(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
行列状に配置された複数の光電変換素子および前記複数の光電変換素子の信号電荷を列または行単位で転送する複数の電荷転送部を含む感光部を第1の基板に形成する工程と、
少なくとも、前記感光部の前記複数の電荷転送部により転送される信号電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部、および前記複数の電荷蓄積部に蓄積した信号電荷を電気信号として出力する出力部を第2の基板に形成する工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板を積層した状態で、前記第1の基板に形成された電荷転送部と前記第2の基板に形成された前記電荷蓄積部とを、前記感光部の感光領域外で基板を通した接続部により電気的に接続する工程と
を有する固体撮像装置の製造方法。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
CCDイメージセンサおよびCMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0003】
CCDイメージセンサとCMOSイメージセンサは、フォトダイオードを光電変換素子に使用するが、光電変換された信号電荷の転送方式が異なる。
CCDイメージセンサでは、垂直転送部(垂直CCD、VCCD)と水平転送部(水平CCD、HCCD)により信号電荷を出力部に転送してから電気信号に変換して増幅する。
これに対して、CMOSイメージセンサでは、フォトダイオードを含む画素ごとに変換された電荷を増幅して読み出し信号として出力する。
【0004】
以下に、CCDイメージセンサおよびCMOSイメージセンサの基本構成について説明する。
【0005】
図1は、インターライン転送(IT)型CCDイメージセンサの基本構成を示す図である。
【0006】
IT(Interline Transfer)型CCDイメージセンサ1は、基本的に感光部2、水平転送部(水平CCD)3、および出力部4を含んで構成されている。
感光部2は、行列状に配置され、入射光をその光量に応じた電荷量の信号電荷に変換する複数の画素部21、および複数の画素部21の各信号電荷を列単位で垂直転送する遮光された電荷転送部としての垂直転送部(垂直CCD)22を有する。
水平CCD3は、複数の垂直CCD22からシフトされた1ライン分の信号電荷を水平走査期間において順次水平に転送する。
出力部4は、転送された信号電荷を信号電圧に変換する、電荷検出用浮遊拡散層であるフローティングディフュージョン(FD:Floating Diffusion)を含み、FDで得られた信号を図示しない信号処理系に出力する。
【0007】
このIT型CCDイメージセンサ1では、垂直CCDがアナログメモリとして機能し、ラインシフトと水平CCD3の水平転送を繰り返して、出力部4から全画素の信号(フレーム信号)を順次出力する。
【0008】
このIT型CCDイメージセンサ1は、プログレッシブ読み出し(プログレッシブスキャン)が可能であるが、水平CCD3で信号電荷を転送するため、高速転送が困難な構造となっている。
【0009】
図2は、フレームインターライン転送(FIT)型CCDイメージセンサの基本構成を示す図である。
【0010】
FIT(Frame Interline Transfer)型CCDイメージセンサ1Aは、IT型CCDイメージセンサ1の感光部2の垂直CCD22の出力段と水平CCD3との間に、遮光された電荷蓄積部(ストレージ部)5が配置された構成を有する。
FIT型CCDイメージセンサ1Aでは、画素部21から信号電荷(束)を受け取った感光部2の垂直CCD22から、高速フレーム転送により全信号電荷が完全遮光されたストレージ部5に一斉に転送される。
【0011】
このように、FIT型CCDイメージセンサ1Aは、感光部2において画素部21から読み出された信号電荷は垂直CCD22によりストレージ部5に一斉に転送されるため、
図1のIT型CCDイメージセンサ1に比べ、高速転送が可能である。
ただし、FIT型CCDイメージセンサ1Aは、ストレージ部5を形成するため、チップ面積がIT型CCDイメージセンサの約2倍程度大きくなる。
【0012】
なお、上述したCCDイメージセンサは、全画素同時に光電荷の蓄積を開始するグローバルシャッタ読み出しが可能であるという特徴を有する。
【0013】
図3は、CMOSイメージセンサの基本構成を示す図である。
【0014】
CMOSイメージセンサ1Bは、基本的に感光部としての画素アレイ部6、ローデコーダ(Row Decoder、または行走査回路)7、カラムデコーダ(Column Decoder、または水平走査回路)8、出力部(出力アンプ)9、およびカラムスイッチCSWを含んで構成されている。
また、
図3において、LSLは行走査ラインを、LSGは信号読み出しラインを、LTRは転送ラインをそれぞれ示している。
【0015】
CMOSイメージセンサ1Bにおいて、画素アレイ部はフォトダイオードを含む複数の画素が行列状に配置されて構成されている。
CMOSイメージセンサ1Bでは、画素アレイ部6の各画素PXLはローデコーダ7から供給される行制御信号(パルス信号)により行ごとに制御される。
画素PXLから出力信号ラインLSGに出力された信号は、カラムデコーダ8の列走査に従ってカラムスイッチCSWを介して転送ラインLTRに伝達され、出力部9により外部に出力される。
【0016】
このCMOSイメージセンサ1Bにおいては、信号の高速転送が可能であるが、グローバルシャッタ読み出しができない構造となっている。
【0017】
このように、CMOSイメージセンサは基本的にグローバルシャッタ読み出しができない構造となっているが、積層構造を採用して、グローバルシャッタ読み出しを可能にしたCMOSイメージセンサが提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0018】
図4は、積層構造を採用したCMOSイメージセンサの構成例を示す図である。
【0019】
図4のCMOSイメージセンサ1Cは、第1の基板11と第2の基板12を、シールド層13を挟んだ積層構造が採用されている。
第1の基板11にはフォトダイオード(光電変換素子)アレイ部6−1および行走査回路7の一部7−1が形成されている。
そして、第2の基板12には、ストレージノードアレイ6−2、行走査回路7の残り部分7−2、カラムバッファCBUF、水平走査回路(カラムデコーダ)8、出力部9等が形成されている。
【0020】
このCMOSイメージセンサ1Cは、一般的なCMOSイメージセンサの欠点であった、グローバルシャッタ読み出しができない欠点を改善していることに特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0034】
[第1の実施形態]
図5は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を平面に展開して示す図である。
図6は、本実施形態に係る固体撮像装置の基板積層構造の第1例を模式的に示す図である。
図7は、本実施形態に係る固体撮像装置の基板積層構造の第2例を模式的に示す図である。
図8は、本第1の実施形態に係る固体撮像装置において積層される第1の基板の感光部と第2基板の電荷蓄積部の実際の配置関係を説明するための図である。
【0035】
本固体撮像装置100は、たとえばFIT(Frame Interline Transfer)型CCDイメージセンサやFT(Frame Transfer)型CCDイメージセンサに類似のイメージセンサが適用可能である。
