(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演算装置は、前記反射波のパルス長の相違と、前記第1車両と前記第2車両との左右のずれ量と、の予め作成された相関関係に、前記反射波のパルス長の相違を適用して前記ずれ量を検出する請求項1に記載の車両の相互位置検出装置。
前記第1車両と前記第2車両とが左右にずれていない場合に、前記センサ対は、前記センサ対の各センサから送信する送信波の水平方向における拡散範囲の半分が送信先の車両に当たるように前記送信波を送信する請求項1,2,4,6のいずれかに記載の車両の相互位置検出装置。
前記演算装置は、前記反射波の強度の相違と、前記第1車両と前記第2車両との左右のずれ量と、の予め作成された相関関係に、前記反射波の強度の相違を適用して前記ずれ量を検出する請求項8に記載の車両の相互位置検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
物流車両などを隊列走行させる走行システムでは、特許文献1に記載の無人走行システムと比べて、先行車両と後続車両との車間距離が長くなる。先行車両と後続車両との車間距離が長い場合は、特許文献1のように、伝送距離に対する減衰率が大きい光を用いて、先行車両に対する後続車両の左右方向のずれ量を検出することは困難である。また、昼間の公道では、白色雑音が大きいため、光を用いて先行車両に対する後続車両の左右方向のずれ量を検出することは困難である。
【0006】
さらに、特許文献1のような左右に所定距離だけ離間した複数のセンサから、音波や電磁波を送信した場合、車間距離が長いと音波や電磁波の拡散範囲が広くなる。よって、反射板と正対したセンサ以外のセンサでも反射波が受信され、左右方向のずれ量の検出精度が悪化することが懸念される。このため、特許文献1に記載の手法は、指向性が狭い音波や電磁波にしか適用することができない。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑み、指向性の広い音波や電磁波を用いた場合であっても、先行車両と後続車両との左右方向の相互位置を検出可能な車両の相互位置検出装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、先行する第1車両と前記第1車両に追従する第2車両とを走行させる走行システムに、適用される車両の相互位置検出装置であって、前記第1車両の後面及び前記第2車両の前面の少なくとも一方の左右両端部に互いに同じ高さで設置され、設置された位置から正面に送信波を送信してその反射波を受信するセンサ対と、前記センサ対の各センサにより受信される前記反射波の強度の相違に基づいて、前記第1車両と前記第2車両との左右のずれ方向を検出する演算装置と、を備える。
【0009】
第1の発明によれば、第1車両の後面及び第2車両の前面の少なくとも一方の左右両端部に互いに同じ高さでセンサ対が設置されており、センサ対の各センサから設置位置の正面に送信波が送信される。センサ対が車両の左右両端部に設置されているため、各センサから送信される送信波が拡散したとしても、拡散範囲が重複することが抑制される。そして、送信された送信波は、センサ対と対面する第1車両又は第2車両により反射されて、センサ対の各センサにより受信される。
【0010】
第1車両と第2車両とが左右にずれていない場合、各センサにより受信される反射波の強度は等しくなる。しかし、第1車両と第2車両とが左右にずれている場合、各センサにより受信される反射波の強度には、ずれ方向に応じた相違が生じる。したがって、各センサにより受信される反射波の強度の相違に基づいて、第1車両と第2車両との左右のずれ方向を検出することができる。したがって、指向性の広い音波や電磁波を用いた場合であっても、先行車両と後続車両との左右方向の相互位置を検出することができる。
【0011】
第2の発明は、先行する第1車両と前記第1車両に追従する第2車両とを走行させる走行システムに、適用される車両の相互位置検出装置であって、前記第1車両の後面及び前記第2車両の前面の少なくとも一方の左右両端部に互いに同じ高さで設置され、設置された位置から正面にパルス波である送信波を送信してその反射波を受信するセンサ対と、前記センサ対の各センサにより受信される前記反射波のパルス長の相違に基づいて、前記第1車両と前記第2車両との左右のずれ方向を検出する演算装置と、を備える。
【0012】
第2の発明によれば、
第1の発明と同様に、センサ対の各センサから送信されたパルス波は、センサ対と対面する第1車両又は第2車両により反射されて、センサ対の各センサにより受信される。そして、第1車両と第2車両とが左右にずれている場合、各センサにより受信される反射波のパルス長には、ずれ方向に応じた相違が生じる。よって、各センサにより受信される反射波のパルス長の相違に基づいて、第1車両と第2車両との左右のずれ方向を検出することができる。したがって、指向性の広い音波や電磁波を用いた場合であっても、先行車両と後続車両との左右方向の相互位置を検出することができる。
【0013】
また、
第3の発明は、先行する第1車両と前記第1車両に追従する第2車両とを走行させる走行システムに、適用される車両の相互位置検出装置であって、前記第1車両の後面及び前記第2車両の前面の少なくとも一方の中央部に設置され、設置された位置から正面に第1送信波を送信する中央センサと、前記第1車両の後面及び前記第2車両の前面のうち、前記中央センサの設置された一方に対する他方の左右対称位置に設置され、前記第1送信波を受信するセンサ対と、前記センサ対の各センサにより前記第1送信波を受信するまでの時間の相違に基づいて、前記第1車両と前記第2車両との左右のずれ方向を検出する演算装置と、を備える。
【0014】
