(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端末装置は、測位衛星からの情報を受信する測位受信部を備え、前記端末装置は、前記加速度情報を測位衛星のGPS時刻に同期させて前記サーバ装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の立位か座位を判別する方法。
加速度センサと測位衛星からの情報を受信する測位受信部を備えた複数の端末装置に通信可能に接続された、制御部と記憶部とを備えたサーバ装置に実行させるためのプログラムであって、
前記制御部において、
前記端末装置から送信される加速度センサからの加速度情報を受信する加速度受信ステップと、
前記端末装置から送信され現在位置情報受信する現在位置受信ステップと、
受信された現在位置情報から端末装置が存在する車両を判断する車両判定ステップと、
車両内に存在すると判断された複数の端末装置の加速度情報に基づき、格納された複数の加速度情報を比較し、比較した加速度情報により、立位と座位に対応するグループを算定し、算定したグループの加速度情報と各端末装置の加速度情報を比較して、各端末装置を所持する人が立位か座位かを判定する立位/座位判定、ステップと、
立位と座位との割合により車両の混雑状況を判定する混雑状況判定ステップと、
混雑状況の判定結果を端末装置に送信する判定結果送信ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
【0019】
この発明に用いられる携帯端末装置2は、いわゆるスマートフォンといわれる携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)が用いられ、この発明を実施するためのアプリケーションプログラムがインストールされる。この携帯端末装置2は、後述するように、加速度センサ、GPS機能を有している。
【0020】
図1に示すように、この発明の車両状況推定装置は、サーバ装置4及び複数の携帯端末装置2がネットワーク3を介して通信可能に接続して構成される。携帯端末装置2は、例えば、列車1に乗車している乗客が所持し、列車の各車両の乗車した乗客から後述するように、加速度センサの情報並びに現在位置情報(GPS情報)がネットワーク3を介してサーバ装置4に送信される。
【0021】
また、駅構内5や駅の途中の道などからユーザが所持する携帯端末装置2を用いて列車の混雑状況等を入手するために、携帯端末装置2がネットワーク3を介してサーバ装置4に接続される。ここで、
図1に示すように、通信には、一例として、ネットワーク3を介した有線・無線通信等の遠隔通信等を示す。
【0022】
図2は、携帯端末装置2の構成を示すブロック図である。
図2に従い、この発明に用いられる携帯端末装置2の一例について説明する。携帯端末装置2は、いわゆるスマートフォンといわれる携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)のような移動端末機器であって、本体内に、無線送受信部217、測位受信部218、マイク210、スピーカー211、キーボード212、ディスプレイ213、デジタルカメラ214、不揮発性メモリ215、加速度センサ216、バッテリー219、充電回路220、電源端子221、外部端子222、制御部200を備える。無線送受信部217はアンテナ217aを有する。測位受信部218はアンテナ218aを有する。アンテナ217a、218aは、本体内部にあってもよいし外部に露出してもよい。
【0023】
無線送受信部217は、バッテリー219からの電力で無線基地局7と無線通信を行いネットワーク3と接続するものであって、次の機能を有する。すなわち、通話機能とデータ通信機能を有する。通話機能は、音声により通話する機能であり、データ通信機能は、文字や記号あるいは画像(静止画像、動画像、またはそれら両方の画像)を双方向に送受信する機能である。
【0024】
測位受信部218は、測位衛星6からの衛星信号(GPS情報)を受信して携帯端末装置2の位置情報を作成するものであって、携帯端末装置2の位置情報としての「緯度」及び「経度」を検出するGPSセンサを構成する。マイク210は音声や音を集音して電気信号に変換して出力する機器である。スピーカー211は電気信号を音声や音に変換して出力する機器である。キーボード212は制御部200の入力機器を構成する多数のキーを備える。多数のキーとしては、置数キー、電源スイッチ、発信スイッチ、ファンクションキーなどである。ディスプレイ213は制御部200の出力情報を可視化するための出力機器を構成する。キーボード212とディスプレイ213は、ディスプレイ213がタッチパネルで構成されている場合には、両者が一体化されて用いられる。
【0025】
デジタルカメラ214は撮影した画像(静止画像、動画像またはそれら両方の画像)を制御部200へ入力するための機器を構成する。バッテリー219は携帯端末装置2の各部品に直流の電力を供給するバッテリーである。
【0026】
加速度センサ216は、光学式や半導体式等の3軸加速度センサ等で構成され、携帯端末装置2により得られる加速度データを出力する。例えば、この加速度センサ216は、±3G、周期1/100秒、精度0.02G以下の性能を有している。
【0027】
充電回路220はバッテリー219への充電を行う回路である。例えば、図外の給電線が商用電源と携帯端末装置2の電源端子221とに接続され、商用電源から給電線及び電源端子221を経由して充電回路220に供給されると、充電回路220が供給された電力を携帯端末装置2に使用する電圧の直流の電力に変換し、その直流の電力を充電回路220がバッテリー219に供給して充電させる。また、外部端子222からデータ等の入出力が行うことができる。
【0028】
不揮発性メモリ215は、状況情報等を記録する記録媒体である。この実施の形態では、測位受信部218で収集した位置情報とマイク210で収集した音声情報とデジタルカメラ214で収集した画像情報と加速度センサ216で収集した各種情報が不揮発性メモリ215に記録される。加速度センサ216は、「重力」や「振動回数」及び「傾き」という情報を検出する。
図21に示すように、加速度情報、位置情報、時刻情報が得られ、これら情報がサーバ装置4にネットワーク3を介して送信される。
【0029】
制御部200は、CPU201、ROM202、RAM203、検出手段204、収集手段205を備える。制御部200は、CPU201による制御に基づき、マイク210から入力された音声を送信波に乗せる変調を行って無線送受信部217に出力する一方、無線送受信部217から入力された受信波から音声を取り出す復調を行ってスピーカー211に出力する。また、制御部200は、キーボード212にて入力された各種情報を無線送受信部217に出力し、無線基地局7からネットワーク3に送信する。また、ネットワーク3から送られてきた各種情報を無線送受信部217で受け取り、ディスプレイ213やスピーカー211に出力する。
【0030】
CPU201はROM202又は不揮発性メモリ215に格納されたプログラムに従いRAM203を使用しながら動作して携帯端末装置2の各動作を制御するものである。検出手段204、収集手段205は、CPU201の動作でその機能を構成する。
【0031】
検出手段204は電源スイッチ又は後述するアプリケーションプログラムの終了等を検出するものであって、電源スイッチのオフ又はアプリケーションプログラムの終了を検出したときに所定時間経過するまで、各種情報を出力し、所定時間経過後に電源オフ又はアプリケーションプログラムを終了させる。
【0032】
計測手段206は、電源スイッチ又は後述するアプリケーションプログラムの終了等の検出信号が入力したときに、収集した状況情報を送信する期間を計測するものであり、この設定値はROM202に予め書き込まれている。
【0033】
収集手段205は、測位受信部218と加速度センサ216を作動して検出された状況情報を不揮発性メモリ215に格納する。
【0034】