以下の説明では、一例としてFIT型を例に説明する。
【0036】
固体撮像装置100は、第1の基板110、第2の基板120、および第3の基板130を積層した構造を有する。
固体撮像装置100は、たとえば、
図6および
図7に示すように、第3の基板130上に第2の基板120が積層され、第2の基板120上に第1の基板110が積層される。
なお、積層される基板は、たとえば
図6に示すように貼りあわされ、あるいは、
図7に示すように圧着やマイクロバンプにより接合される。
そして、各基板間の電気的な接続は接続部としての貫通ビア(Through Silicon Via:TSV)140やマイクロバンプ、圧着等の接合部150により実現される。
【0037】
図6の例では、積層された第1の基板110、第2の基板120、および第3の基板130を貫通する貫通ビア140を通して各基板間の電気的な接続が行われ、貫通ビア140の第3の基板130側の露出部にバンプBMPが接合されている。
【0038】
図7の例では、第1の基板110に貫通ビア140−1が形成され、第2の基板120に貫通ビア140−2が形成されている。第1の基板110の貫通ビア140−1と第2の基板120の貫通ビア140−2が圧着やマイクロバンプにより形成される接合部150により接合される。そして、第1の基板110の貫通ビア140−1の上面側の露出部にボンディングパッド160が接合されている。
【0039】
なお、本実施形態では、第1の基板110および第2の基板120には、撮像して得られる信号電荷を蓄積転送および出力機能を備えた撮像素子部200が形成される。
【0040】
本実施形態において、撮像素子部200として、第1の基板110には撮像機能を有する感光部210が形成され、第2の基板120に電荷蓄積機能を有する電荷蓄積部220および出力部230形成されている。
そして、第1の基板110と第2の基板120間で、感光部210の複数の電荷転送部により転送される信号電荷の電荷蓄積部220への転送を中継する中継部240が、両基板に亘って形成されている。
【0041】
固体撮像装置100は、感光部210、電荷蓄積部220、出力部230等の駆動を制御し、また、出力部230から出力される電気信号に対して所定の処理を行う信号処理および電源部(以下、信号処理部という)300を有している。
図5の信号処理部300は、FPGA等により形成されるタイミングジェネレータ310、画像処理回路(画像処理IC)320、および電源回路(電源IC)330を含んで構成されている。
【0042】
なお、タイミングジェネレータ310、画像処理回路(画像処理IC)320、および電源回路(電源IC)330を含んで構成される信号処理部300は、別基板もしくは第2の基板120や第3の基板130に形成して積層して実装することも可能である。このように構成することにより、小型カメラシステムを単一パッケージに組み込むことも可能となる。
【0043】
第1の基板110に形成される感光部210は、行列(m行n列)状に配置された光電変換素子であるフォトダイオード(PD)を含む画素部211、および複数の画素部211の光電変換素子の信号電荷を列(または行)単位で転送する複数の電荷転送部である垂直転送部(垂直CCD:VCCD)212(−1〜−4)を含む。
感光部210において、垂直転送部212は図示しない遮光膜により遮光されており、信号処理部300による2相あるいは4相等の転送パルスによって転送駆動され、画素部211による信号電荷を列方向に転送する。
【0044】
なお、
図5および
図8においては、図面の簡単化のため、画素部211および垂直転送部212が6行4列の行列状(m=6、n=4のマトリクス状)に配置されている例が示されている。
図5および
図8においては、4列の垂直転送部212−1〜212−4が配列されている。
そして、垂直転送部212−1〜212−4は、
図5および
図8中に示す直交座標系のY方向に信号電荷を転送する。
【0045】
第2の基板120に形成される電荷蓄積部220は、感光部210の複数の垂直転送部212−1〜212−n(本例ではn=4)により転送され、中継部240により中継され信号電荷を蓄積する。
電荷蓄積部220は、第1の基板110に形成されたn(本例では4)列の垂直転送部212−1〜212−4に対応して(本例では4)列の電荷蓄積部220−1〜220−4が配置されている。
電荷蓄積部220−1〜220−4は、中継部240により中継された信号電荷を、Y方向に転送する。
【0046】
このように、中継部240により、感光部210の複数列の垂直転送部212−1〜212−4により転送される信号電荷の電荷蓄積部220への転送が中継されるが、
図5は信号電荷が、図中のY方向に向かう流れに沿って一方向Y1に、第1の基板110の感光部210と第2の基板120の電荷蓄積部220および出力部230に転送される例が模式的に示されている。
ただし、実際には、
図8に示すように、信号電荷が第1の基板110の感光部210の垂直転送部212−1〜212−4で、図中下方に向かうY方向Y1に転送された後、中継部240で中継された後は、第2の基板120の電荷蓄積部220−1〜220−4により、第1の基板110とは逆の図中上方に向かうY方向Y2に転送される。
【0047】
第2の基板120において、電荷蓄積部220−1〜220−4の一端部に入力端部221−1〜221−4が形成され、他端部に出力部230−1〜230−4と接続される出力端部222−1〜222−4が形成されている。
電荷蓄積部220−1〜220−4の入力端部221−1〜221−4が、中継部240により垂直転送部212−1〜212−4の感光領域外に位置する各出力端部213−1〜213−4と接続部(241−1〜241−4)で電気的に結合されている。
【0048】
第2の基板120において、出力部230は、複数の電荷蓄積部220−1〜220−4に蓄積した信号電荷を電気信号として信号処理部300に出力する。
出力部230−1〜230−4は、その入力部が電荷蓄積部220−1〜220−4の出力端部222−1〜222−4に接続されている。
【0049】
図9は、本実施形態に係る出力部の構成例を示す図である。
図9は、1列の出力部230−1の構成例を示しているが、他の列の出力部230−2〜230−4も
図9と同様の構成を有する。
【0050】
出力部230−1は、電荷蓄積部220−1の出力端部222−1における出力ゲートOG222−1に接続されている。
図9の出力部230−1は、フローティングディフュージョン(FD:浮遊拡散層)231、リセットゲート(RG)232、リセットドレイン233、および出力アンプ234を含んで構成されている。
【0051】
出力部230−1においては、リセットドレイン233にリセットドレイン電圧VRDが印加され、リセットゲート232には信号電荷の検出周期でリセットパルスPRGが印加される。
そして、フローティングディフュージョン231に蓄積された信号電荷は信号電圧に変換され、出力アンプ234を介してCCD出力信号SOUTとして信号処理部300に送出される。
【0052】
中継部240は、第1の基板110に形成された感光部210の複数の垂直転送部212により転送される信号電荷の第2の基板120に形成された各電荷蓄積部220−1〜220−4への転送を中継する。
中継部240は、第1の基板110に形成された垂直転送部212−1〜212−4の出力端部213−1〜213−4と第2の基板120に形成された電荷蓄積部220−1〜220−4の入力端部221−1〜221−4とを、感光部210の感光領域PARA外の領域EPARAで基板を通した接続部により電気的に結合している。
