特許第6144356号(P6144356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144356
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】伸展可能な眼鏡
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/08 20060101AFI20170529BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   G02C5/08
   G02C11/00
【請求項の数】17
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-546535(P2015-546535)
(86)(22)【出願日】2013年12月2日
(65)【公表番号】特表2015-537253(P2015-537253A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】US2013072630
(87)【国際公開番号】WO2014088953
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2015年7月22日
(31)【優先権主張番号】13/705,887
(32)【優先日】2012年12月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515152993
【氏名又は名称】ヴィゾプティカル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】VisOptical, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド アール. ポーター
【審査官】 植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第2117385(US,A)
【文献】 米国特許第2117384(US,A)
【文献】 米国特許第2117383(US,A)
【文献】 国際公開第2012/092235(WO,A1)
【文献】 米国特許第4976531(US,A)
【文献】 米国特許第5007728(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1眼鏡部分と第2眼鏡部分とを含む眼鏡装置であって、
前記第1眼鏡部分は、第1レンズ部分と、該第1レンズ部分に結合された第1コネクタ部分と、第1リンクとを含み、
前記第2眼鏡部分は、第2レンズ部分と、該第2レンズ部分に結合された第2コネクタ部分と、第2リンクとを含み、
前記第1コネクタ部分は、第1チャネルを少なくとも部分的に画定しており、
前記第2コネクタ部分は、第2チャネルを少なくとも部分的に画定しており、
前記第1リンクは、前記第1コネクタ部分に回動可能に接続されており、かつ、前記第2チャネルにスライド可能に接続されており、
前記第2リンクは、前記第2コネクタ部分に回動可能に接続されており、かつ、前記第1チャネルにスライド可能に接続されており、
前記第1リンク及び前記第2リンクは、前記眼鏡装置が収納形態と伸展形態との間で移行可能となるように、前記第1コネクタ部分と前記第2コネクタ部分とを相互に接続しており、
前記眼鏡装置が前記収納形態にある場合には、前記第1レンズ部分と前記第2レンズ部分とが相互に重なり合っており、
前記眼鏡装置が前記伸展形態にある場合には、前記第1レンズ部分と前記第2レンズ部分とが相互に隣接しており、重なり合わない
ことを特徴とする、眼鏡装置。
【請求項2】
前記眼鏡装置は、前方部分と後方部分とを有し、
前記眼鏡装置は、着用者から離れる方向を向いた前記前方部分と、該着用者の方向を向いた前記後方部分とを用いて着用されるように適合されており、
前記第1チャネルは、前記前方部分内に形成されており、
前記第2チャネルは、前記後方部分内に形成されている
ことを特徴とする、請求項1記載の眼鏡装置。
【請求項3】
前記第2眼鏡部分は、疑似チャネルを含み、
前記疑似チャネルは、前記眼鏡装置が前記伸展形態にある場合に、前記第1チャネルに対して対称であるように見える
ことを特徴とする、請求項2記載の眼鏡装置。
【請求項4】
前記第1チャネルは、前記第1レンズ部分によって部分的に画定されている
ことを特徴とする、請求項1記載の眼鏡装置。
【請求項5】
前記眼鏡装置は、前方部分と後方部分とを有し、
