特許第6144277号(P6144277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6144277シリコンナノ粒子を用いて太陽電池を製造するためのレーザー接触プロセス、レーザーシステム及び太陽電池構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144277
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】シリコンナノ粒子を用いて太陽電池を製造するためのレーザー接触プロセス、レーザーシステム及び太陽電池構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20170529BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   H01L31/04 260
   H01L31/04 422
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-549082(P2014-549082)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公表番号】特表2015-506577(P2015-506577A)
(43)【公表日】2015年3月2日
(86)【国際出願番号】US2012067890
(87)【国際公開番号】WO2013095924
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年11月27日
(31)【優先権主張番号】13/335,550
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505379467
【氏名又は名称】サンパワー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ロスカトフ、ポール
(72)【発明者】
【氏名】モレサ、スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】キム、テソク
【審査官】 吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−545158(JP,A)
【文献】 特表2010−519731(JP,A)
【文献】 特表2010−514585(JP,A)
【文献】 特開2007−194636(JP,A)
【文献】 特表2011−512689(JP,A)
【文献】 特表2011−505679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の複数のコンタクトホールを形成する方法であって、
太陽電池基板上に複数のドープシリコンナノ粒子を形成する工程と、
前記複数のドープシリコンナノ粒子をナノ粒子パッシベ―ション膜でコーティングする工程と、
レーザー接触プロセスにて前記複数のドープシリコンナノ粒子上にレーザービームを当て、前記複数のドープシリコンナノ粒子を貫通して前記太陽電池のエミッタに至る一のコンタクトホールを形成する工程と、を備える方法。
【請求項2】
前記太陽電池基板上に前記複数のドープシリコンナノ粒子を形成する工程に先立ち、前記太陽電池基板上にパッシベーション膜を形成する工程を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のドープシリコンナノ粒子は、前記パッシベーション膜上に形成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記パッシベーション膜が二酸化ケイ素を含む、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のドープシリコンナノ粒子を前記ナノ粒子パッシベーション膜でコーティングする工程が、
前記複数のドープシリコンナノ粒子の各々又は塊の表面上に二酸化ケイ素を形成する工程と、
前記複数のドープシリコンナノ粒子の各々又は塊の表面上に窒化ケイ素を堆積させる工程と、
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記レーザー接触プロセスにて前記複数のドープシリコンナノ粒子上に前記レーザービームを当てて前記太陽電池の前記エミッタに至る前記一のコンタクトホールを形成する工程に先立ち、前記複数のドープシリコンナノ粒子からのドーパントを前記太陽電池基板内に拡散させて前記エミッタを形成する工程を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記エミッタに至る前記一のコンタクトホールを形成するべく、前記レーザー接触プロセスにて前記複数のドープシリコンナノ粒子上に前記レーザービームを当てた際に溶融された複数のドープシリコンナノ粒子から前記エミッタを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のドープシリコンナノ粒子上にキャップ層を形成する工程を更に備え、
前記一のコンタクトホールが前記キャップ層を貫通する、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エミッタを電気的に接続するべく、前記一のコンタクトホール内に金属接点を形成する工程を更に備える、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
太陽電池基板と、
前記太陽電池基板上の複数のドープシリコンナノ粒子と、
