(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144465
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/91 20060101AFI20170529BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20170529BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20170529BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20170529BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
A61K8/91
A61Q19/00
A61Q1/02
A61Q19/08
A61K8/81
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-146186(P2012-146186)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-9187(P2014-9187A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年6月9日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【復代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹山 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】加治 恵
(72)【発明者】
【氏名】露木 萌
(72)【発明者】
【氏名】仁王 厚志
【審査官】
岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−161520(JP,A)
【文献】
特開2005−350463(JP,A)
【文献】
特開2007−169419(JP,A)
【文献】
特開2013−227561(JP,A)
【文献】
特開2014−009273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/91
A61K 8/81
A61Q 1/02
A61Q 19/00
A61Q 19/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される疎水性モノマーから誘導される一種または二種以上の構成単位と下記A群からなる親水性モノマーから誘導される一種または二種以上の構成単位を必須構成単位として有し、
一般式(I)で表される疎水性モノマーには含まれない(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸の環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、スチレン、α‐メチルスチレン及びアクリロニトリルからなる群から選ばれるモノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位を有していてもよいコポリマー(但し、粉末状コポリマーを除く)を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
一般式(I)
【化1】
(I)
(一般式(I)中R
1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
2は、環構造を含まない、炭素数13〜30の分岐状炭化水素基、または、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜12の炭化水素基を表わす。)
A群
:下記一般式(II)で表される親水性モノマー
一般式(II)
【化2】
(II)
(一般式(II)中R
3は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
4は水酸基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R
5は水素原子、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアシル基を表す。nは6〜40の整数を表す。)
【請求項2】
一般式(II)で表される親水性モノマーが、下記一般式(III)で表される親水性モノマーであることを特徴とする請求項1記載の皮膚外用剤。
一般式(III)
【化3】
(III)
(一般式(III)中R
6は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
7は水素原子、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアシル基を表す。mは6〜40の整数を表す。)
【請求項3】
疎水性モノマーから誘導される一種または二種以上の構成単位の全構成単位に占める割合が1〜35質量%であり、親水性モノマーから誘導される一種または二種以上の構成単位の全構成単位に占める割合が30〜95質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
コポリマーを皮膚外用剤全量の0.5〜25質量%含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
化粧料であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤、更に詳細には、保湿効果に優れ、使用感良好な皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚外用剤、特にスキンケア化粧料に求められる重要な機能として、肌の水分量を維持すること、すなわち、保湿効果がある。従来、皮膚外用剤に保湿効果を付与すべく、種々の保湿剤を皮膚外用剤に含有させる試みがなされてきた。
【0003】
