(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記重合体組成物が、重合反応前、重合反応中、及び/又は重合反応終了後に、前記有機化合物を添加することにより得られたものである請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法を用いてタイヤ用ゴム組成物を作製する工程と、作製されたタイヤ用ゴム組成物を用いてタイヤ部材を作製する工程とを含む空気入りタイヤの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分と、重合体組成物と、シリカとを混合して得られ、上記重合体組成物が、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体と、窒素原子を有する有機化合物とを含み、上記重合体の重量平均分子量が1.0×10
3〜1.0×10
4、上記重合体組成物100質量%中の上記有機化合物の含有量が0.1〜20質量%である。
【0016】
上記重合体組成物は、特定の重量平均分子量を有する上記重合体と、窒素原子を有する有機化合物を特定量含む。このような成分を、ゴム成分、シリカと共に混練することで、混練中に効率よくシリカとの相互作用が生じ、シリカの分散性が向上し、グリップ性能(特に、ウェットグリップ性能)、耐摩耗性及び転がり抵抗特性(低燃費性)をバランス良く改善できる。
【0017】
<重合体組成物>
まず、重合体組成物について説明する。
重合体組成物は、特定の重量平均分子量を有する上記重合体と共に、窒素原子を有する有機化合物を特定量含む点に特徴がある。重合体組成物の製造方法としては、上記重合体の重合反応前、重合反応中、及び/又は重合反応終了後に、上記有機化合物を添加すればよく、例えば、上記重合体を重合した後に上記有機化合物を添加する方法や、重合反応においてランダマイザーとして上記有機化合物を使用して上記重合体を重合し、上記重合体と共に該有機化合物を残留させる方法等が挙げられる。以下において、まず、上記有機化合物、上記重合体について説明する。
【0018】
(窒素原子を有する有機化合物)
窒素原子を有する有機化合物としては、アミン類が好ましい。アミン類としては、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類などが挙げられる。なかでも、下記式(I)で表される化合物が好ましい。
【化1】
(式(I)中、R
1は、n価の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R
2及びR
3は、同一若しくは異なって、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基を表す。R
2とR
3とで環構造を形成してもよい。nは、1〜4の整数を表す。)
【0019】
R
1のn価の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜25、より好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜5、最も好ましくは炭素数1〜3)の炭化水素基としては、特に限定されず、例えば、1価の炭化水素基であれば、上記R
2及びR
3と同様の基(ただし、水素原子は除く)が挙げられ、2価の炭化水素基であれば、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリーレン基等が挙げられる。R
1としては、2価の炭化水素基が好ましく、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基がより好ましい。
【0020】
分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜25、より好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜5、最も好ましくは炭素数1〜3)のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等が挙げられる。
【0021】
R
2及びR
3の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜25、より好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜5、最も好ましくは炭素数1〜3)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0022】
R
2及びR
3の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜25、より好ましくは炭素数2〜20、更に好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜5)のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられる。
【0023】
R
2及びR
3の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜25、より好ましくは炭素数2〜20、更に好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜5)のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基等が挙げられる。
【0024】
R
2及びR
3の分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜10)のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
【0025】
R
2及びR
3としては、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、上記アルキル基がより好ましい。また、上記アルキル基が環構造を形成していることも好ましい。この場合の環構造の炭素原子数は、3〜7が好ましい。
【0026】
nは、1〜4の整数を表すが、より好適に本発明の効果が得られるという理由から、nは1〜3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
【0027】
