(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記羽根アセンブリは、前記拡張可能部分が前記折り畳み構成から前記拡張構成へ移動する場合に、前記格納構成から前記展開構成へ移動するように構成される、請求項3に記載のポンプ。
前記羽根アセンブリは、前記ポンプの動作中に、前記伸長カニューレの前記拡張可能部分内で実質的に中心に前記インペラを維持するように構成される、請求項6に記載のポンプ。
前記インペラの前記ハブ及び前記羽根アセンブリを通じて軸方向に延在する管腔であって、患者の体内の標的部位に前記インペラ及び前記羽根アセンブリを案内するため、それを通じたガイドワイヤを受容するように適合された管腔と、
前記管腔内に位置付けられた密閉であって、前記ガイドワイヤが除去された後で、前記管腔内に流体の流れを防止するために構成された密閉と、
を備える、請求項13に記載のポンプ。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[I.装置]
本発明に係る血液ポンプ10は、左心補助装置として、右心補助装置として、臓器への血流を補完するため等を含む、人体内部の多様な適用を有する。
図1および2A〜Cを参照すると、血液ポンプ10は、回転可能なインペラ20、その中にインペラ20が存在するカニューレ40、およびカニューレ40を覆う保持シース60という、3つの主要構成要素を含むことができる。これらの部品の各々は概して以下に記載されるが、血液ポンプ10は、同時係属の米国特許出願第11/728,051号に記載される構造的配置および特徴のうちのいずれか、または全てを含むことができ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
[A.インペラ]
インペラ20は、ハブ22と、複数のブレード24とを含む。ブレード24は、体内への経皮的挿入のためにインペラ20の断面サイズを削減するように、ハブ22に対して折り畳み可能にすることができる。インペラ20が所望の位置に位置されると、ブレード24は、血液を送り出すためにインペラ20の操作を開始するように、折り畳まれたブレードの保存されたポテンシャルエネルギーを使用して、ハブ22から離れて拡張することができる。回転可能な駆動軸26は、ハブ22を、患者の体外に位置することができるモータ(図示せず)に連結し、それによって回転駆動をインペラに伝える。駆動軸26は、インペラ20に接続されるその遠位端に実質的に剛性部分28(
図8aを参照)と、実質的に可撓性部分30(
図9を参照)とを有することができる。いくつかの実施形態において、実質的に可撓性部分30は、駆動軸26の長さの大半に沿って延在する。有利に、この可撓性は、患者の体内へのポンプ10の送達の容易性を促進することができる。可撓性部分30は、容易に屈曲可能である金属またはポリマー編組から、または駆動軸26が回転する際の摩擦熱を削減するように複合材編組から形成することができる。駆動軸の可撓性部分30は、可撓性部分を支持し、回転駆動の際にその形状を維持する、可撓性管32内部に収容することができる。有利に、複合材編組から形成される可撓性部分30は、概して円滑な外面を有することができ、このために可撓性部分30と可撓性管32との間の摩擦を削減する。可撓性管32は、ポリマー管類、コイル金属管類等を含む、従来の可撓性生体適合管類から形成することができる。一実施形態において、可撓性管32は、ポリテトラフルオロエチレン等のポリマーから形成されることが好ましい。駆動軸26の近位端は、駆動軸およびインペラ20を回転させるためのモータに接続することができる。代替として、駆動軸26は省略することができ、インペラ20を回転させるための電気または流体動力源は、インペラの近位(例えば、展開時に患者内で、血液ポンプ10の遠位端近辺)に位置付けられる回転子/固定子アセンブリを通して提供することができる。
【0030】
インペラ20の駆動軸26およびハブ22はそれぞれ、ガイドワイヤ72がそこを通過することを可能にするように、内部管腔70を備えて形成することができる。合わせて、管腔70およびガイドワイヤ72は、患者内部で血液ポンプ10を位置付ける際に支援することができるが、ガイドワイヤは、血液ポンプ10を送達または位置付ける際には必要がない場合がある。ガイドワイヤ72は、巻線であってもよく、約0.305mm(0.012インチ)〜約0.889mm(0.035インチ)の範囲の外径を有することができ、一実施形態においては、左心補助装置として使用される時、経皮的(例えば、大腿部)挿入部位から心臓の左心室への蛇行動脈経路のナビゲーションを促進する、J字形先端74を有することができる。ガイドワイヤ72は、球状等の1つ以上の追加の遠位特徴、またはガイドワイヤ72の引き込み後にインペラ20(または管腔70と流体連通している他の遠位構造)の穴に差し込むように弁プラグ76を有することができる。
【0031】
図8Aおよび8Bは、駆動軸26の剛性部分28が、ベアリング筐体84内に保持される1つ以上のベアリング80によって支持することができることを示す。生理食塩水は、内部管腔70を通ってベアリング筐体84内に向かうことができ、ベアリングユニット端密閉86は、非常に少量の無菌生理食塩水が患者内に浸出するような(約1〜2cc/時)寸法にすることができる。この流体流は、インペラ20を洗浄することを助け、駆動軸の振動を抑制する。流体流はまた、血液がベアリング筐体84に侵入し、その操作および寿命に支障をきたすことを防止することができる。駆動軸26の剛性部分28の密度が、生理食塩水または他の導入される流体の密度とほぼ同じである場合、ほとんどの振動を抑制することができる。駆動軸26の剛性部分28は、金属よりも低い密度を有し、生理食塩水の密度により近似に一致する、カーボンまたは他の繊維およびポリマー複合物から形成することができる。他のより低密度の駆動軸および/または他のより高密度の流体は、振動抑制のために使用することができる。生理食塩水または他の流体は、中空駆動軸部分28の開口88を通ってベアリング筐体84に導入することができる。
【0032】
[1.逆止弁の配置および製造の方法]
好ましい配置において、インペラ20は、管腔70を通って流体が漏洩することを防止するために、
図10Aに示されるように、ボール逆止弁100を備えて提供することができる。
図10Cに示されるように、逆止弁100は、第1の直径を有し、ボール102が空洞内部で自由に移動可能であるように、第1の直径よりも大きい直径を有する球状空洞104内部に位置付けられる、球状ボール102を含む。インペラ20の管腔70内の流圧差に応じて、ボール102は、空洞104と管腔70との間の遠位弁座106または近位弁座108等の、流れを防止するための構造に対して押し付けられる。つまり、管腔70を通って遠位または外向きに流れる生理食塩水の圧力が、管腔70を通って近位または内向きに流れる血液の圧力よりも大きい場合、ボール102は、生理食塩水がインペラ20を通って外に流れないように、遠位弁座106に対して押し付けられる。一方、管腔70を通って内向きに流れる血液の圧力が、管腔70を通って外向きに流れる生理食塩水の圧力よりも大きい場合、ボール102は、血液が駆動軸26の内部に流れないように、近位弁座108に対して押し付けられる。
【0033】
逆止弁100が適切に操作するために、ボール102は、インペラ20が回転する時に遠心力によってボールが外向きに投げ出されないように、空洞104内部の流体(血液または生理食塩水のいずれか)の密度よりも小さい密度を有するべきである。適切な密度で形成される時、ボール102は、インペラの回転中は自立し、空洞104内の圧力差に応じて、弁座106または弁座108のいずれかに対して押し付けられる。さらに、適切に設計された逆止弁100は、インペラ20のバランスおよび剛性に対してほとんど影響を与えることがない。
【0034】
管腔70の経路内の逆止弁100の存在にも関わらず、ガイドワイヤ72は依然として、患者内部の所望の場所に設置するために、血液ポンプ10がガイドワイヤ72上から前進することを可能にするよう、管腔を通過することができる。この点で、インペラ20は、容易に変形することができ、変形力が除去された後にその元の形状に戻る、可撓性、弾性のある材料から形成されることが好ましい。この際、テーパー形状ピンまたは類似の器具の使用を通して等、ボール102を管腔70の片側に力をかけることによって、インペラのハブ22は変形し、ガイドワイヤ72のために管腔70を通って障害のない経路を提供する。一実施形態において、ガイドワイヤ72は、
図10Dに示されるように、ボール102を管腔70の片側に押し付けることを助ける、テーパー形状および/または角度のある遠位先端144を含むことができる。ハブ22の変形の結果、ガイドワイヤ72は、血液ポンプ10がガイドワイヤ72上から容易に前進できるように、最小量の摩擦で逆止弁100を通過することが可能になる。血液ポンプ10が適切に位置付けられ、ガイドワイヤ72が除去されると、ハブ22は、その元の形状に戻り、逆止弁100は、正常に操作する。
【0035】