前記眼鏡装置は、着用者から離れる方向を向いた前記前方部分と、該着用者の方向を向いた前記後方部分とを用いて着用されるように適合されており、
前記第1チャネルは、前記前方部分内に形成されており、
前記第2チャネルは、前記後方部分内に形成されている
ことを特徴とする、請求項4記載の眼鏡装置。
【請求項6】
前記第2眼鏡部分は、疑似チャネルを含み、
前記疑似チャネルは、前記第2コネクタ部分と前記第2レンズ部分の双方によって画定されており、かつ、前記眼鏡装置が前記伸展形態にある場合に、前記第1チャネルに対して対称であるように見える
ことを特徴とする、請求項5記載の眼鏡装置。
【請求項7】
前記眼鏡装置の前記前方部分は、前記眼鏡装置が前記伸展形態にある場合に対称であり、
前記第1リンク及び前記第2リンクは、前記眼鏡装置が前記伸展形態にある場合に、前記第1コネクタ部分及び前記第2コネクタ部分内に隠されている
ことを特徴とする、請求項6記載の眼鏡装置。
【請求項8】
前記第1リンク及び前記第2リンクは、前記眼鏡装置が前記伸展形態にある場合に、前記第1コネクタ部分及び前記第2コネクタ部分内に隠されている
ことを特徴とする、請求項1記載の眼鏡装置。
【請求項9】
前記第1チャネルは、前記第1レンズ部分によって部分的に画定されており、
前記第2眼鏡部分は、疑似チャネルを含み、
前記疑似チャネルは、前記第2コネクタ部分と前記第2レンズ部分の双方によって画定されており、かつ、前記眼鏡装置が前記伸展形態にある場合に、前記第1チャネルに対して対称であるように見える
ことを特徴とする、請求項8記載の眼鏡装置。
【請求項10】
前記第1コネクタ部分及び前記第2コネクタ部分の一方は磁石を含み、前記第1コネクタ部分及び前記第2コネクタ部分の他方は磁性部分を含み、
前記磁石及び前記磁性部分は、前記眼鏡装置が前記伸展形態にある場合に、前記第1コネクタ部分と前記第2コネクタ部分とを相互に解除可能に固定するように構成及び適合されている
ことを特徴とする、請求項1記載の眼鏡装置。
【請求項11】
前記磁石は、雄型嵌合部を形成し、前記磁性部分は、雌型嵌合部を形成し、
前記雄型嵌合部は、前記眼鏡装置が前記伸展形態にある場合に、前記雌型嵌合部内に解除可能に配置されている
ことを特徴とする、請求項10記載の眼鏡装置。
【請求項12】
前記眼鏡装置は、第1テンプル部分及び第2テンプル部分を含み、
前記第1テンプル部分は、前記第1コネクタ部分に回動可能に接続されており、
前記第2テンプル部分は、前記第2コネクタ部分に回動可能に接続されている
ことを特徴とする、請求項1記載の眼鏡装置。
【請求項13】
前記第1テンプル部分及び前記第2テンプル部分は、それぞれ近位部分と遠位部分とを含み、
前記近位部分と前記遠位部分とは相互に回動可能に接続されており、
前記第1テンプル部分及び前記第2テンプル部分の各遠位部分は、前記第1テンプル部分及び前記第2テンプル部分の各近位部分を介して各第1コネクタ部分及び第2コネクタ部分に接続されている
ことを特徴とする、請求項12記載の眼鏡装置。
【請求項14】
第1テンプル部分及び第2テンプル部分を有する眼鏡装置のための第1ストラップクリップ及び第2ストラップクリップをさらに含み、
前記第1ストラップクリップ及び前記第2ストラップクリップは、それぞれ柔軟なストラップに接続されるように適合及び構成されており、
前記第1ストラップクリップ及び前記第2ストラップクリップは、それぞれ前記第1テンプル部分及び前記第2テンプル部分の少なくとも一方に解除可能にスナップ嵌合するように適合及び構成されている
ことを特徴とする、請求項12又は13記載の眼鏡装置。
【請求項15】
前記第1ストラップクリップは、前記第2ストラップクリップと同一である
ことを特徴とする、請求項14記載の眼鏡装置。
【請求項16】
前記第1ストラップクリップは、前記第1テンプル部分及び前記第2テンプル部分の一方にスナップ嵌合される際に弾性に変形するように構成されている
ことを特徴とする、請求項15記載の眼鏡装置。
【請求項17】
前記第1テンプル部分及び前記第2テンプル部分は、ノッチを有し、
前記ノッチは、前記第1ストラップクリップ及び前記第2ストラップクリップの一方と協働して、当該一方のストラップクリップを対応するテンプル部分に確実にスナップさせるように適合されている
ことを特徴とする、請求項16記載の眼鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2012年12月5日に出願された米国特許出願公開第13/705887号明細書の利益を主張するものであり、前記明細書の全文は、参照によって本願に組み入れられるものとする。