その中でも有力なものとして、種々のアクリル系ポリマーが挙げられる。具体的には、側鎖にホスホリルコリン構造を有するアクリル系ポリマー(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)、側鎖に糖構造を有するアクリル系ポリマー(例えば、特許文献4参照)、側鎖にアミノ酸構造を有するアクリル系ポリマー(例えば、特許文献5参照)、側鎖にポリエチレン構造を有するアクリル系ポリマー(例えば、特許文献6参照)等が挙げられる。しかしながら、これらの技術に於いては、保湿効果は向上するものの、ポリマーの特性に由来して、使用時に、べたつきを感じたり、きしみ(塗布時の抵抗、なめらかさの欠如)を感じたりするという、課題が生じる場合があった。
【0004】
これらの課題を解決すべく、フルオロアルキル基を有するアクリル系ポリマーを皮膚外用剤に含有させる試み(例えば、特許文献7、特許文献8及び特許文献9参照)がなされてきた。これらの技術に於いては、高い保湿効果とべたつきのなさは両立されたが、きしみ解消に関しては、ほとんど効果がなかった。
【0005】
したがって、皮膚外用剤に高い保湿効果と、べたつき、きしみのない優れた使用感を与えることができる素材の開発が望まれていた。
【0006】
一方、特定の分岐構造のアルキル基を有するアクリルエステル系モノマーと、特定の
親水性構造のアクリル系モノマーを重合してえられるコポリマーが皮膚外用剤に高い保湿効果とべたつき及びきしみのない優れた使用感を与えることは知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平06−157269
【特許文献2】特開平06−157270
【特許文献3】特開平06−157271
【特許文献4】特開平2002−193730
【特許文献5】再表WO/032560号公報
【特許文献6】特開2003−171257
【特許文献7】特開2004−123726
【特許文献8】特開2004−123727
【特許文献9】特開2005−325060
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、優れた保湿効果と、べたつき及びきしみのない優れた使用感を有する皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような状況に鑑み、本発明者等は、優れた保湿効果と、べたつき、きしみのない優れた使用感を有する皮膚外用剤を求めて鋭意研究した結果、疎水性の、特定の分岐構造のアルキル基を有するアクリルエステル系モノマーから誘導される構成単位と、特定の親水性構造のアクリル系モノマーから誘導される構成単位を必須構成単位とするコポリマーを含有する皮膚外用剤が優れた保湿効果と、べたつき、きしみのない優れた使用感を有することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)下記一般式(I)で表される疎水性モノマーから誘導される一種または二種以上の構成単位と下記A群からなる親水性
モノマーから誘導される一種または二種以上の構成単位を必須構成単位として有し、他の構成単位を有していてもよいコポリマーを含有することを特徴とする皮膚外用剤。
一般式(I)
【化1】
(I)
(一般式(I)中R
1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
2は、環構造を含まない、炭素数13〜30の分岐状炭化水素基、または、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜12の炭化水素基を表す。)
A群:重合性カルボン酸及びその塩、下記一般式(II)で表される親水性モノマー
一般式(II)
【化2】
(II)
(一般式(II)中R
3は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
4は水酸基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R
5は水素原子、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアシル基を表す。nは6〜40の整数を表す。)
(2)一般式(II)で表される親水性モノマーが、下記一般式(III)で表される親水性モノマーであることを特徴とする(1)記載の皮膚外用剤。
一般式(III)
【化3】
(III)
(一般式(III)中R
6は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
7は水素原子、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアシル基を表す。mは6〜40の整数を表す。)
(3)重合性カルボン酸がアクリル酸及び/またはメタクリル酸であることを特徴とする(1)または(2)記載の皮膚外用剤。
(4)疎水性モノマーから誘導される一種または二種以上の構成単位の全構成単位に占める割合が5〜35質量%であり、親水性モノマーから誘導される一種または二種以上の構成単位の全構成単位に占める割合が30〜95質量%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の皮膚外用剤。
(5)コポリマーを皮膚外用剤全量の0.5〜25質量%含有することを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載の皮膚外用剤。
(6)化粧料であることを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優れた保湿効果と、べたつき及びきしみのない優れた使用感を有する皮膚外用剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
<1> 本発明の皮膚外用剤の必須成分であるコポリマーを構成する疎水性モノマーから誘導される構成単位。