測位衛星6は、携帯端末装置2に対し衛星信号を送信する。測位衛星6からの衛星信号はアンテナ218aを介して測位受信部218に送信される。無線基地局7に接続されたアンテナ7aと無線送受信部217に接続されたアンテナ217aとを介して無線送受信部217と音声信号やデータ信号の送受信を行うものである。ネットワーク3は、無線基地局7とサーバ装置4との間でデータ信号等の送受信を行うものである。
【0035】
上記した携帯端末装置2に、車両の混雑状況を把握するためのアプリケーションソフトをインストールすることで、混雑状況通知装置の端末装置として動作する。混雑状況通知装置の構成を機能ブロックとして表している
図3に従い説明する。
図3においては、記憶部に格納されたプログラムにより、CPU等が各機能を動作する状態を機能ブロックとして表し、この発明に関係する部分のみ概念的に示している。尚、
図3においては、複数の携帯端末装置2のうちの1つの携帯端末装置2の構成について代表的に図示しているが、その他の携帯端末装置2についても同様の構成である。
【0036】
図3に示すように、この実施形態の混雑状況通知装置において、サーバ装置4は、制御部400と記憶部410とを少なくとも備えており、携帯端末装置2は、測位受信部218と加速度センサ216と出力部213と入力部212と制御部200と記憶部240とを備える。サーバ装置4と携帯端末装置2とはネットワーク3で接続されている。以下、サーバ装置4と携帯端末装置2との構成について説明する。
【0037】
[サーバ装置4の構成]
サーバ装置4は、携帯端末装置2から送信される、ユーザの現在位置情報並びに加速度センサの加速度情報を受信する。そして、受信した現在位置情報の履歴を記憶部410に格納し、ネットワークデータに基づいて、記憶部410に格納した現在位置情報の履歴が示す現在位置の移動状況から、複数の携帯端末装置2の移動グループ(列車等)を判定する等の機能を有する。さらに、サーバ装置4は、受信した加速度情報の履歴を記憶部410に格納し、後述するように、加速度情報から立位又は座位の判定を行う等の機能を有する。
【0038】
サーバ装置4は、通信制御インターフェース部430を介してネットワーク3を経由し、複数の携帯端末装置2と相互に通信可能に接続されており、制御部400と記憶部410とを備える。なお、これらのサーバ装置4の各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。制御部400は、各種処理を行う制御手段である。通信制御インターフェース部430は、通信回線や電話回線等に接続されるアンテナやルータ等の通信装置(図示せず)に接続されるインターフェースであり、サーバ装置4とネットワーク3との間における通信制御を行う機能を有する。すなわち、通信制御インターフェース部430は、携帯端末装置2等と通信回線を介してデータを通信する機能を有している。記憶部410は、HD(Hard Disk)等の固定ディスク装置のストレージ手段であり、各種のデータベースやテーブル(ネットワークデータベース411、位置履歴データベース412、時刻表データベース413、及び混雑状況データベース414等)を格納する。
【0039】
これら記憶部410の各構成要素のうち、ネットワークデータベース411は、交通網を規定するネットワークデータを記憶するネットワークデータ記憶手段である。ここで、ネットワークデータベース411に記憶されるネットワークデータは、路線網ネットワークデータ等の交通機関の交通ネットワークデータである。これらネットワークデータは、ネットワークデータベース411に予め記憶されており、サーバ装置4の制御部400は、定期的にネットワーク3を介して最新のデータを外部機器(例えば、ネットワークデータを提供するネットワークデータサーバなど)等からダウンロードしてネットワークデータベース411に記憶されたネットワークデータをアップデートする。
【0040】
ネットワークデータベース411に記憶される交通ネットワークデータは、電車やバス等の交通機関の路線等を規定したネットワークデータである。例えば、交通ネットワークデータは、電車の路線網を規定した路線網ネットワークデータであってもよく、バスの路線網を規定した路線網ネットワークデータであってもよい。例えば、ネットワークデータベース411に記憶される交通ネットワークデータは、電車、バス、市電、モノレール、等の各交通機関の路線網を規定するネットワークデータであり、例えば、駅及び停留所(バス停)等の停止位置などの路線網表現上の結節点であるノードのノードデータと、ノード間を接続する鉄道路線、航空路線、航路、及び、バス路線等のリンクのリンクデータとの組み合わせによって表現されるネットワークデータである。なお、ノードデータには、ノード番号、緯度経度等の位置座標、ノード種別、接続するリンク本数、接続ノード番号、及び、線路が交差する駅名等を含んでいてもよい。また、リンクデータには、リンク番号、接続する駅等の種別、列車等の路線番号、重用する路線情報、リンク長、及び、名称等を含んでいてもよい。また、交通ネットワークデータは、交通機関の利用料金データ及び乗車位置データ等を含んでいてもよい。また、乗車位置データは、例えば、電車、市電、モノレール及びケーブルカー等の複数の車両が連結した交通機関の停止位置(乗車位置等)を表す情報等であってもよい。
【0041】
また、位置履歴データベース412は、複数の携帯端末装置2から受信した現在位置情報を記憶する現在位置情報記憶手段である。例えば、サーバ装置4は、携帯端末装置2から送信される、ユーザの現在位置情報を受信し、受信した現在位置情報を当該携帯端末装置2の識別情報に対応付けて位置履歴データベース412に格納することにより、位置履歴データベース412を構築する。また、サーバ装置4は、現在位置情報に対応付けて、さらに、現在位置情報の取得時刻や受信時刻等の時刻情報を位置履歴データベース412に格納する。
【0042】
また、時刻表データベース413は、交通機関の時刻表情報を記憶する時刻表情報記憶手段である。ここで、時刻表データベース413に記憶される時刻表情報は、例えば、電車、バス、市電、モノレール等の各交通機関の各駅の時刻表を表す情報等である。ここで、この実施形態において交通機関の駅は、電車、バス、市電、モノレール等の交通機関の停留地点(列車駅、バス駅等)などの停止位置を含む。また、時刻表情報は、交通機関の出発時刻のほか、通過時刻や到着時刻を定義づけたデータである。この時刻表情報に基づいて、後述する車両判定部404は、各列車の各時刻における位置、さらに車両の位置を推定する。時刻表情報は、時刻表データベース413に予め記憶されており、サーバ装置4の制御部400は、定期的にネットワーク3を介して最新のデータを外部機器(例えば、時刻表情報を提供する時刻表サーバなど)等からダウンロードして時刻表データベース413に記憶された時刻表情報をアップデートする。この時、遅延情報等があれば、その遅延情報に基づき、時間情報が書き換えられる。
【0043】
記憶部410は、混雑状況データベース414を備え、時刻情報データベース413及び位置履歴情報データベース412に基づき、各交通機関の車両等に乗車している乗客の立位/座位状況を記憶し、運行されている各車両の混雑状況を格納している。
【0044】
また、制御部400は、OS(Operating System)等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、及び、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部400は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部400は、機能概念的に、現在位置情報受信部401、現在位置履歴格納部402、加速度情報算出部403、車両判定部404、立位/座位判定部405、判定結果送信部406、経路探索条件受信部407、経路探索部408及び経路情報送信部409を備える。
【0045】
このうち、現在位置情報受信部401は、携帯端末装置2から送信されるユーザの現在位置情報を受信する現在位置情報受信手段である。なお、現在位置情報受信部401は、携帯端末装置2から送信される現在位置情報に対応付けられた当該現在位置情報の取得時刻等の時刻情報を受信する。
【0046】
