(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
使用されるポリオールが、グリセロール、トリメチロールプロパン、2,3−ジ(2’−ヒドロキシエチル)−シクロヘキサン−1−オール、ヘキサン−1,2,6−トリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン、3−(2’−ヒドロキシエトキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−(2’−ヒドロキシプロポキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(2’−ヒドロキシエトキシ)ヘキサン−1,2−ジオール、6−(2’−ヒドロキシプロポキシ)ヘキサン−1,2−ジオール、1,1,1−トリス[(2’−ヒドロキシエトキシ)メチル]エタン、1,1,1−トリス−2’−ヒドロキシプロポキシメチルプロパン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3−トリス(ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1,4−トリス(ジヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,5−トリス(ヒドロキシフェニル)−3−メチルペンタン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンのエトキシレートおよびプロポキシレートの群;またはD−マンニトール、D−ソルビトール、ズルシトール、アラビトール、イノシトール、キシリトール、タリトール、アリトール、アリトリトール、アドニトール、エリスリトール、トレイトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、およびトリペンタエリスリトールの群;または、単糖類;または、オリゴマー性もしくはポリマー性のサッカライド類;または、サッカライドの群からのものではない、オリゴマー性もしくはポリマー性のポリオールの群からのポリオールであることを特徴とする、請求項1または2に記載の物質混合物。
使用される少なくとも1種のポリオールが、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、およびエチレン−ビニルアルコールコポリマーの群からのポリオールであることを特徴とする、請求項3に記載の物質混合物。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性プラスチック成形組成物およびそれらの下流の製品は一般に、長期間にわたって高温に暴露されると、それらの機械的性質が損なわれる。この結果は主として、ポリマーの高温における酸化的分解(熱酸化的分解)によってもたらされる。「長期間」という用語は、本発明の目的においては、100時間を超える期間を意味し、また「高温」という用語は、本発明の目的においては、80℃より高い温度、特に180〜200℃の範囲の温度を意味する。
【0003】
熱可塑性プラスチック成形組成物およびそれらの下流の製品の熱酸化的分解に対する安定性は、通常、所定の期間にわたる、所定の温度での機械的性質、特に耐衝撃性、ISO 527に従う引張試験で測定される破断時引張応力および破断時引張歪み、ならびに弾性率を比較することによって評価される。
【0004】
熱可塑性ポリマー(熱可塑性プラスチックとも呼ばれる)およびそれらの下流の製品の熱酸化的分解に関連する多くの安定化系、およびそれらの結果としての分子量の低下が、公知であり、文献に記載されている。その要約が、(非特許文献1)に見いだされる。エンジニアリングサーモプラスチック、特にポリアミドでは通常、有機安定剤として、立体障害フェノールまたは芳香族アミンをベースとする抗酸化剤、または無機安定剤として、銅化合物をベースとする系が使用される。上述の有機安定剤は、一般的には約120℃までの温度で使用されるが、いくつかのものは、より高い温度でも効果を維持する。約140℃までの、より高い温度では通常、銅ハロゲン化物とアルカリ金属ハロゲン化物との混合物をベースとする安定剤系を使用することによって効果的な安定化が達成される。
【0005】
近年になって、ポリアミドなどの熱可塑性ポリマーが十分な安定性を維持できる使用温度についての要求が、顕著にさらに厳しくなってきた。多くの用途で、160℃、さらには180〜200℃での熱酸化的分解に対する、長期間の熱安定性が求められている。
【0006】
(特許文献1)には、強い還元剤を添加することによって得られる改良された銅ベースの熱安定化系が記載されており、ここでは、微細に分散された元素状の銅がその場(in situ)で生成する。(特許文献1)ではさらに、その場で生成したものではないコロイド状の元素状の銅は、顕著に低い安定化活性しか有していないということも明らかにしている。
【0007】
(特許文献2)には、ポリマーを多価金属のギ酸塩と混合し、その混合物をその多価金属のギ酸塩の分解温度よりも高い温度に加熱することによる、ポリマーを安定化させるための方法が記載されている。
