(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電池が一列あたり複数個並べて収容される収容部に、各電池間を仕切る仕切り部が設けられており、該仕切り部に該電池間を直列接続するための中間電極が配置されている電池収容装置であって、
該中間電極は、その構成する別体に形成された二枚の導電性の板のうち、該板の一方が該電池の正極と接触する正面側に対して背面側に平坦部が形成されている正極電極と、該板の他方が該電池の負極に接触する正面側に対して背面側に平坦部が形成されている負極電極とからなり、該正極電極及び該負極電極の少なくとも一方が該電池を付勢する弾性体を有し、
かつ前記正極電極及び前記負極電極の少なくとも一方の正面側に、前記仕切り部の溝内に挿入された該正極電極及び該負極電極の前記平坦部を互いに接触して保持させるための突起部が突出して形成されていることを特徴とする電池収容装置。
【背景技術】
【0002】
単1〜単6形等の円筒状の電池(乾電池又は充電式電池)で動作する電子機器として、例えば携帯型マルチメータ、携帯型電力計等の測定装置や、テレビのリモートコントロール送信機(リモコン送信機)、デジタルカメラ等がある。これら電子機器には、電池を交換し易いように、例えば装置の背面や底面に、蓋で開閉可能な電池の収容部が設けられている。
【0003】
このような電子機器を誤って落下させたり、ぶつけたりした場合、その衝撃で電池が収容部から飛び出してしまうという問題があった。特に電池が直列に並べられて収容されている場合、電極のばね性により複数の電池が列方向に付勢されているため、一層飛び出し易かった。
【0004】
例えば特許文献1には、一列に並んで収容される各電池間に仕切り部(突起部)を設け、そこに中間電極を配置して、電池を一つずつ電極のばねで付勢することで、電池を飛び出し難くした電池収容器が記載されている。この電池収容器の中間電極は、負極用の円錐渦巻状のコイル電極と正極用の平面渦巻状の平面部とによって形成されている。同文献中に詳細な記載はないが、この中間電極は、1本の線材をコイル電極及び平面渦巻状の平面部に巻いて形成しているか、又は、コイル電極と平面渦巻状の平面部とを別部材で形成して、半田付けや電線等で接続しているものと解される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
中間電極を例えば一つの部材で形成する場合、形状が複雑になるので製造するために高度な技術が必要であり、中間電極のコストが高くなる。又、中間電極を2つの別部材で構成してそれらを半田付け等で接続する場合、形状が単純になるため中間電極のコストは安価になるが、接続のための人手が必要になり組み立てに時間が掛かる。
【0007】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、一列に並んだ電池間に配置する中間電極を低コストなものにすることができ、さらに組み立てを短時間で簡便に行うことができる電池収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された電池収容装置は、
電池が一列あたり複数個並べて収容される収容部に、各電池間を仕切る仕切り部が設けられており、該仕切り部に該電池間を直列接続するための中間電極が配置されている電池収容装置であって、該中間電極
は、その構成する別体に形成された二枚の導電性の板のうち、該板の一方が該電池の正極と接触する
正面側に対して背面側に平坦部が形成されている正極電極と、
該板の他方が該電池の負極に接触する
正面側に対して背面側に平坦部が形成されている負極電極と
からなり、該正極電極及び該負極電極の少なくとも一方が該電池を付勢する弾性体を有し、
かつ前記正極電極及び前記負極電極の少なくとも一方の正面側に、
前記仕切り部の溝内に挿入された該正極電極及び該負極電極の前記平坦部を互いに接触して保持させるための突起部が突出して形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載された電池収容装置は、請求項1に記載されたものであり、
前記突起部が、前記正極電極及び前記負極電極の各正面側であって、該正極電極と該負極電極とが重ね合わされたとき、背中合わせとなる位置に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載された電池収容装置は、請求項
1又は2に記載されたものであり、前記正極電極及び前記負極電極の各々