本発明の皮膚外用剤の必須成分であるコポリマー(以下、単に本発明のコポリマーと呼ぶ場合がある)は下記一般式(I)で表される疎水性モノマーから誘導される構成単位(以下、単に、「構成単位Iと呼ぶこともある)の一種又は二種以上を必須構成単位として含有する。 なお、本発明において、「モノマーから誘導される構成単位」とは、対応するモノマーが有する炭素−炭素不飽和結合が重合反応によって開裂して形成される構成単位を言う。
一般式(I)
【化4】
(I)
(一般式(I)中R
1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
2は、環構造を含まない、炭素数13〜30の分岐状炭化水素基、または、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜12の炭化水素基を表す。)
【0012】
ここで、R
1で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基等が例示できる。本発明において、R
1は水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0013】
また、R
2で表される、環構造を含まない、炭素数13〜30の分岐状炭化水素基としては、1−メチルドデカニル基、11−メチルドデカニル基、3−エチルウンデカニル基、3−エチル−4,5,6−トリメチルオクチル基、1−メチルトリデカニル基、1−ヘキシルオクチル基、2−ブチルデカニル基、2−ヘキシルオクチル基、4−エチル−1−イソブチルオクチル基、1−メチルペンタデカニル基、2−ヘキシルデカニル基、2−オクチルデカニル基、2−ヘキシルドデカニル基、16−メチルヘプタデカニル基、9−メチルヘプタデカニル基、7−メチル−2−(3−メチルヘキシル)デカニル基、3,7,11,15−テトラ−メチルヘキサデカニル基、2−オクチルドデカニル基、2−デシルテトラデカニル基、2−ドデシルヘキサデカニル基等を例示することができる。
【0014】
また、R
2で表される、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜12の炭化水素基としては2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジメチルペンタニル基、1−イソプロピルブチル基、1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−イソプロピルプロピル基、2−エチル−4−メチルペンチル基、1−プロピル−2,2−ジメチルプロピル基、1,1、2−トリメチル−ペンチル基、1−イソプロピル−3−メチルブチル基、1,2−ジメチル−1−エチルブチル基、1,3−ジメチル−1−エチルブチル基、1−エチル−1−イソプロピル−プロピル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1−メチル−1−エチルペンチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,4―ジメチルヘキシル基、1−エチル−3―メチルペンチル基、1,5―ジメチルヘキシル基、1−エチル−6−メチルヘプチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1,2−ジメチル−1−イソプロピルプロピル基、3−メチル−1−(2,2−ジメチルエチル)ブチル基、1−イソプロピルヘキシル基(C9)、3.5.5−トリメチルヘキシル基、2−イソプロピル−5−メチルヘキシル基、1,5−ジメチル−1−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2,4,5−トリメチルヘプチル基、2,4,6−トリメチルヘプチル基、3,5−ジメチル−1−(2,2−ジメチルエチル)ヘキシル等を例示することができる。
【0015】
本発明のコポリマーに含まれる構成単位Iは1種のみでもよいが、上記一般式(I)を満たすものであれば2種以上の構成単位Iを組み合わせて含有していてもよい。
【0016】
本発明のコポリマーにおける、構成単位Iの全構成単位に占める割合は、好ましくは1〜35質量%、より好ましくは、5〜25質量%である。下限以下では、得られるコポリマーを含有する皮膚外用剤の使用感が低下する場合があり好ましくない。また、上限以上では得られるコポリマーの皮膚外用剤の構成成分、特に水への溶解性が著しく低下し、皮膚外用剤の調製が困難になる場合があり、好ましくない。
【0017】
一般式(I)で表される疎水性モノマーは常法によって合成することができる。例えば、該当するアルコールと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸無水物又は(メタ)アクリル酸クロライドとのエステル化反応により、容易に合成することが可能である。以下、一般式(I)で表される疎水性モノマーの製造例を示す。
【0018】
<製造例1>
攪拌装置を備えた反応容器中で、3,3−ジメチル−2−ブタノール(東京化成工業(株)製)20.4g(0.2モル)、トリエチルアミン50.0gをテトラヒドロフラン500mlに溶解した。得られた溶液を氷冷、攪拌しながら、酸クロライドとして、アクリル酸クロライド(東京化成工業(株)製)18.1gをテトラヒドロフラン100mlに溶解してなる溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、生成した白色沈殿を濾過し、濾液からロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去して生成物を得た。NMR測定により、得られた化合物が、一般式(IV)で表される、1、2,2−トリメチルプロピルアクリレートであることが確認された。
一般式(IV)
【化5】
(IV)
【0019】
<製造例2〜6>
製造例1におけるアルコール及び酸クロライドを表1に示すように変更した以外は、上記製造例1と同様の操作を行って、一般式(I)で表される疎水性モノマーを調製した。得られた疎水性モノマーを表1及び一般式(V)〜(IX)に示す。
【0020】
【表1】
* 1)東京化成工業(株)製
* 2)東京化成工業(株)製
* 3)「ノナノール」協和発酵ケミカル(株)製
