【実施例】
【0064】
必要な場合、以下の実施例で用いる動物の取り扱いは、ヘルシンキ宣言に基づいて行った。試薬類は具体的には実施例中に記載した製品を使用したが、他メーカー(Sigma,和光純薬、ナカライ、等)の同等品でも代用可能である。
【0065】
(代表的な使用細胞およびウイルス)
本実施例では、代表的に以下のウイルスおよび細胞を用いた。
【0066】
(ウイルス)
インフルエンザウイルス(RNAウイルスでエンベロープを持つ):インフルエンザウイルスA型アイチ株は徳島大学医学部ウイルス学教室由来である。
【0067】
ヘルペスウイルス(DNAウイルスでエンベロープを持つ):ヘルペスウイルス1型(HSV−1)はAmerican Type Culture Collection(ATCC)から購入した。
【0068】
ポリオウイルス(RNAウイルスでタンパク質からなる殻を持つ):ポリオウイルス1型生ワクチン株は徳島大学医学部ウイルス学教室由来である。
【0069】
ネコカリシウイルス(ノロウイルスの試験用):ネコカリシウイルスF4株は国立感染症研究所 ウイルス第2部から分与されたものである。
【0070】
(細胞)
MDCK細胞(イヌ腎臓由来の株化細胞):インフルエンザウイルスの増殖と定量に用いた細胞であり、徳島大学医学部ウイルス学教室由来である。
【0071】
HEp−2細胞(ヒト子宮頸がん由来):HSV−1とポリオウイルスの増殖に用いた細胞であり、徳島大学医学部ウイルス学教室由来である。
【0072】
Vero細胞(アフリカミドリザル腎臓由来):HSV−1とポリオウイルスの定量に用いた細胞であり、American Type Culture Collection(ATCC)から購入したものである。
【0073】
CRFK細胞:ネコカリシウイルスの培養用ならびに定量に用いた細胞であり、国立感染症研究所ウイルス第2部から分与されたものである。
【0074】
(亜塩素酸水の定量法)
本品約5 gを精密に量り,水を加えて正確に100 mlとする。この試料液20 mlを正確に量り、ヨウ素ビンに入れ、硫酸(1→10)10mlを加えた後、ヨウ化カリウム1gを加え、直ちに密栓をしてよくふり混ぜる。ヨウ素瓶の上部にヨウ化カリウム試液を流し込み、暗所に15分間放置する。次に栓を緩めてヨウ化カリウム試液を流し込み、直ちに密栓してよくふり混ぜた後、遊離したヨウ素を0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウムで滴定する(指示薬 デンプン試液)。指示薬は液の色が淡黄色に変化した後に加える。別に空試験を行い補正する。0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1ml=1.711 mg HClO
2)。
【0075】
(実施例1:亜塩素酸水の生産)
以下の実施例で使用される亜塩素酸水製剤は、以下のように生産した。本明細書では、亜塩素酸水は「亜水」と略称することがあるが、同義である。
亜塩素酸水の成分分析表
【0076】
【表2】
【0077】
この亜塩素酸水を用いて、以下の配合に基づき、亜塩素酸水製剤を製造した。最終のpHは6.5であった。
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
(実施例2:亜塩素酸水によるインフルエンザウイルスの不活化)
本実施例では、上記の配合で製造した「亜塩素酸水製剤」を用いて、ウイルスの不活性化の例としてインフルエンザウイルスの不活性化実験を行った。以下にその手法および結果を示す。
【0081】
(条件)
亜塩素酸水のpHを適宜水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム、あるいはリン酸二水素ナトリウムまたはリン酸二水素カリウムを用いて、pH5.5、pH6.5、pH7.5およびpH8.5に調整して、亜塩素酸水によるインフルエンザウイルスの不活化実験を行った。使用したインフルエンザウイルスはインフルエンザウイルスA型Aichi株であった。また、使用したウイルスの力価は10
8cfuであった。以下により詳細な条件を示す。
【0082】
(緩衝液)
(1)pH4.5緩衝液、(2)pH5.5緩衝液、(3)pH6.5緩衝液、(4)pH7.5緩衝液、(5)pH8.5緩衝液、(6)未処理対照用の検査液〔リン酸緩衝塩類溶液(ダルベッコのPBS;pH7.4)〕
1) pH4.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その109.15mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液90.85mlを加え、pH4.5に調整した。
2) pH5.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その8.63mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液11.38mlを加え、pH5.5に調整した。
3) pH6.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その5.80mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液14.20mlを加え、pH6.5に調整した。
4) pH 7.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その1.55mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液18.45mlを加え、pH7.5に調整した。
5) pH 8.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その1.00mLに、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液20.00mL加え、pH8.5に調整した。
【0083】
(検査試料液等の保存)
各試料液並びに緩衝液は、アルミホイルで包んだ状態で4℃(冷蔵庫)で保存した。
【0084】
(ウイルスおよび細胞)
ウイルスとしては上述のようにインフルエンザウイルスA型アイチ株 A/Aichi/68 (H
3N
2)を用いた。ウイルス培養用ならびにウイルス定量用の細胞にはMDCK細胞(イヌ腎臓由来の樹立株化細胞)を用いた。細胞の培養には5%ウシ胎児血清を加えたイーグル最小必須培地(Eagle’s minimum essential medium;MEM)を用い、5%炭酸ガス存在下37℃で培養した。
【0085】
(殺ウイルス剤作用の測定法)
1) 2mlプラスチックチューブ(アシストチューブ)に180μlの指定pHの緩衝液を加えた。
2) 10μlの指定濃度の亜塩素酸水溶液を加えた。
3) 10μlのウイルス液を加え、充分撹拌した後、指定温度の恒温水槽内で保温した。代表的には、25℃で30分保温した。