中継部240は、第1の基板110に形成された垂直転送部212−1〜212−4の出力端部213−1〜213−4と第2の基板120に形成された電荷蓄積部220−1〜220−4の入力端部221−1〜221−4とを貫通ビア241−1〜241−4により接続している。
【0053】
[積層された第1の基板および第2の基板、並びに中継部の具体的な構成例]
ここで、上記に概要を示した第1の基板110、第2の基板120、および中継部の具体的な構成例について説明する。
【0054】
図10は、本実施形態に係る積層された第1の基板および第2の基板、並びに中継部の具体的な構成例を説明するための簡略断面図である。
図10は、1列の垂直転送部212とそれに対応する電荷蓄積部220に相当する部分を示している。
【0055】
本実施形態において、第1の基板110は第1導電型基板、たとえばn型基板111により形成され、第2の基板120は第2導電型基板、たとえばp型基板121により形成されている。
第1の基板110において、n型基板(n−SUB)111にpウェル(p−WELL)112
が形成され、pウェル112の表面部にn
−層113が形成されている。n
−層113のY方向の一端部には中継部とし
ての貫通ビア241と接続するためのn
+層114が形成されている。
n
−層113の上部およびn
+層114の上部にはゲート絶縁膜115を介して垂直転送部212の転送電極(転送ゲート)116が、所定間隔をおいて形成されている。
n
+層114からpウェル112、n型基板111を貫通し、後で述べる第2の基板120側のn
+層に達する貫通孔に貫通ビア(貫通電極)241が形成されている(埋め込まれている)。
なお、貫通ビア241が形成されるpウェル112およびn型基板111の壁部には絶縁膜117が形成されている。
そして、pウェル112、n
−層113、n
+層114、ゲート絶縁膜115、転送電極116、および貫通ビア241上にはそれらを覆うように絶縁膜118が形成されている。
【0056】
第2の基板120において、p型基板(p−SUB)121にnウェル(n−WELL)122
が形成され、nウェル122内にpウェル(p−WELL)123が形成され、pウェル123の表面部にn
−層124が形成されている。
n
−層124のY方向の一端部には中継部とし
ての貫通ビア241と接続するためのn
+層125−1が形成されている。n
−層124のY方向の他端部にフローティングディフュージョンFD等となるn
+層125−2が形成されている。
n
−層124の上部およびn
+層125の上部にはゲート絶縁膜126を介して電荷蓄積部220の転送電極127が、所定間隔をおいて形成されている。
また、nウェル122の表面部に周辺回路を形成するためのp
+層128等が形成されている。
そして、nウェル122、pウェル123、n
−層124、n
+層125、ゲート絶縁膜126等の上にはそれらを覆うように絶縁膜129が形成されている。
【0057】
以上の構成を有する第1の基板110と第2の基板120は、第1の基板110のn型基板111の底面と第2の基板120の絶縁膜129の表面(上面)が貼り合わせるようにして積層されている。換言すれば、第2の基板120は第1の基板110の裏面に重なるように形成されている。
なお、第1の基板110に形成される垂直転送部212および第2の基板120に形成される電荷蓄積部220は、メタル層等の遮光材料からなる遮光膜で遮光されている。
【0058】
また、
図10の例では、第1の基板110と第2の基板120を貫通する貫通ビア242が形成されている。
貫通ビア242が形成される第1の基板110のpウェル112およびn型基板111の壁部、並びに第2の基板120のp型基板121には絶縁膜が形成されている。
【0059】
本実施形態においては、上述したように、第1の基板110はn型基板111により形成されていることから、画素部211が形成される第1の基板110においては、縦型オーバーフロードレイン(Vertical Overflow Drain:VOD)構造が採用されている。
【0060】
図11は、本実施形態に係る第1の基板に形成される画素部に採用される縦型オーバーフロードレインの構成および原理について説明するための図である。
図11において、符号2111は遮光膜を示し、OVFCはオーバーフローチャネルを示している。
【0061】
縦型オーバーフロードレインVODは、次のように実現される。
画素部211のPD(光電変換素子)と垂直転送部(VCCD)212をpウェル112中に形成し、pウェル112を基準電位としてn型基板111に正電圧を印加することにより逆バイアス状態を保持する。
この逆バイアスは、n型基板111からの電子の拡散に対する電位障壁を形成し、光生成された電子および熱的に発生した電子がPDや垂直転送部(VCCD)212に侵入するのを完全にブロックする。
これにより、信号のクロストークは問題にならないレベルに改善し、スミアが飛躍的に減少する。さらに、n型基板111からの熱的拡散電流に起因する暗電流雑音成分は完全に抑えられる。
【0062】
次に、縦型オーバーフロードレインVODの過剰電子の排出原理について説明する。
pウェル112とn型基板111間のpn接合空乏層は逆バイアス電圧によって拡大する。
PD直下のpウェル112の不純物層が薄くかつ低濃度であれば、接合空乏層がPDのn層119に達する、いわゆるパンチスルー状態が容易に実現する。
すなわち、pウェル112が完全空乏化して、その電位が上昇する。このときn層が電子の充満状態であれば、電子はn型基板111に強く引き出される。
強い光が入射してPD内に過剰電子が発生しても上昇したpウェル112のポテンシャルを越えて、n層119からn型基板111にすべて掃き出されるので、ブルーミングの発生を完全に防止することができる。
【0063】
[中継部による電荷転送動作]
次に、上記構成を有する固体撮像装置10
0において、中継部240による信号電荷の転送動作について考察する。
【0064】
本実施形態において、上述したように、中継部240は、第1の基板110に形成された垂直転送部212−1〜212−4の出力端部213−1〜213−4と第2の基板120に形成された電荷蓄積部220−1〜220−4の入力端部221−1〜221−4とを接続部である貫通ビア(TSV)241−1〜241−4により接続している。
【0065】
図12は、本実施形態において中継部により信号電荷の転送動作について説明するための図であって、貫通ビア(TSV)領域の寄生容量が小さい場合の電荷転送例を示す図である。
図13は、本実施形態において中継部により信号電荷の転送動作について説明するための図であって、貫通ビア(TSV)領域の寄生容量が大きい場合の電荷転送例を示す図である。
図14は、TSV領域を中間電位に設定する一構成例を示す図である。
【0066】
転送電極(転送ゲート)間にTSV領域があった場合、
図10の構成のように、n
+領域と仮定する。
n+領域の寄生容量が小さい場合、次のように信号電荷が転送される。
変調電位をΔV、信号電荷をΔQ、n
+領域の寄生容量をCとすると、ΔV=ΔQCの関係より、隣接する転送ゲートのポテンシャルとほぼ同相に変調されるため、
図12に示すように、TSV領域を介して電荷転送が可能となる。
【0067】
転送電極(転送ゲート)間のTSV領域(n
+領域)の寄生容量が大きい場合、変調に必要な信号電荷量が大きくなるため、変動隣接する転送ゲートのポテンシャルに変調されない。
このため、
図13および