* 4)東京化成工業(株)製
* 5)「リソノール16SP」高級アルコール工業(株)製
* 6)「ファインオキソコール(登録商標) 180」日産化学工業(株)製
【0021】
製造例2の化合物
一般式(V)
【化6】
(V)
【0022】
製造例3の化合物
一般式(VI)
【化7】
(VI)
【0023】
製造例4の化合物
一般式(VII)
【化8】
(VII)
【0024】
製造例5の化合物
一般式(VIII)
【化9】
(VIII)
【0025】
製造例6の化合物
一般式(IX)
【化10】
(IX)
【0026】
<2> 本発明のコポリマーを構成する親水性モノマーから誘導される構成単位。
本発明のコポリマーは重合性カルボン酸、その塩又は下記一般式(II)で表されるモノマーからなる群から選択される親水性モノマー誘導される構成単位の一種または二種以上を必須構成単位として含有する。(以下、一般式(II)で表されるモノマーからなる群から選択される親水性モノマー誘導される構成単位を単に、構成単位IIと呼ぶことがある。)
一般式(II)
【化11】
(II)
(一般式(II)中R
3は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
4は水酸基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R
5は水素原子、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアシル基を表す。nは6〜40の整数を表す。)
【0027】
重合性カルボン酸又はその塩としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩等が例示できる。これらの中では、重合性が高いことから、アクリル酸、メタクリル酸及びその塩が特に好ましい。本発明の水溶性コポリマーに重合性のカルボン酸の塩から誘導される構成単位を導入する場合は重合性カルボン酸を予め塩となし、重合反応を行っても良いし、重合反応により、重合性カルボン酸から誘導される構成単位をコポリマーに誘導した後、塩基により中和して塩となしてもよい。
【0028】
一般式(II)においてR
3で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、シクロプロピル基が例示できる。本発明において、R
3は水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0029】
また、R
4で表されるアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、2−ヒドロキシプロピレン基、1−ヒドロキシ−2−メチルエチレン基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチレン基などが例示できるが、これらのうち、好ましくはエチレン基又はプロピレン基であり、より好ましくはエチレン基である。
【0030】
また、R
5で表される基のうち、炭素数6〜10の芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基等が例示でき;炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、オクチル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基などが好適に例示でき;炭素数1〜12のアシル基としては、フォルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ラウロイル基などが好適に例示できる。これらのうち、R
5で表される基として好ましくは炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基である。
【0031】
さらに、一般式(II)におけるnは6〜40の数値範囲であることが重要である。本発明においてnが上記範囲である構成単位IIをコポリマーに導入することにより、皮膚外用剤の構成成分、特に水への溶解性が良好であるコポリマー得て、容易にコポリマーを皮膚外用剤に含有させることが可能となり、かつ、皮膚外用剤に優れた保湿効果及び使用感を付与することができる。nが6未満の場合は得られるコポリマーの皮膚外用剤の構成成分、特に水への溶解性が著しく低下する場合があり、好ましくない。反対に、nが40より大きすぎると皮膚外用剤のべたつきやきしみが増幅される場合があるので好ましくない。
【0032】
上記一般式(II)で表されるモノマーのうち、R
4がプロピレン基であるモノマーとして具体的には、ポリプロピレングリコール(9)モノアクリレート、ポリプロピレングリコール(13)モノアクリレート、ポリプロピレングリコール(9)モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール(13)モノメタクリレート等が挙げられる。なお、括弧内の数字はNを表す。これらのポリマーの多くは市販品として入手可能である。これら市販品としては、具体的には、商品名「ブレンマー」AP−400、AP−550、AP−800、PP−500、PP−800(いずれも日本油脂(株)製)等が例示できる。なお、R
4がエチレン基であるモノマーの具体例は後述する。
【0033】
上記一般式(II)で表される親水性モノマーから誘導される構成単位の中でも特に好ましいものとして、下記一般式(III)で表される親水性モノマーから誘導される構成単位が挙げられる。
一般式(III)
【化12】
(III)
(一般式(III)中R
6は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
7は水素原子、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアシル基を表す。mは6〜40の整数を表す。)
【0034】