4) 保温後直ちに氷水で冷却しタンパク質を含むウイルス希釈液で100倍希釈した。5) 残存感染ウイルス量をプラック法にて測定した。プラック法は以下のとおりである。各種試験液で処理したウイルスは0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むダルベッコのリン酸緩衝塩類溶液(PBS)を用いて適当なウイルス濃度にまで希釈し、その0.5mlをMDCK細胞の単層培養(5cmシャ−レ)に接種し、室温で60分間ロッカープラットフォーム上で機械的にロッキングしながらウイルス吸着を行った。未吸着ウイルスを吸引で除去したのち、MDCK細胞上にプラックを形成させて残存感染性ウイルス量を測定した。プラック形成は、ウイルス吸着後のMDCK細胞を0.8%軟寒天とアセチル化トリプシン(4μg/ml)を含有するMEM中で2日間37℃で培養した。生じたプラックを確認後、シャーレの細胞を10%ホルマリンを含む0.5%(w/v)結晶ムラサキ染色液で単染色したのち、目視によりプラック数を数えた。
【0086】
(試料液によるウイルス不活化)
特に記載した操作以外は全操作を氷上で行った。冷蔵状態の宅配便で送付された(1)亜塩素酸水、(2)次亜塩素酸ナトリウム水溶液、(3)高度サラシ粉製剤水溶液、(4)亜塩素酸ナトリウム水溶液アルミホイルで包んだまま冷蔵庫に保存した。
【0087】
ウイルス不活化検査は各試料液ごとに行い、使用直前に蒸留水で塩素濃度が10000ppmとなるように希釈したものを調製し、さらに2.2ml容のスクリューキャップ付きプラスチックチューブ(アシストチューブ)内で一連の必要濃度にまで蒸留水で希釈した。別に用意したプラスチックチューブに各pHの緩衝液180μlを分注し、これに希釈試料液の10μlを加えたのちボルテックスミキサーで軽く攪拌し均一化した。
【0088】
そこにインフルエンザウイルス液(10
8感染単位)10μlを加え、さらに攪拌して均一な被検ウイルス液を調製した。被検液は25℃で30分間保温したのち、直ちに氷水中で冷却すると同時に冷0.1%BSA加PBSで100倍に希釈し不活化作用を止めた。その後、残存ウイルス感染価の測定のために冷0.1%BSA加PBSで適宜希釈し、希釈液中の感染性ウイルス数を定量した。
【0089】
各不活化実験のいずれにおいても、検査試料液の替わりにPBS(リン酸緩衝塩類溶液)中で同じ温度と時間保持した後の感染性ウイルス量を測定し、それを不活化前のウイルス負荷量とみなし、検査試料液中で不活化した後の残存感染性ウイルス量との比率を算出した。
【0090】
(結果)
結果を
図1に示す。用いたリン酸緩衝液(pH4.5、pH5.5、pH6.5、pH7.5、pH8.5)のうち、pH4.5ではリン酸緩衝液単独でインフルエンザウイルスを検出限界以下にまで不活化した(データ省略)。これはインフルエンザウイルスの酸不活化として知られている現象と一致する。そこでpH4.5を用いた解析は省き、pH5.5、pH6.5、pH7.5、pH8.5のデータを
図1に示している。
図1に示されるように、インフルエンザウイルスの不活化はpHが低くなると顕著で、pH6.5以下であれば、50ppmでも1%程度にまで感染性ウイルスが減少した。また、200ppmの濃度では、pH8.5でも効果があることが判明した。
【0091】
次に、亜塩素酸水のほか、次亜塩素酸ナトリウム、高度サラシ粉製剤、および亜塩素酸ナトリウムを比較対象として用い、コントロールとしてリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を用い同様の実験をした結果を以下の表4Bに示す。
(表4B 濃度10 ppmで、各pHにおけるインフルエンザウイルスの不活化)
【0092】
【表4B】
【0093】
表4Bからも明らかなように、もっとも強いウイルス不活化作用を示したのは(2)次亜塩素酸ナトリウム液で、pH5.5からpH8.5に至るどのpHにおいても濃度10ppmで検出限界(10
−5)以下にまでウイルスを不活化した。
【0094】
(1)亜塩素酸水は(2)次亜塩素酸ナトリウム水溶液に次ぐ強力なウイルス不活化作用を示した。その作用はpHにやや依存し、pH5.5やpH6.5では100ppm以下で検出限界以下にまでインフルエンザウイルスを不活化したが、pH7.5やpH8.5といった中性・アルカリ性ではpH値が高くなるほどウイルス不活作用が減弱していた(この場合も200ppmでは検出限界程度にまで不活化した)。(3)高度サラシ粉製剤水溶液や(4)亜塩素酸ナトリウム水溶液ではウイルス不活化活性は弱く、かつ、pHに依存した。不活化活性が検出できたのはpH5.5においてのみであり、その場合も200ppmにおいても十分の一までは不活化できていなかった(
図1B)。
【0095】
以上から、本発明の亜塩素酸水を含むウイルス殺傷剤は、インフルエンザウイルスに対する良好な殺傷剤であることが判明した。
【0096】
(実施例3:亜塩素酸水によるヘルペスウイルスの不活化)
本実施例では、ウイルスの不活化の例としてヘルペスウイルスの不活化実験を行った。以下にその手法および結果を示す。
【0097】
殺ウイルス剤作用の測定法としては実施例2に記載される方法において、加えるウイルスを変更し、使用するpHを4.5、5.5、6.5、7.5および8.5に増加させたほかは、同様の条件で行った。使用したヘルペスウイルスはHerpes simplex virus type I VR−539であった。また、使用したウイルスの力価は10
4cfuであった。以下により詳細な条件を示す。
【0098】
(材料)
(検査試料液等)
(試料液)
(1)亜塩素酸水
(2)次亜塩素酸ナトリウム水溶液
(3)高度さらし粉製剤水溶液
(4)亜塩素酸ナトリウム水溶液
の4種類の水溶液を試験液として用いた。各薬剤につき200ppm、150ppm、100ppm、50ppmおよび10ppmの5種類の濃度の水溶液を蒸留水にて調整した。希釈後の各試験液は0.22μmのフィルターを用いて濾過滅菌し、亜塩素酸水の殺菌力に及ぼすpHの影響を調べた。
【0099】
(緩衝液)
(1)pH4.5緩衝液、(2)pH5.5緩衝液、(3)pH6.5緩衝液、(4)pH7.5緩衝液、(5)pH8.5緩衝液
1) pH4.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その109.15mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液90.85mlを加え、pH4.5に調整した。
2) pH5.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その8.63mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液11.38mlを加え、pH5.5に調整した。
3) pH6.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その5.80mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液14.20mlを加え、pH6.5に調整した。
4) pH 7.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その1.55mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液18.45mlを加え、pH7.5に調整した。
5) pH 8.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その1.00mLに、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液20.00mL加え、pH8.5に調整した。