また、現在位置履歴格納部402は、現在位置情報受信部401により受信された現在位置情報の履歴を位置履歴データベース412に格納する現在位置履歴格納手段である。ここで、現在位置履歴格納部412は、現在位置情報受信部401により受信された現在位置情報の履歴を、時刻情報に対応付けて位置履歴データベース412に格納する。例えば、現在位置履歴格納部402は、現在位置情報受信部401により現在位置情報とともに受信された当該現在位置情報の取得時刻等の時刻情報等を格納する。また、現在位置履歴格納部402は、現在位置情報受信部401により受信または取得された携帯端末装置2の識別情報を、現在位置情報に対応付けて格納してもよい。
【0047】
また、車両判定部404は、ネットワークデータベース411に記憶されたネットワークデータ、時間表データベース413に基づいて、その時刻により、列車に乗車している場合には、列車情報並びに乗車している車両を判定する。この車両判定部404は、現在位置履歴格納部402により位置履歴データベース412に格納された現在位置情報の履歴が示す現在位置の移動状況から複数の携帯端末装置2の列車並びに車両を判定する手段である。例えば、車両判定部404は、位置履歴データベース412に格納された現在位置情報が示す現在位置が、ネットワークデータのリンクから所定範囲内にあり、位置履歴データベース412に現在位置情報として格納されたデータが時刻表データベース413から推定される範囲内にある場合に、同一の列車、車両と判定してもよい。例えば、車両判定部404は、携帯端末装置2を基準にして、当該携帯端末装置2の現在位置情報に基づく現在位置から乗車している車両等の位置をネットワークデータベース411及び時刻表データベース413に記憶された交通ネットワークデータ、時刻表データベースを用いて現在時刻に利用可能な或いは現在利用していると推定される交通機関の交通ネットワークデータの中から該当する列車、車両を特定する。
【0048】
加速度情報算出部403は、携帯端末装置2から送られてきた加速度情報を各列車、車両、すなわち、車両判定部404で判別された列車等の車両ごとのそれぞれの携帯端末装置2の加速度情報を算出し格納する。
【0049】
立位/座位判定部405は、加速度情報から携帯端末装置2を保持している乗客が立っているのか座っているのかを判別する。この立位/座位の判定は、次の理論に基づいて行う。電車の各車両にある多数のつり革(吊手)は、全てがほぼ同じ周期で揺れる。仮に、1本だけ1.5mの長いつり革をぶら下げると、その1本だけ異なる周期で揺れる。重心位置と支点位置が大きく異なる場合、揺れ方も大きく異なる。
【0050】
このような現象から明らかなように、座っているユーザの保持する携帯端末装置2の加速度センサと、立っているユーザの保持する携帯端末装置2の加速度センサとは、同じ電車の車両に乗っている場合でも明らかに揺れ方(加速度)が異なる。
【0051】
この発明は、半径数m〜数10m程度の距離に、通信可能で加速度センサを有する複数の携帯端末装置2が存在する状況において、複数の加速度センサからの加速度情報の差分から、各ユーザが立っているのか座っているのかを判別するものである。
【0052】
金属製(剛体)の車両は全体が同時に揺れる。一方、座っている乗客は車両の椅子からある範囲の位置に携帯端末装置2を保持することになる。例えば、
図5に示すように、座っている乗客12のポケットに携帯端末装置2を入れている場合には、車両(椅子11)からの距離L2は、例えば、20cm離れた位置に存在することになる。携帯端末装置2には、車両の揺れから、例えば20ミリ秒ほど遅れて検出される。また、立っている乗客13は、車両の床15からの距離L1は、座っている乗客より離れた位置に携帯端末装置2を保持することになる。例えば、立っている乗客13のポケットに携帯端末装置2を入れている場合には、車両から120cm離れた位置に存在することになる。携帯端末装置2には、車両の揺れから、例えば、120ミリ秒ほど遅れて検出される。さらに、車両から20cm離れた携帯端末装置2は、120cm離れた携帯端末装置2に比べ、周期の短い(周波数の高い)揺れが強く(敏感に)検知される。
【0053】
これらの情報を車両ごとのグループの加速度情報を比較することで、立位か座位かを推定することができる。立位/座位判定部405は、上記した方法により、各車両の複数の加速度センサの加速度情報の差分から座客か立客を判別する。そして、立位/座位のユーザ数の比率から車両ごとの混雑状況を判別する。その判別情報を混雑状況データベース414に格納する。
【0054】
判定結果送信部406は、立位/座位判定部405により判定された移動グループごと立位/座位の比率に基づく混雑状況を、混雑状況の情報の入手を希望するユーザの携帯端末装置2に送信する判定結果送信手段である。
【0055】
経路探索条件受信部407は、携帯端末装置2から送信される、少なくとも出発地と目的地とを含む経路探索条件を受信する経路探索条件受信手段である。
【0056】
経路探索部408は、経路探索条件受信部407により受信された経路探索条件を満たす、出発地から目的地までの経路を、ネットワークデータベース411に記憶されたネットワークデータに基づいて探索して、経路の経路情報を算出する経路探索手段である。なお、経路探索部408は、算出した経路情報の経路に対応付けて、混雑状況等を示す情報を当該経路情報に格納してもよい。
【0057】
経路情報送信部409は、経路探索部408により算出された経路情報を、経路探索条件の送信元の携帯端末装置2に送信する経路情報送信手段である。
【0058】
[携帯端末装置2の構成]
図3において、携帯端末装置2は、現在位置情報をサーバ装置4に送信する等の機能を有する。携帯端末装置2は、例えば、いわゆるスマートフォンといわれる携帯電話やPDAのような移動端末機器である。ここで、携帯端末装置2は、インターネットブラウザ等を搭載していてもよく、この発明に基づく混雑状況案内アプリケーションを搭載している。さらに、乗換案内アプリケーション等を搭載していてもよい。また、携帯端末装置2は、リアルタイムに現在位置取得が行えるよう、GPS機能を有する測位受信部218を備えている。そして、携帯端末装置2は、ディスプレイ等の出力部213とキーボード等の入力部212を備えている。
【0059】
ここで、出力部213は、混雑状況の判定結果や経路情報等に基づく表示画面を表示する表示手段(例えば、液晶や有機EL等から構成されるディスプレイ等)である。また、出力部213は、混雑状況の判定結果や経路情報等を音声として出力する音声出力手段(例えば、スピーカ等)であってもよい。また、入力部212は、混雑状況の表示要求や経路情報の入力等を行う入力手段(例えば、キー入力部、タッチパネル、キーボード、マイク等)を備えている。また、入出力制御インターフェース部230は、加速度センサ216、測位受信部218、出力部213及び入力部212等の制御を行う。
【0060】
ここで、測位受信部218は、測位衛星6から発信される位置情報信号(GPS信号)を受信する。また、この実施形態において、携帯端末装置2は、測位受信部218にて取得された位置情報信号から、時間、緯度、経度、及び、高さ情報を含む位置情報を取得する。
【0061】
また、加速度センサ216は、光学式や半導体式等の3軸加速度センサ等で構成され、携帯端末装置2により得られる加速度データを出力する。そして、入出力制御インターフェース230から加速度情報取得部253に与えられる。ユーザが手で持ってボタンを操作している場合、ボタン操作により携帯端末装置2に加速度が発生する。この実施形態では、この影響を削除するために、加速度情報取得部253では、加速度データから、例えば、周期が25ヘルツ(Hz)以上の周波数帯を、ローパスフィルタをかけることにより削除する。これにより、周期が25ヘルツ(Hz)未満の揺れである車両の揺れ、及び車両の揺れによるユーザ自体の体の揺れを検出する。このユーザのボタン操作を除いた加速度情報を利用する。なお、ユーザがボタンを操作しているか否かは、携帯端末装置2の入力部212の出力から明らかであるため、ボタン操作をしていない場合は、上記したフィルタ処理は省略することができる。なお、上記の影響を削除する処理をサーバ装置4で行う場合には、携帯端末装置2には、上記の構成は設けなくてもよい。