図14に示すように、転送ゲート間に中間電位MVを、n
+領域に接続された、たとえば中間電位設定用のリセットトランジスタ243を介して設定することにより、TSV領域を介して電荷転送が可能となる。
具体的には、
図14に示すように、リセットゲートRG243とリセットドレインRD243を有するリセットトランジスタ243により、信号電荷を転送するときに貫通ビア(TSV)領域を中間電位MVに設定する。
【0068】
図15は、本実施形態に係る積層された第1の基板および第2の基板、並びに中継部においてTSV領域を中間電位に設定するリセットトランジスタを設けた構成例を示す簡略断面図である。
貫通ビア(TSV)領域を中間電位に設定するリセットトランジスタは、
図10の構成に加えて、
図15に示すように、n
−層113の一端部側に形成することも可能である。
【0069】
ここで、中間電位とは、ハイレベルHとなる電位とローレベルLとなる電位との間の電位をいう。
【0070】
転送例としては、
図13に示すように、TSVノードの両端に出力ゲート(Output Gate(OG))および入力ゲート(Input Gate(IG))を設け、転送のためにOGとIGにポテンシャル段差をつけ、TSVのリセットレベルを、IGのポテンシャルと同等にする。
【0071】
以上のように、本第1の実施形態によれば、第1の基板110には、行列状に配置された光電変換素子であるフォトダイオード(PD)を含む画素部211、および複数の画素部211の光電変換素子の信号電荷を列単位で転送する複数の電荷転送部である垂直転送部212を含む感光部210が形成される。
第2の基板120には、感光部210の複数の垂直転送部212−1〜212−n(本例ではn=4)により転送され、中継部240により中継され信号電荷を蓄積する電荷蓄積部220および垂直転送列ごとに設けられた出力部230が形成される。
そして、中継部240により、第1の基板110に形成された垂直転送部212−1〜212−4の出力端部213−1〜213−4と第2の基板120に形成された電荷蓄積部220−1〜220−4の入力端部221−1〜221−4とを、感光部210の感光領域PARA外の領域EPARAで基板を通した接続部、たとえば貫通ビア241により電気的に結合している。
【0072】
したがって、本第1の実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本第1の実施形態によれば、画素部211から垂直転送部(垂直CCD)212へのプログレッシブ読み出しが可能であり、垂直転送部(垂直CCD)212へ転送された信号電荷は中継部240の接続部を介して2層目の電荷蓄積部(ストレージ部)220に転送される。
電荷蓄積部(ストレージ部)220が2層目である第2の基板120に形成されているため、小さなチップ面積で、高速読み出しが可能となる。
また、積層基板の接続部は画素アレイ外に形成されるため、レイアウト上の制約が少なく、白キズ等の画素特性の劣化がないイメージセンサの形成が可能となる。
換言すると、本第1の実施形態によれば、画素アレイ内に特別な構造を形成すること無く、すなわちSNの劣化を起こすことなくグローバル読み出しで高速駆動が可能なイメージセンサを実現することが可能となる。
また、画素アレイの外側に接続部である中継部240が形成されていることから、感度低下や暗電流増加の発生が起こらない画素の形成が可能となる。
【0073】
[第2の実施形態]
図16は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を説明するための図である。
【0074】
本第2の実施形態に係る固体撮像装置100Aが上述した第1の実施形態の固体撮像装置100と異なる点は以下の通りである。
本第2の実施形態の固体撮像装置100Aは、複数の垂直転送部212−1〜212−4と複数の電荷蓄積部220−1〜220−4とを選択的に接続する中継選択部250を含んで構成されている。
【0075】
本第2の実施形態においては、第1の基板110Aの中継部240Aに複数の選択電極251−1,251−2,251−3,251−4が配置され、第2の基板120Aの中継部240Aに複数の選択電極252−1,252−2,252−3,252−4が配置されている。
そして、第1の基板110Aおよび第2の基板120Aにおいて、複数の選択電極251−1〜251−4、252−1〜252−4に対して一つの共通の貫通ビア(TSV)241Aが形成されている。
【0076】
図16において、第1の基板110A側の貫通ビア241Aには、選択電極251−1〜251−4のいずれかにより選択された垂直転送部212−1〜212−4を転送された信号電荷が供給される。
第2の基板120A側においては、貫通ビア241Aを転送された信号電荷が選択電極252−1〜252−4のいずれかにより選択されて電荷蓄積部(ストレージ部)220−1〜220−4に転送される。
【0077】
図16の構成で基本的な動作としては、次のように動作が行われる。
第1の基板110A側において選択電極251−1により選択された垂直転送部212−1の信号電荷は貫通ビア241Aを介して第2の基板120A側に転送され、選択電極252−1により選択されて電荷蓄積部220−1に転送される。
第1の基板110A側において選択電極251−2により選択された垂直転送部212−2の信号電荷は貫通ビア241Aを介して第2の基板120A側に転送され、選択電極252−2により選択されて電荷蓄積部220−2に転送される。
第1の基板110A側において選択電極251−3により選択された垂直転送部212−3の信号電荷は貫通ビア241Aを介して第2の基板120A側に転送され、選択電極252−3により選択されて電荷蓄積部220−3に転送される。
第1の基板110A側において選択電極251−4により選択された垂直転送部212−4の信号電荷は貫通ビア241Aを介して第2の基板120A側に転送され、選択電極252−4により選択されて電荷蓄積部220−4に転送される。
【0078】
以上は基本的な動作であり、選択電極251−1〜251−4、および選択電極252−1〜252−4は、一つずつ選択されるように構成することも可能であるが、2またそれ以上の選択電極を同時に選択する、あるいは所定の動作において所定の選択電極は選択状態としない等、種々の態様が可能である。
このような駆動を行うことにより、プログレッシブ読み出しを維持したままで、検出感度の低下も起こさずに水平方向の信号加算や信号間引きを容易に行うことが可能となる。
すなわち、本第2の実施形態においては、並列する複数の垂直(電荷)転送部212−1〜212−4の信号電荷を加算あるいは間引き可能である。
【0079】
また、本第2の実施形態においては、複数の列を一つのグループとして(
図16の例では隣接する4列を一つのグループとしている)、グループ単位で束ねて一つの貫通ビア(TSV)241Aを形成することから、貫通ビアの数を削減することができ、レイアウト上でも有利である。
すなわち、本第2の実施形態においては、画素部211からプログレッシブ読み出しを高速で実施するセンサの提供が可能となり、接続部である貫通ビア(TSV)等は垂直転送部(垂直CCD)、電荷蓄積部(ストレージ部)より大きな繰り返しピッチで形成されるため、接続部である貫通ビア(TSV)等の形成が容易となる。
【0080】
[中継選択部250の構成例]
次に、中継選択部250の具体的な構成例について説明する。
【0081】
図17は、本第2の実施形態に係る第1の基板側の中継選択部を含む中継部の第1の構成例を示す図である。
