特許第6144294号(P6144294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144294
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】食品包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/16 20060101AFI20170529BHJP
   B65D 43/06 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   B65D43/16 300
   B65D43/06
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-82115(P2015-82115)
(22)【出願日】2015年4月14日
(65)【公開番号】特開2016-199308(P2016-199308A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2015年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】兼子 敏明
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−041520(JP,A)
【文献】 特開2010−264996(JP,A)
【文献】 特開2003−63573(JP,A)
【文献】 特開平9−188364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/16
B65D 43/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂シートを熱成形した容器本体と蓋体からなる食品包装用容器であって、
前記容器本体に前記蓋体を嵌合した際に、少なくとも本体フランジ内周壁と蓋体フランジ内周壁とが離間していて、
前記容器本体の本体側壁コーナー部に形成された本体リブの上端部が前記蓋体フランジ内周壁に接することにより、
前記本体リブが蓋体側壁部を伝って降下してきた水滴を底面部へ誘導することを特徴とする食品包装用容器
【請求項2】
前記蓋体の蓋体側壁コーナー部に天面部から蓋体フランジ部まで連続する蓋体リブが形成され、
前記容器本体に前記蓋体を嵌合した際に、前記蓋体リブが水滴を天面部から蓋体フランジ部まで誘導することを特徴とする請求項1に記載の食品包装用容器
【請求項3】
前記天面部を前記蓋体側壁部の上端より一段高く形成し、天面コーナー部に階段状の段部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の食品包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品包装用容器に関する。より詳しくは、食品等が収容される包装用容器の液漏れ防止技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、デパート、弁当店等の店舗において、食料品や加工食品等を販売する際に使用される容器として、合成樹脂シートからなる蓋体と容器本体とが嵌合して構成されている包装用容器が用いられている。
【0003】
包装用容器の内部には、煮物、揚げ物等の食品が温かいうちに収容される場合がある。そして、このような食品から発生する水蒸気が蓋体の内面で結露して水滴となり、店頭で持ち上げた時に容器の縁から漏れ出た水で手を濡らしたり、消費者が購入した食品を持ち帰る際に漏れ出た水で他の購入品を汚したりするという問題がある。
【0004】
このような背景の下、食品包装用容器内に収容される食品に含まれる水の漏出を防止しようとする技術が提案されている。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、本体フランジ部と蓋体フランジ部とが全域に亘って毛細管現象が生じないように離間された食品包装用容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−11779
【特許文献2】特開2014−201313
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に示されているように、容器の内部に収容される食品に含まれる水の漏出を防止せんとする試みがなされている技術はあるが、まだまだ不十分な技術が多い。それ故、従来の食品包装用容器は、食品から発生する水蒸気が蓋体の天面部に結露して水滴となり、結露した水滴が内容物に落ちて汚すといった問題がある。また、前記蓋体天面部に結露した水滴の一部は蓋体の側面を伝わって本体へと落ちていくが、残りの水滴は蓋体の天面部から落ちずに天面コーナー部に溜まってしまうという問題もある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点を解決するべくなされたものであり、蓋体の天面部で結露した水滴を容器本体の底面部へと誘導することによって、水滴が蓋体のフランジと容器本体のフランジ間に入り込み、毛細管現象で容器の外へ漏出することを防止する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る食品包装用容器は、内容物を収容するための容器本体と該容器本体の上部開口を塞ぐ蓋体とを備えてなる。
前記容器本体は、中央に広がる底面部と、該底面部の周縁から上方へ拡がる本体側壁部と、該本体側壁部の上端から外方向に連続する本体フランジ部とから構成される。そして、該本体フランジ部は、本体フランジ天面壁と、該本体フランジ天面壁の内周縁から垂下する本体フランジ内周壁と、前記本体フランジ天面壁の外周縁から下方に延びる本体フランジ外周壁と、該本体フランジ外周壁の下端からさらに外方向へ水平に拡がる本体鍔とから構成される。