【0008】
熱可塑性プラスチック成形組成物、特にポリアミドをベースとする熱可塑性プラスチック成形組成物において、ポリオール(ポリアルコールまたは多価アルコールとも呼ばれる)を使用することが、たとえば(特許文献3)に記載されている。ここでは、ポリオールは、ポリアミド成形組成物の流動性を改良するために使用されている。
【0009】
(特許文献4)にも、ポリオールと、ポリエステルおよびポリアミドのための難燃剤としてのホスフィン酸塩とを含む物質混合物が開示されている。
【0010】
(特許文献5)には、ジペンタエリスリトールと、熱可塑性ポリウレタンのための難燃剤としてのホスフィン酸塩とを含む物質混合物が開示されている。
【0011】
(特許文献6)には、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールと、熱可塑性ポリウレタンのための難燃剤としてのホスフィン酸塩とを含む物質混合物が開示されている。
【0012】
安定剤系は一般的には、熱可塑性プラスチック成形組成物ならびにそれらの下流での製品の、長期間にわたる高温での熱酸化的分解を、防止するというよりは、抑制するということしかできない。高温用途における、熱可塑性プラスチック成形組成物およびそれらから製造される成形物に課せられている要求は、従来技術から公知の系ではまだ十分には満たされていない。180〜200℃での約1000時間の長期間老化の後では、たとえば衝撃強度または破断時引張応力が極めて顕著に低下して、ほとんど初期値の50%未満になる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一つの好ましい実施態様においては、本発明の熱可塑性プラスチック成形組成物には、成分(1)〜(4)に加えて、(5)5〜70重量%の充填剤または補強用材料、好ましくはガラス繊維または炭素繊維、特に好ましくはガラス繊維も含まれるが、ここで、重量パーセントの総合計が100となるように、成分(1)〜(4)の比率を低下させる。
【0022】
本発明においては、以下のものを含む熱可塑性プラスチック成形組成物が好ましい:
(1)10〜99.75重量%の熱可塑性ポリマーまたは各種熱可塑性ポリマーの組み合わせ、
(2)0.05〜8重量%、好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%の、金属カチオンと熱的に活性化可能な還元性アニオンとの少なくとも1種の塩、
(3)0.1〜8重量%、好ましくは0.2〜7重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%の少なくとも1種のポリオール(この少なくとも1種のポリオールの分子構造には、少なくとも2個のヒドロキシ基が含まれる)、および
(4)0.1〜70重量%のさらなる物質、
ここで重量パーセントを合計したものは常に100重量%である。ただし金属カチオンとして鉄が使用され、熱的に活性化可能な還元性アニオンとしてギ酸塩またはシュウ酸塩が使用される。
【0023】
本発明はさらに、各種タイプの繊維、フォイル、または成形物の製造ための、本発明の熱可塑性プラスチック成形組成物の使用も提供する。
【0024】
しかしながら、本発明はさらに、金属カチオンおよび熱的に活性化可能な還元性アニオンの少なくとも1種の塩と、少なくとも1種のポリオール(その少なくとも1種のポリオールの分子構造には、少なくとも2個のヒドロキシ基が含まれる)とを含む安定剤系を使用することによる、熱可塑性ポリマー、および熱可塑性ポリマーから製造される繊維、フォイル、または成形物を熱的安定化させるための方法も提供するが、ただし、金属カチオンとしては鉄が使用され、熱的に活性化可能な還元性アニオンとしてはギ酸塩またはシュウ酸塩が使用される。
【0025】
成分(1)として使用される熱可塑性ポリマーは、非晶質のポリマー、熱可塑性エラストマー、または半晶質のポリマーが好ましい。高温用途において使用されるポリマーのために本発明の安定剤系を使用することが特に好ましく、半晶質のポリマーのため、特に低くても180℃の融点を有する半晶質のポリマーのため、または低くても150℃のガラス転移温度を有する非晶質のポリマーのためにそれを使用することが極めて特に好ましい。
【0026】
成分(1)として特に好ましく使用される非晶質のポリマーは、非晶質のポリアミド、非晶質のポリイミド、非晶質のポリエーテルイミド、非晶質のポリスルホン、または非晶質のポリアリーレートである。
【0027】
成分(1)として特に好ましく使用される半晶質のポリマーは、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、または半晶質のポリアミドである。
【0028】
一つの好ましい実施態様においては、各種の熱可塑性ポリマーのブレンド物も成分(1)として使用される。
【0029】
特に、成分(1)として脂肪族または半芳香族ポリアミド、特に2.0〜4.0のm−クレゾール中の相対溶液粘度を有するナイロン−6またはナイロン−6,6を使用するのが極めて特に好ましく、特に 2.3〜3.2のm−クレゾール中の相対溶液粘度を有するナイロン−6を使用するのが、極めて特に好ましい。