逆止弁100を形成するための1つの技法は、ボール102を水溶性ワックスまたは類似の材料の薄層で被膜することである。被膜されたボールは次いで、1対の軸方向に整列された小径を有するロッドをワックスが被膜されたボールの両側に付設すること等によって、鋳型の中に支持することができ、その周囲にインペラ20を成形し、
図10Bに示される構造を形成する。インペラ20が鋳型から除去された後、空洞104内の自由な運動のためにボールを解放するように水を流すことによって、ボール102からワックス層を除去することができる。
【0036】
[B.カニューレ]
図3に示されるように、カニューレ40は、その近位端に拡張不可能部分42と、その遠位端に、その中にインペラ20が存在する、拡張可能部分44とを有する。好ましくは、拡張可能部分44は、
図6Aに示されるように、折り畳まれた様相のインペラのブレード24を保持する折り畳みまたは格納構成と、
図6Bに示されるように、ブレードがハブ22から離れて、インペラ20の使用様相または操作様相に移動することを可能にする、拡張または展開構成との間で移動可能である。血液ポンプの一部として使用される時、展開構成にある拡張可能部分44は、約5mm〜約15mmの範囲の直径を備え、約10cm〜約50cmの長さの範囲にすることができる。格納構成において、拡張可能部分44は、約2mm〜約8mmの範囲の直径を有することができ、大腿動脈等の浅血管を通ってヒト対象内への血液ポンプ10の非外科的挿入を可能にする。より大きい展開直径は、拡張不可能なカニューレを有する非外科的に挿入される血液ポンプと比較して、挿入後のより高い流体流速、および削減された摩擦圧力損失を可能にする。
【0037】
拡張可能部分44の長さは、広範囲にわたって変動することができる。いくつかの実施形態においては、拡張可能部分44は、
図9に示されるように、左心室500等の患者の心臓の心室から、上行大動脈505等の患者の大動脈弁の近位の位置へと延在する、入口52から出口54までの長さを有することができる。例えば、拡張可能部分44は、約3インチ〜約4インチの範囲の長さを有することができる。他の実施形態において、拡張可能部分44は、左心室500等の患者の心臓の心室から、患者の下行大動脈内の位置へと延在する、入口52から出口54までの長さを有することができる。例えば、拡張可能部分44は、約9インチ〜約11インチの範囲の長さを有することができる。
【0038】
[1.圧縮状態および展開状態のためのインペラ筐体]
任意選択的に、カニューレ40は、
図8A〜Bに示されるように、インペラ20が格納状態にある時、インペラ20を格納するための格納筐体46を有することができる。格納筐体46は、拡張不可能にすることができる。本明細書に記述されるように、格納筐体46は、
図8Aに示されるように、インペラ20を展開するように、近位方向で軸方向に移動することができ、
図8Bに示されるように、インペラ20を格納するように、遠位方向で軸方向に移動することができる。他の実施形態において、インペラ20は、インペラ20の展開のために拡張することができる、カニューレ40の拡張可能部分44内に格納することができる。これらの実施形態において、インペラ20の相対的軸方向使用(例えば、展開)場所と、相対的軸方向格納場所との間には差がない場合がある。
【0039】
カニューレ40の拡張可能部分44は、弾性被膜50を有するメッシュ48から形成することができる。以下に記載のように、メッシュ48は主に、拡張可能部分44の半径方向の剛性および屈曲特徴を画定し、一方で弾性被膜50は、流体運搬能力を有する連続管を形成するようにメッシュを被覆する。
【0040】
メッシュ48は、ポリマー、金属、任意の形状記憶材料、または他の材料等の可撓性材料から形成することができ、レーザー切断空洞、金網またはフィラメントのマトリックス、または別の構成を備える機械加工された円筒を含むことができる。メッシュは、六角形セルマトリックスの形にすることができるか、または
図14A〜Bに示されるように、円周状リング51を含むことができる。
図14Cに表されるように、メッシュ48は、軸方向のコネクタ53を備える、複数の円周状リングを含むことができる。円周状リング51は主に、半径方向の特徴を制御し、一方で軸方向のコネクタ53は、軸方向の剛性および屈曲性能に影響を与える。メッシュ48には、折り畳み構成と拡張構成との間で移動し、拡張構成において充分な強度および剛性をカニューレに提供することができる、任意の他の構造を使用することができる。本明細書にさらに記載されるように、メッシュ48は、
図15A〜Bに示されるように、1つ以上のコネクタ55を含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、メッシュ48のパターンは、拡張可能部分44全体で概して均一にすることができる。他の実施形態において、メッシュ48のパターンは、拡張可能部分44において向上または削減されたメッシュ密度の少なくとも1つの領域を提供すること等によって、概して非均一にすることができる。有利に、本実施形態に係る拡張可能部分44は、その長さおよび/または円周の少なくとも一部に沿って変動する構造特徴を有することができる。入口52または出口54に隣接した拡張可能部分44を補強することが有用な場合がある。これは、隣接したリングの間により多くの接続を提供することによって、またはリングの縦方向の密度を増加することによって、実現することができる。
【0042】
カニューレ40の拡張不可能部分42およびメッシュ48は、異なる材料から形成することができるが、これらは、同じ材料から形成されることが好ましい。1つの配置において、メッシュ48は、拡張不可能部分42を形成するのと同じ管から形成することができる。この際、ニチノール等の形状記憶合金は、カニューレ40の両方の部分を形成するために好ましい材料である。そのような配置において、例えば、約0.005インチ〜約0.018インチの範囲の厚さ等、千分の1インチオーダーの金属厚を有する、金属の一定直径の管は、一方の端に隣接してメッシュ構造を残すように、レーザーを使用して切断することができる。いくつかの実施形態において、約0.0018インチ〜約0.005インチの間の金属厚を有する、金属の一定直径の管は、一方の端に隣接してメッシュ構造を残すように切断することができる。
図14Cに示されるように、材料(例えば、概して平坦な金属片)は、第1の端に隣接したメッシュ48構造、および第2の端に隣接した拡張不可能部分42を残すように、切断することができる。放出支柱58は、メッシュ48を拡張不可能部分42に接続することができる。次いで、材料は、一定直径の円筒に形成することができる。一定直径のメッシュ48区分は、次いで、マンドレルを使用して所望の形状に半径方向に拡張/縮小することができ、任意選択的に、メッシュがマンドレルの形状に適合することを確実にするために、クランプ機構を使用することができる。材料は、例えば、熱処理を使用して、この構成に「形状設定」することができる。レーザー切断および形状設定ステップの使用によって、一定直径の管から複雑な形状パターンが形成されることを可能にする。メッシュの直径は、所定の器官に対応するように、あるいは所定の流体力学効果を実現するようにまたは他の理由のために非均一であるように設計される場合がある。
【0043】
メッシュ48が形成されると、メッシュの内面および/または外面に弾性被膜50を適用することができる。被膜50(例えば、生体適合性、耐食性、および/または流量向上にすることができる)は、溶液流延法によって、マンドレル上の噴射適用によって、または個別の管として皮膜を形成し、それをメッシュの上に適合し、それを熱収縮して密着させる等、当技術分野で既知の他の技法によって、形成することができる。被膜50には、Elastane(商標)またはBiospan(商標)等の弾性ポリマーを使用することができ、同様に他のポリウレタンおよびその共重合体、または他のポリマーを使用することができる。被膜50の厚さは、広範囲にわたって変動することができる。
図13Dに示されるように、被膜50の厚さは、メッシュ48の厚さに概して等しくすることができる。他の実施形態において、被膜50の厚さは、メッシュ48の厚さより厚くすることができる。いくつかの実施形態において、被膜50の厚さは、メッシュ48の厚さにほぼ等しい厚さから、メッシュ48の厚さのほぼ2倍までの範囲の厚さを有することができる。他の実施形態において、メッシュ48は、埋め込む、カプセル化することができるか、または概して、被膜50でその表面領域全体を被膜することができる。メッシュ48および被膜50は共に、流体流のための導管である、カニューレ40の可撓性、拡張可能部分44を提供する。被膜50の中にメッシュ48を埋め込む、またはカプセル化することは、有利に、流体流経路の乱流の原因を抑制することができ、円滑な外面を提供することによって、血管壁への炎症を削減することができる。カニューレ40の拡張可能部分44は、その遠位端45に流入口52、その近位端47に流出口54を備える、概して円筒にすることができる。入口52と出口54との間の部分は、カニューレ40の拡張可能部分44である。メッシュ48は、遠位端45から近位端47まで、および/または入口52から出口54までの距離全体に延在することができる。入口52は、カニューレ40の拡張可能部分44への流体流を補助するように、外向きテーパーまたはフレア132(