は、その正面側から見たとき、中心線よりも左右側の一方側の位置に逆差し防止爪が形成されて非対称形状で
あり、
前記逆差し防止爪に対応する逆差し防止孔が前記仕切り部
に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載された電池収容装置は、請求項
3に記載されたものであり、
前記正極電極及び前記負極電極の各々に形成された前記逆差し防止爪は、該正極電極と該負極電極とが重ね合わされたとき、同じ位置に重なり合うように形成されており、該重ね合された該逆差し防止爪が挿入される前記逆差し防止孔が前記仕切り部に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載された電池収容装置は、請求項1から4のいずれかに記載されたものであり、前記正極電極及び前記負極電極が、
前記仕切り部の係止穴に係止される抜け止め爪を有していることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載された電池収容装置は、
電池が一列あたり複数個並べて収容される収容部に、各電池間を仕切る仕切り部が設けられており、該仕切り部に該電池間を直列接続するための中間電極が配置されている電池収容装置であって、該中間電極は、その構成する別体に形成された二枚の導電性の板のうち、該板の一方が該電池の正極と接触する正面側に対して背面側に平坦部が形成されている正極電極と、該板の他方が該電池の負極に接触する正面側に対して背面側に平坦部が形成されている負極電極とからなり、前記正極電極及び前記負極電極の各々は、その正面側から見たとき、中心線よりも左右側の一方側の位置に逆差し防止爪が形成されて非対称形状であり、前記逆差し防止爪に対応する逆差し防止孔が前記仕切り部に形成され、かつ該正極電極及び該負極電極の少なくとも一方が該電池を付勢する弾性体を有しており、該仕切り部に形成された溝内に、該平坦部が互いに接触して保持されるように該正極電極と該負極電極とが重ね合わされて挿入されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電池収容装置によれば、中間電極
の正極電極と負極電極とを二枚の導電性の板に形成したことで、各々の形状が単純な形状になるので、製造が容易になり安価なものになる。さらに正極電極及び負極電極が、弾性体の付勢力で接触して電気的に導通することから、正極電極と負極電極とを例えば半田付けやコネクタ等で接続する必要がなく、短時間で簡便に組み立てることができる。
しかも、正極電極及び負極電極が互いを接触させるための平坦面を有しており、電気的に安定して確実に接続することができる。
【0015】
また、正極電極及び負極電極は、その平坦部が互いに接触して保持されるように重ね合わされて、仕切り部に形成された溝に挿入されて保持されており、一層簡便に組み立てることができる。
【0016】
正極電極及び負極電極の少なくとも一方の正面側に、仕切り部の溝内に挿入された正極電極及び負極電極の平坦部を互いに接触させるための突起部を有している場合、特に突起部が、正極電極及び負極電極の各正面側であって、正極電極と該負極電極とが重ね合わされたとき、背中合わせとなる位置に形成されている場合、電気的に安定して確実に接続することができる。
【0017】
正極電極及び前記負極電極の各々に、中心線よりも左右側の一方側の位置に逆差し防止爪が形成されており、この逆差し防止爪に対応する逆差し防止孔が仕切り部
に形成されている場合、特に
正極電極及び負極電極の各々に形成された逆差し防止爪が、正極電極と負極電極とが重ね合わされたとき、同じ位置に重なり合うように形成されており、重ね合された逆差し防止爪が挿入される逆差し防止孔が仕切り部に形成されている場合、正極電極及び負極電極を誤って逆向きで仕切り部に保持させようとしても、形状が合わず仕切り部に取り付けることができない。そのため、正極電極及び負極電極を正しい向きで仕切り部に取り付けることができる。
【0018】
正極電極及び負極電極が仕切り部の
係止穴に係止される
抜け止め爪を有している場合、各電極が仕切り部から脱落せず、振動等の衝撃があっても仕切り部による保持を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0021】
本発明の電池収容装置の一例である携帯型マルチメータ1の背面図を