図17の中継部240Bにおける中継選択部250Bは、貫通ビア(TSV)241Aが4列の垂直転送部(VCCD)212−1〜212−4のX方向(水平方向)の略中央部、すなわち、2列目の垂直転送部212−2の配置位置と3列目の垂直転送部212−3の配置位置との間の位置に形成されている。
また、
図17の垂直転送部212−1〜212−4は駆動パルスV1〜V4による4相駆動として例示されている。
【0082】
図17の中継選択部250Bは、選択電極251−1(S1)〜251−4(S4)、水平転送部(HCCD)253−1〜253−4、およびオープンゲート(OG)254を含んで構成されている。
【0083】
選択電極251−1(S1)〜251−4(S4)は、各垂直転送部(VCDD)212−1〜212−4の出力端部213−1〜213−4に配置されている。
選択電極251−1(S1)〜251−4(S4)は、出力ゲート等を構成するトランジスタのゲートとして機能し、選択時に導通状態となるような電位に制御される。
【0084】
水平転送部(HCCD)253−1〜253−4は、それぞれ対応する選択電極251−1(S1)〜251−4(S4)の出力部に位置するように配置され、中央に配置されるOG254に向けて転送方向が異なるHCCDとして構成されている。
【0085】
水平転送部253−1は、1列目の選択電極251−1の出力側に配置されている。水平転送部253−1は、駆動パルスH1により駆動され、垂直転送部212−1による信号電荷を
図17中の右方向である水平方向X1に向けて転送し、さらに隣接の水平転送部253−2に転送する。
【0086】
水平転送部253−2は、2列目の選択電極251−2の出力側に配置されている。水平転送部253−2は、駆動パルスH2により駆動され、垂直転送部212−2による信号電荷または水平転送部253−1による垂直転送部212−1の信号電荷を
図17中の右方向である水平方向X1に向けて転送し、自段に接続されているOG254に供給する。
【0087】
水平転送部253−4は、4列目の選択電極251−4の出力側に配置されている。水平転送部253−4は、駆動パルスH4により駆動され、垂直転送部212−4による信号電荷を
図17中の左方向である水平方向X2に向けて転送し、さらに隣接の水平転送部253−3に転送する。
【0088】
水平転送部253−3は、3列目の選択電極251−3の出力側に配置されている。水平転送部253−3は、駆動パルスH3により駆動され、垂直転送部212−3による信号電荷または水平転送部253−4による垂直転送部212−4の信号電荷を
図17中の左方向である水平方向X2に向けて転送し、自段に接続されているOG254に供給する。
【0089】
OG254は、水平転送部253−2の信号電荷供給部および水平転送部253−3の信号電荷供給部と接続部である貫通ビア(TSV)241Aとの間に配置され、導通状態に制御されることにより、選択電極251−1(S1)〜251−4(S4)で選択され、水平転送部253−1〜253−4を転送された信号電荷を貫通ビア(TSV)241Aに転送する。
【0090】
この第1の構成例においても、選択電極251−1〜251−4、および選択電極252−1〜252−4は、一つずつ選択されるように構成することも可能であるが、2またそれ以上の選択電極を同時に選択する、あるいは所定の動作において所定の選択電極は選択状態としない等、種々の態様が可能である。
これにより、プログレッシブ読み出しを維持したままで、検出感度の低下も起こさずに、並列する複数の垂直(電荷)転送部212−1〜212−4の信号電荷を加算あるいは間引き可能である。
また、第1の構成例によれば、複数の列(本例では4列)を一つのグループとして、グループ単位で束ねて一つの貫通ビア(TSV)241Aを形成することから、貫通ビアの数を削減することができ、レイアウト上でも有利である。
すなわち、第1の構成例によれば、画素部211からプログレッシブ読み出しを高速で実施するセンサの提供が可能となり、接続部である貫通ビア(TSV)等は垂直転送部(垂直CCD)、電荷蓄積部(ストレージ部)より大きな繰り返しピッチで形成されるため、接続部である貫通ビア(TSV)等の形成が容易となる。
【0091】
図18は、本第2の実施形態に係る第1の基板側の中継選択部を含む中継部の第2の構成例を示す図である。
図18の中継部240Cにおける中継選択部250Cは、
図17の中継選択部250Bと基本的な構成を同じである。
図18の中継部240Cは、貫通ビア(TSV)241Aにより信号電荷を転送する際に、貫通ビア(TSV)241Aを中間電位に設定するための、リセットゲートRG243とリセットドレインRD243を有するリセットトランジスタ243が形成されている。
【0092】
第2の構成例によれば、上述した第1の構成例と同様の効果を得られることはもとより、転送電極(転送ゲート)間のTSV領域(n
+領域)の寄生容量が大きい場合であって、TSV領域を介して電荷転送が可能となる。
【0093】
図19は、本第2の実施形態に係る第1の基板側の中継選択部を含む中継部の第3の構成例を示す図である。
図19の中継部240Dが
図17の中継部240Bと異なる点は、貫通ビア(TSV)241Dの配置位置が4列の垂直転送部212−1〜212−4の配列の中央部ではなく、X方向の一端側(
図19の例では右端側)である4列目の垂直転送部212−4の配置位置近傍に形成されていることにある。
【0094】
図19の中継選択部250Dにおいて、水平転送部253−1は、駆動パルスH1により駆動され、垂直転送部212−1による信号電荷を
図19中の右方向である水平方向X1に向けて転送し、さらに隣接の水平転送部253−2に転送する。
【0095】
水平転送部253−2は、駆動パルスH2により駆動され、垂直転送部212−2による信号電荷または水平転送部253−1による垂直転送部212−1の信号電荷を
図19中の右方向である水平方向X1に向けて転送し、さらに隣接の水平転送部253−3に転送する。
【0096】
水平転送部253−3は、駆動パルスH3により駆動され、垂直転送部212−3による信号電荷または水平転送部253−2による垂直転送部212−1,212−2の信号電荷を
図19中の右方向である水平方向X1に向けて転送し、さらに隣接の水平転送部253−4に転送する。
【0097】
水平転送部253−4は、駆動パルスH4により駆動され、垂直転送部212−4による信号電荷を
図19中の右方向である水平方向X1に向けて転送し、垂直転送部212−4の信号電荷または水平転送部253−3による垂直転送部212−1,212−2,212−3の信号電荷を、自段に接続されているOG254に供給する。
【0098】
OG254は、水平転送部253−4の信号電荷供給部と接続部である貫通ビア(TSV)241Dと間に配置され、導通状態に制御されることにより、選択電極251−1(S1)〜251−4(S4)で選択され、水平転送部253−1〜253−4を転送された信号電荷を貫通ビア(TSV)241Dに転送する。
【0099】
第3の構成例によれば、上述した第1の構成例と同様の効果を得ることができる。
【0100】
図20は、第2の実施形態に係る第1の基板側の中継選択部を含む中継部の第4の構成例を示す図である。
【0101】
図20の中継部240Eの中継選択部250Eが
図17の中継選択部250Bと異なる点は、水平転送部の代わりに電位スロープ部(SL)255を設けたことにある。
この中継選択部250Eでは、選択電極251−1(S1)〜251−4(S4)で選択された垂直転送部212−1〜212−4の信号電荷は、電位スロープ部255を経て、さらにOG254を介して貫通ビア(TSV)241Aに転送される。
