(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定部は、前記シーツ本体中の前記要介護対象の腹部の上方に配置される部分の外面側に取り付けられた面ファスナーと、前記面ファスナーと係合可能な他の面ファスナーであって前記シーツ本体中の前記要介護対象の腹部の上方に配置される部分の内面側に取り付けられた面ファスナーとにより構成されている、請求項1又は2に記載のおむつ交換に適した医療又は介護用シーツ。
前記取り付け部は、前記シート状おむつの外周縁部もしくはその周辺部分の複数箇所にそれぞれ固定された各スナップボタン又は各磁石とそれぞれ互いに対向及び連結、連接もしくは係合可能な各スナップボタン又は各磁石であって、前記シーツ本体中の前記シート状おむつの外周縁部もしくはその周辺部分の複数箇所とそれぞれ対向する複数箇所にそれぞれ固定された各スナップボタン又は各磁石により構成されるものである、請求項1に記載のおむつ交換に適した医療又は介護用シーツ。
前記取り付け部は、前記シート状おむつの外周縁部もしくはその周辺部分の複数箇所にそれぞれ固定された各面ファスナー又は各磁石とそれぞれ互いに対向及び連結、連接もしくは係合可能な各面ファスナー又は各磁石であって、前記シーツ本体中の前記シート状おむつの外周縁部もしくはその周辺部分の複数箇所とそれぞれ対向する複数箇所にそれぞれ固定された各面ファスナー又は各磁石により構成されるものである、請求項1に記載のおむつ交換に適した医療又は介護用シーツ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に示すような防水タオルシーツは、確かに、要介護対象のおむつから漏れ出た便や尿が下側の敷布団やマットレスを汚すことを防止することができる。
【0005】
しかしながら、要介護対象のおむつから便や尿が漏れ出た場合、漏れ出た便や尿は、要介護対象の下側の敷布団やマットレスを汚すだけでなく、要介護対象の上側の掛け布団、要介護対象の来ている衣服(パジャマのズボンなど)をも汚すことになる。そのため、従来より、要介護対象のおむつから便や尿が漏れ出た場合のおむつ交換時の処理が、介護者にとって大きな負担となっていた。
【0006】
上記特許文献1に示す防水タオルシーツは、要介護対象のおむつから漏れ出た便や尿が要介護対象の下側の敷布団やマットレスを汚すことを防止するだけなので、漏れ出た便や尿が要介護対象の上側の掛け布団、要介護対象の来ている衣服(パジャマのズボンなど)を汚すことについては全く対応できない。
【0007】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、医療や介護の場で介護者(看護師を含む)に介護(看護を含む)される要介護対象のおむつから便や尿が漏れ出た場合でも、漏れ出た便や尿が「要介護対象の下側の敷布団やマットレス、要介護対象の上側の掛け布団、及び要介護対象の着ている衣服」のいずれをも汚すことがないようにし、これにより要介護対象のおむつから便や尿が漏れ出た場合における「おむつ交換等を行う介護者の負担」を大幅に軽減することができる、おむつ交換を容易化する医療又は介護用シーツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るおむつ交換に適した医療又は介護用シーツは、要介護対象から見て縦方向が40〜120cm、横方向が50〜160cmのシーツ本体であって、要介護対象の腰及び腿の下側に配置される、洗濯により再利用可能なシーツ本体と、前記シーツ本体上の要介護対象の腰及び腿と対向する位置に配置される、要介護対象から見て縦方向が30〜90cm、横方向が40〜150cmである、使い捨て型のシート状おむつと、前記シーツ本体に備えられた固定部であって、前記シーツ本体が全体として要介護対象の腰及び腿をくるむ略筒状となるように、前記シーツ本体中の要介護対象から見て右側又は左側の部分であって要介護対象の腹部の上方に配置される部分の内面側と、前記シーツ本体中の要介護対象から見て左側又は右側の部分であって要介護対象の腹部の上方に配置される部分の外面側とを互いに固定する固定部と、前記使い捨て型シート状おむつを、前記洗濯により再利用可能なシーツ本体に対して、前記シート状おむつが前記シーツ本体に対して位置ズレしないように着脱可能に係止・固定する、取り付け部と、を備え、おむつ交換の際には、汚れたシート状おむつを使い捨てとしつつ、新しい使い捨て型シート状おむつを前記シーツ本体に対し着脱可能に係止・固定できるようにしたものである。
【0009】
また、本発明に係るおむつ交換に適した医療又は介護用シーツは、要介護対象から見て縦方向が40〜120cm、横方向が50〜160cmのシーツ本体であって、要介護対象の腰及び腿の下側に配置されるシーツ本体と、前記シーツ本体上の要介護対象の腰及び腿と対向する位置に配置される、要介護対象から見て縦方向が30〜90cm、横方向が40〜150cmのシート状おむつと、前記シーツ本体に備えられた固定部であって、前記シーツ本体が全体として要介護対象の腰及び腿をくるむ略筒状となるように、前記シーツ本体中の要介護対象から見て右側又は左側の部分であって要介護対象の腹部の上方に配置される部分の内面側と、前記シーツ本体中の要介護対象から見て左側又は右側の部分であって要介護対象の腹部の上方に配置される部分の外面側とを互いに固定する固定部と、前記シーツ本体に備えられたズレ防止手段であって、前記シート状おむつの前記シーツ本体に対する位置ズレを防止するズレ防止手段と、を備えたものである。
【0010】
また、本発明において、前記固定部は、前記シーツ本体中の前記要介護対象の腹部の上方に配置される部分の外面側に取り付けられた面ファスナーと、前記面ファスナーと係合可能な他の面ファスナーであって前記シーツ本体中の前記要介護対象の腹部の上方に配置される部分の内面側に取り付けられた面ファスナーとにより構成されていてもよい。
【0011】