このような一般式(III)で表されるモノマーを具体的に例示すれば、ポリエチレングリコール(10)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(8)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(23)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(23)モノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(9)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(9)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(23)メタクリレート、オレイロキシポリエチレングリコール(18)メタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(18)アクリレート、ラウロイロキシポリエチレングリコール(10)メタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(30)モノメタクリレート等が挙げられる。なお、括弧内の数字はmの値を示す。
【0035】
なお、一般式(II)において述べたように、一般式(III)においても同様に、膚外用剤の構成成分、特に水への溶解性が良好であるコポリマーを得て、かつ、皮膚外用剤に優れた保湿効果及び使用感を付与ためにはmは6〜40の数値範囲であることが重要である。
【0036】
これら上記の親水性モノマーは、対応するポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリエチレングリコールモノエステルとアクリル酸、メタクリル酸のクロライド又は無水物とのエステル化反応により高収率で得ることができる。また、既に市販品も多数存在するので、かかる市販品を利用することも可能である。このような市販品としては、具体的に、商品名ブレンマー、AE−400、PE−350、AME−400、PME−400、PME−1000、ALE−800、PSE−1300等(いずれも日本油脂(株)製)等が例示できる。
【0037】
本発明の水溶性コポリマーに含まれる親水性のモノマーから誘導される構成単位は1種のみでもよいが、前述の条件を満たすものであれば2種以上の構成単位を組み合わせて含有していてもよい。
【0038】
本発明のコポリマーにおける、親水性のモノマーから誘導される構成単位の全構成単位に占める割合は、好ましくは30〜95質量%、より好ましくは、40〜90質量%である。下限以下では、得られるコポリマーの膚外用剤の構成成分、特に水への溶解性が著しく低下する場合があり、好ましくない。また、上限以上では得られるコポリマーを含有する皮膚外用剤のべたつきやきしみが増幅される場合があり好ましくない。
【0039】
<3> 本発明のコポリマーに含まれうるその他の任意の構成単位
本発明のコポリマーは、上記の必須構成単位I及び親水性モノマーから誘導される構成単位以外に、通常共重合体で使用されるモノマーから誘導される単位を、発明の効果を損なわない範囲で任意の構成単位として有することができる。かかる任意の構成単位としては、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリル酸モノアルキルアミド、メタクリル酸モノアルキルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2エチルヘキシル、メタクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の一般式(I)で表される疎水性モノマーに含まれない(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸の環状アルキルエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル等のモノマーから誘導される構成単位が例示できる。これらのモノマーの殆どは市販品として入手可能である。
【0040】
<4>本発明のコポリマー
本発明のコポリマーは、上記構成単位I及び親水性のモノマーから誘導される構成単位、並びに必要に応じて任意の構成単位を、その骨格中に含有する共重合体である。
【0041】
また、本発明のコポリマーは通常はその構成単位がランダムに結合したランダム共重合体であるが、ブロック共重合体又はグラフト共重合体であってもよい。
【0042】
本発明のコポリマーの製造方法は特に限定されないが、例えば各構成単位を誘導するモノマーを溶媒中で混合し、アクリル系モノマーの重合で通常用いられる方法に従って重合反応を行う方法により得ることができる。
【0043】
また、本発明のコポリマーは、皮膚外用剤へ含有させることが容易であることから、水溶性であることが好ましい。ここでいう水溶性コポリマーとは25℃において、コポリマーの20質量%水溶液の透過率が90%以上あるコポリマーと定義される。このようなポリマーを得るためには、上記重合方法の中でも前記モノマー混合物を、水溶液と25℃で水と任意の割合で混和する水性溶媒との混合溶媒中で、ラジカル重合する重合方法が特に好ましい。また、重合反応後の残存モノマーの量が少ないことから、水の替わりに緩衝溶液を用いる重合法がさらに好ましい。この方法で使用する緩衝作用を有する水溶液としては、通常使用される緩衝溶液であれば特に限定されないが、具体的には、塩化カリウム−塩酸溶液、フタル酸水素カリウム−塩酸溶液、リン酸二水素カリウム−リン酸水素二ナトリウム溶液、クエン酸水素カリウム−クエン酸溶液、炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウム溶液等が例示できる。また、開始剤のイオンと緩衝溶液を形成するような塩類、酸或いは塩基類の水溶液を用い、開始剤を添加した時点で緩衝溶液となしてもよい。さらに、この方法で用いる25℃で水と任意の割合で混和する水性溶媒としては、具体的にはメチルアルk−ル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜3のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール等のジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、テトラヒドロフラン等が例示できる。これらの水性溶媒の中では、重合反応が進行しやすいことから、メチルアルコ−ル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜3のアルコールが特に好ましい。