第3の発明によれば、第1車両の後面及び第2車両の前面の少なくとも一方の中央部に中央センサが設置されており、中央センサから設置位置の正面に第1送信波が送信される。そして、送信された第1送信波は、第1車両の後面及び第2車両の前面のうち、中央センサの設置された一方に対する他方の左右対称位置に設置されたセンサ対の各センサにより受信される。
【0015】
第1車両と第2車両とが左右にずれていない場合、中央センサからセンサ対の各センサまでの距離は等しくなる。しかし、第1車両と第2車両とが左右にずれている場合、中央センサから各センサまでの距離には相違が生じる。そのため、各センサにより第1送信波を受信するまでの時間には、ずれ方向に応じた相違が生じる。したがって、各センサにより第1送信波を受信するまでの時間の相違に基づいて、第1車両と第2車両の左右のずれ方向を検出することができる。したがって、指向性の広い音波や電磁波を用いた場合であっても、先行車両と後続車両との左右方向の相互位置を検出することができる。
【0016】
さらに、センサ対の各センサは、中央センサから送信された第1送信波を、反射波ではなく直接波として受信するので、反射波を受信する場合と比較して第1送信波の受信強度が大きくなる。このため、第1車両と第2車両との相互位置を検出可能な距離を、より長くすることができる。
【0017】
また、
第4の発明は、先行する第1車両と前記第1車両に追従する第2車両とを走行させる走行システムに、適用される車両の相互位置検出装置であって、第2車両の前面中央部に設置され、設置された位置から正面に第1送信波を送信する中央センサと、前記第1車両の後面に左右対称位置に設置され、前記第1送信波を受信し、前記第1送信波の受信直後、又は所定時間後に互いに識別可能な第2送信波を設置された位置から正面に送信するセンサ対と、前記中央センサにより前記センサ対の各センサから送信された前記第2送信波を受信するまでの時間の相違に基づいて、前記第1車両と前記第2車両との左右のずれ方向を検出する演算装置と、を備える。
【0018】
第4の発明によれば、第2車両の前面の中央部に中央センサが設置されており、中央センサから設置位置の正面に第1送信波が送信される。送信された第1送信波は、第1車両の後面に左右対称位置に設置されたセンサ対の各センサにより受信される。そして第1送信波の受信直後、又は所定時間後に、センサ対の各センサから設置位置の正面に互いに識別可能な第2送信波が送信される。センサ対の各センサから送信された第2送信波は、それぞれ中央センサにより受信される。
【0019】
第1車両と第2車両とが左右にずれていない場合、中央センサからセンサ対の各センサまでの距離は等しくなる。しかし、第1車両と第2車両とが左右にずれている場合、中央センサから各センサまでの距離には相違が生じる。そのため、中央センサによりセンサ対の各センサからそれぞれ送信された第2送信波を受信するまでの時間には、ずれ方向に応じた相違が生じる。よって、中央センサによりセンサ対の各センサからそれぞれ送信された第2送信波を受信するまでの時間の相違に基づいて、第1車両と第2車両の左右のずれ方向を検出することができる。したがって、指向性の広い音波や電磁波を用いた場合であっても、先行車両と後続車両との左右方向の相互位置を検出することができる。
【0020】
さらに、中央センサは、センサ対の各センサから送信された第2送信波を、反射波ではなく直接波として受信するので、第1車両と第2車両との相互位置を検出可能な距離を、より長くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、先行する第1トラックと第1トラックに追従する第2トラックとを走行させる走行システムに、適用される車両の相互位置検出装置を具現化した各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
【0023】
(第1実施形態)
まず、
図1を参照しつつ、第1実施形態に係る車両の相互位置出装置の構成について説明する。第1実施形態に係る車両の相互位置検出装置は、超音波センサ11と超音波センサ12とからなるセンサ対と、送受信回路13と、演算装置17とを備え、トラック50(第1車両)に追従するトラック60(第2車両)に搭載される。トラック50が先行する車両に対して第2車両になる場合には、本相互位置検出装置は、トラック50にも搭載される。
【0024】
超音波センサ11,12は、それぞれトラック60の前面の左端部と右端部に、互いに同じ高さで設置されている。一般に、トラックのような物流車両では、駐車時などに周囲の障害物を検知するために、車両の前面及び後面の左右両端部に、超音波センサが備えられている。超音波センサ11,12は、このように一般的に設置されているものを利用するとよい。超音波センサ11,12は、設置された位置から正面に超音波のパルス波(送信波)を送信してその反射波を受信する。超音波センサ11,12はトラック60の左右両端部に設置されているため、超音波センサ11、12から発射される超音波が拡散したとしても、拡散範囲の重複は抑制される。なお、トラック50とトラック60とが左右にずれていない場合に、超音波センサ11,12から発射される超音波が同じ指向特性となるように、超音波センサ11,12は調整されている。
【0025】
送受信回路13は、送信回路18,14、受信回路15,16を備える。送信回路18,14は、超音波センサ11,12とそれぞれ電気的に接続されており、電気信号を超音波センサ11,12に与えて超音波のパルス波を発射させる。受信回路15は、超音波センサ11と電気的に接続されており、受信回路16は、超音波センサ12と電気的に接続されている。受信回路15,16は、出力端子に接続された出力抵抗に反射波の強度に応じた電圧を出力し、超音波センサ11,12により受信された反射波を電気信号として検出する。
【0026】