図1に示す。このマルチメータ1は、一例として直方体の筐体2を有している。この筐体2の背面(図の観察面側)には、一例として単3形の4本の電池90a〜90d(以下、単に電池90ともいう)を収容するために略直方体の部屋状に窪ませた収容部3が、筐体2と一体的に樹脂で形成されている。収容部3は、一列あたり電池90を直列に2本並べて収容すると共に、その列を2列収容可能な形状に形成されている。同図では、電池90aと電池90bとが一列に並べられており、電池90cと電池90dとが一列に並べられている例を示している。
【0022】
収容部3は、図示しない取り外し式の蓋によって、開口部が開閉されるようになっている。収容部3の一端部(図の下方)の近くに形成された切欠き孔51は、蓋に形成された爪を掛止するための孔であり、収容部3の他端部(図の上方)の近くに形成された螺子孔52は蓋を螺子止めするための孔である。
【0023】
この収容部3は、正極電極11,13、負極電極12,14、仕切り部4、電池支持壁5、及び中間電極6a,6bを備えている。
【0024】
正極電極11は、電池90aの正極に接触し、正極電極13は電池90cの正極に接触する凸部付の導電性の板である。負極電極12は、電池90bの負極に接触し、負極電極14は電池90dの負極に接触するコイルばね付きの導電性の板である。正極電極11,13、及び負極電極12,14は従来の電池収容装置に使用されるものと同様のものであるので、詳細な説明は省略する。負極電極12と正極電極13とが、装置内部で電気的に接続されていて、電池90a〜90dが電気的に直列に接続されるようになっている。
【0025】
仕切り部4は、一列に並べられる2本の電池90間を仕切り、中間電極6a,6bを保持するためのものである。仕切り部4は、収容部3と一体的に樹脂で形成されている。仕切り部4の構造については後述する。
【0026】
電池支持壁5は、各電池90が列に対して横方向にずれないように電池90を支持するためものである。電池支持壁5は、一例として
図4に示すように、電池90と接する部分が電池90の円筒径と略同径の円弧状に形成されている。この電池支持壁5は、収容部3と一体的に樹脂により形成されている。
【0027】
中間電極6aは、電池90a,90b間を電気的に直列接続するためのものである。中間電極6bは、電池90c,90d間を電気的に直列接続するためのものである。中間電極6a及び中間電極6bは、各々、正極電極7及び負極電極8の2つによって構成されている。
【0028】
正極電極7を
図2に示す。
図2(a)は正極電極7の正面図、
図2(b)は正極電極7の側面図、
図2(c)は正極電極7の斜視図である。
【0029】
正極電極7は、一例として黄銅板にニッケルメッキが施された導電性の板である。正極電極7の外形形状は任意の形状に形成することができるが、同図では、正極電極7を正方形形状に形成した例を示している。平坦な板状の正極電極7には、凸部21、固定用隆起部22、
抜け止め爪23、及び逆差し防止爪24が形成されている。
【0030】
凸部21は、電池90の正極に接触し易くするために板状の正極電極7の中央部を正面側に隆起させたものである。固定用隆起部22は、正極電極7の左右両側を、円弧状に正面側に隆起させたものである。
抜け止め爪23は、正極電極7の下側(図の下側)の左右両側に、上側が開くように正面側に切り起こしたものである。逆差し防止爪24は、正極電極7の下側を下方に延長するように突出させたものである。逆差し防止爪24は、正極電極7が非対称の形状になるように、一例として中心線Cよりも左側に位置するように形成されている。
図2(b)に示すように、正極電極7の背面側には何も突出しておらず、正面側に突出している凸部21等以外の部分は平坦面になっている。
【0031】
正極電極7は、一例として、板材を金型で打ち抜いたり曲げたり隆起させたりするプレス加工により製造する。このプレス加工時に、正極電極7の外形形状と共に、凸部21〜逆差し防止爪24も同時に形成する。
【0032】
負極電極8を
図3に示す。
図3(a)は負極電極8の正面図、
図3(b)は負極電極8の側面図、
図3(c)は負極電極8の斜視図である。
【0033】
負極電極8は、一例として黄銅板にニッケルメッキが施された導電性の板30に、ニッケルメッキ鋼線などで形成された導電性の円錐渦巻状のコイルばね31が取り付けられているものである。板30は、正極電極7の外形形状に合わせた形状で形成することが好ましく、同図では、板30を、正方形形状に形成した例を示している。コイルばね31は、板30の背面側が突出しないように、板30の正面の略中央部に、一例として板30をかしめ加工して固定されている。このコイルばね31は、弾性体の一例であり、電池90を付勢しつつ、電池90の負極に接触するためのものである。