また、本発明によるおむつ交換を容易化する医療又は介護用シーツにおいては、前記の取り付け部又はズレ防止手段は、前記シート状おむつの外周縁部もしくはその周辺部分の複数箇所にそれぞれ固定された各スナップボタンの凹状部分もしくは凸状部分又は各磁石とそれぞれ互いに対向及び連結、連接もしくは係合可能な各スナップボタンの凸状部分もしくは凹状部分又は各磁石であって、前記シーツ本体中の前記シート状おむつの外周縁部もしくはその周辺部分の複数箇所とそれぞれ対向する複数箇所にそれぞれ固定された各スナップボタンの凸状部分もしくは凹状部分又は各磁石により構成されていてもよい。
【0012】
さらに、本発明にるおむつ交換を容易化する医療又は介護用シーツにおいては、前記の取り付け部又はズレ防止手段は、前記シート状おむつの外周縁部もしくはその周辺部分の複数箇所にそれぞれ固定された各面ファスナー又は各磁石とそれぞれ互いに対向及び連結、連接もしくは係合可能な各面ファスナー又は各磁石であって、前記シーツ本体中の前記シート状おむつの外周縁部もしくはその周辺部分の複数箇所とそれぞれ対向する複数箇所にそれぞれ固定された各面ファスナー又は各磁石により構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、前記固定部により、前記シーツ本体が、全体として「要介護対象の腰、腿、及びそれらの周辺部分をくるむ(包む)略筒状」となるように、前記シーツ本体中の要介護対象から見て右側方向の縁部又はその周辺部分と、前記シーツ本体中の要介護対象から見て左側方向の縁部又はその周辺部分とを互いに固定(例えば面ファスナーなどにより一時的に固定)するようにしている。このように、本発明においては、前記シーツ本体が、要介護対象の腰及び腿の左右上下を覆う(包む)ように略筒状に形成されると共に、前記シート状おむつが、要介護対象の腰及び腿の少なくとも下側と左右を覆う(包む)ように(より望ましくは、要介護対象の腰及び腿の左右上下を覆う(包む)ように)形成される。よって、本発明によれば、要介護対象の腰及び腿とそれらの周辺部分が、前記シート状おむつが取り付けられた前記シーツ本体により覆われる(包まれる)ようになるので、もし要介護対象のおむつから便や尿が漏れ出た場合でも、漏れ出た便や尿が「要介護対象の下側の敷布団やマットレス」だけでなく「要介護対象の上側の掛け布団」をも汚さないようにすることができる。なお、前記シート状おむつが取り付けられた前記シーツ本体が「おむつから漏れ出た便や尿」により汚されても、前記シート状おむつは使い捨て製品であり、且つ前記シーツ本体は容易に洗濯できるものなので、大きな不都合はない。
【0014】
また、本発明では、特に寝たきりの要介護対象などの場合において、前述のように要介護対象の腰及び腿とそれらの左右上下の周辺部分が前記シーツ本体により覆われている(包まれている)ので、おむつをはいた状態のまま(すなわち、パジャマのズボンなどを着用しない状態のまま)でも、要介護対象が羞恥心を抱くなどの不都合はほとんど生じない。よって、本発明を、特に寝たきりの要介護対象などの場合に、おむつをはいた状態のまま(すなわち、パジャマのズボンなどをはかない状態のまま)、前記シーツ本体が要介護対象の腰及び腿とそれらの周辺部分を覆う(包む)ように使用することにより、もし要介護対象のおむつから便や尿が漏れ出た場合でも、漏れ出た便や尿が「要介護対象の下側の敷布団やマットレス」及び「要介護対象の上側の掛け布団」だけでなく、「要介護対象の着ている衣服(パジャマのズボンなど)」をも汚さないようにすることができる。
【0015】
また、本発明において、前記固定部を、前記シーツ本体中の前記要介護対象の腹部の上方に配置される部分の内面側に取り付けられた面ファスナーと、前記面ファスナーと係合可能な他の面ファスナーであって前記シーツ本体中の前記要介護対象の腹部の上方に配置される部分の外面側に取り付けられた面ファスナーとにより構成したときは、介護者は、要介護対象を前記シーツ本体及びシート状おむつの上に寝かせた後、要介護対象の腰及び腿とそれらの周辺部分を前記シーツ本体(及びシート状おむつ)でくるむことを、極めて効率的かつ容易に行えるようになる。
【0016】
また、本発明において、前記シート状おむつが前記シーツ本体に対して位置ズレしないようにするズレ防止手段を備えたときは、要介護対象を前記シーツ本体及びシート状おむつの上に寝かせた後、要介護対象の腰及び腿とそれらの周辺部分を前記シーツ本体(及びシート状おむつ)でくるんだ後に、要介護対象の動きにより前記シート状おむつが前記シーツ本体に対して位置ズレしてしまう不都合を防止することができる。
【0017】
また、本発明において、前記ズレ防止手段を、前記シート状おむつの外周縁部もしくはその周辺部分の複数箇所にそれぞれ固定された各スナップボタンの凹状部分もしくは凸状部分又は各磁石とそれぞれ互いに対向及び連結、連接もしくは係合可能な各スナップボタン(の凸状部分もしくは凹状部分)又は各磁石であって、前記シーツ本体中の前記シート状おむつの外周縁部もしくはその周辺部分の複数箇所とそれぞれ対向する複数箇所にそれぞれ固定された各スナップボタン(の凸状部分もしくは凹状部分)又は各磁石により構成したときは、介護者は、前記シーツ本体の上にシート状おむつを配置した後、前記シート状おむつの外周縁部もしくはその周辺部分に固定された各スナップボタン(の凹状部分もしくは凸状部分)又は各磁石と、前記シーツ本体に固定された前記各スナップボタン(の凸状部分もしくは凹状部分)又は各磁石とを互いに対向・連結(スナップボタンの場合は嵌合もしくは係合、磁石の場合は連接)させるという単純な作業を行うだけで、極めて効率的に、前記の「要介護対象の動きによりシート状おむつがシーツ本体に対して位置ズレしてしまう不都合」を防止することができる。
【0018】
さらに、本発明において、前記ズレ防止手段を、前記シート状おむつの外周縁部もしくはその周辺部分に固定された各面ファスナー又は各磁石と、前記シーツ本体に固定された各面ファスナー又は各磁石であって前記前記シート状おむつ側の各面ファスナー又は各磁石と互いに対向及び連結、連接もしくは係合可能な各面ファスナー又は各磁石とにより構成したときは、介護者は、前記シーツ本体の上にシート状おむつを配置した後、前記シート状おむつの外周縁部もしくはその周辺部分に固定された各面ファスナー又は各磁石と、前記シーツ本体に固定された前記各面ファスナーとを互いに対向・連結(スナップボタンの場合は嵌合、磁石の場合は連接)させるという単純な作業を行うだけで、極めて効率的に、前記の「要介護対象の動きによりシート状おむつがシーツ本体に対して位置ズレしてしまう不都合」を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)は本発明の実施形態1に係る医療又は介護用シーツを構成するシーツ本体を示す平面模式図、(b)は本実施形態1に係る医療又は介護用シーツの一部を構成するシート状おむつを示す平面模式図である。