【0100】
(検査試料液等の保存)
各試料液並びに緩衝液は、アルミホイルで包んだ状態で4℃(冷蔵庫)で保存した。
【0101】
(2) ウイルス
ウイルスとしてはHerpes simplex virus I VR−539株(本明細書においてHSV−Iと表示することがある。)を用いた。
【0102】
(方法)
(試料液によるウイルス不活化)
試験液にHSV−Iを1.1〜1.8×10
4pfu(plaque−forming unit)接種し、攪拌後、25℃で30分静置した。反応液を全量(0.2ml)、コンフルエントにまで増殖させたVero細胞上に拡げ、25℃で1時間静かに振盪して生残するHSV−Iを感染させた。細胞を更に3日間培養した後、プラークの形成数を計測し、生残するHSV−I数を算出した。また、pH単独の影響を補正するため、pH調整用緩衝液中(pH8.5、7.5、6.5、5.5および4.5)におけるHSV−Iの生残数も計測した。pH調整用緩衝液中の生残HSV−I数に対する各試験液作用後の生残HSV−I数の割合を比較した。
【0103】
(結果)
結果を
図2Bに示す。
図2Bに示されるように、亜塩素酸水のほか、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウムをクエン酸/リン酸緩衝液(0.08ml)でpHを8.5、7.5、6.5、5.5、4.5に調整したもので、生残ウイルスをVero細胞に1時間感染させて計測したプラック計測実験を行った。結果を
図2Bに示す。亜塩素酸水は、50ppm以上の濃度で十分な殺滅効果が得られ、その効果はpH5.5以下の酸性条件下で顕著であり、200ppm以上であれば、pH6.5以下でも、十分に効果があることが理解される。これは、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウムとは対照的である。
【0104】
他方、次亜塩素酸ナトリウムにおいてはpH5.5以下の酸性条件下においてヘルペスウイルスI型に対する殺滅効果が減弱した。
【0105】
別のラウンドの実験結果を以下に示す。
【0106】
試験液のHSV−Iに対する殺滅効果を表4Cに示す。pH調整用緩衝液中(pH8.5、7.5、6.5、5.5および4.5)でのHSV−Iの生残数は接種ウイルス数の85.6−94.4%であり、HSV−Iの生残に対するpH単独の影響はなかった(表4D)。(2)次亜塩素酸ナトリウム水溶液はpH6.5−8.5の条件において濃度50ppm以上でHSV−Iに対する優れた作用を示し、検出限界以下にまでHSV−Iを減少させた。(2)次亜塩素酸ナトリウム水溶液以外の試験薬剤についてはpH6.5−8.5の条件において200ppmの濃度を用いてもHSV−Iを1%以下に減少させるものはなかった。他方、pH5.5においてHSV−Iを検出限界以下にまで減少させた薬剤は150ppmおよび200ppmの(1)亜塩素酸水と(2)次亜塩素酸ナトリウム水溶液のみであった。また、pH4.5においてHSV−Iを検出限界以下にまで減少させた薬剤は100ppm、150ppm、200ppmの(1)亜塩素酸水と200ppmの(4)亜塩素酸ナトリウム水溶液のみであった。(2)次亜塩素酸ナトリウム水溶液のHSV−Iに対する殺滅効果は酸性条件下(pH4.5−5.5)で著しく減弱するが、100ppm以上の(1)亜塩素酸水はこの条件下(pH4.5−5.5)においてHSV−Iに対する優れた殺滅効果を示す。(1)亜塩素酸水のHSV−Iに対する殺滅効果について検討した。HSV−Iに対してはアルカリ条件下では効果が低かったが、酸性条件下(pH4.5−5.5)においては(2)次亜塩素酸ナトリウム水溶液よりも優れた殺滅効果を示した。以上の結果から、(1)亜塩素酸水は使用条件を至適化することにより幅広い微生物に対する殺滅効果が期待できる。
【0107】
(表4C 試験薬剤のHSV−Iに対する殺滅効果(プラークアッセイによる効果判定))
【0108】
【表4C】
【0109】
(表4D. HSV−Iに対する pHの影響(プラークアッセイによる効果判定))
【0110】
【表4D】
【0111】
(実施例4:亜塩素酸水によるポリオウイルスの不活化(インフルエンザウイルス不活化との比較))
次に、本実施例では、ポリオウイルスの不活化について実証した。本実施例では、インフルエンザウイルスとの比較を行った。以下にその手法および結果を示す。
【0112】
殺ウイルス剤作用の測定法としては実施例2に記載される方法において、インフルエンザウイルスまたはポリオウイルスを使用してpHを5.5または7.5に変更して行った。使用したインフルエンザウイルスはインフルエンザウイルスA型Aichi株であった。また、使用したポリオウイルスは、ポリオウイルス1型生ワクチン株であった。また、使用したウイルスの力価は10
4cfuであった。
【0113】
(結果)
結果を
図3に示す。
図3に示されるように、ポリオウイルスは、インフルエンザウイルスよりも高濃度の亜塩素酸水が必要であった。pHの傾向はインフルエンザウイルスと同様であり、酸性側で殺傷力が強かった。いずれにしても500ppmにて、ポリオウイルスもほぼ殺傷することができた。200ppmでは、pH5.5で殺傷が見られる程度であった。
【0114】
(ポリオの追試)
さらに、別のラウンドの実験系を用いて、亜塩素酸水によるポリオウイルス不活化作用の定量的解析を行った。
【0115】
(材料)
(1)検査試料液等
(試料液)
亜塩素酸水(HClO
2)
(緩衝液)
(1)pH5.5緩衝液および(2)pH7.5緩衝液
1)pH5.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その8.63mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液11.38mlを加え、pH5.5に調整した。
2)pH 7.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その1.55mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液18.45mlを加え、pH7.5に調整した。
【0116】
(検査試料液等の保存)
各試料液並びに緩衝液は、アルミホイルで包んだ状態で4℃(冷蔵庫)で保存した。
(2)ウイルスと細胞
ウイルスとしてはワクチン由来ポリオウイルス1型(PV1)を用いた。ウイルス培養用ならびにウイルス定量用の細胞に
はアフリカミドリザルの腎臓上皮細胞(Vero cell)を用いた。亜塩素酸水の殺菌効果を確認する為に細胞の培養には、5%ウシ胎児血清を加えたイーグル最小必須培地(Eagle’s minimum essential medium;MEM)を用いて、5%炭酸ガス存在下の30℃で培養した。
【0117】
(方法)
(1)感染性ウイルス数の定量方法
プラック法を用いて定量した。各種試験液で処理したウイルスは0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むダルベッコのリン酸緩衝塩類溶液(PBS) を用いて適当なウイルス濃度にまで希釈し、その0.5mlをCRFK細胞の単層培養(5 cmシャ−レ)に接種し、室温で60分間、ロッカープラットフォーム上で、機械的にロッキングしながらウイルスの吸着処理を実施した。
【0118】