演算装置17は、受信回路15,16と電気的に接続されており、受信回路15,16で検出された受信信号、すなわち反射波の強度に基づいて、トラック50とトラック60との左右の相互位置を検出する。
【0027】
次に、
図2〜
図6を参照して、トラック50とトラック60との左右の相互位置を検出する手法について詳しく説明する。
【0028】
図2は、トラック50とトラック60とが左右にずれていない場合の相互位置を示す。
図3(a),(b)は、
図2の場合に、それぞれ超音波センサ11,12により受信される反射波の包絡線を示す。
図2に示すように、トラック50とトラック60とが左右にずれていない場合に、超音波センサ11,12は、超音波の水平方向における拡散範囲の半分がトラック50の後面に当たるように超音波を送信する。
【0029】
トラック50とトラック60とが左右にずれていない場合、超音波センサ11,12は同じ指向特性になるように調整されているので、
図3(a),(b)に示すように、超音波センサ11,12により受信される反射波の波形は同一になる。ここで、超音波センサ11により受信された反射波の強度(振幅)の最大値及びパルス長をI1及びW1、超音波センサ12により受信された反射波の強度の最大値及びパルス長をI2及びW2とする。トラック50とトラック60とが左右にずれていない場合、I1=I2、及びW1=W2となる。
【0030】
一方、
図4は、超音波センサ11,12の設置されたトラック60が、超音波センサ11,12と対面するトラック50に対して左方向にずれている場合の相互位置を示す。
図5(a),(b)は、
図4の場合に、それぞれ超音波センサ11,12により受信される反射波の包絡線を示す。
【0031】
図5(a),(b)に示すように、超音波センサ11,12により受信される反射波の波形は異なり、受信される反射波の強度及びパルス長には相違が生じている。超音波センサ12により受信された反射波の強度I2及びパルス長W2は、トラック50とトラック60とが左右にずれていない場合における強度I2及びパルス長W2よりも大きい。一方、超音波センサ11により受信された反射波の強度I1及びパルス長W1は、トラック50とトラック60とが左右にずれていない場合における強度I1及びパルス長W1よりも小さい。
【0032】
トラック60がトラック50に対して左方向にずれている場合、超音波センサ12から送信された超音波は、水平方向における拡散範囲の半分より広い範囲がトラック50の後面に当たる。一方、超音波センサ11から送信された超音波は、水平方向における拡散範囲の半分より狭い範囲がトラック50の後面に当たる。よって、トラック60がトラック50に対して左方向にずれている場合、トラック50とトラック60とが左右にずれていない場合と比較して、超音波センサ12により受信された反射波の強度I2及びパルス長W2は大きくなり、超音波センサ11により受信された反射波の強度I1及びパルス長W1は小さくなる。
【0033】
よって、トラック60がトラック50に対して(超音波センサ11,12の正面方向を基準として)左方向にずれている場合、左側の超音波センサ11により受信される反射波の強度I1は、右側の超音波センサ12により受信される反射波の強度I2よりも小さくなる。逆に、トラック60がトラック50に対して右方向にずれている場合、右側の超音波センサ12により受信される反射波の強度I2は、左側の超音波センサ11により受信される反射波の強度I1よりも小さくなる。
【0034】
したがって、演算装置17は、超音波センサ11,12により受信される反射波の強度I1,I2の相違に基づいて、トラック50とトラック60との左右のずれ方向を検出する。
【0035】
また、超音波センサ11,12により受信される反射波の強度の相違と、トラック50とトラック60との左右のずれ量dとには相関がある。そこで、演算装置17は、超音波センサ11,12により受信される反射波の強度の相違に基づいて、トラック50とトラック60の左右のずれ量dも検出する。
【0036】
次に、
図6を参照して、演算装置17が実行する車両の相互位置の検出手順について説明する。
【0037】
まず、S11において、超音波センサ11により受信された反射波の受信信号が入力されているか否か判定する。受信信号の入力がない場合は(NO)、S12で、超音波センサ11の受信信号の強度I1を0にセットする。一方、S11において、受信信号の入力がある場合は(YES)、S13で、超音波センサ11の受信信号の強度I1を取得する。
【0038】
続いて、S14において、超音波センサ12により受信された反射波の受信信号が入力されているか否か判定する。受信信号の入力がない場合は(NO)、S15で、超音波センサ12の受信信号の強度I2を0にセットする。一方、S14において、受信信号の入力がある場合は(YES)、S16で、超音波センサ12の受信信号の強度I2を取得する。
【0039】
続いて、S17において、超音波センサ11の受信信号の強度I1と、超音波センサ12の受信信号の強度I2との相違を算出し、トラック50とトラック60との左右のずれ方向及びずれ量dを検出する。
【0040】
具体的には、左右の超音波センサ11,12のうち強度が小さい方の反射波を受信した超音波センサが設置されている側を、超音波センサ11,12の正面方向を基準として、超音波センサ11,12の設置されたトラック60のずれ方向と検出する。例えば、左の超音波センサ11により受信された反射波の強度I1が、右の超音波センサ12により受信された反射波の強度I2より小さい場合は、超音波センサ11,12の正面方向を基準として、トラック60は左方向にずれていると検出する。
【0041】
さらに、超音波センサ11,12により受信される反射波の強度の相違ΔI=|I1−I2|と、トラック50とトラック60との左右のずれ量dと、の相関関係(例えば、マップや関係式)を予め作成しておく。そして、予め作成された相関関係に反射波の強度の相違ΔIを適用して、トラック50とトラック60との左右のずれ量dを検出する。