【
図2】本実施形態1における前記シーツ本体及シート状おむつと要介護対象との位置関係を説明する平面模式図である。
【
図3】本実施形態1の動作又は使用方法を説明するための斜視図である。
【
図4】本実施形態1の動作又は使用方法を説明するための斜視図である。
【
図5】本実施形態1の動作又は使用方法を説明するための斜視図である。
【
図6】本実施形態1の動作又は使用方法を説明するための斜視図である。
【
図7】本実施形態1の動作又は使用方法を説明するための斜視図である。
【
図8】本実施形態1の動作又は使用方法を説明するための斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態2を説明するための模式図で、(a)は本発明の実施形態1に係る医療又は介護用シーツを構成するシーツ本体を示す平面模式図、(b)は本実施形態1に係る医療又は介護用シーツの一部を構成するシート状おむつを示す平面模式図、(c)はシーツ本体に設けられた三角ポケットを示す斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態3に係る医療又は介護用シーツを説明するための斜視図である。
【
図11】要介護対象の腰及びその周辺部分を本実施形態3で包むために本実施形態3を円筒状にするときの動作を説明するための図である。
【
図12】本実施形態3を円筒状にするときの動作を説明するための図である。
【
図13】本実施形態3を円筒状にするときの動作を説明するための図である。
【
図14】本実施形態3を円筒状にするときの動作を説明するための図である。
【
図15】本実施形態3を円筒状にするときの動作を説明するための図である。
【
図16】本実施形態3を円筒状にするときの動作を説明するための図である。
【
図17】本実施形態3において採用した、シート状おむつのシーツ本体に対するズレ防止のための構成を説明するための図である。
【
図18】本実施形態3において採用した、シート状おむつのシーツ本体に対するズレ防止のための構成を説明するための図である。
【
図19】本実施形態3において採用した、シート状おむつのシーツ本体に対するズレ防止のための構成を説明するための図である。
【
図20】本実施形態3において採用した、シート状おむつのシーツ本体に対するズレ防止のための構成を説明するための図である。
【
図21】本実施形態3において採用した、シート状おむつのシーツ本体に対するズレ防止のための構成を説明するための図である。
【
図22】本実施形態3において採用した、シート状おむつのシーツ本体に対するズレ防止のための構成を説明するための図である。
【
図23】本実施形態3において採用した、シート状おむつのシーツ本体に対するズレ防止のための構成を説明するための図である。
【
図24】本実施形態3において採用した、シート状おむつのシーツ本体に対するズレ防止のための構成を説明するための図である。
【
図25】本発明の実施形態4に係る医療又は介護用シーツを説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1(a)は本発明の実施形態1に係る医療又は介護用シーツを構成するシーツ本体を示す平面模式図、
図1(b)は本実施形態1に係る医療又は介護用シーツの一部を構成するシート状おむつを示す平面模式図、
図2は本実施形態1における前記シーツ本体及シート状おむつと要介護対象との位置関係などを説明する平面模式図である。
【0021】
図1において、1は敷布団又はマットレスの上に配置されるシーツであって例えば毛織物(タオル生地、スウェット生地など、他の様々な素材が利用可能である)から成る略長方形状のシーツ本体(例えば、通常の敷布団又はマットレスと略同一のサイズかこれよりも少し小さいサイズのものが望ましい)、2は前記シーツ本体1の上に配置されるシート状おむつ(前記シーツ本体1よりも小さいサイズのものが望ましい)である(
図1(a)では、シート状おむつ2が配置される部分を破線で示している)。
【0022】
本実施形態1において、前記シーツ本体1は、
図2に示すように、少なくとも「要介護対象10の腰を覆う「おむつ」11、腿12、並びに当該腰(おむつ11)及び腿12から要介護対象10から見て左右両方向に少なくとも例えば600mm(300mm〜600mmでもよい)以上延びる領域A,A’」と対向する部分を含むようなサイズに形成されている。よって、本実施形態1では、前記シーツ本体1により、要介護対象10の腰(おむつ11)及び腿12並びにその周辺部分の上下左右を含む全体を、覆い包むことができる。
【0023】
また本実施形態1において、前記シート状おむつ2は、
図1(b)に示すように、高吸水性樹脂を内部に封入した扁平な袋形状の厚いシート状部分2aとその外周縁部(高吸水性樹脂が内部に封入されていない部分であって薄いシート状の部分)2bとから構成されている。また、前記シート状おむつ2は、
図2に示すように、要介護対象10の腰の部分(おむつ11)及び腿12などを十分にカバーすることができるように、少なくとも縦方向が600mm(要介護対象の大きさにより、300mm〜1,000mmの範囲内)、及び横方向が900mm(要介護対象の大きさにより、400mm〜1,200mmの範囲内)のサイズを有するように、形成されている。
【0024】
よって、本実施形態1では、前記シート状おむつ2により、要介護対象10の腰(おむつ11)及び腿12並びにその周辺部分の下側と左右を覆うことができる。なお、腰回りのサイズの小さい要介護対象10ならば、上記サイズのシート状おむつ2でも、要介護対象10の腰(おむつ11)及び腿12並びにそれらの左右上下の周辺部分を、覆い包むことができる。なお、前記シート状おむつ2の要介護対象から見て左右方向すなわち図示横方向のサイズを例えば1000mm以上のサイズにして、腰回りのサイズの大きい要介護対象10についても、その要介護対象10の腰(おむつ11)及び腿12並びにそれらの左右上下の周辺部分を、覆い包めるようにしてもよい。