プラックの形成は、ウイルス吸着後のVero細胞を0.8%軟寒天とアセチル化トリプシン(5μg/ml)を含有するMEM中で、2日間、30℃で培養した。
【0119】
生じたプラックを確認後、シャーレの細胞を10%ホルマリンを含む0.5%(w/v)結晶ムラサキ染色液で単染色したのち、目視によりプラック数を数えた。
【0120】
(2) 試料液によるウイルス不活化効果確認方法
特に記載した操作以外は全操作を氷上で行い、各試料液はアルミホイルで包んだまま冷蔵庫に保存した。
【0121】
ウイルス不活化検査は各試料液ごとに行い、(i)亜塩素酸水は、使用直前に蒸留水で亜塩素酸濃度が 10000 ppm になるように、指示に従って希釈したものから、さらにアシストチューブ内で蒸留水で必要濃度にまで希釈し、その10μlを、各pHのリン酸緩衝液180μlに加えたのち、ボルテックスミキサーで軽く攪拌し均一化した。そこにポリオウイルス液(約10
7感染単位)10μlを加え、さらに攪拌して均一な被検ウイルス液を調製した。
【0122】
被検液は25℃で30分間保温したのち、直ちに氷水中で冷却すると同時に冷0.1%BSA加PBSで100倍に希釈し中和処理をした。その後、残存ウイルス感染価の測定のために冷0.1%BSA加PBSで適宜希釈し、その感染性ウイルス数を定量した。
【0123】
(結果)
結果を
図3Bに示す。亜塩素酸水によるポリオウイルス不活化作用の定量的解析を確認したところ、白丸のインフルエンザ(pH7.5)では50ppmでも顕著にウイルス殺傷効果が見られたため定量性については確認できなかったが、それ以外については、白三角のインフルエンザウイルス(pH5.5)と同様、ポリオウイルス(黒丸pH5.5、黒三角pH7.5)に対しても、定量性が確認された。
【0124】
(実施例5:亜塩素酸水によるインフルエンザウイルスの不活化速度の測定)
次に、本実施例では、亜塩素酸水によるインフルエンザウイルスの不活化速度を測定した。以下にその手法および結果を示す。
【0125】
殺ウイルス剤作用の測定法としては実施例2に記載される方法において、pHは6.5を用い、亜塩素酸水としては100ppmのものを用い、インフルエンザウイルスと接触する際の亜塩素酸濃度は、5ppmであり、0分後、0.5分後、1分後、および4分後の試料を採取して不活化されたかどうかを確認した。
【0126】
(結果)
結果を
図4に示す。
図4に示されるように、亜塩素酸水は、30秒経過時点でインフルエンザウイルスの殺傷能力をほぼ完遂していることがわかる。
【0127】
(実施例6 亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの細胞傷害作用の比較(1))
本実施例では、亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの細胞傷害作用の比較を行うために、HEp−2細胞を用いて実験を行った。その方法および結果を示す。
【0128】
HEp−2 細胞を単層培養し生理食塩水で4回洗い、種々の濃度の試薬を含む(たとえば、pH5.5)緩衝塩類溶液中で氷温に20分間保温した。処理細胞から試薬を除去し培養液中で37℃で60分間保存した。トリプシンを用いて細胞をはがし、細胞懸濁液を用いて、トリパンブルーによる色素排除して、生細胞数と死細胞数を計測して算出した。
【0129】
(結果)
結果を
図5に示す。
図5に示されるように、亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの細胞障害作用の比較において、次亜塩素酸ナトリウムでは、0.5ppm程度でも死細胞が生じているが、本発明の亜塩素酸水では、50ppmにおいて、次亜塩素酸ナトリウムの0.5ppmと同等の死細胞程度しか確認されておらず、事実上影響がなかった。このことから、亜塩素酸水は、細胞に対する安全性(傷害性の低さ)から、安全な消毒、ウイルス殺傷剤を提供することができると理解される。
【0130】
(実施例7:亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの細胞傷害作用の比較(2))
次に、本実施例では、亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの細胞傷害作用の比較として、pHを種々使用した場合の細胞傷害性を確認した。その方法および結果を示す。
【0131】
HEp−2細胞を単層培養し生理食塩水で4回洗い、種々のpH緩衝液および種々の濃度の試薬を含む緩衝塩類溶液中で氷温に20分間保温した。処理細胞から試薬を除去し培養液中で37℃で60分間保存した。トリプシンを用いて細胞をはがし、細胞懸濁液を用いて、トリパンブルーによる色素排除して、生細胞数と死細胞数を計測して算出した。
【0132】
(結果)
結果を
図6に示す。
図6に示されるように、pHによる違いはあまり見られなかったが、次亜塩素酸ナトリウムでは、僅かな濃度で細胞が死滅してしまったが、亜塩素酸水で同様の死細胞の割合になったのは、100ppm以上であり、細胞障害作用は、100倍の開きがあった。
【0133】
(実施例8:亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの細胞傷害作用の比較(3))
次に、本実施例では、Vero(American Type Culture Collection(ATCC)から購入した), HEp−2(徳島大学医学部ウイルス学教室に由来する),MDCK(徳島大学医学部ウイルス学教室に由来する)の各細胞のコロニー形成能への傷害性を確認した。
【0134】
手法は、実施例6に準じたが、使用する細胞をVero、HEp−2およびMDCKに変更して行い、溶液中の緩衝液はリン酸緩衝液を用いた。
【0135】
各緩衝液の作製は以下のとおりである。
【0136】
(リン酸緩衝液の作成方法)
≪使用試薬≫
クエン酸 (QINDAO FUSO REFINING & PROCESSING CO. LTD.製)
リン酸水素ニナトリウム (燐化学工業株式会社製)
≪調製方法≫
pH3.5緩衝液 0.1mol/Lクエン酸溶液13.93mLに、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液6.07mL加えた。
pH4.0緩衝液 0.1mol/Lクエン酸溶液12.29mLに、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液 7.71mL加えた。
pH4.5緩衝液 0.1mol/Lクエン酸溶液10.92mLに、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液 9.09mL加えた。
pH5.0緩衝液 0.1mol/Lクエン酸溶液 9.70mLに、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液 10.30mL加えた。
pH5.5緩衝液 0.1mol/Lクエン酸溶液 8.63mLに、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液 11.38mL加えた。
pH6.0緩衝液 0.1mol/Lクエン酸溶液7.33mLに、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液 12.63mL加えた。