【0062】
また、通信制御インターフェース部231は、通信回線や電話回線等に接続されるアンテナやルータ等の通信装置(図示せず)に接続されるインターフェースであり、携帯端末装置2とネットワーク3との間における通信制御を行う機能を有する。すなわち、通信制御インターフェース部231は、サーバ装置4等とネットワーク3を介してデータを通信する機能を有している。また、ネットワーク3は、携帯端末装置2及びサーバ装置4と、外部の地図提供サーバ等の外部機器または外部システムとを相互に接続する機能を有し、例えば、インターネット、電話回線網(携帯端末回線網及び一般電話回線網等)等であればよい。
【0063】
また、記憶部240は、HDやメモリカード等の大容量のストレージ手段、EPROM(erasable and programmable ROM)、SRAM(Static Random Access Memory)等を用いて構成される小容量高速メモリ(例えば、キャッシュメモリ)等のストレージ手段であり、各種のアプリケーションプログラム、データベース、ファイルやテーブルを格納することができる。ここで、記憶部240は、各種のファイル等を一時的に記憶するものであってもよい。例えば、記憶部240は、サーバ装置4から受信した、混雑状況の判定結果や経路探索結果の経路情報等を記憶してもよい。
【0064】
また、制御部200は、OS等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、及び、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部200は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部200は、機能概念的に、現在位置情報取得部251、現在位置情報送信部252、加速度情報取得部253、加速度情報送信部254、判定結果受信部255、判定結果出力部256、経路探索条件送信部257、経路情報受信部258及び経路情報出力部259を備える。
【0065】
現在位置情報取得部251は、携帯端末装置2のユーザの現在位置情報を取得する現在位置情報取得手段である。ここで、現在位置情報取得部251は、携帯端末装置2のユーザの現在位置情報を所定時間(所定周期)ごと(例えば、1秒ごと、1分ごと等)に取得してもよい。例えば、現在位置情報取得部251は、測位受信部218にて測位衛星6から受信した位置情報信号から算出した位置情報を、携帯端末装置2のユーザの現在位置情報として取得する。
【0066】
現在位置情報送信部252は、現在位置情報取得部251により取得された現在位置情報をサーバ装置4に送信する現在位置情報送信手段である。ここで、現在位置情報送信部251は、現在位置情報を取得した取得時刻の時刻情報を、現在位置情報に対応付けてサーバ装置4に送信する。携帯端末装置2は、測位衛星6から受信した時間情報に基づき内部の時間情報を修正するように構成してもよい。
【0067】
判定結果受信部255は、サーバ装置4から送信される、車両の混雑状況の判定結果を受信する判定結果受信手段である。ここで、判定結果受信部255は、サーバ装置4から送信される経路情報を受信してもよい。なお、判定結果受信部255は、受信した判定結果等を記憶部240に格納してもよい。
【0068】
判定結果出力部256は、判定結果受信部255により受信された車両の混雑状況の判定結果等を、出力部213に出力する判定結果出力手段である。例えば、判定結果出力部256は、「この電車の乗車率は、○○です。」等の表示や音声出力等を出力部213に出力してもよい。
【0069】
経路探索条件送信部257は、少なくとも出発地と目的地を含む経路探索条件をサーバ装置4に送信する経路探索条件送信手段である。ここで、経路探索条件は、予め記憶部240に記憶された出発地や目的地等の情報であってもよく、ユーザにより入力部212を介して入力された出発地や目的地等の情報であってもよい。また、経路探索条件送信部257は、キーボード等の入力部212を介して入力された住所や緯度経度や施設名等を、経路探索条件としてもよい。
【0070】
経路情報受信部258は、サーバ装置4から送信される経路情報を受信する経路情報受信手段である。ここで、経路情報受信部258は、受信した経路情報を記憶部240に格納してもよい。
【0071】
経路情報出力部259は、経路情報受信部258により受信された経路情報に基づいて出力部213を介して経路案内を実行する経路情報出力手段である。ここで、経路情報出力部259は、受信された複数の経路に関する経路情報のうち、経路案内を実行する一の経路をユーザに入力部212を介して選択させるよう制御し、選択された経路について経路案内を実行してもよい。経路情報出力部259は、経路案内にかかる案内経路と、現在位置情報取得部251により取得される現在位置情報とを出力部213の表示画面に表示させることにより、経路案内を実行してもよい。
【0072】
次に、この発明の混雑状況通知装置の処理の一例について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては、理解の容易のため、複数の携帯端末装置2のうち一の携帯端末装置2について説明するが、その他の携帯端末装置2についても同様に現在位置情報及び加速度情報をサーバ装置4に送信し、サーバ装置4から送信される判定結果を受信している。すなわち、混雑状況通知装置における複数の携帯端末装置2は、定期的に現在位置情報及び加速度情報をサーバ装置4に送信しており、サーバ装置4は、受信した現在位置情報を位置履歴データベース412に加速度情報を用いて算出した混雑状況を混雑状況データベース414格納する。ここで、
図4は、この実施形態における混雑状況通知装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【0073】
図4に示すように、まず、携帯端末装置2の位置情報取得部251は、携帯端末装置2のユーザの現在位置情報を取得する(ステップS1)。ここで、位置情報取得部251は、携帯端末装置2のユーザの現在位置情報を所定時間(所定周期)ごと(例えば、1秒ごと、1分ごと等)に取得してもよい。例えば、位置情報取得部251は、測位受信部218にて測位衛星6から受信した位置情報信号から算出した位置情報を、携帯端末装置2のユーザの現在位置情報として取得する。
【0074】
そして、携帯端末装置2の位置情報送信部252は、位置情報取得部251により取得された現在位置情報をサーバ装置4に送信する(ステップS2)。ここで、位置情報送信部252は、現在位置情報を取得した取得時刻の時刻情報を測位衛星6のGPS時刻に同期させ、現在位置情報に対応付けてサーバ装置4に送信する。また、位置情報送信部252は、現在位置情報とともに、携帯端末装置2の識別情報をサーバ装置4に送信してもよい。ここで、位置情報送信部252は、位置情報取得部251により取得される現在位置情報の更新に応じて現在位置情報をサーバ装置4に送信してもよく、位置情報取得部251により取得された現在位置情報の履歴を一定時間ごとにサーバ装置4に送信してもよい。
【0075】
そして、サーバ装置4の現在位置情報受信部401は、携帯端末装置2から送信された、ユーザの現在位置情報を受信する(ステップS11)。なお、現在位置情報受信部401は、現在位置情報とともに送信される取得時刻の時刻情報や識別情報を受信してもよく、また、ネットワーク3のパスを解析する等により識別情報を取得してもよい。
【0076】
そして、サーバ装置4の現在位置履歴格納部402は、現在位置情報受信部401により受信された現在位置情報の履歴を位置履歴データベース412に格納する(ステップS12)。ここで、現在位置履歴格納部402は、現在位置情報受信部401により受信された現在位置情報の履歴を、携帯端末装置2ごとに位置履歴データベース412に格納してもよく、時刻情報に対応付けて位置履歴データベース412に格納してもよい。例えば、現在位置履歴格納部402は、現在位置情報受信部401により現在位置情報とともに受信された当該現在位置情報の取得時刻等の時刻情報や、現在位置情報受信部401により現在位置情報が受信された受信時刻等の時刻情報を、当該現在位置情報に対応付けて位置履歴データベース412に格納してもよい。また、現在位置履歴格納部402は、現在位置情報受信部401により受信または取得された携帯端末装置2の識別情報ごとに、現在位置情報を位置履歴データベース412に格納してもよい。