【0030】
相対溶液粘度を測定するための方法では、Ubbelohde粘度計の中で、溶解させたポリマーの流動時間を順々に測定することにより、ポリマーの溶液とその溶媒(この場合では、m−クレゾール(1%溶液))の間の粘度の差を求める。使用可能な標準法は、DIN 51562;DIN ISO 1628、または相当する標準法である。
【0031】
使用されるブレンド物は、一つの好ましい実施態様において、好ましくは、成分(1)として、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−4,6、ナイロン−12、またはコポリアミドを含む。また別の好ましい実施態様においては、そのブレンド物に、上述のポリアミドの少なくとも1種と、ポリフェニレンオキシド、ポリエチレン、およびポリプロピレンの群からの少なくとも1種の他の熱可塑性ポリマーとが含まれる。
【0032】
本発明の熱可塑性プラスチック成形組成物において好適に使用されるポリアミドは、各種のプロセスによって製造することが可能であり、各種の構成単位から合成される。ポリアミドの製造には公知の多くの方法が存在し、所望の最終製品に従って、ここでは、各種のモノマー単位、所望の分子量とするための各種の連鎖調節剤が使用され、あるいはその次に予定されている後処理のための反応性基を有するモノマーが使用される。
【0033】
好適に使用される、ポリアミドを製造するための工業的に重要なプロセスは、ほとんどの場合、溶融状態での重縮合によって進行する。本発明の目的においては、ラクタムの加水分解的重合も重縮合であると理解されるべきである。
【0034】
本発明において好ましいポリアミドは、ジアミンとジカルボン酸とから、および/または少なくとも5個の環メンバーを有するラクタムから、または相当するアミノ酸から出発することによって製造される半晶質のポリアミドである。使用可能な出発物質は、好ましくは、脂肪族および/または芳香族ジカルボン酸、特に、アジピン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、2,4,4−トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、脂肪族および/または芳香族ジアミン、特に好ましくは、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタン−1,5−ジアミン、1,9−ノナンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、異性体のジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、アミノカルボン酸、特にアミノカプロン酸、またはそれに相当するラクタムである。複数の上述のモノマーからなるコポリアミドも含まれる。
【0035】
本発明において特に好ましいポリアミドは、カプロラクタム、極めて特に好ましくはε−カプロラクタムから製造される。
【0036】
特に、PA6およびPA66をベースとする配合原料のほとんど、脂肪族または/および芳香族のポリアミド、ならびにそれぞれのコポリアミドをベースとするその他の配合原料が特に好ましいが、ここで前術した配合原料のすべてにおいて、ポリマー鎖の中のそれぞれのポリアミド基には3〜11個のメチレン基が存在している。
【0037】
使用される成分(2)には、金属カチオンと、熱的に活性化可能な還元性アニオンとの少なくとも1種の塩が含まれる。本発明では、鉄カチオンを使用する。
【0038】
本発明の目的においては、熱的に活性化可能な還元性アニオンとは、100〜450℃、好ましくは150〜400℃、特に好ましくは200〜400℃で、0V未満、好ましくは−0.15V未満、特に好ましくは−0.3V未満の、25℃での標準水素電極に対する標準電位で反応に入り、十分な反応速度を有するカチオンである。本発明の目的においては、十分な反応速度とは、1時間の間に、使用された物質、この場合においては、熱的に活性化可能な還元性アニオンの少なくとも10mol%、好ましくは少なくとも25mol%、特に好ましくは少なくとも50mol%が反応する速度である。
【0039】
本発明においては、ギ酸塩またはシュウ酸塩のアニオンを有する塩、特にギ酸塩を有する塩が使用される。
【0040】
本発明の一つの実施態様においては、成分(2)として少なくとも1種のギ酸塩が使用される。
【0041】
本発明の一つの実施態様においては、成分(2)として少なくとも1種のシュウ酸塩が使用される。特に好ましく使用される成分(2)としては、シュウ酸鉄およびギ酸鉄の群の少なくとも1種の塩が挙げられる。特に、ギ酸鉄が成分(2)として使用される。特に、その鉄カチオンが+2または+3の酸化状態で存在しているようなギ酸鉄を使用するのが特に好ましい。特に、少なくとも50mol%、特に極めて特に好ましくは少なくとも70mol%の鉄カチオンが酸化状態+3で存在しているようなギ酸鉄を使用するのが極めて特に好ましい。
【0042】
本発明において使用される成分(2)は、粉体、ペースト、またはコンパクテート(compactate)の形態で使用するのが好ましい。成分(2)の好ましい粉体のd