上記式(I)で表される化合物のうち、モノアミン類としては以下の化合物が挙げられる。第1級モノアミン類としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミンなどの飽和又は不飽和の直鎖又は分岐状の脂肪族第1級モノアミン類;シクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、4−エチルシクロヘキシルアミン、4−プロピルシクロヘキシルアミン、4−ブチルシクロヘキシルアミンなどの脂環式第1級モノアミン類;アリニン、ベンジルアミンなどの芳香族第1級モノアミン類などが挙げられる。第2級モノアミン類としては、N−メチルヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミンなどの脂肪族第2級モノアミン類;ビス(4−ビフェニリル)アミン、ビス(4−ブロモフェニル)アミン、ビス(4−t−ブチルフェニル)アミン、ビス(4−ヨードフェニル)アミン、ビス(4−ニトロフェニル)アミン、3−クロロジフェニルアミン、4,4’−ジメトキシジフェニルアミン、2,4−ジメチルジフェニルアミン、3,4−ジメチルジフェニルアミン、1,1’−ジナフチルアミン、2,2’−ジナフチルアミン、1,2’−ジナフチルアミン、3−メトキシジフェニルアミン、4−メトキシジフェニルアミン、3−メチルジフェニルアミン、4−メチルジフェニルアミン、m,m’−ジトリルアミン、p,p’−ジトリルアミン、N−フェニル−1−ビフェニルアミン、N−フェニル−2−ビフェニルアミン、N−フェニル−3−ビフェニルアミン、N−フェニル−4−ビフェニルアミン、N−(p−トリル)−1−ナフチルアミン、N−(p−トリル)−2−ナフチルアミンなどの芳香族第2級モノアミン類などが挙げられる。第3級モノアミン類としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。モノアミン類のなかでは、トリメチルアミンなどの第3級モノアミン類が好ましい。
【0028】
上記式(I)で表される化合物のうち、ジアミン類としては以下の化合物が挙げられる。脂肪族ジアミン類としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどの脂肪族第1級ジアミン類;N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルプロピレンジアミン、N,N’−ジエチルテトラメチレンジアミン、N,N’−ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジエチルデカメチレンジアミンなどの脂肪族第2級ジアミン類;N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルへプチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルドデシレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘプタデシレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルブチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルへプチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルドデシレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルヘプタデシレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラプロピルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラプロピルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラプロピルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラプロピルブチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラプロピルへプチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラプロピルドデシレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラプロピルヘプタデシレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、1,2−ジピペリジノプロパン、1,2−ジピロリジノエタン、1,2−ジピロリジノブタンなどの脂肪族第3級ジアミン類;などが挙げられる。脂環式ジアミン類としては、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−2−アミノメチルシクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチルシクロヘキサン、1−アミノ−4−アミノメチルシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)などが挙げられる。芳香族ジアミン類としては、o,m,p−フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、ベンジジン、ジメチルベンジジン、ジアミノジフェニルメタン、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(2−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,7−ジアミノフルオレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−エチレンジアニリン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミンなどの芳香族第1級ジアミン類;N,N’−ジメチル−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−キシリレンジアミン、N,N’−ジメチル−ベンジジン、N,N’−ジメチル−1,4−ナフタレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニルベンジジン、N,N’−ジ−p−トリルベンジジンなどの芳香族第2級ジアミン類;などが挙げられる。これらのアミン類は、単独でも2種以上を併用してもよい。ジアミン類のなかでは、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタンなどの脂肪族第3級ジアミン類が好適である。