図13A)を含むことができる。テーパー132は、被膜50の形状によって、またはメッシュ48と被膜50を組み合わせた形状によって、形成することができる。
【0044】
メッシュ48は、半径方向の拡張/収縮の間に軸方向に沿って最低の長さの変化を与えるように、半径方向に拡張可能にすることができる。カニューレ40の拡張可能部分44は、保存された潜在的エネルギーを使用して半径方向に拡張することができ、このために、自己拡張装置であることが好ましい。
【0045】
拡張可能部分44の半径方向の剛性は、カニューレ40の長さに沿って変動することができる、メッシュ48の厚さおよびメッシュ構造の形状密度を制御することによって制御することができる。そのような変動性は、カニューレの剛性を血液ポンプ10に課される流体力学的負荷に一致させるために有用であり、流管として操作する時(流体力学的圧力は長さに沿って変動する)、拡張可能部分44のほぼ一定の半径方向の偏向を可能にする。これは、インペラ20の領域において、拡張状態にある、ブレード24の先端と部分44の内径との間で、実質的に一定の操作間隔を提供するために重要である。
【0046】
カニューレ40の拡張可能部分44の屈曲剛性はまた、軸方向で変動することができる制御可能なパラメータである。例えば、円周状リング51および軸方向のコネクタ53がメッシュ48を形成するために使用される場合、屈曲剛性は主に、軸方向のコネクタ53の数および配置によって制御されるが、円周状リング51の剛性および弾性被膜50の剛性にも依存する。円周状リングの相対的配置は、屈曲中の拡張可能部分44の半径方向の安定性に大きく影響を与える。例えば、
図14A〜Cに示されるように、メッシュ48は、隣接した円周状リング51の交互配置の相当量を有することができる。この構成は、屈曲偏向によって生じる半径方向の座屈に関して、非常に安定した拡張可能部分44を生む。対照的に、交互配置のないメッシュパターンは、屈曲偏向の間に半径方向の座屈になりやすい可能性がある拡張可能部分44を生む。半径方向の剛性は、メッシュの厚さまたはメッシュの密度を介して増大することができる。密度の高いメッシュは、密度の低いメッシュよりも高い半径方向の安定性を示す。
【0047】
図14A〜Cに示されるように、円周状リング51は、カニューレ40の拡張可能部分44の遠位端45の方向に向き、その近位端47の方向に向いている複数の陥凹を画定する、複数の頂点、および拡張可能部分44の近位端47の方向に向き、その遠位端45の方向に向いている複数の陥凹を画定する、複数の頂点を備える波形または正弦波パターンを備えて構成することができる。
【0048】
図3は、拡張状態のカニューレ40の拡張可能部分44を表す。拡張可能部分44の入口52は、大きい壊死組織片が拡張可能部分44に入って流れを閉塞することを防止する、複数の入口支柱56を備えて提供することができる。同様に、拡張可能部分44の出口54は、出口54から放出される流れから旋回流速度を除去するために固定子ブレードとして機能する、複数の放出支柱58または羽根(本図には図示せず)を備えて提供することができる。入口支柱56および放出支柱58は、メッシュ48の一部にすることができる。代替として、放出支柱58は、翼型の断面を供えて形成することができる。放出支柱58は、カニューレ40の拡張可能部分44を拡張不可能部分42または格納筐体46に接続することができる。好ましくは、拡張不可能部分42の放出支柱58およびメッシュ48は、同じ管から単一の連続構造として形成できる。その変形において、放出支柱58およびメッシュ48は、1つの管からレーザー切断することができ、次いで、この部分は、溶接または他の付着技法によって拡張不可能部分42に付着することができる。入口支柱56はまた、メッシュ48、放出支柱58、および拡張不可能部分42と同じ管から形成することができる。
【0049】
[2.制御先端の間隔]
大動脈の湾曲および血管の形状は、カニューレ40の拡張可能部分44を操作中に軸方向に屈曲させる可能性がある。この屈曲は、インペラ20の各回転につれてブレード24の先端がカニューレ壁に接近、後退するような可能性があり、流体力学の効果を損ない、ブレード先端が実際にカニューレ壁に接触すると、溶血を発生させる。したがって、操作中にインペラ20をカニューレ40の拡張可能部分44の実質的に中心に保つために、血液ポンプ10は、インペラのブレード先端とカニューレ壁との間で一定のクリアランスを維持するように、任意の1点周囲での拡張可能部分の「方持梁」の屈曲を防止するために、
図11に示されるように、固定子羽根アセンブリ120を備えて提供することができる。固定子羽根アセンブリ120は、中央ハブ122と、そこから半径方向に外向きに突出している複数の固定子羽根124とを含むことができる。固定子羽根124は、インペラのブレード24に適切であると本明細書に記述される材料等のエラストマー材料から作製することができる。したがって、固定子羽根124は、インペラ20および拡張可能部分44がそれらの完全な折り畳み様相を実現することを干渉しないように、ハブ122に対して折り畳むことができる。さらに、固定子羽根アセンブリ120は、血液ポンプ10を折り畳み、それを折り畳み様相に維持するために必要な力を最小限にのみ増加するように、インペラ20とほぼ同じ充填体積を有することが好ましい。拡張可能部分44およびインペラ20の拡張時、固定子羽根124は同様に拡張する。それらが完全に拡張した様相において、羽根124の自由端は、拡張可能部分44の内壁に接触することができる。
【0050】
図12を参照すると、固定子羽根アセンブリ120は、インペラ20と並進するが、インペラ20を回転させないように、インペラ20から離れた軸方向距離でインペラのハブ22の遠位端に取り付けることができる。この点で、固定子羽根アセンブリ120は、推力軸受128に連結されるハブ122の中空スリーブ126を含むことができる。固定子羽根124の先端と拡張可能部分44の皮膜50との間の摩擦は、推力軸受128を通して伝達される任意のトルクに抵抗し、それにより、羽根がカニューレ内で回転することを防止する。管腔130は、ハブ122を通って軸方向に延在し、ガイドワイヤ72を滑動可能に受容するためにインペラ20の中の管腔70と連通する。
【0051】
いくつかの実施形態において、管腔130は、少なくとも1つのモードの操作中に、少なくとも1つの方向の流体流を防止するように適合される。例えば、固定子羽根アセンブリ120および/またはインペラ20が、血液を送り出すように動作する前に、管腔130を通って延在するガイドワイヤに沿って前進することができる。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤは、ポンプが動作する前に、除去される。いくつかの事例において、管腔130への血液流は、制御または防止されることが好ましく、これは、管腔130内に密閉を位置付けることによって、達成することができる。いくつかの実施形態において、管腔130は、可撓性の自己密閉ガイドワイヤ貫通のために適合することができる。別の実施形態において、ガイドワイヤは、カニューレ40の拡張可能部分44が拡張状態にある場合、システムの固有の可撓性および臓器を縦断する際の誘導性に起因して、システムを標的部位へ誘導するために必要ではない。
【0052】
そのいくつかの実施形態において、固定子羽根124は、カニューレ40の拡張可能部分44の入口52への血液流の方向に対して斜めに配向することができる。そのような配向は、流入血液に対して周速度成分を誘導し、インペラ20に到達する前に血液流に予旋回を与えるので、流体の角運動量における純変化を増加し、それによって、インペラ20による血液流に対するより大きい動力抽出を可能にする。
【0053】
使用中、インペラ20は、固定子羽根アセンブリ120もまた拡張可能部分44内に位置付けられるように、カニューレ40の拡張可能部分44の中に位置付けられる。拡張可能部分44が、患者の血管系で変形すると、カニューレ上にかけられるいずれの力も固定子羽根124およびハブ122を通してインペラハブ22に伝達され、それによって、インペラ20を拡張可能部分44内部で実質的に中心に保つ。
【0054】
[3.変動可能な剛性流管]
血液ポンプ10の流体力学的性能は、入口52でカニューレ40の拡張可能部分44の可撓性または損傷によって、潜在的に損なわれる可能性がある。すなわち、入口52での被膜50のいずれのフラップまたは他の変形も、所与の血液流速のより大きい圧力低下となる可能性があり、また、溶血および/または血栓形成を介する血液障害になる可能性もある。したがって、患者の血管系の形状に対応、および経皮的挿入のための拡張可能部分44の圧縮性の促進の両方のために、入口52に補強された領域を備える拡張可能部分44を提供する一方で、拡張可能部分44の残りの部分の全体的な可撓性を維持することが望ましい。
【0055】
前述を考慮すると、いくつかの実施形態は、拡張可能部分44の皮膜50を形成するために、2つの異なるポリマーを使用することができる。