50中央粒径は、大きくても1000μm、好ましくは0.1〜500μm、特に好ましくは0.5〜250μm(ASTM D 1921−89、方法Aによる)であり、そのようにすれば、その熱可塑性プラスチック中で微細に分散させることが可能である。成分(2)を、ペーストまたはコンパクテートの形態で実施するのなら、ペーストまたはコンパクテートを製造するために通常使用されるバインダーを使用することが可能であるが、それらは好ましくは、ワックス、オイル、ポリグリコール、または類似の化合物であり、場合によってはさらに、適切な量比で組み合わされる。
【0043】
本発明において成分(3)として使用されるポリオールは、「ポリアルコール」または「多価アルコール」という用語でも知られている。本発明において使用されるポリオールは、1分子あたり少なくとも2個のヒドロキシ基を有する有機分子である。そのポリオールが、脂肪族もしくは芳香族の構造、またはそれら二つの特性を組み合わせた構造を有することが好ましい。
【0044】
また別の好ましい実施態様においては、本発明において使用されるポリオールの中の脂肪族鎖が、炭素原子だけではなく、ヘテロ原子、好ましくは窒素、酸素、または硫黄も含んでいる。一つの好ましい実施態様においては、本発明において使用されるポリオールがさらに、ヒドロキシ基に加えて、その他の官能基、好ましくはエーテル基、カルボン酸基、アミド基、またはエステル基を有している。
【0045】
2個を超えるヒドロキシ基を有し、特に好適に使用されるポリオールは、以下の群からの、3個のヒドロキシ基を有するものである:グリセロール、トリメチロールプロパン、2,3−ジ(2’−ヒドロキシエチル)−シクロヘキサン−1−オール、ヘキサン−1,2,6−トリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン、3−(2’−ヒドロキシエトキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−(2’−ヒドロキシプロポキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(2’−ヒドロキシエトキシ)ヘキサン−1,2−ジオール、6−(2’−ヒドロキシプロポキシ)ヘキサン−1,2−ジオール、1,1,1−トリス[(2’−ヒドロキシエトキシ)メチル]エタン、1,1,1−トリス−2’−ヒドロキシプロポキシメチルプロパン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(ヒドロキシ−フェニル)プロパン、1,1,3−トリス(ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1,4−トリス(ジヒドロキシ−フェニル)ブタン、1,1,5−トリス(ヒドロキシフェニル)−3−メチルペンタン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンのエトキシレートおよびプロポキシレート。
【0046】
3個を超えるヒドロキシ基を有する特に好ましいポリオールは、D−マンニトール、D−ソルビトール、ズルシトール、アラビトール、イノシトール、キシリトール、タリトール、アリトール、アリトリトール、アドニトール、エリスリトール、トレイトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、およびトリペンタエリスリトールの群からのポリオール;ならびに、単糖類、特にマンノース、グルコース、ガラクトース、フルクトース、D−キシロース、アラビノース、D−イドース、D−エリトロース、D−トレオース、D−リボース、D−リキソース、D−アロース、D−アルトロース、D−グロース、D−タロース、D−リブロース、D−エリトルロース、D−キシルロース、D−プシコース、D−ソルボース、D−タガトース、D−グルコン酸、D−糖酸、D−マンノ糖酸、ムチン酸、D−グルクロン酸、D−マンノン酸、アスコルビン酸、D−グルコサミン、D−ガラクトサミンの群からのポリオールである。
【0047】
さらに特に好ましいポリオールは、オリゴマー性またはポリマー性のサッカライド、特にシクロデキストリン、スクロース、ラクトース、トレハロース、ラフィノース、マルトース、デンプン(アミロース、アミロペクチン)、ペクチン、キチン、グリコーゲン、イヌリン、ヘミセルロース、またはセルロースの群からのものである。
【0048】
本発明において好ましく、3個を超えるヒドロキシ基を有するその他のポリオールは、オリゴマー性またはポリマー性のポリオールであるが、それらは、サッカライドの群からのものではない。本発明においては、これには、各種所望の分子量のオリゴマー性またはポリマー性のポリオールのすべてが含まれ、これらは、それらのモノマー単位の一つの中に、重合が完了した後でも残存する1個または複数のヒドロキシ基を有しているか、あるいは、重合反応の後の工程において、好ましくはポリマー類似反応、特にエステルの鹸化によってヒドロキシ基で官能化されているかのいずれかである。これらのうち、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール
、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVOH)、または、エチレンと、ビニルアルコールと、さらに少なくとも1個の二重結合、好ましくは1個を超える二重結合を有する他の化合物とのターポリマーを使用することが特に好ましい。
【0049】
特に、成分(3)として特に好ましく使用されるポリオールは、3個を超えるヒドロキシ基を有するものである。ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、およびエチレン−ビニルアルコールコポリマーの群からの少なくとも1種のポリオールを使用するのが極めて特に好ましく、特にジペンタエリスリトールまたはトリペンタエリスリトールが特に好ましく、特にトリペンタエリスリトールが極めて特に好ましい。
【0050】
本発明の目的のための成分(4)としてのその他の追加的な物質は、好ましくは以下の群からの物質である:本発明において使用される安定剤系の定義から外れている熱安定剤、UV安定剤、ガンマ線安定剤、加水分解安定剤、帯電防止剤、乳化剤、成核剤、可塑剤、加工助剤、耐衝撃性改良剤、潤滑剤、離型剤、染料、および顔料。上述の添加剤およびその他適切な添加剤は従来技術であって、当業者ならば、たとえばPlastics Additives Handbook,5th Edition(Hanser−Verlag,Munich,2001)、pp.80〜84、546〜547、688、872〜874、938、966に見出すことができる。成分(4)として使用される追加的な物質は、単独でも、あるいは混合物としても、あるいはマスターバッチの形でも使用することができる。
【0051】
本発明において追加的な物質として好適に使用され、上述の本発明において使用される安定剤系の定義からは外れている追加的な熱安定剤は、銅化合物、特に以下のものと組み合わせた銅ハロゲン化物である:アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属ハロゲン化物およびアルカリ土類金属ハロゲン化物、好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カルシウム、塩化マンガン、立体障害フェノールおよび/または亜リン酸塩、リン酸塩、好ましくは二リン酸二水素二ナトリウム、ヒドロキノン、芳香族二級アミン、特にジフェニルアミン、置換レソルシノール、サリチル酸塩、ベンゾトリアゾール、またはベンゾフェノン、およびこれらの群の代表的な各種置換体、ならびに/またはこれらの混合物。
【0052】
本発明において追加的な物質として好適に使用されるUV安定剤は、置換レソルシノール、サリチレート、ベンゾトリアゾール、またはベンゾフェノンである。
【0053】
成分(4)として本発明において好適に使用される耐衝撃性改良剤またはエラストマー変性剤は、極めて一般的には、好ましくは以下のモノマーの群からの少なくとも二つからなるコポリマーである:エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、クロロプレン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、およびそのアルコール成分中に1〜18個の炭素原子を有するアクリレートまたはメタクリレート。このコポリマーは、相溶化基、好ましくは無水マレイン酸またはエポキシドを含んでいてもよい。
【0054】
本発明における追加的な物質として好適に使用される染料または顔料は、無機顔料、特に好ましくは二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄、硫化亜鉛またはカーボンブラック、ならびに有機顔料、特に好ましくはフタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、さらには染料、特に好ましくは着色剤としてのニグロシンまたはアントラキノン、ならびにその他の着色剤である。
【0055】
本発明における追加的な物質として好適に使用される成核剤は、フェニルホスフィン酸ナトリウムもしくはフェニルホスフィン酸カルシウム、酸化アルミニウムもしくは二酸化ケイ素、またはタルク粉、特に好ましくはタルク粉である。
【0056】
本発明における追加的な物質として好適に使用される潤滑剤および/または離型剤は、長鎖脂肪酸、特にステアリン酸、その塩、特にステアリン酸Caまたはステアリン酸Zn、さらにはそれらのエステルまたはアミド誘導体、特にエチレンビスステアリルアミド、グリセロールトリステアレート、ステアリン酸ステアリル、モンタンワックス、特にモンタンワックスのエチレングリコールとのエステル、ならびにさらには、低分子量ポリエチレンワックス、およびそれぞれ酸化状態にあるか非酸化状態にある低分子量ポリプロピレンワックスである。本発明において特に好ましい潤滑剤および/または離型剤は、8〜40個のC原子を有する飽和もしくは不飽和脂肪族カルボン酸と、2〜40個のC原子を有する飽和脂肪族アルコールまたはアミンとのエステルまたはアミドの群に入るものである。また別な好ましい実施態様においては、本発明の成形組成物に、上述の潤滑剤および/または離型剤の混合物が含まれる。