【0029】
(共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体)
共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体としては、良好なグリップ性能(特に、ウェットグリップ性能)、耐摩耗性及び転がり抵抗特性が得られるという理由から、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物の共重合体が好ましく、スチレンブタジエン共重合体がより好ましい。
【0030】
共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、モノマーの入手容易性などの実用面の観点から1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
【0031】
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせても用いてもよいが、これらの中で、モノマーの入手容易性などの実用面の観点からスチレンが特に好ましい。
【0032】
なお、1,3−ブタジエンを用いることでブタジエン単独重合体が得られ、スチレンを用いることでスチレン単独重合体が得られ、1,3−ブタジエン及びスチレンを用いることでスチレンブタジエン共重合体が得られる。
【0033】
重合体は、例えば、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を重合して得られる。なお、必要に応じて、重合体に水素添加処理を施してもよい。重合体は、具体的には以下の方法で合成できる。
【0034】
共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を重合する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を使用できる。具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を、有機リチウム化合物を重合開始剤として、必要に応じてランダマイザーの存在下でアニオン重合する方法などが挙げられる。
【0035】
炭化水素系溶剤は、特に限定されないが、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。
【0036】
有機リチウム化合物としては、炭素数2〜20のアルキル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物などが挙げられるが、これらの中で、入手容易性、安全性などの観点からn−ブチルリチウム又はsec−ブチルリチウムが好ましい。
【0037】
また、ランダマイザーとは、共重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造制御(例えば、ブタジエンにおける1,2−結合の増加など)や、共重合体におけるモノマー単位の組成分布の制御(例えば、ブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化など)などの作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを用いることができる。例えば、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタンなどのエーテル類及び第三級アミン類などを挙げることができる。また、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシドなどのカリウム塩類、ナトリウム−t−アミレートなどのナトリウム塩類も用いることができる。
【0038】
ランダマイザーの使用量は、使用するランダマイザーの種類により異なるが、重合開始剤1モル当たり、0.01モル当量以上が好ましく、0.05モル当量以上がより好ましい。ランダマイザーの使用量が0.01モル当量未満では、添加効果が小さく、ランダム化しにくい傾向がある。また、ランダマイザーの使用量は、重合開始剤1モル当たり1000モル当量以下が好ましく、500モル当量以下がより好ましい。ランダマイザーの使用量が1000モル当量を超えると、モノマーの反応速度が大きく変化してしまい、逆にランダム化しにくくなる傾向がある。
なお、ランダマイザーとして、窒素原子を有する有機化合物を使用する場合であって、重合体組成物中に当該化合物を残留させる場合には、残留させたい量を考慮して、ランダマイザーの使用量を決定すればよい。
【0039】
重合の方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、特に重合体の設計の自由度、加工性などの観点から溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
【0040】
溶液重合法を用いた場合には、溶液中のモノマー濃度(共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物などの合計)は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。溶液中のモノマー濃度が5質量%未満では、得られる共重合体の量が少なく、高コストになる傾向がある。また、溶液中のモノマー濃度は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。溶液中のモノマー濃度が50質量%を超えると、溶液粘度が高くなりすぎて撹拌が困難となり、重合しにくくなる傾向がある。
【0041】
前述のとおり、重合体は、水素添加されたものでもよい。その場合、上記重合反応の後、得られた重合体に更に水素添加処理を施して水素添加重合体を調製すればよい。
【0042】
水素添加処理は、公知の水添方法により実施でき、例えば、公知の水素化触媒(均一系水素化触媒、不均一系水素化触媒など)を使用し、1〜100気圧の加圧水素下で処理することなどで、重合体を水素化できる。
【0043】
なお、通常、重合反応を停止する目的で水、アルコール、酸などを混合する。さらに必要に応じて公知の老化防止剤を混合してもよい。
【0044】
重合体の重量平均分子量(Mw)は1.0×10
3以上、好ましくは1.2×10
3以上、より好ましくは1.4×10
3以上である。Mwが1.0×10