【0025】
本実施形態1では、
図1(a)に示すように、前記シーツ本体1の要介護対象から見て略上半分の左右両縁部の中、図示右側縁部1aの裏側(外面側)の図示の4箇所にそれぞれスナップボタンの凸状部分3a〜3cが、また図示左側縁部1bの表側(内面側)の図示の4箇所にそれぞれスナップボタンの凹状部分4a〜4cが、固定されている。
【0026】
また、本実施形態1では、
図1(a)に示すように、前記シーツ本体1中の、前記シート状おむつ2の4個の各隅部及びその周辺部分(前記外周縁部2bの一部)が配置される複数箇所に、それぞれ、スナップボタンの凹状部分5が予め固定されている。
【0027】
次に本実施形態1の動作又は使用方法について説明する。本実施形態1を使用するときは、予め、シーツ本体1の上にシート状おむつ2を配置し、さらにシート状おむつ2がシーツ本体1の上でズレないようにしておく必要がある。そのため、本実施形態1では、シーツ本体1の上にシート状おむつ2を配置した後、シーツ本体1中の「シート状おむつ2の外周縁部2b中の4個の隅部及びその周辺部分」と対向する部分に予め固定されている各スナップボタンの凹状部分(嵌め込まれる側の部分)5に、それぞれ各スナップボタンの凸状部分(嵌め込む側の部分)を、前記シート状おむつ2の外周縁部2bを介して嵌め込むことにより、取付け、固定する。これにより、シート状おむつ2が、シーツ本体1の上で位置ズレしないように、シーツ本体1に固定される。
【0028】
図3はこのときの動作を説明するための斜視図である。
図3において、5a,5bは前記シーツ本体1の所定の複数箇所(前記シート状おむつ2の外周縁部2b中の4つの隅部及びその周辺部分に対応する箇所)に予め縫製などで固定されたスナップボタンの凹状部分、6aは前記スナップボタンの凹状部分5aと嵌合可能な凸状部分(まだどこにも固定されていないフリーの状態)、6bは前記スナップボタンの凹状部分5bに嵌合された凸状部分、7a,7bは前記シート状おむつ2の外周縁部2b中の各隅部及びその周辺部分の取付箇所(前記スナップボタン6a,6bにより前記シーツ本体1に取り付けられる箇所)である。
【0029】
図3の例では、前記シート状おむつ2の外周縁部2b中の取付箇所7bは、前記凸状部分6bが「前記シーツ本体1の前記取付個所7bと対応する箇所に予め固定されていた凹状部分」と嵌合することにより、前記シーツ本体1側に固定されている。これに対して、前記シート状おむつ2の外周縁部2b中の取付箇所7aは、まだ固定されておらず、フリーの状態である。この取付箇所7aについては、同様にフリーの状態で置かれている凸状部分6aが、前記取付箇所7a(前記シート状おむつ2の薄い外周縁部2bの一部)を介して、対応する凹状部分5aに嵌合されることにより、前記シーツ本体1側に係止、固定される。
図4の斜視図は、このようにして、前記シーツ本体1の上にシート状おむつ2が位置ズレしないように係止、固定された状態を示すものである。
【0030】
また
図4において、6は前記シート状おむつ2の外周縁部2b中の複数の取付箇所を、前記シーツ本体1に係止、固定するために、前記スナップボタンの凹状部分5(
図4では図示せず)に嵌め込まれた凸状部分である。
【0031】
次に、本実施形態1に係る医療又は介護用シーツ(シーツ本体1及びシート状おむつ2)により要介護対象10の腰(おむつ11)、腿12及びその周辺を包む動作について説明する。この場合は、まず、
図2に示すように、本実施形態1に係る医療又は介護用シーツ(シーツ本体1及びシート状おむつ2)を敷布団又はマットレスの上に配置する。その後、要介護対象10を、その腰すなわち「おむつ」11が本実施形態1に係る医療又は介護用シーツ(シーツ本体1及びシート状おむつ2)の略中心にくるように、寝かせる。
【0032】
次に、前記シーツ本体1及びシート状おむつ2の略中心部の上に要介護対象10(
図3では図示省略)の腰部(
図2のおむつ11参照)を配置した状態から、
図5に示すように、シーツ本体1の左右両縁部1a,1bを要介護対象10の上方で互いに近づける(なお、
図5では、前記シート状おむつ2の縁部2b(
図1参照)は、便宜上、図示を省略している)。そして、
図5の矢印B1に示すように、シーツ本体1の一方の縁部1b側のスナップボタンの凹状部分4cをシーツ本体1の他方の縁部1a側のスナップボタンの凸状部分3cに嵌合させる。以下同様に、
図5の矢印B2に示すように一方の縁部1b側の凹状部分4bを他方の縁部1a側の凸状部分3bに、矢印B3に示すように一方の縁部1b側の凹状部分4aを他方の縁部1a側の凸状部分3aに、それぞれ嵌合させる。
【0033】
これにより、
図6に示すように、前記シート状おむつ2が取り付けられたシーツ本体1(特に前記シーツ本体1中の図示上半分の要介護対象10の腰及び腿12と対向する部分)が、前記各凸状部分3a〜3cと前記各凹状部分4a〜4cとの嵌合により、全体として略筒状に形成される。なお、
図6では、前記各凸状部分3a〜3cと前記各凹状部分4a〜4cとを、便宜上、互いに近接しているが完全には嵌合していない状態(仮想的に、互いが少し離れた状態)で図示した。
【0034】
図7は、以上の動作を説明するための斜視図であって、前記シーツ本体1を略筒状に形成するために、前記凹状部分4cを前記凸状部分3cに、前記凹状部分4aを前記凸状部分3aに、前記凹状部分4bを前記凸状部分3bに、それぞれ嵌合する前の状態を示すものである。
また、
図8は、前述した
図7の状態から、前記各凹状部分4c,4a,4bを前記各凸状部分3c,3a,3bにそれぞれ嵌合した後の、前記シーツ本体1が全体として略筒状に形成された状態を示す斜視図である。
【0035】