【0044】
以下、本発明のコポリマー、比較例のコポリマーの製造例を示す。
<製造例7>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、製造例5の疎水性モノマー30.0g、メトキシポリエチレングリコール(23)メタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPME−1000」)90.0g、イソプロピルアルコール300ml、水300mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過硫酸アンモニウム2.0gを水20mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、65℃で16時間反応を行った。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去し、本発明のコポリマー1の水溶液を得た。
【0045】
<製造例8>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、製造例2の疎水性モノマー36.0g、アクリル酸(東京化成工業(株)製)84.0g、エチルアルコール300mlと0.05M炭酸ナトリウム水溶液30ml及び0.1M炭酸水素ナトリウム溶液270mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過硫酸アンモニウム2.0gを水20mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、60℃で20時間反応を行った。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、ロータリーエバポレーターでエチルアルコールを除去し、本発明のコポリマー2の水溶液を得た。
【0046】
<製造例9>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、製造例3の疎水性モノマー24.0g、メトキシポリエチレングリコール(9)メタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPME−400」)72.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)24.0g、イソプロピルアルコール300ml、0.2M塩化カリウム水溶液75ml、0.2N塩酸15.8ml及び水209.2mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過硫酸アンモニウム2.0gを水20mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、70℃で14時間反応を行った。反応終了後、水酸化カリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去し、本発明のコポリマー3の水溶液を得た。
【0047】
<製造例10>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、製造例4の疎水性モノマー9.0g、ポリエチレングリコール(10)モノアクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーAE−400」)45.0g、メチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)6.0g、エチレングリコールモノメチルエーテル180ml及び0.002N塩酸120mを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過硫酸アンモニウム1.0gを水10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、65℃で16時間反応を行った。反応終了後、水酸化カリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、ロータリーエバポレーターでエチレングリコールモノメチルエーテルを除去し、本発明のコポリマー4の水溶液を得た。
【0048】
<製造例11>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、製造例6の疎水性モノマー24.0g、メトキシポリエチレングリコール(9)アクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーAE−400」)96.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成工業(株)製)6.0g、イソプロピルアルコール300ml、りん酸塩緩衝溶液(pH6.8)(ナカライテスク(株)製)300mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過硫酸アンモニウム2.0gを水20mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、65℃で16時間反応を行った。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去し、本発明のコポリマー5の水溶液を得た。
【0049】