【0042】
演算装置17により検出されたトラック50に対するトラック60のずれ方向及びずれ量dを用いると、トラック60の車速、ハンドル操作量等を自動制御し、トラック50にトラック60を自動追従させることができる。
【0043】
以上説明した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0044】
・トラック50とトラック60とが左右にずれていない場合、超音波センサ11,12により受信される反射波の強度I1,I2は等しくなる。しかし、トラック50とトラック60とが左右にずれている場合、超音波センサ11,12により受信される反射波の強度I1,I2には、ずれ方向に応じた相違が生じる。よって、超音波センサ11,12により受信される反射波の強度I1,I2の相違に基づいて、トラック50とトラック60との左右のずれ方向を検出することができる。したがって、指向性の広い超音波を用いた場合であっても、先行車両と後続車両との左右方向の相互位置を検出することができる。
【0045】
・左右の超音波センサ11,12のうち強度が小さい方の反射波を受信したセンサが設置されている側を、超音波センサ11,12の設置されたトラック60のずれ方向(超音波センサ11,12の正面方向を基準として)として検出することができる。
【0046】
・トラック50とトラック60とが左右にずれている場合、超音波センサ11,12により受信される反射波の強度I1,I2には、ずれ量dに応じた相違ΔIが生じる。したがって、反射波の強度の相違ΔIとずれ量dとの相関関係を予め作成しておくことにより、予め作成された相関関係に反射波の強度の相違ΔIを適用して、トラック50とトラック60との左右のずれ量を検出することができる。
【0047】
・トラック50,60のような物流車両では、駐車時に周囲の障害物を検知するために、車両の前面及び後面の左右両端部に、超音波センサが備えられているものが多い。すでに設置されている超音波センサを用いれば、低コストで、先行車両と後続車両との左右方向の相互位置を検出することができる。
【0048】
・トラック50とトラック60とが左右方向にずれた場合に、超音波センサ11,12の一方のセンサで受信される反射波の強度は小さくなるとともに、他方のセンサで受信される反射波の強度は大きくなる。このため、トラック50とトラック60との左右方向のずれ量が小さい場合であっても、反射波の受信強度の差が強調される。したがって、左右方向におけるトラック50とトラック60との少量のずれも検出することができる。
【0049】
(第1実施形態の変形例)
上記第1実施形態は、以下のように変形して実施してもよい。また、各変形例をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
【0050】
・超音波センサ11,12により受信される反射波の最大強度が大きいほど、反射波のパルス長は長くなる。よって、演算装置17は、超音波センサ11,12により受信される反射波のパルス長W1,W2の相違に基づいて、トラック50とトラク60との左右のずれ方向を検出してもよい。左右の超音波センサ11,12のうちパルス長が短い方の反射波を受信したセンサが設置されている側を、超音波センサ11,12の設置されたトラック60のずれ方向(超音波センサ11,12の正面方向を基準として)として検出することができる。
【0051】
・超音波センサ11,12により受信される反射波のパルス長の相違と、トラック50とトラック60との左右のずれ量dとには相関がある。したがって、超音波センサ11,12により受信される反射波のパルス長の相違ΔW=|W1−W2|と、トラック50とトラック60との左右のずれ量dと、の相関関係を予め作成しておいてもよい。このようにしても、予め作成された相関関係に反射波のパルス長の相違ΔWを適用して、トラック50とトラック60との左右のずれ量dを検出できる。
【0052】
・超音波センサ11,12からなる第1センサ対の所定距離内側に、
図1に破線で示すように、超音波センサ11A,12Aからなる第2センサ対を更に設置し、第1センサ対及び第2センサ対が対面するトラック50の幅に応じて、第1センサ対及び第2センサ対のどちらか一方から送信波を送信して、その反射波を受信してもよい。第2センサ対は、設置された位置から正面に超音波を送信してその反射波を受信するセンサ対であって、送信する超音波の拡散範囲の重複部分が所定範囲よりも狭いセンサ対である。
【0053】
このようにすると、第1センサ対及び第2センサ対が設置されているトラック60の幅よりも、第1センサ対及び第2センサに対面するトラック50の幅が小さい場合には、第2センサ対を用いて、トラック50とトラック60との左右方向の相互位置を検出することができる。よって、幅が異なる先行車両に追従して後続車両を走行させる走行システムにも適用することができる。なお、送受信回路13には、第1センサ対と第2センサ対との接続を切り替えるスイッチが設置されており、最初に第1センサ対から超音波を送信してその反射波が受信できなかった場合は、第2センサ対との接続に切り替え、第2センサ対により超音波を送信する。最初に第1センサ対により超音波を送信してその反射波が受信できた場合は、第1センサ対により超音波を送信し続ける。
【0054】
・
図7に示すように、超音波センサ11,12をトラック60の上端近傍に設置するとよい。超音波センサ11,12を高い位置に設置することにより、地面からの反射波の影響を抑制することができる。また、トラックのような物流車両は、乗用車のような一般車両よりも車高が高い。それゆえ、超音波センサ11,12をトラック60の上端近傍に設置すると、トラック60の前方に一般車両が存在する場合に、一般車両からは反射波が返ってこない。よって、誤った車両に追従することを抑制することができる。