【0057】
本発明の目的においては、成分(5)としての充填剤および補強用材料は、繊維状、針状または粒子状の充填剤およびそれらに相当する補強用材料である。好ましいのは、炭素繊維、ガラスビーズ、非晶質シリカ、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、焼成カオリン、白亜、石英の粉体、雲母、金雲母、硫酸バリウム、長石、ウォラストナイト、モンモリロナイトまたはガラス繊維、特に好ましくはガラス繊維、特に好ましくはEガラス製のガラス繊維である。一つの好ましい実施態様においては、熱可塑性プラスチックとのより良好な相溶性を与えるために、繊維質または粒子状の補強用材料に適切な表面変性、特にシラン化合物を含む表面変性を有するようにする。
【0058】
本発明はさらに、本発明の熱可塑性プラスチック成形組成物を製造するための方法も提供するが、それは、成分(1)〜(4)、さらには場合によっては(5)を、適切な重量比で混合することを特徴としている。好ましくはそれらの成分を、220〜400℃の温度で、それらの成分を組み合わせるか、あるいはそれら全部を、混合、混練、コンパウンディング、押出し、またはロール掛けプロセスにかけることによって混合するが、共回転二軸押出機またはBussニーダーでのコンパウンディングが特に好ましい。
【0059】
個々の成分を予備混合しておくことも好都合である。一つの好ましい実施態様においては、本発明の成形組成物は二段プロセスで製造する。その第一工程において、成分(2)を熱可塑性ポリマーと混合して、プレミックスを得て、成分(2)の分解温度よりも高い温度にまで加熱する。この工程において、本発明の熱可塑性プラスチック成形組成物の他の成分を、成分(2)および熱可塑性ポリマーと混合することも可能である。この工程を、共回転二軸押出機、Bussニーダー、またはプラネタリ−ロール押出機の中で実施することが好ましい。
【0060】
この第一工程においては、成分(2)を、2.8〜5.0、好ましくは3.5〜4.5のm−クレゾール中の相対溶液粘度を有するポリアミド、好ましくはPA6またはPA66と反応させるのが好ましい。
【0061】
この第一工程において、熱可塑性プラスチックおよび成分(2)、さらには他の任意成分から作られたプレミックスを、300〜400℃、特には320〜390℃、極めて特には330〜380℃の温度にまで加熱するのが好ましい。
【0062】
一つの好ましい実施態様においては、その第一工程におけるプレミックスには、熱可塑性プラスチックおよび成分(2)だけではなく、少なくとも1種の加工安定剤も含まれる。使用される加工安定剤としては、好ましくは、以下のものが含まれる:立体障害フェノールおよび/または亜リン酸塩、リン酸塩、ヒドロキノン、芳香族二級アミン、特にジフェニルアミン、置換レソルシノール、サリチル酸塩、ベンゾトリアゾール、またはベンゾフェノン、またはこれらの群の代表的な各種置換体、および/またはこれらの混合物。
【0063】
第一工程におけるプレミックス中の成分(2)の比率は、好ましくは1〜60重量%、特に好ましくは1〜30重量%、極めて特に好ましくは2〜20重量%である。成分(2)が反応する際に発生するガス状成分を除去する目的の脱揮発成分機能を備えた、二軸押出機、Bussニーダー、またはプラネタリ−ロール押出機内で、プレミックスを反応させることが好ましい。
【0064】
別の方法として、成分(2)の分解温度よりも高い温度に混合物を加熱するのに適した二軸押出機、Bussニーダー、またはその他の装置の中で、成分(2)を成分(3)または(4)の適切な物質と反応させることもできる。第一工程においては、たとえば撹拌オートクレーブ中でバッチプロセスを使用することも可能である。
【0065】
別の好ましい実施態様においては、成分(2)を、成分(2)の反応速度を上げる1種または複数の化合物と組み合わせて使用する。そうすることで、成分(2)の反応を、より低い温度で達成させることができる。このタイプの化合物は活性化剤とも呼ばれていて、たとえば、米国特許第A4438223号明細書に記載されている(この特許のすべてを、本発明に組み入れる)。活性化剤としては、以下の群からの少なくとも1種の化合物を使用することが好ましい:炭酸水素ナトリウムもしくは炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウムもしくは酢酸カリウム、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム、塩化ナトリウムもしくは塩化カリウム、臭化ナトリウムもしくは臭化カリウム、ヨウ化ナトリウムもしくはヨウ化カリウム、ロダン化ナトリウムもしくはロダン化カリウム、または安息香酸ナトリウムもしくは安息香酸カリウム。
【0066】
第二工程においては、第一工程からのプレミックスを、上述のプロセスに従って、本発明の熱可塑性プラスチック成形組成物の残りの成分と混合する。本発明において製造される熱可塑性プラスチック成形組成物は、当業者には公知のプロセスで、特に射出成形法、押出し法、または吹込み成形法によって加工することができる。室温、好ましくは0〜40℃で製造した、プレミックス成分を含むかおよび/または個々の成分を含む物理的混合物(ドライブレンドと呼ばれる)から、成形品または半成形品を直接製造すれば、好都合である。