【0102】
第4の構成例によれば、上述した第1の構成例と同様の効果を得ることができる。
【0103】
以上、第1の基板側の中継選択部を含む中継部の第1から第4の構成例について説明した。これらの構成は、基本的に、第2の基板120側の中継選択部として採用することが可能である。ただし、信号電荷の転送方向が
図17から
図20に関連付けた場合と逆方向となる。
換言すれば、貫通ビア(TSV)を転送された信号電荷は、OG254を介して水平転送部253−1、253−2,253−3,253−4あるいは電位スロープ部255を介して所望の位置に転送され、選択電極252−1〜252−4で選択されて電荷蓄積部220−1〜220−4に転送される。
【0104】
[第3の実施形態]
図21は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を説明するための図である。
【0105】
本第3の実施形態に係る固体撮像装置100Bが上述した第1の実施形態の固体撮像装置100と異なる点は以下の通りである。
本第3の実施形態の固体撮像装置100Bでは、第2の基板120B側において、複数の電荷蓄積部220−1〜220−4,220−5〜220−8と出力部230B−1,230B−2を選択的に接続する出力選択部260を含んで構成されている。
【0106】
第3の実施形態の固体撮像装置100Bにおいて、第1の基板110Bに形成された感光部210Bは6行8列のマトリクス状に画素部211および垂直転送部212が配置されている。
これに対応するように、第2の基板120Bには、8列の電荷蓄積部220−1〜220−8が形成されている。
第2の基板120Bにおいて、電荷蓄積部220−1〜220−4,220−5〜220−8の出力端部222−1〜222−4,222−5〜222−8に選択電極261−1〜
261−4,261−5〜261−8が配置されている(形成されている)。
そして、第2の基板120Bにおいて、複数の選択電極261−1〜261−4、261−5〜261−8に対してそれぞれ一つの出力部230B−1,230B−2が形成されている。
【0107】
図21において、第1の基板110B側の垂直転送部212−1〜212−8を転送された信号電荷は中継部240を介して第2の基板120B側の電荷蓄積部(ストレージ部)220−1〜220−4,220−5〜220−8に転送される。
そして、電荷蓄積部220−1〜220−4,220−5〜220−8に転送され
た信号電荷は、次のようにして対応する出力部230B−1,230B−2に供給される。
【0108】
電荷蓄積部220−1の信号電荷は選択電極261−1により選択されて出力部230B−1に供給される。
電荷蓄積部220−2の信号電荷は選択電極261−2により選択されて出力部230B−1に供給される。
電荷蓄積部220−3の信号電荷は選択電極261−3により選択されて出力部230B−1に供給される。
電荷蓄積部220−4の信号電荷は選択電極261−4により選択されて出力部230B−1に供給される。
電荷蓄積部220−5の信号電荷は選択電極261−5により選択されて出力部230B−2に供給される。
電荷蓄積部220−6の信号電荷は選択電極261−6により選択されて出力部230B−2に供給される。
電荷蓄積部220−7の信号電荷は選択電極261−7により選択されて出力部230B−2に供給される。
電荷蓄積部220−8の信号電荷は選択電極261−8により選択されて出力部230B−2に供給される。
【0109】
本第3の実施形態においては、複数の列を一つのグループとして(
図21の例では隣接する4列を一つのグループとしている)、グループ単位で束ねて一つの出力部230B−1,230B−2を形成することから、出力部の数を削減することができ、レイアウト上でも有利である。
すなわち、本第3の実施形態においては、画素部211からプログレッシブ読み出しを高速で実施するセンサの提供が可能となり、出力部は電荷蓄積部(ストレージ部)より大きな繰り返しピッチで形成されるため、出力部の形成が容易となる。
また、本第3の実施形態においては、並列する複数の電荷蓄積部220−1〜220−4,220−5〜220−8の信号電荷を加算あるいは間引き可能である。
【0110】
また、本第3の実施形態においても、前述した第2の実施形態の中継選択部を採用することにより、プログレッシブ読み出しを維持したままで、検出感度の低下も起こさずに水平方向の信号加算や信号間引きを容易に行うことが可能となる。
【0111】
なお、第2の実施形態において、第1の基板側の中継選択部を含む中継部の第1から第4の構成例について説明した。これらの構成は、基本的に、本第3の実施形態の第2の基板120B側の出力選択部260として採用することが可能である。
この場合、貫通ビア(TSV)の部分が出力部230B−1,230B−2の入力部となる。
【0112】
[第4の実施形態]
図22は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を説明するための図である。
【0113】
本第4の実施形態に係る固体撮像装置100Cが上述した第1の実施形態の固体撮像装置100と異なる点は以下の通りである。
本第4の実施形態に係る固体撮像装置100Cは、第2の基板120Cにおいて、電荷蓄積部220、出力部230に加えて、信号処理系である周辺回路に属するアナログデジタル変換器(ADC)341、シリアライザ342、メモリ343、タイミングジェネレータ(TG)344が形成されている。
タイミングジェネレータ(TG)344は、CCDパルス駆動部やレベルシフト等を含んで構成される。
【0114】
ここで、CMOSイメージセンサを比較例として、信号処理系を第2の基板120Cに搭載した本第4の実施形態に係る固体撮像装置100CであるCCDイメージセンサとCMOSイメージセンサのチップサイズについて考察する。
【0115】
図23は、比較例としての裏面照射型CMOSイメージセンサの積層構造例を示す図である。
図23(A)はCMOSイメージセンサの第1の構造例を示し、
図23(B)はCMOSイメージセンサの積層化した第2の構造例を示している。
図24は、CMOSイメージセンサの積層構造によるチップ縮小化例を説明するための図である。
図24(A)は積層構造でない場合の画素部および周辺回路を示し、
図24(B)は積層構造により縮小化した例を示している。
図25は、積層構造でないCMOSイメージセンサチップ、積層構造のCMOSイメージセンサチップ、および本実施形態に係るCCDイメージセンサチップの簡略断面を示す図である。
図25(A)が積層構造でないCMOSイメージセンサチップを示し、
図25(B)が積層構造のCMOSイメージセンサチップを、
図25(C)が本実施形態に係るCCDイメージセンサチップをそれぞれ示している。
【0116】
一般に、CMOSイメージセンサ400Aは、
図23(A)に示すように、支持基板410と、画素部420と信号処理回路430を形成したチップ440により構成される。
積層型構造は、
図23(B)に示すように、信号処理回路430を形成したチップ450を支持基板の代わりに用いており、それに画素部420を重ね合わせている。
この積層構造を採用することで、小型化を実現できる。
【0117】
このようなCMOSイメージセンサにおいて、周辺回路である信号処理回路430は、
図24(A)に示すように、ローデコーダ(ROW decode
r)431、カラムデコーダ(column decode
r)432、もしくは行(列)選択回路、ボンディングパッド(Bonding pad)433等により構成される。
