特許第6144370号(P6144370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6144370-ダブルノズル型スマートポジショナ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144370
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】ダブルノズル型スマートポジショナ
(51)【国際特許分類】
   F15B 9/08 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   F15B9/08 D
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-2514(P2016-2514)
(22)【出願日】2016年1月8日
(65)【公開番号】特開2016-133219(P2016-133219A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2016年1月8日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0007986
(32)【優先日】2015年1月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512083780
【氏名又は名称】ヤング テク カンパニー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】ミン, ドゥ ギ
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭49−000716(JP,B1)
【文献】 特開平07−167103(JP,A)
【文献】 米国特許第5027858(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 9/08
F15B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダブルノズル型ポジショナであって、
フラッパー(1);
前記フラッパー(1)を中心として、両側に配置されている第1ノズル(2)および第2ノズル(3);
前記第1ノズル(2)に連結した第1パイロットバルブ(6);
前記第2ノズル(3)に連結した第2パイロットバルブ(7);
前記第1ノズル(2)と前記第1パイロットバルブ(6)、および前記第2ノズル(3)および前記第2パイロットバルブ(7)に定圧を供給する定圧源;
前記第1ノズル(2)が前記フラッパー(1)により閉鎖された時、前記定圧源から前記第1パイロットバルブ(6)に提供される圧力を定圧に維持するための第1オリフィス(4);および
前記第2ノズル(3)が前記フラッパー(1)により閉鎖された時、前記定圧源から前記第2パイロットバルブ(7)に提供される圧力を定圧に維持するための第2オリフィス(5);
を含み、
前記第1パイロットバルブ(6)の入力部は、供給圧力に連結されており、前記第1パイロットバルブ(6)は、前記定圧源から供給される空圧により、前記第1パイロットバルブ(6)の入力部から供給された圧力を前記第1パイロットバルブ(6)の出力部に伝えるように構成されており、
前記第1パイロットバルブ(6)の出力部は、前記第2パイロットバルブ(7)の入力部に連結されており、
前記第2パイロットバルブ(7)は、前記定圧源から供給される空圧により、前記第2パイロットバルブ(7)の入力部に供給された圧力を前記第2パイロットバルブ(7)の出力部に伝えるように構成されており、前記第2パイロットバルブ(7)の出力部は、排出口(8)に連結されており、
前記第1パイロットバルブ(6)の出力部と前記第2パイロットバルブ(7)の入力部の接点は、アクチュエータ(9)に連結されており、
前記フラッパー1の移動により前記第1ノズル(2)が開放されると、前記第2ノズル(3)が閉鎖され、前記第1ノズル(2)が閉鎖されると、前記第2ノズル(3)が開放されることを特徴とするダブルノズル型ポジショナ。
【請求項2】
前記フラッパー(1)の移動は、単一制御電流により制御されることを特徴とする請求項1に記載のダブルノズル型ポジショナ。
【請求項3】
前記フラッパー(1)は、上記単一制御電流の極性に応じて反対方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のダブルノズル型ポジショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブの開度を制御するポジショナに関し、さらに詳しくは、ダブルノズル型のポジショナ(DOUBLE NOZZLE TYPE SMART POSITIONER)に関する。
【背景技術】
【0002】
制御バルブは、外部の制御信号に応じてバルブの開度が調節できるバルブを称するもので、発電所、水処理、石油化学など、各種の工程自動化の効率および性能に重大な影響を及ぼす核心的な機器である。特に、制御バルブは、発電所のような大型のプラントに設置された各種の管路内部を流れる高温、高圧の流体を制御するのに必須であり、流体の流量、圧力および方向などを制御するだけでなく、流路の開閉、絞縮、逆止、過圧防止などの主要機能も遂行する。
【0003】
一般的に、制御信号は、現場で発生する各種のノイズから信号の歪みを防止するため、4−20mAの電流を用い、バルブを駆動させるための補助動力源として空圧を利用する。