前記複数のドープシリコンナノ粒子を貫通するコンタクトホールと、
エミッタと、
前記コンタクトホールを介して前記エミッタに電気的に接続する金属接点と、を備え、
前記複数のドープシリコンナノ粒子の各々又は塊の表面はナノ粒子パッシベーション膜を有する、太陽電池。
【請求項11】
前記エミッタが前記太陽電池基板内にある、請求項10に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記太陽電池基板がシリコン基板を含む、請求項10または11に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記太陽電池基板と前記複数のドープシリコンナノ粒子との間にパッシベーション膜を更に備える、請求項10から12のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記複数のドープシリコンナノ粒子上にキャップ層を更に備える、請求項10から13のいずれか一項に記載の太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載する主題の実施形態は概して太陽電池に関する。より具体的には、主題の実施形態は太陽電池を製造するための装置、プロセス及び構造に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽放射を電気エネルギーに変換するものとして周知のデバイスである。太陽電池はP型及びN型拡散領域を含み、これらの拡散領域はまた「エミッタ」とも呼ばれる。製造中には、接触プロセスを実行して、エミッタに至るコンタクトホールを形成する。対応するエミッタを電気的に接続するべく、コンタクトホール内に金属接点を形成する。金属接点は、外部電気回路が太陽電池に接続され、太陽電池によって電力供給されることを可能にする。
【0003】
接触プロセスでは、エミッタを露出させる材料の層を貫通するコンタクトホールを形成する。接触プロセスにおいては、既に適所にある特定の構造又は材料層に支障を来してはならないし、電気的性能を減失させるような仕方でエミッタを損耗させてもならない。接触プロセスは、エミッタの上部にある多くの材料層を貫通する工程を伴うことから、太陽電池を損耗させてしまう本質的に危険性の高いプロセスである。
太陽電池のコンタクトに関しては、特許文献1〜3に開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特表2011−512689号公報
[特許文献2]米国特許出願公開第2010/075234号明細書
[特許文献3]特表2010−528487号公報
【発明の概要】
【0004】
一実施形態において、太陽電池のコンタクトホールを形成する方法は、太陽電池基板上にドープシリコンナノ粒子を形成する工程を含む。ドープシリコンナノ粒子は、ナノ粒子パッシベーション膜でコーティングされる。レーザー接触プロセスにてドープシリコンナノ粒子上にレーザービームを当て、ドープシリコンナノ粒子を貫通して太陽電池のエミッタに至るコンタクトホールを形成する。
【0005】
別の実施形態において、太陽電池は、太陽電池基板と、太陽電池基板上の複数のドープシリコンナノ粒子であって、複数のドープシリコンナノ粒子の各々又は塊の表面がナノ粒子パッシベーション膜を有する、複数のドープシリコンナノ粒子と、複数のドープシリコンナノ粒子を貫通するコンタクトホールと、エミッタと、コンタクトホールを介してエミッタに電気的に接続する金属接点と、を備える。
【0006】
別の実施形態において、太陽電池のコンタクトホールを形成する方法は、太陽電池基板上にドープシリコンナノ粒子を形成する工程を含む。ドープシリコンナノ粒子からのドーパントを拡散させることによって、エミッタが形成される。ドープシリコンナノ粒子は、ナノ粒子パッシベーション膜でコーティングされる。レーザー接触プロセスにてドープシリコンナノ粒子上にレーザービームを当て、ドープシリコンナノ粒子を貫通してエミッタに至るコンタクトホールを形成する。
【0007】
別の実施形態において、太陽電池のコンタクトホールを形成する方法は、太陽電池の基板上にドープシリコンナノ粒子を形成する工程を含む。ドープシリコンナノ粒子は、ナノ粒子パッシベーション膜でコーティングされる。ドープシリコンナノ粒子の一部をレーザービームで溶融し、太陽電池のエミッタをドープシリコンナノ粒子の溶融済部分で形成して、太陽電池のエミッタに至るコンタクトホールを形成する。
【0008】
本発明のこれら及びその他の特徴は、添付の図面及び特許請求の範囲を含む本開示の全体を読むことにより、当業者には容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
より完全な本主題の理解は、発明を実施するための形態、及び特許請求の範囲を、以下の図面と併せて考察し、参照することによって導き出すことができ、同様の参照番号は、図面全体を通して同様の要素を指す。図は正確な縮尺によらない。
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る太陽電池レーザーシステムの概略図。
【0011】
図2】本発明の実施形態に係る、シリコンナノ粒子のレーザーアブレーションにより太陽電池のコンタクトホールを形成する方法を概略的に示した断面図。
図3】本発明の実施形態に係る、シリコンナノ粒子のレーザーアブレーションにより太陽電池のコンタクトホールを形成する方法を概略的に示した断面図。
図4】本発明の実施形態に係る、シリコンナノ粒子のレーザーアブレーションにより太陽電池のコンタクトホールを形成する方法を概略的に示した断面図。