【0077】
続いて、サーバ装置4は、現在位置情報受信部401により受信された現在位置情報に基づいて、ユーザの位置を特定する。すなわち、ユーザが列車等に乗車しているか駅構内やその他の場所であるかの判別を行う。このため、車両判定部404は、ネットワークデータベース411に記憶されたネットワークデータ、時間表データベース413に基づいて、その時刻により、ユーザの現在位置情報から列車に乗車しているか否か判別し、列車に乗車している場合には、列車情報並びに乗車している車両を判定し、列車、車両を特定する(ステップS13)。その特定された列車、車両は携帯端末装置2ごとに、位置履歴データベース412に関連づけて格納する。また、列車等に乗車していないと判断されたユーザは、駅構内等の場所を特定する。そして、その特定された場所を携帯端末装置2ごとに、位置履歴データベース412に関連づけて格納する。
【0078】
この車両判定部404は、例えば、位置履歴データベース412に格納された現在位置情報が示す現在位置が、ネットワークデータのリンクから所定範囲内にあり、位置履歴データベース412に現在位置情報として格納されたデータが時刻表データベース413から推定される範囲内にある場合に、同一の列車、車両と判定する。そして、車両判定部404は、携帯端末装置2を基準にして、当該携帯端末装置2の現在位置情報に基づく現在位置から乗車している車両等の位置をネットワークデータベース411及び時刻表データベース413に記憶された交通ネットワークデータ、時刻表データベースを用いて現在時刻に利用可能な或いは現在利用していると推定される交通機関の交通ネットワークデータの中から該当する列車、車両を特定する。
【0079】
再び、
図4に戻り、携帯端末装置2は、加速度センサ216から加速度情報取得部253に与えられた加速度情報データをGPS時刻と同期させて送信する(ステップS3)。ユーザが手で持ってボタンを操作している場合、ボタン操作により携帯端末装置2に加速度が発生する。この実施形態では、この影響を削除するために、加速度情報取得部253では、加速度データから、例えば、周期が25ヘルツ(Hz)以上の周波数帯を、ローパスフィルタをかけることにより削除する。これにより、周期が25ヘルツ(Hz)未満の揺れである車両の揺れ、及び車両の揺れによるユーザ自体の体の揺れを検出する。このユーザのボタン操作を除いた加速度情報を利用する。なお、ユーザがボタンを操作しているか否かは、携帯端末装置2の入力部212の出力から明らかであるため、ボタン操作をしていない場合は、上記したフィルタ処理は省略することができる。また、この処理は携帯端末装置2側で行わなくてもサーバ装置4側で行ってもよい。
【0080】
サーバ装置4の加速度情報算出部403は、携帯端末装置2から送られてきた加速度情報を各列車、車両、すなわち、車両判定部404で判別された列車等の車両ごとのそれぞれの携帯端末装置2の加速度情報を算出し格納する(ステップS14)。加速度情報算出部403は、サーバ装置4側でユーザが手で持ってボタンを操作している影響を削除する場合には、周期が25ヘルツ(Hz)以上の周波数帯を、ローパスフィルタをかけることにより削除する。
【0081】
サーバ装置4の立位/座位判定部405は、加速度情報から携帯端末装置2を保持している乗客が立っているのか座っているのかを判別する。この立位/座位の判定は、半径数m〜数10m程度の距離に、通信可能で加速度センサを有する複数の携帯端末装置2が存在する状況において、複数の加速度センサの差分から各ユーザが立っているのか座っているのかを判別する(ステップS15)。
【0082】
前述した
図5に示すように、座っている乗客12のポケットに携帯端末装置2を入れている場合には、車両(椅子11)からの距離L2は、例えば、20cm離れた位置に存在することになる。立っている乗客13は、車両の床15からの距離L1は、座っている乗客より離れた位置に携帯端末装置2を保持することになる。例えば、立っている乗客12のポケットに携帯端末装置2を入れている場合には、車両から120cm離れた位置に存在することになる。
図6は、電車近傍(座位)の加速度センサの情報と立位の人間の加速度センサの値を時系列的に測定した結果を示す特性図である。このデータは、車両の運転時の揺れによる両者の加速度センサの特性を調べるために、椅子に相当する台車に固定した台に座っている被験者(座位)と台車に立った状態の被験者(立位)のそれぞれのポケットに加速度センサを入れ、台車を揺らしてそれぞれの加速度センサの情報を測定したものである。
【0083】
加速度センサは、ワイヤレステクノロジー株式会社の小型無線ハイブリッドセンサIIWAA−010を用いた。この加速度センサからは、x軸、y軸、z軸方向の加速度が出力される。
図6の縦軸は、この3軸の加速度を式(1)に基づいて算出した加速度の絶対値Aの値である。
【0084】
A=(x
2+Y
2+Z
2)
1/2 …(1)
(x、y、zはそれぞれx、y、z軸方向の加速度)
【0085】
図6から明らかなように、座っているユーザの保持する加速度センサと、立っているユーザの保持する加速度センサとは、同じ車両と見なした台車に乗っている場合でも、明らかに揺れ方(加速度)が異なる。
【0086】
立っているユーザの所持する加速度センサ(携帯端末装置2)は、ユーザの体重を支える部分(床)から120cmほど離れているのに対し、座っているユーザの所持する加速度センサ(携帯端末装置2)は、ユーザの体重を支える部分(椅子)から20cmほどしか離れていない。このため、ユーザが立っているか座っているかで加速度センサの出力情報が時間的な遅れと周波数とが相違することになる。この実施形態では、これらの相違を考慮して判別する。判別は時間遅れの判別又は周波数の判別若しくは両者の判別方法を用いて判別すればよい。
【0087】
上記の加速度センサを用いて、実際の電車に乗り、加速度センサの位置の違いによる加速度センサの示す値に差異が生じることを確認した。加速度センサは前述したものと同じものを用いた。加速度センサは次の5つの位置に設定している。
【0088】
(1)立っている乗客が手で保持(以下、「立ち手」という。)
(2)立っている乗客がポケットに保持(以下、「立ちポケ」という。)
(3)座っている乗客が手で保持(以下、「座り手」という。)
(4)座っている乗客がポケットに保持(以下、「座りポケ」という。)
(5)座席の上にすべらないように設置(以下、「座席」という。)
【0089】
上記の「立ち手」、「座り手」は、乗客がモバイル機器を操作している場合を想定した位置である。「座席」は、モバイル機器(またはモバイル機器を底面に入れたカバン)を座席に置いた場合を想定した位置である。車体の揺れの遅れが最も小さいと期待される。この実験は、JR長崎本線の普通電車内で行い、10ミリ秒ごとの揺れのデータを記録した。
【0090】
計測結果の例として、5分間の実験のうち1秒間の、5つのセンサが示す加速度の推移を
図7に示す。縦軸は上記の(1)式によって算出する加速度の絶対値Aの値、横軸は時間である。なお、一点鎖線は「立ち手」、破線は「立ちポケ」、二点鎖線は「座り手」、実線は「座りポケ」、太線は「座席」にそれぞれ設置されたセンサの値に対応したグラフである。
【0091】
図8〜
図12に、これら5つの加速度センサの5.12秒間の周波数分布を示す。
図8〜
図12は、高速フーリエ変換(FFT)スペクトルムにより周波数分布を実効値で求めたものである。
図8は、「立ち手」の時の周波数分布、
図9は、「立ちポケ」の時の周波数分布、
図10は、「座り手」の時の周波数分布、
図11は、「座りポケ」の時の周波数分布、
図12は、「座席」の時の周波数分布をそれぞれ示している。
【0092】
これら
図8〜