pH6.5緩衝液 0.1mol/Lクエン酸溶液 5.80mLに、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液 14.20mL加えた。
pH7.0緩衝液 0.1mol/Lクエン酸溶液 3.53mLに、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液 16.47mL加えた。
pH7.5緩衝液 0.1mol/Lクエン酸溶液 1.55mLに、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液 18.45mL加えた。
【0137】
(グッド酸緩衝液の作製方法)
≪使用試薬≫
NaCl(和光 191−01665)
KCl(和光 163−03545)
MES〔2−morpholinoethanesulfonic acid〕(和光 349−01623)
HEPES〔2−[4−(2−hydroxyethyl)−l−piperazinyl]ethanesulfonic acid〕(和光 346−01373)
TAPS〔N−tris−hydroxymethyl−3−aminopropanesulfonic acid〕(和光 344−02572)
1N NaOH
1N HCl
≪調製方法≫
塩類溶液原液 NaCl10.24gと KCl 0.25g を約600mlの蒸留水に溶解させた後、蒸留水を加え1,000mlにした。
pH5.5 緩衝液800mlの塩類溶液原液に、MES 4265mgを溶解し、pHメーターで確認しながら、1N NaOH または 1N HClを滴下し、pH5.5に調整した後、蒸留水を加え、1,000mlにした。
pH6.5 緩衝液800mlの塩類溶液原液に、MES 4265mgを溶解し、pHメーターで確認しながら、1N NaOH または 1N HClを滴下し、pH6.5に調整した後、蒸留水を加え、1,000mlにした。
pH7.5 緩衝液800mlの塩類溶液原液に、HEPES 4765mgを溶解し、pHメーターで確認しながら、1N NaOH または 1N HClを滴下し、pH7.5に調整した後、蒸留水を加え、1,000mlにした。
pH8.5 緩衝液800mlの塩類溶液原液に、TAPS 4865mgを溶解し、pHメーターで確認しながら、1N NaOH または 1N HClを滴下し、pH8.5に調整した後、蒸留水を加え、1,000mlにした。
【0138】
(結果)
結果を
図7に示す。
図7に示されるように、次亜塩素酸ナトリウムでは、5ppm以下で各細胞のコロニー形成への障害が見られたが、亜塩素酸水では、20ppmであっても、Hep−2細胞とVero細胞のコロニー形成への障害は見られなかった。ただし、MDCK細胞では、コロニー形成への障害が確認されたが、次亜塩素酸ナトリウムの障害作用と比較して、4分の1程度であった。
【0139】
(実施例9:ノロウイルスの効果確認のためのネコカリシウイルスに対する不活化効果確認(1))
本実施例では、ノロウイルスの効果確認のため代替実験として当該分野において認められているネコカリシウイルスを用いて不活化効果を確認した。ノロウイルスについては、ノロウィルス不活化有効性評価試験に於ける代替ウィルス、ネコカリシウィルス使用による試験法 EPA、平成19年度 ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書、国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部山本茂貴および野田衛、厚生労働省を参照。ノロウイルスのウイルス殺傷効果についてが近縁菌であるネコカリシウイルス(FCV)による調査で代替されうるとされている点については、この文献のほか、Gehrke, C et al: Inactivation of feline calicivirus, a surrogate of norovirus (formerly Norwalk−like viruses), by different types of alcohol in vitro and in vivo, J Hosp Infect (2004)46:49−55; Doultree, JC et al: Inactivation of feline calicivirus, a norwalk virus surrogate, J Hosp Infect (1999)41:51−57);Jennifer, L et al: Surrogates for the study of norovirus stability and inactivation in the environment: A comparison of murine norovirus and feline calicivirus, J Food Protect (2006)11:2761−2765;高木弘隆 他: ネコカリシウイルス(FCV)を代替としたノロウイルス(NV)不活化効果の検討−アリカリ剤、過酸化水素および過炭酸ナトリウムによる不活性化効果−、医学と薬学(2007)57:311−312を参照する(本明細書でもこれを援用する)。以下に方法および結果を示す。
【0140】
(材料)
使用試薬として、実施例1で調製した「亜塩素酸水」、10 w/w%ヨウ化カリウム、10%硫酸、0.1 Mチオ硫酸ナトリウムを用いた。
【0141】
(ウイルスおよび細胞)
ウイルスとしてはネコカリシウイルスF4株を、ウイルス培養用ならびにウイルス定量用の細胞にはCRFK細胞を用いた(国立感染症研究所 ウイルス第2部から分与された)。
【0142】
細胞の培養には、5%ウシ胎児血清(FBS)を加えたイーグル最小必須培地(Eagle’s minimum essential medium;MEM)を用い、5%炭酸ガス存在下37℃で3日間培養し、シャーレ上に単層培養層を形成したものを用いた。
【0143】
(方法)
(1 感染性ウイルス数の定量)
プラック法を用いて定量した。各種試験液で処理したウイルスは0.5%FBSを含むダルベッコのリン酸緩衝塩類溶液(PBS)を用いて適当なウイルス濃度にまで希釈し、その0.5 mLをCRFK細胞の単層培養(5cmシャーレ)に接種し、室温で60分間ロッカープラットフォーム上で機械的にロッキングしながらウイルス吸着を行った。
【0144】
プラックの形成は、ウイルス吸着後のCRFK細胞を0.68%メチルセルロースと0.5%FBSを含有するMEM中で一夜37℃で培養する。生じたプラックを確認後、シャーレの細胞を10%ホルマリンを含む0.5%(w/v)結晶ムラサキ染色液で単染色したのち、目視によりプラック数を数えた。
【0145】
(2 ウイルス不活化)
各試料液はアルミホイルで包んだ状態で冷蔵庫に保存し、特に記載した操作以外は全操作を氷上で行った。「亜塩素酸水」についてのウイルス不活化検査は、2.2 ml容のスクリューキャップ付きプラスチックチューブ(アシストチューブ)内で一連の必要濃度〔亜塩素酸(HClO
2)濃度7,200ppm,1,200ppm,400 ppm,200 ppm,100 ppm〕になるように蒸留水を用いて調製したのちボルテックスミキサーで軽く攪拌し均一化した。そこにネコカリシウイルス液(約10
7感染単位/ml)10 μl加え、総量を180 μlとしたのち、さらに攪拌して均一な被験ウイルス液を調製した。被検液は25℃で5分間保湿したのちに、直ちに氷水中で冷却すると同時に冷した0.5%FBSをPBSに加えて適宜希釈し、感染性ウイルス数を定量した。