【0002】
連邦政府の援助を受けた研究又は開発に関する申告
該当なし
【0003】
付属物
該当なし
【0004】
本発明の背景技術
本発明の技術分野
本発明は、概して眼鏡に関し、より詳細には伸展可能な眼鏡に関する。
【0005】
一般的な背景技術
特定の行動のため(例えば読むため)だけに眼鏡を使用する人は、各自の眼鏡をポケット又はキャリーバッグ又はハンドバックの中に入れておくことが多い。従来の眼鏡は比較的嵩高であり、破損する恐れがある。
【0006】
本発明の概要
本発明の1つの側面において、眼鏡装置は、第1眼鏡部分と第2眼鏡部分とを含む。前記第1眼鏡部分は、第1レンズ部分と、当該第1レンズ部分に作動的に結合された第1コネクタ部分と、第1リンクとを含む。前記第2眼鏡部分は、第2レンズ部分と、当該第2レンズ部分に作動的に結合された第2コネクタ部分と、第2リンクとを含む。前記第1コネクタ部分は、第1チャネルを少なくとも部分的に画定しており、前記第2コネクタ部分は、第2チャネルを少なくとも部分的に画定している。前記第1リンクは、前記第1コネクタ部分に回動可能に接続されており、かつ、前記第2チャネルにスライド可能に接続されている。同様にして、前記第2リンクは、前記第2コネクタ部分に回動可能に接続されており、かつ、前記第1チャネルにスライド可能に接続されている。前記第1リンク及び前記第2リンクは、前記眼鏡装置が収納形態と伸展形態との間で移行可能となるように、前記第1コネクタ部分と前記第2コネクタ部分とを相互に作動的に接続している。前記眼鏡装置が前記収納形態にある場合には、前記第1レンズ部分と前記第2レンズ部分とが相互に重なり合っている。前記眼鏡装置が前記伸展形態にある場合には、前記第1レンズ部分と前記第2レンズ部分とが相互に隣接しており、重なり合わない。
【0007】
本発明の別の1つの側面は、第1テンプル部分及び第2テンプル部分を有する眼鏡装置のための第1ストラップクリップ及び第2ストラップクリップに関する。前記各ストラップクリップは、それぞれ柔軟なストラップに接続されるように適合及び構成されている。また、前記各ストラップクリップは、それぞれ前記第1テンプル部分及び前記第2テンプル部分の少なくとも一方に解除可能にスナップ嵌合するように構成及び適合されている。
【0008】
本発明のさらなる特徴及び利点並びに本発明の動作方法については、以下、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】収納形態における、本発明の眼鏡装置の1つの実施形態の斜視図である。
図2】伸展形態における、図1の眼鏡装置の斜視図である。
図3A図1及び2の眼鏡装置の第1眼鏡部分の背面及び平面を表す斜視図である。
図3B図3Aの第1眼鏡部分の背面及び底面を表す斜視図である。
図3C図3A及び3Bの第1眼鏡部分の正面及び底面を表す斜視図である。
図4A図1及び2の眼鏡装置の第2眼鏡部分の背面及び平面を表す斜視図である。
図4B図4Aの第2眼鏡部分の正面及び底面を表す斜視図である。
図4C図4A及び4Bの第2眼鏡部分の正面及び平面を表す斜視図である。
図4D図4A〜Cの第2眼鏡部分の平面図である。
図5】収納形態における図1の眼鏡装置の背面図である。
図6図5の6−6線の平面に沿った図1の眼鏡装置の断面図である。
図7図5の7−7線の平面に沿った図1の眼鏡装置の断面図であり、当該眼鏡装置は、ロック位置にあるロック機構と共に図示されている。
図8図7に類似した断面図であるが、ロック解除された位置にあるロック機構が図示されている。
図9A図1の眼鏡装置のハウジングのハウジングスリーブインサートの背面及び平面を表す斜視図である。
図9B図9Aのハウジングスリーブインサートの正面及び底面を表す斜視図である。
図10図1の眼鏡装置のハウジングのハウジングシェルの背面を表す斜視図である。
図11図1の眼鏡装置のストップピンの斜視図である。
図12図1の眼鏡装置の左側キャップの斜視図である。
図13図1の眼鏡装置の右側キャップの斜視図である。
図14A図1の眼鏡装置のロック機構の下側の正面及び底面を表す斜視図である。
図14B図14Aのロック機構の下側の背面及び平面を表す斜視図である。
図15】収納形態における図1の眼鏡装置の斜視図であり、図15の眼鏡装置にはハウジングシェルと左側キャップと右側キャップとが図示されていないという点を除いて、図15図1に類似している。
図16】伸展形態における、折り畳み式の眼鏡装置の別の実施形態の斜視図である。
図17】伸展形態から収納形態へと移行している最中における図16の眼鏡装置の斜視図である。