この周辺回路である信号処理回路430を第2層に配置することにより、
図24(B)に示すように、周辺回路領域を削除できるが、ローデコーダ431からの画素駆
動用信号を各ロー(ROW)に貫通ビア(TSV)を経由させるため、TSV領域が各ROWおよびカラムに新たに必要になる。
【0118】
その結果、CMOSイメージセンサチップは、積層構造を採用することにより、構成にもよるが、たとえば
図25(A)および〈B〉に示すように、積層構造を採用していない場合に比べてチップサイズを半分程度に削減することができる。
しかし、
図25(B)および(C)に示すように、CMOSイメージセンサチップは、上述したように積層構造を用いたとしても、TSV領域が各ROWおよびカラムに新たに必要になる等の理由から、構成にもよるが、たとえば本実施形態に係るCCDイメージセンサチップより1.5倍程度大きくなる。
【0119】
換言すれば、本実施形態に係るCCDイメージセンサは、接続部としての貫通ビア(TSV)を介して、積層接続が可能になることから、ワイヤーボンディングが不要になるため、ダイサイズレベルでの小型パッケージが可能となり、たとえばBGAなどの接続により、コンパクトなカメラモジュール実装が可能となる。
このように、本積層CCDパッケージの実装化により、超小型カメラモジュールを実現することができる。
【0120】
また、CMOSイメージセンサでグローバルシャッタを有する構造については、非特許文献1を始め複数提案されているが、いずれの例でも画素アレイ内に特別な回路を追加する必要があり、感度の低下や、ノイズの増加を招くデメリットを持つ。また、従来のCMOSでの改善例では信号加算を行う構造を選択すると寄生容量の増加によるSNの劣化や、信号の同時性を損ねる欠点があった。
これに対して、本実施形態に係るCCDイメージセンサは、画素アレイ内に特別な構造を形成することなく、すなわちSNの劣化を起こすことなくグローバル読み出しで高速駆動が可能となる。
また、貫通ビア(TSV)のチップ間接続によるダイサイズパッケージが可能になり、また第2の基板への周辺回路搭載化により、駆動ピン数を削減することにより、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
【0121】
[第5の実施形態]
図26は、本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を説明するための図である。
【0122】
本第5の実施形態に係る固体撮像装置100Dが上述した第4の実施形態の固体撮像装置100Cと異なる点は以下の通りである。
本第5の実施形態に係る固体撮像装置100Dは、タイミングジェネレータ310、画像処理回路(画像処理IC)320、および電源回路(電源IC)330を含んで構成される信号処理部300が、第1の基板110D、第2の基板120Dと同一パッケージに実装される。
【0123】
このように構成することにより、小型カメラシステムを単一パッケージに組み込むことも可能となる。
【0124】
[第6の実施形態]
図27は、本発明の第6の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を説明するための図である。
【0125】
本第6の実施形態に係る固体撮像装置100Eが上述した第4の実施形態の固体撮像装置100Cと異なる点は以下の通りである。
本第6の実施形態に係る固体撮像装置100Eは、第2の基板120Eにおいて、電荷蓄積部220、出力部230に加えて、信号処理系である周辺回路に属するADC341、シリアライザ342が形成され、混載されている。
その他の構成は、第4の実施形態と同様である。
【0126】
図27においては、信号処理部300と積層チップとの間で送受される電源系、駆動および駆動パルス系、出力端子系の伝送ラインを示している。
駆動に必要な駆動パルスおよび電源はたとえば、基準電源VSS(GND)、CCD用電源VCCD、ADC用電源VADC、シリアル出力用電源VLVDS、垂直転送パルスφV1およびφV2、水平転送パルスφH、画素から垂直転送部への読み出しパルスΦR、シリアル出力用基準クロックφLVDS、CCD出力用サンプル&ホールドパルスφSH、シリアル信号出力信号である。
これら各信号の伝送ラインには、それぞれのピンにFPGAなどで構成された信号処理部300が搭載された外部基板(外部ボード)に接続される。
【0127】
なお、本実施形態の固体撮像装置100Eは、水平転送を行われないが、中継選択部250や出力選択部に水平転送部を採用した場合には局所的に水平転送が行われることから、水平転送パルスφHを駆動パルスとして生成する機能を持たせている。
【0128】
図28は、第6の実施形態に係る積層型CCDイメージセンサとしての固体撮像装置の駆動信号のタイミングの一例を示す図である。
図28(A)は電荷読み出しパルスφRを、
図28(B)は垂直転送パルスφV2を、
図28(C)は垂直転送パルスφV1を、
図28(D)は水平転送パルスφHを、
図28(E)はバッファ出力VOUTを、それぞれ示している。
【0129】
図27の固体撮像装置100Eにおいて、CCD駆動パルスφV1およびφV2が外部信号として入力され、同期した画像データは内蔵されたADC341、シリアライザ342により、シリアルデジタル出力に変換され出力され、別基板上のたとえばFPGA310にとりこまれて、映像信号として処理される。
【0130】
本第6の実施形態によれば、上述した第4の実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
そして、本第6の実施形態の固体撮像装置100Eは、第1の基板110Eにおいて、画素部211には垂直転送部(垂直CCD)が隣接しており、プログレッシブ読み出しが可能である。
画素部はCCDのため、第2の基板120E(第2層)と接続される貫通ビア(TSV)はROWごとに接続されるCMOSイメージセンサの主に周辺回路とした第2層と積層した場合にくらべて、大幅に削減することができ、たとえばチップに上下のみ配置することができ、パッケージサイズを縮小化することが可能となる。
【0131】
[第7の実施形態]
図29は、本発明の第7の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を説明するための図である。
【0132】
本第7の実施形態に係る固体撮像装置100Fが上述した第6の実施形態の固体撮像装置100Eと異なる点は以下の通りである。
本第7の実施形態に係る固体撮像装置100Fは、第2の基板120Fにおいて、信号処理系である周辺回路に属するADC341およびシリアライザ342に加えて、駆動パルス発生器としてのタイミングジェネレータ(TG)344および電圧生成回路としてのDCDCコンバータ(DCDC)345が搭載されている。
【0133】
本第7の実施形態に係る固体撮像装置100Fにおいては、タイミングジェネレータ(TG)344およびDCDCコンバータ(DCDC)345を搭載して、たとえば外部駆動パルスをφVsync(Vトリガーパルス)、ΦHsync(Hトリガーパルス)、φRST(リセットパルス)、電源をVDD、VSSとして接続に必要なピンを削減することが可能となる。
【0134】
本第7の実施形態によれば、上述した第6の実施形態の効果と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本第7の実施形態によれば、駆動ピン数を削減することができるため、周辺回路を第2の基板120Fに配置して、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に応用できる利点がある。