このような本実施形態1を使用するときは、もし要介護対象10のおむつ交換時に、おむつ11から便や尿が漏れ出ていた場合でも、前述のように要介護対象10のおむつ11の上下左右の周辺部分を前記シーツ本体1が包むように覆っているので、要介護対象10の下側の敷布団もしくはマットレスだけでなく、要介護対象10の上側の掛け布団が汚れることも防止される。さらに、本実施形態1では、要介護対象10のおむつ11が前記シーツ本体1で覆われるので、要介護対象10のおむつ11の上に衣服(パジャマのズボンなど)をはかせる必要がない(パジャマのズボンなどをはかなくても、特に恥ずかしくない)ので、もし要介護対象10のおむつ11交換時に、おむつ11から便や尿が漏れ出ていた場合でも、(要介護対象10がパジャマのズボンなどを。もともと、はいていないため)要介護対象10の被服が汚れることをも防止することができる。よって、本実施形態1を使用するときは、おむつ11交換時の介護者の作業負担を大幅に軽減させることができる。
【0036】
以上のように、本実施形態1においては、前記各凹状部分4a〜4b及び各凸状部分3a〜3cを互いに嵌合させることにより、前記シーツ本体1中の「要介護対象10の腰(おむつ11)及び腿12、並びに当該腰(おむつ11)及び腿12から要介護対象から見て左右方向に延びる領域A,A’」と対向する部分が、全体として要介護対象の腰(おむつ11)及び腿12をくるむ(包む)略筒状となるように、前記シーツ本体1中の図示左側方向の縁部1b又はその周辺部分と、前記シーツ本体1中の図示右側方向の縁部1a又はその周辺部分とを互いに係止、固定するようにしている。このように、本実施形態1においては、前記シーツ本体1が、要介護対象の腰(おむつ11)及び腿12とそれらの左右上下の周辺部分を覆う(包む)ように略筒状に形成され配置されると共に、前記シート状おむつ2が、要介護対象の腰(おむつ11)及び腿12の少なくとも下側と左右を覆う(包む)ように形成され配置されるようにしている。よって、本実施形態によれば、要介護対象10の腰(おむつ11)及び腿12の略全体が、前記シート状おむつ2が取り付けられた前記シーツ本体1により覆われる(包まれる)ようになる結果、もし要介護対象10のおむつ11から便や尿が漏れ出た場合でも、漏れ出た便や尿が「要介護対象10の下側の敷布団やマットレス」だけでなく「要介護対象10の上側の掛け布団」をも汚さないようにすることができる。
【0037】
また、本実施形態1では、特に寝たきりの要介護対象の場合において、前述のように要介護対象10の腰(おむつ11)及び腿12とそれらの左右上下の周辺部分が前記シーツ本体1により覆われている(包まれている)ので、おむつ11をはいた状態のまま(すなわち、パジャマのズボンなどをはかない状態のまま)でも、要介護対象10が羞恥心を抱くなどの不都合はほとんど生じない。よって、本実施形態1によれば、特に要介護対象10が寝たきりのような場合に、おむつ11をはいた状態のまま(すなわち、パジャマのズボンなどを着用しない状態のまま)、要介護対象10の腰(おむつ11)及び腿12の全体を前記シーツ本体1が覆う(包む)ようにすることにより、もし要介護対象10のおむつから便や尿が漏れ出た場合でも、漏れ出た便や尿が「要介護対象10の下側の敷布団やマットレス」及び「要介護対象10の上側の掛け布団」だけでなく、「要介護対象10の着ている衣服(パジャマのズボンなど)」をも、(もともとパジャマのズボンなどをはかないようにして)汚さないようにすることができる。
【0038】
また、本実施形態1においては、前記シーツ本体1中の前記左右各縁部1a,1b又はその周辺部分を、前述のようなスナップボタンの凸状部分3a〜3c及び凹状部分4a〜4cにより、互いに固定できるようにしたので、介護者は、要介護対象10を前記シーツ本体1及びシート状おむつ2の上に寝かせた後、要介護対象10の腰(おむつ11)及び腿12を、全体として略筒状に形成された前記シーツ本体1及びシート状おむつ2でくるむことを、極めて効率的かつ容易に行えるようになる。
【0039】
また、本実施形態1においては、前記シート状おむつ2の外周縁部2bを、前記スナップボタン5により、前記シーツ本体1に対して取り付け、固定できるようにした。よって、本実施形態1によれば、前記シート状おむつ2が前記シーツ本体1に対して位置ズレすることがなくなり、要介護対象10を前記シーツ本体1及びシート状おむつ2の上に寝かせて、要介護対象10の腰(おむつ11)及び腿を前記シーツ本体1及びシート状おむつ2でくるんだ後に、要介護対象10の動作により前記シート状おむつ2が前記シーツ本体1に対して位置ズレしてしまう不都合を、防止できるようになる。
【0040】
また、本実施形態1においては、前述のように、前記シート状おむつ2の前記シーツ本体1への位置ズレ防止(係止、固定)を、前記のスナップボタンの各部分5及び6を互いに嵌合するだけで行えるようにしたので、前記シート状おむつ2の前記シーツ本体1に対する位置ズレ防止(係止、固定)、を極めて効率的に行うことができる。
【0041】
なお、他の実施形態においても後述するが、本実施形態1においてはシーツ本体1を略筒状に形成して固定するために、シーツ本体1の外周縁部及びその近傍部分の複数箇所に予め固定した各スナップボタン3a〜3c及び4a〜4cを使用するようにした(
図2,
図5〜8など参照)が、本発明の他の実施形態としては、前記各スナップボタン3a〜3c及び4a〜4cをそれぞれ各面ファスナーに代えるようにしてもよい。
【0042】
〔第2の実施形態〕
次に本発明の実施形態2に係る医療又は介護用シーツを
図9を参照して説明する。本実施形態2は前記実施形態1と基本的構成は同一であるので、以下では異なる部分についてのみ説明する。前記の実施形態1では、
図1に示すように、前記シート状おむつ2の前記シーツ本体1への位置ズレ防止のために、複数のスナップボタン5を前記シーツ本体1に予め縫製などにより固定するようにしていた。しかし、これらのスナップボタン5は通常は金属製又はプラスチック製など硬い素材から成るものであるため、それが外部に露出している場合は、要介護対象10の皮膚や衣服に当たって褥痩(床ずれ)が生じてしまう可能性がある。
【0043】
そこで、本実施形態2では、
図9(a)及び(c)に示すように、前記シーツ本体1に予め固定された複数のスナップボタン5(前記シート状おむつ2の前記シーツ本体1に対する位置ズレ防止用のスナップボタン5)の上方(要介護対象10側)の露出を防いでその上方を覆うための例えば布製の三角ポケット(カバー体)21Aを、前記シート本体1上の計4箇所に、縫製などにより設けるようにしている。