図18】伸展形態から収納形態へとさらに移行している最中における図16及び17の眼鏡装置の斜視図である。
図19図18に類似した斜視図であるが、ここではコネクタ部分のチャネルを露出させるために、コネクタ部分の一部が切り取られて図示されている。
図20】収納形態における図16〜19の眼鏡装置の斜視図である。
図21図16〜20の眼鏡装置の一方のテンプル部分の遠位部分と、ストラップクリップとを示す詳細な分解斜視図である。
図22】ストラップ紐に取り付けられたストラップクリップの斜視図であり、柔軟なスリーブが図示されている。
【0010】
明細書の記載中の参照符号と、図中の参照符号は、対応している項目を表している。
【0011】
好ましい実施形態の説明
まず始めに図1及び2を参照すると、本発明の例示的な眼鏡装置が全体として参照符号20で示されている。眼鏡装置20は、全体として参照符号22で示された第1眼鏡部分と、全体として参照符号24で示された第2眼鏡部分とを含む。第1眼鏡部分22は、第1レンズ部分26と第1コネクタ部分28とを含む。第2眼鏡部分24は、第2レンズ部分30と第2コネクタ部分32とを含む。第1レンズ部分26は、第1コネクタ部分28に作動的に結合されており、好ましくは、第1レンズ部分26と第1コネクタ部分28とが1つのパーツとして移動するように第1コネクタ部分28に固定されている。第2レンズ部分30は、第2コネクタ部分32に作動的に結合されており、好ましくは、第2レンズ部分30と第2コネクタ部分32とが1つのパーツとして移動するように第2コネクタ部分32に固定されている。好ましくは、レンズ部分26,30は、悪化した視力を矯正するように構成された矯正レンズ部分を構成している。より好ましくは、レンズ部分26,30は、遠視又は老眼を矯正するように構成されている。レンズ部分26,30は、凸レンズ部分(例えば平凸レンズ、両凸レンズ、又は、凹凸レンズ)とすることができる。第1レンズ部分26は、内側縁部部分34と、当該内側縁部部分34のほぼ反対の位置にある外側縁部部分36とを含む。第2レンズ部分30は、内側縁部部分38と、当該内側縁部部分38のほぼ反対の位置にある外側縁部部分40とを含む。
【0012】
第1眼鏡部分22の第1コネクタ部分28と、第2眼鏡部分24の第2コネクタ部分32とは、眼鏡装置20が収納形態(図1)と伸展形態(図2)との間で移行可能となるように相互に機械的に接続されている。第1コネクタ部分28と第2コネクタ部分32とは、眼鏡装置20が収納形態にある場合に、第1レンズ部分26と第2レンズ部分30とが相互に重なり合うように、かつ、第1レンズ部分26の内側縁部部分34が第2レンズ部分30の内側縁部部分38よりも第2レンズ部分30の外側縁部部分40の方に近接するように、かつ、第1レンズ部分26の外側縁部部分36が第2レンズ部分30の外側縁部部分40よりも第2レンズ部分30の内側縁部部分38の方に近接するように、接続されている。第1コネクタ部分28と第2コネクタ部分32とは、眼鏡装置20が伸展形態にある場合に、第1レンズ部分26の内側縁部部分34と第2レンズ部分30の内側縁部部分38とが重なり合わないように、かつ、第1レンズ部分26の外側縁部部分36と第2レンズ部分30の外側縁部部分40との間に第1レンズ部分26の内側縁部部分34と第2レンズ部分30の内側縁部部分38とが配置されるように、接続されている。
【0013】
好ましい実施形態においては、第1コネクタ部分28と第2コネクタ部分32とは、ガイドピン及びガイドチャネルを介して相互に機械的に接続されている。特に図3A〜3Cを参照すると、第1コネクタ部分28は、第1及び第2上側ガイドピン42,44と、第1及び第2下側ガイドピン46,48とを含む。第1及び第2上側ガイドピン42,44は、第1コネクタ部分28の上側部分から下方へと突出しており、第1及び第2下側ガイドピン46,48は、第1コネクタ部分の下側部分から上方へと突出している。図4A〜4Dを参照すると、第2コネクタ部分32は、第2コネクタ部分の頂面に設けられた第1及び第2上側ガイドチャネル52,54と、第2コネクタ部分の底面に設けられた第1及び第2下側ガイドチャネル56,58とを含む。ガイドピン及びガイドチャネルは、眼鏡装置20が収納形態と伸展形態との間で移行する際に、第1及び第2上側ガイドピン42,44がそれぞれ第1及び第2上側ガイドチャネル52,54内で走行するように、かつ、第1及び第2下側ガイドピン46,48がそれぞれ第1及び第2下側ガイドチャネル56,58内で走行するように、形成及び構成されている。