図12に示すように、1.76ヘルツ(Hz)(周期1/1.76秒=568ミリ秒)の揺れと12ヘルツ(Hz)(周期1/12秒=80ミリ秒)前後の揺れが、5つの加速度センサに共通して多く検出されている。この揺れは、電車自体の揺れに起因したものと考えられる。この結果から、上記の5つの加速度センサの位置に関わらず、車両の揺れがすべての加速度センサに伝わっていることが分かる。
【0093】
また、
図9の「立ちポケ」すなわち、立っている乗客のポケットに保持している加速度センサと
図11の「座りポケ」すなわち、座っている乗客のポケットに保持している加速度センサの周波数分布を比較する。この比較から加速度センサをポケットに保持した場合には、立っている乗客と座っている乗客の間に差異が小さく、両者が似ていることが分かる。このことから、個々の加速度の周波数分布によって、乗客が立位か座位かを判別することは難しい。このため、揺れの遅れの時間差により、立位か座位かを検出する方が判別は容易である。
【0094】
一方、
図12の「座席」の揺れには、25ヘルツ(Hz)以上の揺れも含まれているのに対し、
図8〜
図11の乗客が保持した加速度センサには、25ヘルツ(Hz)以上の揺れがほとんど含まれない。これは、25ヘルツ(Hz)以上の車両の揺れが、乗客が保持した加速度センサには伝わっていないことを示している。すなわち、25ヘルツ(Hz)以上(周期40ミリ秒以下)の揺れが立位か座位かの姿勢判別には不要なデータであるといえる。そこで、40ミリ秒未満(25ヘルツ(Hz)以上)の周期の揺れをカットする。このローパスフィルタとして、10ミリ秒ごとの各サンプリング時刻tにおける加速度の値A
tに(2)式に示すLP
40をかけて姿勢判別を行う。
【0096】
図7に示すデータに、(2)式のローパスフィルタを適用した結果を
図13に示す。
図13から分かるように、25ヘルツ(Hz)以上の揺れ(40ミリ秒未満の周期の揺れ)をカットすることで、25ヘルツ(Hz)未満の周期の揺れのピークが判別しやすくなる。
【0097】
加速度センサを乗客のポケットに保持した場合、立っている乗客の加速度センサの方が座っている乗客の加速度センサよりも12ヘルツ(Hz)前後の揺れのピークの検出が20ミリ秒程度遅れている。また、座っている乗客の加速度センサの方が座席の加速度センサよりも12ヘルツ(Hz)前後の揺れのピークの検出が10ミリ秒程度遅れている。これらのことから、ある加速度センサが12ヘルツ(Hz)前後の揺れのピークを検出した後、別の加速度センサが20〜30ミリ秒程度遅れて12ヘルツ(Hz)前後の揺れのピークを検出した場合、その加速度センサは立っている乗客が所持していると判別できる。
【0098】
このとき、立っている乗客の加速度センサが揺れのピークを検出した後、座席の加速度センサが次の揺れのピークを検出するまでの時間は、50ミリ秒(80ミリ秒−30ミリ秒)前後であると考えられる。すなわち、揺れのピークの検出が50ミリ秒前後以上遅れている場合、それらは異なる揺れのピークであると判断できる。また、ピークを検出する時間に20ミリ秒未満の差しかない場合は、乗客の姿勢が同じ(どちらも立っている/どちらも座っている)と判別できる。姿勢判別アルゴリズムの一つとして、これらのことを考慮して、揺れのピークの検出する時間が20〜40ミリ秒ずれている場合に注目して、その比較から乗客の姿勢を判別することができる。
【0099】
乗客の手に保持された加速度センサのグラフに共通して現れている特徴としては、他の状態の加速度センサに比べて12ヘルツ(Hz)の揺れ(凹凸)の数が少ないことが挙げられる。これは、肘や手首の動きによって加速度センサに伝わる12ヘルツ(Hz)の揺れがある程度軽減されているためと考えられる。このため、加速度センサを手に設置された乗客の姿勢判別には、12ヘルツ(Hz)の揺れは好ましくない.
【0100】
一方、1.7ヘルツ(Hz)の揺れは、すべての加速度センサにも伝わっている。しかし、立っているか座っているかにかかわらず、手に持っている乗客の加速度センサに揺れが遅れて伝わっている。すなわち、1.7ヘルツ(Hz)の揺れの遅れにより、加速度センサが手に保持されているか、ポケットに保持されているかは判別できる。しかし、立っている乗客が保持しているか座っている乗客が保持しているかは1.7ヘルツ(Hz)の揺れだけでは判別できない。
【0101】
この実施形態では、携帯端末装置2に搭載された加速度センサの情報に基づいた姿勢判別を行うものである。一般的な携帯端末装置2は、ユーザにより操作中かどうかによって、手に持たれているかどうかの判別は可能である。手に持たれているかどうかの判別は重要ではない。そこで、この実施形態では、手に持たれているかどうかの判別を行うのではなく、ポケットに保持されている加速度センサによる乗客の姿勢判別を行うこととする。
【0102】
この場合、12ヘルツ(Hz)前後の揺れに注目した方が一定時間でより多数のピークに基づく判別ができる。このことから代表的な揺れである12ヘルツ(Hz)前後の揺れのみに注目して判別すれば判別の計算が容易になる。そこで、5ヘルツ(Hz)以下(周期200ミリ秒以上)の揺れを姿勢判別に不要なデータとして処理する。各時刻tにおける加速度の値A
tに上記の(2)式のローパスフィルタを掛けた結果であるLP
40にハイパスフィルタHP
200をかけて演算する。以後、200ミリ秒以上(5ヘルツ(Hz)以下)の周期の揺れをカットする。このため、(3)式に示すものを、ハイパスフィルタとして用い、F
tで示す。ただし、計算過程で用いるLP
200は、5Hz以上(周期200ミリ秒未満)の揺れをカットするローパスフィルタである。
【0104】
図13のグラフに(3)式のハイパスフィルタを適用した結果を
図14に示す。この結果から、立っている乗客が保持している設置した加速度センサには、座っている乗客が保持している加速度センサよりも揺れが遅れて伝わっていることが顕著となった。このことから、特に、加速度センサが乗客のポケットなどに保持されている場合により有効であることが分かる。
【0105】
上記のことから複数の携帯端末装置2から得られた加速度情報のうち、車両自体の揺れに依存する加速度は、ほとんどすべてのユーザに共通に検出される。一方、歩いているユーザや貧乏ゆすりをしているユーザの所持する携帯端末装置2から得られた加速度情報には、そのユーザ固有の揺れが検出され、複数の携帯端末装置2の加速度センサの情報を統合することで、そのユーザ特有の加速度を削除する。
【0106】
時間遅れの判別は、車両は全体が同時に揺れる。一方、座っているユーザが所持する20cmほど離れた位置の携帯端末装置2は、例えば、車両の揺れから例えば20ミリ秒ほど遅れて検出される。また、立っているユーザの所持する120cmほど離れた位置の携帯端末装置2は、例えば、車両の揺れから例えば120ミリ秒ほど遅れて検出される。さらに、車両から20cm離れた携帯端末装置2には、120cm離れた携帯端末装置2に比べ、周期の短い(周波数の高い)揺れが強く検出される。いわゆるガタンゴトンという揺れは、ユーザの体を通して携帯端末に伝わる。この揺れは、同一車両内に存在する携帯端末のすべてが、ほぼ同じように検出されるはずである。しかし、この時、例えば座っているユーザのポケットにある携帯端末には、車両の揺れから例えば、20ミリ秒ほど遅れて検出される。一方、立っているユーザのポケットにある携帯端末には、例えば、120ミリ秒ほど遅れて検出される。
【0107】
車両内にある携帯端末装置2の加速度センサは、大きくこの二つのグループに区別できる.自らの携帯端末装置2の加速度センサの値を、どちらのグループの値に近いかを比較することで、その携帯端末の所有者が立っているか座っているかを判別できる。
【0108】
図6に示すように、座位と立位では図中の点線A、Bで囲んだように、ピークの周期の時間遅れが生じているので、この時間遅れに基づいて立位か座位を判別することができる。上記した判別には、各携帯端末装置2で時間的に同期がとれていることが好ましい。このため、この実施形態では、測位衛星6から得られるGPS時刻により加速度センサの同期を取っている。携帯端末装置2からは、加速度情報と位置情報がGPS時刻に基づいて同期が取られてサーバ装置4に送られる。
【0109】
[加速度を検出する時間遅れの違い]