【0044】
よって、本実施形態2によれば、前記実施形態1による作用効果に加えて、前記スナップボタン5が要介護対象10の皮膚や衣服に当たって褥痩(床ずれ)を生じさせてしまうことを防止できるようになる。
【0045】
〔第3の実施形態〕
次に本発明の実施形態3に係る医療又は介護用シーツを
図10〜24を参照して説明する。本実施形態3は前記実施形態1と基本的構成は同じであるので、以下では、前記実施形態1と相違する部分を中心に、本実施形態3の構成及び動作を説明する。
【0046】
図10は本実施形態3に係る医療又は介護用シーツの全体を示す斜視図である。
図10において、1はシーツ本体、2はシート状おむつ、2aはシート状おむつ2中の内部に高吸水性樹脂が封入された部分、2bはシート状おむつ2中の外周縁部であって内部に高吸水性樹脂が封入されていない外周縁部、21はシート状おむつ2の要介護対象から見て頭部側の両端部を前記シーツ本体1側に固定することによりシート状おむつ2のシーツ本体1に対する位置ズレを防止するズレ防止具、25はシート状おむつ2の要介護対象から見て足側の両端部を前記シーツ本体1側に固定することによりシート状おむつ2のシーツ本体1に対する位置ズレを防止するズレ防止具、である。なお、前記シーツ本体1は、例えば、縦方向が40〜120cm(望ましくは60〜90cm)、横方向が50〜160cm(望ましくは100〜150cm)である。また、前記シート状おむつ2は、例えば、縦方向が30〜90cm、横方向が40〜150cmである。
【0047】
次に、本実施形態3において、要介護対象の腰及び腿の周辺を包む(包み込む)ために、シーツ本体1を全体として略円筒状にするための構成及びその動作を、
図11〜14を参照して説明する。
【0048】
本実施形態3では、
図10に示すように、1枚のシーツ本体1(
図10においては、シーツ本体1の図示下方が、これを使用する要介護対象の頭部方向となる)は、これを使用する要介護対象から見て左側部分1aと、要介護対象から見て中央部分1bと、要介護対象から見て右側部分1cとから構成されている。
図10,11に示すように、シーツ本体1中の要介護対象から見て左側部分1aの頭部方向(要介護対象の頭部方向。図示下方)縁部の内面側(シート状おむつ2が配置される側)に、比較的長い帯状の面ファスナー(マジックテープ(商標))15が、要介護対象から見て横方向に延びるように、縫製又は両面テープなどで固定されている。また、本実施形態3では、
図12に示すように、前記シーツ本体1中の要介護対象から見て右側部分1cの外面側(シート状おむつ2が配置されていない側)の複数箇所(
図12では3箇所)に、それぞれ矩形状の各面ファスナー16a〜16cが、要介護対象から見て横方向に互いに所定の間隔を介して一列に延びるように、固定されている。
【0049】
また、本実施形態3では、
図15に示すように、前記シーツ本体1中の要介護対象から見て左側部分1aの側方(要介護対象の腰の側方)縁部の内面側(シート状おむつ2が配置される側)に、矩形状の面ファスナー17が、その一部が前記シーツ本体1から突出するように、縫製や両面テープなどで固定されている。また、本実施形態3では、
図15,16に示すように、前記シーツ本体1中の要介護対象から見て右側部分1cの側方(要介護対象の腰の側方)の縁部より少し中央に寄った位置の外面側(シート状おむつ2が配置されていない側)の複数箇所(本実施形態では2箇所。
図16参照)に、それぞれ、矩形状の各面ファスナー18a,18bが、要介護対象から見て横方向に互いに所定の間隔を介して並ぶように、縫製や両面テープなどで固定されている。
【0050】
次に、本実施形態3にシーツ本体1(
図10,
図12などのシーツ本体1では、その図示下方が、これを使用する要介護対象の頭部方向となる。)を略筒状にするための動作を説明する。この場合、まず、前記シーツ本体1中の要介護対象から見て右側部分1c(
図10,
図12参照)を、前記シーツ本体1中の要介護対象から見て中央部分1b(
図12参照)の上側(すなわち、シーツ本体1の上に横たわっている要介護対象(
図12などでは図示省略)の腹部の上側)に、前記シーツ本体1の他の部分に対して折り曲げるようにして、配置する(要介護対象の腹部の上に掛ける)。このときは、
図12に示すように、前記シーツ本体1中の要介護対象(図示省略)から見て右側部分1cの上方縁部の外面側の面ファスナー16a〜16cが、ユーザー(介護者)側の腹部の上方に位置する状態となる。
【0051】
次に、ユーザー(介護者)が、前記シーツ本体1中の要介護対象から見て左側部分1aの頭部側縁部の内面側に固定された帯状の面ファスナー15又はその周辺部分を持って、前記外面側に固定された各面ファスナー16a〜16cの上側へ(図示右側方向に)移動させる(
図12、
図13参照)。その後、
図14に示すように、前記内面側に固定された帯状の面ファスナー15を、前記外面側に固定された各面ファスナー16a〜16cに当接させて固定させる。
【0052】
次に、
図15のように、ユーザー(介護者)が、前記シーツ本体1中の要介護対象から見て左側部分1aの側方縁部の内面側に固定された矩形状の面ファスナー17(
図15参照)を持って、前記外面側に固定された面ファスナー18a又は18bの上側へ(図示右側方向に)移動させる。その後、
図16に示すように、前記内面側に固定された帯状の面ファスナー17を、前記外面側に固定された各面ファスナー18a,18bのいずれか一方(
図16の例では面ファスナー18b)に当接させて固定させる。なお、この場合の前記内面側に固定された帯状の面ファスナー17を前記外面側に固定された面ファスナー18a,18bのいずれに固定されるかは、要介護対象の体形(腹部のサイズなど)に応じてユーザー(介護者)が選択する。以上により、シーツ本体1を略筒状にする動作が完了する。
【0053】
次に、本実施形態3における前記シート状おむつ2のシーツ本体1に対する位置ズレを防止するための構成について説明する。本実施形態3では、このような位置ズレ防止のために、
図10の符号21,25で示すようなズレ防止具をシーツ本体1に備えるようにしている。