【0034】
平坦な板30には、固定用隆起部32、
抜け止め爪33、逆差し防止爪34が形成されている。これらは、一例としてプレス加工により形成する。
【0035】
固定用隆起部32は、負極電極8の左右両側を、円弧状に正面側に隆起させたものである。固定用隆起部32は、正極電極7の固定用隆起部22と同様の位置及び大きさで形成することが好ましい。
抜け止め爪33は、負極電極8の下側(図の下側)の左右両側に、上側が開くように正面側に切り起こしたものである。逆差し防止爪34は、負極電極8の下側を下方に延長するように突出させたものである。逆差し防止爪34は、正極電極7が非対称の形状になるように、一例として中心線Dよりも右側に位置するように形成されている。正極電極7と負極電極8とを背中合わせに重ねたとき(背面同士を重ね合わせたとき)に、正極電極7の逆差し防止爪24と、負極電極8の逆差し防止爪34とが、同じ位置に重なり合うように形成することが好ましい。
図3(b)に示すように、板30の背面側には何も突出しておらず、正面側に突出している固定用隆起部32等以外の部分は平坦面になっている。
【0036】
図4に、収容部3の仕切り部4及び中間電極6a,6b部分の拡大斜視図を示す。同図では、電池90が収容されていない状態を示している。
【0037】
仕切り部4には、中間電極6aになる正極電極7及び負極電極8の左右両側を挟み込んで保持するための溝41aが形成されている。又、仕切り部4には、正極電極7の凸部21及び負極電極8のコイルばね31が、電池90(
図1参照)に接触可能なように切り欠いた切欠き部42が形成されている。
【0038】
又、仕切り部4には、中間電極6bになる正極電極7及び負極電極8を保持するための溝41b、及び切欠き部42が形成されている。同図に示すように、中間電極6aと中間電極6bとは、重ね合わせた正極電極7及び負極電極8を逆向きにして用いている違いがあるだけなので、以下では、中間電極6a及びそれを保持する仕切り部4の構造について説明し、中間電極6bに関する説明を省略する。
【0039】
図5に、
図4のA−A線断面図(溝41aの縦断面図)を示す。
【0040】
図5に示すように、中間電極6aになる正極電極7及び負極電極8が、互いに背中合わせに重ねられた状態(接触可能な状態の一例)で、仕切り部4の溝41aに挿入されている。溝41aは、重なり合った正極電極7及び負極電極8の固定用隆起部22,32を、ちょうど挟み込む溝幅、又は僅かに撓ませる程度の溝幅で形成することが好ましい。このような溝幅で溝41aを形成することにより、正極電極7及び負極電極8のがたつきを防止することができる。
【0041】
電池90a,90bを収容したとき(
図1参照)に、負極電極8のコイルばね31が圧縮されるため、その付勢力で負極電極8が正極電極7に強く押し付けられる。このため、正極電極7と負極電極8とが電気的に確実に接続されて、電池90a,90b(
図1参照)間が直列接続される。
【0042】
溝41aの溝幅が、固定用隆起部22,32を挟み込める幅よりも多少広い場合や、固定用隆起部22,32が無い場合には、正極電極7及び負極電極8が溝41a内で多少がたつくが、上記と同様に、電池90aの収容によりコイルばね31が圧縮されるため、その付勢力で正極電極7と負極電極8とが互いに強く押し当てられて接触する。正極電極7は電池90bの正極に押し当てられる。そのため、正極電極7と負極電極8とが電気的に確実に接続されて、電池90a,90b(
図1参照)間が直列接続される。つまり、正極電極7及び負極電極8は、電池90aの収容によりコイルばね31に付勢力が生じたときに、互いの背面(接触部)同士が押し当てられて密に接触するような状態で溝41a内に挿入されていればよく、電池90a,90bが収容されていないときは、互いの背面同士が密に接触していなくてもよい。
【0043】
溝41aが正極電極7及び負極電極8のがたつきを防止できる
図5に示すような溝幅で形成されている場合、正極電極7と負極電極8との背面同士の接触状態が常に保たれるため、正極電極7と負極電極8とが常に電気的に接続されるため好ましい。固定用隆起部22,32が互いに背中合わせになる同様の位置に形成されている場合、正極電極7及び負極電極8が互いに強く押し当てられるため、電気的な接続が一層確実になるのでより好ましい。正極電極7及び負極電極8の背面は平坦面に形成されているので面接触する。このため、電気的な接続が安定して確実なものになる。