図13Aに示されるように、拡張可能部分44の入口端にあるメッシュ48は、メッシュのこの部分が任意のポリマー材料で被膜されないように、彫金ワックス140または何らかの他の高品質のワックス等のワックス、または他のマスキング材料でマスキングすることができる。Biospan(商標)または他の可撓性生体適合性ポリマー等の第1の弾性重合体は、次いで、被膜50を形成するように、拡張可能部分44の全体上に溶液流延することができる。Hapflex(商標)598または別の可撓性生体適合性ポリマー等の第2の弾性重合体は、次いで、入口52に隣接した領域および/または被膜50の構造的剛性が所望される任意の領域において、第2の被膜145を形成するように(例えば、概してリングの形状に)溶液流延することができる。いくつかの実施形態において、第1の弾性重合体は、比較的柔らかいウレタンであり、第2の弾性重合体は、比較的硬いウレタンである。
図13Cは、入口52に隣接した補強された領域を有する拡張可能部分44の一実施形態を表す。
図13Dに示されるように、入口52に隣接した補強された領域は、第1の内部被膜50と、第2の外部被膜145とを含むことができる。第2の被膜145の厚さは、広範囲にわたって変動することができる。
図13Dに示されるように、第2の被膜145の厚さは、第1の被膜50の厚さより少なくすることができる。他の実施形態において、第2の被膜145の厚さは、第1の被膜50の厚さよりも大きい、または概して等しくすることができる。いくつかの実施形態において、第2の被膜145は、第1の被膜50の厚さの約0.5倍から第1の被膜50の厚さの約1.5倍の範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態において、第2の被膜145は、メッシュ48を少なくとも部分的に被膜することができる。この様式において拡張可能部分44を皮膜するために使用することができるマンドレル136は、
図13Bに例示される。いくつかの実施形態において、マンドレル136は、マンドレル136を支持するための土台として機能することができる、取付構造142を含むことができる。
【0056】
[4.インペラの滑動可能な展開]
図8Aおよび8Bは、軸方向に滑動可能な格納筐体46を有する血液ポンプ10の実施形態を示す。これらの図面からわかるように、ベアリング筐体84は、直径が削減された部分90を有し、その終端の間に筐体ベアリング80を収容することができる。この直径が削減された部分は、こうして、格納筐体46の中の刻まれた環状溝96によって画定される内部リブ94の滑動のための縦方向の空間を画定する。使用中、カニューレ40の拡張可能部分44が拡張した後(
図8A〜Bには示されていないが、これらの構造は、
図7A〜7Bに図示されるように、示された構造の右側になる)、インペラ20は、近位方向に(例えば、インペラ20から離れて)格納筐体46を軸方向に滑動することによって、格納構成から展開構成に解放することができる。
図8Aに示される展開様相において、格納筐体46は、ベアリング筐体84の近位肩との内部リブ94の係合によって許可される最大程度で、近位方向に移動され、それによって、展開のためのインペラ20のブレード24を出現させる。一方、
図8Bに示される格納構成において、格納筐体46は、ベアリング筐体84の遠位肩と内部リブ94の接触によって許可される最大程度まで遠位方向に(例えば、インペラ20上からそれに向かって)移動される。この位置において、格納筐体46の遠位端は、インペラ20のブレード24を包囲し、それらを格納構成に保持する。
【0057】
いくつかの実施形態において、
図8A〜Bに示されるように、格納筐体46の使用は、ポンプ10のコンパクト化のより大きい程度を可能にする。例えば、これらの実施形態において、インペラ20および拡張可能部分44は、保持シース60内で折り畳みまたは格納構成にある時、相互に軸方向に変位することができる。ある配置において、インペラ20は、拡張可能部分44の実質的に全面的に近位の位置に引き込まれ、格納筐体46内部に折り畳まれる。この配置において、拡張可能部分44のコンパクト化は、部分44内部のインペラ20の存在によって制限されない。したがって、格納筐体46を含むポンプ10は、折り畳みまたは格納構成において、格納筐体46を含まないポンプ10の直径よりも小さい直径を備える拡張可能部分44を有することができる。送達のためにコンパクト化される構造の軸方向の変位の別の利点は、より大きい拡張サイズを備える装置は、軸方向の変位を提供しないが、拡張時により小さい装置と同じ横断外形を備えて配置できることである。例えば、格納筐体46を含む実施形態において、拡張可能部分44は、有利に、格納筐体46を欠く実施形態に比較して、展開構成においてより大きい直径を有するように構成することができる。展開構成において相対的に大きい直径を有する拡張可能部分44は、より高い流速が所望される時に有利であり得る。
【0058】
[C.保持シースおよびファネルのない格納]
血液ポンプ10は、シースのない挿入手順を使用して患者の体内に挿入することができる。そのような手順は、
図2Cに示されるように、遠位部分62と近位部分64とを有する保持シース60を採用することができる。遠位部分62は、カニューレ40の拡張可能部分44を受容し、拡張可能部分と、それとともに、血液ポンプ10の患者への経皮的挿入および血液ポンプ10の患者からの除去中に折り畳み様相にあるインペラ20とを維持するに十分な大きさの内径および長さを有する。保持シース60の近位部分64は、可撓性管32、駆動軸26の可撓性部分30のため、および/またはカニューレ40の拡張不可能部分42のための筐体として機能することができる。保持シース60は可撓性が高いが、血液ポンプ10が所望の展開部位へ前進する際の折り畳みまたはもつれに抵抗するに充分な半径方向の強度を有する。好ましい実施形態において、シース60は、ポリマー管または被膜で覆われた連続したコイル金属ワイヤによって形成することができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、保持シース60は、変形不可能、拡張不可能にすることができ、および/または概して固定直径を有することができる。例えば、保持シース60は、拡張可能部分44の圧縮の間のどの点においても遠位方向に拡張可能ではないように構成することができる。別の例において、保持シース60は、変形不可能、拡張不可能にすることができ、および/または拡張可能部分44がその展開構成にある時に概して固定直径を有することができる。いくつかの実施形態において、保持シース60は、負荷がかかる時に、遠位方向に変形可能(すなわち、拡張可能)にすることができる。
【0060】
駆動モータは、カニューレ40または保持シース60を回転させることなく、駆動軸26を回転させる。血液ポンプ10の操作は、ステータスを表示し、多様な機能を制御する、制御ユニット(図示せず)によって制御かつ監視することができる。圧力センサおよび流速センサ等のセンサは、患者の多様な領域、および/または血液ポンプ10上の1つ以上の場所に付けることができる。
【0061】
本明細書に記載されるように、装置が患者から除去される時、カニューレ40の拡張可能部分44は、保持シース60の中に引き込むことができる。拡張可能部分44を保持シース60の中に向けるために、1つ以上の誘導補助具を使用することができる。有利に、本明細書にさらに記載される、誘導補助具の使用によって、シース上の外向きフレアまたはファネルを使用することなく、拡張可能部分44が折り畳みまたは圧縮することを可能にすることができる。拡張可能部分44のメッシュ48は、保持シース60の小さい外形の遠位部分内への拡張可能部分44の格納を促進するように設計することができる誘導補助具を含むことができる。
【0062】
図15A〜Bを参照すると、誘導補助具の一実施形態は、メッシュ48の隣接した円周状リング51を接合するコネクタ55を含む。コネクタ55は、第1および第2のリング51a、51bに対して多様な異なる場所で、第1のリング51aを隣接した第2のリング51bに接合することができる。一実施形態において、コネクタ55は、第1のリング51aの外側頂点を、第2のリング51bの内側頂点または第2のリング51bの1辺に沿った1点等の第2のリング51b上の1点に接続することができる。
図15Aに示されるように、コネクタ55の第1の端55aは、第1の円周状リング51aの外側頂点に接合することができ、一方でコネクタ55の第2の端55bは、第2の円周状リング51bの1辺に沿った1点に接合することができる。
【0063】
別の実施形態において、
図15Bに示されるように、コネクタ55の端55aは、1つの円周状リング51aの外側頂点に接合することができ、一方で、コネクタ55の端55bは、隣接した円周状リング51bの内側頂点に接合することができる。コネクタ55は、拡張可能部分44の可撓性を維持するために、蛇状または平坦なコイル形状を有することができる。コネクタ端55aのリング51の外側頂点への接続によって、拡張可能部分44が保持シース内に引き込まれる際に、頂点を束縛し、個別のリング51の拡張を阻止することによって、頂点が保持シース60の端上で接手または干渉することを防止する。
図15Bに示されるように、コネクタ55は、端55aまたは55bだけで円周状リング51a、51bに接続することができ、間の他の点では接続されない。