【0054】
図17〜21は、前述の
図10に示すズレ防止具21を説明するための図である。本実施形態3のシーツ本体1には、
図17〜21に示すような平面略三角形状のズレ防止具21(
図10参照)が備えられている。このズレ防止具21は、
図20に示すように、平面略三角形状の布からなる上側三角布21aと、同様に平面略三角形状の布からなる下側三角布21cとが一方の辺で連結されて成るものである。そして、
図20,21に示すように、前記ズレ防止具21は、下側三角布21c側に固定された面ファスナー23aとシーツ本体1側に固定された面ファスナー23bとにより、シーツ本体1の所定箇所に着脱可能に取り付けられる。前記ズレ防止具21の構成及び動作の詳細は、さらに次のとおりである。
【0055】
前記ズレ防止具21は、
図17に示すように、上側三角布21aと、この上側三角布21aの頂点部分21bに取り付けられたスナップボタン22a(凹部又は凸部)と、前記シーツ本体1側に取り付けられたスナップボタン22bであって前記スナップボタン22aと対向可能な(前記上側三角布21aの頂点部分21bがシーツ本体1側に倒されたときに対向可能な)位置に固定されたスナップボタン22b(凸部又は凹部。なお、このスナップボタン22bは、
図17では、シート状おむつ2の外周縁部2bにより、隠されている)と、により構成されている。
【0056】
本実施形態3において、前記ズレ防止具21によりズレ防止を行うときは、
図17に示すように、前記シート状おむつ2を前記シーツ本体1上に配置し、前記シート状おむつ2の外周縁部2bを前記スナップボタン22bの上に配置した後、
図18に示すように、前記上側三角布21aの頂点部分21bを前記シーツ本体1側に倒す。その後、
図19に示すように、前記上側三角布21aの頂点部分21bのスナップボタン22aを、前記シーツ本体1側のスナップボタン22b(
図19ではシート状おむつ2の外周縁部2bにより隠されている)に対向させ、さらに前記スナップボタン22bに、前記シート状おむつ2の外周縁部(薄いシート状の縁部)2bを介して、嵌合させる。これにより、前記シート状おむつ2の外周縁部2bが前記シーツ本体1に固定され、その結果、シート状おむつ2のシーツ本体1に対する位置ズレが防止される。以上の動作は、シーツ本体1の上側(要介護対象の胸側)に配置された2つのズレ防止具21(
図10参照)のそれぞれについて行う。
【0057】
次に、前記ズレ防止具21の前記シーツ本体1への着脱動作を、
図20,21を参照して説明する。前記ズレ防止具21は、前述のように、前記上側三角布21aと、この上側三角布21aと底辺部分(一辺)で互いに連結された下側三角布21cとにより構成されている。前記下側三角布21cの裏面の端部には面ファスナー23aが固定されている。
図20に示すように、前記下側三角布21cの裏面側の面ファスナー23aは、予めシーツ本体1に固定された面ファスナー23bと対向可能かつ互いに貼り付け可能に構成されている。よって、前記各面ファスナー23a,23bを互いに貼り付け又は取り外しすることにより、前記ズレ防止具21の前記シーツ本体1への着脱が可能となっている。
図21は、このようにして、前記ズレ防止具21を前記シーツ本体1から取り外したときの状態を示す図である。このように、前記ズレ防止具21を前記シーツ本体1から取り外せるようにしたのは、シーツ本体1を洗濯するときに前記ズレ防止具21を取り外せるようにするなどの必要があるからである。
【0058】
以上の
図17〜21を参照して説明した2つのズレ防止具21は、
図10に示すように、シーツ本体1中の要介護対象から見て頭部側(胸側。
図10では図示下方)の左右の位置に取り付けられるものであるが、本実施形態3では、シーツ本体1中の要介護対象から見て足側(膝側)の左右の位置にも、ズレ防止具25が取り付けられている。
【0059】
次に、このズレ防止具25(
図10参照)について、
図22〜24を参照して説明する。前記ズレ防止具25は、平面形状が略長方形状であることを除き、前記ズレ防止具21と同様の構成となっている。すなわち、前記ズレ防止具25は、
図22に示すように、上側四角布25aと下側四角布25bとがその一辺で連結され、下側四角布25bが図示しない面ファスナーによりシーツ本体1に着脱可能に取り付けられている。
【0060】
このズレ防止具25を使用してシート状おむつ2のシーツ本体1へのズレ防止を行うときは、まず、
図22のように、シート状おむつ2の外周縁部2bを、前記ズレ防止具25の上側四角布25aと下側四角布25bとの間に挟まれるように配置した後、前記上側四角布25aの頂点部分に取り付けられたスナップボタン26aを前記シート状おむつ2の外周縁部2b側に倒す(
図23参照)。その後、前記スナップボタン26aを、前記シーツ本体1上の前記スナップボタン26aと対向する位置に予め固定されているスナップボタン26b(
図22,23に破線の矢印で示すもの)に、前記シート状おむつ2の外周縁部2bを介して、嵌合させる(
図24参照)。これにより、前記シート状おむつ2の外周縁部2bが前記スナップボタン26a,26bにより固定されるので、前記シート状おむつ2のシーツ本体1に対するズレが防止される。
【0061】
〔第4の実施形態〕
次に本発明の実施形態4に係る医療又は介護用シーツを
図25(医療又は介護用シーツを構成するシーツ本体及びシート状おむつを示す概略図)を参照して説明する。本実施形態4は前記実施形態3と基本的構成は同じであるので、以下では、前記実施形態3と相違する部分を中心に、本実施形態4の構成及び動作を説明する。
【0062】
図25(a)はシーツ本体1の要介護対象と対向する側の面を示す平面図で、図示下方が要介護対象の頭部側(胸側)、図示上方が要介護対象の足側(膝側)である。また
図25(b)はシート状おむつ2の前記シーツ本体1と対向する面(要介護対象と対向する面の反対側の面)を示す平面図で、図示上方が要介護対象の頭部側(胸側)、図示下方が要介護対象の足側(膝側)である。
図25において、前記実施形態3に関する
図10と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