3未満では、ヒステリシスロスが大きく充分な転がり抵抗特性が得られにくいだけでなく、耐摩耗性も低下する。該Mwは1.0×10
4以下、好ましくは5.0×10
3以下、より好ましくは2.0×10
3以下である。Mwが1.0×10
4を超えると、加工性の悪化が懸念される。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、後述の実施例に記載の方法により測定される。また、Mwは、重合時に使用する重合開始剤の量を変更するなどの方法により適宜調節することができる。
【0045】
重合体のスチレン含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%以上、最も好ましくは30質量%以上である。スチレン含有量が0.1質量%未満であると、充分なグリップ性能が得られないおそれがある。該スチレン含有量は、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。スチレン含有量が55質量%を超えると、転がり抵抗特性、耐摩耗性が悪化する傾向がある。
なお、本明細書において、スチレン含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0046】
重合体組成物の製造方法としては、上記重合体の重合反応前、重合反応中、及び/又は重合反応終了後に、上記有機化合物を添加すればよく、例えば、上述のように、上記重合体を重合した後に上記有機化合物を添加する方法や、重合中に使用するランダマイザーとして上記有機化合物を使用し(重合反応においてランダマイザーとして上記有機化合物を使用して上記重合体を重合し)、上記重合体と共に該有機化合物を残留させる方法等が挙げられる。
具体的には、重合反応終了後に、再沈殿精製等の精製操作、減圧乾燥により、上記溶媒、ランダマイザー等を除去することにより得られた重合体に対して、窒素原子を有する有機化合物を混合することで重合体組成物を得ることができる。また、ランダマイザーとして、窒素原子を有する有機化合物を使用した場合には、減圧乾燥により、溶媒を除去する(すなわち、残留している窒素原子を有する有機化合物を精製除去しない)ことで、重合体組成物を得ることができる。なお、ランダマイザーは、重合反応前、重合反応中のいずれにおいても添加可能である。
【0047】
重合体組成物100質量%中の窒素原子を有する有機化合物の含有量は、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上である。0.1質量%未満では転がり抵抗特性及びウェットグリップ性能の改善効果が充分に得られない。
また、該含有量は、20質量%以下、好ましくは18質量%以下、より好ましくは16質量%以下、更に好ましくは12質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。20質量%を超えると、スコーチタイムが短くなる上にコストが高くなる。
【0048】
本発明のゴム組成物において、重合体組成物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上である。3質量部未満であると、転がり抵抗特性、耐摩耗性、グリップ性能を充分に改善できないおそれがある。該含有量は、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下、更に好ましくは25質量部以下である。40質量部を超えると、転がり抵抗特性が悪化する上にコストが高くなる傾向がある。
なお、本発明のゴム組成物において、上記重合体組成物はゴム成分に含まれない。
【0049】
本発明で使用できるゴム成分としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)などのジエン系ゴムなどが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、グリップ性能、耐摩耗性、転がり抵抗特性がバランスよく得られるという理由から、NR、BR、SBRが好ましく、NR、BR、SBRの併用がより好ましい。
【0050】
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
【0051】
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。上記範囲内であれば、グリップ性能、耐摩耗性、転がり抵抗特性がバランス良く得られる。
【0052】
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。なかでも、耐摩耗性が良好であるという理由から、BRのシス含量は90質量%以上が好ましい。
【0053】
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。上記範囲内であれば、グリップ性能、耐摩耗性、転がり抵抗特性がバランス良く得られる。
【0054】
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)などを使用できる。なかでも、転がり抵抗特性、耐摩耗性を良好に改善できるという点から、S−SBRが好ましい。
【0055】
SBRのスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。また、該スチレン含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。該スチレン含有量が上記範囲内であると、良好な転がり抵抗特性、耐摩耗性が得られる。
【0056】
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは35質量%以上、より好ましくは45質量%以上であり、また、好ましくは85質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは65質量%以下である。上記範囲内であれば、グリップ性能、耐摩耗性、転がり抵抗特性がバランス良く得られる。
【0057】
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
【0058】
シリカの窒素吸着比表面積(N
2SA)は、50m
2/g以上が好ましく、80m
2/g以上がより好ましく、150m
2/g以上が更に好ましい。50m
2/g未満では、補強効果が小さく、充分な耐摩耗性が得られない傾向がある。また、該N
2SAは、300m
2/g以下が好ましく、250m