【0064】
有利に、第1の端55aおよび第2の端55bの接続点の選択は、拡張可能部分44のために使用されるメッシュ48の屈曲および半径方向の剛性特徴に影響を与えることができる。例えば、頂点と頂点の接続(例えば、第1の端55aが第1の円周状リング51aの頂点に接合し、第2の端55bが第2の円周状リング51bの頂点に接合する場合)は概して、頂点と側壁の接続(例えば、第1および第2の端55a、55bのうちの1つが円周状リング51a、51bの頂点に接合し、第1および第2の端55a、55bのうちの他方が円周状リング51a、51bの1辺に沿った1点に接合する場合)よりも高い屈曲可撓性を備えるメッシュ48を生じる。例えば、この配置は、より長い構造をその間に提供することができるように、接続点の間により長い距離を提供する。これによって、
図15Bに示されるように、細いばね様コネクタ55等のより可撓性の高い構造の使用を可能にすることができる。
【0065】
しかしながら、頂点と頂点のコネクタ55を有するメッシュ48から形成される拡張可能部分44の半径方向の剛性は、頂点と側壁のコネクタ55を有するメッシュ48から形成される拡張可能部分44の半径方向の剛性よりも少ない可能性がある。当業者は、円周状リング51の幅は、コネクタ55の追加と共に頂点で増加することができ、それによって所与の変形のためのより高い歪みを生成することを理解することができる。頂点と頂点のコネクタ55は、したがって、頂点の内側および外側両方の半径上のコネクタから生まれる場合がある、プラスチックの歪みを回避するように、頂点と側壁のコネクタ55よりも薄い可能性がある。結果として、拡張可能部分44の半径方向の剛性は概して、頂点と側壁のコネクタ55に比較すると、メッシュ48を形成する際に頂点と頂点のコネクタ55が使用される時に削減される。
【0066】
図15Aに示されるように、拡張可能部分44を形成するために使用されるメッシュ48は、コネクタ55と軸方向のコネクタ53とを含むことができる。有利に、軸方向のコネクタ53は、拡張可能部分44の軸方向の剛性に貢献することができ、一方で、コネクタ55は、拡張可能部分44の半径方向の剛性に貢献することができる。
【0067】
拡張可能部分44を保持シース60内に格納するために、近位方向の軸方向の力は、拡張可能部分44に接続された部材上にかけることができ、したがって、拡張可能部分44を保持シース60内に格納する。この軸方向の力は、拡張可能部分44をシース60内に引き込むように、コネクタ55を介して、各円周状リング51を通して有利に伝達することができる。さらに、コネクタ端55a、55bの各円周状リング51a、51bに対する相対的場所は、拡張可能部分44のコンパクトで規則正しい格納を促進することができる。例えば、
図15Bに示されるようなコネクタ端55a、55bがある円周状リング51aの外側頂点および第2の円周状リング51bの内側頂点にそれぞれ付設されるような構成において、コネクタ55は、頂点が格納時に重なり合うように誘導することができ、これによって、頂点が格納時に重なり合わない構成ではなく、拡張可能部分44が相対的にコンパクトである格納構成になることができる。
【0068】
拡張可能部分44の保持シース60内への格納も促進するように設計されているメッシュ48の代替実施形態は、
図16に示される。この実施形態によると、メッシュ48の隣接したリング51は、互いに接続されない。そうではなく、リング51の外側頂点の各々は、コネクタ57の1つの端57aに接続される。コネクタ57の他方の端57bは、隣接したリング51に接続されず、接続されないままである。コネクタ57は、拡張可能部分44が格納される際に、弾性被膜50が、自由端57bを保持シース60内に誘導することが可能であるように充分柔らかく設計され、一方で、コネクタ57自体は、円周状リング51を保持シース内に誘導するように誘導補助具として機能する。コネクタ57は、メッシュ48の設計に一体化するか、または可能性として異なる材料から、個別の部品として製造し、メッシュ構造に永久的に付設するか、のいずれかにすることができる。
図16に示されるように、コネクタ57の端57bは、はと目の形状に構成することができる。有利に、はと目は、被膜50とコネクタ57との間の機械的結合を可能にすることができる。1つの配置において、機械的結合は、例えば、被膜50を開口部を通って空間に流入させ、架橋させるプロセスによって、はと目を通して提供される。被膜50との機械的接合構造を提供するために、メッシュ48の中の陥凹または陥没等のはと目以外の構造を使用することができる。代替として、被膜50は、その間に機械的係合を提供するために、例えば、メッシュ48と同じ形状を有する陥没等、メッシュ48を受容するための陥凹を有することができる。この機械的結合は、はと目の不在の場合に被膜50とコネクタ57との間に存在することになる、表面接着結合よりも強力である可能性がある。
【0069】
シース上でフレアまたはファネルを使用することなく、保持シース60内へのカニューレ40の拡張可能部分44の格納を促進するようにメッシュ48を設計することとの組み合わせ、またはその代替として、被膜50は、そのような格納を促進するように変更することができる。この際、
図17に示されるように、いくつかの実施形態は、被膜またはポリマーベースの誘導補助具を含む。
図17を参照すると、メッシュ48は、直接に付設されるコネクタによって互いに接合されない、複数のリング51から作製される。そうではなく、被膜50は、選択された面積に適用される、追加の弾性材料、被膜50と同じまたは異なる構成および物理的特徴の領域59を含む。追加の弾性材料の領域59は、拡張可能部分44に追加の剛性度を追加することができる。拡張可能部分44の全体的な可撓性は、追加の領域59の形状および物理的特徴にも依存する。
【0070】
領域59の追加の弾性材料は、入口52に隣接したポリマーリング145の形成に関して上記の溶液流延技法を使用して適用することができる。代替として、領域59は、個別に形成し、所望の場所の被膜50に接合することができる。領域59は、カニューレ40の拡張可能部分44の近位端47から遠位端45までの長さに沿って全体的または間欠的のいずれかで延在することができ、カニューレの特性を制御するために、拡張可能部分44の長さに沿って変動する形状(例えば、長さ、幅、および/または厚さ)および変動する特性(例えば、弾性)を有することができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、領域59は、拡張可能部分44の近位端と遠位端との間の概して伸長またはリブ形状にすることができる。領域59はまた、リング51の頂点に及ぶに充分な幅を有することができる。
図17に示されるように、追加の材料の領域59は、リング51の頂点を覆う面積の拡張可能部分44の長さに沿って、1つ以上の区分に適用することができ、保持シースの端にファネルまたはフレアを必要とすることなく、拡張可能部分44の格納中に、保持シース60内にリングを誘導することによって、誘導補助具として機能することができる。例えば、一実施形態において、領域59は、拡張可能部分44の近位端に存在する。有利に、この実施形態において、領域59は、拡張可能部分44の近位端を保持シース内に誘導するように構成される。別の実施形態において、領域59は、インペラ20を覆う拡張可能部分44の1区分上に存在する。この実施形態において、領域59は、インペラ20を圧縮する際に補助するように拡張可能部分44に追加の強度を有利に提供することができる。この実施形態はまた、インペラ20によって生じる場合がある、拡張可能部分44の突出または他の不均等な拡張を有利に抑制することができる。
【0072】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態において、メッシュ48の設計は、拡張可能部分44の少なくとも一部全体で不均一にすることができる。当業者は、領域59の代替またはこれとの組み合わせとして、メッシュ48の不均一な設計は、拡張可能部分44に変動可能な形状および/または特性を同様に提供することができることを理解することが可能である。
【0073】
[II.方法]
本明細書に記載される装置は、患者を治療するために、または患者の任意の治療前に装置を準備するために実施することができる、多様な方法において使用することができる。
【0074】
上述の実施形態のいくつかにおいて、高流速で操作することができる心臓補助装置の経皮的適用を可能にするシステムが提供される。具体的には、所定の構成要素は、拡大操作構成と、システムの経腔送達および/または引き込みのための折り畳み構成との間で作動するように構成される。
【0075】
[A.システムを折り畳むこと]
ポンプ10に関連して
図6A〜8Bに関して本明細書に記載したように、カニューレ40の拡張可能部分44およびその中に位置付けられるインペラ20は、患者への挿入前に、操作状態から折り畳み状態に作動することができる。
【0076】
一技法において、ハブ22の近位端が筐体46の中に移動するように、インペラ20と筐体46との間の相対的移動が提供される。ハブ22が筐体46内に移動すると、近位ブレード24の近位縁は、