【0146】
不活化実験において、検査試料液の替わりにPBS(リン酸緩衝塩類溶液)中で同じ温度と時間保持した後の感染性ウイルス量を測定し、それを不活化前のウイルス負荷量とみなし、検査試料液中で不活化した後の残存感染性ウイルス量との比率を算出した。
【0147】
(結果)
ウイルスに対する不活化効果確認結果を以下の表5に示す。
【0148】
【表5】
【0149】
表中「N.D.」は検出限界以下であり、完全な不活化効果を確認した。
亜塩素酸濃度:亜塩素酸水希釈液の亜塩素酸濃度(ppm)
数値は残存感染性ウイルス量の割合である。
※検査試料液の替わりにPBS(リン酸緩衝塩類溶液)中で同じ温度と時間保持した後の感染性ウイルス量を測定した結果を「1.00」として、検査試料液中で不活化した後の残存感染性ウイルス量との比率を算出した。
【0150】
また、その結果をプロットしたものを
図8に示す。
図8に示されるように、ネコカリシウイルスについても400ppmで殺傷能力があることが示された。すなわち、ノロウイルスと同じ活性化機構を持つネコカリシウイルスでも400ppmで不活化効果が期待でき、
図3から、ノロウイルスと同じ構造を持つポリオウイルスに対しても500ppmあれば、十分に不活化することが確認出来ている事から、ノロウイルスに対して400ppmから500ppmの濃度であれば、十分な不活化効果を期待する事が出来る。
【0151】
(実施例10:ノロウイルスの効果確認のためのネコカリシウイルスに対する不活化効果確認(2))
本実施例では、上記実施例に引き続き、ネコカリシウイルスを標準株としてノロウイルスの効果を確認した。
【0152】
(材料)
(検査試料液等)
(試料液)
(1)亜塩素酸水(HClO
2)
(2)実施例1にて製造した亜塩素酸水製剤
(3)次亜塩素酸ナトリウム水溶液(南海化学株式会社製)
(緩衝液)
(1)pH4.5緩衝液、(2)pH5.5緩衝液、(3)pH6.5緩衝液、(4)pH7.5緩衝液、(5)pH8.5緩衝液、(6) 未処理対照用の検査液〔リン酸緩衝塩類溶液(ダルベッコのPBS;pH7.4)〕
1) pH4.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その109.15mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液90.85mlを加え、pH4.5に調整した。
2) pH5.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その8.63mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液11.38mlを加え、pH5.5に調整した。
3) pH6.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その5.80mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液14.20mlを加え、pH6.5に調整した。
4) pH 7.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その1.55mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液18.45mlを加え、pH7.5に調整した。
5) pH 8.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その1.00mLに、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液20.00mL加え、pH8.5に調整した。
【0153】
(検査試料液等の保存)
各試料液並びに緩衝液は、アルミホイルで包んだ状態で4℃(冷蔵庫)で保存した。
【0154】
(2)ウイルスと細胞
ウイルスとしては国立感染研究所由来のネコカリシウイルスF4株を用いる。ウイルス培養用ならびにウイルス定量用の細胞には国立感染研究所由来のCRFK細胞を用いた。細胞の培養には5%ウシ胎児血清(FBS)を加えたイーグル最小必須培地(Eagle’s minimum essential medium;MEM)を用い、5%炭酸ガス存在下37℃で3日間培養し、シャーレ上に単層培養層を形成したものを用いた。
【0155】
(方法)
(1) 感染性ウイルス数の定量
プラック法を用いて定量した。各種試験液で処理したウイルスは0.5%FBSを含むダルベッコのリン酸緩衝塩類溶液(PBS) を用いて適当なウイルス濃度にまで希釈し、その0.5mlをCRFK細胞の単層培養(5cmシャ−レ)に接種し、室温で60分間ロッカープラットフォーム上で機械的にロッキングしながらウイルス吸着を行った。
【0156】
プラックの形成は、ウイルス吸着後のCRFK細胞を0.68%メチルセルロースと0.5%FBSを含有するMEM中で一夜37℃で培養した。生じたプラックを確認後、シャーレの細胞を10%ホルマリンを含む0.5%(w/v)結晶ムラサキ染色液で単染色したのち、目視によりプラック数を数えた。
【0157】
(2) 試料液によるウイルス不活化
各試料液はアルミホイルで包んだ状態で冷蔵庫に保存し、特に記載した操作以外は全操作を氷上で行った。ウイルス不活化検査は各試料液ごとに行い、(i)亜塩素酸水と(iii)次亜塩素酸ナトリウム溶液は、使用直前に蒸留水で塩素濃度が10000 ppm となるように希釈したものから、さらにアシストチューブ内で蒸留水を用いて必要濃度にまで希釈し、その10μlを各pHのリン酸緩衝液180μlに加えたのちボルテックスミキサーで軽く攪拌し均一化した。また、本発明の実施例で製造した亜塩素酸水製剤については、終濃度が6倍希釈、12倍希釈、それ以下になるように蒸留水を用いて調製したのちボルテックスミキサーで軽く攪拌し均一化した。そこにネコカリシウイルス液(約10
7感染単位/ml)10μlを加え、さらに攪拌して均一な被検ウイルス液を調整した。被検液は25℃で一定時間保温したのち、直ちに氷水中で冷却すると同時に冷0.5%FBS加PBSで100倍に希釈し不活化作用を止めた。その後、残存ウイルス感染価の測定のために冷0.5%FBS加PBSで適宜希釈し、感染性ウイルス数を定量した。
【0158】
(結果)
結果を
図9−12に示す。
(1)亜塩素酸水によるネコカリシウイルスの不活化作用
0.1Mクエン酸/リン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5,pH6.5,pH7.5,pH8.5)の4種のpHで、25℃30分処理した時の種々の濃度の(i)亜塩素酸水によるネコカリシウイルス不活化を調べた。その結果、ネコカリシウイルスは、(i)亜塩素酸水によって不活化を受けた。不活化は緩衝液のpHが酸性でより顕著であった。しかし、200ppm以上の活性塩素濃度では、調べたいずれのpHでも検出限界以下にまで不活化した(
図9)。
(2)亜塩素酸水製剤によるウイルスの不活化作用
亜塩素酸水製剤は、25℃、5分間の保温で、インフルエンザウイルスまたはネコカリシウイルスを不活化した。36倍希釈しても、いずれのウイルスも0.005%(この時の検出限界)以下にまで感染性ウイルス量を低下させている。
【0159】
(i)亜塩素酸水と(iii)次亜塩素酸ナトリウムとのネコカリシウイルス不活化活性の比較