特に、第1上側ガイドピン42及び第1下側ガイドピン46は、それぞれ第2上側ガイドピン44及び第2下側ガイドピン48よりも長くなっており、かつ、直径は小さくなっている。同様にして、第1上側ガイドチャネル52及び第1下側ガイドチャネル56は、それぞれ第2上側ガイドチャネル54及び第2下側ガイドチャネル58よりも深くなっており、かつ、幅狭になっている。各チャネル52,54,56,58は、それぞれ少なくとも1つの水平延在部分52a,54a,56a,58aと、少なくとも1つの傾斜延在部分52b,54b,56b,58bとを含む。水平延在部分52a,54a,56a,58aは、ほぼ直線形であり、かつ、相互にほぼ平行である。傾斜延在部分52b,54b,56b,58bは、ほぼ直線形であり、かつ、相互にほぼ平行である。各チャネルの、それぞれ対応している傾斜延在部分と水平延在部分とが1つの傾斜角度(例えば150°)を形成している。
【0014】
図5〜8を参照すると、眼鏡装置20が収納形態にある場合には、第1レンズ部分26と第2レンズ部分30とが相互に重なり合っている。本実施形態において、眼鏡装置20が収納形態にある場合には、第1レンズ部分26が第2レンズ部分30にオーバーラップしている。換言すると、第1レンズ部分26と第2レンズ部分30は、眼鏡装置20が収納形態にある場合には水平方向に一直線には並ばない。しかしながら、これに代わる眼鏡装置を、当該眼鏡装置が収納形態にある場合に第1レンズ部分と第2レンズ部分とが水平方向に一直線に並ぶように構成することも、本発明の範囲を逸脱することなく可能であることを理解すべきである。図6を参照すると、眼鏡装置20が収納形態にある場合に、第1レンズ部分26の内側縁部部分34は、第2レンズ部分30の内側縁部部分38よりも第2レンズ部分30の外側縁部部分40の方に近接しており、かつ、第1レンズ部分26の外側縁部部分36は、第2レンズ部分30の外側縁部部分40よりも第2レンズ部分30の内側縁部部分38の方に近接している。
【0015】
眼鏡装置が収納形態から伸展形態へと移行する際には、ガイドピン及びガイドチャネルに基づき、第1眼鏡部分22と当該第1眼鏡部分に対応する第1レンズ部分26とが、第2眼鏡部分24と当該第2眼鏡部分に対応する第2レンズ部分30とに対して少なくとも第1方向(すなわち水平方向)へと移動し、その後、第2方向(すなわち傾斜方向又は斜め方向)へと連続的に移動する。水平延在部分52a,54a,56a,58aが直線形であり、かつ、傾斜延在部分52b,54b,56b,58bが直線形であるので、眼鏡装置20が収納形態から伸展形態へと移行する際には、第1眼鏡部分22は少なくとも第1軸に沿って、例えば水平軸X1(図1)に沿って移動し、その後、第2軸(例えば傾斜軸X2)に沿って移動する。精確なメカニズム及び精確な動作を好ましい実施形態に関連して説明してきたが、以下の請求項で規定されるような本発明の範囲を逸脱することなく、類似の又は異なる動作を生じさせる任意の代替的なメカニズムを採用することが可能であることを理解すべきである。図6〜8に示すように眼鏡装置20が収納形態にある場合には、第1レンズ部分26は第2レンズ部分30の前方にある。第1レンズ部分26が傾斜軸X2に沿って伸展位置へと移動する際、すなわち第1コネクタ部分28のガイドピン42,44,46,48がガイドチャネル52,54,56,58の傾斜延在部分52b,54b,56b,58bに沿って走行する際には、第1レンズ部分26は、第2レンズ部分30とほぼ一直線に並ぶまで、第2レンズ部分30に関連して後方に移動する。図2に示すように眼鏡装置20が伸展形態にある場合には、第1レンズ部分26の内側縁部分34と第2レンズ部分30の内側縁部部分38とは重なり合わず、第1レンズ部分26の外側縁部部分36と第2レンズ部分30の外側縁部部分40との間に、第1レンズ部分26の内側縁部部分34と第2レンズ部分30の内側縁部部分38とが配置される。眼鏡装置20が伸展形態にある場合に、第1レンズ部分26の内側縁部部分34と第2レンズ部分30の内側縁部部分38との間に位置する鼻を収容するための領域60を画定するために、第1レンズ部分26の内側縁部部分34と第2レンズ部分30の内側縁部部分38とが離間されるように、眼鏡装置20が構成されている(図2)。
【0016】