図5】本発明の実施形態に係る、シリコンナノ粒子のレーザーアブレーションにより太陽電池のコンタクトホールを形成する方法を概略的に示した断面図。
図6】本発明の実施形態に係る、シリコンナノ粒子のレーザーアブレーションにより太陽電池のコンタクトホールを形成する方法を概略的に示した断面図。
図7】本発明の実施形態に係る、シリコンナノ粒子のレーザーアブレーションにより太陽電池のコンタクトホールを形成する方法を概略的に示した断面図。
【0012】
図8】本発明の実施形態に係る、シリコンナノ粒子のレーザー溶融により太陽電池のコンタクトホールを形成する方法を概略的に示した断面図。
図9】本発明の実施形態に係る、シリコンナノ粒子のレーザー溶融により太陽電池のコンタクトホールを形成する方法を概略的に示した断面図。
図10】本発明の実施形態に係る、シリコンナノ粒子のレーザー溶融により太陽電池のコンタクトホールを形成する方法を概略的に示した断面図。
図11】本発明の実施形態に係る、シリコンナノ粒子のレーザー溶融により太陽電池のコンタクトホールを形成する方法を概略的に示した断面図。
図12】本発明の実施形態に係る、シリコンナノ粒子のレーザー溶融により太陽電池のコンタクトホールを形成する方法を概略的に示した断面図。
【0013】
図13】本発明の実施形態に係る、レーザー接触プロセスを用いて太陽電池のコンタクトホールを形成する方法を示した流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示では、本発明の実施形態を十分に理解するために、装置、構成部品及び方法の例など、多数の具体的な詳細を提供している。しかしながら、当業者であれば、本発明はこれらの具体的な詳細のうちの1つ以上を欠いても実施できることは理解されよう。他の例では、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるため、周知の詳細については図示又は説明をしていない。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る太陽電池レーザーシステム100を概略的に示したものである。図1の例では、レーザーシステム100は、レーザー源102及びレーザースキャナー104を含む。レーザー源102は市販のレーザー源であってよい。レーザースキャナー104は、検流計レーザースキャナーを含み得る。動作中に、レーザー源102は、構成101に応じて所定の波長のレーザービーム103を生成する。構成101は、スイッチ/ノブ配列、コンピュータ可読ブログラムコード、ソフトウェアインターフェイスセッティング、及び/又はレーザー源102の設定可能パラメーターを設定するためのその他の手段を含み得る。構成101は、パルス繰り返し率、繰り返しごとに発生するパルス数、パルス波形、パルス振幅、パルス強度又はエネルギー、及びレーザー源102のその他のパラメーターを設定するものであってよい。レーザースキャナー104で、製造対象の太陽電池全体に対してレーザーパルス103を走査することによって、その太陽電池内にコンタクトホールを形成する。図1の太陽電池は、例えば、図2〜7の太陽電池200であってもよいし、又は図8〜12の太陽電池300であってもよい。
【0016】
図2〜7は、本発明の実施形態に係る、シリコンナノ粒子のレーザーアブレーションにより太陽電池200のコンタクトホールを形成する方法を概略的に示した断面図である。
【0017】
図2において、太陽電池基板は結晶性シリコン基板203を含む。シリコン基板203上にナノ粒子201を形成する前に、シリコン基板203の表面を不動態化してもよい。シリコン基板203の表面は、ナノ粒子201に至る連続的界面を形成するか又は基板界面をドーピングして少数キャリアを通さないようにすることによっても、不動態化され得る。ナノ粒子201はまた、パッシベーション層としても機能し得る。図2の例において、シリコン基板203の表面は、パッシベーション膜202で不動態化されている。パッシベーション膜202は、二酸化ケイ素を含んでいてもよい。具体的な例として、パッシベーション膜202は、熱により成長した二酸化ケイ素を含む場合もあれば、又はシリコン基板203の表面上に堆積した二酸化ケイ素を含む場合もある。一般に、パッシベーション膜202は、例えば、酸化物などの任意の好適なパッシベーション材料を含み得る。パッシベーション膜202はまた、太陽電池の特質に応じて必ずしも使用しなくてよい。
【0018】
一実施形態において、ナノ粒子201は、粒径が500nm未満のドープシリコンナノ粒子を含む。シリコンナノ粒子201をN型ドーパント(例えば、リン)でドーピングしてN型エミッタを形成することも可能であるし、又はP型ドーパント(例えば、ホウ素)でドーピングしてP型エミッタを形成することも可能である。以下により明らになるように、シリコンナノ粒子201は、エミッタを形成するためのドーパント源として機能し得る(図3を参照)。
【0019】
シリコンナノ粒子を用いて形成されたエミッタを使用することによって、少数キャリアの存続時間が比較的長くなり(>1ms)、太陽電池の効率向上が可能になる。しかしながら、太陽電池にてシリコンナノ粒子をドーパント源として又はポリシリコンエミッタの代用として利用する技術は未だ開発の途上にあり、シリコンナノ粒子を貫通するコンタクトホールの形成は従前のプロセスとして周知のものとなってはいない。
【0020】
図2の例において、シリコンナノ粒子201は、パッシベーション膜202上に形成されている。シリコンナノ粒子201は、例えば、スクリーン印刷又はインクジェット印刷などの印刷プロセスによって形成することができる。パッシベーション膜202は任意的な特徴部であり、太陽電池の特質に応じて適用し得る場合もあれば又は適用し難い場合もある。例えば、シリコンナノ粒子201は、基板203の表面上に直接形成され得る。