図8Bに示されるように、筐体46の遠位端に接触状態にもたらされる。ブレード24のさらなる相対的移動は、ブレード24を、上述のように、展開構成から格納構成に移動させる。別の技法において、インペラは、ブレード24を圧縮するように、筐体46をインペラ20上から遠位に移動させることによって、格納することができる。
【0077】
ポンプ10をさらに折り畳むためには、カニューレ40の少なくとも拡張可能部分44は、送達のために好適な小さい外形状態に圧縮することができる。一技法において、拡張可能部分44は、任意の遠位に拡張する、例えば、ファネル形状の装置を必要とすることなく、折り畳まれるように構成される。圧縮状態のカニューレ40の例は、
図6Aに示される。
【0078】
一技法において、保持シース60の遠位部分は、カニューレ40の近位端上から前進し、拡張不可能部分42上から、拡張可能部分44に近位の場所へ前進する。上述のように、保持シース60は、拡張可能部分44との係合時にその形状を維持するに充分な半径方向の強度を有することが好ましい。この半径方向の剛性によって、拡張可能部分44は、保持シース60の遠位端および拡張可能部分44の近位端が相互に向かって相対的に移動する時に、圧縮されることになる。いくつかの実施形態において、カニューレ40の拡張可能部分44を保持シース60内に挿入するために、圧縮ツールが使用される。
【0079】
一実施形態において、圧縮ツールは、内部ファネルまたはコーン等のテーパー形状の内径部分を有する。このテーパー形状の内径部分は、大きい直径の第1の端と、小さい直径の第2の端とを有する。いくつかの実施形態において、テーパー形状の内径部分の最大直径は概して、その拡張構成のカニューレ40の拡張可能部分44の外径以上にすることができる。他の実施形態において、テーパー形状の内径部分の最小直径は概して、保持シース60の遠位端の内径以下にすることができる。圧縮ツールは、単一構造を有することができる、または組立時に内部のテーパー形状を形成する、2つ以上の部品から作製することができる。使用中、圧縮ツールは、拡張可能部分44の保持シース60内への格納を補助するように、保持シース60の遠位部分上またはこれに直ちに隣接して位置することができる。有利に、2つ以上の部品から作製される圧縮ツールは、保持シース60からより容易に除去可能であり得る。
【0080】
上述のように、カニューレ40の拡張可能部分44は、入口と出口との間で流体を運搬し、インペラ20の運動のための容積を維持するために、拡張状態において十分な半径方向の強度を有するように構造化される。拡張可能部分44はまた、半径方向に圧縮されるように、拡張可能部分44の外表面上に軸方向かつ遠位に印加される力に応答するように構成される。一実施形態において、コネクタ55、57は概して軸方向に整合される。コネクタ55、57は、コネクタ55、57の近位端に印加される力がコネクタを通してコネクタの遠位端に伝達されるように構成することができる。この力は次いで、コネクタ55、57の遠位端と結合される円周状リング51に印加されて、リング51を圧縮状態に向けて半径方向に内向きに促進させる。
【0081】
別の配置において、拡張可能部分44は、拡張可能部分の近位端47と遠位端45との間に延在する軸方向に延在するリブを提供することによって、補強される。近位端および遠位端47、45は概して、拡張可能部分44に対する保持シース60の移動の方向と整合することができる。例えば、1つの配置において、拡張可能部分44は、空間によって相互に離間されるが、上述のように管を形成する可撓性材料によって共に連結される、複数の円周状リングを含む。円周状リング51は、上述のようにポリマースリーブまたはフィルムの中に埋め込む、または被覆することができる。材料59の別の領域は、保持シース60の遠位端の遠位に配置される拡張可能部分44の一部の半径方向の圧縮を生じるように適合される、拡張可能部分44上に提供することができる。例えば、第2の領域59は、リブまたはビームとして機能するように充分な厚みを有することによって等、充分な剛性に作製することができる。第2の領域59の剛性は、拡張可能部分44の近位端上のシース60の遠位端の相対的移動が、シース60の遠位の拡張可能部分44の長さを折り畳むように、リブの近位端に印加される力を生じるようにすることができる。例えば、シース60の遠位端によって拡張可能部分44に印加される力は、シース60の遠位端の遠位に配置される円周状リングに力を印加するように、リブの剛性の効能によって、リブに沿って伝達することができる。
【0082】
第2の領域59はまた、拡張可能部分44が、いくつかの実施形態においては、形状が固定される、例えば、拡張可能部分44の圧縮中にどの点でも遠位に拡張しない、シース60の遠位部分内に誘導されることを可能にする。拡張可能部分44が、シース60に対してさらに近位に移動すると、拡張可能部分44の遠位部分が圧縮される。
【0083】
ファネルまたは他の遠位に拡大される構造を必要とせずに拡張可能部分44が折り畳まれるように構成することによって、ポンプ10の全体的外形を削減することができる。拡張可能部分44を折り畳むためのこれらおよび他の方法は、装置の患者への何らかの適用前に実施することができる。
【0084】
上述のように、ポンプ10は、展開される時に、インペラ20および拡張可能部分44に構造的統合性を提供する、羽根124を有する羽根アセンブリ120を含むことができる。羽根124は、インペラのブレード24の折り畳みに関して、本明細書に記載される技法等、任意の適切な技法によって折り畳むことができる。例えば、羽根124は、羽根アセンブリ120を格納筐体46に近位に推進することによって、折り畳むことができる。また別の技法において、ポンプ10は、シース60を拡張可能部分44上から前進させること等によって、カニューレ40の拡張可能部分44を近位端47から遠位端45に向かって折り畳むことによって、体内への挿入前に圧縮することができる。この技法において、拡張可能部分44が折り畳まれると、例えば、シース60によって、拡張可能部分44にかけられる束縛力は、羽根アセンブリ120に伝達することができ、羽根124をハブ122に向かって内向きに屈曲し、圧縮させる(例えば、包み込む)。例えば、各羽根124は、ヒンジ、またはハブ122への付設点に隣接して応力が集中する部分を有することができ、羽根124がハブ122の周囲で円周状に圧縮されることを可能にする。例えば、ハブ122近辺の羽根124の一部は、その場所での応力を向上するように、削減された断面面積を有することができる。応力は、拡張可能部分44の折り畳み時に、羽根の遠位部分を小さい外形構成に移動させるに充分な歪みを羽根124の中で生じるように高めることができる。インペラブレード24の屈曲および圧縮を促進する他の特徴はまた、羽根124の屈曲および圧縮を促進するように、羽根アセンブリ120に適用することができる。
【0085】
[B.システムを移植すること]
ポンプ10の遠位端にある拡張可能構成要素が圧縮されると、ポンプを治療部位に送達することができる。1つの技法において、カニューレ40の拡張可能部分44およびカニューレ40上から配置される保持シース60は、患者の血管系に経皮的に挿入される。皮膚の穿刺およびセルジンガ技法を介する血管系のアクセス等、任意の適切な経皮的挿入技法を使用することができる。
【0086】
1つの技法において、拡張可能部分44および拡張可能部分44上から配置される保持シース60は、ガイドワイヤ72上から患者の血管系に経皮的に挿入される。血管系へのアクセスが提供されると、ガイドワイヤ72を器官内に前進させることができる。例えば、ガイドワイヤ72は、大腿動脈内に、大動脈に沿って大動脈弁へ、その後左心室に前進することができる。
【0087】
耐久性ガイドワイヤ(例えば、Amplatz、Lunderquist)を含むがこれに限定されない、多様な特性を有する複数のガイドワイヤを使用することができる。有利に、耐久性および/または硬いガイドワイヤの使用はもつれを削減することができる。複数のガイドワイヤが使用される場合、第1のガイドワイヤは、カニューレ40に予め組み立てることができ、第1のガイドワイヤの遠位部分は、カニューレ40の遠位端に対して遠位で露出する。第2のガイドワイヤは、本明細書に記述のように患者に位置付けることができ、第2のガイドワイヤの近位部分は患者の体外で露出する。第2のガイドワイヤの近位部分、例えば、患者内にある部分は、カニューレ40の中に予め組み立てられた第1のガイドワイヤの遠位端に付設することができ、カニューレ40は、2つの接続されたガイドワイヤに沿って、所望の位置へ前進することができる。これらの実施形態において、接続された第1および第2のガイドワイヤは、駆動軸26内部で同軸上に走るように構成される。カニューレ40が所望の位置まで前進すると、第1および第2のガイドワイヤは、駆動軸26を作動させる前に除去される。有利に、2つ以上のガイドワイヤの使用は、ポンプ10を通し、埋め込むプロセスを容易にすることができる。
【0088】