眼鏡装置20は、全体として参照符号62で示されたハウジングも含み、このハウジング62は、眼鏡装置が収納形態にある場合に、第1及び第2レンズ部分26,30を収容するように形成及び構成されている。ハウジング62は、ハウジングスリーブインサート64と、当該ハウジングスリーブインサートを取り囲むハウジングシェル66とを含む。ハウジングスリーブインサート64は、上側及び下側ガイドタブ70,72を含む。第2眼鏡部分24の第2コネクタ部分32は、上側ガイドタブ70を収容するように適合された上側ガイドスロット74と、下側ガイドタブ72を収容するように適合された下側ガイドスロット76とを含む。収納形態(図1,5〜8)と伸展形態(図2)との間において、第2眼鏡部分24がハウジング62に関連して相対的に移動する際に、第2コネクタ部分32は、ハウジングスリーブインサート64のガイドタブ70,72に沿って走行する。第2コネクタ部分32はさらに、第2コネクタ部分32の背面に設けられた制限スロット78を含む。眼鏡装置20はさらに、ハウジングシェル66から制限スロット78内へと突出するストップピン80を含む。眼鏡装置20が伸展形態にある場合に、第2コネクタ部分32がハウジングスリーブインサート64から脱離するのを防止するために、制限スロット78の端部(例えば図4Aのスロットの最左端)において、ストップピン80が第2コネクタ部分32に係合する。
【0017】
眼鏡装置20はさらに左側キャップ82と右側キャップ84とを含む。左側キャップ82は、ハウジング62のハウジングシェル66の端部(図5及び6の左端)に固定されている。右側キャップ84は、第1眼鏡部分22の第1コネクタ部分28の端部に固定されている。右側キャップ84は、眼鏡装置20が収納形態にある場合にハウジングシェル66の端部(図5及び6の右端)を覆う。眼鏡装置20は、眼鏡装置20を伸展形態へと押し進めるためのばね86又は他の適当な付勢部材も含む。ばね86は、マクマスター・カー社から市販されている部品番号9662K12タイプのスプリングテンパー鋼の圧縮ばね(a spring-tempered steel compression spring)のようなコイルばねとすることができる(適当な長さに切断して)。左側キャップ82は、ばね86の左端を保持するためのステム88を含む。右側キャップ84は、右側キャップ84内にばね86の右端を保持するための孔90を含む。
【0018】
眼鏡装置20はさらにロック機構92を含む。ロック機構92は、ほぼC字形の部材であり、ハウジングスリーブインサート64内のスロットに嵌合する寸法の下側部分を有する。図6〜8に示すようにロック機構92の下側部分は、ハウジングスリーブインサート64とほぼ同一平面であり、かつ、ハウジングシェル66内部に十分に形状一致しているので、ロック機構92の下側部分はハウジングスリーブインサート及びハウジングシェルに対してほぼ固定されている。ロック機構92の上側部分は、ロック位置(図7)とロック解除位置(図8)との間で弾性に移動可能となっている。ロック機構92の上側部分はロックタブ94を含み、このロックタブ94は、第1コネクタ部分28の正面に設けられたロック溝96に選択的に噛み合うように寸法設定及び構成されている。ロック機構92は、ロック位置に向かって付勢されるように形成されている。眼鏡装置20が収納形態にあり、かつ、ロック機構92がロック位置にある場合には、ロックタブ94がロック溝96内へと突出し、ばね86の付勢力に反作用して、眼鏡装置を収納形態でロックする。
【0019】
眼鏡装置22を使用するためにユーザは、ロック機構92の上側部分の背面を押圧して、当該上側部分をロック解除位置へと弾性に移動させることにより、ロック溝96からロックタブ94を解除する。ロック溝96からロックタブ94が解除されると、第2コネクタ部分32の制限スロット78の端部がストップピン80に当接するまで、ばね86が第1眼鏡部分22をハウジング62から離れる方向に水平方向へと押し進め、これによって眼鏡装置20を伸展形態へと移行させる。伸展位置に到着すると眼鏡装置20をユーザの両目の近傍に配置することができ、ユーザは、第1レンズ部分26を通して自身の一方の目で、かつ、第2レンズ部分30を通して他方の目で、同時に視認可能となる。眼鏡装置22を伸展形態から収納形態へと移行させるためには、右側キャップ84がハウジングの端部に当接するまで右側キャップ84を水平方向に押圧することができる。ロック機構92のロック溝96がロックタブ94と一直線に並ぶと、ロック機構92の付勢力がロックタブ94を溝の中及びロック位置へと押し進め、眼鏡装置20を収納形態に維持する。
【0020】