【0021】
図3では、シリコンナノ粒子201からのドーパントを、パッシベーション膜202を介してシリコン基板203内に拡散させることによって、シリコン基板203内にエミッタ204を形成している。エミッタ204を形成するための拡散プロセスに、例えば、炉内で行われる加熱工程を含めてもよい。太陽電池200は、導電型の異なる複数のエミッタを含んで構成されているが、図解が明確になるよう、図3及び後続の図には1つのエミッタのみを示している。エミッタ204はP型導電性を有する場合があり、この場合、シリコンナノ粒子201はP型ドーパントを含む。あるいは、エミッタ204はN型導電性を有する場合があり、この場合、シリコンナノ粒子201はN型ドーパントを含む。一般に、P型ドーパントを有するシリコンナノ粒子201は、P型エミッタが形成されている基板203の領域の上に形成され、N型ドーパントを有するシリコンナノ粒子201は、N型エミッタが形成されている基板203の領域の上に形成される。拡散プロセスでは、シリコンナノ粒子201からドーパントをシリコン基板203内に拡散させることによって、対応する導電型のエミッタ204を形成する。
【0022】
図4においては、シリコンナノ粒子201を不動態化することによって電子正孔対の再結合を最小限に抑え、レーザーアブレーションプロセスを最適化している。シリコンナノ粒子201は、不動態化されたシリコンナノ粒子205として再標識化される。この再標識化によって、パッシベーションプロセスにて融合した又は凝集したシリコンナノ粒子201の各々若しくは塊がナノ粒子パッシベーション膜206でコーティングされるように指示される。ナノ粒子パッシベーション膜206は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、又はシリコンナノ粒子201の各々若しくは塊の表面上に形成された他の好適なパッシベーション材料を含み得る。例えば、ナノ粒子パッシベーション膜206は、酸化雰囲気にてシリコンナノ粒子201を加熱することによってシリコンナノ粒子201の表面上で熱により成長した酸化物を含み得る。また、シリコンナノ粒子201の有孔率に応じて、原子層堆積(ALD)によるものを含め、化学蒸着(CVD)によって、シリコンナノ粒子201の表面上にナノ粒子パッシベーション膜206を堆積させることもまた可能である。例えば、ナノ粒子パッシベーション膜206は、ALDによってシリコンナノ粒子201の表面上に堆積した窒化ケイ素を含み得る。
【0023】
図4の例においては、エミッタ204を形成した拡散プロセスの後に、シリコンナノ粒子201が不動態化されている。シリコンナノ粒子201からのドーパントはナノ粒子パッシベーション膜206を介して拡散され得るため、エミッタ204を形成する拡散プロセスよりも前に、シリコンナノ粒子201が不動態化される可能性もある。拡散プロセスよりも前にシリコンナノ粒子201を不動態化すると、拡散プロセス中にシリコンナノ粒子201同士が凝結するシナリオが回避され得る。一方、拡散プロセスよりも前にシリコンナノ粒子201を不動態化すると、施工次第では拡散プロセスを妨げてしまう可能性もある。拡散プロセス及びシリコンナノ粒子パッシベーションプロセスが実行される順序は、全製造プロセスの細目に依存する。図4のように、ナノ粒子パッシベーション膜206がシリコンナノ粒子201の各々又は塊の表面上に成長又は堆積し得るのは、合成中(即ち、シリコンナノ粒子201が製造されている間)か、合成された後(但し、シリコンナノ粒子201が基板203上に形成される前)か、又はシリコンナノ粒子201が基板203上に形成された後が一般的である。
【0024】
図5において、キャップ層207は、不動態化されたシリコンナノ粒子205上に形成されている。キャップ層207は、堆積した窒化ケイ素又は他のキャッピング材料を含み得る。キャップ層207は、下に配された材料に水分が浸透するのを防ぐことによって、不動態化されたシリコンナノ粒子205とパッシベーション膜202との界面が減成されてしまう可能性を回避する。キャップ層207はまた、キャップ層207の形成後にエミッタ204が形成されるプロセスにおいてドーパントが流出して処理チャンバ内に入り込むのを防ぐのにも好都合である。特に、キャップ層207が形成された後に、シリコンナノ粒子201からドーパントを基板203に移動させる拡散工程を実行してもよい。その場合、キャップ層207は、ドーパントが処理チャンバ内に流入して太陽電池200の他の特徴部に拡散するのを防ぐ。キャップ層207は必須ではなく、プロセスによっては省略してもよい。
【0025】
図6では、レーザー接触プロセスでエミッタ204上に形成された材料にレーザービーム103を当て、コンタクトホール208を形成してエミッタ204を露出させている。図解が明確となるように、コンタクトホール208は1つのみ示している。太陽電池200は複数のエミッタ204を含み、各々のエミッタ204に対してコンタクトホール208が形成され得る。
【0026】