【0055】
・
図7に示すように、トラック60の上端近傍に設置された超音波センサ11,12からなる第1センサ対から所定距離下側に、超音波センサ11C,12Cからなる第3センサ対を設置してもよい。第3センサ対は、設置された位置から正面に送信波を送信してその反射波を受信する。演算装置17は、第1センサ対から送信された送信波の反射波を第1センサ対により受信できず、且つ前記第3センサ対から送信された送信波の反射波を第3センサ対により受信した場合に、第3センサ対の設置された車両に対面して乗用車が存在すると判定する。なお、送受信回路13には、第1センサ対と第3センサ対との接続を切り替えるスイッチが設置される。
【0056】
・超音波センサ11,12は、超音波の水平方向における拡散範囲の半分ではなく、超音波の水平方向における拡散範囲の一部又は全部がトラック50の後面に当たるように超音波を送信してもよい。このようにしても、第1実施形態ほど反射波の受信強度の相違は強調されないが、超音波センサ11,12により受信される反射波の強度I1,I2に、トラック50とトラック60とのずれ方向及びずれ量dに応じた相違が生じる。
【0057】
・超音波センサ11,12を、トラック50の後面の左右両端部に互いに同じ高さに設置し、超音波センサ11,12と接続される送受信回路13及び送受信回路13と接続される演算装置17を、トラック50に搭載してもよい。このようにすると、超音波センサ11,12から送信された超音波は、トラック60の前面で反射されて超音波センサ11,12により受信される。そして、第1実施形態と同様に、トラック50とトラック60とが左右にずれている場合、超音波センサ11,12により受信される反射波の強度I1,I2に、ずれ方向及びずれ量dに応じた相違が生じる。
【0058】
よって、第1実施形態と同様にして、トラック60に対するトラック50のずれ方向及びずれ量dを検出できる。この場合、検出したトラック60に対するトラック50のずれ方向及びずれ量dから、トラック50に対するトラック60のずれ方向及びずれ量dを算出する。そして、算出したトラック50に対するトラック60のずれ方向及びずれ量dを、トラック60に車両間通信により伝達すれば、トラック50にトラック60を自動追従させることができる。なお、トラック60には、トラック60に追従する後続車との相互位置検出装置が搭載される。
【0059】
(第2実施形態)
まず、
図8を参照しつつ、第2実施形態に係る車両の相互位置検出装置の構成について説明する。第2実施形態に係る車両の相互位置検出装置は、超音波センサ11と超音波センサ12とからなるセンサ対と、送受信回路23と、演算装置27と、超音波センサ18(中央センサ)と、送受信回路33と、演算装置37とを備える。超音波センサ11,12、送受信回路23、演算装置27は、先行するトラック50(第1車両)に追従するトラック60(第2車両)に搭載され、超音波センサ18、送受信回路33、演算装置37は、先行するトラック50に搭載されている。更に、トラック60には、トラック60とトラック60に追従する車両との相互位置を検出する相互位置検出装置の超音波センサ18、送受信回路33、演算装置37が搭載されている。また、トラック50には、トラック50とトラック50に先行する車両との相互位置を検出する相互位置検出装置の超音波センサ11,12、送受信回路23、演算装置27が搭載されている。
【0060】
超音波センサ11,12は、それぞれトラック60の前面の左端部と右端部に、互いに同じ高さで設置されている。超音波センサ18は、トラック60の中央部に設置されている。超音波センサ11,12の少なくとも一方のセンサは、設置された位置から正面に第2超音波のパルス波(第2送信波)を送信する。超音波センサ18は、超音波センサ11,12の少なくとも一方から送信された第2超音波を受信した場合に、第1超音波のパルス波(第1送信波)を設置された位置から正面、すなわち超音波センサ11,12に向けて送信する。なお、超音波センサ11,12が設置されている高さと、超音波センサ18が設置されている高さとは、必ずしも同じでなくてもよい。超音波センサ18は、超音波センサ18から発射された第1超音波の拡散範囲が超音波センサ11,12に当たる高さに設置されていればよい。
【0061】
送受信回路23は、送信回路28,24、受信回路25,26を備える。送信回路28,24は、超音波センサ11,12とそれぞれ電気的に接続されており、送信回路28,24の少なくとも一方は、電気信号を電気的に接続された超音波センサに与えて第2超音波を送信させる。受信回路25は、超音波センサ11と電気的に接続されており、受信回路26は、超音波センサ12と電気的に接続されている。受信回路25,26は、超音波センサ11,12により受信された第1超音波を電気信号として検出する。
【0062】
演算装置27は、送信回路28,24、受信回路25,26と電気的に接続されている。演算装置27は、超音波センサ11,12により第1送信波を受信するまでの時間の相違、すなわち受信回路25,26により受信信号を検出するまでの時間の相違に基づいて、トラック50とトラック60との左右の相互位置を検出する。
【0063】
送受信回路33は、送信回路34、受信回路35を備え、演算装置37は、送信回路34、受信回路35と電気的に接続されている。受信回路35は、超音波センサ18により受信された第2超音波を電気信号として検出し、検出した電気信号を演算装置37に送る。演算装置37は、受信回路35から検出した電気信号を受け取ると、送信回路34から超音波センサ18へ電気信号を送信させる。送信回路34は、電気信号を超音波センサ18に与えて第1超音波のパルス波を送信させる。
【0064】
次に、
図9〜11を参照して、トラック50とトラック60との左右の相互位置を検出する手法について詳しく説明する。