所定の技法において、ポンプ10は、ガイドワイヤを使用することなく、治療部位まで送達することができる。例えば、血管系へのアクセスが提供されると、ポンプ10は、装置の近位端を押すことによって、下行大動脈を前進して、末梢血管(例えば、大腿または腸骨)に沿って遠位端を前進し、動脈の一部(例えば、大動脈弓までおよび周囲で)を通って辿り、大動脈弁に到達することができる。
【0089】
任意選択的に、挿入部位は、カニューレ40および保持シース60の挿入前に拡張することができる。拡張後、カニューレ40および保持シース60アセンブリを血管系に挿入することができる。他の実施形態において、
図7Bに示されるように、拡張器の先端138を使用することができる。
図7Bにおいて、拡張器の先端138は、ガイドワイヤ72の遠位端上から装着される。拡張器が使用される場合、別の拡張前ステップは必要とされない。そうではなく、カニューレ40、シース60、および拡張器の先端138アセンブリを血管系に挿入することができる。
【0090】
ポンプ10の遠位端は、ガイドワイヤ72上から前進することができる。例えば、
図3は、カニューレ40の拡張可能部分44の遠位端にアクセスポート136を有するキャップ134を提供できることを例示する。アクセスポート136は、羽根ハブ122を通って延在する管腔130の軸方向に前方(または遠位)である。このように、ガイドワイヤ72の近位端は、カニューレ40の長さに沿って軸方向にポート136を通って近位にワイヤを移動させることによって、管腔130内に前進することができる。その後、ポンプ10は、
図9のように患者を治療するための位置へ、ガイドワイヤ72に沿って遠位に推進することができる。代替として、ガイドワイヤの遠位端は、近位端のポンプ10内に、そしてその中に形成される管腔を通して遠位に推進することができる。この技法は特に、弁100がインペラ20のハブ22の中に形成される管腔70内に配置される場合に検討される実施形態において有用である。
【0091】
ポンプ10は、入口52が、患者の心臓の心室等の血液源の中に配置されるまで、ガイドワイヤ72上を辿る。例えば、入口52は、左心室500の中に位置付けることができ、出口は、血液が心室から送り出され、導管を通って全身の循環系に入ることができるように、大動脈弁の近位の動脈の中に位置付けることができる。
図9は、カニューレ40の拡張可能部分44の近位端を上行大動脈505内に位置付けることができることを例示する。他の実施形態において、カニューレ40の拡張可能部分44の出口54は、大動脈内に位置付けることができる。血液ポンプ10がLVADとして構成される一実施形態において、入口52は、心臓の左心室500内に存在することができ、出口54は、上行大動脈505内に存在することができる。別の実施形態において、カニューレ40の拡張可能部分44は、インペラ20が患者の大動脈弁の中心になるまで、前進することができる。さらに他の実施形態において、カニューレ20は、遠位入口52が、大動脈弁の遠位に位置付けられ、近位出口54が大動脈弁の近位になるまで、前進することができる。さらにカニューレが充分に長く作製されるポンプの構成において、出口54は、下行大動脈内に存在することができ、一方で入口52は、左心室内に存在し、そこでカニューレの本体が大動脈弁を横断する。
【0092】
図9の一実施形態に示されるように、ポンプ10は、上行大動脈505から、大腿動脈内へと延在し、そこから、患者の体外へ出ることができる。ガイドワイヤ72および/またはカニューレ40の血管系内の前進および配置を監視するために、蛍光透視法または他の造影誘導を使用することができる。
【0093】
一実施形態において、インペラ20は、大動脈弁(記号なし)を通って心臓の左心室500内へ周囲を湾曲する、カニューレ40の遠位端45に向かって位置付けることができ、一方で、インペラ20に連結される、駆動軸26の可撓性(かつ拡張不可能)部分30は、駆動モータへの接続のために患者の体外に(例えば、大腿動脈を通って)延在する。
【0094】
[C.システムを展開すること]
一技法においては、ポンプ10が前進した後、拡張可能部分44は、部分44を拡張すること等によって、展開し、拡張することができる。拡張可能部分44のその拡張状態の例は、
図6Bに示される。一技法において、カニューレ40の拡張可能部分44は、保持シース60を格納することによって拡張され、カニューレ40の拡張可能部分44が、展開構成に自己拡張することを可能にする。拡張可能部分44の拡張によって、入口52および出口54が血液に露出する。
【0095】
流体密閉は、カニューレ40が、例えば、大動脈弁等、心臓の弁を横断する場所に提供することができ、それによって、カニューレ40の外壁周囲で心臓弁を通って漏れるいずれの血液流をも実質的に削減する。密閉は、カニューレ40の外壁と大動脈弁の弁尖との間の係合によって形成することができる。具体的には、拡張時のカニューレ40の大きさは、弁がその間の流体流を防止する様式においてカニューレ40の周囲で折り畳むように、例えば、完全に開いた状態等の弁の少なくとも1つの状態よりも大きくすることができる。カニューレ40が大動脈弁の近位にある実施形態において、カニューレ40の外表面は、拡張時に大動脈弁の臨床的に顕著な擦過が発生しないように有利に構成することができる。カニューレ40の拡張可能部分44の拡張後、ガイドワイヤ72を除去することができる。
【0096】
1つの配置において、インペラブレード24および羽根124はその後、カニューレ44の拡張可能部分が拡張後に、格納構成から展開構成に解放される。これは、任意の好適な方式において実現することができる。例えば、インペラ20がカニューレ40の拡張可能部分44に収容される一実施形態において、カニューレが拡張すると、インペラブレード24から束縛力を除去することになり、ブレードは、単にブレードが折り畳まれた時に保存されたエネルギーから、ハブ22から離れて、使用様相に拡大する。
【0097】
代替として、いくつかの実施形態において、
図8Bに示されるように、装置は、インペラ20の周囲に位置付けられる格納筐体46を含むことができる。インペラ20が格納筐体46内部に収容される場合、筐体46を固定場所に維持したまま、駆動軸26に小さい力を印加することによって、インペラをその格納位置から押し出すことができる。格納筐体46から外に出て、カニューレ40の拡張可能部分44内に前進すると、インペラ20のブレード24は、
図8Aに示されるように、使用または操作様相に展開することができる。一実施形態において、インペラ20を格納構成から展開構成へ解放するステップは、インペラ20の少なくとも一部(例えば、ブレード24を含む部分)が、格納筐体46から解放されるまで、格納筐体46を近位方向に軸方向に滑動することを含むことができる。別の実施形態において、インペラ20を格納構成から展開構成へ解放するステップは、インペラ20の少なくとも一部(例えば、ブレード24を含む部分)が、格納筐体46から解放されるまで、インペラ20を遠位方向に軸方向に滑動することを含むことができる。ハブの周囲で回転することからの流体力学的力および求心力はまた、使用中にインペラのブレード24をそれらの操作構成にさらに変換させることができる。
【0098】
固定子羽根アセンブリ120を含む実施形態において、拡張可能部分44が拡張すると、固定子羽根124からの束縛力を除去することにもなり、そのために、固定子羽根124は、羽根ハブ122から離れて展開することを許可し、それらの先端が、カニューレの内表面に隣接して、および一実施形態においては接触して、配置されることを可能にする。格納筐体46を含むいくつかの実施形態においては、インペラ20を展開し、羽根アセンブリ120を展開するステップは、インペラ20および羽根アセンブリ120の少なくとも一部(例えば、それぞれ、ブレード24および羽根124)が格納筐体46から解放されるまで、インペラ20および羽根アセンブリ120を縦方向に遠位方向で軸方向に共に移動させることを含むことができる。
【0099】
[D.システムを操作すること]
いくつかの事例において、ポンプが展開された後、ポンプ10に流体を注入することが望ましい。例えば、ポンプ10は、作動構成要素によって生成される、または接触する可能性がある、汚染物または壊死組織片を収集、消去、またはその他管理するためのシステムを含むことができる。上述のように、管腔70は、
図2Aに示されるように、ポンプ10の近位端から、インペラ20の遠位端へのアクセスを提供する。消去システムの性質は重要ではないが、
図2および7に開示され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2006/0161095号の対応する記載のシステムの形態をとることができる。
図8A〜8Bに示されるように、一技法において、管腔70は、ポンプ10の操作前に生理食塩水で加圧される。上述のように、加圧された流体は、管腔70内へと遠位に流れ、管腔70の圧力が患者の血管系内からの逆圧を超える時、弁100を閉じさせる。管腔の近位端から遠位端へ向かう生理食塩水または他の流体の流れはまた、開口88を通って管腔を出て、ベアリング筐体84に入り、ベアリング機能を支援することができる。いくつかの事例において、流体は、少なくとも部分的に流体力学的ベアリングを形成することができるか、ベアリングを冷却するために使用することができる。