上記したように、いわゆるガタンゴトンという車両の揺れは、ユーザの体を通して携帯端末装置2に伝わる。この揺れは、同一車両内に存在する携帯端末装置2のすべてがほぼ同じように検出されるはずである。しかし、この時、例えば、座っているユーザのポケットにある携帯端末装置2には、車両の揺れから例えば、20ミリ秒ほど遅れて検出される。一方、立っているユーザのポケットにある携帯端末装置2には、例えば、120ミリ秒ほど遅れて検出される。
【0110】
車両内にある携帯端末装置2の加速度センサは、大きくこの二つのグループに区別できる。立位/座位判定部405は、車両内の半径数m〜数10m程度の距離にある通信可能で加速度センサの付属した複数の携帯機器装置2の加速度センサの情報から二つのグループに分ける。そして、携帯端末装置2の加速度センサの加速度情報値をどちらのグループの値に近いかを比較する。すなわち、各車両の複数の加速度センサの加速度情報の差分から座位か立位を判別する(ステップS15)。この比較結果に基づき、車両内のユーザの立位と座位の人数を計数し、その割合を算出する(ステップS16)。その判別情報を混雑状況データベース414に格納する(ステップS17)。
【0111】
[加速度の周期のピークの違い]
立っているユーザの所持する携帯端末装置2は、ユーザの体重を支える部分(床)から1.2mほど離れているのに対し、座っているユーザの所持する携帯端末装置2は、ユーザの体重を支える部分(椅子)から20cmほどしか離れていない。このため、立っているユーザの所持する携帯端末装置2は、周期の短い(周波数の高い)揺れが小さく、周期の長い(周波数の低い)揺れが大きい。逆に、座っているユーザは、周期の短い(周波数の高い)揺れが大きい。周期(周波数)のピークの違いにより、大きくこの二つのグループに区別できる。立位/座位判定部405は、車両内にある携帯端末装置2の加速度センサの情報から二つのグループに分ける。そして、携帯端末装置2の加速度センサの加速度情報値をどちらのグループの値に近いかを比較する。この比較結果に基づき、車両内のユーザの立位と座位を判定する(ステップS15)。立位と座位の人数を計数し、その割合を算出して混雑状況を判定する(ステップS16)。その判別情報を混雑状況データベース414に格納する(ステップS17)。
【0112】
次に、立位と座位の判別方法の一例を具体的に説明する。
時刻tにおける揺れによる加速度をA
t(上記の(1)式)としたとき、上記(2)式のローパスフィルタと、上記(3)式とハイパスフィルタを適用した値はF
tとなる。ピーク時刻は、F
tが下記(4)式の(a)〜(c)をすべて満たす時刻tとする.この条件には、短い期間に複数のピークが現れた場合にそれを無視することで、姿勢判別への悪影響を防ぐものである。ここで推定されたピーク情報をP(n,t)としてサーバに送信する。ただし、nは携帯端末装置2の識別番号を表す端末ごとの固有の番号である。
【0114】
前述したように、立っている乗客の所持する携帯端末装置2の加速度センサが検出するピーク時刻は、座っている乗客のそれよりも20〜40ミリ秒程度遅れる。したがって、それよりも小さい遅れは同じ姿勢である携帯端末装置2同士のものであり、それより大きい遅れは違う揺れに対するものである。
【0115】
判別に用いる時間中に、携帯端末装置2から送られてきたピークの総数をIとし,iを1〜Iまでの変数とする。n個の携帯端末装置2ごとの姿勢判別情報をR
n(初期値0)とする。
【0116】
サーバ装置4は、携帯端末装置2からピーク情報P(n,t)を受信すると、ピーク番号iおよび姿勢判別情報r(初期値0)を付けたP
i(n,t,r)として保存する。m≠nかつt−40<s<t−20を満たすピーク情報P
x(m,s,q)(qは任意の値)を探索する。該当するすべてのピーク情報P
x(m,s,q)ごとに,rの値を1増やし、qの値を1減らす。
【0117】
サーバ装置4は,姿勢判別を指示されると、すべての携帯端末装置2について、R
nを0に初期化する.現在から一定時間前までの全てのピーク情報P
i(n,t,r)について、r>0の場合,R
nの値を1増やし、r<0の場合、R
nの値を1減らす処理をする。すべての携帯端末装置2(n)について、R
nが正ならば、nの携帯端末装置2の所持者は立っていると判別し、負ならばnの携帯端末装置2の所持者は座っていると判別する。
【0118】
まず、上記の実験で取得したデータに、上記のピーク時刻推定アルゴリズムを適用し、ピーク時刻を推定する。次に、推定したピーク時刻を用いて、上記で提案した姿勢判別アルゴリズムにより、乗客の姿勢を判別する。
【0119】
上記の実験で取得したデータに、上記のピーク時刻推定アルゴリズムを適用した結果として、各端末における各ピーク時刻とその時刻における加速度の値の一覧を
図14に示す。なお、時刻tがピーク時刻となる条件(F
t−F
t−3)>G[mG]における閾値Gの値は、30[mG]とした。
【0120】
図14で示されたピークの数は、「立ちポケ」が176個、「座りポケ」が201個、「座席」が55個であった。加速度センサが「座席」の場合には検出されるピーク数が少ないが、加速度センサが「立ちポケ」および「座りポケ」の場合には、適切な間隔で、ほぼ均一にピークが検出されていることが分かる。
【0121】
座席が少ない理由は、加速度センサの揺れは他の加速度センサよりも小さいが、他のセンサと共通の閾値30[mG]を設定しているためである。閾値Gは、値が大きすぎると検出されるピーク時刻の数が少なくなり、比較が困難になる。一方、値をある程度大きくすることで、大きな揺れについてのピーク時刻のみに注目することができ、姿勢判別の結果が良くなる。
【0122】
上記の姿勢判別手法では、異なる加速度センサ間でのピーク時刻の比較が必要なため、検出されるピーク時刻の数が大きく異なる場合に、正しい姿勢判別の結果が得られない可能性がある。このことを確認するため、ここでは、すべての位置について共通の閾値を設定する場合と、位置ごとに個別の閾値を設定する場合とで、姿勢判別の結果を比較した。個別に設定する閾値Gの値は、立っている乗客のポケットに設置したセンサ:20[mG]、座っている乗客のポケットに設置したセンサ:50[mG]、座席に設置したセンサ:30[mG]とする。
【0123】
上記で推定したピーク時刻を用いて、上記の姿勢判別アルゴリズムにより、乗客の姿勢を判別した結果と設定した閾値Gの値を表1示す。ここで、「立ちポケ」の加速度センサの判別精度は、r=0のピーク情報を除外した上で、ピーク情報P
i(n,t,r)のrが0より大きい個数の比率であり、「座りポケ」の加速度センサの判別精度は、(5)式に示すように、r=0のピーク情報を除外した上で、ピーク情報P
i(n,t,r)のrが0より小さい個数の比率である。なお、座席については、座っていると判別された場合に正解としている。また、正解/不正解は、「立ちポケ」のRが正の場合を正解、また「座りポケ」のRが負の場合を正解とした。
【0127】
表1に示した通り、すべての位置について共通の閾値を設定した場合も位置ごとに個別の閾値を設定した場合もともに正解率は100%であった。判別精度は、位置ごとに個別の閾値を設定した場合の方が若干高かったが大きな差はなかった。
【0128】
これらの結果から上記のアルゴリズムは有効であり、乗客の姿勢を判別することができる。また、ピーク時刻の検出の際には,センサの位置ごとに適した閾値を設定する必要はなく、共通の閾値でも可能である。
【0129】
上記した方法のいずれか若しくは両方を用いて、立位と座位のユーザの数に基づいて、立位と座位の割合を求めて各車両の混雑状況を判別する。
【0130】
次に、立位と座位の割合から混雑状況を判断する方法につき説明する。
まず、この判断は、前提として、座席優先の原則を利用する。座位優先の原則とは、席が十分に空いている場合には、乗客は座ることを優先するという原則を仮定する。すなわち、席がガラガラなのに、わざわざ立つ人は少ない。上記した前提に基づき、まず乗車人数を推定する。
【0131】
更に、この発明によるアプリケーションを利用している携帯端末装置2を保持している人数の比率を把握するようにすれば、より正しく乗車人数を推定することができる。
【0132】