図9は、トラック50とトラック60とが左右にずれていない場合の相互位置関係を示し、
図10は、トラック50とトラック60とが左右にずれている場合の相互位置関係を示す。
図11は、
図10の場合に、超音波センサ11により第2超音波が送信されてから、超音波センサ18により送信された第1超音波を超音波センサ11,12により受信するまでの時間を示す。
【0065】
図9に示すように、トラック50とトラック60とが左右にずれていない場合、超音波センサ18から超音波センサ11,12までの距離は等しくなる。よって、超音波センサ12により第2超音波が送信されてから、超音波センサ18から送信された第1超音波を超音波センサ11,12により受信するまでの時間は等しくなる。
【0066】
一方、
図10に示すように、トラック60がトラック50に対して左方向にずれている場合、超音波センサ18から左側の超音波センサ11までの距離は、超音波センサ18から右側の超音波センサ12までの距離よりも長くなる。よって、
図11に示すように、超音波センサ11により第1超音波を受信するまでの時間T1は、超音波センサ12により第1超音波を受信するまでの時間T2よりも長くなる。
【0067】
逆に、トラック60がトラック50に対して右方向にずれている場合、超音波センサ18から右側の超音波センサ12までの距離は、超音波センサ18から左側の超音波センサ11までの距離よりも長くなる。よって、超音波センサ12により第1超音波を受信するまでの時間T2は、超音波センサ11により第1超音波を受信するまでの時間T1よりも長くなる。
【0068】
すなわち、超音波センサ11,12により第1超音波を受信するまでの時間T1,T2には、トラック50とトラック60との左右のずれ方向及びずれ量dに応じた相違が生じる。よって、演算装置27は、超音波センサ11,12により第1送信波を受信するまでの時間の相違に基づいて、トラック50とトラック60との左右のずれ方向及びずれ量dを検出する。
【0069】
具体的には、左右の超音波センサ11,12のうち第1超音波を受信するまでの時間が長い方のセンサが設定されている側を、超音波センサ11,12の設置されたトラック60のずれ方向とする。例えば、左の超音波センサ11により第1超音波を受信するまでの時間T1が、右の超音波センサ12により第1超音波を受信するまでの時間T2よりも長い場合は、超音波センサ11,12の正面を基準として、トラック60は左方向にずれていると検出する。
【0070】
さらに、超音波センサ11,12により第1超音波を受信するまでの時間の相違ΔT=|T1−T2|と、トラック50とトラック60との左右のずれ量dと、の相関関係(例えば、マップや関係式)を予め作成しておく。そして、予め作成された相関関係に受信時間の相違ΔTを適用して、トラック50とトラック60との左右のずれ量dを検出する。
【0071】
また、超音波センサ18により第1超音波を送信してから、超音波センサ11,12により第1超音波を受信するまでの各時間を取得して、トラック50とトラック60との左右のずれ方向及びずれ量dを検出してもよい。この場合は、第1送信波が超音波センサ18により送信されたタイミングをトラック50からトラック60へ伝達し、超音波センサ18により第1超音波を送信してから、超音波センサ11,12により第1超音波を受信するまでの各時間を取得する。
【0072】
演算装置27は、超音波センサ18により第1超音波を送信してから、超音波センサ11,12により第1超音波を受信するまでの各時間から、超音波センサ18から超音波センサ11,12までの各距離を算出する。そして、超音波センサ18が設置されているトラック50の後面と超音波センサ11,12が設置されているトラック60の前面とは平行であることと、超音波センサ18から超音波センサ11,12までの各距離とに基づき、超音波センサ18と超音波センサ11,12との相互の位置を算出する。さらに、トラック50とトラック60との車間距離、及び左右方向におけるトラック50とトラック60との相互の位置を算出し、トラック50とトラック60との左右のずれ方向及びずれ量dを検出する。
【0073】
以上説明した第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0074】
・トラック50とトラック60とが左右にずれていない場合、超音波センサ18から超音波センサ11,12までの距離は等しくなる。しかし、トラック50とトラック60とが左右にずれている場合、超音波センサ18から超音波センサ11,12までの距離には相違が生じる。そのため、超音波センサ11,12により第1送信波を受信するまでの時間には、ずれ方向に応じた相違が生じる。よって、超音波センサ11,12により第1送信波を受信するまでの時間の相違に基づいて、トラック50とトラック60の左右のずれ方向を検出することができる。したがって、指向性の広い超音波を用いた場合であっても、先行車両と後続車両との左右方向の相互位置を検出することができる。
【0075】
・超音波センサ11,12は、超音波センサ18から送信された第1送信波を、反射波ではなく直接波として受信するので、反射波を受信する場合と比較して第1送信波の受信強度が大きくなる。このため、トラック50とトラック60との相互位置を検出可能な距離を、より長くすることができる。
【0076】
・超音波センサ11、12のうち第1送信波を受信するまでの時間が長い方のセンサが設置されている側を、超音波センサ11、12の設置された車両のずれ方向として検出することができる。
【0077】