【0067】
本発明においてその成形組成物から製造される下流側の製品、特に成形物は、好ましくは、自動車産業、電気産業、電子産業、電気通信産業、ソーラー産業、情報技術産業、コンピューター産業において、家庭において、スポーツにおいて、医学において、または民生電子産業において、好適に使用することができる。特に、本発明の成形組成物は、加熱老化に対する高い抵抗性が必要とされる用途に使用することができる。このタイプの用途として好ましいものは、車両内、特に自動車両(MV)内、とりわけMV内のエンジンルーム内における成形物での使用である。
【0068】
したがって、本発明は、熱酸化的分解に対して高い安定性を有する成形物および成形品、好ましくは自動車両(MV)のための、特に好ましくはMVのエンジンルームのための成形物を製造するための、本発明において使用される安定剤系を含む熱可塑性プラスチック成形組成物の使用を提供する。本発明の熱可塑性プラスチック成形組成物はさらに、熱酸化的安定性だけではなく光酸化的分解に関する安定性も要求される、用途、およびそれぞれの成形物または成形品、好ましくはソーラーシステムにも好適である。
【0069】
本発明において好ましい物質混合物には、元素周期律表の第8〜10族の遷移金属の金属カチオンを有する塩、好ましくは銅カチオンを有するかまたは鉄カチオンを有する塩、特に好ましくは鉄カチオンを有する塩が含まれる。
【0070】
本発明の物質混合物には、塩として、ギ酸鉄またはシュウ酸鉄、特にはギ酸鉄が含まれる。
【0071】
本発明において好ましい物質混合物には、以下の群からの少なくとも1種のポリオールが含まれる:グリセロール、トリメチロールプロパン、2,3−ジ(2’−ヒドロキシエチル)−シクロヘキサン−1−オール、ヘキサン−1,2,6−トリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン、3−(2’−ヒドロキシエトキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−(2’−ヒドロキシプロポキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(2’−ヒドロキシエトキシ)ヘキサン−1,2−ジオール、6−(2’−ヒドロキシプロポキシ)ヘキサン−1,2−ジオール、1,1,1−トリス[(2’−ヒドロキシエトキシ)メチル]エタン、1,1,1−トリス−2’−ヒドロキシプロポキシメチルプロパン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(ヒドロキシ−フェニル)プロパン、1,1,3−トリス(ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1,4−トリス(ジヒドロキシ−フェニル)ブタン、1,1,5−トリス(ヒドロキシフェニル)−3−メチルペンタン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンのエトキシレートおよびプロポキシレートの群;または、D−マンニトール、D−ソルビトール、ズルシトール、アラビトール、イノシトール、キシリトール、タリトール、アリトール、アリトリトール、アドニトール、エリスリトール、トレイトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、およびトリペンタエリスリトールの群;または、単糖類、特にマンノース、グルコース、ガラクトース、フルクトース、D−キシロース、アラビノース、D−イドース、D−エリトロース、D−トレオース、D−リボース、D−リキソース、D−アロース、D−アルトロース、D−グロース、D−タロース、D−リブロース、D−エリトルロース、D−キシルロース、D−プシコース、D−ソルボース、D−タガトース、D−グルコン酸、D−糖酸、D−マンノ糖酸、ムチン酸、D−グルクロン酸、D−マンノン酸、アスコルビン酸、D−グルコサミン、D−ガラクトサミンの群;または、オリゴマー性またはポリマー性のサッカライド、特にシクロデキストリン、スクロース、ラクトース、トレハロース、ラフィノースマルトース、デンプン(アミロース、アミロペクチン)、ペクチン、キチン、グリコーゲン、イヌリン、ヘミセルロースまたはセルロースの群、または、サッカライドの群ではない、オリゴマー性またはポリマー性のポリオール。
【0072】
本発明において特に好ましい物質混合物としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、およびエチレン−ビニルアルコールコポリマーの群からの少なくとも1種のポリオール、好ましくはジペンタエリスリトールまたはトリペンタエリスリトール、特に好ましくはトリペンタエリスリトールが挙げられる。
【0073】