【0100】
装置が位置付けられ、カニューレ40の拡張可能部分44およびインペラ20が、それらのそれぞれの展開構成に拡張されると、展開ツールを除去することができ、格納筐体46および/またはシース60の相対的位置を固定することができる。駆動ユニットを血液ポンプ10に接続することができ、治療を開始することができる。次いで、インペラ20は、カニューレ40の少なくとも一部を通して血液を送り出すように操作することができる。
【0101】
操作中、インペラ20は、入口52を通して流体を拡張可能部分44に引き入れ、出口54を通して引き出すように、駆動軸26の縦方向軸の周囲で回転することができる。拡張可能部分44の遠位端にある入口52および支柱56は、拡張可能部分44の近位端47にある放出支柱58および出口54を通して近位に、インペラ20によって駆動される、血液ポンプ10への血液の実質的に制限されない流れを可能にすることができる。
【0102】
羽根アセンブリ120を含む実施形態において、羽根アセンブリ120は、インペラ20と共に回転しないように構成することができる。本明細書に記載されるように、羽根アセンブリ120は、インペラ20に縦方向の安定性を有利に提供し、操作中に拡張可能部分44内部の中心にインペラ20を保つように助ける。血液ポンプ10は、概して心拍数または概して準心拍数の任意の所望の速度で操作することができる。いくつかの実施形態において、血液ポンプ10は、典型的な生理圧、例えば、90mmHgの下で、約2L/分〜約5L/分の範囲の速度で操作することができる。他の実施形態において、血液ポンプ10は、典型的な生理圧、例えば、90mmHgに対して、約1L/分〜約3L/分の範囲の速度で操作することができる。
【0103】
[E.システムの除去]
その後、装置を患者の血管系から除去することができる。例えば、装置は、患者が回復し、血液ポンプ介入を使用する必要性を断ち切ることができる時に除去することができる。
【0104】
ポンプ10の除去は、体内への挿入のためのポンプの準備に類似した様式で実現することができる。例えば、ポンプ10の拡張可能構成要素は、類似の様式で圧縮することができる。インペラ20は、格納筐体46内へ、またはカニューレ40の拡張不可能部分42内へインペラ20を推進することによって、圧縮することができる。カニューレ40の拡張可能部分44は、カニューレ40の拡張可能部分44の近位端を保持シース60の遠位端内に推進することによって、圧縮することができる。
【0105】
いくつかの実施形態において、格納ツールは、カニューレ40の拡張可能部分44をシース60内に誘導または格納するために使用することができる。格納ツールは、構造において、本明細書に記載される圧縮ツールおよび/または展開ツールに類似することができる。本明細書に記載されるように、保持シース60は、一実施形態において、変形不可能および/または拡張不可能であるように構成される。例えば、保持シース60は、概して固定直径を有することができる。カニューレ40の拡張可能部分44を保持シース60内に推進させるステップは、多様な方式において実現することができる。例えば、誘導補助具(例えば、コネクタ57の近位範囲、軸方向に延在するリブ、および/または第2の領域59)の概して軸方向の剛性は、カニューレ40の拡張可能部分44を折り畳ませることができる。いくつかの実施形態において、誘導補助具は、形状が概して平坦で長く狭く、拡張可能部分44の近位端と遠位端との間で軸方向に整合される場合があり、このために、軸方向に拡張可能部分44を保持シース60内に向かわせる。誘導補助具が隣接したリング51を接続する実施形態において、誘導補助具は、各リング51をシース60内に引き入れることを促進することができる。拡張可能部分44が折り畳むと、入口52と出口54との間の拡張可能部分44内部の血液は、入口52から外へ遠位に流れる。
【0106】
図15A、15B、および16に関して本明細書に記載されるように、カニューレ40の拡張可能部分44は、複数の円周状リング51と、1つ以上の円周状リング51に付設されるコネクタ57として構成することができる、複数の誘導補助具とを含むことができる。これらの実施形態において、カニューレ40の拡張可能部分44をシース60内に誘導するステップは、カニューレ40の拡張可能部分44を、各コネクタ57と概して平行の方向に、シース60内に誘導するように、複数のコネクタ57を使用することを含むことができる。有利に、このステップは、ファネルを使用することなく、ならびに/もしくは変形不可能、拡張不可能、および/または概して固定直径シース60を用いて、実施することができる。ファネルのような遠位拡大構造に対する必要性を排除することによって、ポンプ10は、表面近辺でアクセス可能な血管等、微小血管に入るように構成することができる。この結果、ポンプ10は、心臓専門医によってカテーテル検査室において適用することができ、外科的適用は不要である。当業者は、使用中、血液はおそらく、ファネル近辺に貯留する可能性があり、血栓のリスクを増加させることを理解することができる。したがって、ファネルのない除去の別の利点は、血栓の削減したリスクにすることができる。
【0107】
図17に示され、本明細書に詳細を記載するように、カニューレ40の拡張可能部分44は、複数の円周状リング51、円周状リング51の外部を少なくとも部分的に被膜する第1のポリマーの第1の層50、および第1のポリマー層を覆う第1のポリマーとは異なる第2のポリマーの少なくとも1つの領域59を含むことができ、少なくとも第1の円周状リングを第2の円周状リングに接続する。これらの実施形態において、第2のポリマー領域59は、拡張可能部分44のための誘導幇助具として機能することができる。カニューレ40の拡張可能部分44をシース60内に誘導するステップは、カニューレ40の拡張可能部分44をシース60内に軸方向に誘導するために、第2のポリマー領域59を使用することを含むことができる。有利に、このステップは、ファネルを使用することなく、ならびに/もしくは変形不可能、拡張不可能、および/または概して固定直径シース60を用いて、実施することができる。このため、第2のポリマー領域59は、上述のように、ポンプ10が低侵襲的に適用されることを可能にするように構成することができる。
【0108】
[F.右心室補助装置としての使用]
LVADとして使用することに加えて、本明細書に記載される装置は、上述に類似の様式において右心室補助装置(RVAD)として使用することもできる。装置がRVADとして使用される時、装置は、大腿、腋窩、鎖骨下、または頸静脈等の末梢静脈を介して血管系内へ、大静脈を通って、患者の心臓内に挿入することができる。
【0109】
装置は、カニューレ40の拡張可能部分44の遠位端が患者の肺動脈弁に遠位の場所(例えば、肺動脈内部)にあり、かつカニューレ40の拡張可能部分44の近位端が、例えば、患者の肺動脈弁に近位の場所(例えば、右心室内部)にある、位置に挿入することができる。例えば、カニューレ40の拡張可能部分44の近位端の部分は、患者の右心室内に存在することができ、システムの血液流出口は、肺動脈内に配置することができる。システムの入口は、カニューレ40の拡張可能部分44の近位端に隣接することができ、患者の右心室、右心房、または大静脈内に配置されることになる。有利に、装置がRVADとして使用される時、カニューレ40の拡張可能部分44の近位端にある導管が流れの入口として操作することができ、カニューレ40の拡張可能部分44の遠位端にある導管が流れの出口として操作することができるように、流れが逆になるように構成することができる。そのような構成は、インペラのブレードのピッチを逆にすることによる等、多様な方法によって達成することができる。いくつかの実施形態において、インペラは、RVADとして構成される時、削減された流速で操作することができる。有利に、ベアリング、駆動軸、駆動ケーブル等のようなインペラの他の特徴は、LVAD構成から変更される必要がない場合がある。本明細書に記載される装置の他の適用として、他の器官への追加の血流を提供すること、手術中に心臓を補助すること等が挙げられる。
【0110】
本明細書に記載される向上した流体ポンプの設計の適用は、心室補助装置に限定されない。向上されたカニューレおよびインペラの設計は、削減された直径を有する格納構成が、所望の場所でポンプを位置するために有用である、任意の適用に有用である。例えば、地下で操作する流体ポンプは、より小さい直径の開口を通して、パイプ、溝または空洞に導入し、使用される開口の直径よりも大きい直径で操作することができる。カニューレの拡張可能部分内部で展開されるインペラの適用として、一体型加圧ポンプを備えた折り畳み可能消火用ホース、折り畳み可能プロペラ、生物体液のための生体医療用ポンプ等が挙げられる。
【0111】
本発明は、本明細書において特定の実施形態を参照して記載されているが、これらの実施形態は本発明の原則および適用の例示に過ぎないことを理解されたい。したがって、例示される実施形態には無数の変更を行うことができ、添付の特許請求の範囲により画定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の配置を考案可能であることを理解されたい。