2/g以下がより好ましく、200m
2/g以下が更に好ましい。300m
2/gを超えると、シリカの分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し転がり抵抗特性が低下する傾向がある。
なお、シリカのN
2SAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
【0059】
本発明のゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、特に好ましくは50質量部以上である。5質量部未満であると、補強性が小さいため充分な耐摩耗性が得られない傾向がある。また、充分な転がり抵抗特性も得られない傾向がある。該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。150質量部を超えると、加工性や分散性が悪く、耐摩耗性、転がり抵抗特性が低下する傾向がある。
【0060】
本発明のゴム組成物は、シリカとともにシランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィド系を好適に使用できる。
【0061】
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは4質量部以上である。1質量部未満では、未加硫ゴム組成物の粘度が高く加工性が悪くなる傾向がある。該含有量は好ましくは20質量部以下、より好ましくは12質量部以下である。20質量部を超えると、配合量ほどのシランカップリング剤の配合効果が得られず、コストが高くなる傾向がある。
【0062】
本発明では、カーボンブラックを配合することが好ましい。これにより、耐摩耗性、グリップ性能をより好適に改善できる。
【0063】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N
2SA)は30m
2/g以上が好ましく、70m
2/g以上がより好ましい。30m
2/g未満では、充分な補強性が得られず、充分な耐摩耗性、ウェットグリップ性能が得られないおそれがある。該N
2SAは、250m
2/g以下が好ましく、150m
2/g以下がより好ましく、120m
2/g以下が更に好ましい。250m
2/gを超えると、発熱が大きくなり、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのN
2SAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
【0064】
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、50ml/100g以上が好ましく、100ml/100g以上がより好ましい。50ml/100g未満では、充分な補強性が得られず、充分な耐摩耗性、ウェットグリップ性能が得られないおそれがある。また、カーボンブラックのDBPは、200ml/100g以下が好ましく、135ml/100g以下がより好ましい。200ml/100gを超えると、発熱が大きくなり、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K6217−4:2001に準拠して測定される。
【0065】
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。1質量部未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。カーボンブラックの含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。30質量部を超えると、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
【0066】
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、オイル、各種老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合できる。
【0067】
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造できる。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される公知の混練機で前記各成分(少なくとも、ゴム成分と、重合体組成物と、シリカ)を混練りし、その後加硫する方法などにより製造できる。例えば、ゴム成分、重合体組成物、シリカ、必要に応じて適宜添加する他の成分を混合する工程と、更に加硫剤などを添加して混合する工程とを含む製造方法により好適に得られる。当該製造方法では、各成分を一度に混合しても、任意の順序で混合してもよい。
【0068】
具体的には、ゴム成分、重合体組成物、シリカなどを120〜180℃(好ましくは130〜175℃)で1〜20分間(好ましくは2〜10分間)混練りし、次いで、更に硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを加え、50〜90℃(好ましくは70〜85℃)で1〜20分間(好ましくは2〜10分間)混練りした後に、加硫することで本発明のゴム組成物を作製できる。
【0069】
本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材に好適に使用できるが、転がり抵抗特性に与える寄与率が大きいという理由から、トレッド、サイドウォールがより好適であり、トレッドが更に好適である。
【0070】
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造できる。すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤが得られる。
【実施例】
【0071】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0072】
以下、製造例において、合成、重合時に用いた各種薬品について、まとめて説明する。なお、薬品は必要に応じて定法に従い精製を行った。
n−ヘキサン:関東化学(株)製
スチレン:関東化学(株)製
1,3−ブタジエン:東京化成工業(株)製
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製
n−ブチルリチウム:関東化学(株)製の1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:大内新興化学工業(株)製のノクラック200