0.1Mクエン酸/リン酸ナトリウム緩衝液(pH4.5,pH7.5)の2種のpHで、25℃、30分処理した時の種々の濃度の(i)亜塩素酸水と(iii)次亜塩素酸ナトリウムによるネコカリシウイルス不活化を調べた。
【0160】
その結果、(i)亜塩素酸水は、pHによる影響をほとんど受けずにネコカリシウイルスを不活化したが、(iii)次亜塩素酸ナトリウムは強くpHの影響を受け、pH4.5ではネコカリシウイルス不活化能を喪失した。中性pHでは(iii)次亜塩素酸ナトリウムの不活化作用は(i)亜塩素酸水より強かった(
図10)。
(3)(ii)亜塩素酸水製剤による10%味噌中のウイルス不活化 亜塩素酸水製剤は、25℃5分間の保温で、10%味噌/PBS液中に均質に混ざっているA型インフルエンザウイルスまたはネコカリシウイルスを不活化した。インフルエンザウイルスはネコカリシウイルスより顕著な不活化を受けたが、不活化の程度はそれほど強くなく、4倍希釈液でもインフルエンザウイルスの1割の感染性ウイルスが残っていた(
図11)。
(4)(ii)亜塩素酸水製剤による10%味噌中のウイルス不活化
(ii)亜塩素酸水製剤は、10%味噌/PBS液中に均質に混ざっているネコカリシウイルスを不活化した。25℃5分間の保温でも不活化作用を示すが、保温時間を20分間まで延ばすと、かなり強い不活化を示し、4倍希釈液でも1/1000以下にまで感染性ウイルス量を減じた。10%味噌/PBS液中に混ざっているネコカリシウイルスを不活化できるということは、多量の有機物存在下でも(ii)亜塩素酸水製剤がウイルスを不活化出来ることを示し、かつ、処理時間の延長により不活化効果を上げたことは(ii)亜塩素酸水製剤中の活性塩素分子種が夾雑有機物で一気に消失されてしまうことはないことを示している(
図12)。
【0161】
(実施例11:ノロウイルスの効果確認のためのネコカリシウイルスに対する不活化効果確認(3))
本実施例では、ノロウイルスの効果確認のためのネコカリシウイルスに対する不活化効果を別の例で確認した。
【0162】
(材料)
(1)検査試料液等
(試料液)
(i)亜塩素酸水(HClO
2)
(ii)亜塩素酸水製剤(オウトゥロックスーパー)
(iii)次亜塩素酸ナトリウム水溶液(南海化学株式会社製)
(緩衝液)
(i)pH4.5緩衝液、(ii)pH5.5緩衝液、(iii)pH6.5緩衝液、(iv)pH7.5緩衝液、
(v)pH8.5緩衝液
(i) pH4.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その109.15mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液90.85mlを加え、pH4.5に調整した。
【0163】
(ii)pH5.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その8.63mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液11.38mlを加え、pH5.5に調整した。
【0164】
(iii) pH6.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その5.80mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液14.20mlを加え、pH6.5に調整した。
【0165】
(iv)pH 7.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その1.55mlに、0.2mol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液18.45mlを加え、pH7.5に調整した。
【0166】
(v) pH 8.5緩衝液の調製方法
0.1mol/Lクエン酸溶液を調製し、その1.00mLに、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液20.00mL加え、pH8.5に調整した。
【0167】
(検査試料液等の保存)
各試料液並びに緩衝液は、アルミホイルで包んだ状態で4℃(冷蔵庫)で保存した。
【0168】
(2)ウイルスおよび細胞
ウイルスとしては国立感染研究所由来のネコカリシウイルスF4株を用いた。ウイルス培養用ならびにウイルス定量用の細胞には国立感染研究所由来のCRFK細胞を用いた。
【0169】
細胞の培養には5%ウシ胎児血清(FBS)を加えたイーグル最小必須培地(Eagle’s minimum essential medium;MEM)を用い、5%炭酸ガス存在下37℃で3日間培養し、シャーレ上に単層培養層を形成したものを用いた。
【0170】
(方法)
(1) 感染性ウイルス数の定量方法
プラック法を用いて定量した。各種試験液で処理したウイルスは0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むダルベッコのリン酸緩衝塩類溶液(PBS)を用いて適当なウイルス濃度にまで希釈し、その0.5mlをCRFK細胞の単層培養(5cmシャ−レ)に接種し、室温で60分間、ロッカープラットフォーム上で、機械的にロッキングしながらウイルスの吸着処理を実施した。
【0171】
プラックの形成は、ウイルス吸着後のCRFK細胞を0.8%軟寒天とアセチル化トリプシン(5μg/ml)を含有するMEM中で、2日間、37℃で培養した。
【0172】
生じたプラックを確認後、シャーレの細胞を10%ホルマリンを含む0.5%(w/v)結晶ムラサキ染色液で単染色したのち、目視によりプラック数を数えた。
【0173】
(2) 試料液によるウイルス不活化効果確認方法
特に記載した操作以外は全操作を氷上で行い、各試料液はアルミホイルで包んだまま冷蔵庫に保存した。
【0174】
ウイルス不活化検査は各試料液ごとに行い、(i)亜塩素酸水は亜塩素酸濃度、次亜塩素酸ナトリウム溶液は、使用直前に蒸留水で有効塩素濃度が 10000 ppm になるように、指示に従って希釈し、これを用いて、さらにアシストチューブ内で蒸留水で必要濃度にまで希釈し、その10μlを、各pHのリン酸緩衝液180μlに加えたのち、ボルテックスミキサーで軽く攪拌し均一化した。
【0175】
また、(ii)亜塩素酸水製剤(オウトゥロックスーパー)については、最終濃度が6倍希釈、12倍希釈、それ以下になるように調整したのちボルテックスミキサーで軽く攪拌し均一化した。
【0176】
そこにネコカリシウイルス液(約10
7感染単位)10μlを加え、さらに攪拌して均一な被検ウイルス液を調製した。
【0177】
被検液は25℃で30分間保温したのち、直ちに氷水中で冷却すると同時に冷0.1%BSA加PBSで100倍に希釈し中和処理をした。その後、残存ウイルス感染価の測定のために冷0.1%BSA加PBSで適宜希釈し、その感染性ウイルス数を定量した。
【0178】
(結果)
本実施例では、上記実施例とは異なり、以下の試薬・器具及び、試験方法に変更し、その上で、CRFK細胞の培養と、ネコカリシウイルスの培養と、プラックアッセイを行った。
【0179】
【表6】
【0180】
【表7】
【0181】
【表8】
【0182】
図13に、プラック写真(実施例10および11)を示す。理論に束縛されることを望まないが、実施例11の手法がより実施可能な施設が多いようである。