図6の例において、レーザー接触プロセスはシリコンナノ粒子を貫通してコンタクトホールを形成するレーザーアブレーションプロセスを含む。一般に、レーザー接触プロセスには、1つ以上のレーザー源、1つ以上のレーザーパルス、1つ以上のレーザー工程が関与する場合があり、アブレーション以外のレーザープロセスを含めてもよい。レーザー接触プロセスには、キャップ層207、不動態化されたシリコンナノ粒子205及びパッシベーション膜202の一部をレーザービーム103で除去し、コンタクトホール208を形成してエミッタ204を露出させる工程を含めてもよい。一実施形態において、不動態化されたシリコンナノ粒子205の一部を除去してそこにコンタクトホール208を形成する工程は、レーザーアブレーションによるものである。キャップ層207及びパッシベーション膜202の一部を除去する工程は、レーザーアブレーションで行ってもよいが、別個のレーザー工程にて他のレーザープロセスで行うこともまた可能である。
【0027】
レーザーアブレーションの場合、ナノ粒子パッシベーション膜206の厚さは、シリコンナノ粒子201の粒径に対し相対的に広範に及び得るが、例えばレーザー溶融プロセスと比べて厚くなるのが一般的である。レーザー源102は、電力、波長、及びパルス時間がナノ粒子アブレーションの達成に最適であるものが選択される。ナノ粒子の場合、物理的特性(光学的及び熱的挙動を含む)がそのサイズに依存することから、これらのレーザー特性は、バルクシリコンの場合のレーザー特性とは異なることがあり得る。レーザー源102のレーザービーム103は、コンタクトホール208が形成される領域上に向けられ得る。その領域は、不動態化されたシリコンナノ粒子205で覆われる領域よりも小さいか又は等しい任意のサイズであり得る。
【0028】
シリコンナノ粒子201の粒径に対するナノ粒子パッシベーション膜206の厚さは、特定のレーザー源102に合わせて調整できる。例えば、シリコンが緑色レーザーを吸収し、かつ酸化物が緑色レーザーを透過するため、酸化物(二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウムなど)のナノ粒子パッシベーション膜206の厚さは、緑色波長のレーザービーム103の大部分が伝達又は吸収されるように調節できる。つまり、ナノ粒子パッシベーション膜206の厚さは、最適なアブレーションが実現されるように調節できる。ナノ粒子パッシベーション膜206の厚さ、シリコンナノ粒子201の粒径、及びレーザー源102の特性は、その太陽電池の細目に依存する。
【0029】
個々のナノ粒子パッシベーション膜206は絶縁体として機能するため、シリコンナノ粒子201において離散的アブレーションイベントが生ずる。この結果、シリコンナノ粒子201が直接的にアブレーションされ、エミッタ204及び基板203に対する損傷が最小限度に抑えられて、エミッタ204の表面に至るコンタクトホール208が開く可能性が生ずる。コンタクトホール208が開くのは、残りのシリコンナノ粒子201が残留している間、シリコンナノ粒子201がレーザービーム103に露出された場合だけに限られる。これらの残留シリコンナノ粒子201は抵抗率が高いため、電荷キャリアを導通することもなく、又はキャリアの再結合に有意に寄与することもない。
【0030】
図7では、対応するエミッタ204の表面を電気的に接続するべく、各コンタクトホール208内に金属接点209が形成されている。
【0031】
図8〜12は、本発明の実施形態に係る、シリコンナノ粒子のレーザー溶融により太陽電池300のコンタクトホールを形成する方法を概略的に示した断面図である。レーザー溶融は、粒子の焼鈍、焼結、合体、又は粒子温度上昇が関与しそれによって粒子の集塊を生じさせる、レーザープロセスを含む。一般に、レーザー溶融には、パルス幅が比較的長い、例えば1ナノ秒以上のレーザーパルスが関与する。際立って対照的に、レーザーアブレーションには、パルス幅が比較的短い、例えば1ピコ秒以下であり得るレーザーパルスが関与する。
【0032】
図8において、太陽電池基板は結晶性シリコン基板303を含む。シリコン基板303の表面は、シリコン基板303上にナノ粒子301が形成される前に不動態化され得る。シリコン基板303の表面は、ナノ粒子301に至る連続的界面を形成するか又は基板界面をドーピングして少数キャリアを通さないようにすることによっても、不動態化され得る。ナノ粒子301はまた、パッシベーション層としても機能し得る。図8の例において、シリコン基板303の表面はパッシベーション膜302で不動態化されている。パッシベーション膜302は、二酸化ケイ素を含み得る。具体的な例として、パッシベーション膜302に含まれる二酸化ケイ素は、熱により成長したものである場合もあれば、又はシリコン基板303の表面上に堆積したものである場合もある。一般に、パッシベーション膜302は、例えば酸化物などの任意の好適なパッシベーション材料を含み得る。パッシベーション膜302はまた、太陽電池の特質に応じて必ずしも使用しなくてよい。例えば、シリコンナノ粒子301は、基板303の表面上に直接形成され得る。
【0033】
一実施形態において、ナノ粒子301は、粒径が500nm未満のドープシリコンナノ粒子を含む。シリコンナノ粒子301をN型ドーパント(例えば、リン)でドーピングしてN型エミッタを形成することも可能であるし、又はP型ドーパント(例えば、ホウ素)でドーピングしてP型エミッタを形成することも可能である。シリコンナノ粒子301は、パッシベーション膜302上に形成される。シリコンナノ粒子301は、例えば、スクリーン印刷又はインクジェット印刷などの印刷プロセスによって形成できる。
【0034】