<製造例12>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、製造例1の疎水性モノマー30.0g、ポリエチレングリコール(9)モノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPME−400」)30.0g、酢酸エチル180ml及びエチルアルコールを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過酸化ベンゾイル0.5gをエチルアルコール10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間、リフラックスを行った。反応終了後、2−エチルヘキサン酸トリグリセリル300gを添加し、ロータリーエバポレーターで酢酸エチル及びエチルアルコールを除去し、本発明のコポリマー6の2−エチルヘキサン酸トリグリセリル溶液を得た。
【0050】
<製造例13>(比較例)
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、2−エチルへキシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)30.0g、メトキシポリエチレングリコール(23)メタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPME−1000」)90.0g、イソプロピルアルコール300ml、りん酸塩緩衝溶液(pH6.8)(ナカライテスク(株)製)300mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過硫酸アンモニウム2.0gを水20mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、65℃で16時間反応を行った。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去し、コポリマー7の水溶液を得た。
【0051】
<製造例14>(比較例)
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、ステアリルメタクリレート(東京化成工業(株)製)30.0g、メトキシポリエチレングリコール(23)メタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPME−1000」)90.0g、イソプロピルアルコール300ml、りん酸塩緩衝溶液(pH6.8)(ナカライテスク(株)製)300mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過硫酸アンモニウム2.0gを水20mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、65℃で16時間反応を行った。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去し、コポリマー8の水溶液を得た。
【0052】
<5>本発明の皮膚外用剤
本発明の外用剤は、前記、構成単位I及び親水性のモノマーから誘導される構成単位を必須構成単位として含有し、場合により、その他のモノマーから誘導される構成単位を任意の構成単位として含有するコポリマーを必須成分として含有する。
【0053】
本発明の皮膚外用剤における、該コポリマーの含有量は、好ましくは、0.5〜25質量%、さらに好ましくは、1〜15質量%である。下限値以下では本発明の効果が発揮されない場合があり好ましくない。また、上限値以上では、皮膚外用剤構成成分、特に水への溶解性が低く、コポリマーを均一に含有する皮膚外用剤の調製が困難である場合があり好ましくない。
【0054】
本発明の皮膚外用剤としては、軟膏等の外用医薬品、化粧品等が好適に例示できる。さらに、化粧品としては、クリーム、乳液、化粧水、美容液等のスキンケア、アンダーメーク、ファンデーション、アイカラー、マスカラ等のメークアップ、へアトニック、ヘアリキッド、ヘアスプレー等の毛髪化粧料等が例示できる。
【0055】
本発明の皮膚外用剤は発明の効果を損なわない範囲で、通常、皮膚外用剤に使用する、成分を、任意成分として含有することができる。かかる任意成分としては、具体的には、
マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及、t−ブチルメトキシベンゾイルメタン、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【0056】
本発明の皮膚外用剤は、上記必須成分と任意成分とを常法によって処理することにより、調製することができる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明がこれら実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
<実施例1〜3、比較例1〜3>
下記の表2に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧水及び比較例の化粧水を作製した。即ち、表1に示す成分(イ)の混合物を室温で攪拌混合し均一溶液とした。成分(ロ)の混合物を75℃に加熱し、攪拌混合し均一溶液とした。成分(イ)の混合物を攪拌しながら、室温まで冷却した成分(ロ)の混合物をゆっくり添加し、二つの溶液を混合して化粧水を得た。なお、表2中の数字は質量%を表す。
【0058】
【表2】
【0059】
<試験例1>皮膚の保湿性試験
試験は、5名のパネラーを対象として、20℃、相対湿度50%の部屋で実施した。測定部位を37℃の温水で30秒間洗浄し、20分間安静にし、その後、測定を行った。前腕内側部の皮膚を対象として、試験予定日の前日(−1日)に試験予定部位の皮膚水分量をSKICON−200EX(IBS社製)にて測定した。その後、5%濃度のラウリル硫酸ナトリウム水溶液を含浸させたガーゼ(2cm×2cm)を30分間接触させた。翌日(0日)SKICON−200EXにて、皮膚水分量を測定、その後、実施例1〜3の化粧水及び比較例1〜3の化粧水を塗布した。試験サンプルの塗布は、一日3回実施した。塗布1日後、2日後に再度皮膚水分量を測定した。同時に、試験サンプルの塗布を行わない未処置対照の試験も実施した。なお、測定値は5名のパネラーの平均値とした。結果を表3に示す。