次に、立っている乗客が車両全般に存在する場合には、上記した座席優先の原則に従い座れる座席は存在しないと予想されるため、着席可能人数はゼロと推定する。一方、乗客のほとんどが座っている場合は、乗客の密度から着席可能人数を推定し、混雑状況を推定する。
【0133】
上記の方法を用いて、座位率、立位率を求め、車両全体の混雑状況を推定し算出する。
【0134】
上記のようにして算出した混雑状況を列車、車両のグループにごとに混雑状況データベース414に逐次格納する。
【0135】
駅構内などで列車を待っている時や駅に向かう途中にユーザが希望する列車の混雑状況を入手したい場合には、このアプリケーションを立ち上げる(ステップS5)。アプリケーションを立ち上げると、
図16に示すように、混雑状況の表示というアイコン等が出力部213に表示される。ユーザが入力部212を用いて、混雑状況の表示アイコンをタッチすると、
図17に示すような経路に対応する路線の選択を要求する画面が表示される。
【0136】
続いて、路線を選択すると、
図18に示すような乗車しようとする電車を選択する画面が表示される。ユーザが入力部212を用いて電車を選択すると、経路探索条件送信部257からサーバ装置4へ路線情報と混雑状況を要求する情報が送信される(ステップS5)。
【0137】
サーバ装置4は、受信した路線情報により判定結果送信部406が該当する列車の車両ごとの混雑状況を混雑状況データベース414から読み出し(ステップS18)、その情報を携帯端末装置2へ送信する(ステップS19)。
【0138】
携帯端末装置2は、サーバ装置4から送られてきた混雑状況の判定結果を受信し、判定結果受信部255に格納し(ステップS6)、その格納された判定結果を判定結果出力部256からディスプレイなどの出力部213に出力する(ステップS7)。携帯端末装置2は、
図19に示すように、各車両の混雑状況が表示される。ユーザはこの混雑状況を参照して車両等を選択することが可能となる。
【0139】
路線、列車を変更する場合には、新たな路線、列車を選択し、サーバ装置4に携帯端末装置2から送信することにより、
図20に示すように、異なる列車の混雑状況を出力部213に出力(表示)させる。
【0140】
上記した実施形態では、各携帯端末装置2は、個別に加速度データをサーバ装置4に送り、各携帯端末装置2からのデータに基づく座位/立位の判定は、サーバ装置4で行っている。これに対して、携帯端末装置2間で通信を行い、端末間での立位/座位の判定を行い、その結果をサーバ装置4に送るように構成することも可能である。
図22にそのような構成をした携帯端末装置2の機能ブロック図を示す。この
図22に示すように、携帯端末装置2に、立位/座位判定部260と加速度情報算出部261の機能を更に追加されている。
【0141】
加速度情報算出部261は、前述したサーバ装置4の加速度情報算出部403と同様に、複数の携帯端末装置2から送られてきた加速度情報を算出する。
【0142】
立位/座位判定部260は、サーバ装置4の立位/座位判定部405と同様に、加速度情報からそれぞれの携帯端末装置2を保持している乗客が立っているのか座っているのかを判別する。この立位/座位の判定は、半径数m〜数10m程度の距離に、通信可能で加速度センサを有する複数の携帯端末装置2が存在する状況において、複数の加速度センサの差分から各ユーザが立っているのか座っているのかを判別する。
【0143】
携帯端末装置2間は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの短距離無線通信技術で接続される。そして、短距離無線通信からなるネットワークで接続された複数の携帯端末装置2間は、同じ車両に乗車していると推定でき、これら複数の携帯端末装置2間での立位/座位を判定し、その割合を算出して、サーバ装置4にその結果を送るように構成する。
【0144】
このため、短距離無線通信技術で接続された複数の携帯端末装置2は、1つの携帯端末装置2がサーバ装置として機能し、他の携帯端末装置2は、クライアント装置として機能し、サーバ装置として機能する携帯端末装置2に加速度センサからの加速度情報を送信する。
【0145】
サーバ装置として機能する携帯端末装置2は、接続された他の携帯端末装置2から送られてきた加速度情報と自己の加速度センサ216からの加速度情報を用いて、加速度情報算出部261でそれぞれの加速度情報を算出し、立位/座位判定部260に送る。
【0146】
立位/座位判定部260は、通信可能で加速度センサを有する複数の携帯端末装置2が存在する状況において、複数の加速度センサの差分から各ユーザが立っているのか座っているのかを判別する、そして、その割合を算出する。
【0147】
サーバ装置として、機能する携帯端末装置2は、携帯電話装置2の現在位置情報と立位/座位判定部260で判定した立位/座位の割合の情報をサーバ装置4に送信する。
【0148】
サーバ装置4は、受信した立位/座位の情報と現在位置情報と短距離無線通信技術で接続されていない他の携帯端末装置2があればその間で算出した立位/座位を判定し、これらの情報を用いて、列車の混雑状況を算出する。
【0149】
このように、携帯端末装置2である程度データ処理し、そのデータ用いて混雑状況データベース414を更新するように構成してもよい。このように構成することで、サーバ装置4の負担を軽減させることができる。
【0150】
[経路情報提供処理]
つぎに、上述のように判定した列車の混雑状況の利用用途の一例として、サーバ装置4が、経路情報を提供し、この経路情報から経路の混雑状況を表示する例について説明する。
【0151】
まず、携帯端末装置2の経路探索条件送信部257は、少なくとも出発地と目的地を含む経路探索条件をサーバ装置4に送信する。ここで、経路探索条件は、予め記憶部240に記憶された出発地や目的地等の情報であってもよく、ユーザにより入力部212を介して入力された出発地や目的地等の情報であってもよい。例えば、経路探索条件送信部257は、ユーザにより入力部212を介して入力された位置座標等を出発地や目的地や経由地として設定してもよい。また、経路探索条件送信部257は、経路探索条件の出発地として、位置情報取得部251により取得される、携帯端末装置2のユーザの現在位置情報を設定してもよい。
【0152】
そして、サーバ装置4の経路探索条件受信部407は、携帯端末装置2から送信される、少なくとも出発地と目的地とを含む経路探索条件を受信する。
【0153】
そして、サーバ装置4の経路探索部408は、ネットワークデータベース411に記憶されたネットワークデータに基づいて、経路探索条件受信部407により受信された経路探索条件を満たす、出発地から目的地までの経路の経路情報を算出する。そして、算出した経路情報に基づき、混雑状況データベース414から該当する列車の混雑状況を読み出し、経路情報に関連づける。
【0154】
そして、サーバ装置4の経路情報送信部409は、経路探索部408により算出された経路情報を、経路探索条件の送信元の携帯端末装置2に送信する。混雑状況が要求されている場合には、混雑状況も送信元の携帯端末装置2に送信する。
【0155】
そして、携帯端末装置2の経路情報受信部258は、サーバ装置4から送信される経路情報を受信する。
【0156】
そして、携帯端末装置2の経路情報出力部259は、経路情報受信部102fにより受信された経路情報に基づいて出力部213を介して経路案内を実行する。ここで、経路情報出力部259は、受信された複数の経路に関する経路情報のうち、経路案内を実行する一の経路をユーザに入力部212を介して選択させるよう制御し、選択された経路について経路案内を実行してもよい。また、経路情報出力部259は、地図データ上に、経路情報の案内経路、列車の混雑状況、及び、携帯端末装置2の現在位置情報に基づく現在位置を重畳した表示画面を出力部213に表示させてもよい。また、経路情報出力部259は、経路情報に含まれる案内経路上の分岐点等の案内地点における進行方向等に対応付けられた音声案内データを、出力部213を介して音声出力させることにより、経路案内を実行してもよい。
【0157】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。