【0004】
制御バルブは、大きくはバルブ本体、アクチュエータ、ポジショナにより構成され、バルブの駆動方式が直線運動であるか回転運動であるかによってそれぞれリニア型バルブ、ロータリー型バルブに区分される。アクチュエータは、補助動力源の空圧を利用して、バルブ本体と連結したステムを押し出したり回転トークを発生させたりして、バルブを駆動させる役割を担当する。したがって、バルブ本体を駆動するために必要な力と移動距離(または回転角度)によってアクチュエータの仕様が定められる。ポジショナは、バルブ本体(正しくは、ステム)と連結したセンサを介してプラグ開度を測定し、外部から入力された命令信号(4−20mA)と比較し、バルブの開度が命令信号と一致するまでアクチュエータに供給される空圧を調節する制御機器である。
【0005】
図1は、一つのノズル、一つのフラッパー(flapper)および一つのパイロットバルブを含む従来技術のポジショナを示す。このポジショナは、一つのフラッパー101、一つのノズル102、および一つのパイロットバルブ104を含む。さらに、ノズル102の定圧に維持のためのオリフィス103を含む。パイロットバルブ104の入力部は、供給圧力に連結されており、出力部は、アクチュエータ105に連結される。パイロットバルブ104の出力部からアクチュエータ105に供給される空圧によりアクチュエータ105が作動する。
【0006】
このようなポジショナは、パイロットバルブ104の出力、すなわち、アクチュエータ105に供給される空圧が外部環境に大きく影響を受けるという短所がある。
【0007】
図2は、図1のポジショナの短所を解決するため、一つのアクチュエータに、二つのポジショナを結合した従来技術の配列を示す。この配列は、二つセットのフラッパー111、ノズル112、オリフィス113、およびパイロットバルブ114が一つのアクチュエータ115に連結される。例えば、一方のセットのパイロットバルブ114の出力は、アクチュエータ115を上昇させる側に連結し、他方のセットのパイロットバルブ114の出力は、アクチュエータ115を下降させる側に連結する。これらのそれぞれのセットの構造は、図1のポジショナの構造と同様である。
【0008】
このような配列において、アクチュエータ115は、一方のパイロットバルブ114の出力と他方のパイロットバルブ114の出力との差により駆動される。概して、二つのパイロットバルブ114は、同程度の外部影響を受けるはずなので、これらの二つの出力の間の差は、外部影響が互いに相殺される。つまり、このような配列を通じて、外部環境に対する影響は大きく受けなくなった。
【0009】
しかしながら、ポジショナとアクチュエータを結合する組み立て工程がさらに複雑となり、二つのポジショナを同時に制御しなければならない問題が存在する。すなわち、二つのポジショナを制御する制御信号の間のタイミング問題、二つのポジショナの出力で有り得る誤差などによりアクチュエータが誤作動する可能性が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、上記問題点を解消できる新しいポジショナ構造が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかるダブルノズル型ポジショナは、フラッパー(1);フラッパー(1)を中心として、両側に配置されている第1ノズル(2)および第2ノズル(3);第1ノズル(2)に連結した第1パイロットバルブ(6);第2ノズル(3)に連結した第2パイロットバルブ(7);第1ノズル(2)と前記第1パイロットバルブ(6)および第2ノズル(3)、および第2パイロットバルブ(7)に定圧を供給する定圧源;定圧源から第1ノズル(2)と第1パイロットバルブ(6)に提供される圧力を定圧に維持するための第1オリフィス(4);および定圧源から第2ノズル(3)および第2パイロットバルブ(7)に提供される圧力を定圧に維持するための第2オリフィス(5)を含む。前記第1パイロットバルブ(6)の入力部は、供給圧力に連結されており、前記第1パイロットバルブ(6)は、前記定圧源から供給される空圧によって、前記第1パイロットバルブ(6)の入力部から供給された圧力を前記第1パイロットバルブ(6)の出力部に伝えるように構成されている。前記第1パイロットバルブ(6)の出力部は、前記第2パイロットバルブ(7)の入力部に連結されている。前記第2パイロットバルブ(7)は、前記定圧源から供給される空圧によって、前記第2パイロットバルブ(7)の入力部に供給された圧力を前記第2パイロットバルブ(7)の出力部に伝えるように構成されており、前記第2パイロットバルブ(7)の出力部は、排出口(8)に連結されている。前記第1パイロットバルブ(6)の出力部と前記第2パイロットバルブ(7)との入力部の接点はアクチュエータ(9)に連結されている。前記フラッパー(1)の移動により前記第1ノズル(2)が開放されると、前記第2ノズル(3)が閉鎖され、前記第1ノズル(2)が閉鎖されると、前記第2ノズル(3)が開放されるように構成されている。
【0012】
好ましくは、前記第1ノズル(2)および前記第2ノズル(3)の開閉は、単一電流により制御される。
【0013】