【0060】
<試験例2>粘着性の測定
スライドガラス上に実施例1〜3の化粧水及び比較例1〜3の化粧水0.1mlを1.2cmφの面積に塗布し、化粧水の使用中の状態を意識し、40℃、相対湿度60%で一時間乾燥し、試験膜を作成した。この試験膜の粘着性をハンディー圧着試験器KES−G5((株)カトーテック製)を用いて評価した。粘着性は装置のヘッドを塗布膜から引き剥がす際の粘着力(g)で表した。すなわち、この値が高いほど塗布膜の粘着性が高いことを表している。結果を表3に示す。
【0061】
<試験例3>動摩擦係数の測定
人肌類似のポリウレタン製合成皮革(試験前に予めエタノールで表面を清潔にしておく)の短冊(15cm×5cm)上の長手方向の端から1cmで、3cm×3cmの範囲に、実施例1〜3の化粧水及び比較例1〜3の化粧水20mgを均一に塗布し、両面テープで実験台に固定する。一方、同じ合成皮革片3cm×3cmを、荷重を載せる治具に両面テープで貼り付けておく。前記試料の塗布面に、上記治具を合成皮革の面を対向させて載置し、荷重200gを載せ、表面性試験機(トリラボ ハンディーラブテスター Type TL701)にて摩擦抵抗を測定した。測定条件は、掃引速度200mm/sec、掃引距離10cm、リピート回数10回とし、往路の10回の摩擦抵抗値の平均を動摩擦抵抗値とした。動摩擦係数は、動摩擦抵抗値÷荷重にて算出した。動摩擦係数が小さいほど、滑りに対する抵抗が無いことを表す。結果を表3に示す。
【0062】
<試験例4>べたつき及びきしみの評価
熟練評価者5名により、肌上に塗布中の実施例1〜3の化粧水及び比較例1〜3の化粧水のべたつき及びきしみを以下の評価基準で官能評価した。
べたつき 1:べたつきをかなり感じる、2:べたつきを感じる、3:べたつきをやや感じる、4:べたつきをごくわずかに感じる、5:べたつきを全く感じない。
きしみ 1:きしみをかなり感じる、2:きしみを感じる、3:きしみをやや感じる、4:きしみをごくわずかに感じる、5:きしみを全く感じない。
なお、評価は比較例1の化粧水の評点を3.0としておこない、5名の評点の平均値をサンプルの評点とした。結果を表3に示す。
【0063】
【表3】
表3から明らかなように、本発明の皮膚外用剤は皮膚の保湿性に優れ、かつ、使用中の塗膜の粘着性が低く、結果としてべたつきを感じず、動摩擦係数も低く、結果としてきしみを感じないという使用に優れることが実証された。
【0064】
<実施例4〜6、比較例4〜6>
下記の表4に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である乳液と比較例の乳液を作製した。即ち、表4に示す成分(イ)の混合物および成分(ロ)の混合物を80℃に加熱し、攪拌混合して、それぞれ均一溶液とした。温度を80℃に保ちながら、攪拌を行いつつ、成分(イ)の混合物に(ロ)の混合物を徐々に加えて乳化し、攪拌冷却して乳液を得た。なお、表4中の数字は質量%を表す。実施例4〜6、比較例4〜6で得た乳液を用いて、試験例1〜4と同様の方法で皮膚の保湿性、粘着性、動摩擦係数、べたつき、きしみを評価した。べたつきときしみの評価に於いては比較例4の評点を3.0とした。結果を表5に示す。
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
表5より明らかなように、乳液においても、本発明の皮膚外用剤が皮膚の保湿性に優れ、かつ、使用中の塗膜の粘着性が低く、結果としてべたつきを感じず、動摩擦係数も低く、結果としてきしみを感じないという使用に優れることが実証された。
【0067】
<実施例7〜9、比較例7〜9>
下記の表6に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤であるクリームと比較例のクリームを作製した。即ち、表6に示す成分(イ)の混合物に、成分(ロ)を分散させた。分散された成分(ロ)を含む成分(イ)の混合物を攪拌しながら80℃に加熱し、これに80℃に加熱された成分(ハ)の混合物を徐々に加えて乳化させた。得られた乳化物を攪拌冷却して、クリームを得た。なお、表6中の数字は質量%を表す。実施例7〜9、比較例7〜9で得たクリームを用いて、試験例1〜4と同様の方法で皮膚の保湿性、粘着性、動摩擦係数、べたつき、きしみを評価した。べたつきときしみの評価に於いては比較例7の評点を3.0とした。結果を表7に示す。
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
表7より明らかなように、クリームにおいても、本発明の皮膚外用剤が皮膚の保湿性に優れ、かつ、使用中の塗膜の粘着性が低く、結果としてべたつきを感じず、動摩擦係数も低く、結果としてきしみを感じないという使用に優れることが実証された。
【0070】
<実施例10〜12、比較例10〜12>
下記の表8に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤であるファンデーションと比較例のファンデーションを作製した。即ち、表8に示す成分(イ)の混合物および成分(ロ)の混合物を80℃に加熱し、攪拌混合して、それぞれ均一溶液とした。成分(イの混合物に(ハ)を加えて、ディスパーを用いて分散し、温度を80℃に保ちながら、攪拌を行いつつ、成分(ロ)の混合物を徐々に加えて乳化し、攪拌冷却してファンデーションを得た。なお、表8中の数字は質量%を表す。実施例10〜12、比較例10〜12で得たファンデーションを用いて、試験例1〜4と同様の方法で皮膚の保湿性、粘着性、動摩擦係数、べたつき、きしみを評価した。べたつきときしみの評価に於いては比較例10の評点を3.0とした。結果を表9に示す。
【0071】
【表8】
【0072】
【表9】
表9より明らかなように、メークアップ品においても、本発明の皮膚外用剤が皮膚の保湿性に優れ、かつ、使用中の塗膜の粘着性が低く、結果としてべたつきを感じず、動摩擦係数も低く、結果としてきしみを感じないという使用に優れることが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は化粧料に活用できる。