前記蓋体は、中央に広がる天面部と、該天面部の周縁から下方へ拡がる蓋体側壁部と、該蓋体側壁部の下端から外方向に連続する蓋体フランジ部とから構成される。そして、該蓋体フランジ部は、蓋体フランジ天面壁と、該蓋体フランジ天面壁の内周縁から垂下する蓋体フランジ内周壁と、該蓋体フランジ内周壁の下端から内方向に延設され蓋体側壁部の下端に連続する蓋体フランジ低壁と、前記蓋体フランジ天面壁の外周縁から下方に延びる蓋体フランジ外周壁と、該蓋体フランジ外周壁の下端からさらに外方向へ水平に拡がる蓋体鍔部とから構成される。
【0009】
前記食品包装用容器は、前記本体側壁部のコーナー部において本体フランジ部から底面部方向に延びる内向きの本体リブが形成されて、容器本体に蓋体を嵌合した際に、本体フランジ部と蓋体フランジ部とが、少なくとも本体フランジ内周壁と蓋体フランジ内周壁とが対向する箇所において離間していて、該蓋体フランジ内周壁が本体リブの上端部に接する。前記蓋体フランジ内周壁が本体リブの上端部に接することにより、前記本体リブが蓋体側壁部を伝って降下してきた水滴を底面部に誘導することができる。
【0010】
また、前記食品包装用容器には、前記蓋体側壁部の蓋体側壁コーナー部において天面部から蓋体フランジ部まで連続する内向きの蓋体リブが形成されていて、容器本体に蓋体を嵌合した際に、前記蓋体リブが水滴を天面部から蓋体フランジ部まで誘導する。前記天面部を蓋体側壁部の上端より一段高く形成し、天面コーナー部に階段状の段部を設けることにより、水滴を段部に一端保持した後、前記蓋体リブにより天面コーナー部から蓋体フランジコーナー部までより効果的に水滴を誘導できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の食品包装用容器を使用すれば、容器内に収容した食品から発生した水蒸気の結露により蓋体天面にできた水滴を、本体フランジ部と蓋体フランジ部との間に結露水を浸入させずに、蓋体から容器本体の内側へスムーズに誘導することができ、容器内部から液漏れし難い食品包装用容器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る食品包装用容器の実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明に係る食品包装用容器の実施形態を示す平面図である。
図3】本発明に係る食品包装用容器の実施形態を示す蓋体と本体を閉じた平面図である。
図4図3のA−A断面図である。
図5】本実施形態における食品包装用容器の要部を示す断面図であり、(A)は、容器本体に蓋体を嵌合する前の状態、(B)は、容器本体に蓋体を嵌合した状態、である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照して、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本実施形態の食品包装用容器は、合成樹脂シートを真空成形、圧空成形、真空圧空成形、熱板成形等により熱成形した容器本体と蓋体とからなる。この合成樹脂シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂や、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなる単層シートやこれらの樹脂を積層した多層シートを使用するのが好ましい。また、合成樹脂シートの表面に合成樹脂フィルムをラミネートした積層シートを使用してもよく、ラミネートする合成樹脂フィルムや合成樹脂シートの表面に各種の印刷を施しても良い。
【0015】
本実施形態の食品包装用容器は、図1図3に示すように、平面視全体形状が矩形の容器であって、内容物を収容するための容器本体1と該容器本体1の上部開口を塞ぐ蓋体2とを備え、容器本体1と蓋体2とがヒンジ部3を介して一体的に成形されたものである。該食品包装用容器は、容器本体1に食品を載置した後、図3及び図4に示すように、蓋体2を閉塞させた状態で店頭に陳列されて使用されるものである。尚、収容物としては、例えば調理後の食品等の蒸気(湯気)を発する内容物に好適に用いることができるが、これに限定する必要はない。
【0016】
本実施形態においては、図1図5に示すように、前記容器本体1は、中央に広がる底面部15と、該底面部15の周縁から上方へ拡がる本体側壁部12と、該本体側壁部12の上端から外方向に連続する本体フランジ部11とから構成される。そして、該本体フランジ部11は、本体フランジ天面壁11aと、該本体フランジ天面壁11aの内周縁から垂下する本体フランジ内周壁11bと、前記本体フランジ天面壁11aの外周縁から下方に延びる本体フランジ外周壁11cと、該本体フランジ外周壁11cの下端からさらに外方向へ水平に拡がる本体鍔部11dとから構成される。
また、前記蓋体2は、前記本体1に蓋体2を嵌合した状態で、中央に広がる天面部26と、該天面部26の周縁から下方へ拡がる蓋体側壁部22と、該蓋体側壁部22の下端から外方向に連続する蓋体フランジ部21とから構成される。そして、該蓋体フランジ部21は、蓋体フランジ天面壁21aと、該蓋体フランジ天面壁21aの内周縁から垂下する蓋体フランジ内周壁21bと、該蓋体フランジ内周壁21bの下端から内方向に延設され蓋体側壁部22の下端に連続する蓋体フランジ低壁21eと、前記蓋体フランジ天面壁21aの外周縁から下方に延びる蓋体フランジ外周壁21cと、該蓋体フランジ外周壁21cの下端からさらに外方向へ水平に拡がる蓋体鍔部21dとから構成される。