・第1送信波が超音波センサ18により送信されてから、超音波センサ11,12により受信されるまでの各時間から、超音波センサ18から超音波センサ11,12までの各距離を算出できる。そして、超音波センサ18から超音波センサ11,12までの各距離に基づき、超音波センサ18と超音波センサ11,12との相互の位置が算出できる。すなわち、トラック50とトラック60との車間距離、及び左右方向におけるトラック50とトラック60との相互の位置が算出できる。したがって、トラック50とトラック60との左右のずれ方向及びずれ量dを検出することができる。
【0078】
・トラック60から送信された第2超音波に応じてトラック50から第1超音波が送信されるので、トラック60とトラック50のうち、トラック50とトラック60との左右方向の相互位置を検出する車両側で、検出を行うタイミングを調整することができる。
【0079】
(第2実施形態の変形例)
上記第2実施形態は、以下のように変形して実施してもよい。また、各変形例をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
【0080】
・超音波センサ11,12により第2超音波を送信せず、任意のタイミングで超音波センサ18により第1超音波を送信してもよい。このようにしても、超音波センサ11,12により第1超音波を受信するまでの時間の相違に基づいて、トラック50とトラック60との左右のずれ方向及びずれ量dを検出できる。
【0081】
・第1実施形態と同様に、超音波センサ11,12により受信された第1送信波の強度の相違に基づいて、トラック50とトラック60との左右のずれ方向及びずれ量dを検出してもよい。
【0082】
・超音波センサ11,12を、トラック50の後面の左右両端部に設置し、超音波センサ18を、トラック60の前面の中央部に設置するとともに、送受信回路23、演算装置27をトラック50に搭載し、送受信回路33、演算装置37をトラック60に設置してもよい。このようにしても、第2実施形態と同様に、トラック50とトラック60とが左右にずれている場合、超音波センサ11,12により第1超音波を受信するまでの時間T1,T2に、ずれ方向及びずれ量dに応じた相違が生じる。
【0083】
よって、第2実施形態と同様にして、トラック60に対するトラック50のずれ方向及びずれ量dを検出できる。この場合、検出したトラック60に対するトラック50のずれ方向及びずれ量dから、トラック50に対するトラック60のずれ方向及びずれ量dを算出する。なお、トラック60には、トラック60に追従する車両との相互位置を検出する相互位置検出装置の超音波センサ11,12、送受信回路23、演算装置27が搭載される。また、トラック50には、トラック50に先行する車両との相互位置を検出する相互位置検出装置の超音波センサ18、送受信回路33、演算装置37が搭載される。
【0084】
(第3実施形態)
図12を参照しつつ、第3実施形態に係る車両の相互位置検出装置の構成について説明する。第3実施形態に係る車両の相互位置検出装置は、超音波センサ18(中央センサ)と、送受信回路43と、演算装置47と、超音波センサ11と超音波センサ12とからなるセンサ対と、送受信回路53と、演算装置57と、を備える。超音波センサ18、送受信回路43、演算装置47は、先行するトラック50(第1車両)に追従するトラック60(第2車両)に搭載され、超音波センサ11,12、送受信回路53、演算装置57は、先行するトラック50に搭載されている。更に、トラック60には、トラック60とトラック60に追従する車両との相互位置を検出する相互位置検出装置の、超音波センサ11,12、送受信回路53、演算装置57が搭載されている。また、トラック50には、トラック50とトラック50に先行する車両との相互位置を検出する相互位置検出装置の超音波センサ18、送受信回路43、演算装置47が搭載されている。
【0085】
超音波センサ18は、トラック50の中央部に設置されている。超音波センサ11,12は、それぞれトラック50の後面の左端部と右端部に、互いに同じ高さで設置されている。超音波センサ18は、第1超音波のパルス波(第1送信波)を設置された位置から正面、すなわち超音波センサ11,12に向けて送信する。超音波センサ11,12は、それぞれ第1超音波を受信した直後、又は受信してから所定時間後に、互いに識別可能な第2超音波のパルス波(第2送信波)をそれぞれ設置された位置から正面に送信する。なお、超音波センサ11,12が設置されている高さと、超音波センサ18が設置されている高さとは、必ずしも同じでなくてもよい。超音波センサ18は、超音波センサ18から発射された第1超音波の拡散範囲が超音波センサ11,12に当たる高さに設置されていればよい。
【0086】
送受信回路43は、送信回路44、受信回路45を備え、演算装置47は、送信回路44、受信回路45と電気的に接続されている。送信回路44は、電気信号を超音波センサ18に与えて第1超音波のパルス波を送信させる。受信回路45は、超音波センサ11,12からそれぞれ送信され、超音波センサ18により受信された第2超音波を電気信号として検出し、検出した電気信号を演算装置47に送る。
【0087】
演算装置47は、超音波センサ18により超音波センサ11,12からそれぞれ送信された第2超音波を受信するまでの時間の相違に基づいて、トラック50とトラック60との左右の相互位置を検出する。
【0088】
送受信回路53は、送信回路58,54、受信回路55,56を備え、演算装置57は、送信回路58,54、受信回路55,56と電気的に接続されている。受信回路56,55は、それぞれ超音波センサ11,12により受信された第1超音波を電気信号として検出し、検出した電気信号をそれぞれ演算装置57に送る。
【0089】
演算装置57は、受信回路56,55から検出した電気信号をそれぞれ受け取ると、受け取った直後又は所定時間後に、送信回路58,54から超音波センサ11,12へ電気信号をそれぞれ送信させる。送信回路58,54は、電気信号を超音波センサ11,12にそれぞれ与えて互いに識別可能な第2超音波を送信させる。具体的には、超音波センサ11,12から、互いに周波数や符号化方法が異なるパルス波を送信させる。