【0044】
組み立て時には、正極電極7及び負極電極8を重ね合わせて溝41aに挿入するだけでよい。半田付け等の接続作業は不要であるので、短時間に簡便に組み立てることができる。
【0045】
正極電極7及び負極電極8(板30)は、接触により導通するため、酸化しにくい同種金属及び同種表面処理(例えば表面のニッケルメッキ処理)を用いて製造することが好ましい。
【0046】
仕切り部4には、
抜け止め爪23に対応する位置に、係止穴45が形成されており、
抜け止め爪33に対応する位置に、係止穴46が形成されている。正極電極7及び負極電極8を重ね合わせた状態で、
抜け止め爪23、33を溝41aの溝幅よりも広くなるように切り起こしておくことで、
抜け止め爪23、33が係止穴45,46に係止されて、正極電極7及び負極電極8が溝41aから抜け止めされる。係止穴45,46は、仕切り部4を貫通する貫通孔で形成されていてもよい。
【0047】
図6に、仕切り部4の溝41a部分の横断面図を示す。同図では、正極電極7及び負極電極8を溝41aに差し込む前の状態を示している。負極電極8は正極電極7の背面側(図の裏面側)に重ね合されていて、同図では隠れている。
【0048】
同図に示すように、仕切り部4の溝41aの底部には、正極電極7の逆差し防止爪24、及び負極電極8の逆差し防止爪34に対応する位置に、逆差し防止孔48が形成されている。この例では、逆差し防止孔48は、溝41aの中央よりも図の左側に位置している。このため、正極電極7及び負極電極8が、正しい向きであれば逆差し防止爪24,34が逆差し防止孔48を通って奥まで挿入されるが、逆向きであれば逆差し防止爪24,34が溝41aの底部に当たるため奥まで挿入されない。これにより逆差しが防止される。
【0049】
以上、本発明の電池収容装置の例として、マルチメータ1について説明したが、電池で動作する種々の電子機器に本発明を適用することができる。又、本発明は、単1〜単6形の乾電池を収容する装置に好ましく適用することができるが、例えばボタン型電池のように直列に配置される電池を収容する装置であれば適用可能である。
【0050】
なお、正極電極7及び負極電極8が互いに平坦面で接触する例について説明したが、正極電極7及び負極電極8の少なくとも一方に、互いを接触させるための突起部を形成してもよい。面接触、線接触、点接触の何れで接触させるかは、電極7,8の形状や大きさ、接触抵抗等の関係で適宜選択すればよい。
【0051】
図7に、突起部を設けた負極電極8aの背面側の斜視図を示す。突起部の例として、板30の背面側(図の観察面側)に凸状に突出させた凸部61、板30を背面側に切り起こした立ち上げ部62、及び、板30をアーチ状に隆起させた隆起部63を示している。これらは例示であり、突起部の種類や大きさ、形状、配置する数は、任意である。溝41a(
図4参照)の溝幅は、突起部の突出長を考慮して決定する。
【0052】
又、正極電極7及び負極電極8が共通の溝41aに挿入されて保持される例について説明したが、例えば正極電極7及び負極電極8の左右両側を正面側にL字状に折り曲げて、この折り曲げた部分を、互いに異なる溝に挿入して、固定するようにしてもよい。このように正極電極7及び負極電極8を仕切り部4に保持させる構造は、他の構造であってもよい。
【0053】
又、正極電極7及び負極電極8に固定用隆起部22,32を設けずに、仕切り部4側に樹脂で形成した板ばね等を形成し、正極電極7及び負極電極8を保持する構成にしてもよい。
【0054】
又、負極電極8が弾性体としてコイルばね31を有する例を示したが、
図8に示す負極電極8bのように、弾性体として、板30を切り起こして板ばね31aを形成してもよい。電池90を付勢するコイルばね31や板ばね31aなどの弾性体の構造は、公知の種々の弾性体を採用することができる。又、正極電極7及び負極電極8の少なくとも一方が弾性体を有していればよく、例えば、正極電極7の凸部21に換えて公知の弾性体を備え、正極電極7が電池90を付勢するようにしてもよい。又、正極電極7及び負極電極8が接触可能な状態で、仕切り部4に保持される構造であれば、電極7,8が共に板状でなくてもよい。例えば、正極電極7が板状であり、負極電極8が板30を備えないコイルばね30だけで構成されていてもよい。
【0055】
又、中間電極6a,6b以外の正極電極11,13や負極電極12,14に、正極電極7や負極電極8を使用してもよい。このように電極を共通化することで、一層低コスト化することができる。