【0183】
(試験管内でのIn vitro試験)
結果1として、pH無調整時の各種殺菌剤ネコカリシウイルスに対する不活化効果を示す。
【0184】
【表9-1】
【0185】
【表9-2】
【表9-3】
【0186】
結果2として、pH無調整時の各種殺菌剤のネコカリシウイルスに対する不活化効果を示す。
【0187】
【表10】
【0188】
(殺菌剤を不織布に含浸させたウェットシートから絞り回収した殺菌液)
次に、結果3として、ウェットシートに含浸させた殺菌液のネコカリシウイルスに対する不活化効果を示す。
【0189】
【表11】
【0190】
次に、結果4として、常温(30℃前後)保管したウェットシートから絞り回収した殺菌液のネコカリシウイルスに対する不活化効果を示す。示されるように、20日目においても4000ppmあれば、接触時間1分でウイルスを殺傷しうることが理解される。
【0191】
【表12】
【0192】
以上のように、ノロウイルスに対して、本発明の亜塩素酸水製剤が、殺ウイルス(作用)を示すことが理解される。
【0193】
(実施例12:有機物存在下におけるウイルスに対する不活化効果)
本実施例では、嘔吐物処理を想定した有機物存在下における感染性ウイルスに対する不活性化効果確認試験を行った。有機物(10%味噌溶液)中のウイルスに対して各濃度のオウトゥロックスーパーによる不活化効果を確認することを目的に各実験を実施した。
【0194】
(材料および方法)
<試験方法>
(材料)
1) 使用試薬
「オウトゥロックスーパー」、10 w/w%ヨウ化カリウム、10%硫酸、0.1 Mチオ硫酸ナトリウム、塩酸
2) 緩衝液の調製方法
リン酸緩衝塩類溶液(ダルベッコのPBS; pH7.4)を用いた。溶液は4℃(冷蔵庫)で保存した。
3) 10%味噌の調製方法
市販味噌を乳鉢を用いて均一にペースト状にし、塩酸をもちいてpH4に調整した。その味噌液にウイルスを均一に懸濁したPBSを加え、10%味噌溶液を作成し、試験に用いた。
4) ウイルスと細胞
ネコカリシウイルスF4株を用い、ウイルス培養用ならびにウイルス定量用の細胞にはCRFK細胞を用いた。
【0195】
インフルエンザウイルスA型アイチ株 A/Aichi/68 (H3N2)を用い、ウイルス培養用ならびにウイルス定量用の細胞にはMDCK細胞を用いた。
細胞の培養には、5%ウシ胎児血清(FBS)を加えたイーグル最小必須培地(Eagle’s minimum essential medium;MEM)を用い、5%炭酸ガス存在下37℃で3日間培養し、シャーレ上に単層培養層を形成したものを用いた。
【0196】
(方法)
1)感染性ウイルス数の定量
ネコカリシウイルス
プラック法を用いて定量した。各種試験液で処理したウイルスは0.5%FBSを含むダルベッコのリン酸緩衝塩類溶液(PBS)を用いて適当なウイルス濃度にまで希釈し、その0.5 mLをCRFK細胞の単層培養( 5 cm シャーレ)に接種し、室温で60分間ロッカープラットフォーム上で機械的にロッキングしながらウイルス吸着を行った。
【0197】
プラックの形成は、ウイルス吸着後のCRFK細胞を0.68%メチルセルロースと0.5%FBSを含有するMEM中で一夜37度で培養する。生じたプラックを確認後、シャーレの細胞を10%ホルマリンを含む0.5%(w/v)結晶ムラサキ染色液で単染色した後、目視によりプラック数を数えた。
【0198】
インフルエンザウイルス
プラック法を用いて定量した。各種試験液で処理したウイルスは0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むダルベッコのリン酸緩衝塩類溶液(PBS) を用いて適当なウイルス濃度にまで希釈し、その0.5 mlをMDCK細胞の単層培養( 5 cmシャ−レ)に接種し、室温で60分間ロッカープラットフォーム上で機械的にロッキングしながらウイルス吸着を行った。
プラックの形成は、ウイルス吸着後のMDCK細胞を0.8%軟寒天とアセチル化トリプシン(5μg/ml)を含有するMEM中で2日間37度で培養した。生じたプラックを確認後、シャーレの細胞を10%ホルマリンを含む0.5%(w/v)結晶ムラサキ染色液で単染色した後、目視によりプラック数を数えた。
【0199】
2) ウイルス不活化
ネコカリシウイルス
各試料液はアルミホイルで包んだ状態で冷蔵庫に保存し、特に記載した操作以外は全操作を氷上で行った。
【0200】
「オウトゥロックスーパー」についてのウイルス不活化検査は、接触時に亜塩素酸(HClO
2)濃度10800 ppm、8640 ppm、7200 ppm、6005 ppm、4795 ppm、3600 ppm、2419 ppm、1209 ppmになるように蒸留水を用いて調製したのちボルテックスミキサーで軽く攪拌し均一化した。
【0201】
これらの液10 μlを、ネコカリシウイルス混入10%味噌液(約10
7 感染単位/ml) 190 μlに加え、総量を200 μlとした後、さらに攪拌して均一な被験ウイルス液を調製した。被検液は25℃で20分間保湿した後に、直ちに氷水中で冷却すると同時に冷0.5%FBS加PBSで適宜希釈し、感染性ウイルス数を定量した。
【0202】
インフルエンザウイルス
各試料液はアルミホイルで包んだ状態で冷蔵庫に保存し、特に記載した操作以外は全操作を氷上で行った。
【0203】
「オウトゥロックスーパー」についてのウイルス不活化検査は、接触時に亜塩素酸(HClO
2)濃度16000 ppm、14000 ppm、11000 ppm、10300 ppm、8600 ppm、6400 ppm、4300 ppm、2100 ppmになるように蒸留水を用いて調製した後ボルテックスミキサーで軽く攪拌し均一化する。これらの液10 μlを、インフルエンザウイルス混入10%味噌液(約10
7 感染単位/ml) 190 μlに加え、総量を200μlとした後、さらに攪拌して均一な被験ウイルス液を調製した。被検液は25℃で5分間保湿した後に、直ちに氷水中で冷却すると同時に冷0.1%BSA加PBSで適宜希釈し、感染性ウイルス数を定量した。
【0204】
(結果)
有機物存在下におけるネコカリシウイルスに対する不活化効果を以下の表に示す。
【0205】
【表13】
【0206】
本発明の亜塩素酸水製剤「オウトゥロックスーパー」は有機物(10%味噌)中においても、ウイルス不活化作用を示した。その作用は濃度に依存し、10800 ppmにおいて1/1000未満にまでネコカリシウイルスを不活化した。有機物(10%味噌)中におけるネコカリシウイルスに対する不活化濃度曲線を
図16に示す。
【0207】
有機物存在下におけるインフルエンザウイルスに対する不活化効果を以下の表に示す。
【0208】
【表14】
【0209】
本発明の亜塩素酸水製剤「オウトゥロックスーパー」は有機物(10%味噌)中においても、ウイルス不活化作用を示した。その作用は濃度に依存してインフルエンザウイルスを不活化した。有機物(10%味噌)中におけるインフルエンザウイルスに対する不活化濃度曲線を
図17に示す。
【0210】
以上のように、本発明の好ましい実施形態および実施例を用いて本発明を例示してきたが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載した構成の範囲内において様々な態様で実施することができ、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。