好ましくは、前記フラッパー(1)は、電流の極性に応じて反対方向に移動するように構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のダブルノズル型ポジショナを利用すれば、二つのノズルを介して、二つのパイロットバルブを比例的に制御することができる。また、プラスの電流およびマイナスの電流をすべて利用するので、低い電流で制御が可能である。二つのノズルが、補助的なストッパー(stopper)としての役割をして、外部の影響に対する変化量が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一つのノズル、一つのフラッパーおよび一つのパイロットバルブを含む従来のポジショナの図である。
図2図2は、図1のポジショナの短所を解決するため、一つのアクチュエータに二つのポジショナを結合した従来技術の配列を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施例にかかるダブルノズル型ポジショナの図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
これから、図3を参照して、本発明の一実施例に係るダブルノズル型ポジショナを説明する。
【0017】
図3は、本発明の一実施例にかかるダブルノズル型ポジショナの概略図である。このダブルノズル型ポジショナは、フラッパー1、第1ノズル2、第2ノズル3、第1オリフィス4、第2オリフィス5、第1パイロットバルブ6、第2パイロットバルブ7、および排出口8を含む。第1ノズル2および第2ノズル3は、フラッパー1を中心として、両側に配置されており、フラッパー1の移動によって、第1ノズル2が閉鎖されると、第2ノズル3が開放され、第1ノズル2が開放されると、第2ノズル3が閉鎖される。フラッパー1が中央に位置すると、第1ノズル2および第2ノズル3がともに開く。このようなフラッパー1の移動は、フラッパー1に提供される単一の制御電流により制御されることができる。例えば、フラッパー1を、制御電流の極性に応じてそれぞれ反対方向に移動するように構成すれば、単一の制御電流、すなわち、制御電流の流れる向きにより、フラッパー1の移動を指示することができる。
【0018】
第1ノズル2は、第1パイロットバルブ6に連結されている。第1ノズル2および第1パイロットバルブ6に定圧を供給する定圧源がその間に連結される。第2ノズル3は、第2パイロットバルブ7に連結されている。第2ノズル3および第2パイロットバルブ7に定圧を供給する定圧源がその間に連結される。これらの定圧源は、同一の圧力源であることが好ましい 。この定圧源から第1ノズル2および第1パイロットバルブ6に、そして、第2ノズル3および第2パイロットバルブ7に、供給される圧力を一定に維持するため、それぞれの第1オリフィス4および第2オリフィス5が提供される。
【0019】
第1パイロットバルブ6の入力部は、別の供給圧力に連結されており、出力部は、第2パイロットバルブ7の入力部に連結されている。第2パイロットバルブ7の出力部は、排出口8に連結されている。第1パイロットバルブ6の出力部と第2パイロットバルブ7の入力部とは結合して、アクチュエータ9に連結される。
【0020】
その動作において、フラッパー1にプラスの制御電流が供給されると、フラッパー1が第1ノズル2の方に移動し、第1ノズル2は閉鎖され、第2ノズル3は開放される。第1ノズル2が閉鎖されているので、定圧源から提供される圧力は、第1パイロットバルブ6にすべて提供される。また、第2ノズル3は開放されるので、定圧源に提供される圧力は、第2ノズル3を介して排出され、第2パイロットバルブ7に提供されない。これにより、第1パイロットバルブ6は、第1パイロットバルブ6の入力部に入力された供給圧力を、第1パイロットバルブ6の出力部を介して送り出し、第2パイロットバルブ7の入力部と出力部とは閉鎖される。第1パイロットバルブ6から出力された空圧は、アクチュエータ9に伝えられ、アクチュエータ9を、例えば、上昇させる。
【0021】
マイナスの制御電流が供給されるフラッパー1が、第2ノズル3の方に移動して第2ノズル3は閉鎖され、第1ノズル2は開放される。前述のように、定圧源から提供される圧力は、第2パイロットバルブ7に提供され、第1パイロットバルブ6に提供されない。したがって、第1パイロットバルブ6に入力される供給圧力は出力されず、第2パイロットバルブ7の入力部と出力部とは開放される。アクチュエータ9に存在する空圧が第2パイロットバルブ7を介して排出口8へ排出され、アクチュエータ9は、例えば、下降することになる。
【0022】
フラッパー1に電流が提供されないと、二つのノズル(第1ノズル2および第2ノズル3)とも開放され、第1パイロットバルブ6および第2パイロットバルブ7はともに入力部と出力部とが遮断され、アクチュエータ9は動かなくなる。
【0023】
上記の説明は一例に過ぎない。例えば、代案として、フラッパー1にマイナスの電流が供給される時、フラッパー1が第1ノズル2の方に移動し、プラスの電流が供給される時、フラッパー1が第2ノズル3の方に移動する構成も可能である。さらに、アクチュエータの上昇および下降方向も反対であってもよく、他の方向であってもよい。
【0024】
本発明のダブルノズル型ポジショナは、二つのノズルを介して、二つのポジショナをそれぞれ比例的に制御することができる。制御電流の極性を利用するので、低い電流でも制御が可能であり、単一電流を利用するので設置および制御が容易である。二つのノズルがストッパー(stopper)の役割をするので外部影響に対する変化量が少ない。
【符号の説明】
【0025】
1 フラッパー
2 第1ノズル
3 第2ノズル
4 第1オリフィス
5 第2オリフィス
6 第1パイロットバルブ
7 第2パイロットバルブ
8 排出口
9 アクチュエータ
図1
図2
図3