【0090】
次に、
図13及び14を参照して、トラック50とトラク60との左右の相互位置を検出する手法について詳しく説明する。
図13は、トラック50とトラック60とが左右にずれていない場合の相互位置関係を示し、
図14は、トラック50とトラック60とが左右にずれている場合の相互位置関係を示す。
【0091】
図13に示すように、トラック50とトラック60とが左右にずれていない場合、超音波センサ18から超音波センサ11,12までの距離は等しくなる。よって、超音波センサ11,12からそれぞれ送信された第2超音波を、超音波センサ18により受信するまでの時間は等しくなる。
【0092】
一方、
図14に示すように、トラック60がトラック50に対して左方向にずれている場合、超音波センサ18から右側の超音波センサ12までの距離は、超音波センサ18から左側の超音波センサ11までの距離よりも長くなる。それゆえ、超音波センサ18により第1超音波が送信されてから、超音波センサ12により第1超音波を送信するまでの時間は、超音波センサ18により第1超音波が送信されてから、超音波センサ11により第1超音波を送信するまでの時間よりも長くなる。それゆえ、超音波センサ11から第2超音波が送信されるタイミングよりも、超音波センサ12から第2超音波が送信されるタイミングの方が遅くなる。
【0093】
よって、超音波センサ12から送信される第2超音波の方が、超音波センサ11から送信される第2超音波よりも遅いタイミングで送信される上に、伝送距離が長くなる。したがって、第1超音波が送信されてから、超音波センサ18により超音波センサ12から送信された第2超音波を受信するまでの時間T2は、第1超音波が送信されてから、超音波センサ18により超音波センサ11から送信された第2超音波を受信するまでの時間T1よりも長くなる。
【0094】
逆に、トラック60がトラック50に対して右方向にずれている場合、超音波センサ18から左側の超音波センサ11までの距離は、超音波センサ18から右側の超音波センサ12までの距離よりも長くなる。よって、第1超音波が送信されてから、超音波センサ18により超音波センサ11から送信された第2超音波を受信するまでの時間T1は、第1超音波が送信されてから、超音波センサ18により超音波センサ12から送信された第2超音波を受信するまでの時間T2よりも長くなる。
【0095】
超音波センサ18により、第1超音波を送信してから、超音波センサ11,12からそれぞれ送信された第2超音波を受信するまでの時間T1,T2には、トラック50とトラック60との左右のずれ方向及びずれ量dに応じた相違が生じる。よって、演算装置47は、超音波センサ18により、超音波センサ11,12からそれぞれ送信された第2送信波を受信するまでの時間の相違に基づいて、トラック50とトラック60との左右のずれ方向及びずれ量dを検出する。
【0096】
具体的には、左右の超音波センサ11,12のうち超音波センサ18により後に受信される方の第2超音波を送信するセンサが設定されている側を、超音波センサ11,12の設置されたトラック50のずれ方向とする。すなわち、左右の超音波センサ11,12のうち超音波センサ18により先に受信される方の第2超音波を送信するセンサが設定されている側を、超音波センサ18の設置されたトラック60のずれ方向とする。
【0097】
さらに、超音波センサ18により、第1超音波を送信してから、超音波センサ11,12からそれぞれ送信された第2超音波を受信するまでの時間の相違ΔT=|T1−T2|と、トラック50とトラック60との左右のずれ量dと、の相関関係(例えば、マップや関係式)を予め作成しておく。そして、予め作成された相関関係に受信時間の相違ΔTを適用して、トラック50とトラック60との左右のずれ量dを検出する。
【0098】
以上説明した第3実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0099】
・トラック50とトラック60とが左右にずれている場合、超音波センサ18から超音波センサ11,12までの距離には相違が生じる。そのため、超音波センサ18により超音波センサ11,12からそれぞれ送信された第2超音波を受信するまでの時間には、ずれ方向に応じた相違が生じる。よって、超音波センサ18により、超音波センサ11,12からそれぞれ送信された第2超音波を受信するまでの時間の相違に基づいて、トラック50とトラック60の左右のずれ方向を検出することができる。したがって、指向性の広い音波や電磁波を用いた場合であっても、先行車両と後続車両との左右方向の相互位置を検出することができる。
【0100】
・超音波センサ11,12のうち超音波センサ18により受信されるまでの時間が長い方の第2超音波を送信するセンサが設置されている側を、超音波センサ11,12の設置された車両のずれ方向として検出できる。
【0101】
(第3実施形態の変形例)
・超音波センサ18により第1超音波を送信せず、超音波センサ11,12により同じタイミングで第2超音波を送信してもよい。このようにしても、超音波センサ18により超音波センサ11,12からそれぞれ送信された第2超音波を受信するまでの時間の相違に基づいて、トラック50とトラック60との左右のずれ方向及びずれ量dを検出できる。
【0102】
(他の実施形態)
本発明は上記各実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。
【0103】
・超音波センサ11,12,18は、ミリ波レーダやその他の電磁波を送信するレーダを採用してもよい。
【0104】
・上記各実施形態に係る車両の相互位置検出装置は、先行する第1バスと第1バスに追従する第2バスとを走行させる走行システムに適用してもよい。