図25(a)において、31aは前記シーツ本体1の要介護対象の胸側の左右にそれぞれ両面テープや縫製等で予め取り付けられた略「く」の字状の面ファスナー、32aは前記シーツ本体1の要介護対象の膝側の左右にそれぞれ両面テープや縫製等で予め取り付けられた略矩形状の面ファスナーである。また、
図25(b)において、31bは前記シート状おむつ2側に両面テープや縫製等で予め取り付けられた略「く」の字状の面ファスナーであって、前記シート状おむつ2がシーツ本体1上に配置されたとき、前記面ファスナー31aに対向し貼り付けられるように配置及び形成された面ファスナー、32bは前記シート状おむつ2側に両面テープや縫製等で予め取り付けられた略矩形状の面ファスナーであって、前記シート状おむつ2がシーツ本体1に配置されたとき、前記面ファスナー32aに対向し貼り付けられるように配置及び形成された面ファスナーである。
【0064】
本実施形態4では、シート状おむつ2をシーツ本体1上に配置するとき、シート状おむつ2に予め取り付けた各面ファスナー31b,32bを、それぞれ、シーツ本体1に予め取り付けた各面ファスナー32a,32bに対向させ貼り付けるようにする。これにより、シート状おむつ2付きのシーツ本体1を要介護対象の腰などの周囲に巻き付けて使用する過程で、シート状おむつ2がシーツ本体1に対して位置ズレしてしまうことを、前述のような簡単な動作だけで、防止できるようになる。
【0065】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は前記の各実施形態として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施形態1においては、前記シーツ本体1を略筒状に形成するための固定部としてスナップボタン3a〜3c及び4a〜4cを使用したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、穴に嵌めこむタイプのボタン、鉤付きホック、面ファスナー(マジックテープ(商標))、ステープル、紐、又は縫製など、公知の様々な固定のための手段又は方法を使用することができる。
【0066】
また、前記実施形態1,2においては、前記シート状おむつ2を前記シーツ本体1に対して位置ズレしないようにするための位置ズレ防止手段としてスナップボタン5,6を使用しているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、穴に嵌め込むボタンを使用すること、前記シート状おむつ2又は前記シーツ本体1の互いに対向する面の複数箇所に摩擦発生用のゴムを付着させることなど、公知の様々な位置ズレ防止手段又は滑り止め用手段を使用することができる。
【0067】
また、前記実施形態1,2においては、前記シーツ本体1及びシート状おむつ2は略長方形状としたが、本発明ではこれに限られることなく、例えば台形状、楕円形状などとしてもよい。
【0068】
また、前記実施形態1,2においては、3a〜3cをスナップボタンの凸状部分とし、4a〜4cをスナップボタンの凹状部分としたが、本発明では、これとは逆に、3a〜3cをスナップボタンの凹状部分とし、4a〜4cをスナップボタンの凸状部分としてもよい。また、前記実施形態1,2ではスナップボタンの凹状部分5を予めシーツ本体1に固定しておきスナップボタンの凸状部分6でシート状おむつ2の外周縁部2bをシーツ本体1に係止、固定するようにしたが、本発明では、これとは逆に、スナップボタンの凸状部分を予めシーツ本体に固定しておきスナップボタンの凹状部分でシート状おむつ2の外周縁部をシーツ本体に係止、固定するようにしてもよい。
【0069】
また、前記実施形態3においては、シート状おむつ2のシーツ本体1に対するズレ防止のため、各スナップボタン22b,26bを前記シート状おむつ2の外周縁部2b中の複数箇所に取り付け固定するようにしたが、本発明では、前記各スナップボタン22b,26bを前記シート状おむつ2の外周縁部2bの近傍部分(おむつが含まれている部分2a)中の複数箇所に取り付け固定するようにしてもよい。
【0070】
また、前記実施形態4においては、シート状おむつ2のシーツ本体1に対するズレ防止のため、各面ファスナー31b,32bを前記シート状おむつ2の外周縁部2bの複数箇所に取り付け固定するようにしたが、本発明では、前記各面ファスナー31b,32bを前記シート状おむつ2の外周縁部2bの近傍部分(おむつが含まれている部分2a)中の複数箇所に取り付け固定するようにしてもよい。
【0071】
また、前記実施形態3では、シート状おむつ2がシーツ本体1に対してズレることを防止するためのズレ防止具21,25として、シート状おむつ2側に取り付けた各スナップボタン22b,26bとシーツ本体1側に取り付けた各スナップボタン22a,26aを使用したが、本発明はこれに限られるものではなく、前記のシート状おむつ2側に取り付けた各スナップボタン22b,26bとシーツ本体1側に取り付けた各スナップボタン22a,26aに代えて(又はこれらと共に)、シート状おむつ2側に取り付けた各ゴム磁石などの磁石(図示省略)とシーツ本体1側に取り付けた各ゴム磁石などの磁石(図示省略)とを使用するようにしてもよい。
【0072】
また、前記実施形態4では、シート状おむつ2がシーツ本体1に対してズレることを防止するためのズレ防止具として、シート状おむつ2側に取り付けた各面ファスナー31b,32bとシーツ本体1側に取り付けた各面ファスナー31a,32aを使用したが、本発明はこれに限られるものではなく、前記のシート状おむつ2側に取り付けた各スナップボタン31b,32bとシーツ本体1側に取り付けた各スナップボタン31a,32aに代えて(又はこれらと共に)、シート状おむつ2側に取り付けた各ゴム磁石などの磁石(図示省略)とシーツ本体1側に取り付けた各ゴム磁石などの磁石(図示省略)とを使用するようにしてもよい。
【0073】
さらに、前記各実施形態では、要介護対象として寝たきり又はこれに類似する状態の高齢者、身体障害者、病人などを想定して説明したが、本発明では、要介護対象を人に限定することなく、寝たきり又はこれに類似する状態となった犬、猫などのペットも要介護対象として含めてもよい。