【0017】
本実施形態においては、本体側壁部12コーナー部において本体フランジ部11から底面部15方向に延びる内向きの本体リブ13が形成されて、容器本体1に蓋体2を嵌合した際に、本体フランジ部11と蓋体フランジ部21とが離間していて、該蓋体フランジ内周壁21bが本体リブの上端部13aに接する。前記蓋体フランジ内周壁21bが本体リブの上端部13aに接することにより、該本体リブ13が蓋体側壁部22を伝って降下してきた水滴を底面部15に誘導することができる。
【0018】
本実施形態においては、容器本体1に蓋体2を嵌合した際に、本体フランジ部11と蓋体フランジ部21とが全体に亘って間隙を形成してあるが、少なくとも本体フランジ内周壁11bと蓋体フランジ内周壁21bとが離間している必要がある。本体フランジ部11と蓋体フランジ部21とが接触していると毛細管現象によって本体フランジ部11と蓋体フランジ部21との間に水滴が入り込み水が容器の外へ漏出する虞がある。
【0019】
また、本実施形態においては、本体側壁部12の上部に本体側壁段部12aを形成してある。該本体側壁段部12aはなくても水滴誘導効果に影響はないが、本体側壁段部12aを設けることによって容器本体1の強度が増すので本体側壁段部12aを設けることが好ましい。
【0020】
本実施形態においては、前記蓋体2の蓋体側壁部12のコーナー部において天面部26から蓋体フランジ部21まで連続する内向きの蓋体リブ23が形成されていて、本体1に蓋体2を嵌合した際に、前記蓋体リブ23が水滴を天面部26から蓋体フランジ部21まで誘導する。前記天面部26を蓋体側壁部22の上端より一段高く形成し、天面コーナー部に階段状の段部27を設けることにより、水滴を該段部27に一端保持した後、前記蓋体リブ23により天面コーナー部から蓋体フランジコーナー部28までより効果的に水滴を誘導できる。
【0021】
前記蓋体リブ23は、その下端23aを前記蓋体フランジ低壁21eよりも下方へ突出させることで、蓋体リブ23を伝ってきた水滴を蓋体リブ下端23aで保持することができる。保持した水滴が大きくなると、蓋体フランジ内周壁21bと本体リブの上端部13aが接している部分に水滴が達し、水滴の表面張力により蓋体フランジ低壁21eから本体リブの上端部13aへ水滴が伝わり、さらに本体リブ13から底部15へ誘導することができる。また、該底部15の外周部に底壁15aより一段低い脚部16を設けておくことにより、底部15に誘導された水滴を脚部16に溜めることができる。
【0022】
以上に説明したように、本実施形態における本体リブ13の水滴誘導機能と蓋体リブ23の水滴誘導機能とを組み合わせることにより、蓋体2の天面コーナー部に溜まってしまう水滴を容器外部への液漏れを防止しつつ容器本体底面部15へ効果的に誘導することができる。
【0023】
さらに、前記蓋体リブ23は天面コーナー部に溜まった水滴を本体リブ13まで誘導する役割を果たすとともに、前記蓋体2の上方向からの圧力に対する強度を補強することができる。
【0024】
本実施形態においては、前記蓋体2の天面部26を容器本体1の脚部16の内側に適合する態様で上方へ突出させることにより、蓋を閉じた容器を積み重ねた際のズレ防止機能を持たせることができる。さらに、天面コーナー部に段差27を設けることで、段差を設けない構成に比して、コーナー部の表面積を増やし、コーナー部に溜まる水滴を大きな粒にすることができ、前記蓋体リブの上端23bへ水滴が伝わり易くする効果がある。
【0025】
本実施形態においては、前記蓋体2の天面部26で凝結した水滴を、蓋体リブ23と本体リブ13を介して容器本体1内まで誘導し、本体底壁15aよりも一段低い脚部16へ溜めることができるので、脚部16を設けない構成と比して、収容した食品が水滴で汚れることを効果的に防止することができる。
【0026】
さらに、前記脚部16には複数のリブを並設することが好ましい(図示せず)。これにより、脚部16にリブを設けない構成と比して、上方向からの圧力に対する強度を補強することができ、脚部が潰れ等によって変形するのを防止できる。
【0027】
本実施形態においては、容器本体1に食品を収容して蓋体2で閉塞させた容器を店頭で陳列する際にラベルを貼付し易くする様に、ヒンジ部3と対向する蓋体2の蓋体側壁部22に外側へ膨出するラベルスペース29を形成してある。これにより、商品ラベルをより見易く貼付することができると共に、ラベルと蓋体との間に隙間が空くことなくラベルを貼付できるためラベルの剥がれを防止できる。前記ラベルスペース29は、本実施形態に限らず、内容物の容量に合わせて適宜大きさや位置を決めることができる。
【0028】
本実施形態においては、平面視全体形状が矩形の場合の容器について説明したが、容器全体形状は矩形に限定されるものではなく、多角形であっても、その他の形状であってもよい。また、本実施形態においては、容器本体1と蓋体2とがヒンジ部3を介して一体的に構成された容器について説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、容器本体1と蓋体2とが別体で構成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
容器本体 1
本体フランジ部 11
本体フランジ部内周壁 11b
本体側壁部 12
本体リブ 13
本体リブの上端部 13a
底面部 15
脚部 16
蓋体 2
蓋体フランジ部 21
蓋体フランジ内周壁 21b
蓋体フランジ低壁 21e
蓋体側壁部 22
蓋体リブ 23
蓋体リブの下端 23a
蓋体リブの上端 23b
天面部 26
段差 27
蓋体フランジコーナー部 28
ラベルスペース 29
ヒンジ部 3
図1
図2
図3
図4
図5