【0073】
製造例1(重合体(1)(スチレンブタジエン共重合体)の合成)
十分に窒素置換した耐熱容器にn−ヘキサン36L、スチレン7.3mol、1,3−ブタジエン22mol、テトラメチルエチレンジアミン2.0mol、n−ブチルリチウム 1.5molを加えて、5℃で30分攪拌した。その後、アルコールを加えて反応を止め、反応溶液に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、再沈殿精製、減圧乾燥にて重合体(1)を得た。
【0074】
製造例2(重合体組成物(1)の調製)
表1のレシピにて、製造例1と同様の方法で重合体を合成した。そして、減圧乾燥後、得られた重合体にテトラメチルエチレンジアミンを0.1mol添加して混合し、重合体組成物(1)を得た。
【0075】
製造例3(重合体組成物(2)の調製)
再沈殿精製せずに減圧乾燥する点以外は表1のレシピにて、製造例1と同様の方法で重合体を合成し、重合体組成物(2)を得た。
【0076】
製造例4(重合体組成物(3)の調製)
製造例2のテトラメチルエチレンジアミンを1,2−ジピペリジノエタンに変更した点以外は表1のレシピにて、製造例2と同様の方法で重合体を合成し、重合体組成物(3)を得た。
【0077】
製造例5(重合体組成物(4)の調製)
製造例3のテトラメチルエチレンジアミンを1,2−ジピペリジノエタンに変更した点以外は表1のレシピにて、製造例3と同様の方法で重合体を合成し、重合体組成物(4)を得た。
【0078】
得られた重合体(1)、重合体組成物(1)〜(4)について、下記の評価を行った。結果を表1に示す。なお、重合体組成物(1)〜(4)について、スチレン含有量及び重量平均分子量の評価は、重合体組成物(1)〜(4)に含まれる重合体を分離して、該重合体について評価を行った。
【0079】
(重合体のスチレン含有量の測定)
25℃にてJEOL JNM−A 400NMR装置を用いてH
1−NMRを測定し、そのスペクトルより求めた6.5〜7.2ppmのスチレン単位に基づくフェニルプロトンと4.9〜5.4ppmのブタジエン単位に基づくビニルプロトンの比からスチレン含有量を決定した。
【0080】
(重合体の重量平均分子量(Mw)の測定)
重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
【0081】
(テトラメチルエチレンジアミン含有量、1,2−ジピペリジノエタン含有量の測定)
重合体又は重合体組成物100質量%中のテトラメチルエチレンジアミンの含有量(1,2−ジピペリジノエタン含有量)は、重合体又は重合体組成物の重クロロホルム溶液(40 mg/1mL CDCl3)を調製し、BRUKER社製AV400の装置を用いてピーク面積比より算出した。
【0082】
【表1】
【0083】
<実施例及び比較例>
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B(シス含量:97質量%)
SBR:JSR(株)製のSL574(S−SBR、スチレン含有量:15質量%)
重合体(1):上記方法で調製
重合体組成物(1)〜(4):上記方法で調製
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラシルVN3(N
2SA:175m
2/g)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN339(N
2SA:96m
2/g、DBP吸収量:124ml/100g)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のX−140
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
加硫促進剤(2):大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
【0084】
表2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた加硫ゴム組成物を下記により評価し、結果を表2に示した。
【0085】
(転がり抵抗特性(低燃費性))
得られた加硫ゴム組成物について、(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度50℃でtanδを測定した。そして、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、転がり抵抗特性(低燃費性)に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
【0086】
(ウェットグリップ性能)
(株)上島製作所製フラットベルト式摩擦試験機(FR5010型)を用いてウェットグリップ性能を評価した。上記加硫ゴム組成物からなる幅20mm、直径100mmの円筒形のゴム試験片をサンプルとして用い、速度20km/時間、荷重4kgf、路面温度20℃の条件で、路面に対するサンプルのスリップ率を0〜70%まで変化させ、その際に検出される摩擦係数の最大値を読みとった。そして、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能指数)=(各配合の摩擦係数の最大値)/(比較例1の摩擦係数の最大値)×100
【0087】
(耐摩耗性)
ランボーン型摩耗試験機を用いて、室温、負荷荷重1.0kgf、スリップ率30%の条件で上記加硫ゴム組成物のランボーン摩耗量を測定した。測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例1の容積損失量を100として、各配合の容積損失量を下記
計算式により指数表示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(比較例1の容積損失量)/(各配合の容積損失量)×100
【0088】
【表2】
【0089】
表2から、ゴム成分と、重合体組成物と、シリカとを混合して得られ、上記重合体組成物が、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体と、窒素原子を有する有機化合物とを含み、上記重合体の重量平均分子量が1.0×10
3〜1.0×10
4、上記重合体組成物100質量%中の上記有機化合物の含有量が0.1〜20質量%である実施例では、グリップ性能(特に、ウェットグリップ性能)、耐摩耗性及び転がり抵抗特性をバランス良く改善できた。