図9では、シリコンナノ粒子301を不動態化することによって電子正孔対の再結合を最小限に抑え、レーザー溶融プロセスを最適化している。シリコンナノ粒子301は、不動態化されたシリコンナノ粒子305として再標識化される。この再標識化によって、パッシベーションプロセスにて融合した又は凝集したシリコンナノ粒子301の各々若しくは塊がナノ粒子パッシベーション膜306でコーティングされるように指示される。ナノ粒子パッシベーション膜306は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、又はシリコンナノ粒子301の各々若しくは塊の表面上に形成された他の好適なパッシベーション材料を含み得る。例えば、ナノ粒子パッシベーション膜306は、酸化雰囲気にてシリコンナノ粒子301を加熱することによってシリコンナノ粒子301の表面上で熱により成長した酸化物を含み得る。シリコンナノ粒子301の有孔率に応じて、ALDによるものを含め、CVDによってシリコンナノ粒子301の表面上にナノ粒子パッシベーション膜306を堆積させることもまた可能である。例えば、ナノ粒子パッシベーション膜306は、ALDによってシリコンナノ粒子301の表面上に堆積した窒化ケイ素を含み得る。
【0035】
図10において、キャップ層307は、不動態化されたシリコンナノ粒子305上に形成されている。キャップ層307は、堆積した窒化ケイ素又は他のキャッピング材料を含み得る。キャップ層307は、下に配された材料に水分が浸透するのを防ぐことによって、不動態化されたシリコンナノ粒子305とパッシベーション膜302との界面が減成されてしまう可能性を回避する。キャップ層307は必須ではなく、プロセスに応じて省略することもできる。
【0036】
図11では、レーザー接触プロセスにて、エミッタ304が形成される基板303上の領域にレーザービーム103を当てている。レーザー接触プロセスでは、キャップ層307の一部を除去し、不動態化されたシリコンナノ粒子305を溶融させ、パッシベーション膜302の一部を除去して、コンタクトホール308及びエミッタ304を形成する。一般に、レーザー接触プロセスには、1つ以上のレーザー源、1つ以上のレーザーパルス、1つ以上のレーザー工程が関与する場合があるため、溶融以外のレーザープロセスを含めてもよい。一実施形態において、不動態化されたシリコンナノ粒子305の溶融はレーザー溶融によるものであり、それに対し、キャップ層307の一部の除去及びパッシベーション膜302の一部の除去はレーザーアブレーションによるものである。エミッタ304のバルクは、溶融されたシリコンナノ粒子301を含み、これらのシリコンナノ粒子はドーピングされているため、導電性である。
【0037】
太陽電池300は、導電型の異なる複数のエミッタ304を備えて構成されているが、図解が明確になるよう、図11及び後続の図には1つのエミッタのみを示している。エミッタ304はP型導電性を有する場合があり、この場合、シリコンナノ粒子301はP型ドーパントを含む。あるいは、エミッタ304はN型導電性を有する場合があり、この場合、シリコンナノ粒子301はN型ドーパントを含む。一般に、P型ドーパントを有するシリコンナノ粒子301は、P型エミッタが形成されている基板303の領域の上に形成され、N型ドーパントを有するシリコンナノ粒子301はN型エミッタが形成されている基板303の領域の上に形成される。レーザー溶融プロセスでは、シリコンナノ粒子301を溶融させることによって、対応する導電型のエミッタ304を形成する。
【0038】
レーザー溶融の場合、ナノ粒子パッシベーション膜306の厚さは、シリコンナノ粒子301の粒径に対し相対的に広範に及び得るが、例えばレーザーアブレーションプロセスと比べて薄くなるのが一般的である。レーザー源102は、電力、波長、及びパルス時間がナノ粒子の溶融を達成するのに最適であるものが選択される。ナノ粒子の場合、物理的特性(光学的及び熱的挙動を含む)がそのサイズに依存することから、これらのレーザー特性がバルクシリコンの場合のレーザー特性とは異なることがあり得る。レーザー源102のレーザービーム103は、コンタクトホール308及びエミッタ304が形成される領域上に向けられ得る。その領域は、不動態化されたシリコンナノ粒子305で覆われる領域よりも小さいか又は等しい任意のサイズであり得る。個々のナノ粒子パッシベーション膜306は比較的薄いため、レーザー溶融中にナノ粒子パッシベーション膜306が破裂する可能性があり、その場合、溶融したシリコンナノ粒子301はナノ粒子パッシベーション膜306で生成された個々のシェルに封じ込められない。ナノ粒子パッシベーション膜、ナノ粒子及びレーザープロセスの様々な相互作用、例えばナノ粒子パッシベーション膜の間接的アブレーション又は溶融によって、ナノ粒子パッシベーション膜が破裂する場合もある。
【0039】
レーザー溶融の際、シリコンナノ粒子301は溶融して再結晶し、ポリシリコン層又はエピタキシャルシリコン層のいずれか一方を形成する。再成長した層は、高濃度にドーピングされたポリシリコン又は単結晶シリコンであり、エミッタ304として機能する。エミッタ304におけるこの再成長した領域は、バルク基板ドーピングを有する結晶性シリコンの領域内、又はその基板よりも高濃度にドーピングされた領域内に存在する場合があり、これは、シリコンナノ粒子301からドーパントが移動してエミッタ304を形成することに起因する。特定のフィルムスタックがレーザー溶融に適したものであるかどうかを基準に、スタックをシリコンナノ粒子301のレーザー溶融中に焼灼する場合もあれば、又はフィルムスタックをシリコンナノ粒子301のレーザー溶融前若しくは後のどちらかに焼灼するうえで第2のレーザー条件を要する場合もある。この結果、焼鈍済領域の表面に至るコンタクトホール308が生じ、このコンタクトホールは導電性であり、レーザービーム103に露出されたシリコンナノ粒子301の領域内にのみ形成される。残りのシリコンナノ粒子301(即ち、レーザービーム103に露出されなかったもの)は抵抗率が高いため、キャリアを導通することもなく、又はキャリアの再結合に有意に寄与することもない。