折り畳み式の眼鏡装置100の別の実施形態を図16〜21に示す。前述した眼鏡装置と同様に、眼鏡装置100は第1眼鏡部分102を含み、この第1眼鏡部分102は、第1レンズ部分104と第1コネクタ部分106とを含む。眼鏡装置100はさらに第2眼鏡部分108を含み、この第2眼鏡部分108は、第2レンズ部分110と第2コネクタ部分112とを含む。また、前述した眼鏡装置と同様に、眼鏡装置100が、第1レンズ部分104と第2レンズ部分110とが相互に重なり合う収納形態と、第1レンズ部分104と第2レンズ部分110とが相互に重なり合わない伸展形態との間で移行可能となるように、第1コネクタ部分106と第2コネクタ部分112とが相互に接続されている。
【0021】
図16〜21に図示された眼鏡装置110は、前述した実施形態に存在しない特有の特徴を有する。第1眼鏡部分102は、第1リンク114を含み、第1コネクタ部分106は、第1チャネル116を部分的に画定している。同様にして第2眼鏡部分108は、第2リンク118を含み、第2コネクタ部分112は、第2チャネル120を画定している。第1チャネル116は、第1レンズ部分104によっても部分的に画定されており、眼鏡装置100の前方部分122内へと延在している。その逆に、第2チャネル120は、眼鏡装置100の後方部分124内へと延在している。第1リンク114は、第1コネクタ部分106の内側端部に隣接して、当該第1コネクタ部分106へと回動可能に取り付けられている。同様にして第2リンク118は、第2コネクタ部分112の内側端部に隣接して、当該第2コネクタ部分112へと回動可能に取り付けられている。各リンク114,118は、各旋回軸から延在する細長のビーム126を含む。旋回軸の反対側のビーム端部には、球頭128が形成されている。第1リンク114の球頭128は、第2眼鏡部分108の第2チャネル120内にスライド可能に収容されており、第1リンク114のビーム126は、第2チャネル120の外に延在している。その逆に、第2リンク118の球頭128は、第1眼鏡部分102の第1チャネル116内にスライド可能に収容されている。図19の破断図から最も良好に見られるように、こうすることによって第1眼鏡部分102と第2眼鏡部分108とを相互に移動させ、これによって眼鏡装置100を収納形態と伸展形態との間で調整することが可能となる。
【0022】
眼鏡装置100を伸展形態へと調整する場合には、リンク114,118の球頭128は、最終的には図17のようにチャネル116,120の端部に到着する。この点において第1眼鏡部分102は、第2眼鏡部分108に対して前方へと旋回することができ、当該第2眼鏡部分108と若干離間して並列に並ぶ。第1コネクタ部分106の内側端部は、磁性材料を含む雌型ソケット嵌合部130を含む。第2コネクタ部分112の内側端部は、これに対応する雄型嵌合部132を形成する磁石を含む。第1眼鏡部分102と第2眼鏡部分108とが並列に並ぶと、雄型嵌合部132を雌型嵌合部130内に挿入することができ、これによって両眼鏡部分102,108の間の間隙を閉鎖することができる。これによって両嵌合部130,132の間の磁気的な引力が、眼鏡装置100を図16のような伸展形態に解除可能に固定する。
【0023】
眼鏡装置100が伸展形態にある場合には、第1コネクタ部分106と第2コネクタ部分112とが単一のモノリシック部品に見えるように、眼鏡装置の前方部分122が1つのつながった表面輪郭を有する。このことは、眼鏡装置100が折り畳み式であるという事実を隠して美的な魅力を付加している。とりわけ、第1チャネル116は、第1コネクタ部分106と第1レンズ部分104の両方によって形成されている(第1レンズ部分104の上端は、第2リンク118の球頭128が第1チャネル116から離脱するのを防止している)。こうすることにより、第1チャネル116によって眼鏡装置100の美的な魅力が損なわれないように、第1チャネル116をカモフラージュしている。さらには第2眼鏡部分108の中に、第2コネクタ部分112と第2レンズ部分110との間において、同様の対称な疑似チャネル134が形成される。このようにして眼鏡装置100の前方部分は対称になり、第1チャネル116及び疑似チャネル134は、単なる様式的かつ美的な要素に見える。
【0024】