【0135】
[第8の実施形態]
図30は、本発明の第8の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を説明するための図である。
【0136】
本第8の実施形態に係る固体撮像装置100Gが上述した第7の実施形態の固体撮像装置100Fと異なる点は以下の通りである。
本第8の実施形態に係る固体撮像装置100Gは、第2の基板120Gにおいて、信号処理系である周辺回路に属するADC341、シリアライザ342、タイミングジェネレータ(TG)344、DCDCコンバータ(DCDC)345に加えてメモリ346が搭載されている。
そして、本第8の実施形態に係る固体撮像装置100Gは、電源をスイッチで機能させることにより、駆動パルスと出力信号パルス用端子PIN1,PIN2を共用化している。
【0137】
[駆動パルスと出力信号パルス用端子の共用化を実現する構成例]
ここで、本第8の実施形態に係る固体撮像装置100Gにおいて、駆動パルスと出力信号パルス用端子PIN1,PIN2の共用化を実現する構成例について説明する。
図31は、本第8の実施形態に係る固体撮像装置100Gにおいて、駆動パルスと出力信号パルス用端子の共用化を実現する構成例を示す図である。
【0138】
図31においては、第2の基板120Gにおける駆動パルスおよび出力信号パルス用端子の共用化回路350を抽出して示している。
また、撮像素子部200Gの出力部230や図示しない駆動系等を含んでセンサコア270(Sensor Core)として示している。
【0139】
図31の第2の基板120Gには、マスタクロック用端子PMC、入出力端子PIN1,PIN2が形成されている。
図31の共用化回路350は、差動出力回路351、レジスタコントローラ(Register Controller)352、およびスイッチSW1〜SW4を有している。
この共用化回路350は、入出力端子PIN1とPIN2を、レジスタコントロール線LRGCとデータ出力線LDOで共有している。共用化回路350は、その切り替えをスイッチSW1〜SW4により行う。
【0140】
共用化回路350において、差動出力回路351の入力部がシリアライザ342の出力部に接続され、差動出力回路351の正側出力部がスイッチSW1を介して入出力端子PIN1に接続され、負側出力部がスイッチSW2を介して入出力端子PIN2に接続されている。
レジスタコントローラ352の第1入出力端子T1がスイッチSW3を介して入出力端子PIN1に接続され、第2入出力端子T2がスイッチSW4を介して入出力端子PIN2に接続されている。
【0141】
次に、共用化回路の動作例を
図32〜
図34に関連付けて説明する。
図32は、本第8の実施形態に係る共用化回路のレジスタコントロールモード時の動作を説明するための図である。
図33は、本第8の実施形態に係る共用化回路のイメージデータストリーミングモード時の動作を説明するための図である。
図34は、本第8の実施形態に係る共用化回路のレジスタコントロールモード時およびイメージデータストリーミングモード時の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図34(A)は電源電圧VDD/VAAを、
図34(B)は基準クロック(マスタクロック)MCLKを、
図34(C)は入出力端子PIN1の信号を、
図34(D)は入出力端子PIN2の信号を、それぞれ示している。
【0142】
電源投入後は、パワーオンリセット(Power On Reset)の後、
図32に示すように、スイッチSW3,SW4がONになり、レジスタコントロールモード(Register Control Mode)となる。
この場合、入出力端子PIN1,PIN2を使いレジスタを書き換え、センサ(Sensor)の設定を行う。その後、センサを画像出力モードに切り替えるレジスタ設定を行い、
図33に示すように、スイッチSW3,SW4をOFFに、スイッチSW1,SW2をONにし、レジスタコントロールモードを終了する。
【0143】
イメージデータストリーミングモード(Image Data Streaming Mode)では、
図33に示すように、スイッチSW1,SW2がONで、スイッチSW3,SW4がOFFであり、複数ビットの画像データをシリアライザ(SERIALIZER)でパラレルシリアル変換したものを差動出力回路351で駆動し、入出力端子PIN1,PIN2から出力する。
【0144】
固体撮像装置100Gにおいて、
図34に示すように、パワーオンリセットで電源投入後システムはリセットされ、レジスタコントロールモードとなり、外部よりモード終了まで内部パルスの位相調整などを実施する。
モード終了コマンド受け取り後、イメージデータストリーミングモードとなり、複数ビットの画像データをシリアライザ(SERIALIZER)342でパラレルデータからシリアルデータに変換するパラレルシリアル変換したものを差動出力回路351で駆動し入出力端子(制御ピン)PIN1,PIN2から出力する。
【0145】
このように、本第8の実施形態においては、たとえば並列出力信号ピン
を統合して、出力ピン数を1系統とする。さらに、ピン駆動パルス入力ピンと出力信号用ピンを共用化して、外部駆動パルスをφMCLK(基準クロック)、出力および制御用ピン(PIN1およびPIN2)としてさらに駆動に必要なピンを削減することが可能となる。
【0146】
本第8の実施形態によれば、上述した第7の実施形態の効果と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本第8の実施形態によれば、駆動ピン数をさらに削減することができるため、周辺回路を第2の基板120Gに配置して、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に応用できる利点がある。
【0147】
以上説明した固体撮像装置100,100A〜100Gは、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0148】
[第9の実施形態]
図35は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【0149】
本電子機器500は、
図35に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置100,100A〜100Gが適用可能な本発明に係るCCD/CMOS積層型固体撮像装置510を有する。
さらに、電子機器500は、このCCD/CMOS積層型固体撮像装置510の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)520を有する。
電子機器500は、CCD/CMOS積層型固体撮像装置510の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)530を有する。
【0150】
信号処理回路530は、CCD/CMOS積層型固体撮像装置510の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路530で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0151】
上述したように、CCD/CMOS積層型固体撮像装置510として、先述した固体撮像装置100,100A〜100Gを搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。