【0040】
既に述べたように、シリコンナノ粒子301の粒径に対するナノ粒子パッシベーション膜306の厚さは、特定のレーザー源102に合わせて調整できる。つまり、ナノ粒子パッシベーション膜306の厚さは、最適な溶融が実現されるように調節できる。ナノ粒子パッシベーション膜306の厚さ、シリコンナノ粒子301のサイズ、及びレーザー源102の特性は、その太陽電池の細目に依存する。
【0041】
図12では、対応するエミッタ304の表面を電気的に接続するべく、各コンタクトホール308内に金属接点309が形成されている。
【0042】
図13は、本発明の実施形態に係る、レーザー接触プロセスを用いて太陽電池のコンタクトホールを形成する方法を示した流れ図を示す。図13の例において、シリコンナノ粒子は、適切なドーパント、例えば、N型エミッタに至るコンタクトホールを形成する場合はN型ドーパント、又はP型エミッタに至るコンタクトホールを形成する場合はP型ドーパントでドーピングされている(工程401)。太陽電池基板上にシリコンナノ粒子を形成する(工程402)。例えば、シリコンナノ粒子を太陽電池基板上に直接に堆積させてもよいし、基板上に配されている別の層(例えば、パッシベーション膜)上に堆積させてもよい。
【0043】
シリコンナノ粒子を不動態化する(工程403)。シリコンナノ粒子の不動態化は、合成中、合成された後(但し、太陽電池基板上に形成される前)、又は太陽電池基板上に形成された後に可能である。太陽電池基板上でのシリコンナノ粒子の不動態化は、太陽電池のエミッタが形成される前又は形成された後に可能である。シリコンナノ粒子の各々又は塊の表面をナノ粒子パッシベーション膜でコーティングすることによって、シリコンナノ粒子が不動態化され得る。具体的な例として、酸化物は、シリコンナノ粒子の各々又は塊の表面上で、熱により成長し得る。別の例として、窒化ケイ素は、シリコンナノ粒子の各々又は塊の表面上に堆積され得る。好都合にも、ナノ粒子パッシベーション膜の厚さを特定のレーザー源に合わせて調整することによって、特定のレーザー接触プロセスのニーズを満たすことが可能になる。
【0044】
レーザー接触プロセスにてシリコンナノ粒子上にレーザービームを当てることによって、太陽電池のエミッタに至るコンタクトホールが形成される(工程404)。例えば、レーザー接触プロセスは、あるレーザーアブレーションプロセスにてシリコンナノ粒子を貫通してコンタクトホールを形成し、他の又は同じアブレーションプロセスにて他の材料を貫通してコンタクトホールを形成することを含み得る。その場合、エミッタを露出させるコンタクトホールを形成する前に、シリコンナノ粒子からドーパントを太陽電池基板内に拡散させてエミッタを形成してもよい。別の例として、レーザー接触プロセスにレーザー溶融プロセスを含めてもよく、このレーザー溶融プロセスでシリコンナノ粒子を溶融させることによって、溶融したシリコンナノ粒子を含むエミッタに至るコンタクトホールが形成される。コンタクトホールはキャップ層、シリコンナノ粒子、及びパッシベーション膜を貫通して形成され得る。シリコンナノ粒子以外の材料を貫通するコンタクトホールは、レーザーアブレーション又は他のレーザープロセスによるものであり得、これに対し、シリコンナノ粒子を貫通するコンタクトホールは、レーザー溶融によるものであり得る。レーザーを使用し、シリコンナノ粒子を貫通する比較的小さいコンタクトホールを用いることによって、太陽電池の効率を高めることが可能となる。
【0045】
上記のことから理解されるように、本発明の実施形態は、特定のプロセス要件を満たすべく様々なレーザー、シリコンナノ粒子サイズ、及びナノ粒子パッシベーション膜厚さを用いて実施され得る。例えば、レーザーアブレーション及びレーザー溶融のどちらの場合でも、パルス幅が1fs〜10nsの緑色又は赤外線(又は他の波長の)レーザーを使用できる。ナノ粒子パッシベーション膜の厚さは、シリコンナノ粒子のサイズ及びレーザープロセスの種類(即ち、アブレーション又は溶融のいずれか)に依存する。一般的に言って、シリコンナノ粒子の直径の25%を超える厚さを有するナノ粒子パッシベーション膜はレーザーアブレーションに向く傾向があり、シリコンナノ粒子の直径の25%以下の厚さを有するナノ粒子パッシベーション膜はレーザー溶融に向く傾向がある。例えば、直径200nmのシリコンナノ粒子で10nm厚のナノ粒子パッシベーション膜でコーティングされたものは、レーザー溶融の方が適している。別の例として、直径15nmのシリコンナノ粒子で10nm厚のナノ粒子パッシベーション膜でコーティングされたものは、レーザーアブレーションの方が適している。
【0046】
シリコンナノ粒子を使用して太陽電池を製造するためのレーザー接触プロセス、レーザーシステム、及び太陽電池構造が開示されてきた。本発明の具体的な実施形態を提供したが、これらの実施形態は説明を目的としたものであり、限定ではないことは理解されよう。多くの追加的実施形態が、本開示を読む当業者にとっては明らかとなろう。
(項目1)
太陽電池の複数のコンタクトホールを形成する方法であって、
太陽電池基板上に複数のドープシリコンナノ粒子を形成する工程と、
上記複数のドープシリコンナノ粒子をナノ粒子パッシベ―ション膜でコーティングする工程と、
レーザー接触プロセスにて上記複数のドープシリコンナノ粒子上にレーザービームを当て、上記複数のドープシリコンナノ粒子を貫通して上記太陽電池のエミッタに至る一のコンタクトホールを形成する工程と、を備える方法。
(項目2)