本発明において極めて特に好ましい物質混合物としては、ギ酸鉄とジペンタエリスリトールおよび/またはトリペンタエリスリトール、特に好ましくはギ酸鉄とジペンタエリスリトール、またはギ酸鉄とトリペンタエリスリトールが挙げられる。特に、その物質混合物が、ギ酸鉄とジペンタエリスリトールとからなるか、またはギ酸鉄とトリペンタエリスリトールとからなっていることが極めて特に好ましい。しかしながら、本発明はさらに、熱可塑性プラスチック成形組成物、または熱可塑性プラスチック成形組成物から製造される繊維、フォイル、もしくは成形物の熱酸化的分解または光酸化的分解を防止するための、本発明の物質混合物の使用も提供する。
【0074】
本発明はさらに、電気、電子、電気通信、情報技術、ソーラー、またはコンピューター産業のため、家庭用品のため、スポーツ用品のため、医療用途のため、または民生電子産業のため、特に好ましくは自動車両のため、極めて特に好ましくは自動車両のエンジンルームのための成形品を製造するための、本発明において製造される繊維、フォイル、または成形物の使用も提供する。
【0075】
しかしながら、本出願はさらに、熱可塑性ポリマーに対して本発明の安定剤系またはそれぞれ物質混合物を添加することによる、熱可塑性ポリマー、それから製造される成形組成物、またはフォイル、繊維、もしくはそれらから製造される成形物の光酸化的分解および/または熱酸化的分解を低減させるための方法も提供する。
【0076】
しかしながら、本出願はさらに、半晶質のポリアミドに対して本発明の安定剤系またはそれぞれ物質混合物を添加することによる、半晶質のポリアミド、それから製造される成形組成物、またはその成形組成物から製造されるフォイル、繊維、もしくは成形物の光酸化的分解および/または熱酸化的分解を低減させるための方法も提供する。
【実施例】
【0077】
本発明の成形組成物の利点を実証する目的で、まずギ酸鉄を合成し、次いで前記ギ酸鉄を含む熱可塑性プラスチック成形組成物を作成した。
【0078】
ギ酸鉄の合成
197gのギ酸ナトリウムを500mLの30%ギ酸の中に溶解させた。235gの塩化鉄(III)を120mLの蒸留水の中に溶解させた。次いで、塩化鉄(III)の水溶液を、ギ酸中のギ酸ナトリウムの溶液に徐々に滴下により添加した。添加のあいだ、溶液を撹拌した。ギ酸鉄が、オレンジ色の沈殿物を形成した。その懸濁液を室温で3時間撹拌し、反応生成物を濾過にかけ、30%ギ酸を用いて洗浄した。洗浄残渣を、恒量になるまで乾燥させた。
【0079】
5%のギ酸鉄を含むプレミックスの作成
前もって合成しておいたギ酸鉄の5重量%を、95重量%のポリアミドPA6 Aと、ZSK 26 Compounder二軸押出機(Coperion Werner&Pfleiderer(Stuttgart,Germany)製)内で、温度約370℃で混合し、水浴の中へストランドの形態で排出させ、ペレット化が可能になるまで冷却し、ペレット化させた。このペレットを、真空乾燥オーブン内で、70℃にて2日かけて乾燥させた。
【0080】
プレミックスを使用しての、熱可塑性プラスチック成形組成物の作成
個々の成分を、ZSK 26 Compounder二軸押出機(Coperion Werner&Pfleiderer(Stuttgart,Germany)製)内で、温度約280℃で混合し、水浴の中へストランドの形態で排出させ、ペレット化が可能になるまで冷却し、ペレット化させた。このペレットを、真空乾燥オーブンの中で、70℃で2日かけて乾燥させた。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
プレミックスを使用しない、熱可塑性プラスチック成形組成物の作成
さらに、上述のプレミックスを使用せずに、本発明の成形組成物を作成した。このために、個々の成分を、ZSK 26 Compounder二軸押出機(Coperion Werner&Pfleiderer(Stuttgart,Germany)製)内で、温度約320℃で混合し、水浴の中へストランドの形態で排出させ、ペレット化が可能になるまで冷却し、ペレット化させた。そのペレットを、真空乾燥オーブンの中で、70℃で2日かけて乾燥させた。
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
使用原料:
PA6 A:ナイロン−6,直鎖状で、m−クレゾール中1%溶液で4.0の相対溶液粘度を有するもの
PA6 B:ナイロン−6,直鎖状で、m−クレゾール中1%溶液で2.9の相対溶液粘度を有するもの
モンタンエステルワックス:たとえば、Licowax(登録商標)E(Clariant GmbH製)
ガラス繊維、たとえば、CS 7928(Lanxess Deutschland GmbH製)
臭化カリウム:d
99<70μm
ヨウ化銅(I):d
99<70μm
ジペンタエリスリトール(CAS番号:126−58−9):たとえば、Di−Penta 93(Perstorp Service GmbH製)
トリペンタエリスリトール(CAS番号:78−24−0):たとえば、Sigma−Aldrich Co.LLC
シュウ酸鉄:たとえば、シュウ酸鉄(II)二水和物(VWR GmbH(Langenfeld,Germany;VWR International(A−1150,Vienna)の子会社)製)