している。タングすなわち延出部148が、スタブから横方向に延在するとともに、第2の底壁のアンダーカットの箇所の厚さと略同じ距離を置いて、ベース部の第2の底面壁から離間している。スタブ及びタング(延出部)は、鍵穴状開口と同様のプロフィールすなわち輪郭を画定している。スイベルヘッドを本体部に挿入するために、タング(延出部)は上記スロットと整合するようにされなければならないことが理解される。このとき、スイベルヘッドを、停止部のうちの1つを越えて約180度回転させる。次に、スイベルヘッドを、概ねリテーナーの近位端部側に向かって垂直のスロットに合わせて位置決めすることができる。このとき、スイベルヘッドは締まり嵌め状態であるが、タング(延出部)によって2つの停止部間の225度の位置まわりに関して容易に調整可能である。
【0021】
リトラクターは、チャネル内に収まるとともに、側壁と、底壁と、頂壁とによって囲まれることが理解される。カプラー部はヘッド部に隣接し、カプラー部とヘッド部との間の構造によって分離される。このとき、2つの外側弓体は通常の弧状形態にある。弓体が互いに向かって圧迫されると、リトラクターの遠位側端部はヘッド部に対して遠位側に移動し、ひいては、カプラー部をヘッド部から離れるように同様の遠位側方向に移動する。
【0022】
リテーナーは以下の様に動作する。マトリックスバンドの閉鎖端部が、カプラー部のスロットを通してリテーナー内に配置される。このとき、ヘッド部の前方のマトリックスバンドの可動バックル及び固定テールが、リトラクターの近位側端部のカプラー部内に位置決めされる。マトリックスバンドのループ部が歯上に配置される。テンショナーである弓体を圧迫することにより、リトラクターが後退して、バンドの閉鎖端部が後方に引っ張られ、マトリックスバンドのループ部に向けて前方にバックルが押し進められ、歯の周囲にバンドが密着する。マトリックスバンドが適所に置かれると、テンショナーを取り外してバンドの自由端部を平坦にして邪魔にならないようにすることができる。
【0023】
別の実施形態においては、ヘッド部は、第2の底部側から垂直方向上方に延在する4つの垂直のプロング部(図示していない)を含む。4つのプロング部は4つの垂直のスリットを画定し、1つは遠位側に面し、別の1つは近位側に面し、別の1つはチャネルの片側にあり、最後の1つはチャネルの反対側にある。
【0024】
また、別の実施形態においては、リトラクターのカプラー部は、スリットを形成する2つの垂直のフランジ(図示していない)からなる。このスリットはチャネルの長手方向軸と整合している。
【0025】
スイベルヘッドは、バンドをヘッドの左側においても右側においても用いることを可能にする。同様に、4つの垂直のポストは、リテーナーを顎のどちらの側においても用いることを可能にする。
【0026】
本体部、特に弾力的アームは、弾力的アームが図面に示されているような弓状形態に付勢される材料で作製され、そのような態様に形成される。
【0027】
本発明は特定の用途に関して記載されているが、この用途は本質的に例示であり、本発明の可能な用途を限定する意図はない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、変更及び変形を実施してもよいことが理解される。本開示は本発明の例示として意図されており、本発明を図示及び記載されている特定の実施形態に限定することは意図していないことが理解される。本開示は、添付の特許請求の範囲により、特許請求の範囲の範囲内にある全ての変更形態を包含することが意図される。