上記基板がシリコン基板を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記太陽電池基板上に上記複数のドープシリコンナノ粒子を形成する工程に先立ち、上記太陽電池基板上にパッシベーション膜を形成する工程を更に備える、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記複数のドープシリコンナノ粒子は、上記パッシベーション膜上に形成される、項目3に記載の方法。
(項目5)
上記パッシベーション膜が二酸化ケイ素を含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
上記複数のドープシリコンナノ粒子を上記ナノ粒子パッシベーション膜でコーティングする工程が、
上記複数のドープシリコンナノ粒子の各々又は塊の表面上に二酸化ケイ素を形成する工程を有する、項目1に記載の方法。
(項目7)
上記複数のドープシリコンナノ粒子を上記ナノ粒子パッシベーション膜でコーティングする工程が、
上記複数のドープシリコンナノ粒子の各々又は塊の表面上に窒化ケイ素を堆積させる工程を有する、項目1に記載の方法。
(項目8)
上記レーザー接触プロセスにて上記複数のドープシリコンナノ粒子上に上記レーザービームを当てて上記太陽電池の上記エミッタに至る上記一のコンタクトホールを形成する工程に先立ち、上記複数のドープシリコンナノ粒子からのドーパントを上記太陽電池基板内に拡散させて上記エミッタを形成する工程を更に備える、項目1に記載の方法。
(項目9)
上記エミッタに至る上記一のコンタクトホールを形成するべく、上記レーザー接触プロセスにて上記複数のドープシリコンナノ粒子上に上記レーザービームを当てた際に溶融された複数のドープシリコンナノ粒子から上記エミッタを形成する、項目1に記載の方法。
(項目10)
上記複数のドープシリコンナノ粒子上にキャップ層を形成する工程を更に備え、
上記一のコンタクトホールが上記キャップ層を貫通する、項目1に記載の方法。
(項目11)
上記エミッタを電気的に接続するべく、上記一のコンタクトホール内に金属接点を形成する工程を更に備える、項目1に記載の方法。
(項目12)
太陽電池基板と、
上記太陽電池基板上の複数のドープシリコンナノ粒子と、
上記複数のドープシリコンナノ粒子を貫通するコンタクトホールと、
エミッタと、
上記コンタクトホールを介して上記エミッタに電気的に接続する金属接点と、を備え、
上記複数のドープシリコンナノ粒子の各々又は塊の表面はナノ粒子パッシベーション膜を有する、太陽電池。
(項目13)
上記エミッタが上記太陽電池基板内にある、項目12に記載の太陽電池。
(項目14)
上記太陽電池基板がシリコン基板を含む、項目12に記載の太陽電池。
(項目15)
上記太陽電池基板と上記複数のドープシリコンナノ粒子との間にパッシベーション膜を更に備える、項目12に記載の太陽電池。
(項目16)
上記複数のドープシリコンナノ粒子上にキャップ層を更に備える、項目12に記載の太陽電池。
(項目17)
太陽電池の複数のコンタクトホールを形成する方法であって、
太陽電池基板上に複数のドープシリコンナノ粒子を形成する工程と、
上記複数のドープシリコンナノ粒子からドーパントを拡散させてエミッタを形成する工程と、
上記複数のドープシリコンナノ粒子をナノ粒子パッシベーション膜でコーティングする工程と、
レーザー接触プロセスにて上記複数のドープシリコンナノ粒子上にレーザービームを当て、上記複数のドープシリコンナノ粒子を貫通して上記エミッタに至るコンタクトホールを形成する工程と、を備える方法。
(項目18)
上記複数のドープシリコンナノ粒子から上記ドーパントを拡散させて上記エミッタを形成する工程に先立ち、上記複数のドープシリコンナノ粒子を上記ナノ粒子パッシベーション膜でコーティングする、項目17に記載の方法。
(項目19)
上記複数のドープシリコンナノ粒子を上記ナノ粒子パッシベーション膜でコーティングする工程が、
上記複数のドープシリコンナノ粒子の各々又は塊の表面上に二酸化ケイ素を形成する工程を有する、項目17に記載の方法。
(項目20)
上記複数のドープシリコンナノ粒子を上記ナノ粒子パッシベーション膜でコーティングする工程が、
上記複数のドープシリコンナノ粒子の各々又は塊の表面上に窒化ケイ素を堆積させる工程を有する、項目17に記載の方法。
(項目21)
上記複数のドープシリコンナノ粒子上にキャップ層を形成する工程を更に備え、上記コンタクトホールが上記キャップ層を貫通する、項目17に記載の方法。
(項目22)
太陽電池の複数のコンタクトホールを形成する方法であって、
太陽電池の基板上に複数のドープシリコンナノ粒子を形成する工程と、
上記複数のドープシリコンナノ粒子をナノ粒子パッシベーション膜でコーティングする工程と、
上記複数のドープシリコンナノ粒子の一部をレーザービームで溶融し、上記太陽電池のエミッタを上記複数のドープシリコンナノ粒子の溶融された部分で形成して、上記太陽電池の上記エミッタに対する一のコンタクトホールを形成する工程と、を備える方法。
(項目23)
上記複数のドープシリコンナノ粒子を上記ナノ粒子パッシベーション膜でコーティングする工程が、
上記複数のドープシリコンナノ粒子の各々又は塊の表面上に二酸化ケイ素を形成する工程を有する、項目22に記載の方法。
(項目24)
上記複数のドープシリコンナノ粒子を上記ナノ粒子パッシベーション膜でコーティングする工程が、
上記複数のドープシリコンナノ粒子の各々又は塊の表面上に窒化ケイ素を堆積させる工程を有する、項目22に記載の方法。
(項目25)
上記複数のドープシリコンナノ粒子上にキャップ層を形成する工程を更に含み、上記一のコンタクトホールが上記キャップ層を貫通する、項目22に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13