眼鏡装置100はさらに、第1テンプル部分及び第2テンプル部分136,138を含み、これらの第1テンプル部分及び第2テンプル部分は、装着者の耳から眼鏡部分を部分的に支持するように適合及び構成されている。第1テンプル部分136は、第1眼鏡部分102の外側端部に回動可能に接続されており、第2テンプル部分138は、第2眼鏡部分108の外側端部に回動可能に接続されている。従来の眼鏡のテンプル部分と同様に、第1テンプル部分及び第2テンプル部分136,138の旋回軸は、相互に干渉することなく眼鏡部分102,108に対して折り畳み可能となるように相互に若干傾斜している。従来のテンプル部分とは異なり、眼鏡装置100の各テンプル部分136,138は、好ましくは、テンプル部分の遠位部分140を近位部分142に接続させる別のヒンジを含む(近位部分は、各眼鏡部分102,108に回動可能に取り付けられた部分である)。こうすることにより、眼鏡装置100が収納形態(図20)にある場合に、テンプル部分136,138を一層コンパクトに収納することが可能となる。図示されるように、第1テンプル部分及び第2テンプル部分136,138の旋回軸は、好ましくは、眼鏡装置100が収納形態にある場合にテンプル部分136,138の一方が他方を覆うように構成されている。このことは、一般的に折り畳み時に相互に交差するテンプル部分を有している従来の眼鏡装置とは異なっている。
【0025】
折り畳み式の眼鏡部分を有さないより従来的な眼鏡装置にも組み込むことが可能な、眼鏡装置100の別の側面は、特有のストラップクリップ144と、これに対応するテンプル部分136,138の最遠位端部の形状とに関する。図22に図示されているように、ストラップクリップ144はプラスチックからなり、本体部分148から突出した一組の弾性のロック突起部146を含む。テンプル部分136,138の最遠位端部は、陥凹部150を含む。ストラップクリップ144は、当該ストラップクリップ144をテンプル部分の最遠位部分へと長手方向に優しく押し進めることによって、当該ストラップクリップ144が眼鏡装置100の一方のテンプル部分136,138に解除可能にスナップ嵌合可能となるように構成されている。上記の過程中、ストラップクリップ144の両ロック突起部146は、テンプル部分136の端部に係合するときに、テンプル部分に形成された陥凹部150に到着するまで各々離れる方向へと弾性に広がり、到着後、陥凹部150にて両ロック突起部146が互いの方向へと弾性に戻り、これによってストラップクリップがテンプル部分に噛み合う。図22に図示されるようにストラップクリップ144は、好ましくは、後方開口部152を含み、この後方開口部152を通ってストラップ紐又はコード154が延在する。ストラップクリップ144は、ロック突起部146を取り囲む弾性のスリーブ156(半透明に図示)も含む。弾性のスリーブ156は、両ロック突起部146が各々離れる方向へと広がる際に弾性に伸張するように構成及び適合されている。また、弾性のスリーブ156は、ストラップクリップ144がテンプル部分136に取り付けられる際に、ストラップクリップ144がテンプル部分136から横方向に滑落することを防止する。さらに弾性のスリーブ156は美的にも良好であり、かつ、ストラップクリップ144の製造を簡単にする。オプションとして、眼鏡装置100にゴム製又はポリマー製のキャップ(図示せず)を設けることも好ましく、このキャップは、着用者が眼鏡装置にストラップを取り付けない場合にテンプル部分136,138の陥凹部150を隠すために、テンプル部分136,138の遠位端部に取り付けられるように構成及び適合されている。
【0026】
以上の説明に鑑みて、本発明により、従来技術の眼鏡機構を超える種々の利点が達成されることを理解すべきである。
【0027】
本明細書中で説明及び図示された構成及び方法において、本発明の範囲から逸脱することなく種々の改変を行うことが可能であり、従って、上記説明に含まれる全ての事項又は添付の図面に図示された全ての事項は、限定的ではなく例示的なものであると解釈されたい。すなわち、本発明の範囲は、上述した実施形態の何れによっても限定されるものではなく、以下に添付した特許請求の範囲及びこれと同等のものによってのみ規定されるべきである。
【0028】
また、特許請求の範囲又は本発明の例示的な実施形態に関する上記説明において、本発明の各要素が紹介される際には、「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び、「有する(having)」なる用語は非制限的に使用されており、列挙した要素以外に追加的な要素があり得ることを意味していると理解すべきである。これに加え、「部分」なる用語は、当該用語が修飾している項目又は要素の一部又は全体を意味すると解釈すべきである。さらに、第1、第2、第3のような識別子を使用することにより、特定された各要素間に何らかの相対位置又は時系列が付加されるとは解釈すべきでない。以下の方法クレームの各ステップの順序は、この順序で各ステップを実施しなければならないと制限するものであるとは解釈すべきでない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22